以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[近赤外線検査装置の構成]
図1及び図2に示されるように、近赤外線検査装置1は、光照射部2と、光検出部3と、制御コンピュータ(内容量推定部)4と、を備えている。光照射部2は、搬送コンベア11,12の下方に配置されている。光検出部3は、搬送コンベア11,12の上方に配置されている。光照射部2及び光検出部3は、搬送コンベア11,12間に設けられた間隙を介して互いに対向している。
近赤外線検査装置1は、無色又は単一の色彩を有するパッケージ、及び当該パッケージ内に収容された内容物を有する物品Gを検査対象とする。物品Gは、例えば、食品等の搬送ラインにおいて搬送される袋入り粉末スープ等(図12(a)等参照)である。なお、パッケージは、透明な材料、半透明な材料等、光透過性を有する材料からなる。また、パッケージの材料自体が色彩を有している場合もあるし、印刷等によってパッケージに色彩が施されている場合もある。
光照射部2は、搬送コンベア11,12間の間隙の下方において当該間隙に沿って延在する近赤外線照射器13を有している。光照射部2は、搬送コンベア11,12によって搬送される物品Gが搬送コンベア11,12間の間隙上を通過する際に、近赤外線照射器13から物品Gに近赤外線を照射する。なお、近赤外線の波長は、780nm〜1100nmである。
光検出部3は、搬送コンベア11,12間の間隙の上方において当該間隙に沿って延在する近赤外線ラインセンサ14を有している。光検出部3は、搬送コンベア11,12によって搬送される物品Gが搬送コンベア11,12間の間隙上を通過する際に物品Gに照射された近赤外線の透過光を近赤外線ラインセンサ14で検出し、検出信号を出力する。
図3に示されるように、近赤外線ラインセンサ14は、物品Gを透過した近赤外線を検出する。近赤外線ラインセンサ14は、搬送コンベア11,12による物品Gの搬送方向に直交する水平方向に一列に配列された複数の画素14aを有している。なお、図4には、近赤外線の照射方向が図1及び図2の場合と逆ではあるが、模式図として、近赤外線検査装置1における近赤外線照射状態と、その時のラインセンサ14の各画素14aにおいて検出される近赤外線量を示すグラフとがそれぞれ示されている。
図1及び図2に示されるように、光照射部2及び光検出部3は、光照射部2から光検出部3に至る近赤外線の光路Lが周囲雰囲気に露出した状態で、台座5に立設された支柱(支持部)6に片持ち支持されている。つまり、物品Gの検査領域がシールドボックス等によって覆われていない。このように、近赤外線検査装置1では、シールドボックス等が不要となるため、光照射部2及び光検出部3を支柱6に片持ち支持させることができる。その結果、複数の搬送コンベアが配列されて構成された搬送ラインのうち、所望する搬送コンベアの間隙に、近赤外線検査装置1を容易に設置することができる。
制御コンピュータ4は、支柱6内に収容されており、近赤外線検査装置1の動作制御及び各種の信号処理を行う。一例として、制御コンピュータ4は、光検出部3から出力された検出信号に基づいて、物品Gの近赤外線透過像を取得し、当該近赤外線透過像における1画素当たりの濃淡値に基づいて、物品Gにおける内容物の質量(内容量)を推定する。なお、支柱6には、制御コンピュータ4の他、ディスプレイ等の表示部及びタッチボタン等の操作部が設けられている。ただし、制御コンピュータ4、表示部及び操作部は、台座5及び支柱6とは別に用意された制御ボックス等に設けられていてもよい。
図4に示されるように、物品Gは、搬送コンベア11,12によって近赤外線検査装置1に対して連続的に搬送される。近赤外線検査装置1は、搬送されてきた物品Gにおける内容物の質量を推定する。内容物の質量の推定結果は、近赤外線検査装置1の下流側に配置された振分機構70に送信される。振分機構70は、内容物の質量の推定結果が所定範囲内であった物品Gについては、正規のラインコンベア80に当該物品Gを送る。一方、振分機構70は、内容物の質量の推定結果が所定範囲外であった物品Gについては、アーム70aを動作させることで、正規のラインコンベア80から外れた回収箱90に当該物品Gを送る。
[制御コンピュータの構成]
図5に示されるように、制御コンピュータ20は、CPU21において、制御プログラムに含まれる画像処理ルーチン、検査判定処理ルーチン等を実行する。また、制御コンピュータ20は、CF(「コンパクトフラッシュ」(登録商標))25等の記憶部に、不良商品に対応する近赤外線画像や検査結果、近赤外線画像の補正用データ等を保存蓄積する。具体的な構成として、制御コンピュータ20は、CPU21を搭載するとともに、このCPU21が制御する主記憶部としてROM22、RAM23及びCF25を搭載している。CF25には、各部を制御するための各種プログラムや、質量推定の基になる近赤外線透過像に関する情報等が格納されている。
更に、制御コンピュータ20は、モニタ26に対するデータ表示を制御する表示制御回路、モニタ26のタッチパネルからのキー入力データを取り込むキー入力回路、図示しないプリンタにおけるデータ印字の制御等を行うためのI/Oポート、外部接続端子としてのUSB24等を備えている。
制御コンピュータ20においては、CPU21、ROM22、RAM23、CF25等は、アドレスバスやデータバス等のバスラインを介して相互に接続されている。更に、制御コンピュータ20は、コンベアモータ12f、ロータリエンコーダ12g、近赤外線照射器13、近赤外線ラインセンサ14、光電センサ15等と接続されている。なお、光電センサを設けず、ラインセンサで検出した画像の明度低下によって物品Gの通過を検知してもよい。
