JP6108270B2 - 薬液鑑査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、病院などにおいて、作業対象のシリンジ中の薬液の薬液量を、作業者から離れた場所で鑑査可能な、薬液鑑査装置に関する。
病院などでは、抗がん剤などの注射薬を、混合調製する作業(以下、混注作業)がある。混注作業を行う場合、この作業を安全に管理すると共に、薬剤師などの鑑査者が一連の作業を鑑査する必要がある。鑑査者が鑑査する項目としては、注射薬の投与量などの数値化できる項目と、混注の手順及び作業者の動作などの数値化しにくい項目などが含まれる。そのため、鑑査者は、数値化しにくい項目を目視で鑑査するために、混注作業が始まってから終わるまで、作業者の近くに居る必要がある。また、一人の鑑査者が、異なる場所で行われる複数の混注作業について鑑査する場合も多い。このような鑑査は、作業の効率が悪いだけでなく、鑑査者にとって大きな作業負担となっていた。
そこで、混注作業の場から離れた場所における鑑査を可能にして、鑑査者の負担を軽減するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1の混注鑑査システムの構成図である。図12に示す混注鑑査システムは、シリンジ(図示せず)を用いた混注作業を鑑査者によって鑑査するシステムである。混注作業の場であるクリーンルーム1の各調製室2には、混注作業を撮像するための撮像装置3と、作業者側の表示部7と、が設置されている。表示部7は、鑑査室4の入力装置6により入力された内容を、作業者に向けて表示する。また、混注作業を鑑査する鑑査室4は、クリーンルーム1から離れた場所に設けられ、鑑査者側の表示部5と、鑑査者から作業者に対する指示を入力するための入力装置6と、が設置されている。表示部5は、撮像装置3により撮像された混注作業を、鑑査者に向けて表示する。
特許文献1の混注鑑査システムは、このような構成により、複数の調製室2での複数の作業者による混注作業に対して、一つの鑑査室4から一人の鑑査者がそれぞれの作業者に的確に指示すると共に、一連の混注作業について鑑査することを可能としている。このように、混注作業の場から離れた場所で鑑査者が鑑査作業を行うことで、作業効率を高めると共に鑑査者の負担を軽減することができる。
一方、混注に用いられる薬液の量を正確に観察するための薬液の鑑査システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図13は、特許文献2の薬液の鑑査システムの構成図である。図13に示す鑑査システムでは、計量器11の中の薬液の液面を正確に読み取るために、矯正手段12により計量器11をカメラ13の前に鉛直に位置決めしている。そして、計量器11の中の薬液の液面付近は、計量器11の目盛りと共にカメラ13で撮像される。また、薬液の液面付近が明確に見えるように、照明手段14により照明光を計量器11に照射している。また、識別手段15により、薬液16の種類と撮像画像とを関連付けてパソコン17に保存し、その情報をモニタ18に表示する。
特開2007−260390号公報 特開2007−93465号公報
しかしながら、特許文献1の混注鑑査システムでは、シリンジ(図示せず)内の注射薬を撮像するときに一般的な室内照明光又は自然光を利用すると、注射薬の正確な量を把握できず、鑑査作業ができない場合がある。具体的には、例えば、シリンジの中に色の濃い注射薬が入っていると、シリンジのガスケットと色の濃い注射薬とが色彩的に同化してしまい、撮像装置3で撮像された画像を見ただけでは、シリンジのガスケットの位置を把握することができず、注射薬の量を把握することが困難な場合がある。
ここで、注射薬の正確な量を把握するために、特許文献2の薬液の鑑査システムを用いた場合を考える。特許文献2の薬液の鑑査システムの照明手段14は、計量器11が配置された場所の明るさを補正して、薬液の液面付近の照明光の光量の不足を解消するものである。したがって、特許文献2の薬液の鑑査システムを用いた場合でも、計量器11としてシリンジを用いると、シリンジのガスケットと色の濃い薬液とが色彩的に同化してしまい、カメラ13で撮像された画像を見ただけでは、薬液の正確な量を把握することが困難な場合がある。そのため、特許文献2の薬液の鑑査システムを特許文献1の混注鑑査システムに用いた場合でも、薬液の量を把握するのが困難である。
本発明は、この課題を解決するものであり、色の濃い薬液であっても薬液の正確な量を把握して、正確な鑑査ができる薬液鑑査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様にかかる薬液鑑査装置は、内部に薬液が入ったシリンジを撮像して、前記シリンジ内の前記薬液の量を鑑査する薬液鑑査装置において、治具に載置された前記シリンジを撮像する撮像部と、前記治具に載置された前記シリンジを露光する露光部と、前記撮像部及び前記露光部を制御して前記薬液の鑑査情報を取得する第1制御部と、を備え、前記治具は、長方形の底板部と、先端カバーと、一対の側部と、透明部材とを有し、前記底板部は前記シリンジのシリンダーを平面視で少なくとも含む領域に開口部を有し、前記開口部の幅及び長さは、前記シリンダーの幅及び長さと略等しく、前記開口部に前記透明部材を嵌合し、前記先端カバーは、前記底板部の長手方向の先端に起立して配置し、前記一対の側部は、前記開口部を挟んで前記底板部の両側に起立して長手方向沿いに配置され、前記露光部は、光源と、透光領域を中央に有する遮光カバーとを備え、前記遮光カバーは、前記光源の上面を覆うように前記光源上に配置され、前記光源からの光は、前記透光領域のみを通って、前記シリンジの一部を下方から露光し、前記透光領域以外の部分は前記遮光カバーで遮光されて、前記光源からの光は透過せず、前記透光領域は、前記光源の幅方向における中央上面に長方形の直線帯状の係合凹部として形成され、前記治具の前記開口部の幅と同じ幅か又はそれ以上の幅を有し、前記治具は、底部に前記係合凹部が係合可能な直線帯状の凸部を有し、前記第1制御部は、前記透光領域及び前記透明部材を通して前記シリンジを前記露光部で露光した状態において前記シリンジを撮像した撮像画像の情報を、鑑査情報として、前記シリンジ内の前記薬液の量を鑑査者側の第2の制御部に送信することを特徴とする。
