JP6102638B2 - 水底ケーブルの布設システムおよび水底ケーブルの布設方法 - Google Patents

水底ケーブルの布設システムおよび水底ケーブルの布設方法 Download PDF

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Description

本発明は、水底ケーブルの布設システムおよび水底ケーブルの布設方法に関する。
海洋等においてケーブルを布設する際には、例えば、布設船を移動させる駆動部により布設船の速度を調整するとともに、当該布設船からケーブルを繰り出すケーブル繰り出し部によりケーブルの繰り出し速度を調整することにより、ケーブルを水底に布設する(例えば、特許文献1〜4)。
特開平04−138008号公報 特開平05−344624号公報 特開平09−308037号公報 特開2000−92643号公報
この際、例えば布設船上においてケーブルが布設船から入水する入水角を計測したり、ケーブルの布設船上における張力としての船上張力を計測したりすることにより、水底におけるケーブルの状態、すなわちケーブルが水底から離れる点におけるケーブルの張力である離底点張力や、ケーブルの水底付近における曲率半径などを予測しながら、布設船の速度やケーブルの繰り出し速度を調整していた。
一方で、海洋等では、潮流が常に変化している。布設船の移動する速度と潮流の速度との相対的速度が大きい場合、ケーブルは潮流の影響を受けて布設船の移動方向とは逆方向に撓むことにより、ケーブルの入水角が見かけ上小さくなることがある。この場合、布設船における作業者は、離底点張力が大きくなったと判断して、ケーブルを多く繰り出すように調整することが考えられる。
しかしながら、上記のように作業者がケーブルを多く繰り出すことによって、ケーブルが布設船から水底までのカテナリ長以上に余ってしまい、ケーブルの水底まで至る間にループが発生してしまう可能性がある。
したがって、潮流が存在する状況下で、どのように布設船の速度やケーブルの繰り出し速度を調整して水底にケーブルを安定的に布設するかが重要となる。
本発明は、ケーブルが潮流の影響を受けた場合であっても水底にケーブルを安定的に布設する水底ケーブルの布設システムおよび水底ケーブルの布設方法を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、
布設船を移動させ、前記布設船の速度を調整する駆動部と、
前記布設船からケーブルを繰り出し、前記ケーブルの繰り出し速度を調整するケーブル繰り出し部と、
前記布設船に設けられ、前記布設船の位置を計測する位置計測部と、
前記ケーブル繰り出し部に設けられ、前記ケーブルの繰り出し長を計測する繰り出し長計測部と、
前記位置計測部が計測した前記布設船の2点の位置から求められる移動距離と、前記繰り出し長計測部が計測した前記ケーブルの繰り出し長と、に基づいて、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記布設船の前記移動距離が基準距離となったときの前記ケーブルの繰り出し長と前記布設船の移動距離との差で定義されるケーブル繰り出し差が所定値以下となるように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する距離制御を行う
水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第2の態様によれば、
前記制御部は、
前記距離制御では、前記布設船の移動距離の前記基準距離を、前記布設船から水底までの前記ケーブルのカテナリ長に基づいて設定する
第1の態様に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第3の態様によれば、
前記制御部は、
前記距離制御では、前記布設船の移動距離の前記基準距離を、前記布設船によって前記ケーブルが布設される布設経路における水底の最大深度から求められる最大カテナリ長に基づいて設定する
第1または第2の態様に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第4の態様によれば、
前記制御部は、
前記距離制御では、前記ケーブル繰り出し差を、前記布設船の移動距離に対して所定比率内となるように制御する
第1〜第3の態様のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第5の態様によれば、
前記制御部は、
前記距離制御では、前記ケーブル繰り出し差を、前記ケーブルがループを形成する長さより小さくなるように制御する
