JP6107356B2 - 静電保護回路、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents

静電保護回路、電気光学装置、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、静電保護回路、当該静電保護回路を搭載した電気光学装置、及び当該電気光学装置を搭載した電子機器に関する。
電気光学装置としてのアクティブ駆動型の液晶装置では、光を変調する画素や当該画素を駆動する半導体回路(走査線駆動回路、データ線駆動回路など)などを有している。当該液晶装置では、画素や半導体回路などを構成するトランジスターが静電気によって回復不能な静電ダメージを受けることがあり、静電気の影響を抑制する静電気対策が重要である。例えば、特許文献1では静電保護回路を設けた液晶装置が提案されている。
図12は、特許文献1に記載の静電保護回路の等価回路である。図12に示すように、特許文献1に記載の静電保護回路500は、p型トランジスター504、n型トランジスター505、及び容量506,507などを有している。p型トランジスター504のソース及びゲートは、高電位配線502に接続され、電位VHが供給されている。n型トランジスター505のソース及びゲートは、低電位配線503に接続され、電位VHよりも低電位の電位VLが供給されている。p型トランジスター504のドレイン及びn型トランジスター505のドレインは、信号配線501に接続されている。容量506は、高電位配線502と信号配線501との間に設けられ、容量507は、低電位配線503と信号配線501との間に設けられている。信号配線501は、抵抗Rを有し、静電気から保護したい半導体回路に接続されている。
信号配線501の電位がVL〜VHの範囲にある場合、p型トランジスター504及びn型トランジスター505はオフ状態にあり、信号配線501、高電位配線502、及び低電位配線503は電気的に干渉することはなく、液晶装置は正常に動作する。静電気によって配線501の電位がVL〜VHの範囲から逸脱すると、p型トランジスター504及びn型トランジスター505のいずれかがオン状態になる。例えば、静電気によって信号配線501の電位がVHよりも高くなると、p型トランジスター504がオン状態になる。静電気によって信号配線501の電位がVLよりも低くなると、n型トランジスター505がオン状態になる。このように、静電気によって信号配線501の電位が変化すると、高電位配線502及び低電位配線503のいずれかと、信号配線501とが導通状態となる。そして、静電気によって信号配線501に付加された電荷は、導通状態になった高電位配線502及び低電位配線503のいずれかに分配され、静電気による信号配線501の電位の変化が小さくなる。静電気による信号配線501の電位の変化が小さくなるので、信号配線501に接続されている半導体回路の回復不能な静電ダメージ(静電破壊)が抑制される。
容量506,507は、静電保護回路500を構成するp型トランジスター504及びn型トランジスター505に、静電気による回復不能な静電ダメージ(静電破壊)が発生することを抑制する役割を有している。詳しくは、静電気によって信号配線501に瞬間的に大きな電位が加わると、抵抗Rと容量506,507との組み合わせによるCR回路が動作し、信号配線501の急激な電位変化が抑制される。その結果、静電保護回路500を構成するp型トランジスター504及びn型トランジスター505の静電破壊が抑制される。
特開2006−18165号公報
しかしながら、特許文献1に記載の静電保護回路500を実現するための具体的方法が不明確であるという課題があった。さらに、静電保護回路500に容量506,507を付加しようとすると、容量506,507を形成するために工数が増加する恐れがあるという課題もあった。このため、本発明は、工数増を抑制しながら上述の容量506,507を有する静電保護回路500を実現し、静電保護回路500を構成するトランジスターに対する静電気の影響(静電破壊)を抑制すること、並びに当該静電保護回路を適用することによって静電気の影響を受けにくい電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る静電保護回路は、容量電極と、前記容量電極を覆う容量絶縁膜と、第1のゲート電極と第1の半導体層とを有するp型トランジスターと、第2のゲート電極と第2の半導体層とを有するn型トランジスターと、を含み、前記p型トランジスター及び/または前記n型トランジスターは前記容量絶縁膜を介して前記容量電極に対向し、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記第1のゲート電極とは第1の電源配線に接続され、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記第2のゲート電極とは第2の電源配線に接続され、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方とは信号配線に接続され、前記第1の電源配線の電位は前記第2の電源配線の電位よりも高く、前記容量電極は前記第1の半導体層及び/または前記第2の半導体層に対向配置されていることを特徴とする。
本適用例に係る静電保護回路は、容量電極と、容量電極を覆う容量絶縁膜と、第1のゲート電極と第1の半導体層とを有するp型トランジスターと、第2のゲート電極と第2の半導体層とを有するn型トランジスターと、を有している。p型トランジスター及び/またはn型トランジスターは容量絶縁膜を介して容量電極に対向配置され、第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方(以降、第1のソース領域と称す)と第1のゲート電極とは第1の電源配線に接続され、第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方(以降、第2のソース領域と称す)と第2のゲート電極とは第2の電源配線に接続され、第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方(以降、第1のドレイン領域と称す)と前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方(以降、第2のドレイン領域と称す)とは信号配線に接続されている。すなわち、p型トランジスターの第1のゲート電極と第1のソース領域とは第1の電源配線に接続され、n型トランジスターの第2のゲート電極と第2のソース領域とは第2の電源配線に接続され、p型トランジスターの第1のドレイン領域とn型トランジスターの第2のドレイン領域とは信号配線に接続されている。
第1の電源配線の電位は第2の電源配線の電位よりも高く、信号配線の電位は第2の電源配線の電位から前記第1の電源配線の電位の範囲にある場合、p型トランジスター及びn型トランジスターはオフ状態となり、第1の電源配線、第2の電源配線、及び信号配線は電気的に干渉することは無い。
信号配線に静電気が作用し、信号配線の電位が第2の電源配線の電位から前記第1の電源配線の電位の範囲から逸脱すると、p型トランジスター及びn型トランジスターのいずれかは、オン状態(導通状態)になる。例えば、静電気によって信号配線の電位が、第1の電源配線の電位よりも高くなると、p型トランジスターがオン状態(導通状態)になる。静電気によって信号配線の電位が、第2の電源配線の電位よりも低くなると、n型トランジスターがオン状態(導通状態)になる。その結果、静電気による電荷は、信号配線と導通状態となったトランジスターに接続されている電源配線とで分配され、静電気による信号配線の電位の変化が小さくなり、信号配線に接続されている半導体回路の静電ダメージ(静電破壊)が抑制される。
また、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターの半導体層と容量電極との間で容量が形成されている。信号配線に静電気が作用した場合に、当該容量及び信号配線の配線抵抗によるCR回路によって、静電気による信号配線の急激な電位の変化が抑制され、緩やかな電位の変化となる。その結果、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターは静電気の影響を受けにくくなり、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターに対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)が抑制される。
[適用例2]上記適用例に記載の静電保護回路において、前記容量電極は、前記第1の半導体層に対向配置された第1の容量電極と、前記第2の半導体層に対向配置された第2の容量電極と、を有し、前記第1の容量電極は、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方に接続され、前記第2の容量電極は、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、容量電極は、p型トランジスターの第1の半導体層に対向配置された第1の容量電極と、n型トランジスターの第2の半導体層に対向配置された第2の容量電極とを有している。さらに、第1の容量電極は、p型トランジスターの第1の半導体層の第1のソース領域に接続され、第2の容量電極は、n型トランジスターの第1の半導体層の第1のソース領域に接続されている。その結果、p型トランジスターでは第1の容量電極と第1のドレイン領域との間に容量が形成され、n型トランジスターでは第2の容量電極と第2のドレイン領域との間に容量が形成される。従って、信号配線に静電気が作用した場合に、当該容量及び信号配線の配線抵抗によるCR回路によって、静電気による信号配線の急激な電位の変化が抑制され、緩やかな電位の変化となる。その結果、p型トランジスター及びn型トランジスターは静電気の影響を受けにくくなり、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターに対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)が抑制される。