本発明の前記態様によれば、色の濃い薬液であっても、シリンジを露光する照明を工夫することにより、シリンジのガスケットと薬液との境界を明確にし、ガスケットの位置を確実に読み取り、薬液の正確な量を把握して、正確な鑑査ができる。
本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査装置を備える薬液鑑査システムの概略構成図 通常の鑑査台によりシリンジ内部の薬液の量を鑑査した場合の平面図 本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システムによりシリンジ内部の薬液の量を鑑査した場合の平面図 薬液鑑査装置の露光部と治具との係合状態での説明図 薬液鑑査装置の治具の斜視図 薬液鑑査装置の治具の平面図 薬液鑑査装置の治具の正面図 薬液鑑査装置の治具の底面図 薬液鑑査装置の治具の左側面図 薬液鑑査装置の治具の右側面図 シリンジを薬液鑑査装置の治具に載置した状態での斜視図 シリンジを薬液鑑査装置の治具に載置した状態での平面図 シリンジを薬液鑑査装置の治具に載置した状態での正面図 シリンジを薬液鑑査装置の治具に載置した状態での底面図 シリンジを薬液鑑査装置の治具に載置した状態での左側面図 シリンジを薬液鑑査装置の治具に載置した状態での右側面図 シリンジの容量と幅(胴体径)との関係の一例を示す表形式の図 シリンジの種類を選択するための薬液鑑査装置のタッチパネルの入力操作領域を示す画面の図 薬液鑑査装置の露光部からの露光がない状態でシリンジを撮像したときを示す図 薬液鑑査装置の露光部からの露光がある状態でシリンジを撮像したときを示す図 本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システムの露光部の露光状態を明暗のパターン状態に変化させてシリンジを見た場合の平面図 本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システムを用いて実施した注射薬の調製及び鑑査のフローチャート 本発明の第1実施形態にかかる別の形態の薬液鑑査システムの概略構成図 特許文献1の混注鑑査システムの構成図 特許文献2の薬液の鑑査システムの構成図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解し易くするためにそれぞれの構成要素を主体に模式的に示す。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査装置51を備える薬液鑑査システム20の概略を示す構成図である。図2は、通常の鑑査台によりシリンジ25内の薬液25bの量を鑑査した場合の平面図である。図3は、本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システム20によりシリンジ25の内部の薬液25bの量を鑑査した場合の平面図である。薬液は、薬剤の一例であり、例えば、注射薬である。第1実施形態の薬液鑑査システム20は、例えば、注射薬の調製及び鑑査を行うための注射薬調製鑑査システムである。
第1実施形態の薬液鑑査システム20は、撮像部21と、露光部22と、治具50と、第1制御部30と、を少なくとも備えたものである。また、薬液鑑査装置51は、撮像部21と、露光部22と、治具50と、第1制御部30とで、構成される。第1制御部30は、調製側の制御部の一例である。
第1実施形態の薬液鑑査システム20では、作業室27内で、治具50に固定されたシリンジ25を鑑査台23に置いた状態で、シリンジ25内の薬液25bの量を、鑑査する。作業室27は、例えば、混注作業を行うためのクリーンルームである。このとき、シリンジ25の中に黒っぽい薬剤などの色の濃い薬液25bが入っていた場合、治具50を介して鑑査台23にシリンジ25を置いただけでは、図2に示すように、ガスケット25aの目盛り25cの位置の読み取りが困難である。これは、シリンジ25のガスケット25aの先端部と色の濃い薬液25bとが色彩的に同化してしまい、ガスケット25aと薬液25bとの境界が区別できないためだと考えられる。なお、ガスケット25aは、通常、ゴムなどで構成され、遮光性を有する部材である。
そこで、第1実施形態の薬液鑑査装置51では、鑑査台23に露光部22を配置し、露光部22上に治具50を介してシリンジ25を支持した状態で、露光部22を用いて、少なくともシリンジ25のガスケット25aを含む領域を下方から露光することを、第1の特徴とする。
治具50を介してシリンジ25の少なくとも一部を露光部22により露光するとともに撮像部21で撮像することで、ガスケット25aと薬液25bとの境界を明瞭にすることができる。これは、治具50を介してシリンジ25の少なくとも一部を露光することにより、薬液25bの見た目の色が変化するとともに、図3に示すように撮像画像上に露光された明るい露光領域25eが形成されるためだと考えられる。そして、この結果、薬液25bの量を把握するためのシリンジ25の目盛り25cが、明確に識別可能になる。
