JP6105798B1 - 装飾めっき物品及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】バレルめっきでもクロムめっきと同等の耐食性及び安定した装飾的外観(光沢)を提供。【解決手段】金属製の被めっき物品1と、被めっき物品の外側に設けられるバレルめっき層2と、を備え、バレルめっき層は、被めっき物品の外側に形成される下地めっき層21と、下地めっき層の外側に形成されてスズ−コバルトからなる表面めっき層22と、を有し、下地めっき層は、被めっき物品の外側に積層されて被めっき物品の金属よりもイオン化傾向の小さい金属からなる第一バリア型被膜21aと、第一バリア型被膜の外側に積層されて第一バリア型被膜の金属よりもイオン化傾向の小さい金属からなる第二バリア型被膜21bと、第二バリア型被膜の外側で且つ表面めっき層の内側に積層されて第二バリア型被膜の金属よりもイオン化傾向の大きい金属からなる犠牲型被膜21cと、を有する。例えば、炭素鋼/Ni/Cu/Ni/SnCoなど。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば筆記具の金属部品であるクリップ、先口(先金)、中間リング、ノックキャップ(ノックカバー)、又はその他の金属物品などの装飾めっき物品、及び、装飾めっき物品を生産するための製造方法に関する。
従来、筆記具などに取り付けられる金属製のクリップとして、高級感を持たせるため、炭素工具鋼に(Ni+Sn−Co+電解クロメート)めっきで加飾を施すものがある(例えば、特許文献1参照)。
めっき処理は、生産性を良くするためにバレルによるめっきが採用され、大量のクリップを容器に投入し、その容器内で微振動を与えて混ぜ合わせたり、めっき液が各部に行き渡るよう攪拌したりしている。
クリップの両側には、側壁部が折り曲げ形成され、その側壁部の内側にクリップの長手方向に対して直行する内壁部を折り曲げ形成している。これにより、大量のクリップをめっき容器に投入し攪拌しても、クリップの側壁部などによって形成される空間部に、後続する他のクリップの端部が極度に入り込むことを防止している。このため、クリップ同士の絡み合いや連結が防止され、めっき液が十分に行き渡るようにしている。
特開2006−264314号公報
しかし乍ら、このような従来のクリップでは、主成分が鉄の炭素工具鋼の表面にニッケルとスズ−コバルトをバレルめっきした後に電解クロメート処理(酸化被膜の積層)を行っているが、クロムめっきに比べて耐食性に劣る。
このため、長期間に亘り腐食を防止できず、短期的に機能や外見が損なわれて高級感を維持できないという問題があった。
また、クロムめっきは、他の多くの金属めっきと比べ、付き回りが悪く、断続となる電流で光沢や密着が悪くなるため、多量の部品を同時にめっきするバレルめっきは使用できない。これにより、6価クロム浴(クロム酸)に被めっき品物の一つづつをラックにかけて吊るし、電気分解しなければならないので、作業性が著しく低下するという問題があった。さらに6価クロム浴(クロム酸)は、排出量が規制されている有害物質であり、その処理に注意が必要である他、クロムめっき被膜自体は、酸、特にハロゲン系の酸に弱いという欠点があり、このような酸があったり、これを利用する環境下では利用できないという問題があった。
このような状況下において、バレルめっきでもクロムめっきと同等の同じ耐食性及び装飾的外観(光沢)が得られる装飾めっき物品及びその製造方法の要望が高い。
このような課題を解決するために本発明に係る装飾めっき物品は、主成分が鉄からなる被めっき物品と、前記被めっき物品の外側に設けられるバレルめっき層と、を備え、前記バレルめっき層は、前記被めっき物品の外側に形成される下地めっき層と、前記下地めっき層の外側に形成されてスズ−コバルトからなる表面めっき層と、を有し、前記下地めっき層は、前記被めっき物品の外側に積層されて前記被めっき物品の主成分である鉄よりもイオン化傾向の小さいニッケルを含む金属からなる第一バリア型被膜と、前記第一バリア型被膜の外側に積層されて前記第一バリア型被膜のニッケルを含む金属よりもイオン化傾向の小さい銅、銀、金のいずれか一つ又は合金からなる第二バリア型被膜と、前記第二バリア型被膜の外側で且つ前記表面めっき層の内側に積層されて前記第二バリア型被膜の銅、銀、金のいずれか一つ又は合金よりもイオン化傾向の大きいニッケルを含む金属からなる犠牲型被膜と、を有し、前記第一バリア型被膜、前記第二バリア型被膜及び前記犠牲型被膜の層比が、1:1〜2:2/3〜1に設定されることを特徴とする。
