JP6102731B2 - 積層コアの焼鈍方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層コアの焼鈍方法に関するものである。特に、短時間で焼鈍を行う場合に用いられて好適である。
比較的小型の回転機等に用いられる積層コアは、無方向性電磁鋼鈑を所定の形状に打ち抜いて積層し、溶接やかしめ等の方法により固定することで形成される。一般に打ち抜きによる歪みで鉄損が増加し、回転機等のエネルギー効率が低下してしまうため、歪みを除去するために積層コアを形成した後に焼鈍を行っている。焼鈍には加熱、均熱および冷却の工程によって長時間を有するために、焼鈍が完了するまでの時間を短くすることが求められている。
焼鈍が完了するまでの時間を短くするには、積層コアを急速に加熱して加熱時間を短縮させることが考えられるが、積層コアが形状劣化してしまう。このような問題に対して、特許文献1には、焼鈍における加熱および冷却の少なくとも何れか一方において、積層コアの上面に錘を載置することで積層コアの軸方向に沿って荷重をかける焼鈍方法が開示されている。
特開2013−150457号公報
本発明者らは、特許文献1で開示された焼鈍方法よりも更に、所定の温度に到達するまでの加熱時間を短縮させようと試みたところ、積層コアの高さ方向に偏温が大きくなってしまう問題があることが判明した。具体的には、積層コアの上部が所定の温度であるのに対して、積層コアの内部の温度が低かった。そのため、積層コアの内部では温度上昇が不十分であるために磁気特性の改善効率を図ることができなかった。また、積層コアの上部では変形が生じてしまい形状劣化してしまった。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、積層コアを短時間で加熱する場合であっても積層コアの偏温を小さくすることを目的とする。
本発明の積層コアの焼鈍方法は、電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、前記積層コアの上面を上側から覆う大きさに形成され前記積層コアの内部に形成された空間と連通する貫通孔を有する第1の遮蔽部材と、前記積層コアの下面を下側から覆う大きさに形成され前記空間と連通する貫通孔を有する第2の遮蔽部材と、により前記積層コアを上下から挟み込む工程と、前記空間に前記積層コアの高さ寸法よりも長い寸法に形成された棒状のヒーターを挿入して前記積層コアを加熱する工程と、を有することを特徴とする。
また、前記棒状のヒーターは、前記積層コアの高さ寸法よりも長い寸法の発光部を有し、前記積層コアを加熱する工程では、前記発光部の上端が前記積層コアの上面よりも上側かつ前記発光部の下端が前記積層コアの下面よりも下側の状態で前記積層コアを加熱することを特徴とする。
また、前記積層コアを加熱する工程では、前記空間に挿入した前記棒状のヒーターに加えて前記積層コアの外側に配置された棒状のヒーターにより前記積層コアを加熱することを特徴とする。
また、前記積層コアを挟み込む工程では、軸方向に沿って複数、重ね合わせた積層コアを上下から挟み込み、前記積層コアを加熱する工程では、前記重ね合わせた積層コアの高さ寸法よりも長い寸法に形成された前記棒状のヒーターを挿入することを特徴とする。
本発明によれば、積層コアを短時間で加熱する場合であっても積層コアの偏温を小さくすることができる。
積層コアの構成を示す図である。 本実施形態に係る加熱方法を説明するための斜視図である。 本実施形態に係る加熱方法を説明するための平面図である。 本実施形態に係る加熱方法を説明するための側面図である。 棒状のヒーターを配置する位置を説明するための斜視図である。 棒状のヒーターを配置する位置を説明するための平面図である。 積層コアの温度を測定する測定点を示す図である。 実施例によって加熱した積層コアの各測定点の温度変化を示すグラフである。 比較例によって加熱した積層コアの各測定点の温度変化を示すグラフである。 形状劣化を比較するために積層コアの測定箇所を示す図である。 実施例および比較例によって加熱した積層コアの鉄損を比較するグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
