JP6111176B2 - 抗ニキビ活性能を有する皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ニキビ抑制効果を有する薬物を含有するナノ粒子を配合して成るニキビ治療、予防用の皮膚外用剤に関する。
ニキビの発症メカニズムは未だ完全に解明されたわけではないが、主な発症要因としては以下のとおりである。先ず、男性ホルモン(テストステロン)が、還元酵素であるI型5αリダクターゼの作用により活性化してジヒドロテストステロン(DHT)に変化する。このジヒドロテストステロンによって毛穴(毛包)の皮脂腺にある脂腺細胞が活性化され、過剰な皮脂分泌や、ケラチノサイト(角化細胞)の角化が亢進されて毛穴が閉塞される。
その結果、毛穴の内部は皮膚常在菌であるアクネ菌(プロピオニイバクテリウム・アクネス)の生息に適した嫌気性環境となる。また、アクネ菌は皮脂を好むため、閉塞した毛穴の中で皮脂を栄養として過剰に増殖し、脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を酸化して遊離脂肪酸を産生する。このように皮脂が過酸化脂質へと酸化された結果、炎症が起きて炎症性ニキビとなり、さらに症状が進行すると、膿がたまって黄色い部分ができるという症状が出る。また、毛穴が破れて膿が流れ出し炎症が広がることもある。このような場合は、炎症が治癒してもニキビ痕(瘢痕・あばた)が残る場合が多い。
ニキビの治療方法としては、一般的なニキビの場合、ニキビができた部位を低刺激性の石鹸で洗うことで症状が軽減する。しかし、炎症を伴う重症なニキビの治療には抗炎症剤や抗菌剤を含む皮膚外用剤が用いられる。
例えば特許文献1には、抗菌成分としてトタロールを配合した化粧水、クレンジングフォーム、パック、ファンデーション等の化粧料が開示されており、アクネ菌に対する阻止効果も記載されている。
また、特許文献2には、トタロール及びトタロール誘導体の製造方法、及び製造されたトタロール誘導体を含有する皮膚外用剤が開示されており、トタロール誘導体の抗アクネ菌活性が記載されている。
また、特許文献3には、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン12、ナイロン6−12で形成された有機多孔性粒子、或いはシリカ微小球、多孔性シリカ微小球、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル等の多孔性鉱物粒子に活性化合物を含有させた多孔性粒子が開示されており、活性化合物としてトタロールが例示され、活性化合物としてトリクロサンを含む多孔性粒子を配合した抗ニキビクリームが記載されている。
特許第2700071号公報 特開2010−65014号公報 特許第5032859号公報
ところで、皮膚外用剤のニキビ治癒効果をより確実に発現させるためには、作用部位までの抗ニキビ活性成分の確実な到達に加えて、抗ニキビ活性成分を長期間に亘って放出させる、いわゆる徐放性を有することが望ましい。さらに、作用機序の異なる複数の有効成分の組み合わせにより相乗的なニキビ治癒効果を発現させることが望ましい。しかしながら、上記特許文献1、2においては、有効成分の徐放性については何ら考慮されていなかった。
また、特許文献3の方法では、活性化合物を担持する有機多孔性粒子或いは多孔性鉱物粒子が生分解性を有しておらず、生体内に長期間残留して悪影響を及ぼすおそれがあった。また、有機多孔性粒子或いは多孔性鉱物粒子の平均粒子径は0.1〜50μm、特に0.5〜10μmであり、一般的な毛穴の直径である200μmよりは小さいが、毛穴からは毛が生えているため、特許文献3に記載の粒子径は毛穴と毛の隙間に比べて十分に小さくはない。そのため、十分な量の粒子が毛穴の内部まで取り込まれない可能性が高く、ニキビ治癒効果は十分なものとは言えなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、毛穴内部への浸透効果と有効成分の徐放効果を兼備し、ニキビ治療、予防効果の高い皮膚外用剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子の内部に、抗アクネ菌活性成分としてトタロールおよびイソプロピルメチルフェノールから選ばれた少なくとも1つを内包率0.01重量%以上10重量%以下で内包させた抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子をパウダー基材中または液中に分散させて成る、抗ニキビ活性能を有する皮膚外用剤である。
また本発明は、上記構成の皮膚外用剤において、乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子の内部に、抗炎症性成分としてセージエキスおよびβ−グリチルレチン酸から選ばれた少なくとも1つを内包率0.5重量%〜1重量%で内包させた抗炎症性成分含有ナノ粒子を前記パウダー基材中または液中にさらに分散させたことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の皮膚外用剤において、抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子または抗炎症性成分含有ナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分を担持させた皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分含有ナノ粒子をさらに分散させたことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の皮膚外用剤において、前記皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分が、5α−リダクターゼ活性阻害成分であるβ−グリチルレチン酸、ペパーミント抽出液、チョウジ抽出液、キウイエキス、アボカド油脂、ケープアロエ、アロエベラエキス、センブリエキス、サンショウエキス、ヒオウギエキス、ホウセンカエキス、ザクロエキスから選ばれた1種以上、若しくは女性ホルモン様作用成分であるエストロゲン、エチニルエストラジオール、ダイズエキス、イソフラボン、ヒオウギエキス、プエラリアミリフィカ根エキスから選ばれた1種以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の皮膚外用剤において、前記生体適合性ナノ粒子の平均粒子径が、30nm以上300nm以下であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の皮膚外用剤において、抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子および抗炎症性成分含有ナノ粒子が賦形剤によって複合化されており、前記賦形剤で形成される前記複合粒子の外層に、前記抗アクネ菌活性成分、前記抗炎症性成分、前記皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分の少なくとも1つを封入したことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の皮膚外用剤において、前記パウダー基材中または液中に他の抗ニキビ活性成分を配合したことを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子の内部に抗アクネ菌活性成分であるトタロールおよびイソプロピルメチルフェノールから選ばれた少なくとも1つ内包率0.01重量%以上10重量%以下で内包させた抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子をパウダー基材中または液中に分散させることにより、ニキビの発症要因となるアクネ菌の増殖を抑制して優れた抗ニキビ活性効果を得ることができる。また、抗アクネ菌活性成分を毛穴深部にある皮脂腺にまで直接到達させるとともに、皮脂腺においてナノ粒子から徐々に抗アクネ菌活性成分を放出させることができる。その結果、毛穴深部へのナノ粒子の速やかな浸透と抗アクネ菌活性成分の徐放により優れたニキビ治療、予防効果を発揮する皮膚外用剤が提供される。