また、このような課題を解決するために本発明に係る装飾めっき方法は、主成分が鉄からなる被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記被めっき物品の外側に前記被めっき物品の主成分である鉄よりもイオン化傾向の小さいニッケルを含む金属からなる第一バリア型被膜を積層する第一下地めっき形成工程と、前記第一バリア型被膜の積層後の前記被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記第一バリア型被膜の外側に前記第一バリア型被膜のニッケルを含む金属よりもイオン化傾向の小さい銅、銀、金のいずれか一つ又は合金からなる第二バリア型被膜を積層する第二下地めっき形成工程と、前記第二バリア型被膜の積層後の前記被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記第二バリア型被膜の外側に前記第二バリア型被膜の銅、銀、金のいずれか一つ又は合金よりもイオン化傾向の大きいニッケルを含む金属からなる犠牲型被膜を積層する第三下地めっき形成工程と、前記犠牲型被膜の積層後の前記被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記犠牲型被膜の外側にスズ−コバルトからなる表面めっき層を積層する表面めっき形成工程と、を含み、前記第一バリア型被膜、前記第二バリア型被膜及び前記犠牲型被膜の層比が、1:1〜2:2/3〜1に設定されることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る装飾めっき物品の全体構成を示す部分的な縦断正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る装飾めっき物品Aは、例えば筆記具の金属部品であるクリップ、先口(先金)、中間リング、ノックキャップ(ノックカバー)、又はその他の金属物品などの被めっき物品1に対し、下地めっき層21とスズ−コバルト合金からなる表面めっき層22をめっき法により被覆したものである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る装飾めっき物品Aは、図1に示すように、クリップなどの鉄などの金属からなる被めっき物品1と、被めっき物品1の外側に設けられるバレルめっき層2と、を主要な構成要素として備えている。
バレルめっき層2は、被めっき物品1の外側に形成される下地めっき層21と、下地めっき層21の外側に形成されてスズ−コバルト合金からなる表面めっき層22と、を有している。
下地めっき層21は、被めっき物品1の外側に積層される第一バリア型被膜21aと、第一バリア型被膜21aの外側に積層される第二バリア型被膜21bと、第二バリア型被膜21bの外側で且つ表面めっき層22の内側に積層される犠牲型被膜21cと、を有している。
第一バリア型被膜21aは、被めっき物品1を構成する金属よりもイオン化傾向の小さい金属で構成される。
第二バリア型被膜21bは、第一バリア型被膜21aの金属よりもイオン化傾向の小さい金属で構成される。
犠牲型被膜21cは、第二バリア型被膜21bの金属よりもイオン化傾向の大きい金属で構成される。
第一バリア型被膜21a及び犠牲型被膜21cの具体例としては、ニッケルで構成することが好ましい。
第二バリア型被膜21bの具体例としては、銅、銀、金のいずれか一つ又は合金で構成することが好ましい。特にコスト的には銅で構成することが好ましい。
下地めっき層21となる第一バリア型被膜21a、第二バリア型被膜21b及び犠牲型被膜21cの層比は、約1:1〜2:3/4〜1に設定することが好ましく、特に1:1:1に設定することが好ましい。
