JP6107680B2 - 発光装置およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、p電極とn電極とを同一面側に有したIII 族窒化物半導体からなる発光素子サブマウントとがはんだ層を介して接合された発光装置に関する。また、その発光装置の製造方法に関する。
p電極とn電極を同一面側に形成したFC型(フリップチップ型)のIII 族窒化物半導体からなる発光素子を、Au−Snからなるはんだ層を介してサブマウントと接合した発光装置が従来知られている(たとえば特許文献1)。
特許文献2には、2つの部材を以下のようにして接合する方法が記載されている。まず、一方の部材にAu−Sn層、他方の部材にAu層を形成する。そして、加熱・押圧してAu−Sn層とAu層を接合する。接合後においてAu層のAuをAu−Sn層へ拡散させ、Au−Sn層のSnの質量比を13wt%以下とする。Au−SnはSnの質量比が13%以下では融点が高いζ相が大半を占める。そのため、接合後、Au−Sn層の融点は上昇し、加熱により融解したAu−Sn層は固化する。Au−Sn層の融点が上昇するため、同様の接合工程を繰り返す場合、以前の接合に用いたAu−Sn層が再融解することがなく、部材間の位置ずれを防止することができる。
特開2007−300063号公報 特許第4514400号
しかし、p電極とn電極を同一面側とした発光素子では、はんだ層を介してサブマウントと接続する際、次のような問題があった。はんだ層を介してサブマウントと接合する際、加熱と加圧によってはんだ層は液体となるため、形状を維持できずはみ出して横方向に広がる。そのはみ出したはんだ層によってp電極とn電極とが接続されてショートしてしまう場合があった。
そこで本発明の目的は、はんだ層のはみ出しが抑制された発光装置の製造方法を実現することである。また、はんだ層のはみ出しが抑制された発光素子および発光装置を実現することである。
本発明は、p電極およびn電極が同一面側に位置した発光素子と、サブマウントとを、はんだ層を介して接合する発光装置の製造方法において、p電極およびn電極上にそれぞれ第1はんだ層を形成し、サブマウント上に第2はんだ層を形成し、第1はんだ層と第2はんだ層とを接触させて加熱することにより、第1はんだ層と第2はんだ層とを一体化させてはんだ層とすることで発光素子とサブマウントとを接合し、第1はんだ層は、Au層とAu−Sn層との積層を単位ペアとして、少なくとも2ペア以上積層された構造であって、Au−Sn層は、Auの質量比が78〜82wt%であり、第2はんだ層はAu層であり、接合後のはんだ層は、その全体でのAu質量比の平均が82〜90wt%であり、接合させるときの加熱温度は、Au−Sn層の融点よりも高く、はんだ層の融点よりも低い、ことを特徴とする発光装置の製造方法である。
発光素子は、p電極とn電極が同一面側に位置する構造であれば任意の構造であってよく、LEDでもLDでもよい。本発明は、特にIII 族窒化物半導体からなる発光素子を用いる場合に有効である。III 族窒化物半導体からなる発光素子は、成長基板としてサファイア基板を用いることが多く、その結果としてp電極とn電極とを同一面側とした構造が多く採用されているためである。
サブマウントは、発光素子と熱膨張係数が近く、放熱性の高い材料であることが望ましい。発光素子とサブマウントとの間の剥離を抑制し、発光素子の熱を効率的に逃がすためである。たとえば、AlN、SiCなどからなるセラミック基板を用いることができる。
本発明では、第1はんだ層のAu−Sn層のAu質量比を78〜82wt%として共晶点付近とすることで、第1はんだ層の融解を容易としている。より望ましく78〜80wt%である。
また、本発明では、接合後のはんだ層全体でのAu質量比の平均を82〜90wt%とすることで、接合時のSnの拡散でζ相が析出しないようにし、液相中にζ相が析出する範囲とすることで、はんだ層がもろくならないようにしている。より望ましくは82〜86wt%である。
また、第1はんだ層のAu層とAu−Sn層の積層数は、2ペア以上であれば任意の積層数でよいが、4ペア以下であることが望ましい。4ペアよりも多いと第1はんだ層全体の厚さが増大し、またAu−Sn層の合計の厚さも増大してしまい、はんだ層のはみ出しを抑制する効果が損なわれる場合があるためである。