第1〜第4の態様のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第6の態様によれば、
前記布設船に設けられ前記布設船の船首方向を計測する船首方向計測部と、
前記布設船に設けられ前記布設船から前記ケーブルを布設するときの潮流の速度および前記ケーブルの布設方向に対する角度を計測する潮向流速計測部と、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記潮向流速計測部が計測した潮流の前記ケーブルの布設方向に対する角度に基づいて、前記船首方向計測部が計測した前記布設船の船首方向が前記潮流の方向に沿うように前記駆動部を制御する
第1〜第5の態様のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第7の態様によれば、
前記ケーブルが前記布設船から水平方向に対して入水する角度で定義される船上入水角を計測する入水角計測部をさらに有し、
前記制御部は、
前記入水角計測部が計測した前記船上入水角が所定の角度範囲内となるように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する入水角制御を行う
第1〜第6の態様のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第8の態様によれば、
前記布設船から前記ケーブルを布設するときの潮流の速度および前記ケーブルの布設方向に対する角度を計測する潮向流速計測部をさらに有し、
前記制御部は、
時間に対する前記布設船の前記移動距離から前記布設船の速度を算出し、
前記布設船の速度と前記潮向流速計測部が計測した前記潮流の速度との差から求められる前記布設船の前記潮流に対する相対速度が閾値以上であるときに、前記距離制御を行い、
前記相対速度が閾値未満であるときに、前記入水角制御を行う
第7の態様に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第9の態様によれば、
前記布設船から水底までの水深を計測する水深計測部をさらに有し、
前記制御部は、
前記入水角制御では、前記船上入水角をθ、前記布設船から水底までの前記ケーブルを布設方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される第1入水角をα、前記布設船から水底までの前記ケーブルを布設方向に対して垂直な方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される第2入水角をγとしたとき、
前記布設船の前記ケーブルの布設方向からの位置と前記水深計測部が計測した前記水深とから前記第2入水角γを算出し、
前記船上入水角θを、前記第1入水角αについて設定された下限値αおよび上限値αと前記第2入水角γとに基づいて下記の式(1)を満たすように制御する
第7または第8の態様に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
Figure 0006102638
本発明の第10の態様によれば、
前記ケーブルの前記布設船における張力としての船上張力を計測する張力計測部をさらに有し、
前記制御部は、
前記船上張力を所定の範囲内とするように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する張力制御を行う
第1〜第9の態様のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第11の態様によれば、
前記布設船から前記ケーブルを布設するときの潮流の速度および前記ケーブルの布設方
向に対する角度を計測する潮向流速計測部をさらに有し、
前記制御部は、
時間に対する前記布設船の前記移動距離から前記布設船の速度を算出し、
前記布設船の速度と前記潮向流速計測部が計測した前記潮流の速度との差から求められる前記布設船の前記潮流に対する相対速度が閾値以上であるときに、前記距離制御を行い、
前記相対速度が閾値未満であるときに、前記張力制御を行う
第10の態様に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
本発明の第12の態様によれば、
前記制御部は、
前記張力制御では、前記ケーブルの形状係数をC、時刻tのときの前記布設船の前記潮流に対する前記相対速度をV(t)、前記ケーブルの直径をd、水の密度をρ、前記ケーブルの前記布設船から水底までのカテナリ長をl、前記潮流の前記ケーブルの布設方向に対する角度をβ、前記ケーブルが前記潮流から受ける潮流粘性抵抗力の前記ケーブルの布設方向に垂直な方向の成分をD、前記ケーブルが水底から離れる点における前記ケーブルの張力として定義される離底点張力をT、時刻tのときの前記布設船の船上張力をT(t)としたとき、