被めっき物品1がクリップなどの場合には、犠牲型被膜21cの厚みを3〜5μmにすることが好ましく、表面めっき層22となるスズ−コバルト合金の厚みを0.1〜0.3μmにすることが好ましい。下地めっき層21の第一バリア型被膜21a、第二バリア型被膜21b及び犠牲型被膜21cと表面めっき層22とのトータル厚みは、割れが発生し難い約20μm未満に設定することが好ましく、特に約11.1〜16.3μmに設定することが好ましい。
また、下地めっき層21の他の例として図示しないが、第一バリア型被膜21aと第二バリア型被膜21bの間及び第二バリア型被膜21bと犠牲型被膜21cの間の両方に連結層を挿入して、下地めっき層21が五層構造となるように変更することも可能である。
それ以外に、第一バリア型被膜21aと第二バリア型被膜21bの間又は第二バリア型被膜21bと犠牲型被膜21cの間のいずれか一方に連結層を挿入して、下地めっき層21が四層構造となるように変更することも可能である。
そして、本発明の実施形態に係る装飾めっき物品Aを生産するための製造方法は、被めっき物品1の外側に第一バリア型被膜21aを積層する第一下地めっき形成工程と、第一バリア型被膜21aの外側に第二バリア型被膜21bを積層する第二下地めっき形成工程と、第二バリア型被膜21bの外側に犠牲型被膜21cを積層する第三下地めっき形成工程と、犠牲型被膜21cの外側にスズ−コバルトからなる表面めっき層22を積層する表面めっき形成工程と、を主要な工程として含んでいる。
第一下地めっき形成工程は、金属製の被めっき物品1が入ったバレル(図示しない)をめっき槽(図示しない)の中に浸漬配置し、被めっき物品1を陰極とし、第一バリア型被膜21aのめっき金属が陽極となるように通電し、バレルを回転させながら電気分解して、被めっき物品1の外側に第一バリア型被膜21aが積層される。
第二下地めっき形成工程は、第一バリア型被膜21aを積層した後の被めっき物品1が入ったバレルをめっき槽の中に浸漬配置し、被めっき物品1を陰極とし、第二バリア型被膜21bのめっき金属が陽極となるように通電し、バレルを回転させながら電気分解して、第一バリア型被膜21aの外側に第二バリア型被膜21bが積層される。
第三下地めっき形成工程は、第二バリア型被膜21bを積層した後の被めっき物品1が入ったバレルをめっき槽の中に浸漬配置し、被めっき物品1を陰極とし、犠牲型被膜21cのめっき金属が陽極となるように通電し、バレルを回転させながら電気分解して、第二バリア型被膜21bの外側に犠牲型被膜21cが積層される。
表面めっき形成工程は、犠牲型被膜21cを積層した後の被めっき物品1が入ったバレルをめっき槽の中に浸漬配置し、被めっき物品1を陰極とし、スズ−コバルトが陽極となるように通電し、バレルを回転させながら電気分解して、犠牲型被膜21cの外側に表面めっき層22が積層される。
また、装飾めっき物品Aの製造方法の他の例として、第一バリア型被膜21aと第二バリア型被膜21bの間及び第二バリア型被膜21bと犠牲型被膜21cの間の両方に連結層を積層するための下地めっき形成工程が追加されるように変更することも可能である。
それ以外に、第一バリア型被膜21aと第二バリア型被膜21bの間又は第二バリア型被膜21bと犠牲型被膜21cの間のいずれか一方に連結層を積層するための下地めっき形成工程が追加されるように変更することも可能である。
このような本発明の実施形態に係る装飾めっき物品A及びその製造方法によると、金属製の被めっき物品1の外側にバレルめっき層2として第一バリア型被膜層21a及び第二バリア型被膜21bを積層することにより、被めっき物品1の金属素地が第一バリア型被膜層21a及び第二バリア型被膜21bで二重に被覆されて水や酸素が遮断される。
さらに、第一バリア型被膜層21a及び第二バリア型被膜21bとスズ−コバルトからなる表面めっき層22との間に犠牲型被膜21cを挟み込んで積層することにより、犠牲型被膜21cで第二バリア型被膜21bが犠牲的に保護されると同時に、錆難く装飾的に優れた光沢が得られる。
したがって、バレルめっきでもクロムめっきと同等の耐食性及び安定した装飾的外観(光沢)を得ることができる。
その結果、主成分が鉄の炭素工具鋼の表面にニッケルとスズ−コバルトをバレルめっきした後に電解クロメート処理を行う従来のものに比べ、長期間に亘り腐食を防止して高級感を維持できる。このため、商品価値の著しい向上が図れる。
