JP6102732B2 - 積層コアの焼鈍装置 - Google Patents
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Description
焼鈍装置を用いた積層コアの焼鈍方法の例として、たとえば、焼鈍装置が備える熱源によって積層コアを所定の温度に加熱し、さらに均熱化のために所定の時間にわたって加熱を継続し、その後徐冷するという方法が用いられる。そして、特許文献1に記載のように、焼鈍装置が熱源として棒状のハロゲンヒーターを備え、この棒状のハロゲンヒーターを積層コアの内部と外周側の少なくとも一方に挿通することによって、積層コアを加熱する方法が提案されている。
本発明の実施形態にかかる焼鈍装置は、積層コアの焼鈍に用いられる装置である。ここで、焼鈍の対象物である積層コアについて、構成例を簡単に説明する。図1は、焼鈍の対象物である積層コアの構成例を模式的に示す斜視図である。
積層コア9は、環状に打ち抜き加工された複数の電磁鋼板91が積層されており、全体として軸線方向に貫通する円筒状の構成を有する。積層コア9の内周側には、複数の歯92が形成される。複数の歯92は、それぞれ半径方向の中心側に向かって突出し、軸線方向に延伸する凸状の構成を有する。そして、複数の歯92は、円周方向に所定の間隔をおいて並ぶように形成される。
一般的に、ハイブリッド自動車や電気自動車用の電動機の積層コア9は、外径DOがφ180〜270mm程度であり、内径DIが130〜160mm程度である。また、コンプレッサー用などの小型の電動機の積層コア9は、外径DOがφ90〜120mm程度であり、内径DIが50〜60mm程度である。
本実施形態にかかる焼鈍装置は、積層コア9の寸法に制限されるものではないが、内径DIが130mm程度未満の小型の電動機の積層コア9の焼鈍に好適である。特に、コンプレッサー用などの小型の電動機の積層コア9などといった、内径DIが50〜60mm程度の積層コア9の焼鈍にさらに好適である。
図2と図3は、本発明の実施形態にかかる焼鈍装置の構成例を模式的に示す断面図である。なお、図2は、焼鈍装置1に積層コア9が収容される前の状態を示し、図3は、焼鈍装置1に積層コア9が収容されている状態を示す。
焼鈍装置1は、熱源として直線棒状のヒーター13(以下、単に「ヒーター13」と記す)を有し、このヒーター13を用いて積層コア9を内周側から加熱する。なお、ヒーター13の数は特に限定されるものではない。そして、焼鈍装置1は、ヒーター13のほかに、チャンバー11(本体)と、チャンバー11に着脱可能なヒーター保持具14とを有する。そして、ヒーター13は、ヒーター保持具14に取り付けられている。また、チャンバー11の内部には、支持台12と搬送機構(図略)と接触通電式の端子16とが設けられる。
なお、ヒーター13には、直線棒状に形成され、長手方向の両端から通電して発熱させる構成であればよく、公知の各種直線棒状のハロゲンヒーターが適用できる。
ヒーター保持具14には、固定式の端子15が設けられている。そして、ヒーター13の基端部の端子131は、この固定式の端子15に電気的に接続されている。また、固定式の端子15は、外部の電源201に、電源ケーブル202によって電気的に接続されている。この電源ケーブル202は、ヒーター保持具14をチャンバー11に着脱できるように、長さに余裕を持たせてある。外部の電源201としては、商用電源などの単相交流電源が適用される。
なお、固定式の端子15の具体的な構成は、特に限定されるものではない。要は、ヒーター13の基端部の端子131を電気的に接続できる構成であればよい。たとえば、ヒーター13の基端部の端子131に端子金具をネジ止めする構成が適用できる。
一方、ヒーター13の先端部の端子132の端子金具は、接触により通電できるように露出している。
支持台12は、接触通電式の端子16と干渉することなく積層コア9を載置できる構成であればよく、具体的な構成は限定されるものではない。
搬送機構は、積層コア9を搬送して支持台12に載置すること、および、支持台12に載置されている積層コア9を搬出することができる。搬送機構には、公知の各種コンベアや小型のクレーンが適用できる。なお、搬送機構としてコンベアが適用される場合には、このコンベアが支持台12を兼用する構成であってもよい。
接触通電式の端子16は、図3に示すように、ヒーター保持具14がチャンバー11に装着された状態で、ヒーター保持具14に取り付けられているヒーター13の先端部の端子132が接触する位置に設けられる。そして、接触通電式の端子16の端子金具161は、ヒーター13の先端部の端子132と接触できるように露出している。このため、ヒーター保持具14がチャンバー11に装着されると、ヒーター13の先端部の端子132と接触通電式の端子16とが接触し、電気的に接続する。
そして、ヒーター保持具14がチャンバー11に装着されると、この開口部101はヒーター保持具14によって塞がれ、チャンバー11の内部は気密状態となる。