下記の式(2)により、前記潮流粘性抵抗力の前記ケーブルの布設方向に垂直な方向の成分Dを算出し、
前記船上張力T(t)を、前記離底点張力Tについて設定された下限値Tr1および上限値Tr2と前記潮流粘性抵抗力の前記ケーブルの布設方向に垂直な方向の成分Dとに基づいて下記の式(3)を満たすように制御する
第10または第11の態様に記載の水底ケーブルの布設システムが提供される。
Figure 0006102638
Figure 0006102638
本発明の第13の態様によれば、
布設船を移動させる駆動部により前記布設船の速度を調整するとともに、当該布設船からケーブルを繰り出すケーブル繰り出し部により前記ケーブルの繰り出し速度を調整することにより、前記ケーブルを水底に布設する水底ケーブルの布設方法であって、
位置計測部によって前記布設船の位置と、繰り出し長計測部によって前記布設船から繰り出される前記ケーブルの繰り出し長と、を計測することを開始する計測開始工程と、
前記位置計測部が計測した前記布設船の2点の位置から求められる移動距離と、前記繰り出し長計測部が計測した前記ケーブルの繰り出し長と、に基づいて、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部を制御する布設制御工程と、
を有し、
前記布設制御工程では、
前記布設船の前記移動距離が基準距離となったときの前記ケーブルの繰り出し長と前記布設船の移動距離との差で定義されるケーブル繰り出し差が所定値以下となるように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する距離制御を行う
水底ケーブルの布設方法が提供される。
本発明によれば、ケーブルが潮流の影響を受けた場合であっても水底にケーブルを安定的に布設する水底ケーブルの布設システムおよび水底ケーブルの布設方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る水底ケーブルの布設システムの構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る水底ケーブルの布設システムの概略ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る水底ケーブルの布設工程のフローを示す図である。 (a)は、入水角制御のフローを示す図であり、(b)は、張力制御のフローを示す図である。 距離制御のフローを示す図である。 ケーブルが潮流の影響を受けた場合の布設船およびケーブルの方向を示す図である。 (a)は、布設船の潮流に対する相対速度が閾値未満である場合の水平方向から見たときの第1入水角の範囲を示す図であり、(b)は、布設船の潮流に対する相対速度が閾値以上である場合の水平方向から見たときの第1入水角の範囲を示す図である。 (a)は、ケーブルが潮流の影響を受けた場合の鉛直上方向から見たときの張力および潮流粘性抵抗力を示す図であり、(b)は、ケーブルが潮流の影響を受けた場合の水平方向から見たときの張力および潮流粘性抵抗力を示す図である。 本発明の一実施形態の変形例に係る水底ケーブルの布設工程のフローを示す図である。
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)水底ケーブルの布設システムの概略構成
まず、図1を用い、本発明の一実施形態に係る水底ケーブルの布設システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る水底ケーブルの布設システムの構成を示す概略図である。
本実施形態の水底ケーブルの布設システムは、海洋等の水底にケーブル20を布設(敷設)するよう構成され、例えば、布設船10を移動させ布設船10の速度を調整する駆動部100と、布設船10からケーブル20を繰り出しケーブル20の繰り出し速度を調整するケーブル繰り出し部200と、布設船10に設けられ布設船10の位置を検出する位置計測部310と、ケーブル繰り出し部200に設けられケーブル20の繰り出し長を計測する繰り出し長計測部330と、位置計測部310が計測した布設船10の2点の位置から求められる移動距離と繰り出し長計測部330が計測したケーブル20の繰り出し長とに基づいて駆動部100およびケーブル繰り出し部200を制御する制御部400と、を有する。以下、詳細を後述する。