また、本発明の第の構成によれば、上記第1の構成の皮膚外用剤において、乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子の内部に、抗炎症性成分であるセージエキスおよびβ−グリチルレチン酸から選ばれた少なくとも1つを内包率0.01重量%以上10重量%以下で内包させた抗炎症性成分含有ナノ粒子をさらに分散させることにより、ニキビに対する作用機序の異なる抗アクネ菌活性成分と抗炎症性成分とが毛穴深部まで速やかに且つ持続的に供給されるため、より高いニキビ治療、予防効果を発揮する皮膚外用剤となる。
また、本発明の第の構成によれば、上記第1又は第2の構成の皮膚外用剤において、前記抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子または前記抗炎症性成分含有ナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分を担持させた皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分含有ナノ粒子をさらに分散させることにより、ニキビに対する作用機序の異なる抗アクネ菌活性成分と5α−リダクターゼ活性阻害成分、または抗アクネ菌活性成分と抗炎症性成分と5α−リダクターゼ活性阻害成分とが毛穴深部まで速やかに且つ持続的に供給されるため、より高いニキビ治療、予防効果を発揮する皮膚外用剤となる。
また、本発明の第の構成によれば、上記第の構成の皮膚外用剤において、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分として、5α−リダクターゼ活性阻害成分であるβ−グリチルレチン酸、ペパーミント抽出液、チョウジ抽出液、キウイエキス、アボカド油脂、ケープアロエ、アロエベラエキス、センブリエキス、サンショウエキス、ヒオウギエキス、ホウセンカエキス、ザクロエキスから選ばれた1種以上、若しくは女性ホルモン様作用成分としてエストロゲン、エチニルエストラジオール、ダイズエキス、イソフラボン、ヒオウギエキス、プエラリアミリフィカ根エキスから選ばれた1種以上を用いることにより、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制効果をより向上させることができる。
また、本発明の第の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の皮膚外用剤において、抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子および抗炎症性成分含有ナノ粒子の平均粒子径を30nm以上300nm以下とすることにより、ナノ粒子が毛穴深部まで送達され易くなり、さらに送達されたナノ粒子が脂腺細胞内に取り込まれ易くなって高い抗ニキビ活性を発現する。
また、本発明の第の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の皮膚外用剤において、ナノ粒子を賦形剤によって複合化することにより、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上するとともに、一旦内包された抗ニキビ活性成分の粒子表面への再漏出を防止できる。また、賦形剤で形成される複合粒子の外層に、抗アクネ菌活性成分、抗炎症性成分、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分の少なくとも1つを封入することにより、ナノ粒子に担持された各成分と、複合粒子の外層に内包された各成分とが相乗的に作用して、一層顕著な抗ニキビ活性効果が発現される。
また、本発明の第の構成によれば、上記第1乃至第のいずれかの構成の皮膚外用剤において、パウダー基材中または液中に他の抗ニキビ活性成分を配合することにより、作用機序の異なるより多くの抗ニキビ活性成分を毛穴深部へ供給できる。また、パウダー基材中または液中に配合された抗ニキビ活性成分による即効性を確保しつつ、毛穴深部においてはナノ粒子から徐放される抗ニキビ活性成分より長期間に亘る抗ニキビ活性効果が期待できる。
26歳の女性被験者の顔の右半分に、実施例5のパウダー化粧料を塗布したときの0日後、6日後、21日後、60日後におけるニキビの発生状況を示す写真 26歳の女性被験者の顔の左半分に、試験開始後8日目まで比較例1のパウダー化粧料を塗布し、その後、実施例5のパウダー化粧料を塗布したときの0日後、6日後、21日後、60日後におけるニキビの発生状況を示す写真 22歳の男性被験者の顔の右半分に、実施例5のパウダー化粧料を塗布したときの0日後、6日後、23日後、35日後におけるニキビの発生状況を示す写真 22歳の男性被験者の顔の左半分に、比較例1のパウダー化粧料を塗布したときの0日後、6日後、23日後、35日後におけるニキビの発生状況を示す写真
本発明の皮膚外用剤は、抗アクネ菌活性成分を生体適合性高分子内に内包、または表面に担持させて、ナノ単位の大きさの粒子とした抗ニキビ活性能を有する生体適合性ナノ粒子(以下、単にナノ粒子ともいう)を含有するものである。このナノ粒子が毛穴の深部にまで浸透することにより、抗アクネ菌活性成分をアクネ菌が存在する毛穴内部、特に脂腺細胞にまで到達させるとともに、毛穴内部、特に脂腺細胞においてナノ粒子から徐々に抗アクネ菌活性成分を放出させることができるため、抗ニキビ用の皮膚外用剤として好適に用いることができる。
本発明の皮膚外用剤に配合されるナノ粒子を構成する生体適合性高分子は、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝される生体内分解性のものが望ましい。また、ナノ粒子中に内包される抗アクネ菌活性成分を持続して徐々に放出する粒子であることが好ましい。このような素材としては、特に乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を好適に用いることができる。PLGAは薬物を内包可能であり、当該抗アクネ菌活性成分の効力を保持したまま長期間保存できることが知られている。さらに、PLGAの加水分解・長期半減期の特徴から、数日から1ヶ月単位の徐放ができると考えられる。