第1実施形態の薬液鑑査システム20は、このようにして取得した撮像画像を作業室27の撮像部21から第1制御部30を介して鑑査室28に送信することで、鑑査室28にいる鑑査者が作業室27で行われた混注作業の鑑査作業を行うことを可能とする。
第1実施形態の薬液鑑査システム20のシステム全体の構成について説明する。
図1に示すように、第1実施形態の薬液鑑査システム20は、サーバ24と、作業室27と、鑑査室28とで構成される。
サーバ24は、薬液25bに関する調製DB(調製データベース)24aを管理する。サーバ24は、診療DB(診療データベース)24bと、エビデンス記録部24cに接続される。
作業室27内には、安全キャビネット26が配置される。安全キャビネット26内には、撮像部21と、露光部22と、鑑査台23と、計量部29と、識別部35と、第1表示部36とが、配置される。
撮像部21は、鑑査台23の上方において下向きで、かつ、鑑査台23に治具50を介して支持されたシリンジ25を撮像可能な位置に配置される。撮像部21は、第1制御部30の制御により、薬液25b(図2参照)を吸引又は吐出するシリンジ25を撮像する。
露光部22は、図4に示すように、光源22dと、透光領域22eを中央に有する遮光カバー22fとで構成される。遮光カバー22fは、光源22dの上面を覆うように、光源22d上に配置される。光源22dからの光は、透光領域22eのみを通って、シリンジ25の一部を下方から露光する。透光領域22e以外の部分は遮光カバー22fで遮光されるため、光源22dからの光は透過しない。透光領域22eは、光源22dの幅方向における中央上面に長方形の係合凹部として形成され、治具50の開口部50dの幅と同じ幅か又はそれ以上の幅を有する。透光領域22eである係合凹部は、例えば、光源22dの長手方向沿いに延在した直線的な帯状に形成される。露光部22は、シリンジ25及び治具50を間に挟んで、撮像部21と対向する位置に配置される。露光部22の光源22dは、例えば、LED照明装置である。露光部22の光源22dとしてLED照明装置を用いた場合、光により変質しやすい薬剤であっても、薬剤の変質が起こりにくい特定の波長で露光することができる。また、LED照明装置は、他の光源に比べて発熱が少なく、熱による薬剤の変質も起こりにくい。
第1実施形態の薬液鑑査装置51では、遮光カバー22fを用いると共に、露光部22上に治具50を配置して、シリンダー25fの幅と略等しい範囲のみ露光することを、第2の特徴とする。
図5A〜図5Fは、治具50の斜視図、平面図、正面図、底面図、左側面図、及び、右側面図である。図6A〜図6Fは、シリンジ25を治具50に載置した状態での斜視図、平面図、正面図、底面図、左側面図、及び、右側面図である。
この治具50は、図5A〜図6Fに示すように、長方形の底板部50aと、先端カバー50bと、一対の側部50cと、後端突出部50fと、透明部材50kと、を有する。
底板部50aは、シリンジ25のシリンダー25fを平面視で少なくとも含む領域に、開口部50dを有する。開口部50dは、底板部50aの長手方向沿いの長方形の貫通穴である。開口部50dの幅及び長さは、シリンジ25の筒部であるシリンダー25fの幅及び長さと略等しくする。本第1実施形態は、開口部50dの幅及び長さをシリンダー25fの幅及び長さと略等しくすることで、撮像部21に不必要な光が入射しないように開口部50dから光を照射して、シリンダー25fの視認性を高めることができる。第1実施形態の底板部50aは、開口部50dの下方に配置した露光部22の光源22dからの光が、シリンダー25fに向けて透過可能なように構成される。このような構成としては、例えば、開口部50dは、底板部50aの長手方向沿いの長方形の貫通穴とする構成や、図5A〜図6Fに示すように、開口部50dに透明部材50kを嵌合して配置する構成がある。貫通孔としての開口部50d及び開口部50dに設けられた透明部材50kを含めて、第1実施形態では、透過部とする。なお、図5A〜図6Fに示すように、透明部材50kと側部50cとを一つの部材として形成する場合は、透明な側部50cの上にカバーを設けるなどすれば良い。
先端カバー50bは、底板部50aの長手方向の先端に起立して配置され、シリンジ25の針25hの先端を覆う。先端カバー50bは、針25hの先端を覆うことにより、作業者が針25hの先端に誤って触らないようにしている。
一対の側部50cは、開口部50dを挟んで底板部50aの両側部に起立して長手方向沿いに配置され、シリンジ25の側部に両側から接触してシリンジ25の側面を挟持する。一対の側部50cの対向する内面には、シリンジ25の外周面に接触してシリンジ25の横方向の位置規制を行う傾斜面50gがそれぞれ形成されている。
後端突出部50fは、シリンジ25の後部のフランジを挟み、シリンジ25の軸方向のズレ及び脱落を防止するものである。
また、底板部50aの裏面には、幅方向の中央部でかつ長手方向沿いに延在しかつ下向きに突出する長方形の直線帯状の係合凸部50eが形成されている。この係合凸部50eは、係合凹部として機能する透光領域22eと係合して、長手方向沿いには移動自在でかつ横方向に位置ずれしないように規制する。治具50は、係合凸部50eが係合した係合凹部(透光領域22e)をレール代わりに、露光部22に対して、長手方向にスライド可能になる。これにより、少なくともシリンジ25のガスケット25aの一部が含まれる領域が、撮像部21の撮像範囲に位置するように、調整することができる。