なお、本実施形態でいう「ケーブル20」とは、電力ケーブル、光ファイバケーブル、光ファイバ複合電力ケーブル等のことである。ケーブル20は、例えば、中心から導電芯線、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層を備える単芯または3芯のケーブルと、単芯または3芯のケーブルを覆い鉄線等が複数組み合わせてなる鉄線鎧層と、鉄線鎧層の外
側に設けられた外装と、を有する。
図1に示されているように、布設船10は、例えば、布設船10を移動させ、布設船10の速度および船首の方向を調整する駆動部100を有する。駆動部100は、例えばエンジン等によりプロペラを回転させて推進力を得るよう構成される。また、駆動部100は、例えば舵部により船首方向を調整するよう構成される。
また、布設船10は、当該布設船10から海洋等の水底に向けてケーブル20を繰り出しケーブル20の繰り出し速度を調整するケーブル繰り出し部200を有する。ケーブル繰り出し部200は、例えば船尾シュータ210、ウインチ220、ブレーキ230、やぐら240およびケーブルコイル250を有する。布設船10の略中央の位置には、布設経路に布設される長さのケーブル20を巻回するケーブルコイル250が設けられる。ケーブルコイル250の上方には、やぐら240が設けられ、やぐら240を介して船尾方向にケーブル20が延ばされる。布設船10の船尾には船尾シュータ210が設けられ、ケーブルコイル250から供給されたケーブル20を水底に向けて繰り出すよう構成される。また、やぐら240および船尾シュータ210の間には、ウインチ220が設けられ、ケーブル20を巻き付けてケーブル20をケーブルコイル250方向に牽引するよう構成される。なお、ウインチ220の耐荷重は、例えば10t以上80t以下である。さらに、ウインチ220およびケーブルコイル250の間には、ブレーキ230が設けられ、ケーブル20が海洋に繰り出される際の繰り出し速度を抑制するよう構成される。なお、ブレーキ230の耐荷重は、例えば10t以上50t以下である。
(各種計測部)
次に、図1および図2を用い、布設船10に設けられる各種計測部について説明する。図2は、本実施形態に係る水底ケーブルの布設システムの概略ブロック図である。布設船10には、以下のように水底にケーブル20を布設する際のケーブル20の状態、布設船10の状態、および海洋の潮流等を計測するように各種計測部が設けられる。
布設船10には、例えば、布設船10の位置を検出する位置計測部310が設けられる。位置計測部310は、例えば船尾シュータ210に取り付けられる。位置計測部310は、例えば、DGPS(Differential Grobal Positioning System)を有する。GPSが衛星による位置情報のみを取り込むよう構成されるのに対して、DGPSは、衛星による位置情報と、陸上に設けられた基地局から発信される位置情報と、を取り込むよう構成される。これにより、DGPSは、GPSよりも高い精度で位置を検出することができる。具体的には、GPSの位置計測精度が±5m〜7mであるのに対して、DGPSの位置計測精度は±2m程度である。また、位置計測部310は、例えば0.2secごとに位置を計測し1sec間平均化した位置情報を後述する制御部400に送信するよう構成される。
また、布設船10には、例えば、布設船10の船首方向を計測する船首方向計測部320が設けられる。船首方向計測部320は例えばジャイロコンパスである。ジャイロコンパスは、高速回転するコマの運動を用いて布設船10の方位を計測するよう構成される。
また、布設船10のケーブル繰り出し部200には、ケーブル20の繰り出し長l(t)を計測する繰り出し長計測部330が設けられる。ここでいう「ケーブル20の繰り出し長l(t)」は、例えば時刻0(sec)にケーブル20を開始し始めてから時刻tまでの間にケーブル20が繰り出された長さを積算した繰り出し長(m)である。繰り出し長計測部330は、例えばケーブルカウンタ340を有する。ケーブルカウンタ340は、例えば、水底に向けて繰り出されるケーブル20にロータリエンコーダ等が接触することによりケーブル20の繰り出し長を計測するように構成される。
また、繰り出し長計測部330は、ブレーキ230にも設けられる。ブレーキ230も、ケーブルカウンタ340と同様の構成を有し、例えばブレーキ230のキャタピラ部(不図示)の回転に合わせてケーブル20の繰り出し長を計測するロータリエンコーダ(不図示)を有する。
また、上述した布設船10のケーブル繰り出し部200は、例えば張力計測部を兼ねている。張力計測部としてのケーブル繰り出し部200は、例えばケーブル20の布設船10における張力としての船上張力T(t)を計測するよう構成される。