PLGAの分子量は、5,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、15,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。乳酸とグリコール酸との組成比は1:99〜99:1であればよいが、乳酸1に対しグリコール酸が約1/3であることが好ましい。また、乳酸およびグリコール酸の含有量が25重量%〜65重量%の範囲内であるPLGAは、非晶質であり、かつアセトン等の有機溶媒に可溶であるから、好適に使用される。
また、PLGAナノ粒子中に水溶性の抗ニキビ活性成分を内包する場合、PLGAの表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾しておくと、抗ニキビ活性成分とPLGAとの親和性が向上し、内包量を増やせるため好ましい。本発明に用いられる生体適合性高分子としては、PLGAの他に、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等が挙げられる。
ナノ粒子中に内包、またはナノ粒子表面に担持される抗アクネ菌活性成分としては、トタロール、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、クジンエキス、レルベラトロール、オウバク抽出液、オリーブ葉エキス、シモツケソウエキス、ビタミンC、ビタミンC誘導体、ローズフルーツエキス、ノバラエキス、イオウ、サリチル酸、トリクロ酸、トリクロカルバン、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、チョウジエキス、トウキンセンカエキス、レモングラスエキス、ラクトフェリン、塩化ベンザルコニウム、ピオニン、ウンデシレン酸等が挙げられる。トタロールはマキ科の植物である「トタラ」から抽出されるジテルペンフェノールであり、抗アクネ菌作用のほか、メラニン抑制作用(美白作用)やシワ抑制作用も知られている。
本発明の皮膚外用剤には、抗アクネ菌活性成分を担持したナノ粒子に加えて、抗ニキビ活性成分として抗炎症性成分、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分の少なくとも一方を内部または表面に担持したナノ粒子を配合することもできる。抗炎症性成分は、皮脂の過酸化脂質への酸化による炎症性ニキビの発症を抑制するものである。このような抗炎症性成分としては、抗炎症作用が高いβ−グリチルレチン酸及びその誘導体、セージエキス、キウイエキス、ラベンダーエキス、ローズマリーエキス、オウゴンエキス、ヨモギエキス、サリチル酸、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、アズレン、グアイアズレン、塩化リゾチール、トラネキサム酸が特に好ましい。
皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分としては、5α−リダクターゼ活性阻害成分と、女性ホルモン様作用成分が挙げられる。5α−リダクターゼ活性阻害成分は、I型5αリダクターゼによる男性ホルモンの活性化を抑制するものである。このような5α−リダクターゼ活性阻害成分としては、β−グリチルレチン酸及びその誘導体、ペパーミント抽出液、チョウジ抽出液、キウイエキス、アボカド油脂、アロエベラエキス、ヒオウギエキス、ザクロエキス、キナエキス、クララエキス、冬虫夏草エキス等が挙げられる。中でも、5α−リダクターゼ活性阻害作用が高いβ−グリチルレチン酸及びその誘導体、ペパーミント抽出液、チョウジ抽出液、キウイエキス、アボカド油脂、アロエベラエキス、ヒオウギエキス、ザクロエキスが特に好ましい。
女性ホルモン様作用成分は、女性ホルモンに似た働きをすることでホルモンのバランスを整え、男性ホルモンの活性化を抑制するものである。このような女性ホルモン様作用成分としては、エストロゲン、エチニルエストラジオール、ダイズエキス、イソフラボン、ヒオウギエキス、プエラリアミリフィカ根エキスが特に好ましい。
上述したような抗ニキビ活性成分のナノ粒子への封入率(担持率)が高いほど、抗ニキビ活性成分の含有量も高くなるため好ましいが、ナノ粒子内部への抗ニキビ活性成分の内包率に比例してナノ粒子の粒子径も大きくなるため、ナノ粒子が毛穴の内部まで到達し難くなる。また、抗ニキビ活性成分の含有量が多くなると副作用も懸念される。そのため、抗ニキビ活性成分の封入率は、生体適合性高分子に対し0.01重量%以上10重量%以下が好ましく、0.01重量%以上5重量%以下が特に好ましい。
本発明に用いられる生体適合性ナノ粒子は、1000nm未満の平均粒子径を有するものであれば特に制限はないが、一般に、毛穴の直径は200μm程度であるため、毛穴と毛の隙間から毛穴深部への浸透効果を高めるためには平均粒子径を300nm以下とすることが好ましい。また、皮膚細胞の大きさは15,000nm、皮膚細胞間隔は皮膚の浅い所と深い所でバラツキがあり70nm程度であると考えられているが、細胞の脈動により皮膚細胞間隔が広がるため、粒子径が200nm程度であれば毛穴以外の部分からも皮膚深部へ十分浸透する。一方、前述したようにナノ粒子の粒子径が小さくなるほど抗ニキビ活性成分の内包率も低くなるため、平均粒子径は30nm以上とすることが好ましい。
本発明の皮膚外用剤に用いられる生体適合性ナノ粒子の製造方法としては、目的の物質(抗ニキビ活性成分)を1000nm未満の粒子径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。この球形晶析法の一つに、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)がある。
ESD法は、次に示すような原理によってナノ粒子を製造する技術である。本法には、薬物を内包する基剤ポリマーとなる乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)等を溶解できる良溶媒と、これとは逆にPLGAを溶解しない貧溶媒の二種類の溶媒が用いられる。この良溶媒には、PLGAを溶解し、且つ貧溶媒へ混和するアセトン等の有機溶媒を用いる。そして、貧溶媒には、通常、ポリビニルアルコール水溶液等を用いる。
操作手順としては、まず、良溶媒中にPLGAを溶解後、このPLGAが析出しないように、薬物溶解液を良溶媒中へ添加混合する。このPLGAと薬物を含む混合液を、貧溶媒中に攪拌下、滴下すると、混合液中の良溶媒(有機溶媒)が貧溶媒中へ急速に拡散移行する。その結果、貧溶媒中で良溶媒の自己乳化が起き、サブミクロンサイズの良溶媒のエマルジョン滴が形成される。さらに、良溶媒と貧溶媒の相互拡散により、エマルジョン内から有機溶媒が貧溶媒へと継続的に拡散していくので、エマルジョン滴内のPLGA並びに薬物の溶解度が低下し、最終的に、薬物を包含した球形結晶粒子のPLGAナノ粒子が生成する(以上、ナノ粒子形成工程)。