まず、積層コアを製造する工程について簡単に説明する。なお、本実施形態では、積層コアとして回動機の固定子の積層コアを用いる。
まず、固定子用のプレス金型を用いて無方向性電磁鋼鈑(以下、電磁鋼鈑という)を一枚ずつ打ち抜く。次に、打ち抜いた電磁鋼鈑を所定の枚数積層させた状態で固定し、積層コアを形成する。積層コアの固定には、溶接やかしめなどを用いることができる。図1は、積層コア10の構成を示す図である。図1に示すように、積層コア10はコアバック部11とティース部12とを有している。コアバック部11は積層コア10の軸方向(図1に示す中心軸O方向を参照)に沿って円筒状に形成される。また、ティース部12は、コアバック部11の内周から積層コア10の中心に向かって延出している。ティース部12は、コアバック部11の内周の周方向に沿って等間隔で複数形成される。また、積層コア10内には、軸方向に沿った空間13が形成される。
次に、積層コア10を加熱炉(焼鈍炉)にて焼鈍する。積層コア10の焼鈍では、積層コア10を高温で加熱する加熱工程を経た後、冷却する冷却工程を有する。なお、場合によって加熱工程には、積層コア10を均熱する均熱工程も含まれる。
積層コア10を焼鈍することで、電磁鋼鈑を打ち抜くときに発生した歪みを除去することができる。
本実施形態では、積層コア10の生産性の向上を図るために、積層コア10を焼鈍する場合に積層コア10の内部に形成された空間13に棒状のヒーターを挿入し、所定の温度に到達するまで積層コア10を加熱することで、加熱時間を短時間にする。しかしながら、積層コア10のうち特定の位置では短時間で所定の温度に到達したが、他の位置では温度が低く、積層コアの偏温が大きくなってしまっていた。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、積層コア10の偏温が大きくなってしまうのは、棒状のヒーターの長さが積層コア10の高さよりも長いために、積層コア10の上部および下部が高さ方向における中央部よりも加熱されているためであることを見出した。具体的には、棒状のヒーターを用いて積層コア10を空間13から加熱する場合、棒状のヒーターの発光部の上端が積層コア10の上面よりも上側に位置し、棒状のヒーターの発光部の下端が積層コア10の下面よりも下側に位置した状態で加熱する。したがって、積層コア10のうち上部および下部はヒーターの発光部による空間13からの加熱に加えて高さ方向からも加熱される。すなわち、積層コア10の上部や下部は中央部に比べてより加熱されることから、積層コア10の上部や下部が中央部の温度よりも高く、積層コア10の偏温が大きくなる要因であることを突き止めた。
このような積層コア10の偏温が大きくなる問題に対して、棒状のヒーターの発光部の長さを積層コア10の高さ方向の長さと一致させると共に、発光部の位置と積層コア10の高さ方向の位置とを一致させた状態で加熱することが考えられる。このように加熱することで、積層コア10の上部および下部は高さ方向から加熱されることがないために、積層コア10の過大な偏温が生じないものと推測される。しかしながら、積層コア10の高さは製造する回動機の仕様に応じて変更されるために回動機の仕様に応じてヒーターの発光部の長さを変更した上で、更にヒーターの発光部の位置と積層コア10の高さ位置とを一致させなければならず、かえって積層コア10の生産性が低下してしまう。
本発明者らは、貫通孔を有する、第1の遮蔽部材および第2の遮蔽部材を積層コア10の上下から挟み込み、積層コア10の内部に形成される空間13に、積層コア10の高さ寸法よりも長い寸法の棒状のヒーターを挿入して、積層コア10を空間13から加熱すれば、上述した問題が解決されることを見出した。以下、具体的に、本実施形態に係る積層コアの焼鈍における加熱方法について説明する。
図2は、本実施形態の加熱方法を説明するための斜視図である。図3は、本実施形態の加熱方法を説明するための平面図である。