また、布設船10には、入水角計測部350が設けられる。入水角計測部350は、例えばケーブル20が布設船10から水平方向に対して入水する角度で定義される船上入水角θを計測するよう構成される。なお、ここでいう「船上入水角θ」とは、布設船10上の船尾シュータ210の近傍からケーブル20の繰り出し方向を見たときのケーブル20の水平方向に対する入水角(水面から入射する角度)であり、後述する布設船10から水底までのケーブル20を布設方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される第1入水角αとは異なる。
また、布設船10には、潮向流速計測部360が設けられる。潮向流速計測部360は、例えば布設船10からケーブル20を布設するときの潮流の速度v(t)および潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βを計測するよう構成される。本実施形態では、潮向流速計測部360は、例えば、布設船10から水底までの間の水深方向の全位置における潮流の速度および潮流のケーブル20の布設方向に対する角度を計測するよう構成される。以下において「潮流の速度v(t)」とは、時刻tのときの布設船10から水底までの間で最大の潮流の速度のことを意味する。ただし、布設船10の移動方向を正とする。また、「潮流のケーブル20の布設方向に対する角度β」とは、水平面に投影したときに、布設船10から水底までの間で潮流の方向とケーブル20の布設方向とがなす最大の角度のことを意味する。
また、布設船10には、水深計測部370が設けられる。水深計測部370は、例えば超音波等により布設船10から水底までの水深hを計測するよう構成される。
(制御部)
図2に示されているように、駆動部100およびケーブル繰り出し部200には、制御部400が接続される。制御部400は、例えば布設船10を所定の速度で移動させるよう駆動部100を制御する。また、制御部400は、例えばケーブル20を所定の繰り出し速度で水底に向けて繰り出すようケーブル繰り出し部200を制御する。
また、制御部400には、上記した各種計測部が接続され、各種計測部が計測した情報に基づいて、以下のように制御を行う。
制御部400には、位置計測部310および繰り出し長計測部330が接続される。制御部400は、位置計測部310が計測した布設船10の2点の位置から求められる移動距離x(t)と繰り出し長計測部330が計測したケーブル20の繰り出し長L(t)とに基づいて駆動部100およびケーブル繰り出し部200を制御する。
また、制御部400には、位置計測部310、船首方向計測部320、繰り出し長計測部330、張力計測部としてのケーブル繰り出し部200、入水角計測部350、潮向流速計測部360、および水深計測部370が接続される。制御部400は、これらの各種計測部が計測した情報に基づいて、後述する「距離制御」、「入水角制御」および「張力
制御」を行う。
ここで、制御部400は、例えば各種データを格納する記録装置(記録手段、記憶手段)(不図示)を有している。記録装置は、各種計測部が計測した情報、後述する、布設船10の移動距離の基準距離x、距離制御における基準距離xに対する係数k、布設船10が許容できる最大の離底点張力Trmax、ケーブル20の離底点張力Tが最大の離底点張力Trmaxとなるときのケーブル20がループを形成する長さ、布設船10によってケーブル20が布設される経路における水底の最大深度hMax、ケーブル20の単位長さ当たりの重量W、最長のカテナリ長lcmax、布設船10の速度v(t)と潮流の速度v(t)との差から求められる布設船の潮流に対する相対速度V(t)の閾値Vr0、第1入水角αについて設定された下限値をαおよび上限値をα、離底点張力Tについて設定された下限値Tr1および上限値Tr2、およびその他各種計算式(後述する式(1)〜式(5))を記録するよう構成される。なお、これらのパラメータおよび式等については詳細を後述する。
また、制御部400は、当該制御部400に各種データを入力したり、制御部400から各種データを出力したりする入出力部(入出力手段)(不図示)を有する。例えば、入出力部は、タッチパネル、マウス、キーボード、操作端末等のいずれかを含む。また、制御部400は、各種データや結果を出力する表示部(不図示)を有していてもよい。なお、表示部を入出力部に含めて考えても良い。
なお、制御部400は、汎用のコンピュータで構成されていてもよく、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記録装置としてのHDD(Hard Disk Drive)若しくはフラッシュメモリ、駆動部100等に接続されるI/Oポートを備えたコンピュータとして構成される。この場合、記録装置は、後述する「距離制御」、「入水角制御」および「張力制御」に係るプログラムを記録するよう構成される。