さらに、クロムめっきによる従来のものに比べ、生産性及び作業性に優れてコストの低減化が図れるととともに、6価クロム(クロム酸)のような排出量が規制されている有害物質を使用しないため、安全性に優れる。
特に、第一バリア型被膜21a及び犠牲型被膜21cがニッケルからなり、第二バリア型被膜21bが銅、銀、金のいずれか一つ又は合金からなることが好ましい。
この場合には、被めっき物品1の金属素地が第一バリア型被膜層21aのニッケルと、第二バリア型被膜21bの銅、銀、金のいずれか一つ又は合金で二重に被覆されて水や酸素が遮断される。
さらに、第二バリア型被膜21bの外側に犠牲型被膜21cのニッケルを挟んでスズ−コバルトからなる表面めっき層22が積層されることにより、犠牲型被膜21cで第二バリア型被膜21bを犠牲的に保護している。
したがって、バレルめっきでもクロムめっきと同等の耐食性及び安定した装飾的外観(光沢)をより確実に得ることができる。
その結果、長期間に亘り確実に腐食を防止して高級感を維持できる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
[実施例1〜3及び比較例1〜4]
表1に示す実施例1〜3と、表2に示す比較例1〜4は、下地めっき層の厚みが異なっており、それらに記載された材料のバリア型被膜と犠牲型被膜を形成している。
実施例1〜3と比較例1〜4では、被めっき物品の材料が炭素工具鋼などの主成分を鉄とし、表面めっき層がスズ−コバルト合金で厚みを0.1μm、下地めっき層及び表面めっき層のトータル厚みを12.1μmにして、共通の構成にしている。
実施例1では、下地めっき層21が、ニッケルからなる第一バリア型被膜21aを4μmと、銅からなる第二バリア型被膜21bを4μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜21cを4μmとの三層構造に構成されている。
実施例2では、下地めっき層21が、ニッケルからなる第一バリア型被膜21aを3μmと、銅からなる第二バリア型被膜21bを6μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜21cを3μmとの三層構造に構成されている。
実施例3では、下地めっき層21が、ニッケルからなる第一バリア型被膜21aを4μmと、銅からなる第二バリア型被膜21bを5μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜21cを3μmとの三層構造に構成されている。
比較例1では、下地めっき層が、ニッケルからなる第一バリア型被膜を6μmと、銅からなる第二バリア型被膜を4μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜を2μmとの三層構造に構成されている。
比較例2では、下地めっき層が、ニッケルからなる第一バリア型被膜を2μmと、銅からなる第二バリア型被膜を4μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜を6μmとの三層構造に構成されている。
比較例3では、下地めっき層が、ニッケルからなるバリア型被膜を6μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜を6μmとの二層構造に構成されている。
比較例4では、下地めっき層が、銅からなるバリア型被膜を6μmと、ニッケルからなる犠牲型被膜を6μmとの二層構造に構成されている。
表1及び表2に示される評価結果(装飾的外観、密着性、耐食性、生産性、総合評価)は、以下の指標に基づくものである。
「装飾的外観」は、表面めっき層の装飾的外観がクロムめっきの装飾的外観と光沢が同等であるか否かを目視により確認した。その確認試験結果を四段階で評価した。
この「装飾的外観」の評価結果において、◎:クロムめっきの装飾的外観と光沢が同等、○:クロムめっきの装飾的外観よりも光沢が若干劣るものの許容範囲内、△:クロムめっきの装飾的外観よりも光沢が劣る、×:クロムめっきの装飾的外観よりも光沢が明らかに劣る、のように評価した。