[適用例3]上記適用例に記載の静電保護回路において、前記容量電極は、前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層に跨って対向配置され、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方、及び前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方に接続されていることが好ましい。
本適用例によれば、容量電極は、p型トランジスターの第1の半導体層及びn型トランジスターの第2の半導体層に跨って対向配置されている。さらに、容量電極は、p型トランジスターの第1のドレイン領域及びn型トランジスターの第2のドレイン領域に接続されている。その結果、p型トランジスターでは容量電極と第1のソース領域との間に容量が形成され、n型トランジスターでは容量電極と第2のソース領域との間に容量が形成される。信号配線に静電気が作用した場合に、当該容量及び信号配線の配線抵抗によるCR回路によって、静電気による信号配線の急激な電位の変化が抑制され、緩やかな電位の変化となる。その結果、p型トランジスター及びn型トランジスターは静電気の影響を受けにくくなり、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターに対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)が抑制される。
[適用例4]上記適用例に記載の静電保護回路において、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記第1の容量電極とが重なった領域の面積は、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記第1の容量電極とが重なった領域の面積よりも大きく、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記第2の容量電極とが重なった領域の面積は、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記第2の容量電極とが重なった領域の面積よりも大きいことが好ましい。
本適用例によれば、p型トランジスターでは、第1の容量電極は第1のソース領域に接続され、第1の容量電極と第1のドレイン領域との間に容量が形成されている。当該容量の容量値は、第1の容量電極と第1のドレイン領域とが重なる領域の面積に依存する。第1のドレイン領域の面積は、第1のソース領域の面積よりも大きくなっているので、p型トランジスターに形成される容量の容量値を大きくすることができる。n型トランジスターでは、第2の容量電極は第2のソース領域に接続され、第2の容量電極と第2のドレイン領域との間に容量が形成されている。当該容量の容量値は、第2の容量電極と第2のドレイン領域とが重なる領域の面積に依存する。第2のドレイン領域の面積は、第2のソース領域の面積よりも大きくなっているので、n型トランジスターに形成される容量の容量値を大きくすることができる。従って、信号配線に静電気が作用した場合に、静電気による信号配線の電位の変化がより強く抑制され、より緩やかな電位の変化となる。その結果、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターは静電気の影響をさらに受けにくくなり、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターに対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)をより強く抑制することができる。
[適用例5]上記適用例に記載の静電保護回路において、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記容量電極とが重なった領域の面積は、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記容量電極とが重なった領域の面積よりも大きく、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記容量電極とが重なった領域の面積は、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記容量電極とが重なった領域の面積よりも大きいことが好ましい。
本適用例によれば、p型トランジスターでは、容量電極は第1のドレイン領域に接続され、容量電極と第1のソース領域との間に容量が形成されている。当該容量の容量値は、第1の容量電極と第1のソース領域とが重なる領域の面積に依存する。第1のソース領域の面積は、第1のドレイン領域の面積よりも大きく、p型トランジスターに形成される容量の容量値を大きくすることができる。n型トランジスターでは、容量電極は第2のドレイン領域に接続され、容量電極と第2のソース領域との間に容量が形成されている。当該容量の容量値は、容量電極と第2のソース領域とが重なる領域の面積に依存する。第2のソース領域の面積は、第2のドレイン領域の面積よりも大きく、n型トランジスターに形成される容量の容量値が大きくすることができる。従って、信号配線に静電気が作用した場合に、静電気による信号配線の電位の変化がより強く抑制され、より緩やかな電位の変化となる。その結果、p型トランジスター及びn型トランジスターは静電気の影響をさらに受けにくくなり、p型トランジスター及び/またはn型トランジスターに対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)をより強く抑制することができる。
[適用例6]本適用例に記載の電気光学装置は、画素トランジスターが配置された画素と、前記画素を駆動する半導体回路と、前記半導体回路に電気信号を供給する配線と、を含み、前記配線には、上記適用例に記載の静電保護回路が接続されていることを特徴とする。
本適用例に係る電気光学装置は、画素トランジスターが配置された画素と、画素を駆動する半導体回路と、半導体回路に電気信号を供給する配線とを有している。さらに、当該配線には、上記適用例に記載の静電保護回路が接続されている。当該静電保護回路によって、静電気による配線の急激な電位変化が抑制されるので、配線に接続されている半導体回路に静電気の影響を受けにくくし、半導体回路における回復不能な静電ダメージ(静電破壊)を抑制することができる。
[適用例7]上記適用例に記載の電気光学装置において、前記画素に走査信号を供給する走査線を有し、前記画素トランジスターは前記容量絶縁膜を介して前記走査線に対向配置され、
前記容量電極及び前記走査線は、同じ材料で構成されていることが好ましい。
本適用例に係る電気光学装置では、画素に走査信号を供給する走査線及び静電保護回路の容量電極は、同じ材料で形成されている。よって、同じ工程で走査線及び容量電極を形成することができる。画素の走査線及び静電保護回路の容量電極は、同じ容量絶縁膜で覆われている。さらに、画素トランジスター及び静電保護回路を構成するトランジスター(p型トランジスター、n型トランジスター)を、同じ材料(同じ工程)で形成することによって、新たな工数の増加を招くことなく、静電保護回路に容量を形成することができる。従って、静電ダメージの影響を受けにくい静電保護回路(容量を有する静電保護回路)を備えた電気光学装置の生産性を、高めることができる。
[適用例8]本適用例に記載の電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする。
本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備え、当該電気光学装置は、静電保護回路によって静電気の影響を受けにくくなっている(静電破壊されにくくなっている)。例えば、投射型表示装置、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)、直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、POSなどの情報端末機器、及び電子手帳などの電子機器に、上記適用例に記載の電気光学装置を適用させることで、静電気の影響を受けにくい高い信頼性の電子機器を提供することができる。
実施形態1に係る液晶装置の構成を示す概略平面図。 図1のH−H’線で切った概略断面図。 実施形態1に係る液晶装置の主要な回路構成を示す回路図。 画素が配置された領域の等価回路図。 画素の模式断面図。 実施形態1に係る静電保護回路の等価回路図。 実施形態1に係る静電保護回路の概略平面図。 図7のA−A'線に沿った概略断面図。 実施形態2に係る静電保護回路の概略平面図。 図9のD−D'線に沿った概略平面図。 投射型表示装置の構成を示す概略図。 特許文献1に係る静電保護回路の等価回路図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「液晶装置の概要」