第1はんだ層の最表層(第1はんだ層の積層構造において最も表面側の層)は、Au層とすることが望ましい。最表層をAu層とすることで、第1はんだ層のAu−Sn層の酸化を防止することができる。最表層のAu層の厚さは、5〜100nmとすることが望ましい。この範囲であれば、第1はんだ層と第2はんだ層との接合に影響を与えずに、Au−Sn層の酸化を防止することができる。より望ましくは30〜80nmである。
第1はんだ層のAu−Sn層の総膜厚に対する、第1はんだ層および第2はんだ層のAu層の総膜厚の比は、0.15〜0.65であることが望ましい。このような範囲であれば、はんだ層のはみ出しをより抑制することができる。さらに望ましくは0.2〜0.6である。
第1はんだ層と第2はんだ層の膜厚の合計は2〜6μmであることが望ましい。この範囲であれば、発光素子のp電極とn電極の高さの違い、およびサブマウントの表面粗さを吸収して接合することができ、接合後のはんだ層の厚さを抑えることができる。より望ましくは3〜5μmである。
第1はんだ層中の各Au−Sn層の厚さは1μm以下であることが望ましい。1μm以下であれば、はんだ層のはみ出しをより抑制することができる。より望ましくは0.4〜0.7μmとすることである。
p電極とn電極の離間距離に対する、第1はんだ層と第2はんだ層の膜厚の合計の比は、0.015〜0.1であることが望ましい。この範囲であれば、p電極とn電極とがはんだ層のはみ出しによってショートしてしまうことが効果的に抑制される。さらに望ましくは0.025〜0.05である。
また、接合時の加熱温度は、Au−Sn層の融点よりも高く、はんだ層の融点よりも低い範囲であれば任意であるが、発光素子に対する熱ダメージを抑えるために280〜450℃とすることが望ましい。より望ましくは280〜400℃である。
また本発明は、p電極およびn電極が同一面側に位置し、p電極とn電極上にそれぞれ分離して第1はんだ層を有したIII 族窒化物半導体からなる発光素子において、第1はんだ層は、Au層とAu−Sn層との積層を単位ペアとして、少なくとも2ペア以上積層された構造であり、Au−Sn層は、Auの質量比が78〜82wt%である、ことを特徴とする発光素子である。
また本発明は、p電極およびn電極が同一面側に位置したIII 族窒化物半導体からなる発光素子と、サブマウントと、p電極およびn電極とサブマウントとを接続するはんだ層と、を有した発光装置において、はんだ層は、主としてζ相と、ζ’相とAuSnとの混晶によって構成されたAu−Snからなり、Au質量比が厚さ方向に増減を繰り返し、はんだ層全体におけるAu質量比は82〜90wt%である、ことを特徴とする発光装置である。
本発明によれば、Au−Sn層のSnがAu層に容易に拡散して融点が上昇し、固体になりやすくなる。そのため、はんだ層がはみ出してp電極とn電極とを短絡させてしまうことを防止することができる。また、はみ出しが抑制される結果、発光素子のp電極とn電極の距離をより短縮させることができ、発光素子の発熱を低減させることができる。これは、発光素子をLD(半導体レーザー)とする場合に特に有効である。
実施例1の発光装置の構成について示した図。 第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの構成を示した図。 発光素子1の製造工程について示した図。 サブマウント3の構成について示した図。 実施例1の発光装置の製造工程について示した図。 共晶点付近のAu−Sn合金状態図。 Au−Sn層21の結晶構造を模式的に示した図。 発光素子1の他の構成を示した図。 図8の発光素子の製造工程について示した図。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1の発光装置の構成について示した図である。図1のように、実施例1の発光装置は、III 族窒化物半導体からなる発光素子1と、はんだ層2と、サブマウント3によって構成されていて、発光素子1とサブマウント3とがはんだ層2を介して接合されている。
発光素子1は、III 族窒化物半導体からなるFC型(フリップチップ型)の発光素子である。発光素子1はサファイア基板10を有し、サファイア基板10上にIII 族窒化物半導体からなる半導体層11が形成された構造である。半導体層11は、サファイア基板10側から順にn層、発光層、p層が積層された構造である。半導体層11の一部領域にはp層側からn層に達する溝が設けられていて、溝の底面にはn層が露出している。半導体層11のp層上には、p電極12が設けられ、溝の底面に露出するn層上にはn電極13が設けられている。p電極12とn電極13は同一面側に形成され、光取り出しはサファイア基板10裏面(半導体層11側とは反対側の面)から行うFC型の構造となっている。