なお、制御コンピュータ20において、コンベアモータ12fに装着されたロータリエンコーダ12gで検出されたコンベア11,12の搬送速度を受信し、また、コンベアを挟んで配置される一対の投光器及び受光器から構成される同期センサとしての光電センサ15からの信号を受信することにより、被検査物である物品Gが近赤外線ラインセンサ14の位置にくるタイミングを検出してもよい。
本実施形態では、制御コンピュータ20に含まれるCPU21が、CF25に格納された近赤外線検査プログラムを読み込んで、図6に示されるような機能ブロックを作成する。具体的には、制御コンピュータ20内に、機能ブロックとして、サンプル画像取得部31、テーブル作成部(理想カーブ作成部)32、テーブル調整部(カーブ調整部)33及び質量推定部34が作成される。
サンプル画像取得部31は、予め質量が分かっている袋入り粉末スープの物品G10個分について近赤外線透過像を取得する(以下、10個の物品Gのそれぞれの質量を「実質量」と示す)。
テーブル作成部32は、サンプル画像取得部31において取得された1画素ごとの明るさaについて、その領域における推定質量mを算出するための以下の数式(1)に基づいてテーブル(理想カーブ)m(a)を作成する。
m=ct=−c/μ×In(I/I0)=−αIn(I/I0)・・・(1)
(ただし、m:推定質量、c:物の厚さから質量に変換するための係数、t:物質の厚さ、I:物質がないときの明るさ、I0:物質を透過したときの明るさ、μ:線吸収係数)
テーブル調整部33は、モニタ26を通じて入力された10個の物品Gのそれぞれの実質量と、上記テーブル(理想カーブ)によって求められる各階調の推定質量を合計した合計推定質量とを比較して、合計推定質量が実質量に近くなるようにテーブルを調整する。
質量推定部34は、テーブル調整部33において調整されたテーブル(理想カーブ)に基づいて、1画素ごとの明るさに応じて1画素ごとに推定質量を取得し、これらを合計して物品Gの推定質量を算出する。なお、これらの各機能ブロックによる質量推定の方法については、後段にて詳述する。
一般的に、取得した近赤外線透過像において物質の厚さとその部分の明るさ(物質がないときを1.0として正規化された明るさ)との関係は、以下の数式(2)のような指数関数によって表されるグラフと、実際の質量を示すグラフとを比較すると、図7に示されるような誤差が生じることが分かっている。
I/I0=e−μt・・・(2)
(ただし、I0:物質がないときの画像明るさ、I:物質を近赤外線が透過した部分の画像明るさ、t:物質の厚さ、μ:近赤外線のエネルギーと物質の種類とで決まる線質量係数(値が大きいほど近赤外線をよく吸収することを意味する))
特に、実際の質量を示すグラフでは、厚さtが比較的小さい領域において明るさが急激に低下している。これは、物質に吸収されやすい波長域の近赤外線が先に吸収され、物質を通過するごとに吸収されにくい波長域の近赤外線が残ることに起因するものである。
なお、通常、近赤外線透過像は、複数の画素によって構成されているため、上述した数式(1)により1画素ごとにmを求め、これらを画像全体について足し合わせることで物質(パッケージを除く内容物)全体の質量を推定することが可能である。このことは、以下の数式(3)によって表される。
M=ΣΣm(x,y)・・・(3)
ここで、図8には、実質量が8.0gの物品Gを用いて推定質量を求めた10個の近赤外線透過像が示されている。他の近赤外線透過像と比較して粉末が袋内で片寄っている下段左端及び下段中央の近赤外線透過像では、推定質量が実質量である8.0gよりも大きい数値となっていることが分かる。
本実施形態の近赤外線検査装置1では、以上のような問題を踏まえ、物品Gについて袋内における粉末の片寄りや各種の不確定要因等の影響を排除して高精度な質量の推定を行うために、図9に示されるフローチャートに従って質量の推定を行う。
すなわち、ステップS1では、上述した数式(1)のαに、例えば1.0を代入し、画像明るさ(階調)a(0〜220)に対応する推定質量m(a)をテーブル化する。数式(1)に基づいて作成されるテーブルは、まず、明るさaを10階調ごとに変化させてm(a)に相当するテーブル上に格納し、その間の数値を線形補間によって求める。これにより、制御コンピュータ20のテーブル作成部32において、図10(a)に示されるような、明るさと推定質量m(a)との関係を示すテーブル(理想カーブ)が作成される。なお、数式(1)に従って各明るさにおける推定質量を全て求めたのでは時間がかかりすぎることを考慮して、ここでは10階調ごとに数式(1)によって推定質量を求めた後、その間を線形補間によって求めている。
ステップS2では、図8に示されるように、予め実質量が8.0gであることが分かっている10個の物品Gに対して近赤外線を照射して、サンプル画像取得部31において10枚の近赤外線透過像を取得する。そして、取得した10枚の近赤外線透過像について、テーブルm(a)変換で推定質量を算出し、これらの平均値Maveを求める。なお、幅広い明るさのデータを得るために、10個のサンプル画像は袋内において粉末が片寄ったものや均一なもの等が混在していることが好ましい。
ステップS3では、ステップS2において求められた平均値Maveが、以下の数式(4)に従って検査物質量Mtと等しくなるようにm(a)を変更していき、図10(b)に実線で示すような変更後のテーブルを初期テーブル(理想カーブ)とする。なお、図10(b)では、破線で変更前のテーブル、実線で変更後の初期テーブル(理想カーブ)が示されている。
m(a)=m(a)×Mt/Mave・・・(4)
ステップS4では、数式(1)の明るさaに10を代入して推定質量m(a)を求める。ここで、明るさaを10からスタートして20,30,・・・と代入していくのは、明るさ0では推定質量が無限大となってしまうためである。このため、明るさaに1を代入するところからスタートして、以下11,21,31,・・・と代入して推定質量を求めるようにしてもよい。