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。その後、良溶媒である有機溶媒を減圧留去し(溶媒留去工程)、懸濁液を乾燥し(乾燥工程)、生体適合性ナノ粒子を得る。そして、得られたナノ粒子をそのまま、或いは必要に応じて乾燥工程時に凍結乾燥等により複合化し(複合化工程)、複合粒子とした後、容器内に充填する。
上記良溶媒および貧溶媒の種類は、内包される抗ニキビ活性成分の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではないが、製造されたナノ粒子は皮膚へ直接塗布する皮膚外用剤の原料として用いられるため、人体に対して安全性が高く、且つ環境負荷の少ないものを用いる必要がある。このような貧溶媒としては、例えばポリビニルアルコール水溶液が好適に用いられ、良溶媒としては、例えばアセトンとエタノールの混合液が好適に用いられる。
ポリビニルアルコール水溶液の濃度、或いはアセトンとエタノールの混合比や、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方は特に限定されるものではなく、内包される抗ニキビ活性成分の種類や、球形造粒結晶の粒子径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよいが、ポリビニルアルコール水溶液の濃度が高いほどナノ粒子の粒子径が細かくなる。反面、ポリビニルアルコール水溶液の濃度が所定以上になると、乾燥後のナノ粒子の水への再分散性が低下する。
ポリビニルアルコールの添加量の増大と共に嵩密度が小さくなり充填性(容器への充填のしやすさ)が悪くなる。また、針状形状になりやすい点からも充填性、使用感が損なわれる。さらに皮膚に塗布した場合、ポリビニルアルコール特有の「糊」機能により肌の引張り感(つっぱり感)が強くでる。
これを防ぐためには、ナノ粒子の晶析、溶媒留去後に過剰のポリビニルアルコールを除去する除去工程を設けることが好ましい。除去工程としては、通常はポリビニルアルコールの除去のために、遠心分離で粒子を単離させ、余分なポリビニルアルコールを含む上澄み液を廃棄して精製水に置換した後、再度遠心分離することでポリビニルアルコールを除去することが考えられる。しかし、この遠心分離操作は大変手間のかかる操作であり、工業化を視野に入れると、ナノ粒子を効率よく製造する上での障害となる。
そこで、この除去工程(遠心分離等)を行わない製造方法を検討した結果、最終的な複合粒子に含まれるべきポリビニルアルコール量だけしか含まない溶液で複合粒子を製造することにより、除去作業を不要とすることができることを見出した。最終的な複合粒子に含まれるべきポリビニルアルコール量は、ポリビニルアルコールの重合度やけん化度によっても異なるが、ポリビニルアルコール濃度としては約0.2重量%程度であり、多くても0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%以下のものを使用することが好ましい。
ポリビニルアルコール濃度が0.2%と低い場合は、晶析操作後の留去工程を、時間をかけてゆっくりと行えば凝集や膜が生成されることはないが、これは工業化における障害となる。一方、急速な留去(例えば留去速度80mL/分以上)をした場合、溶媒を留去しつつ溶液を濃縮するにしたがい、生体適合性高分子の残存している良溶媒への部分的な再溶解を招き、強い凝集塊や膜を形成してしまうので、再分散ができなくなる。
そこで、この凝集や膜形成を抑制する目的で、濃縮とともに水を供給し、ナノ粒子の水中での分散性を維持させている。この場合、水の添加は、留去とともに一定の添加速度で供給することが必要である。
このとき添加する水は、留去工程のうちの最初から所定期間、すなわち、留去工程開始から水を加えずに留去を行っても凝集や膜形成をしなくなるまでの間加えつづけることが好ましい。また、このとき加える水の量は、1分間の溶媒留去量の1重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることがより好ましい。また、1分間の留去量の10重量%以下で加えることが好ましく、5重量%以下で加えることがより好ましい。
以上のようにして得られたナノ粒子は、凍結乾燥等により粉末化させる際に再分散可能な複合粒子(ナノコンポジット)にできる。また、流動層乾燥造粒法(例えば、アグロマスタAGM−SD(ホソカワミクロン製))または乾式機械式粒子複合化法(例えば、メカノフュージョンシステムAMS(ホソカワミクロン製))によって複合化しても、再度分散可能な状態で一体化できる。これにより、使用前まではナノ粒子が集まった取り扱いやすい複合粒子となっており、使用時には水分に触れることでナノ粒子に戻って高反応性等の特性を復元できる。
なお、内包される抗ニキビ活性成分が水溶性の場合、一旦ナノ粒子内部に内包された抗ニキビ活性成分がナノ粒子表面へ漏出すると、周囲に存在する水に再溶解する。この水を凍結乾燥等により除去すると、その分だけ抗ニキビ活性成分が減少して内包率にばらつきが発生してしまう。そこで、有機または無機の物質を再分散可能に複合化させ、抗ニキビ活性成分の溶解した水を除去せずにそのままナノ粒子と共に乾燥させることが好ましい。例えば、糖アルコールやショ糖を適用することにより、内包率のばらつきを効果的に防止するとともに、複合化されたナノ粒子の分散性、耐熱性が向上する。さらに、糖アルコール等が賦形剤(保護剤)となりナノ粒子の取り扱い性を高めることができる。糖アルコールとしては、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトース、キシリトースなどが挙げられ、この中でも特にマンニトールが好ましい。
このような複合粒子では、抗ニキビ活性成分はナノ粒子の表面に吸着されるのみでなく、ナノ粒子の表面から再溶解した抗ニキビ活性成分が複合化の際に賦形剤で形成されたナノ粒子の外層にも封入されている。そのため、ナノ粒子内部から放出される抗ニキビ活性成分とは別に、毛穴や皮膚への浸透直後に複合粒子表面から抗ニキビ活性成分が溶け出すことで、複合粒子にさらに即効性を付与することができる。
また、ナノ粒子の表面に粘膜付着性を高めるキトサンを複合化したり、リン脂質(レシチン/フォスファチジルコリン)を複合化させたりして皮膚親和性を高めてもよい。
次に、ナノ粒子表面に抗ニキビ活性成分を付着(担持)させる方法について説明する。ここでは、凍結乾燥によりナノ粒子を複合化する際、ナノ粒子表面へ抗ニキビ活性成分を静電気的に担持させる静電気的付着法を用いる。水溶液中でアニオン分子として存在する抗ニキビ活性成分をナノ粒子表面へ静電気的に担持させるためには、ナノ粒子表面が正のゼータ電位を有するように帯電させておく必要がある。
一般に、液体中に分散された粒子の多くは正又は負に帯電しており、逆の電荷を有するイオンが粒子表面に強く引き寄せられ固定された層(固定層)と、その外側に存在する層(拡散層)とで、いわゆる拡散電気二重層が形成されており、拡散層の内側の一部と固定層とが粒子と共に移動するものと推定される。
ゼータ電位は、粒子から十分に離れた電気的に中性な領域の電位を基準とした場合の、上記移動が生じる面(滑り面)の電位である。ゼータ電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発力が強くなって粒子の安定性は高くなり、逆にゼータ電位が0に近づくにつれて粒子は凝集を起こしやすくなる。そのため、ゼータ電位は粒子の分散状態の指標として用いられている。