また、シリンジ25の種類が変わると、図7Aに示すように、シリンジ25の容量に合わせてシリンジ25のシリンダー25fの幅(胴体径)も変わる。そのため、シリンジ25の種類が変わると、治具50は、シリンジ25のシリンダー25fに対応するものにそれぞれ交換する必要がある。このとき、一対の側部50cの間隔も変わり、底板部50aの開口部50dの幅又は長さも変わるが、第1実施形態では、開口部50dの幅を変えて対応することが可能なため、係合凸部50eの幅は常に一定とすることができる。このため、全てのシリンジ25に対して、前記した露光部22の係合凹部(透光領域22e)と治具50の係合凸部50eとの構成で対応可能である。このような治具50を用いることで、簡単かつ正確に、シリンジ25の遠隔鑑査作業を行うことができる。
ここで、第1実施形態の第2の特徴を実現するために、開口部50dの幅の寸法をシリンジ25のシリンダー25fの幅の寸法に対応させるには、別の幅寸法を有する開口部50dを有する治具50と交換して幅を調整する。より具体的な一例としては、図7Aより、2.5mlのシリンジに対しては、2.5mlのシリンジの幅に対応する寸法を有する開口部50dを有する治具50を用意する。5ml〜10mlのシリンジに対しては、10mlのシリンジの幅に対応する寸法を有する開口部50dを有する治具50を用意する。10mlを越えて50mlまでのシリンジに対しては、50mlのシリンジの幅に対応する寸法を有する開口部50dを有する治具50を用意する。このようにすることにより、2.5mlのシリンジ用の治具50と、10mlのシリンジ用の治具50と、50mlのシリンジ用の治具50との少なくとも3種類の治具を用意すれば、図7Aに示す6種類のシリンジに対応させることが可能となる。また、開口部50dの形状も常に一定とする場合は、開口部50dに嵌める透明部材50kを部分的に遮光部材に変更することで、開口部50dにおける透明な領域の幅を変えることが可能である。
また、第1実施形態の第2の特徴を実現する別の形態としては、遮光カバー22fの間の透光領域22eの幅を変更して幅を調整することも可能である。
また、第1実施形態の第2の特徴を実現する更に別の形態としては、光源22dを多数のLED発光素子で構成し、光源22d側で照明幅(発光幅)を変えることもできる。多数のLED発光素子のうちの発光すべき素子を制御すれば、照明幅を容易に変更することができる。光源22d側で照明幅(発光幅)を変える方法としては、例えば、図7Bに示すような入力操作画面を、第1表示部36の一例としてのタッチパネルに表示して、作業者が第1表示部36の画面上でシリンジの種類を選択入力する。例えば、図7A及び図7Bより、2.5mlのシリンジに対しては、図7Bの左端の2.5mlのアイコンを押すことにより、2.5mlのシリンジの幅で発光部22bを発光させることで対応する。同様に、5ml、10ml、20ml、30ml、50mlのシリンジに対して、それぞれのシリンジ容量に対応するアイコンを押すことにより、各シリンジの幅で発光部22bを発光させる。このようにすることにより、図7Aに示す6種類のシリンジに対応することが可能となる。
鑑査台23は、その上に露光部22と治具50とを介してシリンジ25が載置される。鑑査台23の構成をコンパクトにするために、鑑査台23は、図1に示すように、その上部に形成された凹部内に露光部22を含む構成である。
計量部29は、鑑査台23の下部に配置されて、シリンジ25の重さを量るものである。シリンジ25の目盛りを作業者が読んで薬液25bの量を視覚的に鑑査するだけでなく、計量部29により薬液25bの量を測定することで、さらに正確な量を算出することができる。例えば、薬液25bが入っていないシリンジ25の重さを予め測定した後、混注された薬液25bが入ったシリンジ25の重さを測定して、その差を算出することにより、薬液25bの正確な量を求めることができる。ここで、混注とは、薬液25b(注射薬)の混合調製のことであり、第1実施形態では、同じ意味として混注又は調製の用語を使って説明する。
識別部35は、処方箋の情報及び薬液25bの種類を識別する機能を有する。識別部35は、例えば、処方箋又は薬剤容器のバーコードを読み取り、サーバ24の調製DB24a又は診療DB24bに問い合わせて、調製DB24a又は診療DB24bから処方箋の情報又は薬液の情報を取得する。識別部35により識別された処方箋の情報及び薬液25bの種類と撮像部21により撮像されたシリンジ25の鑑査画像とを、後述する第1制御部30で関連付けて、第1制御部30でサーバ24のエビデンス記録部24cに格納する。これにより、一連の薬液25b(注射薬)の混注作業に関する情報を記録することができる。これにより、注射薬の混注作業及び鑑査作業のトレーサビリティが確保され、作業後の調査又は参照が可能になる。
第1表示部36は、安全キャビネット26内又はその近傍に配置され、撮像画像、及び、鑑査者からの鑑査指示又は鑑査結果などを表示する。作業者は、第1表示部36により、鑑査者からの鑑査指示又は鑑査結果を確認して、正確な混注作業又は鑑査作業を行うことができる。
安全キャビネット26を含む作業室27内には、安全キャビネット26以外に、第1制御部30と、第1入力部31と、第1通話部32とが、配置される。
第1制御部30は、撮像部21の撮像動作と、露光部22の露光動作と、識別部35の識別動作とのそれぞれの動作を制御する。また、第1制御部30は、シリンジ25を撮像した撮像画像の情報を撮像部21から取得して、シリンジ25内の薬液25bの量を鑑査するために、第2制御部34に送信する。第2制御部34は、鑑査側の制御部の一例である。