実施形態1に係る液晶装置100は、電気光学装置の一例であり、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;以降TFTと称す)30を備えた透過型の液晶装置である。本実施形態に係る液晶装置100は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子として好適に使用することができるものである。
まず、本実施形態に係る電気光学装置としての液晶装置100の全体構成について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、液晶装置の構成を示す概略平面図である。図2は、図1のH−H’線で切った概略断面図である。図3は、液晶装置の主要な回路構成を示す回路図である。図4は、画素が配置された領域の等価回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る液晶装置100は、互いに対向配置された素子基板10及び対向基板20や、これら一対の基板によって挟持された液晶層50などを有する。
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材52を介して接着され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材52には、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用され、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
額縁状に配置されたシール材52の内側には、同じく額縁状に遮光膜53が設けられている。遮光膜53は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜53の内側が表示領域Eとなる。表示領域Eには、画素Pがマトリックス状に複数配置されている。
素子基板10の複数の外部回路接続端子102が配列された第1の辺と該第1の辺に沿ったシール材52との間には、データ線駆動回路101が設けられている。該第1の辺と表示領域Eとの間には、サンプリング回路7が設けられている。該第1辺と直交し互いに対向する他の第2の辺、第3の辺に沿ったシール材52と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路104が設けられている。該第1の辺と対向する他の第4の辺に沿ったシール材52と表示領域Eとの間には、2つの走査線駆動回路104を繋ぐ配線105が設けられている。さらに、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104、及び上下導通部106と、外部回路接続端子102とを電気的に接続するための引回配線90が設けられている。
なお、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、及び走査線駆動回路104は、本発明における「半導体回路」の一例である。
図2に示すように、素子基板10は、素子基板本体10a、並びに素子基板本体10aの液晶層50側の面に形成されたTFT30や画素電極9a、及び画素電極9aを覆う配向膜18などを有している。素子基板本体10aは、例えば石英やガラスなどの透明材料で構成されている。また、TFT30や画素電極9aは画素Pの構成要素である。画素Pの詳細は後述する。
なお、TFT30は、本発明における「画素トランジスター」の一例である。
さらに、ここでは図示しないが、素子基板10上には、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104の他に、後述する静電保護回路300(図3参照)が設けられている。これに加えて、製造途中や出荷時の液晶装置100の品質、欠陥等を検査するための検査回路などの半導体回路が設けられていてもよい。
対向基板20は、対向基板本体20a、並びに対向基板本体20aの液晶層50側の面に順に積層された遮光膜53、絶縁膜22、対向電極23、及び配向膜24などを有している。
対向基板本体20aは、例えば石英やガラスなどの透明材料で構成されている。
遮光膜53は、図1に示すようにサンプリング回路7や走査線駆動回路104などと平面的に重なり、対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これら回路の光による誤動作を防止する役割を有している。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
絶縁膜22は、例えばシリコン酸化物などの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜53を覆うように設けられている。また、絶縁膜22は、遮光膜53によって基板上に生じる凹凸を緩和する平坦化層としても機能している。
対向電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、絶縁膜22を覆うと共に、表示領域Eに亘って形成される。対向電極23は、図1に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により、素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
画素電極9aを覆う配向膜18及び対向電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて設定されており、本実施形態では、シリコン酸化物などの無機材料の斜め蒸着膜(無機配向膜)で構成されている。また、配向膜18,24は、ポリイミドなどの有機配向膜を使用してもよい。
図3に示すように、走査線駆動回路104には、外部回路から外部回路接続端子102及び走査線駆動回路用電源配線94を介して、低電位電源VSSYの電位及び高電位電源VDDYの電位が供給されている。低電位電源VSSYの電位は、接地電位(基準電位)、すなわち概略0Vである。高電位電源VDDYの電位は、低電位電源VSSYの電位よりも高く、概略15.5Vである。さらに、走査線駆動回路104には、外部回路から外部回路接続端子102及び走査線駆動回路用信号配線95を介してYクロック信号CLY(及び反転Yクロック信号CLYB)、Yスタートパルス信号DYが供給される。走査線駆動回路104は、これらの信号に基づいて走査信号G1,・・・,Gmを順次生成して出力する。
データ線駆動回路101には、外部回路から外部回路接続端子102及びデータ線駆動回路用電源配線91を介して、低電位電源VSSXの電位及び高電位電源VDDXの電位が供給されている。低電位電源VSSXの電位は、接地電位(基準電位)、すなわち概略0Vである。高電位電源VDDXの電位は、低電位電源VSSXの電位よりも高く、概略15.5Vである。さらに、データ線駆動回路101には、外部回路から外部回路接続端子102及びデータ線駆動回路用信号配線92を介してXクロック信号CLX(及び反転Xクロック信号CLXB)、及びXスタートパルス信号DXが供給される。データ線駆動回路101は、Xスタートパルス信号DXが入力されると、Xクロック信号CLX(及び反転Xクロック信号XCLXB)に基づくタイミングで、サンプリング信号S1,・・・,Snを順次生成して出力する。
サンプリング回路7は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT、若しくは相補型のTFTから構成されたサンプリングスイッチ7sを複数備えている。サンプリング回路7には、外部回路接続端子102及び画像信号線96を介して、画像信号VID1〜VID6の電位が供給されている。さらに、サンプリング回路7には、データ線駆動回路101からサンプリングスイッチ7s毎にサンプリング信号S1,・・・,Snが供給される。サンプリング回路7は、サンプリング信号S1,・・・,Snが入力されると、サンプリングスイッチ7sに対応するデータ線6aにサンプリング信号S1,・・・,Snに応じて画像信号を順次供給する。
図4に示すように、画素が配置された領域(表示領域E)には、互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線11a及び複数のデータ線6aと、走査線11aに対して平行に延在する容量線60が設けられている。走査線11aとデータ線6aとにより区分された領域に、画素電極9aと、TFT30と、蓄積容量70とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソース電極に電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号VS1,VS2,…,VSnは、この順に線順次に供給してもよいし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。本実施形態では、画像信号VS1,VS2,…,VSnは、6相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID6の夫々に対応して、6本のデータ線6aの組に対してグループ毎に供給される。画像信号の相展開数(即ち、シリアル−パラレル展開される画像信号の系列数)は、6相に限られるものでなく、例えば、9相、12相、24相など、複数相に展開された画像信号が、その展開数に対応した数を一組としたデータ線6aの組に対して供給されるように構成してもよい。