ステップS5では、テーブルm(a)を上下に少しずつずらしてみてどう変化するかを調べるために、テーブルm(a)を±2%して新たにテーブルm+(a)とテーブルm−(a)とを作成する。このとき、a−10とaとの間のテーブルは、m(a−10)とm(a)との間を線形補間することで求め、aとa+10との間のテーブルはm(a)とm(a+10)との間の線形補間によって求めて各テーブルm+(a),m−(a)を作成する。
ステップS6では、ステップS5において新たに作成した2つのテーブルm+(a)及びm−(a)と、元のテーブルm(a)とに基づいて、それぞれ10枚の近赤外線透過像について推定質量を算出する。
ステップS7では、ステップS6において3つのテーブルm(a),m+(a),m−(a)によって算出された10枚の近赤外線透過像についての推定質量から、最も標準偏差が小さい(ばらつきが少ない)テーブルを選択し、そのテーブルをm(a)と置き換える。
例えば、ある明るさ(階調)aにおいては、m(a)よりもm+(a)の方が、標準偏差が小さい場合には、その明るさaに相当する部分については、テーブルm(a)をテーブルm+(a)に置き換える。一方、m(a)がm+(a)よりも標準偏差が小さい場合には、その明るさaに相当する部分については、テーブルm(a)を置き換えることなくそのまま維持する。
具体的には、図11(a)に示されるように、明るさa=10の部分において、実線で示されるテーブルm(10)、上側の破線で示されるテーブルm+(10)、下側の破線で示されるテーブルm−(10)の標準偏差を比較して、最も標準偏差が小さいm+(10)を選択する。すると、図11(b)に示されるように、明るさa=10の部分についてはテーブルm(10)がテーブルm+(10)へと置き換えられる。
ステップS8では、明るさaが210であるか否かを判定し、NOの場合には、ステップS10へと進んで明るさaを10ずつ増やしながらa=210になるまで上記ステップS7におけるm(a)の置き換え処理を繰り返す。つまり、明るさa=20,30,40,・・・について同様にしてテーブルの置き換えを繰り返し行い、図11(c)に実線で示されるようなテーブルを作成する。なお、このステップS7における処理が、テーブル調整部33によるテーブル、すなわち理想カーブの調整処理に相当する。
ステップS9では、置き換え処理によって調整後のテーブルm(a)に従って10枚の近赤外線透過像の質量を求め、そのばらつきが0.1g以下になるか否かを判定する。ここで、0.1gより大きい場合には、ステップS4まで戻ってばらつきが0.1g以下になるまで上述した処理を繰り返し行う。
本発明の近赤外線検査装置1では、以上のような処理を経て、物品Gを撮像した近赤外線透過像から物品Gの質量を推定するための変換テーブルm(a)(図11(c)参照)を作成する。これにより、図11(c)に示されるような最適化された調整後の変換テーブルm(a)を用いて検査対象となる物品Gの質量の推定を行うことで、従来の数式に依存した質量推定方法と比較して、高精度な質量推定結果を得ることができる。
ここで、実質量10.0gの物品Gについて、最適化前後における変換テーブルを用いて検査を行った結果について、図13を参照して説明する。変換テーブルm(a)を最適化する前の結果では、図12(a)及び図12(b)に示されるように、袋内で粉末が均一のもの(10.34g)と片寄ったもの(9.79g)とで推定質量の誤差が0.55gあったのに対して、変換テーブルm(a)を上述した図9に示されるフローチャートに従って最適化した後の結果では、袋内で粉末が均一なもの(10.03g)と片寄ったもの(9.95g)とで推定質量の誤差が0.08gと小さくなっていることが分かる。更に、最適化後の変換テーブルに基づいて求められた推定質量の方が、均一なもの、片寄ったものの双方について、実質量10.0gに対する誤差が、従来の0.34g、0.21gから0.03g、0.05gと大幅に小さくなっていることが分かる。
このように、図13に示される結果から、図9に示されるフローチャートに従って最適化された変換テーブルm(a)に基づいて推定質量を算出することで、従来よりも正確に物品Gの推定質量を求めることが可能になることが分かる。
[近赤外線検査装置の特徴]
本実施形態の近赤外線検査装置1では、図5に示されるように、制御コンピュータ20に搭載されたCPU21がCF25に格納された近赤外線検査プログラムを読み込んで、図6に示されるような機能ブロックを形成する。この機能ブロックは、サンプル画像取得部31と、テーブル作成部32と、テーブル調整部33と、質量推定部34とを含んでいる。サンプル画像取得部31は、予め実質量が分かっている物品Gについて10枚の近赤外線透過像を取得する。テーブル作成部32は、近赤外線透過像に含まれる1画素ごとの明るさとその部分の推定質量との関係を示す上述した数式(1)に基づいて、テーブル(理想カーブ)m(a)を作成する。テーブル調整部33は、モニタ26を通じて入力された各近赤外線透過像の実質量を参照して、10階調ごとに推定質量が実質量に近づくようにテーブルm(a)を調整していく。質量推定部34は、調整後のテーブルm(a)に基づいて、1画素ごとの推定質量を求め、これらを合計して物品Gの推定合計質量を求める。
これにより、実質量を参照して調整されたテーブルm(a)を用いて推定質量を求めることで、数式(1)に基づいて作成されたテーブルm(a)をそのまま用いて推定質量を求める従来の方法と比較して、より実質量に近い高精度な推定質量を求めることが可能になる。
また、本実施形態の近赤外線検査装置1では、テーブル作成部32によって作成されたテーブルm(a)について、±2%して新たなテーブルm+(a)、m−(a)を作成し、図11(a)〜図11(c)に示されるように、これらのテーブルm(a)、m+(a)、m−(a)を所定階調ごとに比較して最も標準偏差が小さいものをm(a)として繰り返し置き換えながらテーブルm(a)を調整する。