第1入力部31は、第1制御部30を介して、撮像部21及び露光部22を操作するための指示を入力するためのものである。第1入力部31は、調製側の入力部の一例である。第1入力部31は、例えば、フットスイッチである。第1入力部31をフットスイッチとすることにより、作業室27内の作業者は、作業中にシリンジ25から手を離すことなく、鑑査者への鑑査要求又は鑑査に必要な操作(例えば、露光部22の露光状態の変更など)を行うことができる。これにより、作業者の作業効率が上がるだけでなく、作業中に安全キャビネット26内から手を出して指示を入力しなくても良い。
すなわち、第1入力部31をフットスイッチなどの手を使わない入力手段とすることで、薬液25bの混注に直接必要なものを安全キャビネット26の内部に配置し、作業者は、安全キャビネット26の近傍に居て、安全キャビネット26の外部から薬液25bの混注に必要な撮像部21及び露光部22などを操作できる。なお、第1入力部31としては、シリンジ25を撮像するトリガースイッチと、鑑査者への鑑査要求スイッチと、露光部22の露光状態を変化させる露光状態切り替えスイッチとのうちの少なくともいずれか1つを有する構成としてもよい。
第1通話部32は、作業者が、鑑査者への依頼又は要求を伝える装置の一例である。作業者は、第1通話部32と鑑査室28内の第2通話部33とを介して、鑑査室28の鑑査者と音声により依頼又は要求を伝え、鑑査者と情報交換を行うことができる。なお、この音声による情報交換についても、第1制御部30と第2制御部34とを介してサーバ24が管理する。第1通話部32は、調製側の音声通話部の一例であり、第2通話部33は、鑑査側の音声通話部の一例である。
鑑査室28内には、第2通話部33と、第2制御部34と、第2入力部37と、第2表示部38とが、配置される。第2入力部37は、鑑査側の入力部の一例であり、第2表示部38は、鑑査側の表示部の一例である。第2通話部33と、第2制御部34と、第2入力部37と、第2表示部38とで、鑑査確認装置52の一例を構成する。鑑査確認装置52としては、少なくとも第2制御部34と第2表示部38とを有する。鑑査者は、作業室27とは別室の鑑査室28から、撮像部21により撮像した画像を基に薬液25bの混注に関して鑑査作業を行うことができる。同様に、鑑査者は、鑑査室28において、第2制御部34により制御される第2入力部37及び第2表示部38を用いて、作業者の混注作業の内容をリアルタイムで観察するか、又は、作業者に対して適切な指示を迅速に出すことができる。
また、第1実施形態の薬液鑑査システム20は、調製DB24aに記憶された薬液25bの薬剤情報に基づき、露光部22の露光状態を変化させてシリンジ25の撮像を行い、シリンジ25内の薬液25bの薬剤量を鑑査する。薬液25bの薬剤情報としては、例えば、薬液25bの光分解性などの成分情報、又は、薬液25bの濃度値又は色彩値として数値化された色情報である。例えば、薬液25bに光分解性の成分(ビタミンなど)が含まれる場合は、露光部22の光源22dからの照明光の波長として赤外光を用いる。また、例えば、薬液25bの濃度値又は色彩値に応じて、露光部22の露光強度(例えば、強・中・弱の3段階の露光強度)又は点灯パターンを変化させることで、シリンジ25のガスケット25a(図2参照)と薬液25bとの境界を明確にすることができる。点灯パターンを変化させるには、例えば、点滅状態として露光時間を短縮するなど行えばよい。なお、薬剤情報としては、少なくとも、色情報は必要である。
なお、露光部22の露光状態の調整(露光強度及び点灯パターンの調整)は、薬液25bの種類が予め既知ならば、薬液25bを撮像した撮像結果に基づいて、予め保存しておいた撮像結果と露光状態との対応テーブルに基づいて、自動的に行うことも可能である。また、薬液25bの薬剤情報が存在していれば、露光部22の露光状態の調整は、前述のように、薬液25bの薬剤情報に基づいて自動的に行うことも可能である。また、経験豊富な作業者の場合は、露光部22の露光状態の調整を、後述するように、手動で行うことも可能である。
このようにして、第1実施形態の薬液鑑査システム20は、色の濃い薬液25bであっても、光を透過しないシリンジ25のガスケット25aと光を透過する色の濃い薬液25bとが色彩的に同化することなく、シリンジ25のガスケット25aと薬液25bとの境界を明確することができる。すなわち、第1実施形態の薬液鑑査システム20は、ガスケット25aの目盛り位置を確実に読み取ることを可能とし、撮像画像を介した状態においても、正確な薬剤量を把握して正確な目視鑑査が行える。
なお、第1実施形態の薬液鑑査システム20は、第1実施形態で説明したように、遠隔から、撮像部21で撮像した撮像画像を介して、シリンジ25内の薬液25bの薬剤量を鑑査する場合に、特に有効である。これは、一般的に、撮像部21での撮像画像では、色の濃い薬液25bとシリンジ25のガスケット25aとの境界が、目視の場合よりも見難くなるためである。
次に、第1実施形態の薬液鑑査システム20の基本的な動作について説明する。