走査信号が供給される走査線11aは、TFT30のゲート電極3aに接続されている。走査線11a及びゲート電極3aには、走査信号G1,G2,…,Gmが、この順に線順次で供給される。画素電極9aは、TFT30のドレイン電極に電気的に接続されている。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1,G2,…,Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号VS1,VS2,…,VSnが所定のタイミングで、TFT30を介して画素電極9aに書き込まれる構成となっている。そして、画素電極9aを介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号VS1,VS2,…,VSnは、画素電極9aと液晶層50を介して対向配置された対向電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号VS1,VS2,…,VSnがリークするのを防止するために、画素電極9aと対向電極23との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、TFT30のドレインと容量線60との間に設けられている。
このような液晶装置100は透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも大きくて明表示となるノーマリーホワイトモードや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも小さくて暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光学設計に応じて、光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子(図示省略)が配置されて用いられる。
「配線及び静電保護回路」
次に、図3に戻り、液晶装置100の素子基板10に配置されている配線の概要や、静電保護回路300の配置位置などを説明する。
液晶装置100は、サンプリング回路7に画像信号VID1〜VID6を供給するための画像信号線96、走査線駆動回路104に電源を供給するための走査線駆動回路用電源配線94、走査線駆動回路104に駆動用の信号を供給するための走査線駆動回路用信号配線95、データ線駆動回路101に電源を供給するためのデータ線駆動回路用電源配線91、及びデータ線駆動回路101に駆動用の信号を供給するためのデータ線駆動回路用信号配線92などを有している。これら配線で、外部回路接続端子102と半導体回路(データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104等)とを接続する引回配線90(図1参照)が構成されている。
上述したように、走査線駆動回路用電源配線94には、低電位電源VSSYの電位(0V)及び高電位電源VDDYの電位(概略15.5V)が供給されている。データ線駆動回路用電源配線91には、低電位電源VSSXの電位(0V)及び高電位電源VDDXの電位(概略15.5V)が供給されている。その結果、高電位電源VDDYの電位が供給されている走査線駆動回路用電源配線94の電位、及び高電位電源VDDXの電位が供給されているデータ線駆動回路用電源配線91の電位は、低電位電源VSSYの電位が供給されている走査線駆動回路用電源配線94の電位、及び低電位電源VSSXの電位が供給されているデータ線駆動回路用電源配線91も高くなっている。
高電位電源VDDYの電位(概略15.5V)が供給されている走査線駆動回路用電源配線94、及び高電位電源VDDXの電位(概略15.5V)が供給されているデータ線駆動回路用電源配線91は、本発明における「第1の電源配線」の一例であり、以降、高電位電源配線VDDと称す。低電位電源VSSYの電位(0V)が供給されている走査線駆動回路用電源配線94、及び低電位電源VSSXの電位(0V)が供給されているデータ線駆動回路用電源配線91は、本発明における「第2の電源配線」の一例であり、以降、低電位電源配線VSSと称す。
上述したように、走査線駆動回路用信号配線95には、Yクロック信号CLY(及び反転Yクロック信号CLYB)やYスタートパルス信号DYなどが供給されている。データ線駆動回路用信号配線92には、Xクロック信号CLX(及び反転Xクロック信号CLXB)やXスタートパルス信号DXなどが供給されている。画像信号線96には画像信号VID1〜VID6が供給されている。これらYクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYB、Yスタートパルス信号DY、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXB、Xスタートパルス信号DX、及び画像信号VID1〜VID6の電位は、低電位電源配線VSSの電位(0V)から高電位電源配線VDDの電位(概略15.5V)の範囲にある。
Yクロック信号CLY(及び反転Yクロック信号CLYB)やYスタートパルス信号DYなどの電位が供給されている走査線駆動回路用信号配線95、Xクロック信号CLX(及び反転Xクロック信号CLXB)やXスタートパルス信号DXなどが供給されているデータ線駆動回路用信号配線92、及び画像信号VID1〜VID6が供給されている画像信号線96は、本発明における「信号配線」の一例であり、以降、信号配線Sと称す。
さらに、高電位電源配線VDD、低電位電源配線VSS、及び信号配線Sは、本発明における「配線」の一例である。
静電保護回路300は、外部回路接続端子102と半導体回路(データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104)との間に配置されている。すなわち、静電保護回路300は、画像信号線96、走査線駆動回路用電源配線94、データ線駆動回路用電源配線91、走査線駆動回路用信号配線95及びデータ線駆動回路用信号配線92の各々の途中に形成されている。静電保護回路300は、これら配線に静電気が印加された場合に静電気の影響を抑制する役割を有している。
詳細は後述するが、静電保護回路300は、信号配線S、低電位電源配線VSS、及び高電位電源配線VDDに接続されている。静電保護回路300の配置の状態を分かりやすくするために、図3では、静電保護回路300は静電気から保護したい配線(信号配線S)に配置され、低電位電源配線VSS及び高電位電源配線VDDと静電保護回路300との配線の状態は図示されていない。また、信号配線Sの電位は、低電位電源配線VSSから高電位電源配線VDDの範囲にあればよく、例えば高電位電源配線VDDの電位が供給されている走査線駆動回路用電源配線94やデータ線駆動回路用電源配線91も、静電気から保護したい信号配線Sとすることができる。本実施形態では、走査線駆動回路用電源配線94及びデータ線駆動回路用電源配線91にも、静電保護回路300が配置され、走査線駆動回路用電源配線94及びデータ線駆動回路用電源配線91に対する静電気の影響が抑制されている。
「画素の構成」
次に、図5を参照して、表示領域Eに配置されている画素Pの具体的な構成を説明する。図5は、画素を構成する各構成要素の断面的な位置関係を示す模式断面図であり、明示可能な尺度で表されている。
図5に示すように、画素Pは、素子基板本体10aに順に積層された、走査線11a等を含む第1層、TFT30等を含む第2層、データ線6a等を含む第3層、蓄積容量70等を含む第4層、及び画素電極9aや配向膜18等を含む第5層(最上層)を有している。第1層と第2層との間には容量絶縁膜12が、第2層と第3層との間には第1層間絶縁膜41が、第3層と第4層との間には第2層間絶縁膜42が、第4層と第5層との間には第3層間絶縁膜43が、それぞれ設けられており、上述した各要素が短絡することを防止している。
(第1層の構成−走査線等−)
第1層には、タングステンシリサイドからなる走査線11aが設けられている。走査線11aを構成する材料としては、タングステンシリサイドの他に、例えばチタンナイトライドやタングステンなどを使用することができる。走査線11aは、遮光性を有し、TFT30に下側から入射しようとする光を遮り、光によるTFT30の誤動作を抑制する。
(第2層の構成−TFT等−)
次に、第2層として、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、導電性の多結晶シリコン及びタングステンシリサイドからなるゲート電極3a、多結晶シリコンからなる半導体層1a、及びゲート電極3aと半導体層1aとを絶縁するシリコン酸化物からなるゲート絶縁膜2によって構成されている。半導体層1aは、高濃度ソース領域1dと、チャネル領域1a’と、高濃度ドレイン領域1eと、高濃度ソース領域1dとチャネル領域1a’との間に形成された接合領域(低濃度ソース領域1b)と、チャネル領域1a’と高濃度ドレイン領域1eとの間に形成された接合領域(低濃度ドレイン領域1c)とを有している。ゲート絶縁膜2は、半導体層1a及び容量絶縁膜12を覆うように設けられている。また、ゲート電極3aは、ゲート絶縁膜2を挟んで半導体層1aのチャネル領域1a’に対向配置されている。
(第1層と第2層との間の構成−容量絶縁膜等−)
走査線11aと半導体層1aとの間には、シリコン酸化物からなる容量絶縁膜12が設けられている。半導体層1aと接していない領域の容量絶縁膜12は、ゲート絶縁膜2で覆われている。走査線11a上の容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2には、コンタクトホール12cvが設けられている。このコンタクトホール12cvを埋めるようにゲート電極3aが設けられ、ゲート電極3aと走査線11aとは、コンタクトホール12cvを介して互いに接続され、同電位となっている。
(第3層の構成−データ線等−)