本実施形態では、積層コア10を上下から挟み込む遮蔽部材のうち、積層コア10の上面を上側から覆う遮蔽部材を第1の遮蔽部材21とし、積層コア10の下面を下側から覆う遮蔽部材を第2の遮蔽部材23とする。
第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23は、略一定板厚に形成された板状であって、棒状のヒーターからの輻射熱を遮蔽できる材質、例えば酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ほう化窒素、等のセラミックス、ステンレス鋼、インコネル、等の耐熱鋼などを用いることができる。
第1の遮蔽部材21は積層コア10の上面の全てを上側から覆うことができるように、外径が積層コア10の外径寸法(図1に示す外径Dを参照)よりも大きな円形に形成されている。また、第1の遮蔽部材21は、中央に貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、積層コア10の内径寸法(図1に示す内径dを参照)よりも小さな径であり、棒状のヒーター25が挿入可能な径に形成されている。
第2の遮蔽部材23は積層コア10の下面の全てを下側から覆うことができるように、外形が積層コア10の外形寸法よりも大きな円形に形成されている。また、第2の遮蔽部材23は、中央に貫通孔24(後述する図4を参照)が形成されている。
本実施形態では、第1の遮蔽部材21と第2の遮蔽部材23とは同一の構成である。また、本実施形態では、第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23を円形としているが、積層コア10を上側または下側から覆うことができる形状であれば円形に限られず、例えば矩形状であってもよい。また、ステータと同一あるいは同様の形状でステータ全面を覆う形状に加工してもよい。
また、本実施形態では、棒状のヒーターとして、赤外線を発光するヒーターを用いる。具体的には、例えば、赤外線(0.78μm〜2.0μmの波長帯域の赤外線)または近赤外の波長帯域を含む赤外線を発光する棒状のハロゲンヒーター(ハロゲンランプヒーターとも称する)が適用される。ハロゲンヒーターは、例えば、筒状の石英ガラス管の内部にタングステンフィラメントが配設されると共に、不活性ガスおよびハロゲン物質が封入される構成を有する。タングステンフィラメントが通電によって赤外線を放射する。
棒状のヒーター25は、積層コア10の高さ寸法(図1に示す高さHcを参照)よりも長い寸法に形成されている。具体的には、棒状のヒーター25は径方向の全方向に赤外線を発光する発光部26を有し、発光部26が積層コア10の高さ寸法よりも長い寸法に形成されている。なお、積層コア10の高さ寸法は回動機の仕様によって様々である。したがって、想定している積層コア10の中で最も高さ寸法が大きい積層コア10の高さ寸法よりも長くなるように発光部26の長さ寸法を設定する。また、生産効率を更に向上させるために、積層コア10を軸方向に沿って複数、重ね合わせた状態で加熱する場合がある。この場合には、想定している積層コア10の中で最も高さ寸法を大きい積層コア10を複数、重ね合わせたときの高さ寸法よりも長くなるように発光部26の長さ寸法を設定する。
次に、積層コア10の加熱方法について、具体的に説明する。
電磁鋼鈑を積層させた状態で固定した積層コア10を加熱炉に搬送した後、軸方向を上下方向に配置した状態の積層コア10を上側から第1の遮蔽部材21で覆うと共に、下側から第2の遮蔽部材23で覆う。このとき、第1の遮蔽部材21は積層コア10の上面が露出しないように覆い、第2の遮蔽部材23は積層コア10の下面が露出しないように覆うものとする。したがって、積層コア10は、第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23によって上下から挟み込まれる(挟み込み工程)。この状態では、第1の遮蔽部材21の貫通孔22および第2の遮蔽部材23の貫通孔24は、積層コア10の空間13に連通される。