これにより、数式(1)に基づいて作成されたテーブルm(a)を、より実質量に近い質量を推定できるように最適化することができるため、従来よりも高精度な推定質量を求めることが可能になる。
また、本実施形態の近赤外線検査装置1では、図9のステップS8に示されるように、上述したテーブルm(a)の最適化処理(置き換え)を、明るさaが10階調から10階調ずつ増やして210階調になるまで繰り返し行う。
これにより、テーブルm(a)の最適化処理の終了条件として所定階調数を設定することで、それぞれの階調(明るさ)ごとに最適化されたテーブルm(a)を得ることができる。この結果、より高精度な推定質量を得ることが可能になる。
また、本実施形態の近赤外線検査装置1では、図9のステップS9に示されるように、上述したテーブルm(a)の最適化処理(置き換え)を、10個の近赤外線透過像について求めた推定質量のばらつきが0.1g以下になるまで繰り返し行う。
これにより、推定質量を求めるための基になるテーブルm(a)の最適化処理をばらつきが所定量以下になるまで繰り返し行うことで、更に細かくテーブルm(a)を最適化して高精度な推定質量を求めることが可能になる。また、図9のステップS8、ステップS9に示されるように、テーブルm(a)の最適化処理の終了条件として、所定階調になるまでという第1条件と、ばらつきが所定量以下になるまでという第2条件とを組み合わせることで、より詳細なテーブルm(a)の調整を行うことができるため、更に高精度な推定質量を求めることができる。
また、本実施形態の近赤外線検査装置1では、図9のステップS1に示されるように、明るさaを10階調ずつ変化させて数式(1)に基づいて推定質量を算出し、その間を線形補間することでテーブルm(a)を作成する。
これにより、テーブルm(a)の全ての階調について数式(1)を用いてテーブルm(a)を作成する場合と比較して、テーブルm(a)の作成時間を大幅に短縮して、効率よく推定質量を求めることが可能になる。
また、本実施形態の近赤外線検査装置1では、推定質量を求めるための道具として、近赤外線透過像に含まれる1画素ごとの明るさaとその部分の推定質量との関係を示すテーブルm(a)を用いている。
これにより、数式に基づいて推定質量を求める方法と比較して、大幅に推定質量の算出時間を短縮することができる。
また、本実施形態の近赤外線検査装置1では、1画素ごとに明るさ及びその推定質量を求めている。
これにより、近赤外線透過像に含まれる最小単位である1画素を単位として推定質量を求めることで、より高精度な推定質量を求めることが可能になる。
以上、説明したように、近赤外線検査装置1では、パッケージ及びパッケージ内に収容された内容物を有する物品Gの近赤外線透過像が取得され、当該近赤外線透過像における1画素当たりの濃淡値に基づいて内容物の質量が推定される。よって、近赤外線検査装置1によれば、パッケージ内に収容された内容物の質量を検査することができ、物品Gについて内容物の質量の過不足を判断することが可能となる。
また、近赤外線検査装置1では、光照射部2から光検出部3に至る近赤外線の光路Lが、周囲雰囲気に露出している。これにより、周囲雰囲気に対して近赤外線の光路Lを遮蔽する必要がないため、近赤外線検査装置1の構造を単純化することができる。その結果、搬送ラインのうち、所望する搬送コンベアの間隙に、近赤外線検査装置1を容易に設置することが可能となる。
また、近赤外線検査装置1では、物品Gのパッケージが、無色又は単一の色彩を有している。これにより、パッケージに施された模様等の影響を受けることがないため、パッケージ内に収容された内容物の質量を簡易な画像処理で検査することができる。
また、例えば、近赤外線の透過率は、厚さ10mmのアクリル板であれば、約90%となり、厚さ4mmのえびせんべいであれば、約5%となる。内容物の厚さと近赤外線の透過率との関係に応じて、好適に検査することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、近赤外線検査装置1によれば、1画素当たりの濃淡値に基づいて内容物の数量を推定することもできる。これにより、例えば複数枚の薄板状の内容物がパッケージ内において重ねられた状態であったとしても、物品Gについて内容物の数量の過不足を判断することが可能となる。
また、上記実施形態では、1画素当たりの濃淡値に基づいて内容物の質量を推定したが、所定の複数の画素数を単位領域として、当該単位領域当たりの濃淡値に基づいて内容物の内容量(質量、数量等)を推定してもよい。
また、パッケージは、無色又は単一の色彩を有するものに限定されず、模様等が施されていてもよい。そのような場合には、模様等の影響を除去する画像処理を近赤外線透過像に施せば、内容物の内容量を推定することが可能である。
また、上記実施形態では、光検出部3が近赤外線ラインセンサ14を有していたが、本発明の光検出部は、近赤外線ラインセンサ14に代えて近赤外線エリアセンサを有していてもよい。また、本発明の光検出部は、近赤外線を通過させ且つ可視光を遮断するフィルタを有していてもよい。これにより、光照射部から光検出部に至る近赤外線の光路が周囲雰囲気に露出している場合に、周囲雰囲気から近赤外線ラインセンサ又は近赤外線エリアセンサに可視光が入射し、当該可視光が外乱光となるのを防止することができる。
上記実施形態では、近赤外線透過像に含まれる1画素における明るさaとその領域の推定質量との関係を示すテーブルm(a)を作成して物品Gの推定質量を求める例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、テーブルm(a)については必ずしも作成する必要はなく、数式によって表される部分については数式を用いてもよい。ただし、上記実施形態のように、テーブルm(a)を用いて推定質量を求めた場合には、数式を用いた場合と比較して推定質量を求めるための処理時間を大幅に短縮できる点で、上記実施形態のようにテーブルを用いることがより好ましい。