第3層には、データ線6a(ソース電極6a1)及び中継電極5a(ドレイン電極5a1)が設けられている。データ線6a及び中継電極5aは、金属等の導電材料で構成され、例えばアルミニウムからなる層と窒化チタンからなる層との二層構造を有している。データ線6aとソース電極6a1とは一体形成されており、TFT30の高濃度ソース領域1dと接する部分が、ソース電極6a1となる。中継電極5aとドレイン電極5a1とは一体形成されており、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと接する部分が、ドレイン電極5a1となる。
(第2層と第3層との間の構成−第1層間絶縁膜−)
ゲート電極3aとデータ線6aとの間には、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化物からなる第1層間絶縁膜41が設けられている。第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dとソース電極6a1とが電気的に接続するためのコンタクトホール81、及びTFT30の高濃度ドレイン領域1eとドレイン電極5a1とが電気的に接続するためのコンタクトホール83が設けられている。
(第4層の構成−蓄積容量等−)
第4層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、画素電極9aに接続され画素電位側容量電極としての上部電極73と、固定電位側容量電極としての下部電極71と、上部電極73と下部電極71とで挟まれた誘電体層75などで構成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。
上部電極73は、例えば金属等の導電材料で構成され、画素電極9aと中継電極5aとを中継接続する機能をもつ。上部電極73は、コンタクトホール89を介して画素電極9aに接続され、コンタクトホール85と中継電極5aとコンタクトホール83とを介してTFT30の高濃度ドレイン領域1eに接続されている。
下部電極71は、金属等の導電材料で構成され、例えばアルミニウムからなる層と窒化チタンからなる層との二層構造を有している。下部電極71の本線部は、走査線11aの配置方向に延在され、容量線60となる。つまり、下部電極71と容量線60とは、同電位(固定電位)になっている。
誘電体層75としては、例えばシリコン窒化物、酸化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルなどの単層膜や、これら単層膜のうち少なくとも2種以上の単層膜を積層した多層膜を用いることができる。
(第3層と第4層との間の構成−第2層間絶縁膜−)
データ線6a及び中継電極5aと、蓄積容量70との間には、例えばシリコン窒化物やシリコン酸化物などで構成される第2層間絶縁膜42が設けられている。第2層間絶縁膜42には、中継電極5aと上部電極73とを電気的に接続するためのコンタクトホール85が設けられている。
(第5層、及び第4層と第5層との間の構成−画素電極等−)
第5層には、画素電極9aが設けられている。画素電極9aは、画素P毎に島状に形成され、画素電極9a上には配向膜18が設けられている。そして、画素電極9aと蓄積容量70との間には、例えばシリコン窒化物やシリコン酸化物などからなる第3層間絶縁膜43が設けられている。第3層間絶縁膜43には、画素電極9aと上部電極73とを電気的に接続するためのコンタクトホール89が設けられている。
なお、上述した半導体回路(データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104など)は、上述した画素Pと同じ構造を有し、画素Pと同じ工程で(同じ機会に)形成されている。
「静電保護回路の構成」
次に図6乃至図8を参照して、静電保護回路300の具体的な構成を説明する。
図6は静電保護回路の等価回路図であり、図7は静電保護回路の概略平面図であり、図8は図7のA−A'線に沿った概略断面図である。図8は、静電保護回路を構成する各構成要素の断面的な位置関係を示しており、明示可能な尺度で表されている。
図6に示すように、静電保護回路300は、p型トランジスター310、n型トランジスター330、容量321、及び容量323を有している。
p型トランジスター310では、高電位側がソースとなり、低電位側がドレインとなる。静電気によって信号配線Sの電位が変化し、高電位電源配線VDDに接続されている側が低電位側(ドレイン)となり、信号配線Sが接続されている側が高電位側(ソース)となる場合もあるが、以降の説明では、p型トランジスター310における高電位電源配線VDDに接続されている側をソース、信号配線S側に接続されている側をドレインと称す。
例えば、図7及び図8に示すように、p型トランジスター310の半導体層311aは、不純物が高濃度に添加された領域(高濃度ソース領域311d、高濃度ドレイン領域311e)を有し、配線341(高電位電源配線VDD)に接続されている側を高濃度ソース領域311d、及び配線342(信号配線S)に接続されている側を高濃度ドレイン領域311eと称す。
n型トランジスター330では、低電位側がソースとなり、高電位側がドレインとなる。静電気によって信号配線Sの電位が変化し、低電位電源配線VSSに接続されている側が高電位側(ドレイン)となり、信号配線Sが接続されている側が低電位側(ソース)となる場合もあるが、以降の説明では、n型トランジスター330における低電位電源配線VSSに接続されている側をソース、信号配線S側に接続されている側をドレインと称す。
例えば、図7及び図8に示すように、n型トランジスター330の半導体層331aは、不純物が高濃度に添加された領域(高濃度ソース領域331d、高濃度ドレイン領域331e)を有し、配線343(低電位電源配線VSS)に接続されている側を高濃度ソース領域331d、及び配線342(信号配線S)に接続されている側を高濃度ドレイン領域331eと称す。
図6において、p型トランジスター310のゲート電極313及びソース電極314(高濃度ソース領域311d)は互いに接続されている。n型トランジスター330のゲート電極333及びソース電極334(高濃度ソース領域331d)は互いに接続されている。p型トランジスター310のドレイン電極315(高濃度ドレイン領域311e)及びn型トランジスター330のドレイン電極335(高濃度ドレイン領域331e)は互いに接続されている。
p型トランジスター310のゲート電極313及びソース電極314は、配線341に接続され、高電位電源配線VDDの電位が供給されている。n型トランジスター330のゲート電極333及びソース電極334は、配線343に接続され、低電位電源配線VSSの電位が供給されている。p型トランジスター310のドレイン電極315及びn型トランジスター330のドレイン電極335は、配線342に接続され、信号配線Sの電位が供給されている。換言すれば、p型トランジスター310のドレイン電極315及びn型トランジスター330のドレイン電極335は、配線342を介して静電気から保護したい信号配線Sに接続されている。
さらに、p型トランジスター310のソース電極314(高濃度ソース領域311d)とドレイン電極315(高濃度ドレイン領域311e)との間には、容量321が接続されている。n型トランジスター330のソース電極334(高濃度ソース領域331d)とドレイン電極335(高濃度ドレイン領域331e)との間には、容量323が接続されている。
かかる構成において、静電気の影響がない場合は、p型トランジスター310及びn型トランジスター330はオフ状態となり、配線342(信号線S)、配線341(高電位電源配線VDD)、及び配線343(低電位電源配線VSS)は電気的に干渉することはなく、液晶装置100は正常に動作する。静電気によって、例えば配線342(信号配線S)の電位が高くなると(正の電位側に変化すると)、p型トランジスター310がオン状態となり、静電気による電荷は配線342(信号配線S)と配線341(高電位電源配線VDD)との間で分配され、静電気による配線342(信号配線S)の電位変化が小さくなる。静電気によって、例えば配線342(信号配線S)の電位が低くなると(負の電位側に変化すると)、n型トランジスター330がオン状態となり、静電気による電荷は配線342(信号配線S)と配線343(低電位電源配線VSS)との間で分配され、静電気による配線342(信号配線S)の電位変化が小さくなる。その結果、信号配線Sに接続されている半導体回路は静電気の影響を受けにくくなり、半導体回路の静電破壊が抑制される。
図示を省略するが、配線342は配線抵抗を有しており、当該配線抵抗と容量321,323とによるCR回路が、配線342に形成される。静電気が配線342(信号配線S)に作用した場合に、当該CR回路によって静電気による急激な配線342の電位変化が抑制される。その結果、配線342に接続されているp型トランジスター310及びn型トランジスター330は静電気の影響を受けにくくなり、p型トランジスター310及びn型トランジスター330の静電破壊が抑制される。
なお、p型トランジスター310のゲート電極313は、本発明における「第1のゲート電極」の一例である。p型トランジスター310の半導体層311aは、本発明における「第1の半導体層」の一例である。p型トランジスター310の半導体層311aの高濃度ソース領域311dは、本発明における「第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方」の一例である。p型トランジスター310の半導体層311aの高濃度ドレイン領域311eは、本発明における「第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方」の一例である。