上記ナノ粒子形成工程においてカチオン性高分子を貧溶媒中に添加すると、形成されたナノ粒子の表面がカチオン性高分子により修飾(被覆)され、粒子表面のゼータ電位が正となる。そして、凍結乾燥によりナノ粒子を複合化する際に抗ニキビ活性成分を添加することにより、水溶液中で負の電荷を持つアニオン分子となった抗ニキビ活性成分が静電気的相互効果によりナノ粒子表面に所定量担持される。
また、生体内の細胞壁は負に帯電しているが、従来の球形晶析法で製造されたナノ粒子の表面は、一般的に負のゼータ電位を有しているため、電気的反発力によりナノ粒子の細胞接着性が悪くなるという問題点があった。従って、本発明のようにカチオン性高分子を用いてナノ粒子表面が正のゼータ電位を有するように帯電させることは、負帯電の細胞壁に対するナノ粒子の接着性を増大させ、抗ニキビ活性成分の細胞内移行性を向上させる観点からも好ましい。
なお、凍結乾燥の前に、遠心分離等により余剰のポリビニルアルコールを除去する除去工程を設ける場合は、ポリビニルアルコールと共に粒子表面のカチオン性高分子も一部除去されてしまう可能性がある。そのため、除去工程の後に再度ナノ粒子をカチオン性高分子溶液に浸漬する工程を設けることが好ましい。
カチオン性高分子としては、キトサン及びキトサン誘導体、セルロースに複数のカチオン基を結合させたカチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリアミノ化合物、ポリオルニチン、ポリリジン等のポリアミノ酸、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジニウムクロリド、アルキルアミノメタクリレート4級塩重合物(DAM)、アルキルアミノメタクリレート4級塩・アクリルアミド共重合物(DAA)、細胞膜(生体膜)の構成成分であるリン脂質極性基(ホスホリルコリン基)と重合性に優れたメタクリロイル基とを併せ持つ2−メタクリロイルオキシエチルホスホルコリン(MPC)を構成単位とする高分子に第4級アンモニウム塩等のカチオン基を結合させたカチオン性高分子(例えばMPCと2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)等が挙げられるが、特にキトサン或いはその誘導体が好適に用いられる。
また、カチオン性高分子の中でもカチオン性のより強いものを用いることにより、ゼータ電位がより大きな正の値となるため、粒子表面により多くの抗ニキビ活性成分を担持可能になるとともに、粒子間の反発力が強くなって粒子の安定性も高くなる。例えば、元来カチオン性であるキトサンの一部を第四級化することで、さらにカチオン性を高めた塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]キトサン等のキトサン誘導体(カチオニックキトサン)を用いることが好ましい。
このようにして製造した、抗ニキビ活性成分が内包または表面担持された生体適合性ナノ粒子を、粉末状、ゲル状、固形状の基材、或いは分散液中に所定の割合で分散させて皮膚外用剤とする。皮膚外用剤の剤型としては、乳液、化粧水、スキンクリーム、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、パウダー状美容液、ジェル等のスキンケア化粧料、水性軟膏、油性軟膏等の経皮投与剤が挙げられる。
また、抗ニキビ効果を促進するためには、様々な作用機序を有する抗ニキビ活性成分の複合的使用が必要である。そこで、抗ニキビ活性成分の1種以上を皮膚外用剤の基材中または分散液中に配合することにより、ナノ粒子の毛穴深部への浸透に伴い、ナノ粒子表面に吸着された基材中または分散液中の抗ニキビ活性成分も同時に毛穴深部まで送達されるため、より多くの抗ニキビ活性成分を毛穴中の皮脂腺へ供給することができる。また、皮膚表面においては基材または分散液中の抗ニキビ活性成分が直接且つ速やかに作用するとともに、毛穴深部においてはナノ粒子内部から抗ニキビ活性成分が徐放されることにより、抗ニキビ効果の即効性及び長期間に亘る持続性の両方が期待できる。
皮膚外用剤の基材中または分散液中に配合される抗ニキビ活性成分としては、殺菌剤、抗炎症剤、角質溶解剤、皮脂分泌抑制剤等が挙げられる。殺菌剤としては、トリクロサン、トリクロカルバン(TCC)、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。抗炎症剤としては、アラントイン、ε−アミノカプチロン酸、グリチルレチン酸およびその誘導体が挙げられる。角質溶解剤としては、イオウ、サリチル酸、レゾルシン等が挙げられる。皮脂分泌抑制剤としては、エチニルエストラジオール、ピリドキシン(ビタミンB6)等が挙げられる。
なお、上記基材中または分散液中に、抗ニキビ活性成分以外の任意の成分、例えばエタノールや多価アルコール等のアルコール類、セルロース類、界面活性剤、油脂、水溶性高分子、着色料、香料、紫外線吸収剤、防腐剤等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
このようにして得られた本発明の皮膚外用剤を塗布すると、ナノ粒子は皮脂腺が存在する毛穴内部に効率よく浸透する。そして、ナノ粒子中に内包された抗ニキビ活性成分は毛穴内部において長期間に亘って徐放されるため、ニキビの治癒効果に加えてニキビの発生を長期間に亘って抑制するニキビ予防効果も期待できる。従って、例えば本発明の皮膚外用剤を化粧料として継続使用することにより、肌環境を改善してニキビが発生し易い肌からニキビが発生し難い肌へ変化させることも可能となる。
さらに本発明の皮膚外用剤は、ナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に抗アクネ菌活性成分を担持したナノ粒子に加えて、抗炎症性成分、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分の少なくとも一つを担持したナノ粒子を併用することもできる。その結果、それぞれの抗ニキビ活性成分が相乗的に作用して顕著な抗ニキビ効果を発揮する。
また、基材中または分散液中に配合された抗ニキビ活性成分が皮膚表面及び毛穴深部へ即座に供給されるため、ナノ粒子中に内包された抗ニキビ活性成分の徐放による抗ニキビ効果の持続性に加えて、基材中または分散液中に配合された抗ニキビ活性成分の即効性も兼ね備えた実用性の高い皮膚外用剤となる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明の効果についてさらに詳細に説明する。
[トタロール内包PLGAナノ粒子の作製]
0.250重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解したトタロール(MENDE BIOTEC LIMITED製)20mgを添加、混合して良溶媒とした。この良溶媒を、先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によってトタロール内包PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間有機溶媒を留去した後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。懸濁液を凍結乾燥し、得られたナノ粒子内のトタロールの内包率(PLGA重量に対するトタロールの重量パーセント)を定量したところ1%であった。