また、上記実施形態では、図9に示されるように、テーブルm(a)の最適化処理のS5〜S8のループを、明るさを10階調ずつ大きくしていって220階調になるまで繰り返し行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
最適化処理の終了条件としては、明るさが220階調になることに限らず、例えば、他の階調数に達したことにより終了させてもよいし、所定回数繰り返した後、或いは所定時間経過後に終了させるように制御してもよい。又は、これらの終了条件を複数組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、図9に示されるように、テーブルm(a)の最適化処理のS4〜S10のループを、ばらつきが0.1g以下になるまで繰り返し行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
最適化処理の終了条件としては、ばらつきが0.1g以下になることに限らず、例えば、ばらつきが0.1g以外の他の数値以下になることで終了させてもよいし、所定回数繰り返した後、或いは所定時間経過後に終了させるように制御してもよい。又は、これらの終了条件を複数組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、近赤外線透過像のサンプル画像として、予め質量が分かっている10個の物品Gに対応する10枚の近赤外線透過像を取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
サンプル画像の数としては、10枚に限定されるものではなく、例えば、5枚以下であってもよいし、20枚以上であってもよい。
また、上記実施形態では、推定質量m(a)、m+(a)及びm−(a)のうち、最も標準偏差が小さいものを選択して、m(a)を置き換える処理を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、選択する手段としては標準偏差に限らず、分散等の他のばらつきの要素を見て行うこともできる。
また、上記実施形態では、近赤外線検査装置1に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、近赤外線検査装置の記憶部に格納されている近赤外線検査プログラムに対して本発明を適用することもできる。この場合には、CPUがこの近赤外線検査プログラムを読み込んで、図9に示されるフローチャートに従って処理を行う近赤外線検査方法をコンピュータに実行させればよい。
また、上記実施形態では、ステップS5において、テーブルm(a)を上下に少しずつずらしてみてどう変化するかを調べるために、テーブルm(a)を±2%して新たにテーブルm+(a)とテーブルm−(a)とを作成し、a−10とaとの間のテーブルは、m(a−10)とm(a)との間を線形補間することで求め、aとa+10との間のテーブルはm(a)とm(a+10)との間の線形補間によって求めて各テーブルm+(a),m−(a)を作成する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図14に示されるように、ステップS5の後、ステップS5aを挿入して線形補間によって求められたテーブルを調整してもよい。具体的には、ステップS5aにおいて、線形補間したテーブルについて、以下の数式(5)に基づいて移動平均を算出して、グラフ化した際に滑らかな曲線となるようにし、テーブルの揺らぎ(推定質量のばらつき)を低減する。
これにより、線形補間によって作成されたテーブルと比較して、各画素における明るさが少し変化しただけで推定質量が不連続に変化してしまうことを防止することができるため、より高精度に推定質量を算出することが可能になる。
また、上記実施形態では、ステップS1において、明るさaを10階調ごとに変化させてm(a)に相当するテーブル上に格納し、その間の数値を線形補間によって求め、制御コンピュータ20のテーブル作成部32において、図10(a)に示されるような、明るさと推定質量m(a)との関係を示すテーブル(理想カーブ)を作成する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図15に示されるように、ステップS5の代わりに、ステップS5bを挿入して曲線補間によって求められたテーブルを調整してもよい。具体的には、ステップS5bにおいて、m(a)を+10%したときのテーブルm+(a),−10%したときのテーブルm−(a)を作成し、a−10とaとの間のテーブルはm(a−10)とm(a)との間の曲線補間で求め、aとa+10との間のテーブルはm(a)とm(a+10)との間の曲線補間によって求める。
曲線補間の方法としては、図16に示されるような、n次関数で近似するいわゆるベジェ曲線を用いた補間方法を用いることができる。これによれば、N個の制御点からベジェ曲線と呼ばれる補間方法を採用すると、N−1次関数によって曲線補間できる。例えば、4個の制御点を結ぶ曲線を作成すると、3次の関数によって表される曲線を求めることができる。すなわち、図16に示されるP1〜P4の4つの制御点が与えられている場合には、まず、P1〜P2をt:1−tの比率で分割する点P5を設定する。そして、同様にP2〜P3,P3〜P4についても同じ比率で分割する点P6及びP7を設定する。次に、P5〜P6、P6〜P7について同じ比率で分割する点P8,P9を設定した後、最後にこのP8〜P9を同じ比率で分割する点P10を求める。この操作を、0≦t≦1について連続して実施し、P10の軌跡に沿ってベジェ曲線を描くことで、曲線補間を行うことができる。
この結果、線形補間によって作成されたテーブルと比較して、各画素における明るさが少し変化しただけで推定質量が不連続に変化してしまうことを防止することができるため、より高精度に推定質量を算出することが可能になる。