次に、棒状のヒーター25を第1の遮蔽部材21の貫通孔22を通して、積層コア10の内部に形成される空間13に挿入する。このとき、棒状のヒーター25により積層コア10の空間13からティース部12を全長に亘って均一に加熱できるように、棒状のヒーター25を積層コア10の中心軸Oに沿って平行に挿入する。また、図4に示すように、棒状のヒーター25の発光部26の上端26aが積層コア10の上面よりも上側であり、かつ発光部26の下端26bが積層コア10の下面よりも下側になる位置まで挿入するものとする。なお、図4では、第2の遮蔽部材21の下面と接地面との間に貫通孔28を有する円筒状の載置台27を介在させることで、積層コア10を嵩上げしている。したがって、棒状のヒーター25を載置台27の貫通孔28まで挿入することで、発光部26の下端26bを容易に積層コア10の下面よりも下側に位置させることができる。なお、載置台27は、耐熱性を有する材質を用いることができ、第2の遮蔽部材23と一体で形成してもよい。
棒状のヒーター25の発光部26は、空間13の内周側から赤外線を発光することで発光部26に近接したティース部12を輻射熱により加熱する(加熱工程)。このとき、棒状のヒーター25は空間13の中央に挿入されていることによりティース部12の軸線方向の全長に亘って、均一な強度の赤外線が直接的に照射される。棒状のヒーター25によりティース部12が内周側から加熱されることにより、ティース部12の温度が上昇するに応じて各電磁鋼鈑の径方向に熱が伝導され徐々にコアバック部11の温度も上昇する。積層コア10が所定の温度に到達するまで加熱する。ここで、所定の温度とは、鉄損を効果的に低減することができる温度、例えば650℃以上950℃以下、好ましくは750℃以上850℃以下であるものとする。所定の温度まで加熱した後、棒状のヒーター25の加熱を停止し、積層コア10を徐冷する(冷却工程)ことで、積層コア10の焼鈍が完了する。
本実施形態に係る加熱方法によれば、貫通孔22を有する第1の遮蔽部材21と、貫通孔24を有する第2の遮蔽部材23とにより上下から挟み込まれた積層コア10の空間13に、積層コア10の高さ寸法よりも長い寸法の棒状のヒーター25を挿入して積層コア10を加熱する。したがって、第1の遮蔽部材21は棒状のヒーター25から発光される上側からの輻射熱を遮蔽でき、第2の遮蔽部材23は棒状のヒーター25から発光される下側からの輻射熱を遮蔽できる。すなわち、第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23によって、積層コア10のティース部12の内周側は、高さ方向の何れの位置であって棒状のヒーター25からの照射される赤外線を均一にすることができる。そのため、本実施形態の加熱方法によれば、積層コア10を偏温させることなく加熱することができる。
また、積層コア10を構成する電磁鋼鈑はプレス金型を用いて打ち抜かれている。したがって、単純な形状のコアバック部11に比べて凹凸を有するティース部12の方が切り口が長く、歪みが大きい。本実施形態によれば、積層コア10の空間13に棒状のヒーター25を挿入して積層コア10の内周側から加熱するために、ティース部12をコアバック部11よりも確実に所定の温度に到達させることができ、ティース部12の焼鈍の効果を高めることができ、鉄損を低減させ磁気特性を改善することができる。
また、本実施形態によれば、発光部26の上端26aが積層コア10の上面よりも上側かつ発光部26の下端26bが積層コア10の下面よりも下側の状態で積層コア10を加熱する。このような状態の発光部26を用意することにより、棒状のヒーター25の発光部26の長さ寸法を長めにすることができ、回動機の仕様によって積層コア10の高さが変動する場合であっても、発光部26の長さを変更することなく、様々な積層コア10の加熱に使用することができる。
次に、異なる加熱方法(実施例、比較例)によって焼鈍した積層コアの偏温をそれぞれ比較して、上述した実施形態の効果を検証した。
まず、実施例は、上述した実施形態の第1の遮蔽部材21と第2の遮蔽部材23とにより積層コア10を上下から挟み込んで、加熱炉内で棒状のヒーター25を積層コア10の空間13に複数配置すると共に、外側に複数配置して所定の温度まで加熱した後、均熱することなく100℃まで40分間かけて冷却した。なお、実施例のうち、実施例1は所定の温度として750℃まで加熱する加熱方法を実施例1とし、850℃まで加熱する加熱方法を実施例2とする。