[IPMP内包PLGAナノ粒子の作製]
0.250重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解したイソプロピルメチルフェノール(IPMP、大阪化成製)40mgを添加、混合して良溶媒とした。この良溶媒を先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって、IPMP内包PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間溶媒留去を行った後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。懸濁液を凍結乾燥し、得られたナノ粒子内のIPMPの内包率を定量したところ2%であった。
[セージエキス内包PLGAナノ粒子の作製]
0.250重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解したセージエキス(一丸ファルコス製)20mgを添加、混合して良溶媒とした。この良溶媒を先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって、セージエキス内包PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間半溶媒留去を行った後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。懸濁液を凍結乾燥し、得られたナノ粒子内のセージエキスの内包率を定量したところ1%であった。
[β−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子の作製]
0.250重量%のポリビニルアルコール(PVA EG05:日本合成化学工業製)水溶液80mLを調製し貧溶媒とした。乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA7520:和光純薬工業製)2gをアセトン40mLに溶解し、エタノール20mLで溶解したβ−グリチルレチン酸(アルプス薬品工業製)10mgを添加、混合して良溶媒とした。この良溶媒を先の貧溶媒中に40℃、400rpmで攪拌下、一定速度(4mL/分)で滴下し、良溶媒の貧溶媒中への拡散によって、β−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子の懸濁液を得た。
続いて、減圧下40℃、200rpmで攪拌を続けながら、有機溶媒のアセトンとエタノールを留去した。なお、溶媒留去開始と同時にこの懸濁液に20mLの精製水を4mL/分で滴下した。約2時間半溶媒留去を行った後、懸濁液をフィルター(孔径32μm)でろ過した。懸濁液を凍結乾燥し、得られたナノ粒子内のβ−グリチルレチン酸の内包率を定量したところ0.5%であった。
[パウダー化粧料の調製]
実施例1で製造したトタロール内包PLGAナノ粒子を、パウダー基材中に0.1重量%の割合で分散させてパウダー化粧料を作製した。パウダー化粧料中のトタロールの配合量は0.001重量%である。パウダー基材中の配合成分を表1に示す。
[比較例1]
トタロール単体を、実施例5で用いたパウダー基材中に0.2重量%の割合で分散させてパウダー化粧料を作製した。
[試験例1]
[モニター試験によるニキビ治癒、予防効果の評価(1)]
上記実施例5及び比較例1において作製したパウダー化粧料によるニキビ治療、予防効果を、モニター試験により評価した。ニキビが気になると感じる被験者(年齢26歳の女性)に1日2回の洗顔後、抗ニキビ成分を含まないローションで肌を整えた後に、顔の右半分及び左半分に、それぞれ実施例5、比較例1のパウダー化粧料を塗布してもらった。そして、使用開始から0日後、6日後、21日後、60日後にニキビの多い箇所の写真を撮影し、ニキビ治癒、予防効果を評価した。なお、顔の左半分については、試験開始後8日目までは比較例1のパウダー化粧料を塗布し、その後は実施例5のパウダー化粧料を塗布した。結果を図1、図2に示す。
図1は、26歳の女性被験者の顔の右半分に、実施例5のパウダー化粧料を塗布したときのニキビの発生状況を示す写真であり、図2は、26歳の女性被験者の顔の左半分に、試験開始後8日目まで比較例1のパウダー化粧料を塗布し、その後、実施例5のパウダー化粧料を塗布したときのニキビの発生状況を示す写真である。図1に示すように、トタロール含有PLGAナノ粒子を配合した実施例5のパウダー化粧料を塗布した場合、塗布後6日目には塗布前に発生していたニキビが小さくなった。また、発生しかけのニキビが悪化することなく消失し、新たなニキビの発生も見られないため全体的にニキビが減少した。塗布後21日目にはニキビがほとんど見立たなくなり、塗布後60日目にはニキビ跡がほぼ完全に消失した。
これに対し、トタロール単体を配合した比較例1のパウダー化粧料を塗布した場合、図2に示すように、塗布後6日目までは塗布前に発生していたニキビが残存していた。また、8日目には新たなニキビの発生も確認された。しかし、9日目から実施例5のパウダー化粧料を塗布したところ、塗布後21日目にはニキビが小さくなり、塗布後60日目にはニキビ跡がほとんど目立たなくなった。
[試験例2]
[モニター試験によるニキビ治癒、予防効果の評価(2)]
ニキビが気になると感じる被験者(年齢22歳の男性)に1日2回の洗顔後、抗ニキビ成分を含まないローションで肌を整えた後に、顔の右半分及び左半分に、それぞれ実施例5、比較例1のパウダー化粧料を塗布してもらった。そして、使用開始から0日後、6日後、23日後、35日後にニキビの多い箇所の写真を撮影し、ニキビ治癒、予防効果を評価した。結果を図3、図4に示す。
図3は、22歳の男性被験者の顔の右半分に、実施例5のパウダー化粧料を塗布したときのニキビの発生状況を示す写真であり、図4は、22歳の男性被験者の顔の左半分に、比較例1のパウダー化粧料を塗布したときのニキビの発生状況を示す写真である。図3に示すように、トタロール含有PLGAナノ粒子を配合した実施例5のパウダー化粧料を塗布した場合、塗布後6日目には塗布前に発生していたニキビが小さくなった。また、発生しかけのニキビが悪化することなく消失し、新たなニキビの発生も見られないため全体的にニキビが減少した。塗布後23日目にはニキビがほとんど見立たなくなり、塗布後35日目にはニキビ跡がほぼ完全に消失した。
これに対し、トタロール単体を配合した比較例1のパウダー化粧料を塗布した場合、図4に示すように、塗布後6日目、23日目、35日目において新たなニキビの発生(図4の破線円内)が認められた。
試験例1、2の結果から明らかなように、トタロール含有PLGAナノ粒子を配合した本発明のパウダー化粧料では、製剤中のトタロール配合量が0.001重量%(トタロール単体の配合量0.2重量%の1/200)という低濃度で顕著なニキビ治癒効果が認められた。また、トタロール単体のパウダー化粧料では見られないニキビ予防効果も認められた。さらに、被験者からはトタロール単体のパウダー化粧料を使用した場合の皮膚に対する刺激性も報告されたが、本発明のパウダー化粧料では皮膚に対する刺激性の報告はなく、皮膚に対する刺激性等の副作用の心配も少ないものと考えられる。