n型トランジスター330のゲート電極333は、本発明における「第2のゲート電極」の一例である。n型トランジスター330の半導体層331aは、本発明における「第2の半導体層」の一例である。n型トランジスター330の半導体層331aの高濃度ソース領域331dは、本発明における「第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方」の一例である。n型トランジスター330の半導体層331aの高濃度ドレイン領域331e(図8)は、本発明における「第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方」の一例である。
図7及び図8に示すように、静電保護回路300は、素子基板本体10aに順に積層された、容量電極325等を含む第1層、p型トランジスター310やn型トランジスター330等を含む第2層、配線341,342,343等を含む第3層を有している。第1層と第2層との間には容量絶縁膜12が、第2層と第3層との間には第1層間絶縁膜41が、それぞれ設けられており、上述した各要素が短絡することを防止している。さらに、第3層に設けられている配線341,342,343は、第2層間絶縁膜42、第3層間絶縁膜43、及び配向膜18で覆われている。
(第1層の構成−容量電極等−)
第1層には、容量電極325が設けられている。容量電極325は、第1の容量電極325aと第2の容量電極325bとで構成される。第1の容量電極325aは、p型トランジスター310の半導体層311aに対向配置され、第2の容量電極325bは、n型トランジスター330の半導体層331aに対向配置されている。第1の容量電極325aが配置された領域は、p型トランジスター310の半導体層311aよりも広く、第2の容量電極325bが配置された領域は、n型トランジスター330の半導体層331aよりも広くなっている。
容量電極325とTFT30の走査線11aとは同じ材料(タングステンシリサイド)で構成されている。すなわち、容量電極325と走査線11aとは、同じ工程で(同じ機会に)形成されている。容量電極325を構成する材料としては、タングステンシリサイドの他に、例えばチタンナイトライドやタングステンなどを使用することができる。
(第2層の構成−p型トランジスター及びn型トランジスター等−)
次に、第2層として、ゲート電極313を含むp型トランジスター310、及びゲート電極333を含むn型トランジスター330が設けられている。さらに、第2層には、第1中継電極317及び第2中継電極337が設けられている。
p型トランジスター310とn型トランジスター330とは、TFT30と同じ工程で形成されている。さらに、第1中継電極317及び第2中継電極327は、TFT30のゲート電極3aと同じ工程で形成されている。
p型トランジスター310及びn型トランジスター330は、導電性の多結晶シリコンからなるゲート電極313,333と、多結晶シリコンからなる半導体層311a,331aと、ゲート電極313,333と半導体層311a,331aとを絶縁するシリコン酸化物からなるゲート絶縁膜2によって構成されている。ゲート絶縁膜2は、半導体層311a,331a及び容量絶縁膜12を覆うように設けられている。また、半導体層311a,331aのチャネル領域311a’,331a’は、ゲート絶縁膜2を挟んでゲート電極313,333に対向配置されている。
p型トランジスター310の半導体層311aは、高濃度ソース領域311d、チャネル領域311a’、及び高濃度ドレイン領域311eを有している。n型トランジスター330の半導体層331aは、高濃度ソース領域331d、チャネル領域331a’、及び高濃度ドレイン領域331eを有している。p型トランジスター310において、高濃度ドレイン領域311eの面積は高濃度ソース領域311dの面積よりも広くなっている。n型トランジスター330において、高濃度ドレイン領域331eの面積は高濃度ソース領域331dの面積よりも広くなっている。
(第1層と第2層との間の構成−容量絶縁膜等−)
容量電極325と半導体層311a,331aとの間には、画素Pと同じ工程で形成された容量絶縁膜12が設けられている。容量絶縁膜12は、ゲート絶縁膜2で覆われ、容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2には、コンタクトホール353及びコンタクトホール363が設けられている。第1中継電極317は、コンタクトホール353を介して第1の容量電極325aに接続されている。第2中継電極337は、コンタクトホール363を介して第2の容量電極325bに接続されている。
(第3層の構成−配線等−)
第3層には、配線341,342,343が設けられている。図示を省略するが、配線341は、高電位電源配線VDDが設けられた側に延在し、高電位電源配線VDDに接続され、高電位電源配線VDDの電位が供給されている。配線342は、信号配線Sが設けられた側に延在し、信号配線Sに接続され、信号配線Sの電位が供給されている。配線343は、低電位電源配線VSSが設けられた側に延在し、低電位電源配線VSSに接続され、低電位電源配線VSSの電位が供給されている。
配線341,342,343は、画素Pのデータ線6aと同じ工程で形成されている。すなわち、配線341,342,343は、データ線6aと同じ構造(アルミニウムからなる層と窒化チタンからなる層との二層構造)を有している。
(第2層と第3層との間の構成−第1層間絶縁膜−)
p型トランジスター310及びn型トランジスター330と、配線341,342,343との間には、画素Pと同じ工程で形成された第1層間絶縁膜41が設けられている。第1層間絶縁膜41には、コンタクトホール351、コンタクトホール352、コンタクトホール354、コンタクトホール355、コンタクトホール361、コンタクトホール362、コンタクトホール364、及びコンタクトホール365が形成されている。
p型トランジスター310のゲート電極313はコンタクトホール351を介して、第1中継電極317はコンタクトホール352を介して、p型トランジスター310の高濃度ソース領域311dはコンタクトホール354を介して、それぞれ配線341に接続されている。その結果、p型トランジスター310のゲート電極313及び高濃度ソース領域311dには、高電位電源配線VDDの電位が供給されている。第1の容量電極325aは、コンタクトホール353を介して第1中継電極317に接続されているので、第1の容量電極325aにも、第1中継電極317を経由して高電位電源配線VDDの電位が供給されている。なお、p型トランジスター310の高濃度ソース領域311dと接する部分の配線341が、p型トランジスター310のソース電極314となる。
p型トランジスター310の高濃度ドレイン領域311eはコンタクトホール355を介して、n型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eはコンタクトホール365を介して、それぞれ配線342に接続されている。その結果、p型トランジスター310の高濃度ドレイン領域311e及びn型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eには、信号配線Sの電位が供給されている。なお、p型トランジスター310の高濃度ドレイン領域311eと接する部分の配線342がp型トランジスター310のドレイン電極315となり、n型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eと接する部分の配線342がn型トランジスター330のドレイン電極335となる。
n型トランジスター330のゲート電極333はコンタクトホール361を介して、第2中継電極337はコンタクトホール362を介して、n型トランジスター330の高濃度ソース領域331dはコンタクトホール364を介して、それぞれ配線343に接続されている。その結果、n型トランジスター330のゲート電極333及び高濃度ソース領域331dには、低電位電源配線VSSの電位が供給されている。第2の容量電極325bは、コンタクトホール363を介して第2中継電極337に接続されているので、第2の容量電極325bにも、第2中継電極337を経由して低電位電源配線VSSの電位が供給されている。なお、n型トランジスター330の高濃度ソース領域331dと接する部分の配線343が、n型トランジスター330のソース電極334となる。
第3層に形成された配線341,342,343は、画素Pと同じ工程で形成された第2層間絶縁膜42、第3層間絶縁膜43、及び配向膜18で覆われている。
かかる構成において、図8の一点鎖線で囲まれた領域Bに容量321が形成されている。詳しくは、容量321は、第1の容量電極325aと、容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2と、p型トランジスター310の高濃度ドレイン領域311eとで構成されている。容量321の容量値は、第1の容量電極325aと高濃度ドレイン領域311eとが重なった領域の面積に依存する。容量321の容量値を大きくするために、高濃度ドレイン領域311eの面積は、高濃度ソース領域311dの面積よりも広くなっている。