「密着性」は、JIS H 8504−1999に準拠して曲げ試験器を使用し、試料を90度曲げ元に戻して、折り曲げ部におけるめっきの剥離やひび割れの有無を調べ、三段階で評価した。
この「密着性」の評価結果において、○:密着性に優れる、×:密着性が劣って剥がれ易い、のように評価した。
「耐食性」は、JIS H 8502−1999に準拠して塩水噴霧試験装置を使用し、中性の塩化ナトリウム溶液を96時間連続して噴霧した雰囲気においてめっきの耐食性を調べ、腐食の有無を三段階で評価した。
この「耐食性」の評価結果において、○:96時間試験しても耐食性が保持される、△:48時間試験では耐食性が保持される、×:48時間試験でも耐食性が保持されない、のように評価した。
「生産性」は、下地めっき層及び表面めっき層の積層に要する時間を測定し、測定結果を二段階で評価した。
この「生産性」の評価結果において、○:生産性に優れる、△:生産性が若干劣るものの許容範囲内、のように評価した。
「総合評価」とは、前述した「装飾的外観」「密着性」「耐食性」「生産性」の評価結果に基づいて総合的に三段階で評価した。
この「総合評価」の評価結果において、◎:最適、○:良、×:不向き、のように評価した。
Figure 0006105798
Figure 0006105798
[評価結果]
実施例1〜3と比較例1〜4を比較すると、実施例1〜3は、装飾的外観、密着性、耐食性、生産性、総合評価の全てにおいて良好な評価結果が得られている。
この評価結果から明らかなように、実施例1〜3は、下地めっき層21としてニッケルの第一バリア型被膜21aと銅の第二バリア型被膜21bを重ねることで、被めっき物品1の材料となる鉄が水や酸素が遮断され、ニッケルの犠牲型被膜21cで銅の第二バリア型被膜21bを犠牲的に保護している。これにより、目標とする装飾的外観、密着性、耐食性、生産性をクリヤーした。
特に、実施例1は、第一バリア型被膜21a及び第二バリア型被膜21bと犠牲型被膜21cがすべて4μmで同じ厚みであるため、第一バリア型被膜21aを積層する第一下地めっき形成工程と、第二バリア型被膜21bを積層する第二下地めっき形成工程と、犠牲型被膜21cを積層する第三下地めっき形成工程と、をそれぞれ並行して連続的に処理できて最も生産性に優れる。
しかし、これに対して、比較例1〜4は、装飾的外観、密着性、耐食性、生産性のいずれかで不良な評価結果になっている。
詳しく説明すると、比較例1は、下地めっき層の犠牲型被膜がニッケル2μmで薄いため、装飾的外観で不良な評価結果になり、第一バリア型被膜と第二バリア型被膜と犠牲型被膜で厚みに差があるため、各下地めっき形成工程を並行して同時に完了できず、生産性で不良な評価結果になった。
比較例2は、下地めっき層の犠牲型被膜がニッケル6μmまで厚くなると、第二バリア型被膜の銅との密着が高くなるため、第二バリア型被膜の銅4μmと第一バリア型被膜のニッケル2μmとが剥がれて、密着性で不良な評価結果になり、第一バリア型被膜と第二バリア型被膜と犠牲型被膜で厚みに差があるため、各下地めっき形成工程を並行して同時に完了できず、生産性で不良な評価結果になった。
比較例3は、下地めっき層がニッケル6μmの二層構造であるため、耐食性で不良な評価結果になった。
比較例4は、下地めっき層が銅6μmとニッケル6μmの二層構造であるため、装飾的外観と耐食性で不良な評価結果になった。
なお、前示の実施例1〜3と比較例1〜4では、共通の構成として下地めっき層及び表面めっき層のトータル厚みを12.1μmにしたが、これに限定されず、次のようにトータル厚みを12.3μmや14.1μmや15.1μmや16.1μmなどに変更したり、トータル厚みを11.1μmまで薄くしたり、トータル厚みを16.3μmまで厚くしてもよい。
変更例1:実施例1〜3のスズ−コバルト合金0.1μmを0.3μmに代えて、それぞれのトータル厚みを12.3μmに変更した。この場合も実施例1〜3と同様な評価結果が得られた。
変更例2:実施例1において第二バリア型被膜21bの銅4μmを6μmに代え、第一バリア型被膜21aのニッケル4μm,犠牲型被膜21cのニッケル4μm及びスズ−コバルト合金0.1μmとのトータル厚みを14.1μmに変更した。この場合も実施例1と同様な評価結果が得られた。