図5は、棒状のヒーターを配置する位置を説明するための斜視図である。図6は、棒状のヒーターを配置する位置を説明するための平面図である。積層コア10の空間13に配置する棒状のヒーター25は、積層コア10の中心軸Oから同距離であって中心軸Oを中心にしてそれぞれ等角度に6本配置した。また、積層コア10の外側に配置する棒状のヒーター25は、積層コア10の中心軸Oから同距離であって中心軸Oを中心にしてそれぞれ等角度に8本配置した。積層コア10の外側にも棒状のヒーター25を配置することにより、更に加熱時間を短時間にすることができる。
図6に示すように、積層コア10の空間に配置された棒状のヒーター25と積層コア10との最短距離L1を26mmとし、積層コア10の外側に配置された棒状のヒーター25と積層コア10との最短距離L2を45mmとした。
第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23は、板厚2mmの酸化アルミニウム板を用いた。棒状のヒーター25としてハロゲンヒーターを用い、ハロゲンヒーターに投入される電力を約2550Wとした。投入電力のうち、赤外線に変換されるのは約86%であり、発光部の長さ寸法は150mmとしたので、ハロゲンヒーターから放射される熱量は約15W/mmとなる。
比較例は第1の遮蔽部材21と第2の遮蔽部材23とを用いずに、実施例と同じ条件により所定の温度として750℃まで加熱した後、実施例と同じ条件で冷却した。
焼鈍する積層コア10は、図1に示す外径Dの平均外径が200mm、内径dの平均内径が140mm、高さHcの平均高さが60mmであり、各電磁鋼鈑が厚み0.3mmであって、約200枚積層させたものである。
<積層コアの偏温>
図7は、積層コア10の温度を測定する測定点を示す図である。
測定点Aは、積層コア10の上部かつティース部12の先端である。
測定点Bは、積層コア10の下部かつティース部12の先端である。
測定点Cは、積層コア10の上部かつコアバック部11の外周である。
測定点Dは、積層コア10の下部かつコアバック部11の外周である。
測定点Eは、積層コア10の上部かつティース部12の先端である。
測定点Fは、積層コア10の中央部かつティース部12の先端である。
測定点Gは、積層コア10の下部かつティース部12の先端である。
なお、図6に示すように、測定点A(測定点Bも同様)は空間13内のヒーター25間に位置し、測定点E(測定点F、Gも同様)は空間13内のヒーター25と最短距離に位置している。
実施例によって加熱した積層コア10の各測定点の温度変化を図8および表1に示す。
図8は、実施例の各測定点の温度変化を示すグラフである。表1は、実施例の各測定点の温度を示す表である。なお、ここでは、実施例のうち、所定の温度として850℃まで加熱する実施例2により加熱したときの積層コア10の温度変化を示している。
Figure 0006102731
図8および表1に示すように、最も昇温が速いのは測定点Eであり、280秒で750℃に到達し、327秒で850℃に到達した。なお、表1は、測定点のうち一点(測定点E)が750℃に到達した280秒の各測定点の温度を示し、測定点のうち一点(測定点E)が850℃に到達した327秒の各測定点の温度を示している。
一方、最も昇温が遅いのは測定点Dであり、測定点Dでは280秒で644℃、327秒で724℃であった。
したがって、測定点Eが750℃に到達したときの積層コア10の温度の偏差は106℃(750℃−644℃)であり、測定点Eが850℃に到達したときの積層コア10の温度の偏差は126℃(850℃−724℃)であった。
また、ティース部12の中で温度を比較した場合、昇温が遅い測定点Gでは、280秒で695℃、327秒で782℃であった。
したがって、測定点Eが750℃に到達したときのティース部12における温度の偏差は55℃(750℃−695℃)であり、測定点Eが850℃に到達したときのティース部12における温度の偏差は68℃(850℃−782℃)であった。