p電極12は、たとえば、p層側から順にAgなどからなる反射金属層、Ti/Ni/Au(ここで「A/B」はA、Bの順に積層させた構造を意味する。以下材料の説明において同様)などからなる拡散防止層が積層された構成である。また、n電極13は、n層側から順に、V/Ni、Ti/Al、V/Auなどからなるコンタクト層と、Ti/Ni/Auなどからなる拡散防止層が積層された構造である。拡散防止層は、はんだ層2の金属がp電極12、n電極13側に拡散するのを防止する層である。p電極12とn電極13は、100μm離れて位置している。
サブマウント3は、AlNからなる基板である。AlN以外にもSiCなどを用いることができる。サブマウント3上には図示しない電極パターンが形成されており、その電極パターンと発光素子1のp電極12、n電極13とがはんだ層2を介して接合されている。また、サブマウント3は、すでに各素子ごとに分割されているものを用いる。
はんだ層2は、p電極12上およびn電極13上にそれぞれ離間して形成された第1はんだ層2a(図2(a)参照)と、サブマウント3上に形成された第2はんだ層2b(図2(b)参照)とを熱圧着して一体化することにより形成された層である。第1はんだ層2aは、Au層20とAu−Sn層21の積層を1ペアとして、2〜4ペア繰り返し積層させ、さらに最表層としてAu層22が形成された構造である。最表層のAu層22は、Au−Sn層が酸化されて酸化スズを形成してしまうことを防止する目的で形成されている。また、第2はんだ層2bは、Au層である。
Au−Sn層21のAu質量比は78〜82wt%である。AuとSnの系はAu質量比80%で278℃に共晶点がある。そこでAu−Sn層21のAu質量比を共晶点付近である78〜82wt%とすることで、Au−Sn層21の融解を容易にしている。より望ましくは78〜80wt%である。また、各Au−Sn層21の厚さは1μm以下としている。これにより、発光素子1とサブマウント3との接合時に、融解したAu−Sn層21が素子主面に平行な方向(水平方向)に広がってはみ出すのを抑制している。より望ましくは0.4〜0.7μmである。
第1はんだ層2a中のAu−Sn層21の総膜厚に対する、第1はんだ層2a中のAu層20、22および第2はんだ層2bの総膜厚(つまりAuからなる層の総計)の比は、0.15〜0.65である。このような範囲とすることで、発光素子1とサブマウント3との接合時のAu−Sn層21のはみ出しを抑制している。より望ましくは0.2〜0.6とすることである。
接合前の第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの膜厚の合計は、2〜6μmである。この範囲とすることで、発光素子1のp電極12とn電極13の高さの違い、およびサブマウント3の表面粗さを吸収して発光素子1主面とサブマウント3主面が平行となるよう接合することができる。なお、発光素子1のp電極12、n電極13の高さの違いは、p電極12とn電極13を同一面側とするために、半導体層11にn層を露出させる溝を形成するため、その溝の深さ分の高さの違いが生ずるためである。より望ましい第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの膜厚の合計は3〜5μmである。
第1はんだ層2aの最表層であるAu層22は5〜100nmである。この範囲であれば、第1はんだ層2aと第2はんだ層2bとの接合に影響を与えずに、Au−Sn層21の酸化を防止することができる。より望ましくは30〜80nmである。
p電極12とn電極13の離間距離(実施例1では100μm)に対する、第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの厚さの合計の比は、0.015〜0.1である。このような範囲とすることで、p電極12とn電極13とがはんだ層2のはみ出しによってショートしてしまうことが効果的に抑制される。さらに望ましくは0.025〜0.05である。