まず、固定式の端子15と接触通電式の端子16によって、全てのヒーター13が電気的に並列接続される構成について説明する。図4は、焼鈍装置1が複数のヒーター13を有し、全てのヒーター13が電気的に並列接続される構成の例を示す模式図である。なお、図4では、焼鈍装置1が4本のヒーター13を有する例を示すが、ヒーター13の数は限定されるものではない。
図4に示すように、全てのヒーター13の基端部の端子131どうしが、固定式の端子15によって互いに電気的に接続されている。たとえば、固定式の端子15は、電気的な導体からなる1つの端子金具151を有する。そして、全てのヒーター13の基端部の端子131が、この1つの端子金具151にネジなどによって固定される。このほか、ヒーター保持具14に複数の固定式の端子15が設けられる構成であってもよい。この場合には、各々のヒーター13の基端部の端子131が別々の固定式の端子15に電気的に接続され、全ての固定式の端子15がケーブルなどによって電気的に接続される構成であればよい。
同様に、全てのヒーター13の先端部の端子131は、接触通電式の端子16に接触すると、互いに電気的に接続する。たとえば、接触通電式の端子16は、全てのヒーター13の先端部の端子131が接触する1つの端子金具161を有する。そして、各々のヒーター13の先端部の端子131は、1つの端子金具161に接触することにより、互いに電気的に接続する。
そして、固定式の端子15と接触通電式の端子16は、それぞれ、電源ケーブル202によって電源201に電気的に接続される。
このような構成であれば、全てのヒーター13は電気的に並列接続される。ヒーター13が並列接続される構成であると、一部のヒーター13に不具合が生じた場合であっても、他のヒーター13によって積層コア9を加熱できる。
図5に示すように、全てのヒーター13のうちの2本のヒーター13の基端部の端子131は、それぞれ、固定式の端子15と電源ケーブル202とを介して電源201に電気的に接続されている。また、残りのヒーター13については、2本ずつのヒーター13の基端部の端子131どうしが、固定式の端子15の端子金具151によって電気的に接続されている。なお、ヒーター保持具14に複数の固定式の端子15が設けられる構成であってもよい。この場合には、全ての固定式の端子15のうちの2つの固定式の端子15が、それぞれ電源ケーブル202を介して電源201に電気的に接続されている。そして、残りの固定式の端子15のうちの2つずつの固定式の端子15どうしが電気的に接続されている。
一方、接触通電式の端子16は、 ((ヒーター13の数)/2) 個の端子金具161を有する。そして、全てのヒーター13のうち、2つずつのヒーター13の先端部の端子131どうしが、共通の端子金具161に接触して電気的に導通する。なお、チャンバー11にヒーター13と同数の接触通電式の端子16が設けられる構成であってもよい。この場合には、2つずつの接触通電式の端子16どうしが電気的に接続される。
焼鈍装置1が2本のヒーター13を有する構成であれば、2本のヒーター13の基端部の端子131のそれぞれが、固定式の端子15を介して電源201に電気的に接続される。また、接触通電式の端子16は、1つの端子金具161を有し、2本のヒーター13の先端部の端子131は、接触通電式の端子16の1つの端子金具161に接触して電気的に接続する。このような構成であれば、2本のヒーター13が電気的に直列接続する。
さらに、積層コア9を軸線方向の全長にわたって均等に加熱できるように、ヒーター13の軸線は、積層コア9の軸線に平行となることが好ましい。
また、積層コア9の端部近傍は、形状効果によって他の部分と温度が相違しやすい。そこで、積層コア9の端面に赤外線を照射して他の部分と均等な温度に加熱できるように、ヒーター13の両端部が積層コア9の両端面から突出していることが好ましい。ただし、この突出長さが過大であると、積層コア9の端面に照射される赤外線が多くなり、他の部分よりも温度が高くなるおそれがある。そこで、この突出長さは、焼鈍対象物である積層コア9の半径の10〜15%程度の長さであることが好ましい。
次いで、本発明の実施形態にかかる焼鈍装置1を用いた焼鈍方法について、図2と図3を参照して説明する。
まず、ヒーター保持具14がチャンバー11から取り外された状態(図2に示す状態)で、搬送機構によって支持台12に積層コア9を載置する。なお、複数の積層コア9を焼鈍する場合には、複数の積層コア9を軸線方向に重ねて載置する。このような構成によれば、複数の積層コア9を同時に焼鈍できるため、生産性の向上を図ることができる。図3においては、2個の積層コア9が重ねて載置される構成を示すが、重ねられる積層コア9の数は限定されるものではない。
筒状の積層コア9の内周側に直線棒状のヒーター13が挿通される構成であるから、積層コア9の内周側に形成される歯92の表面の全体にわたって、赤外線をほぼ均等に照射できる。また、本発明の実施形態にかかる焼鈍装置1によれば、加熱炉を用いる構成(すなわち、積層コア9の外側に熱源が設けられる構成)と比較して、熱源であるヒーター13を歯92の表面に近接させることができる。このため、短時間で均等に積層コア9を加熱することができ、「積層コア9が所定の温度に到達するまでの時間」を短縮することができる。特に、近赤外線を放射するヒーター13が適用される構成であると、昇温の応答性を高めることができる。このため、積層コア9を短時間で所定の温度に昇温させることができる。