次に、比較例によって加熱した積層コア10の各測定点の温度変化を図9および表2に示す。
図9は、比較例の各測定点の温度変化を示すグラフである。表2は、比較例の各測定点の温度を示す表である。
Figure 0006102731
図9および表2に示すように、最も昇温が速いのは測定点Eであり、168秒で750℃に到達した。なお、表2では、測定点のうち一点(測定点E)が750℃に到達した168秒の各測定点の温度を示している。
一方、最も昇温が遅いのは測定点Dであり、測定点Dでは168秒で466℃であった。
したがって、測定点Eが750℃に到達したときの積層コア10の温度の偏差は284℃(750℃−466℃)であった。
また、ティース部12の中で温度を比較した場合、昇温が遅い測定点Fでは、168秒で473℃であった。
したがって、測定点Eが750℃に到達したときのティース部12における温度の偏差は277℃(750℃−473℃)であった。
このように実施例によれば、第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23を用いることで積層コア10の偏温が比較例に比べて小さくなることが実証できた。
[形状劣化の比較]
次に、上述した実施例1、実施例2および比較例によって加熱して焼鈍が完了した積層コア10の形状劣化を比較した。
形状劣化の比較として実施例1、実施例2、比較例の積層コア10のそれぞれについて、測定項目として焼鈍終了後の最大外径、最小外径、最大内径、最小内径、最大高さ、最小高さを測定した。図10(a)の積層コア10の平面図に示すように、最大外径(Dmax)および最小外径(Dmin)は、積層コア10の外径のうちの最大値および最小値である。図10(b)の積層コア10の平面図に示すように、最大内径(dmax)および最小内径(dmin)は、積層コア10の内径のうちの最大値および最小値である。図10(c)の積層コア10の側面図に示すように、最大高さ(Hmax)および最小高さ(Hmin)は、積層コア10の下面からの高さのうち最大値および最小値である。
ここでは、外径、内径、高さそれぞれについて、(最大値−最小値)/最大値 を算出し、劣化率を算出した。以下の表にその比較結果を示す。
Figure 0006102731
表3に示す外径の比較結果、内径の比較結果、高さの比較結果の何れにおいても、実施例1および実施例2のように加熱することで形状劣化が比較例よりも大きく抑制できることが実証できた。
[鉄損の比較]
次に、上述した実施例1、実施例2および比較例によって加熱して焼鈍が完了した積層コア10の鉄損を比較した。
ここでは、実施例1、実施例2、比較例の積層コア10のそれぞれについて、焼鈍する前の鉄損を100として焼鈍が完了した後の積層コア10の鉄損を比率で比較した。したがって、100よりも小さい方が鉄損を低減できたことを示している。
図11は、縦軸が鉄損W10/800であり、具体的には800[Hz]の交流で、最大1.0Tで磁化したときの1kg当たりのエネルギー損失である。磁性測定の方法としては、2つのティース部12の先端を損失の小さいヨークで磁気的に結合し、閉磁路を形成して磁気測定を行った。測定に際しては、励磁磁束波形が正弦波になるように励磁力をフィードバック制御した。磁気測定方法はJIS−C2550に記載された方法を用いた。
図11に示すように、実施例1および実施例2では鉄損を20%低減でき、比較例では鉄損を低減できなかった。このように実施例1および実施例2の加熱方法により焼鈍を行うことで、鉄損を比較例よりも低減できることが実証できた。なお、図11に示すように、実施例2は実施例1よりも鉄損を低減することができる。したがって、鉄損を低減することに重きを置く場合には加熱時間が僅かに延びるものの積層コア10を所定の温度として850℃まで加熱し、加熱時間を短縮することに重きを置く場合には鉄損が僅かに大きくなるものの積層コア10を所定の温度として750℃まで加熱するように使い分けることができる。すなわち、加熱する温度を変更することで求められる仕様に応じた積層コア10を製造することができる。なお、上述したように所定の温度は750℃または850℃に限られず、750℃以上850℃以下の温度であってよく、750℃以下あるいは850℃以上であってもよい。