このような構造の第1はんだ層2aと第2はんだ層2bを熱圧着して一体化したはんだ層2は、Au−Sn層21のSnがAu層20、22、第2はんだ層2bに拡散して全体としてAu質量比の平均が82〜90wt%となっている。また、第1はんだ層1aの構造に起因して、厚さ方向にAu質量比が増減を繰り返している。第1はんだ層2a中のAu層20、22、第2はんだ層2bであった領域はAu質量比が高く、第1はんだ層2a中のAu−Sn層21であった領域はAu質量比が低くなっている。また、はんだ層2は、主として、ζ相と、ζ’相とAuSnとの混晶とによって構成されている。また、ζ相は、ζ’相とAuSnとの混晶中に多数の粒状に存在し、そのζ相の結晶と、ζ’相とAuSnとの混晶との界面には、ζ’相が析出している。
はんだ層2全体のAu質量比の平均が82〜90wt%となるようにするのは、以下の理由による。はんだ層2全体のAu質量比の平均が90wt%より大きいと、発光素子1とサブマウント3との接合時に、はんだ層2がζ相となってしまい、はんだ層2がもろくなってしまう。また、はんだ層2全体のAu質量比の平均が82wt%より小さいと、Au−Sn層21のSn質量比が共晶点でのSn質量比よりも大きくなってしまう。そのため82〜90wt%としている。なお、より望ましくは82〜86wt%とすることである。
次に、実施例1の発光装置の製造工程について、図3〜5を参照に説明する。
まず、発光素子1の製造工程について、図3を参照に説明する。
サファイア基板10上に、MOCVD法によりn層、発光層、p層を順に積層して半導体層11を形成する(図3(a)参照)。原料ガスには、Ga源としてTMG(トリメチルガリウム)、Al源としてTMA(トリメチルアルミニウム)、In源としてTMI(トリメチルインジウム)、N源としてアンモニア、p型ドーパントガスとしてビスシクロペンタジエニルマグネシウム、n型ドーパントガスとしてシランを用いる。キャリアガスには水素と窒素を用いる。
次に、半導体層の一部をエッチングしてn層を露出させる。そして、半導体層11上にp電極12、エッチングにより露出したn層上にn電極13を形成する。これにより同一面側にp電極12とn電極13が形成される(図3(b)参照)。
次に、p電極12上とn電極13上にそれぞれ分離して第1はんだ層2aを形成する。第1はんだ層2aは、2源蒸着法によって形成する。他にもスパッタ法などによって形成してもよい。第1はんだ層2aは、Au層20、Au−Sn層21の順に繰り返し積層して形成する。また、Au層20とAu−Sn層21の積層を1ペアとして2〜4ペア繰り返し積層する。また、最表面にはAu層22を形成する。このAu層22は、Au−Sn層21の酸化を防止するための層である。Au層22の厚さは5〜100nmとする。また、Au−Sn層21のAu質量比は78〜82wt%とし、厚さは1μm以下とする。以上の製造工程により、図3(c)に示す発光素子1を製造する。
また一方で、図4のように、サブマウント3の電極パターン(図示しない)上には、Au層である第2はんだ層2bを蒸着法やスパッタ法などの方法によって形成する。
ここで、第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの厚さは、次のように設計する。Au−Sn層21の総膜厚に対する、Au層20、22および第2はんだ層2bの総膜厚の比が0.15〜0.65となるようにする。また、第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの膜厚の合計は、2〜6μmとする。また、p電極12とn電極13の離間距離に対する、第1はんだ層2aと第2はんだ層2bの厚さの合計の比は、0.015〜0.1とする。
次に、図3の工程により作製した発光素子1と、図4に示す構成のサブマウント3との接合工程を、図5を参照にして説明する。
まず、図5(a)のように、p電極12、n電極13側の面をサブマウント3側に向けて発光素子1をボンディング装置4にセットし、発光素子1の第1はんだ層2aと、サブマウント3の第2はんだ層2bとの位置を合わせる。
次に、発光素子1の第1はんだ層2aとサブマウント3の第2はんだ層2bを接触させ、ボンディング装置4によって発光素子1をサブマウント3側に押圧する。また、サブマウント3を加熱する(図5(b)参照)。加熱温度は280〜450℃とする。