試験例1、2において、トタロールをナノ粒子に内包した場合と内包しなかった場合とでニキビ治癒、予防効果に大きな差が見られたのは、ナノ粒子に内包しない場合は、トタロールが皮膚表面付近にとどまり、毛穴深部まで到達しない上、塗布後まもなく代謝、分解されてしまうのに対し、ナノ粒子に内包した場合は、トタロールの安定性が向上するとともに、毛穴深部まで到達したナノ粒子から徐々にトタロールが放出されるため、長期間に亘ってニキビ治癒、予防効果が得られるためであると考えられる。さらに、PLGAが加水分解されて生成する乳酸の皮脂分解効果もプラスに作用しているものと考えられる。
[試験例3]
[モニター試験によるニキビ治癒、予防効果の評価(3)]
実施例2で製造したIPMP内包PLGAナノ粒子を、実施例5で用いたパウダー基材中に0重量%(未配合)、0.05重量%、0.1重量%、及び0.2重量%の割合で分散させてパウダー化粧料を作製した。また、IPMP単体を、実施例5で用いたパウダー基材中に0.1重量%の割合で分散させてパウダー化粧料を作製した。ニキビが気になると感じる8名の被験者(年齢20〜40歳の男女)に1日2回の洗顔後、抗ニキビ成分を含まないローションで肌を整えた後に、顔の半分にパウダー化粧料を塗布してもらった(各パウダー化粧料につき被験者2名)。そして、使用開始から1週間後、2週間後、4週間後における炎症性ニキビに対するニキビ治癒、予防効果を評価した。結果を表2に示す。
表2中、ニキビ治癒効果がなく、新たなニキビの発現も認められた場合を×、ニキビ治癒効果はないが、新たなニキビの発現が認められなかった場合を△、既存のニキビの治癒効果が認められた場合を○、ニキビ治癒効果が持続して認められた場合を◎とした。
表2から明らかなように、IPMP内包PLGAナノ粒子を配合した本発明のパウダー化粧料では、ナノ粒子の配合量が0.05重量%(製剤中のIPMP配合量0.001重量%)という低濃度で、使用開始から1週間後には既存のニキビ治癒効果が認められ、2週間後、4週間後においてもニキビ治癒効果が継続して認められた。一方、IPMP内包PLGAナノ粒子を配合しなかったパウダー化粧料では、ニキビ治癒効果がなく、新たなニキビの発現も認められた。また、IPMP単体を配合したパウダー化粧料を塗布した場合、使用開始から1週間後、2週間後にはニキビ治癒効果がなく、新たなニキビの発現も認められ、4週間後においても新たなニキビの発生は認められなかったがニキビ治癒効果はなかった。
試験例3において、IPMPをナノ粒子に内包した場合と内包しなかった場合とでニキビ治癒、予防効果に大きな差が見られたのは、試験例1の場合と同様に、ナノ粒子に内包した場合は、IPMPの安定性が向上するとともに、毛穴深部まで到達したナノ粒子から徐々にIPMPが放出されるため、長期間に亘ってニキビ治癒、予防効果が得られるためであると考えられる。さらに、PLGAが加水分解されて生成する乳酸の皮脂分解効果もプラスに作用しているものと考えられる。
[試験例4]
[モニター試験によるニキビ治癒、予防効果の評価(4)]
実施例5で作製したパウダー化粧料に、実施例3で製造したセージエキス内包PLGAナノ粒子を0重量%(未配合)、0.05重量%、0.1重量%、及び0.2重量%の割合で分散させてパウダー化粧料を作製した。ニキビが気になると感じる8名の被験者(年齢20〜40歳の男女)に1日2回の洗顔後、抗ニキビ成分を含まないローションで肌を整えた後に、顔の半分にパウダー化粧料を塗布してもらった(各パウダー化粧料につき被験者2名)。そして、使用開始から1週間後、2週間後、4週間後における、新たなニキビの抑制(予防)効果、及び、既発生ニキビに対する治癒、炎症抑制効果を評価した。結果を表3に示す。
表3中、新たなニキビの抑制(予防)に対する評価基準としては、抑制効果がない場合を×、新たなニキビの発現が5個以上、若しくは直径5mm以上のニキビが発現した場合を△、新たなニキビの発現が5個未満であった場合を○、新たなニキビの発現がなかった場合を◎とした。また、既発生ニキビに対する治癒、炎症抑制に対する評価基準としては、効果がない場合を×、炎症の悪化傾向がなかった場合を△、赤みの低下(炎症の鎮静傾向)があった場合を○、赤みの消失(炎症の鎮静化)があった場合を◎とした。
表3から明らかなように、実施例5で作製したパウダー化粧料に、セージエキス内包PLGAナノ粒子を配合したパウダー化粧料では、セージエキス内包PLGAナノ粒子の配合量が0.05重量%(製剤中のセージエキス配合量0.0005重量%)で、使用開始から1週間後に既発生ニキビの悪化が抑制され、2週間後には炎症の鎮静化効果が認められた。また、セージエキス内包PLGAナノ粒子の配合量が0.1重量%(製剤中のセージエキス配合量0.001重量%)以上では、使用開始から1週間後には新たなニキビの発現も認められなかった。
一方、セージエキス内包PLGAナノ粒子を配合しなかったパウダー化粧料では、新たなニキビの抑制効果はセージエキス内包PLGAナノ粒子を0.05重量%配合したパウダー化粧料と同等であったが、既発生ニキビに対する治癒、炎症抑制効果はやや劣っていた。これは、トタロール内包PLGAナノ粒子とセージエキス内包PLGAナノ粒子の両方を配合したパウダー化粧料では、セージエキスの抗炎症作用により既発生ニキビに対する治癒、炎症抑制効果がさらに促進されたものと考えられる。
[試験例5]
[モニター試験によるニキビ治癒、予防効果の評価(5)]
実施例5で作製したパウダー化粧料に、実施例4で製造したβ−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子を0重量%(未配合)、0.05重量%、0.1重量%、及び0.2重量%の割合で分散させてパウダー化粧料を作製した。ニキビが気になると感じる3名の被験者(年齢20〜40歳の男女)に1日2回の洗顔後、抗ニキビ成分を含まないローションで肌を整えた後に、顔の半分にパウダー化粧料を塗布してもらった(各パウダー化粧料につき被験者2名)。そして、使用開始から1週間後、2週間後、4週間後における、炎症性ニキビ及び面皰に対するニキビ治療、予防効果を評価した。結果を表4に示す。なお、面皰とは炎症は起きていないが、皮脂によって毛穴が閉塞されたニキビの原因になるような状態をいう。
表4中、炎症性ニキビに対する評価基準としては、治癒効果がなく、新たなニキビの発現も認められた場合を×、ニキビ治癒効果はないが、新たなニキビの発現が認められなかった場合を△、既存のニキビの治癒効果が認められた場合を○、ニキビ治癒効果が持続して認められた場合を◎とした。また、面皰に対する評価基準としては、治癒効果がない場合を×、多少の減少が認められた場合を△、減少が認められた場合を○、発現が認められなかった場合を◎とした。
