JP5763559B2 - 積層コアの焼鈍方法 - Google Patents
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一方、特許文献3に開示された技術には、誘導加熱を用いることで積層コアの加熱時間を短縮化させる技術が開示されている。
本発明の積層コアの焼鈍方法は、電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、焼鈍における加熱および冷却の少なくとも何れか一方において、前記積層コアの上面に錘を載置することで前記積層コアの軸方向に沿って荷重をかけ、前記積層コアの内周または外周が輻射回避部により覆われていることを特徴とする。
また、前記輻射回避部は、前記錘に一体的に形成されていることを特徴とする。
本発明の積層コアの焼鈍方法は、電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、焼鈍における加熱および冷却の少なくとも何れか一方において、電磁鋼鈑を積層した状態で予め固定した第1の積層コアの上面に錘としての1つ以上の、電磁鋼鈑を積層した状態で予め固定した他の積層コアを軸方向に沿って重ね合わせて、載置することで前記第1の積層コアの軸方向に沿って荷重をかけることを特徴とする。
また、前記錘は、略一定板厚に形成された板体であることを特徴とする。
まず、積層コアを製造する工程について簡単に説明する。なお、本実施形態では、積層コアとして回動機の固定子の積層コアを用いる。
積層コアを焼鈍することで、電磁鋼鈑を打ち抜くときに発生した歪を除去することができる。
図2は、第1の実施形態の焼鈍方法を説明するための図である。本実施形態では、積層コア10の上面に載置する錘20として、略一定板厚に形成された板体を用いる。錘20には、耐熱性を有する材質、例えばステンレス鋼やセラミックなどを用いることができる。また、錘20は積層コア10上面の全てを覆う大きさに形成されている。なお、ここでは、錘20の形状を円形としているが、円形に限られず矩形状にしてもよい。
一方、焼鈍の冷却工程では、錘20は積層コア10の各部位を均一に冷却させる役割を有する。すなわち、錘20がない場合、加熱された積層コア10は、外気あるいは加熱炉内の雰囲気と接している上面から冷却され、積層コア10の軸方向の上下で温度偏差が生じてしまう。本実施形態の錘20を積層コア10の上面に載置することで、積層コア10の上面が急激に冷却されることを防止することができる。そのため、積層コア10が冷却させるときの温度偏差を低減させることができ、形状劣化をより抑制することができる。
図3は、第2の実施形態の焼鈍方法を説明するための図である。本実施形態では、積層コア10の上面に載置する錘30として、略一定板厚であって中央に貫通孔31が形成された板体を用いる。錘30は、積層コア10上面、すなわちコアバック部11およびティース部12を覆う大きさに形成されている。また、錘30は、その貫通孔31が積層コア10の内部の空間13と連通する状態になるように、積層コア10の上面に載置される。また、錘30は、第1の実施形態の錘20と同様の材質を用いることができる。
図4は、第3の実施形態の焼鈍方法を説明するための図である。本実施形態では、積層コア10の上面に載置する錘40として、略一定板厚であって中央に貫通孔42が形成された板体41と、板体41の外周から鉛直方向に垂下させた円筒状の輻射回避部43とが一体に形成されたものを用いる。板体41は、第2の実施形態の錘30と同一の形状である。また、輻射回避部43は、積層コア10の外周を覆うことができる大きさに形成されている。また、輻射回避部43の高さ(図4に示すH1)は、積層コア10の高さ(図1に示すHc)よりも小さいことが好ましい。輻射回避部43の高さが、積層コア10の高さ以上の場合、輻射回避部43の下部が積層コア10の設置面に接触してしまい、積層コア10に対して十分な荷重をかけられない虞があるためである。なお、錘40は、第1の実施形態の錘20と同様の材質を用いることができる。
一方、焼鈍の冷却工程では、輻射回避部43は積層コア10の外周を冷却させたくない場合にも役割を有する。すなわち、輻射回避部43がない場合、加熱された積層コア10は、外気あるいは加熱炉内の雰囲気と接している外周から冷却されてしまう。本実施形態の輻射回避部43は、積層コア10の外周を覆うことで、積層コア10の外周が急激に冷却されることを防止することができる。
図5は、第4の実施形態の焼鈍方法を説明するための図である。本実施形態では、積層コア10の上面に載置する錘50として、略一定板厚であって中央に貫通孔52が形成された板体51と、貫通孔52の内周から鉛直方向に垂下させた円筒状の輻射回避部53とが一体に形成されたものを用いる。板体51は、第2の実施形態の錘30と同一の形状である。また、輻射回避部53は、積層コア10の空間13に沿って挿入され、積層コア10の内周を覆うことができる大きさに形成されている。また、輻射回避部53の高さ(図5に示すH2)は、積層コア10の高さ(図1に示すHc)よりも小さいことが好ましい。輻射回避部53の高さが、積層コア10の高さ以上の場合、輻射回避部53の下部が積層コア10の設置面に接触してしまい、積層コア10に対して十分な荷重をかけられない虞があるためである。なお、錘50は、第1の実施形態の錘20と同様の材質を用いることができる。
一方、焼鈍の冷却工程において、輻射回避部53は積層コア10の内周を冷却させたくない場合にも役割を有する。すなわち、輻射回避部53がない場合、加熱された積層コア10は、外気あるいは加熱炉内の雰囲気と接している内周が冷却されてしまう。本実施形態の輻射回避部53は、積層コア10の内周を覆うことで、積層コア10の内周が急激に冷却されることを防止することができる。