そして、この加熱によって、第1はんだ層2a中のAu−Sn層21を融解させるとともに、Au層20、22、第2はんだ層2bにAu−Sn層21中のSnを拡散させる。第1はんだ層2aはAu層20とAu−Sn層21の積層であるため、Au−Sn層21がAu層20に接する面積が広く、効率的にSnは拡散する。これにより、第1はんだ層2aと第2はんだ層2bとを一体化させてはんだ層2を形成し接合する(図5(c)参照)。第1はんだ層2aの積層構造に由来して、はんだ層2中のAu質量比は、厚さ方向に増減を繰り返す分布となっている。また、はんだ層2全体としてのAu質量比は82〜90wt%である。
Snの拡散により、はんだ層2中のAu層20、22、第2はんだ層2bであった領域は、主としてAuにSnが固溶した状態となる。一方、Au−Sn層21は相対的にAu質量比が増加する。そのため、Au−Sn層21は液相からζ相と液相が混在した状態へと移行し、液相中に固体のζ相が析出する。その結果、はんだ層2におけるAu−Sn層21であった領域は液相の割合が低くなり、接合時のはんだ層2のはみ出しは低減される。
なお、接合時の加熱温度は、Au−Sn層21の融点よりも高く、接合後のはんだ層2の融点(はんだ層2全体のAu質量比の平均でのAu−Snが完全に融解する温度)よりも低い範囲であれば任意であるが、発光素子1に対する熱ダメージを抑えるために280〜450℃とすることが望ましい。より望ましくは280〜400℃である。
接合時のAu−Sn層21の状態を図6、7を参照により詳細に説明する。図6は、共晶点付近でのAu−Snの合金状態図、図7はAu−Sn層21の結晶構造の遷移を模式的に示した図である。共晶点はSn質量比20%(Au質量比80%)で278℃である。
Au−Sn層21はAu質量比が78〜82wt%であり、共晶点付近である。そのため、図6の状態A、および図7(a)のように、接合時の280〜450℃の加熱により、Au−Sn層21は完全に液体となる。
その後、液体のAu−Snから、Au層20、22、第2はんだ層2bへとSnが拡散する。そのため、相対的にAu−SnのAu質量比は増加する。図6の状態Aから液相線を越えて状態Bへ移行する。状態Bは、固体のζ相と液相が混在した相である。ただし、はんだ層2全体としてのAu質量比は82〜90wt%となるようにしているため、Au質量比が増加しすぎて状態Dまで移行し、完全に固体のζ相の状態までは移行しないようにしている。状態Dまで移行すると、液相のすべてが固体のζ相に転移していまい、ζ相はもろいためにはんだ層2ももろくなってしまうからである。
状態Aから状態Bへと移行することで、図7(b)のように、Au−Snの液相中に多数の粒状のζ相が析出する。したがって、状態Aに比べて液相の割合が低下し、流動的な部分が減少する。その結果、発光素子1とサブマウント3との接合時においてはんだ層2の流動的な部分が少なく、はんだ層2のはみ出しが低減される。
その後、自然冷却により図6の状態Bから状態Cに移行する。この移行はAu質量比が保たれており、固相線を越えて状態が移行する。状態Cは、ζ’相(Au5 Sn)とδ相(AuSn)の2種類の結晶が混合した共晶である。したがって、はんだ層2中のAu−Sn層21であった領域には、ζ’相とδ相の共晶中に、多数の粒状のζ相が点在した結晶構造が見られる。また、その共晶とζ相との境界にはζ’相が析出している(図7(c)参照)。
以上、実施例1の発光装置の製造方法によれば、発光素子1とサブマウント3とをはんだ層2を介して接合する際に、はんだ層2が発光素子1の主面方向に広がってはみ出してしまうことが抑制されている。そのため、はみ出したはんだ層2がp電極12とn電極13とを接続してショートしてしまうことが抑制されている。またこの結果、p電極12とn電極13との離間距離を従来よりも短くすることができ、発光素子1の発熱を低減することができる。このような発熱の低減は、発光素子1がLD(レーザーダイオード)である場合に特に有効である。
[第1実験例]
第1はんだ層2aのペア数を2とし、Au層20、Au−Sn層21の厚さを下記表1のように設計した実験例1〜8の発光装置を作製した。Au層22の厚さは0.05μm、第2はんだ層2bの厚さは0.5μmとした。また、各実験例についてAu−Sn層21のAu質量比は78wt%と82wtの2通りで作製した。
Figure 0006107680