表4から明らかなように、実施例5で作製したパウダー化粧料に、β−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子を配合したパウダー化粧料では、β−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子の配合量が0.05重量%(製剤中のβ−グリチルレチン酸配合量0.00025重量%)で、使用開始から2週間後に面皰に多少の減少効果が認められ、4週間後には面皰の発現が認められなかった。また、β−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子の配合量が0.1重量%(製剤中のβ−グリチルレチン酸配合量0.0005重量%)以上では、使用開始から2週間後には面皰の減少が認められ、4週間後には面皰の発現が認められなかった。
一方、β−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子を配合しなかったパウダー化粧料では、炎症性ニキビに対する治癒効果はβ−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子を配合したパウダー化粧料と同等であったが、面皰に対する治癒効果は認められなかった。これは、トタロール内包PLGAナノ粒子とβ−グリチルレチン酸内包PLGAナノ粒子の両方を配合したパウダー化粧料では、β−グリチルレチン酸の5α−リダクターゼ阻害作用により男性ホルモンの活性化が抑制されて皮脂の分泌が抑制されるため、炎症性ニキビのみでなく面皰に対する治癒効果も認められたものと考えられる。
上記試験例4、5の結果より、作用機序の異なる抗ニキビ活性成分の併用投与による相乗的なニキビ治癒、予防効果が確認された。
本発明の皮膚外用剤は、乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子に抗アクネ菌活性成分としてトタロールおよびイソプロピルメチルフェノールから選ばれた少なくとも1つを内包率0.01重量%以上10重量%以下で内包させた生体適合性ナノ粒子をパウダー基材中または液中に配合することにより、抗アクネ菌活性成分を毛穴の深部まで確実に到達させるとともに、毛穴の深部において抗アクネ菌活性成分を徐放させることにより、長期間に亘ってニキビの治療、予防効果が得られる有用な皮膚外用剤として使用できる。
また、抗アクネ菌活性成分を内包または表面担持したナノ粒子に加えて、抗炎症性成分、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分をそれぞれ内包または表面担持したナノ粒子をさらに配合することにより、作用機序の異なる各成分の相乗効果で顕著なニキビ治癒及び予防効果を得ることができる。
また、生体適合性ナノ粒子を形成する材料として、生体への刺激・毒性が低く、投与後分解して代謝されるポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはPLGAを用いるので、人体への安全性を確保することができる。特にPLGAを用いると、PLGAの加水分解・長期半減期の特徴から、数日から1ヶ月単位の徐放が可能となる。
また、生体適合性ナノ粒子を賦形剤によって複合化するとともに、賦形剤で形成される複合粒子の外層に、抗アクネ菌活性成分、抗炎症性成分、皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分の少なくとも1つを内包しておけば、複合粒子の分散性、耐熱性が向上するとともに、内包される抗ニキビ活性成分が水溶性の場合でも、一旦内包された抗ニキビ活性成分の粒子表面への漏出を防止でき、外層に内包された抗ニキビ活性成分による即効性も期待できる。また、ナノ粒子が分散される基材中または液中に他の抗ニキビ活性成分を配合しておけば、それらがナノ粒子表面に吸着されてナノ粒子と共に毛穴の深部まで送達されるので、作用機序の異なるより多くの抗ニキビ活性成分を供給できる。

Claims (7)

  1. 乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子の内部に、抗アクネ菌活性成分としてトタロールおよびイソプロピルメチルフェノールから選ばれた少なくとも1つを内包率0.01重量%以上10重量%以下で内包させた抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子をパウダー基材中または液中に分散させて成る、抗ニキビ活性能を有する皮膚外用剤。
  2. 乳酸・グリコール酸共重合体で形成された生体適合性ナノ粒子の内部に、抗炎症性成分としてセージエキスおよびβ−グリチルレチン酸から選ばれた少なくとも1つを内包率0.5重量%〜1重量%で内包させた抗炎症性成分含有ナノ粒子を前記パウダー基材中または液中にさらに分散させて成る請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. 前記抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子または前記抗炎症性成分含有ナノ粒子の内部または表面の少なくとも一方に皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分を担持させた皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分含有ナノ粒子をさらに分散させて成る請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
  4. 前記皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分が、5α−リダクターゼ活性阻害成分であるβ−グリチルレチン酸、ペパーミント抽出液、チョウジ抽出液、キウイエキス、アボカド油脂、ケープアロエ、アロエベラエキス、センブリエキス、サンショウエキス、ヒオウギエキス、ホウセンカエキス、ザクロエキスから選ばれた1種以上、若しくは女性ホルモン様作用成分としてエストロゲン、エチニルエストラジオール、ダイズエキス、イソフラボン、ヒオウギエキス、プエラリアミリフィカ根エキスから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚外用剤。
  5. 前記抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子および前記抗炎症性成分含有ナノ粒子の平均粒子径が、30nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  6. 前記抗アクネ菌活性成分含有ナノ粒子および前記抗炎症性成分含有ナノ粒子が賦形剤によって複合化されており、前記賦形剤で形成される前記複合粒子の外層に、前記抗アクネ菌活性成分、前記抗炎症性成分、前記皮脂分泌抑制・ケラチノサイト角化亢進抑制成分の少なくとも1つを内包したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
  7. 前記パウダー基材中または液中に他の抗ニキビ活性成分を配合したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
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