さらに、図8の一点鎖線で囲まれた領域Cに容量323が形成されている。詳しくは、容量323は、第2の容量電極325bと、容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2と、n型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eとで構成されている。容量323の容量値は、第2の容量電極325bと高濃度ドレイン領域331eとが重なった領域の面積に依存する。容量323の容量値を大きくするために、高濃度ドレイン領域331eの面積は、高濃度ソース領域331dの面積よりも広くなっている。
容量321,323の容量値を大きくすることで、上述した配線抵抗及び容量321,323によるCR回路の時定数を大きくすることができる。その結果、静電気による配線342(信号配線S)の電位変化が緩やかになるので、信号配線Sに接続されているp型トランジスター310及びn型トランジスター330に回復不能な静電ダメージ(静電破壊)を起こりにくくすることができる。
このように、p型トランジスター310における高濃度ドレイン領域311eの面積は、高濃度ソース領域311dの面積よりも広くなっていることが好ましく、n型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eの面積は、高濃度ソース領域331dの面積よりも広くなっていることが好ましい。
なお、容量321,323が形成されている部分の、容量絶縁膜12の膜厚を局所的に薄くすることでも、容量321,323の容量値を大きくすることができる。この場合、容量絶縁膜12の膜厚を局所的に薄くするために、新たな工程が必要なる。上述した、高濃度ドレイン領域311e,331eの面積を、高濃度ソース領域311d,331dの面積よりも広くするという方法では、新たな工数増を招くことなしに容量321,323の容量値を大きくすることができるので、容量絶縁膜12の膜厚を局所的に薄くする方法よりも優れている。
以上述べたように、本実施形態に係る液晶装置100では、容量321,323を有する静電保護回路300が、画素P及び半導体回路(データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104など)と同じ工程で(同じ機会に)形成されている。すなわち、工数の増加を招くことなく、静電保護回路300に容量321,323が形成されている。従って、これらを別々に形成する態様に比べて、製造工程の簡略化や省略化等を図ることができる。さらに、容量321,323によって静電気による急激な電位変化が抑制される(電位変化が緩やかになる)ので、静電保護回路300に配置されているp型トランジスター310及びn型トランジスター330に対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)を抑制することができる。
(実施形態2)
「液晶装置の概要」
図9は、実施形態2に係る液晶装置の静電保護回路の概略平面図であり、図7に対応する図である。図10は、図9のD─D’線に沿った概略断面図であり、図8に対応する図である。
本実施形態に係る液晶装置は、静電保護回路301の容量321,323の形成場所が実施形態1と異なり、他の構成は実施形態1に係る液晶装置100と同じである。詳しくは、本実施形態に係る静電保護回路301では、容量321は容量電極325とp型トランジスター310の高濃度ソース領域311dとの間に形成され、容量323は容量電極325とn型トランジスター330の高濃度ソース領域331dとの間に形成されている。これに対して、実施形態1に係る静電保護回路300では、容量321は第1の容量電極325aとp型トランジスター310の高濃度ドレイン領域311eとの間に形成され、容量323は第2の容量電極325bとn型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eとの間に形成されている。この点が本実施形態に係る液晶装置と、実施形態1に係る液晶装置100との相違点である。
以下、図9及び図10を参照して、本実施形態に係る液晶装置を、実施形態1との相違点を中心に説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
(第1層及び第2層の構成−容量電極等−)
第1層には、容量電極325が設けられている。第2層には、ゲート電極313を含むp型トランジスター310、及びゲート電極333を含むn型トランジスター330が設けられている。p型トランジスター310の半導体層311aと、n型トランジスター330の半導体層331aとの間に、TFT30のゲート電極3aと同じ工程で形成された中継電極327が設けられている。
図9及び図10に示すように、容量電極325は、p型トランジスター310の半導体層311a及びn型トランジスター330の半導体層331aに跨って対向配置されている。詳しくは、容量電極325は、半導体層311a、中継電極327、及び半導体層331aに対向配置され、容量電極325が配置された領域の面積は、半導体層311aと中継電極327と半導体層331aとが配置された領域の面積よりも広くなっている。
さらに、p型トランジスター310において、高濃度ソース領域311dの面積は高濃度ドレイン領域311eの面積よりも広く、n型トランジスター330において、高濃度ソース領域331dの面積はドレイン領域331eの面積よりも広くなっている。
(第1層と第2層との間の構成−容量絶縁膜等−)
容量電極325と半導体層311a,331aとの間には、画素Pと同じ工程で形成された容量絶縁膜12が設けられている。容量絶縁膜12は、ゲート絶縁膜2で覆われ、容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2には、コンタクトホール372が設けられている。中継電極327は、コンタクトホール372を介して容量電極325に接続されている。
(第2層と第3層との間の構成−第1層間絶縁膜−)
p型トランジスター310及びn型トランジスター330と、配線341,342,343との間には、画素Pと同じ工程で形成された第1層間絶縁膜41が設けられている。第1層間絶縁膜41には、コンタクトホール351、コンタクトホール354、コンタクトホール355、コンタクトホール371、コンタクトホール365、コンタクトホール364、及びコンタクトホール361が形成されている。
p型トランジスター310のゲート電極313はコンタクトホール351を介して、p型トランジスター310の高濃度ソース領域311dはコンタクトホール354を介して、それぞれ配線341に接続され、高電位電配線VDDの電位が供給されている。n型トランジスター330のゲート電極333はコンタクトホール361を介して、n型トランジスター330の高濃度ソース領域331dはコンタクトホール364を介して、それぞれ配線343に接続され、低電位電源配線VSSの電位が供給されている。
p型トランジスター310の高濃度ドレイン領域311eはコンタクトホール355を介して、中継電極327はコンタクトホール371を介して、n型トランジスター330の高濃度ドレイン領域331eはコンタクトホール365を介して、それぞれ配線342に接続され、信号配線Sの電位が供給されている。
かかる構成において、図10の一点鎖線で囲まれた領域Eに容量321が形成されている。詳しくは、容量321は、容量電極325と、容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2と、p型トランジスター310の高濃度ソース領域311dとで形成されている。容量321の容量値は、容量電極325と高濃度ソース領域311dとが重なった領域の面積に依存する。容量321の容量値を大きくするために、高濃度ソース領域311dの面積は、高濃度ドレイン領域311eの面積よりも広くなっている。
さらに、図10の一点鎖線で囲まれた領域Fに容量323が形成されている。詳しくは、容量323は、容量電極325と、容量絶縁膜12及びゲート絶縁膜2と、n型トランジスター330の高濃度ソース領域331dとで形成されている。容量323の容量値は、容量電極325と高濃度ソース領域331dとが重なった領域の面積に依存する。容量323の容量値を大きくするために、高濃度ソース領域331dの面積は、高濃度ドレイン領域331eの面積よりも広くなっている。
容量321,323の容量値を大きくすることで、上述した配線抵抗及び容量321,323で構成されるCR回路の時定数が大きくなる。その結果、静電気による信号配線Sの電位変化が緩やかになるので、信号配線Sに接続されているp型トランジスター310及びn型トランジスター330に対する回復不能な静電ダメージ(静電破壊)をより起こりにくくすることができる。
従って、p型トランジスター310における高濃度ソース領域311dの面積は、高濃度ドレイン領域311eの面積よりも広くなっていることが好ましく、n型トランジスター330の高濃度ソース領域331dの面積は、高濃度ドレイン領域331eの面積よりも広くなっていることが好ましい。
実施形態2の静電保護回路301における容量電極325及び中継電極327の数は、実施形態1の静電保護回路300における容量電極325a,325b及び中継電極317,337の数よりも少ない。さらに、実施形態2の静電保護回路301におけるコンタクトホール351,354,355,371,372,361,364,365の数は、実施形態1の静電保護回路300におけるコンタクトホール351,352,353,354,355,361,362,363,364,365の数よりも少ない。従って、実施形態2では、実施形態1の静電保護回路300と比べて、よりコンパクトな静電保護回路301を実現することができる。
(実施形態3)
「電子機器」