図1に示す第1実施形態の薬液鑑査システム20においては、薬液25bが入った薬剤容器(図示せず)及び薬液25bを混注するためのシリンジ25は、作業室27内の安全キャビネット26の中に配置されて、外気より隔離される。安全キャビネット26は、抗ガン剤などの危険性のある薬剤を扱う際に用いられるものであり、気流の流れを制御することで内部空間を陰圧状態にし、内部の気体が外部へ漏洩するのを防止するものである。作業者は、作業室27内に入り、安全キャビネット26の前方にある開口部(図示せず)に両手を入れて混注作業を行う。ここで、この一連の混注作業を、鑑査ができる程度に画像情報等として明確に把握できれば、鑑査者は、図1に示すように、例えば作業室27とは離れた鑑査室28などの別室で、安全かつ効率良く鑑査できる。
図8A及び図8Bは、本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システム20の撮像部21によりシリンジ25を撮像した図である。図8Aは、露光部22からの露光がない状態のシリンジ25の画像を示す図である。図8Bは、露光部22の光源22dが点灯されて、露光部22からの露光がある状態(シリンジ25を背面より露光した状態)のシリンジ25の画像を示す図である。
露光部22からの露光がない場合は、図8Aに示すように、薬液25bの色とシリンジ25の目盛り25c及びガスケット25aの色とが同化しており、ガスケット25a及び目盛り25cの位置の判別が困難であることが分かる。
一方、露光部22からの露光がある場合は、図8Bに示すように、シリンジ25の背面からの露光部22の透過光により、薬液25bの見た目の色が変化し、ガスケット25a近傍の目盛り25cの読み取り位置の視認性が向上することが分かる。これにより、鑑査者は、撮像画像からも図8Bの矢印25dが示す位置の目盛り25cを読み取ることができ、シリンジ25の薬剤量の鑑査が可能になる。
なお、目盛り25cの読み取り位置の視認性をさらに向上させるために、露光部22の露光量をシリンジ25内の薬液25bの色情報に応じて変化させてもよい。具体的には、薬液25bの色情報を、薬液25bの濃度値又は色彩値として数値化して薬剤色情報として調製DB24aに予め記憶しておき、必要に応じて、第1制御部30でサーバ24より読み出す。そして、この情報を基に、第1制御部30で露光部22の露光量などを変化させることで、複数種類の薬剤に対応して境界をさらに正確に識別可能な鑑査を行うことができる。このように、薬液25bの濃度値又は色彩値を薬剤色情報として調製DB24aに予め記憶しておき、この薬剤色情報に基づいて、第1制御部30で露光部22からの光の光量(露光量)、輝度又は波長を変化させることで、複数種類の薬剤に対応した薬液の量の鑑査を行うことができる。
なお、露光部22からの光の照射位置は、図3に示すように、少なくともシリンジ25のガスケット25aの一部が含まれる位置に照射すれば良い。これは、一般に、シリンジ25のガスケット25aの形状は決められたものであるため、ガスケット25aの一部が識別できれば、ガスケット25aの位置及び薬剤量を推測して鑑査者により鑑査することが可能であるためである。ただし、より正確に薬剤量を鑑査するためには、図8Bに示すように、ガスケット25a全体を含むと共に、シリンジ25の幅と略等しい領域に露光部22からの光を照射することが望ましい。本第1実施形態は、シリンジ25の幅と略等しい領域に露光部22からの光を照射することで、撮像部21に不必要な光が入射しないように開口部50dから光を照射して、シリンダー25fの視認性を高めることができる。
なお、露光部22は、第1制御部30での制御により、点灯状態と、多段階照度状態と、明暗のパターン化状態とのうちの少なくともいずれかの状態とすることができる構成としてもよい。点灯状態では、シリンジ25全体が露光されるため、シリンジ25の目盛り25cの読み取り位置の視認性を高めることができる。また、多段階照度状態では、露光状態が徐々に明るくなる(あるいは、徐々に暗くなる)過程で、薬液25bの色情報によらず、シリンジ25の目盛り25cの読み取り位置の視認性を高めることができる。また、明暗のパターン化状態では、後述するように、撮像部21に不必要な光が入らず、撮像部21は、シリンジ25内の薬液25bの色情報に応じた微妙なゲイン調整が可能であり、目盛り25cの読み取り位置の視認性を高めることができる。
図9は、本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システム20の露光部22の露光状態を、明暗のパターン状態に変化させてシリンジ25を見た場合の平面図である。すなわち、図9は、第1実施形態の第2の特徴を説明するための図である。
図9に示すように、鑑査台23に組み込まれた露光部22は、治具50の開口部50dを介して、治具50の一対の側部50cに保持されたシリンジ25の背面からシリンジ25を露光する。図9に示すように、一例として、第1実施形態における露光部22の光源22dの発光面22aは、シリンジ25よりも広い領域を有するものである。
第1実施形態においては、露光部22の発光面22aには、シリンジ25の近傍の発光部22bとこれに隣接する消灯部22cとが構成される。例えば、発光部22bは、前述した透光領域22eであり、消灯部22cは、前述した遮光カバー22fである。よって、光源22dからの照明は、消灯部22c(遮光カバー22f)では遮光されるが、発光部22b(透光領域22e)では透過してシリンジ25の近傍のみを露光する。このようにすることで、破線で囲まれた撮像範囲21aを撮像する撮像部21に不必要な光が入らず、撮像部21は、シリンジ25内の薬液25bの色情報に応じた微妙なゲイン調整ができる。従って、図9に示すように、シリンジ25の近傍のみ発光部22bにより露光することで、目盛り25cの読み取り位置の視認性を向上できるので、ガスケット25aの位置をさらに確実に読み取り、薬液25bの正確な量を把握して正確な目視鑑査を行うことを可能とする。ここで、シリンジ25の近傍のみの露光とは、図9に示すように、発光部22b(透光領域22e)であって、かつ、シリンジ25のシリンダー25fと略等しい幅で、少なくともシリンジ25のシリンダー25fを含む領域のみの露光である。