なお、曲線補間を行う方法としては、上述した他の実施形態において説明した方法に限定されるものではなく、例えば、スプライン曲線等によって補間することも可能である。
[他の近赤外線検査装置の構成]
上述した近赤外線検査装置1の構成には、以下に述べる近赤外線検査装置101の構成を部分的に又は全体的に適用可能である。以下、近赤外線検査装置101の構成について説明する。
図17に示されるように、近赤外線検査装置101は、物品150を搬送する既設の搬送ライン200のうち、連続する搬送コンベア201,202の間隙203が存在する部分に、後付けで設置される装置である。近赤外線検査装置101は、例えば、フィルム包装材等のパッケージ、及び当該パッケージ内に収容された食品等の内容物を有する物品150を検査対象とする。近赤外線検査装置101には、制御装置130が有線又は無線により電気的に接続されており、近赤外線検査装置101及び制御装置130によって光学検査システムが構成されている。
制御装置130は、コンピュータを収容する制御ボックス131と、操作パネル132と、を備えている。制御装置130は、近赤外線検査装置101の動作を制御する他、近赤外線検査装置101から出力された検出信号に基づいて、物品150の不具合(例えば、パッケージの封止部への内容物の噛み込み、パッケージ内での内容物の破損、パッケージ内への異物の混入等)を発見したり、パッケージ内の内容物の内容量(質量、数量等)を推定したりする。
図18に示されるように、近赤外線検査装置101は、床面に設置される脚部102と、脚部102に立設された四角柱状の主柱103と、を備えている。主柱103の前面103a(搬送ライン200側の面)には、上下方向に延在するガイドレール104が設けられている。主柱103の後面103bには、上下方向に延在するガイドレール105が設けられている。主柱103の右側面103c(搬送ライン200側から見た場合における右側の面)及び左側面103dには、主柱103の上端部を介して、ベルト106が掛け渡されている。
ガイドレール104には、ガイドレール104に沿って移動可能となるように検査ヘッド110が取り付けられている。検査ヘッド110には、主柱103の右側面103cに位置するベルト106の一端部が固定されている。ガイドレール105には、ガイドレール105に沿って移動可能となるように錘107が取り付けられている。錘107には、主柱103の左側面103dに位置するベルト106の他端部が固定されている。
この構成により、図19に示されるように、ガイドレール104に沿って検査ヘッド110が上昇すると、ガイドレール105に沿って錘107が下降する。一方、ガイドレール104に沿って検査ヘッド110が下降すると、ガイドレール105に沿って錘107が上昇する。検査ヘッド110は、所望の高さに配置された後、レバー108によって主柱103に対して固定される。このように、近赤外線検査装置101では、錘107が利用されることで、主柱103に対する検査ヘッド110の上下動の円滑化が図られている。
図18に示されるように、検査ヘッド110は、物品150に光を照射する光照射部111と、物品150に照射された光の透過光を検出する光検出部112と、光照射部111及び光検出部112を片持ちで支持する支持部113と、を備えている。光照射部111は、連続する搬送コンベア201,202の間隙203の下方に配置され、光検出部112は、当該間隙203の上方に配置される。光照射部111から光検出部112に至る光の光路は、周囲雰囲気に露出している。つまり、光による物品150の検査領域は、シールドボックス等によって覆われておらず、周囲雰囲気に露出している。なお、外乱光を遮蔽するために、当該検査領域の少なくとも一部を覆うようにカバーを設けてもよい。
光照射部111は、水平方向(間隙203が延在する方向)に沿って配列された複数のLEDからなる。光照射部111は、連続する搬送コンベア201,202の間隙203上を物品150が通過する際に、間隙203を介して物品150に近赤外線を照射する。なお、近赤外線の波長は、780nm〜1100nmである。
光検出部112は、ラインセンサであり、水平方向(間隙203が延在する方向)に沿って配列された複数のPDからなる。光検出部112は、連続する搬送コンベア201,202の間隙203上を物品150が通過する際に、物品150に照射された近赤外線の透過光を検出し、検出信号を制御装置130に出力する。
支持部113は、第1支柱部分114及び第2支柱部分115からなる支柱部116と、第1梁部117と、第2梁部118と、を有している。第1支柱部分114には、上下方向に延在するガイド溝114aが設けられている。ガイド溝114aには、ガイド溝114aに沿って移動可能となるように第2支柱部分115が取り付けられている。第1支柱部分114と第2支柱部分115とは、レバー121によって互いに固定される。第2支柱部分115の下端部には、第1支柱部分114に形成された長穴114bを介して、緩衝部材付きのストッパボルト122が固定されている。これにより、レバー121が解放された際に、不意に第2支柱部分115が下降しても、衝撃が吸収されつつ、第2支柱部分115の下降が停止させられる。
第1梁部117の一端部117aは、第1支柱部分114の下端部に固定されており、第1梁部117の他端部117bは、自由端となっている。第1梁部117には、上側に開口する凹部117cが設けられており、凹部117cには、光照射部111が収容されている。つまり、光照射部111は、第1梁部117に支持されることで、支持部113に片持ちで支持されている。