変更例3:実施例1において第一バリア型被膜21aのニッケル4μm、第二バリア型被膜21bの銅4μm、犠牲型被膜21cのニッケル4μmをそれぞれ5μmに代え、スズ−コバルト合金0.1μmとのトータル厚みを15.1μmに変更した。この場合も実施例1と同様な評価結果が得られた。
変更例4:実施例2において第一バリア型被膜21aのニッケル3μmを6μmに代え、犠牲型被膜21cのニッケル3μmを4μmに代え、第二バリア型被膜21bの銅6μm及びスズ−コバルト合金0.1μmとのトータル厚みを16.1μmに変更した。この場合も実施例2と同様な評価結果が得られた。
また、前示の実施例では、下地めっき層21が第一バリア型被膜21aのニッケル,第二バリア型被膜21bの銅及び犠牲型被膜21cのニッケルであっが、これに限定されず、第二バリア型被膜21bの銅に代えて金や銀を用いることも可能である。この場合も実施例1〜3の評価結果と同様な評価結果が得られた。
A 装飾めっき物品 1 被めっき物品
2 バレルめっき層 21 下地めっき層
21a 第一バリア型皮膜 21b 第二バリア型被膜
21c 犠牲型被膜 22 表面めっき層

Claims (3)

  1. 主成分が鉄からなる被めっき物品と、
    前記被めっき物品の外側に設けられるバレルめっき層と、を備え、
    前記バレルめっき層は、前記被めっき物品の外側に形成される下地めっき層と、
    前記下地めっき層の外側に形成されてスズ−コバルトからなる表面めっき層と、を有し、
    前記下地めっき層は、前記被めっき物品の外側に積層されて前記被めっき物品の主成分である鉄よりもイオン化傾向の小さいニッケルを含む金属からなる第一バリア型被膜と、
    前記第一バリア型被膜の外側に積層されて前記第一バリア型被膜のニッケルを含む金属よりもイオン化傾向の小さい銅、銀、金のいずれか一つ又は合金からなる第二バリア型被膜と、
    前記第二バリア型被膜の外側で且つ前記表面めっき層の内側に積層されて前記第二バリア型被膜の銅、銀、金のいずれか一つ又は合金よりもイオン化傾向の大きいニッケルを含む金属からなる犠牲型被膜と、を有し、
    前記第一バリア型被膜、前記第二バリア型被膜及び前記犠牲型被膜の層比が、1:1〜2:2/3〜1に設定されることを特徴とする装飾めっき物品。
  2. 前記表面めっき層となるスズ−コバルト合金の厚みが0.1〜0.3μmに設定されることを特徴とする請求項1記載の装飾めっき物品。
  3. 主成分が鉄からなる被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記被めっき物品の外側に前記被めっき物品の主成分である鉄よりもイオン化傾向の小さいニッケルを含む金属からなる第一バリア型被膜を積層する第一下地めっき形成工程と、
    前記第一バリア型被膜の積層後の前記被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記第一バリア型被膜の外側に前記第一バリア型被膜のニッケルを含む金属よりもイオン化傾向の小さい銅、銀、金のいずれか一つ又は合金からなる第二バリア型被膜を積層する第二下地めっき形成工程と、
    前記第二バリア型被膜の積層後の前記被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記第二バリア型被膜の外側に前記第二バリア型被膜の銅、銀、金のいずれか一つ又は合金よりもイオン化傾向の大きいニッケルを含む金属からなる犠牲型被膜を積層する第三下地めっき形成工程と、
    前記犠牲型被膜の積層後の前記被めっき物品が入ったバレルをめっき槽内に浸漬して、前記犠牲型被膜の外側にスズ−コバルトからなる表面めっき層を積層する表面めっき形成工程と、を含み、
    前記第一バリア型被膜、前記第二バリア型被膜及び前記犠牲型被膜の層比が、1:1〜2:2/3〜1に設定されることを特徴とする装飾めっき物品の製造方法。
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