次に、図10を用いて薬液の調製及び鑑査のフローを説明する。図10は、本発明の第1実施形態にかかる薬液鑑査システム20を用いて実施した薬液の調製及び鑑査の作業のフローチャートの例を示す図である。
図10に示すように、薬液の混注を始めるときには、まず、作業者が、第1入力部31において、シリンジ25の画像を取得するスイッチをオンする(ステップS11)。
すると、第1制御部30は、サーバ24の調製DB24aに記憶された薬液25bの成分情報又は色情報の少なくともいずれかに基づき、ガスケット25a及び目盛り25cの位置が明確に判別できるように、露光部22の露光状態の調整を行う(ステップS12)。なお、ここで、露光状態の調整は、第1制御部30により自動で行っても良いし、作業者が手動で行っても良い。作業者が手動で行う場合は、例えば、治具50を交換する作業や、遮光カバー22fの透光領域22eの幅がシリンジ25の幅と略等しいものと交換するなどの作業が挙げられる。第1制御部30により自動で行う場合には、発光部22bの幅がシリンジ25の幅と略等しくなるように、発光部22bで発光する素子を動作制御する。
次いで、露光されたシリンジ25の画像を撮像部21で撮像した後、第1制御部30により第1表示部36に表示する(ステップS13)。
次いで、作業者が、第1表示部36の画像を確認して、露光の内容を確認する(ステップS14)。ここで、露光が不十分又は過剰であると作業者が判断した場合(ステップS14のNo)、ステップS12に戻り、第1入力部31の露光状態切り替えスイッチ(図示せず)などにより、露光状態を調整する。
露光の自動調整又は手動調整により、露光が適正化されて、ガスケット25aの目盛り25cの読み取り位置が明確に判別できるようになった場合(ステップS14のYes)、作業者は、第1入力部31において、鑑査者への鑑査要求を行う鑑査開始ボタンをオンする。すると、第1制御部30から第2制御部34に向けて、シリンジ25を撮像した撮像画像の情報を、シリンジ25内の薬液25bの量を鑑査するために送信する。第2制御部34に送信されると、第2制御部34により、第2表示部38にシリンジ25の画像が表示される(ステップS15)。
そして、鑑査者は、第1表示部36に表示されたシリンジ25の画像からシリンジ25の薬液25bの量を読み取り、薬液25bの混注の鑑査がOKであるかNGであるかを判断する(ステップS16)。
ここで、薬液25bの混注の鑑査結果がOKであると鑑査者が判断した場合(ステップS15のYes)、鑑査者は、第2入力部37において承認ボタンをオンする。続いて、鑑査者は、継続して次の混注作業があるか否かを判断する(ステップS17)。
そして、次の混注作業が継続してある場合(ステップS17のNo)、開始時点であるステップS11の前に戻り、ステップS11から、別の混注作業に対して、先と同様の混注作業及び鑑査作業を繰り返す。一方、次の薬液25bの混注作業がなければ、鑑査者は、全体の鑑査と電子検印を行う最終鑑査とを行い(ステップS18)、薬液の混注が終了する。
しかしながら、鑑査者が、例えば薬液25bの量が読み取れない、又は、薬液25bの量が間違っているなどの理由により、鑑査ができない、又は、鑑査結果がNGと判断する場合(ステップS16のNo)、鑑査者は、第2入力部37においてNGボタンをオンする(ステップS19)。そして、鑑査者は、第2入力部37により、作業者へ修正指示を出す(ステップS20)。この修正指示は、例えば、第2入力部37から入力された情報を基に、第2制御部34及び第1制御部30の制御により、第1表示部36に表示される。作業者は、第1表示部36に表示された修正指示の内容を基に、作業の修正が行われ(ステップS21)、この修正内容に沿ってステップS11から同様の混注作業及び鑑査作業が繰り返される。すなわち、ステップS21からステップS11へ戻る。
この一連の作業を通じて、鑑査者が作業室27から離れた場所に居る状態で、薬液25bの正確な量を把握して正確な鑑査を鑑査者が行うことができる。これにより、鑑査者に負担をかけることなく安全に効率良く鑑査を行うことができる。
図11は、本発明の第1実施形態の別の形態にかかる薬液鑑査システム40の概略構成を示す構成図である。図11に示す薬液鑑査システム40と図1に示す薬液鑑査システム20との違いは、作業室41、42、43が複数あり、撮像部(図示せず)と露光部(図示せず)とがそれぞれの作業室41、42、43内に配置され、全体として撮像部と露光部とが複数台備えられる点である。作業室41、42、43は、例えば、クリーンルームである。なお、図11では、作業室41、42、43内部の構成は、先の実施形態の作業室27と同一構造であるため、詳細な説明を省略する。
図11に示すように、第1実施形態の別の形態の薬液鑑査システム40は、作業室41、42、43内でのそれぞれの混注作業及び鑑査作業における各薬液25bに関する調製DB24aを管理するサーバ24を備える。そして、第1実施形態の別の形態の薬液鑑査システム40は、それぞれの作業室41、42、43において、第1制御部30で露光部の露光状態を変化させてシリンジの撮像を行い、鑑査者による薬液25bの量の鑑査を可能とする。これにより、鑑査者は、複数の混注作業について、一つの鑑査室で、順次効率良く全ての鑑査を行うことができる。したがって、鑑査者は、各作業室を順番に移動して鑑査を行う必要なく鑑査を行うことができる。