凹部117cの開口部は、第1梁部117に載置された光透過性のカバー123によって覆われている。カバー123は、例えば光透過性の樹脂からなる。カバー123において第1梁部117の一端部117aに対応する部分には、第1梁部117の他端部117bの反対側に開口する切欠き123aが設けられている。カバー123において第1梁部117の他端部117bに対応する部分には、丸穴123bが設けられている。カバー123は、第1梁部117の一端部117aに立設されたピン124aが切欠き123aに嵌められ且つ第1梁部117の他端部117bに立設されたピン124bが丸穴123bに嵌められることで、第1梁部117に位置決めされている。なお、ピン124a,124bは、例えばボルトの頭部である。
第2梁部118の一端部118aは、第2支柱部分115の上端部に固定されており、第2梁部118の他端部118bは、自由端となっている。自由端である第2梁部118の他端部118bには、光検出部112が取り付けられている。つまり、光検出部112は、第2梁部118に支持されることで、支持部113に片持ちで支持されている。
以上の支持部113の構成により、図20に示されるように、レバー121が解放された状態で、光検出部112は、第2支柱部分115及び第2梁部118と一体で上昇及び下降させられる。光検出部112は、所望の高さに配置された後、第1支柱部分114と第2支柱部分115とがレバー121によって互いに固定されることで、光照射部111に対して固定される。
図18に示されるように、第1支柱部分114の下端部には、矩形板状の第1プレート125及び第2プレート126が取り付けられている。第1プレート125は、ガイドレール104に沿って移動可能となるようにガイドレール104に取り付けられている。第1プレート125には、主柱103の右側面103cに位置するベルト106の一端部が固定されている。第2プレート126は、その4つの角部に設けられた円弧状の長穴126aのそれぞれに挿通されたボルト127によって第1プレート125に固定されている。第2プレート126には、第1支柱部分114の下端部が固定されている。
この構成により、図21に示されるように、ボルト127が緩められた状態で、検査ヘッド110は、円弧状の長穴126aの範囲で回動させられる。このとき、検査ヘッド110の回動の中心となる位置Pは、第1支柱部分114の下端部に取り付けられた第1プレート125及び第2プレート126の中心位置(搬送ライン200側から見た場合の中心位置)である。このように、光照射部111から位置Pまでの距離は、光検出部112から位置Pまでの距離よりも小さくなっている。検査ヘッド110は、所望の角度に配置された後、各ボルト127が閉められることで、主柱103に対して固定される。
以上、説明したように、近赤外線検査装置101では、光照射部111及び光検出部112が支持部113に片持ちで支持されており、光による物品150の検査領域が周囲雰囲気に露出している。したがって、物品150を搬送する既設の搬送ライン200に対し、連続する搬送コンベア201,202の間隙203を挟んで光照射部111と光検出部112とが対向するように、搬送ライン200の一方の側方から近赤外線検査装置101を容易に設置することができる。
また、近赤外線検査装置101では、光検出部112が光照射部111に対して上側に配置されている。この構成によれば、光検出部112が下向きとなるため、光照射部111に塵が付着する場合よりも検出精度を劣化させ易い光検出部112への塵の付着を抑制することができる。更に、近赤外線検査装置101の周囲の照明等の光が外乱光として光検出部112に入射するのを抑制することができる。しかも、既設の搬送ライン200の上方の広いスペースにおいて、光検出部112を容易に清掃することができる。
また、近赤外線検査装置101では、光検出部112に対して下側に配置された光照射部111が、光透過性のカバー123によって覆われている。この構成によれば、カバー123に塵が付着した場合に、カバー123を取り外して、カバー123を清掃したり、新たなカバー123に交換したりすることができる。特に、カバー123は、ピン124aが切欠き123aに嵌められ且つピン124bが丸穴123bに嵌められることで、第1梁部117に位置決めされているため、既設の搬送ライン200と第1梁部117との間隔が狭くても、カバー123を水平方向にスライドさせるようにして、工具等を使用せずに、第1梁部117に対するカバー123の着脱を実施することができる。なお、カバー123に、光照射部111から出射された光を集光するレンズ機能を持たせてもよいし、所定波長の光を遮断するフィルタ機能を持たせてもよい。
また、既設の搬送ライン200の搬送面と光検出部112との距離は焦点距離分だけは必要であるのに対し、物品150に照射される光の減衰を抑制する観点から当該搬送面と光照射部111との距離は小さくすることが好ましい。近赤外線検査装置101では、光検出部112が光照射部111に対して上側に配置されているので、既設の搬送ライン200の搬送面の高さが低い場合であっても、当該搬送ライン200に対して近赤外線検査装置101を容易に設置することができる。
また、近赤外線検査装置101では、光照射部111及び光検出部112が支持部113と一体で上下動可能となっている。この構成によれば、既設の搬送ライン200に対する光照射部111及び光検出部112の位置を容易に調整することができる。
また、近赤外線検査装置101では、光検出部112が光照射部111に対して位置調整可能となっている。この構成によれば、光検出部112の位置を精度良く調整することができ、光検出部112の焦点を物品150に合わせることが可能となる。
また、近赤外線検査装置101では、光照射部111及び光検出部112が支持部113と一体で回動可能となっている。この構成によれば、例えば、既設の搬送ライン200において連続する搬送コンベア201,202の搬送面が傾斜しているような場合に、当該搬送面に垂直な方向において光照射部111と光検出部112とが対向するように、既設の搬送ライン200に対する光照射部111及び光検出部112の角度を容易に調整することができる。