(2)水底ケーブルの布設方法
次に、図3〜図5を用い、本実施形態に係る水底ケーブルの布設方法について説明する。図3は、本実施形態に係る水底ケーブルの布設工程のフローを示す図である。図4(a)は入水角制御のフローを示す図であり、(b)は張力制御のフローを示す図である。図5は、距離制御のフローを示す図である。
本実施形態の水底ケーブルの布設方法は、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合であっても、ケーブル20が布設船10から入水する入水角、およびケーブル20の布設船10上における張力としての船上張力を管理するだけでなく、布設船10の移動距離およびケーブル20の繰り出し長も管理することにより、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御するよう構成される。
具体的には、本実施形態の水底ケーブルの布設方法は、例えば位置計測部310によって布設船10の位置と繰り出し長計測部330によって布設船10から繰り出されるケーブル20の繰り出し長とを計測することを開始する計測開始工程(S010)と、位置計測部310が計測した布設船10の2点の位置から求められる移動距離(x(t))と繰り出し長計測部330が計測したケーブル20の繰り出し長(L(t))とに基づいて駆動部100およびケーブル繰り出し部200を制御する布設制御工程(S100)と、を有する。布設制御工程S100では、布設船10の移動距離x(t)が基準距離xとなったときのケーブル20の繰り出し長L(t)と布設船10の移動距離x(t)(=x)との差で定義されるケーブル繰り出し差(L(t)−x)が所定値以下となるように、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する距
離制御(S400)を行う。以下、詳細を説明する。
本実施形態では、例えば布設船10の潮流に対する相対速度V(t)に応じて、船上入水角θによる「入水角制御」、船上張力T(t)による「張力制御」、ケーブル繰り出し差(L(t)−x)による「距離制御」の少なくともいずれか一つを選択し、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する場合について説明する。
(計測開始工程S010)
制御部400は、布設船10からケーブル20を水底に向けて繰り出すことを開始すると共に、水底にケーブル20を布設する際のケーブル20の状態等を計測することを開始する(S010)。具体的には、位置計測部310による布設船10の位置の計測、船首方向計測部320による布設船10の船首方向の計測、繰り出し長計測部330によるケーブル20の繰り出し長L(t)の計測、張力計測部としてのケーブル繰り出し部200によるケーブル20の船上張力T(t)の計測、入水角計測部350による船上入水角θの計測、潮向流速計測部360による潮流の速度v(t)および潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βの計測、水深計測部370による布設船10から水底までの水深hの計測を開始する。
(布設制御工程S100)
次に、制御部400は、例えば以下のようにして駆動部100およびケーブル繰り出し部200を制御する。
(船首調整S110)
ここで、図6は、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合の布設船10およびケーブル20の方向を示す図である。図6に示されているように、海中には、潮流の速度v(t)、潮流のケーブル20の布設方向(x方向)に対する角度βである潮流が生じていると仮定する。なお、図6は、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合に、理想的にケーブル20が撓むことなく水底に到達した状態を示している。
図6において、角度θは、ケーブル20が布設船10から水平方向に対して入水する角度で定義される「船上入水角」であり、角度αは、布設船10から水底までのケーブル20を布設方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される「第1入水角」であり、角度γは、布設船10から水底までのケーブル20を布設方向に対して垂直な方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される「第2入水角」である。