表1のように、Au−Sn層21の質量比が78wt%、82wt%のいずれの場合でも、接合後のはんだ層2全体のAu質量比の平均は82〜90wt%の範囲であった。また、膜厚比(Au−Sn層21の総膜厚に対するAu層20、22、第2はんだ層2bの総膜厚の比)は0.15〜0.65の範囲であった。いずれの実験例でもはんだ層2のはみ出しが抑制されており、はみ出したはんだ層2がp電極12とn電極13間をショートさせることはなかった。
[第2実験例]
第1はんだ層2aのペア数を4とし、Au層20、Au−Sn層21の厚さを下記表2のように設計した実験例9〜16の発光装置を作製した。Au層22の厚さは0.05μm、第2はんだ層2bの厚さは0.5μmとした。また、各実験例についてAu−Sn層21のAu質量比は78wt%と82wtの2通りで作製した。
Figure 0006107680
表2のように、Au−Sn層21の質量比が78wt%、82wt%のいずれの場合でも、接合後のはんだ層2全体のAu質量比の平均は82〜90wt%の範囲であった。また、膜厚比(Au−Sn層21の総膜厚に対するAu層20、22、第2はんだ層2bの総膜厚の比)は0.15〜0.65の範囲であった。いずれの場合もはんだ層2のはみ出しが抑制されており、はみ出したはんだ層2がp電極12とn電極13間をショートさせることはなかった。
また、Au−Sn層21の厚さを1μm以下とした実験例7〜9、11〜16については、はんだ層2のはみ出しがより抑制されていることが確認できた。
なお、実施例1における発光素子1の構造は、p電極とn電極が同一面側に位置する構造であれば任意の構造の発光素子であってよい。
たとえば、図8の構成の発光素子200であってもよい。発光素子200は、以下の点で発光素子1と構成が異なっている。まず、発光素子1ではn層を露出させるために溝を設けているが、発光素子200では設けていない。溝に替えてドット状の複数の孔201を形成している。孔201は、半導体層11のn層に達する深さであり、孔201の底面にはn層が露出する。また、半導体層11上であってn電極13を形成する領域は、絶縁膜202が形成されている。その絶縁膜202は、孔201側面も覆っている。ただし、孔201底面は絶縁膜202に覆われていない。そして、絶縁膜202上にn電極13が形成されていて、孔201底面に露出するn層に接触している。n電極13上には第1はんだ層2aが形成されている。
孔201が形成されているため、n電極13も孔201の領域に沿って凹んでおり、n電極13表面に段差が生じている。また、n電極13上に形成される第1はんだ層2aにも、同じく凹みがあり、表面に段差が生じている。この凹みによる段差部分を除いたn電極13表面と、p電極12表面はおよそ同一面内となっている。その結果、n電極13側の第1はんだ層2a表面のうち段差部分を除いた部分と、p電極12側の第1はんだ層2a表面もおよそ同一面内となっている。そのため、発光素子200とサブマウント3との接合時に、第1はんだ層2aの高さの違いに起因するはんだ層2のはみ出しが抑制されている。
発光素子200は、以下のようにして作製することができる。発光素子1の製造工程の図3(a)までは同一の工程である。その図3(a)の工程の後、半導体層11の一部をエッチングして複数のドット状の孔201を形成する(図9(a)参照)。孔201の深さはn層が露出する深さである。
次に、半導体層11上のうちn電極13を形成する領域に、SiO2 などからなる絶縁膜202を形成する。この絶縁膜202は、孔201側面を覆い、底面は覆わないようにパターニングする(図9(b)参照)。
次に、半導体層11上の所定領域にp電極12、絶縁膜202上にn電極13を形成する。(図9(c)参照)。p電極12とn電極13の厚さは等しくする。n電極13は孔201に沿って形成されるため、その孔201の領域は凹みが生じ、n電極13表面に段差が生じる。その段差部分を除いたn電極13表面とp電極12表面は、n電極13の厚さとp電極12の厚さが等しいため、およそ同一面内となる。
次に、p電極12上とn電極13上にそれぞれ分離して第1はんだ層2aを形成する。第1はんだ層2aは、実施例1の発光素子1における構成と同様の構成である。ただし、n電極13側の第1はんだ層2aは、凹みを有したn電極13に沿って形成されるため、第1はんだ層2aにも孔201の形成領域に凹みが生じ、表面に段差が生じている。ここで、段差部分を除いたn電極13表面とp電極12表面とは同一面内となっているため、段差部分を除いたn電極13側の第1はんだ層2a表面と、p電極12側の第1はんだ層2a表面も、およそ同一面内となる。以上の製造工程により、図8に示す発光素子200が製造される。