また、近赤外線検査装置101では、光照射部111及び光検出部112が、光照射部111からの距離が光検出部112からの距離よりも小さい位置Pを中心として、支持部113と一体で回動可能となっている。この構成によれば、光照射部111の回動量が光検出部112の回動量よりも小さくなるため、連続する搬送コンベア201,202の間隙203の近傍に光照射部111を配置して、物品150に照射される光の減衰に起因する光検出部112での検出感度の低下を抑制することができる。更に、既設の搬送ライン200の下方のスペースに位置する光照射部111の回動量が、既設の搬送ライン200の上方のスペースに位置する光検出部112の回動量よりも小さくなる。そのため、既設の搬送ライン200の下方の狭いスペースにおいて、光照射部111が搬送ライン200の何らかの部材に干渉するのを抑制することができる。
また、近赤外線検査装置101では、支持部113が、支柱部116と、一端部117aが支柱部116に固定された第1梁部117と、一端部118aが支柱部116に固定された第2梁部118と、を有している。そして、第1梁部117が光照射部111を支持しており、第2梁部118が光検出部112を支持している。この構成によれば、例えば、湾曲した形状の支持部によって光照射部111及び光検出部112が支持されているような場合に比べ、既設の搬送ライン200に支持部113が干渉するのを抑制しつつ、光照射部111及び光検出部112を所望の位置に配置することができる。
また、近赤外線検査装置101では、光照射部111が照射する光が近赤外線である。このように、可視光に比べて透過力の高い近赤外線を用いることで、精度良く物品150の状態を検査することができる。
以上、本発明の他の実施形態(すなわち、近赤外線検査装置101)について説明したが、本発明は、上記他の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の光検出部は、ラインセンサに限定されず、エリアセンサ等であってもよい。また、本発明の光検出部には、所定波長の光を遮断するフィルタが設けられていてもよい。一例として、本発明の光検出部には、近赤外線を通過させ且つ可視光を遮断するフィルタが設けられていてもよい。これにより、光照射部から光検出部に至る近赤外線の光路が周囲雰囲気に露出している場合に、周囲雰囲気からラインセンサ又はエリアセンサに可視光が入射し、当該可視光が外乱光となるのを防止することができる。
なお、上述した近赤外線検査装置101の構成から以下の発明が得られる。以下の発明によれば、物品を搬送する既設の搬送ラインに対して容易に設置することができる近赤外線検査装置を提供することが可能となる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置は、物品に光(近赤外線)を照射する光照射部と、物品に照射された光の透過光を検出する光検出部と、光照射部及び光検出部を片持ちで支持する支持部と、を備え、光による物品の検査領域は、周囲雰囲気に露出している。
この近赤外線検査装置によれば、物品を搬送する既設の搬送ラインに対し、連続する搬送コンベアの間隙を挟んで光照射部と光検出部とが対向するように、当該搬送ラインの一方の側方から近赤外線検査装置を容易に設置することができる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置では、光検出部は、光照射部に対して上側に配置されていてもよい。この構成によれば、光照射部に塵が付着する場合よりも検出精度を劣化させ易い光検出部への塵の付着を抑制することができる。更に、近赤外線検査装置の周囲の照明等の光が外乱光として光検出部に入射するのを抑制することができる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置では、光照射部及び光検出部は、支持部と一体で上下動可能となっていてもよい。この構成によれば、既設の搬送ラインに対する光照射部及び光検出部の位置を容易に調整することができる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置では、光検出部は、光照射部に対して位置調整可能となっていてもよい。この構成によれば、光検出部の位置を精度良く調整することができる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置では、光照射部及び光検出部は、支持部と一体で回動可能となっていてもよい。この構成によれば、例えば、既設の搬送ラインにおいて連続する搬送コンベアの搬送面が傾斜しているような場合に、当該搬送面に垂直な方向において光照射部と光検出部とが対向するように、既設の搬送ラインに対する光照射部及び光検出部の角度を容易に調整することができる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置では、光照射部及び光検出部は、光照射部からの距離が光検出部からの距離よりも小さい位置を中心として、支持部と一体で回動可能となっていてもよい。この構成によれば、光照射部の回動量が光検出部の回動量よりも小さくなるため、連続する搬送コンベアの間隙の近傍に光照射部を配置して、物品に照射される光の減衰に起因する光検出部での検出感度の低下を抑制することができる。
本発明の一側面の近赤外線検査装置では、支持部は、支柱部と、一端部が支柱部に固定され、光照射部を支持する第1梁部と、一端部が支柱部に固定され、光検出部を支持する第2梁部と、を有してもよい。この構成によれば、例えば、湾曲した形状の支持部によって光照射部及び光検出部が支持されているような場合に比べ、既設の搬送ラインに支持部が干渉するのを抑制しつつ、光照射部及び光検出部を所望の位置に配置することができる。