本発明の前記実施形態によれば、色の濃い薬剤であっても、シリンジ25を露光する照明を工夫することにより、シリンジ25のガスケット25aと薬液25bとの境界を明確にし、ガスケット25aの位置を確実に読み取り、正確な薬液量を把握して、正確な鑑査ができる。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明の薬液鑑査装置は、色の濃い薬液であっても、薬液の正確な量に基づく正確な鑑査が可能であり、例えば、病院内のいくつかの異なる場所で混注作業及び鑑査作業を行う場合に、有用である。
1 クリーンルーム
2 調製室
3 撮像装置
4 鑑査室
5,7 表示部
6 入力装置
11 計量器
12 矯正手段
13 カメラ
14 照明手段
15 識別手段
16 薬液
17 パソコン
18 モニタ
20,40 薬液鑑査システム
21 撮像部
21a 撮像範囲
22 露光部
22a 発光面
22b 発光部
22c 消灯部
22d 光源
22e 透光領域
22f 遮光カバー
23 鑑査台
24 サーバ
24a 調製DB
24b 診療DB
24c エビデンス記録部
25 シリンジ
25a ガスケット
25b 薬液
25c 目盛り
25d 矢印
25e 露光領域
25f シリンダー
25g ピストン
25h 針
26 安全キャビネット
27,41,42,43 作業室
28 鑑査室
29 計量部
30 第1制御部
31 第1入力部
32 第1通話部
33 第2通話部
34 第2制御部
35 識別部
36 第1表示部
37 第2入力部
38,39 第2表示部
50 治具
50a 底板部
50b 先端カバー
50c 側部
50d 開口部
50e 係合凸部
50f 後端突出部
50g 傾斜面
50k 透明部材
51 薬液鑑査装置
52 鑑査確認装置

Claims (8)

  1. 内部に薬液が入ったシリンジを撮像して、前記シリンジ内の前記薬液の量を鑑査する薬液鑑査装置において、
    治具に載置された前記シリンジを撮像する撮像部と、
    前記治具に載置された前記シリンジを露光する露光部と、
    前記撮像部及び前記露光部を制御して前記薬液の鑑査情報を取得する第1制御部と、を備え、
    前記治具は、長方形の底板部と、先端カバーと、一対の側部と、透明部材とを有し、
    前記底板部は前記シリンジのシリンダーを平面視で少なくとも含む領域に開口部を有し、前記開口部の幅及び長さは、前記シリンダーの幅及び長さと略等しく、前記開口部に前記透明部材を嵌合し、前記先端カバーは、前記底板部の長手方向の先端に起立して配置し、前記一対の側部は、前記開口部を挟んで前記底板部の両側に起立して長手方向沿いに配置され、
    前記露光部は、光源と、透光領域を中央に有する遮光カバーとを備え、前記遮光カバーは、前記光源の上面を覆うように前記光源上に配置され、前記光源からの光は、前記透光領域のみを通って、前記シリンジの一部を下方から露光し、前記透光領域以外の部分は前記遮光カバーで遮光されて、前記光源からの光は透過せず、前記透光領域は、前記光源の幅方向における中央上面に長方形の直線帯状の係合凹部として形成され、前記治具の前記開口部の幅と同じ幅か又はそれ以上の幅を有し、
    前記治具は、底部に前記係合凹部が係合可能な直線帯状の凸部を有し、
    前記第1制御部は、前記透光領域及び前記透明部材を通して前記シリンジを前記露光部で露光した状態において前記シリンジを撮像した撮像画像の情報を、鑑査情報として、前記シリンジ内の前記薬液の量を鑑査者側の第2の制御部に送信する、
    薬液鑑査装置。
  2. 前記治具は、互いに異なる複数種類のシリンジのシリンダーの幅に対応して、前記透明部材の幅が互いに異なる複数種類準備された、
    請求項1に記載の薬液鑑査装置。
  3. 前記第1制御部は、前記シリンジ内の前記薬液に関する薬液色情報に基づいて前記露光部の露光状態を変化させるように前記露光部を制御する、
    請求項1又は2に記載の薬液鑑査装置。
  4. 前記第1制御部は、前記シリンジのガスケットを少なくとも含む領域を露光するように前記露光部を制御する、
    請求項1から3のいずれか1つに記載の薬液鑑査装置。
  5. 前記撮像部及び前記露光部及び前記治具を内部に配置するための安全キャビネットをさらに備える、
    請求項1から4のいずれか1つに記載の薬液鑑査装置。
  6. 鑑査者からの鑑査指示又は鑑査結果を表示可能な表示部を、前記安全キャビネットの内部にさらに備えた、
    請求項5に記載の薬液鑑査装置。
  7. 処方箋の情報及び前記薬液の種類を識別する識別部をさらに備え、
    前記第1制御部は、前記識別部により識別された前記処方箋の情報と前記薬液の種類と前記撮像部により撮像された前記シリンジの撮像画像とに基づいて、前記露光部の露光状態を変化させる、
    請求項1から6のいずれか1つに記載の薬液鑑査装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の薬液鑑査装置と、
    前記薬液鑑査装置から送信される前記鑑査情報を鑑査のために受信する鑑査確認装置と、を備え、
    前記鑑査確認装置は、前記安全キャビネットが載置された作業室とは異なる部屋である鑑査室に配置された、
    薬液鑑査システム。
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