また、実施例1ではサブマウント3は各素子ごとに分割されたものを用いたが、分割前のウェハ状のものを用い、接合後にサブマウント3を各素子ごとに分割するようにしてもよい。
また、実施例1では第1はんだ層2aにおけるAu層20とAu−Sn層21の積層数を2〜4ペアとしているが、本発明は2ペア以上であれば任意のペア数でよい。ただし、ペア数が多くなると第1はんだ層2aが厚くなってしまうため4ペア以下とするのが望ましい。
本発明の発光素子は、照明装置、表示装置などの光源として利用することができる。特に、LDをサブマウント上に実装する際に本発明は有効である。
1、200:発光素子
2:はんだ層
2a:第1はんだ層
2b:第2はんだ層
3:サブマウント
10:サファイア基板
11:半導体層
12:p電極
13:n電極
20、22:Au層
21:Au−Sn層
201:孔
202:絶縁膜

Claims (9)

  1. p電極およびn電極が同一面側に位置した発光素子と、サブマウントとを、はんだ層を介して接合する発光装置の製造方法において、
    前記p電極および前記n電極上にそれぞれ第1はんだ層を形成し、
    前記サブマウント上に第2はんだ層を形成し、
    前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とを接触させて加熱することにより、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層とを一体化させて前記はんだ層とすることで前記発光素子と前記サブマウントとを接合し、
    前記第1はんだ層は、Au層とAu−Sn層との積層を単位ペアとして、少なくとも2ペア以上積層された構造であって、前記Au−Sn層は、Auの質量比が78〜82wt%であり、
    前記第2はんだ層はAu層であり、
    接合後の前記はんだ層は、その全体でのAu質量比の平均が82〜90wt%であり、
    接合させるときの加熱温度は、前記Au−Sn層の融点よりも高く、前記はんだ層の融点よりも低い、
    ことを特徴とする発光装置の製造方法。
  2. 前記第1はんだ層の前記Au−Sn層の総膜厚に対する、前記第1はんだ層および前記第2はんだ層の前記Au層の総膜厚の比は、0.15〜0.65であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記第1はんだ層と前記第2はんだ層の膜厚の合計は、2〜6μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法。
  4. 各前記Au−Sn層の厚さは1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  5. 前記第1はんだ層は、前記単位ペアが4ペア以下積層された構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  6. 前記第1はんだ層は、最表層がAu層であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  7. 前記p電極と前記n電極の離間距離に対する、前記第1はんだ層と前記第2はんだ層の膜厚の合計の比は、0.015〜0.1であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  8. 前記加熱温度は、280〜450℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
  9. p電極およびn電極が同一面側に位置したIII 族窒化物半導体からなる発光素子と、サブマウントと、前記p電極および前記n電極と前記サブマウントとを接続するはんだ層と、を有した発光装置において、
    前記はんだ層は、主としてζ相と、ζ’相とAuSnとの混晶によって構成されたAu−Snからなり、Au質量比が厚さ方向に増減を繰り返し、前記はんだ層全体におけるAu質量比は82〜90wt%である、
    ことを特徴とする発光装置。
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