図11は電子機器としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)の構成を示す概略図である。図11に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230には、上述した実施形態1の液晶装置100や実施形態2の液晶装置が適用されている。実施形態1の液晶装置100及び実施形態2の液晶装置は、静電保護回路300,301を有し、半導体回路(データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104など)及び静電保護回路300,301に配置されているトランジスター(p型トランジスター310、n型トランジスター330)に静電気の影響を受けにくくなっている。従って、当該液晶装置が適用された投射型表示装置1000は、静電気の影響を受けにくく、高い信頼性を有する。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置及び該液晶装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)
静電保護回路300,301は、液晶装置に適用させることに限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子を有する発光装置にも適用させることができる。静電保護回路300,301によって、静電気の影響を受けにくい高い信頼性の発光装置を提供することができる。
(変形例2)
実施形態1及び実施形態2に係る静電保護回路300,301は、第1の配線、第1の配線の電位よりも低い電位の第2の配線、及び第1の配線の電位と第2の配線の電位との間の電位の第3の配線に接続すればよく、このような配線に接続が可能であれば、静電保護回路300,301を液晶装置の任意の場所に配置することができる。
このため、実施形態1及び実施形態2では、静電保護回路300,301が外部回路接続端子102と半導体回路(データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104)との間に配置されていたが、これに限定されない。例えば、静電保護回路300,301を半導体回路の内部に配置することができる。さらに、静電保護回路300,301を半導体回路と表示領域Eとの間の配線に配置することもできる。
さらに、実施形態1及び実施形態2では、上記第1の配線を高電位電源配線VDD、第2の配線を低電位電配線VSS、及び第3の配線を信号配線Sとしたが、これに限定されない。例えば、複数の信号配線Sのうち、最も高い電位が供給されている信号配線Sを上記第1の配線として、最も低い電位が供給されている信号配線Sを上記第2の配線とし、他の信号配線Sを上記第3の配線としても良い。
(変形例3)
実施形態1及び実施形態2に係る液晶装置が適用される電子機器は、実施形態3の投射型表示装置1000に限定されない。投射型表示装置1000の他に、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、POSなどの情報端末機器、及び電子手帳などの電子機器に、実施形態1及び実施形態2に係る液晶装置を適用させることができる。
E…表示領域、VSS…低電位電源配線、VDD…高電位電源配線、S…信号配線、1a…半導体層、1a’…チャネル領域、1b…低濃度ソース領域、1c…低濃度ドレイン領域、1d…高濃度ソース領域、1e…高濃度ドレイン領域、2…ゲート絶縁膜、3a…ゲート電極、5a…中継電極、5a1…ドレイン電極、6a…データ線、6a1…ソース電極、7…サンプリング回路、7s…サンプリングスイッチ、9a…画素電極、10…素子基板、10a…基板本体、11a…走査線、12…容量絶縁膜、12cv…コンタクトホール、18…配向膜、20…対向基板、20a…対向基板本体、22…絶縁膜、23…対向電極、24…配向膜、30…TFT、41…第1層間絶縁膜、42…第2層間絶縁膜、43…第3層間絶縁膜、44…第4層間絶縁膜、50…液晶層、52…シール材、53…遮光膜、60…容量線、70…蓄積容量、71…下部電極、73…上部電極、75…誘電体層、81,83,85,89…コンタクトホール、90…引回配線、91…データ線駆動回路用電源配線、92…データ線駆動回路用信号配線、94…走査線駆動回路用電源配線、95…走査線駆動回路用信号配線、96…画像信号線、100…液晶装置、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、105…複数の配線、106…上下導通端子、300,301…静電保護回路、310…P型トランジスター、330…n型トランジスター、321,323…容量、317…第1中継電極、337…第2中継電極、327…中継電極、325…容量電極、325a…第1の容量電極、325b…第2の容量電極、351,352,353,354,355,361,362,363,364,365,371,372…コンタクトホール、311a,331a…半導体層、311a’,331a’…チャネル領域、311d,331d…高濃度ソース領域、311e,331e…高濃度ドレイン領域、313,333…ゲート電極、314,334…ソース電極、315,335…ドレイン電極、341,342,343…配線。

Claims (8)

  1. 容量電極と、
    前記容量電極を覆う容量絶縁膜と、
    第1のゲート電極と第1の半導体層とを有するp型トランジスターと、
    第2のゲート電極と第2の半導体層とを有するn型トランジスターと、
    を含み、
    前記p型トランジスター及び/または前記n型トランジスターは、前記容量絶縁膜を介して前記容量電極に対向し、
    前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と、前記第1のゲート電極とは、第1の電源配線に接続され、
    前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と、前記第2のゲート電極とは、第2の電源配線に接続され、
    前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方とは、信号配線に接続され、
    前記第1の電源配線の電位は、前記第2の電源配線の電位よりも高く、
    前記容量電極は、前記第1の半導体層及び/または前記第2の半導体層に対向配置されていることを特徴とする静電保護回路。
  2. 前記容量電極は、前記第1の半導体層に対向配置された第1の容量電極と、前記第2の半導体層に対向配置された第2の容量電極と、を有し、
    前記第1の容量電極は、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方に接続され、前記第2の容量電極は、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の静電保護回路。
  3. 前記容量電極は、前記第1の半導体層及び前記第2の半導体層に跨って対向配置され、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方、及び前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の静電保護回路。
  4. 前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記第1の容量電極とが重なった領域の面積は、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記第1の容量電極とが重なった領域の面積よりも大きく、
    前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記第2の容量電極とが重なった領域の面積は、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記第2の容量電極とが重なった領域の面積よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の静電保護回路。
  5. 前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記容量電極とが重なった領域の面積は、前記第1の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記容量電極とが重なった領域の面積よりも大きく、
    前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの一方と前記容量電極とが重なった領域の面積は、前記第2の半導体層のソース領域及びドレイン領域のうちの他方と前記容量電極とが重なった領域の面積よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の静電保護回路。
  6. 画素トランジスターが配置された画素と、
    前記画素を駆動する半導体回路と、
    前記半導体回路に電気信号を供給する配線と、
    を含み、
    前記配線には、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の静電保護回路が接続されていることを特徴とする電気光学装置。
  7. 前記画素に走査信号を供給する走査線を有し、
    前記画素トランジスターは、前記容量絶縁膜を介して前記走査線に対向配置され、
    前記容量電極及び前記走査線は、同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
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