図6は、第5の実施形態の焼鈍方法を説明するための図である。本実施形態では、積層コア10a、10bを軸方向に沿って複数、重ね合わせた状態で焼鈍することで、積層コア10a、10bのうち上方に配置された積層コア10aが錘として機能する。すなわち、積層コア10a、10bのうち下方に配置された積層コア10bは、積層コア10aによって荷重がかけられているために、積層コア10bの各電磁鋼鈑は水平を維持した状態で焼鈍され、形状劣化を抑制することができる。なお、積層コア10aの上面に上述した各実施形態の錘を載置することで、積層コア10aも同様に、形状劣化を抑制することができる。この場合、第3の実施形態の錘40の輻射回避部43または第4の実施形態の錘50の輻射回避部53の高さを重ね合わせる積層コア10aに応じて長くすることで、下方に配置された積層コア10bにも輻射回避部43および輻射回避部53の効果が得られる。
ここでは、焼鈍する積層コアとして、図1に示す外径Dの平均外径が200mm、内径dの平均内径が150mm、高さHcの平均高さが50mmの積層コアを用いた。なお、各電磁鋼鈑は、厚みが0.3mmであり、167枚積層させている。
従来例では、積層コアを箱型焼鈍炉を用いてプログラム温度制御により焼鈍した。すなわち、積層コアの温度を検出しながら予め設定されたプログラムに従って積層コアを加熱および冷却する。具体的には、加熱が数時間、均熱が750℃に保持して2時間、冷却が焼鈍炉内で10時間以上をかけて焼鈍した。
(実施例)
実施例では、積層コアを開放型焼鈍炉を用いて加熱し、焼鈍炉外で空冷により冷却することで短時間に焼鈍した。ここで、開放型焼鈍炉とは、予め炉内温度を所望の温度に設定することができる焼鈍炉であるため、短時間の加熱が可能である。ここでは、予め炉内温度を1000℃に設定した開放型焼鈍炉内に積層コアを挿入し、加熱が開始され冷却が終了するまでを約1時間とした。また、錘には、板厚が7mm、大きさが300mm四方の板状のステンレス鋼を用いた。
(比較例)
比較例の積層コアは、錘を載置させない以外は、実施例と同様の方法により焼鈍した。
[形状劣化の比較]
形状劣化の比較として従来例、実施例、比較例の積層コアのそれぞれについて、測定項目として焼鈍終了後の最大外径、最小外径、最大内径、最小内径、最大高さ、最小高さを測定した。図7(a)の積層コア10の平面図に示すように、最大外径(Dmax)および最小外径(Dmin)は、積層コア10の外径のうちの最大値および最小値である。図7(b)の積層コア10の平面図に示すように、最大内径(dmax)および最小内径(dmin)は、積層コア10の内径のうちの最大値および最小値である。図7(c)の積層コア10の側面図に示すように、最大高さ(Hmax)および最小高さ(Hmin)は、積層コア10の下面からの高さのうち最大値および最小値である。
ここでは、外径、内径、高さそれぞれについて、(最大値−最小値)/最大値 を算出し、劣化率を算出した。以下の表にその比較結果を示す。
温度偏差の比較として従来例、実施例、比較例の積層コアのそれぞれについて、測定項目として焼鈍時の積層コア内の温度を熱電対で測定した。図8は、積層コア10内の温度の測定箇所を示す図であり、積層コア10の一部を省略した図である。図8に示すように、測定箇所は、積層コア10の上面のうち、コアバック部11であって外周に近接した位置(P1)およびティース部12とコアバック部11との境界に近接した位置(P2)、積層コア10の高さ方向の中心のうち、コアバック部11であって外周に近接した位置(P3)およびティース部12とコアバック部11との境界に近接した位置(P4)である。
ここでは、焼鈍の加熱工程および冷却工程において、それぞれ最大の温度偏差を算出した。以下の表にその結果を示す。
Claims (5)
- 電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、
焼鈍における加熱および冷却の少なくとも何れか一方において、前記積層コアの上面に錘を載置することで前記積層コアの軸方向に沿って荷重をかけ、
前記錘は、前記積層コアの内部に形成される空間と連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする積層コアの焼鈍方法。 - 電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、
焼鈍における加熱および冷却の少なくとも何れか一方において、前記積層コアの上面に錘を載置することで前記積層コアの軸方向に沿って荷重をかけ、
前記積層コアの内周または外周が輻射回避部により覆われていることを特徴とする積層コアの焼鈍方法。 - 前記輻射回避部は、前記錘に一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の積層コアの焼鈍方法。
- 電磁鋼鈑を積層させた積層コアの焼鈍方法であって、
焼鈍における加熱および冷却の少なくとも何れか一方において、電磁鋼鈑を積層した状態で予め固定した第1の積層コアの上面に錘としての1つ以上の、電磁鋼鈑を積層した状態で予め固定した他の積層コアを軸方向に沿って重ね合わせて、載置することで前記第1の積層コアの軸方向に沿って荷重をかけることを特徴とする積層コアの焼鈍方法。 - 前記錘は、略一定板厚に形成された板体であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の積層コアの焼鈍方法。
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