このように、貫通孔22、24を有する、第1の遮蔽部材21および第2の遮蔽部材23を積層コア10の上下から挟み込み、積層コア10の内部に形成される空間13に、積層コア10の高さ寸法よりも長い寸法の棒状のヒーター25を挿入して、積層コア10を空間13から加熱すれば、積層コア10を短時間で加熱する場合であっても積層コア10の偏温を小さくすることができる。積層コア10の偏温を小さくすることにより、形状劣化を抑制することができると共に、積層コア10の何れの位置でも所定の温度あるいは所定の温度近くまで加熱されるために鉄損を低減でき磁気特性の改善効率を図ることができる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、上述した実施形態では、固定子の積層コアを焼鈍する場合について説明したが、この場合に限られず、回転子の積層コアを焼鈍する場合にも用いることができる。
なお、本実施形態では、複数、積層コア10を軸方向に重ね合わせ、重ね合わせた積層コア10を第1の遮蔽部材21と第2の遮蔽部材23とにより上下から挟み込み、重ね合わせた積層コア10の内部に形成される空間13に、積層コア10の高さ寸法よりも長い寸法の棒状のヒーター25を挿入して、積層コア10を加熱してもよい。この場合には、更に生産効率を向上させることができる。なお、この場合には、発光部26の上端26aが最上部に位置する積層コア10の上面よりも上側かつ発光部26の下端26bが最下部に位置する積層コア10の下面よりも下側の状態で積層コア10を加熱するものとする。
また、ヒーター25の配置についても、内側に6本、外側に8本に限定されるものではなく、内側のみ、外側のみ、内側のみまたは外側のみに複数本、内側のみまたは外側のみに発熱量の大きな1本のヒーターを配置してもよい。
10:積層コア 11:コアバック部 12:ティース部 21:第1の遮蔽部材 22:貫通孔 23:第2の遮蔽部材 24:貫通孔 25:棒状のヒーター 26:発光部

Claims (4)

  1. 電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、
    前記積層コアの上面を上側から覆う大きさに形成され前記積層コアの内部に形成された空間と連通する貫通孔を有する第1の遮蔽部材と、前記積層コアの下面を下側から覆う大きさに形成され前記空間と連通する貫通孔を有する第2の遮蔽部材と、により前記積層コアを上下から挟み込む工程と、
    前記空間に前記積層コアの高さ寸法よりも長い寸法に形成された棒状のヒーターを挿入して前記積層コアを加熱する工程と、を有することを特徴とする積層コアの焼鈍方法。
  2. 前記棒状のヒーターは、前記積層コアの高さ寸法よりも長い寸法の発光部を有し、
    前記積層コアを加熱する工程では、前記発光部の上端が前記積層コアの上面よりも上側かつ前記発光部の下端が前記積層コアの下面よりも下側の状態で前記積層コアを加熱することを特徴とする請求項1に記載の積層コアの焼鈍方法。
  3. 前記積層コアを加熱する工程では、前記空間に挿入した前記棒状のヒーターに加えて前記積層コアの外側に配置された棒状のヒーターにより前記積層コアを加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の積層コアの焼鈍方法。
  4. 前記積層コアを挟み込む工程では、軸方向に沿って複数、重ね合わせた積層コアを上下から挟み込み、
    前記積層コアを加熱する工程では、前記重ね合わせた積層コアの高さ寸法よりも長い寸法に形成された前記棒状のヒーターを挿入することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の積層コアの焼鈍方法。
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