上述のように、潮流の速度v(t)および潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βは、潮向流速計測部360によって計測される。また、船上入水角θは、入水角計測部350により計測される。他のパラメータ(α、γ等)は、例えば制御部400によって算出されるものである。
このとき、制御部400は、例えば潮向流速計測部360が計測した潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βに基づいて、船首方向計測部320が計測した布設船10の船首方向が潮流の方向に沿うように駆動部100を制御する。なお、布設船10は、船首方向が潮流の方向に沿った(潮流の方向に傾斜した)状態で、ケーブル20の水底の布設方向に沿って移動する。これにより、布設船10の船首方向が潮流の方向に沿うとともに、ケーブル20が潮流の方向に沿って繰り出されることにより、ケーブル20が繰り出し方向に対して垂直な方向から潮流の影響を受けることが抑制される。
なお、潮流の速度v(t)が0のとき、布設船10の移動方向は、ケーブル20の布設方向に等しく、また船上入水角θは第1入水角αと等しくなる。また、布設船10の移動方向に対して潮流の方向が布設船10に追従する方向であるとき(v(t)が正のとき)、ケーブル20に対する潮流粘性抵抗力が小さくなるため、必ずしも布設船10の船首方向を潮流の方向に沿うように調整する必要はない。
(相対速度判断S120)
次に、制御部400は、位置計測部310が計測した布設船10の2点の位置から求められる移動距離x(t)に基づいて、時間に対する布設船10の移動距離から布設船10の速度v(t)を算出する。なお、布設船10に布設船10の速度計測部(不図示)が設けられている場合は、位置計測部310が計測した布設船10の移動距離x(t)から布設船10の速度v(t)を算出する必要はない。
次に、制御部400は、布設船10の速度v(t)と潮流の速度v(t)との差から布設船10の潮流に対する相対速度V(t)(=v(t)−v(t))を算出する。
次に、制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるか否かを判断する(S120)。なお、この「布設船10の潮流に対する相対速度V(t)の閾値Vr0」とは、例えば後述する第1入水角αについて設定された下限値αが、ケーブル20の離底点張力Tが0となるときの第1入水角αで定義される「限界入水角α0」と等しくなるときの布設船10の潮流に対する相対速度である。なお、
本実施形態における「離底点張力T」とは、ケーブル20が水底から離れる点におけるケーブル20の張力のことをいう。具体的には、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)の閾値Vr0は、0.1ノット以上10ノット以下、好ましくは1ノット以上5ノット以下である。
制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるか否かによって、以下のように「距離制御」、「入水角制御」および「張力制御」の少なくともいずれかを選択する。
(入水角制御S200)
ここで、図7(a)は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0未満である場合の第1入水角αの範囲を示す図である。なお、図7(a)は、ケーブル20の布設方向に対して垂直な方向から見た図である。
図7(a)に示されているように、ケーブル20が水底において所望の布設状態となるように、布設船10によってケーブル20を水底に布設する際の第1入水角αについて、所定の角度範囲(α≦α<α)が予め設定されている。第1入水角αの所定の角度範囲は、例えばケーブル20の水底に対する曲げ半径の許容範囲、ケーブル20の水底の起伏に対する追従具合、またはケーブル20の布設経路に対するケーブル20の総布設時間等に基づいて設定される。
上述のように、第1入水角αの下限値αおよび上限値αは、予め制御部400の記憶装置に記録されている。具体的には、第1入水角αの角度範囲は、例えば、45°≦α<90°、好ましくは60°≦α<80°である。
布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0未満であるとき、ケーブル20の離底点張力Tが0となるときの第1入水角αで定義される「限界入水角α」は、第1入水角αの上限値αよりも大きい(α>α)。したがって、布設船10の潮
流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0未満であるとき、第1入水角αが所定の角度範囲内であれば、離底点張力Tは0より大きく、すなわちケーブル20がループを形成することなく所望の曲げ半径で水底に布設される。なお、ここでいうケーブル20の「ループ」とは、ケーブル20がカテナリ長よりも長く繰り出されることによってケーブル20により形成される円形状の撓みのことである。