そして、焼鈍装置1は、このような動作を繰り返すことによって、複数の積層コア9を順次焼鈍する。
図6(a)は、U字形状のヒーターの構成例を示す模式図であり、図6(b)は、U字形状のヒーターが積層コア9の内周に挿通された状態を示す模式図である。
たとえば、U字形状のヒーター81(以下、「U字ヒーター81」と記す)を用いる構成であると、U字ヒーター81を管体が曲げ返される湾曲部812の側から積層コア9に挿抜することにより、加熱ごとに端子131と電源ケーブル202との接続と分離を行わなくてもよい。しかしながら、図6(a)に示すように、U字ヒーター81においては、湾曲部812の曲率半径Rを小さくするにも限度がある。たとえば、一般的には、ハロゲンヒーターの湾曲部812の曲率半径Rは30mmが下限である。このため、直径が10mmのハロゲンヒーターであれば、内径DIが (80mm+隙間C) 以下の積層コア9には適用できない。したがって、コンプレッサー用の電動機の積層コアなど、内径DIが60mm程度の小型の電動機の積層コアには適用できない。
上述の実施形態では、ヒーター13が積層コア9の内周に挿通される構成を示したが、積層コア9の外側に配設される構成であってもよい。ここで、ヒーター13が積層コア9の外側に配設される形態について、図7〜図10を参照して簡単に説明する。図7〜図10は、本発明の他の実施形態を説明する図であり、それぞれ、前述の実施形態を説明する図2〜図5に対応する図である。なお、前述の実施形態と共通の要素には同じ符号を付し、説明は省略する。
他の実施形態においても、図9に示すようにヒーター13が並列接続される構成と、図10に示すように、ヒーター13が直列接続される構成が適用できる。また、直列接続と並列接続が組み合わされる構成であってもよい。具体的なヒーター13の電気的な接続の態様は、図4と図5を参照して説明したとおりである。
他の実施形態によれば、ヒーター13と積層コア9の搬送機構との干渉を懸念する必要が無くなる。
Claims (9)
- 軸線方向に貫通する筒状の積層コアを焼鈍する焼鈍装置であって、
前記積層コアを内部に収容できるチャンバーと、
直線棒状に形成され、長手方向の一方の端部の側から前記チャンバーの内部に収容された前記積層コアに挿抜可能なヒーターと、
前記ヒーターが前記チャンバーの内部に収容された前記積層コアの内周と外周の少なくとも一方に挿通されると、前記ヒーターの前記一方の端部に設けられる端子に接触して前記端子と電気的に接続する接触通電式の端子と、
を有することを特徴とする積層コアの焼鈍装置。 - チャンバーに着脱可能で前記ヒーターの他方の端部が取り付けられるヒーター保持具をさらに有し、
前記ヒーター保持具が前記チャンバーに装着されると、前記ヒーターが前記チャンバーの内部に収容された前記積層コアの内周と外周の少なくとも一方に挿通されるとともに、前記ヒーターの前記一方の端部に設けられる端子が前記接触通電式の端子に接触することを特徴とする請求項1に記載の積層コアの焼鈍装置。 - 前記ヒーター保持具には固定式の端子が設けられ、
前記ヒーターの前記他方の端部に設けられる端子は、前記固定式の端子に電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の積層コアの焼鈍装置。 - 前記固定式の端子と前記接触通電式の端子は電源に電気的に接続されており、前記ヒーターは、前記固定式の端子と前記接触通電式の端子を介して前記電源から通電されることを特徴とする請求項3に記載の積層コアの焼鈍装置。
- 前記ヒーターが複数設けられ、複数の前記ヒーターは前記固定式の端子と前記接触通電式の端子とによって電気的に並列接続されることを特徴とする請求項4に記載の積層コアの焼鈍装置。
- 前記ヒーターが複数設けられ、複数の前記ヒーターは前記固定式の端子と前記接触通電式の端子とによって電気的に直列接続されるとともに、
前記固定式の端子は電源に電気的に接続されており、複数の前記ヒーターは、前記固定式の端子に取り付けられる側から通電されることを特徴とする請求項3に記載の積層コアの焼鈍装置。 - 前記チャンバーには内部と外部を連通する開口部が形成され、
前記ヒーターは前記開口部を通じて前記積層コアの内周と外周の少なくとも一方に挿抜可能であり、
前記ヒーター保持具が前記チャンバーに装着されると、前記開口部が前記ヒーター保持具によって塞がれることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の積層コアの焼鈍装置。 - 前記ヒーターは、赤外線を放射するヒーターであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の積層コアの焼鈍装置。
- 前記のヒーターは、長手方向の両端に端子が設けられる直線棒状のハロゲンヒーターであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の積層コアの焼鈍装置。
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