なお、図6に示したように、第1入水角αと、入水角計測部350が計測した船上入水角θとは、下記の式(6)を満たす。
Figure 0006102638
潮流が生じている条件下で、第1入水角αが所定の角度範囲(α≦α<α)内であるためには、時刻tとともに変化する潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βに応じて、すなわち式(6)で言えば時刻tとともに変化する第2入水角γに応じて、船上入水角θの角度範囲を変更していく必要がある。
そこで、制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0未満であるとき(S120でNo)、例えば以下のようにして、入水角計測部350が計測した船上入水角θが所定の角度範囲内となるように、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。
(第2入水角γの算出S210)
まず、制御部400は、位置計測部310が計測した布設船10のケーブル20の布設方向からの位置dと水深計測部370が計測した水深hとから第2入水角γ(=tan−1(d/h))を算出する。
(船上入水角θ判断S220)
次に、制御部400は、船上入水角θが第1入水角αについて設定された下限値αおよび上限値αと第2入水角γとに基づいて下記の式(1)を満たすか否かを判断する。
Figure 0006102638
(船速度または繰り出し速度調整S230)
次に、制御部400は、船上入水角θが式(1)を満たさないとき(S220でNo)、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。例えば、船上入水角θが式(1)の左辺より小さくなったとき、制御部400は、離底点張力Tが増加したと判断し、布設船10の速度を降下させるよう駆動部100を制御する、またはケーブル20の繰り出し速度を上昇させるようケーブル繰り出し部200を制御する。一方、例えば、船上入水角θが式(1)の右辺以上となったとき、制御部400は、離底点張力Tが0に近づいたと判断し、布設船10の速度を上昇させるよう駆動部100を制御する、またはケーブル20の繰り出し速度を降下させるようケーブル繰り出
し部200を制御する。
一方、制御部400は、船上入水角θが式(1)を満たすとき(S220でYes)、布設船10の速度およびケーブル20の繰り出し速度を維持するよう制御する。
このようにして、ケーブル20は、船上入水角θが式(1)を満たす所定の角度範囲内となるように、すなわち第1入水角αが所定の角度範囲内となるように水底に布設される。
(張力制御S300)
また、ケーブル20が水底において所望の布設状態となるように、布設船10によってケーブル20を水底に布設する際において、ケーブル20の水底における離底点張力Tについて、所定の範囲(Tr1≦T<Tr2)が予め設定されている。離底点張力Tの所定の範囲は、例えばケーブル20の水底に対する曲げ半径の許容範囲、ケーブル20の水底の起伏に対する追従具合、またはケーブル20の布設経路に対するケーブル20の総布設時間、ケーブル20の耐荷重、および布設船10の耐張力限界等に基づいて設定される。
上述のように、離底点張力Tの下限値Tr1および上限値Tr2は、予め制御部400の記憶装置に記録されている。具体的には、離底点張力Tの範囲は、例えば500kgf以上3000kgf以下、好ましくは、1000kgf以上2000kgf以下である。
ここで、図8(a)は、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合の鉛直上方向から見たときの張力および潮流粘性抵抗力を示す図であり、(b)は、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合の水平方向から見たときの張力および潮流粘性抵抗力を示す図である。
図8(a)および(b)に示されているように、潮流が生じている条件下では、潮流によってケーブル20に対して潮流粘性抵抗力が印加される。ケーブル20の軸方向に垂直な方向の潮流粘性抵抗力Dは、以下の式(7)で求められる(単位kgf)。
Figure 0006102638
ただし、Cはケーブル20の形状係数、V(t)は上述のように布設船10の潮流に対する相対速度(m/sec)、dはケーブル20の直径(m)、ρは水(海水)の密度(kg・sec/m)、lはケーブル20の布設船10から水底までのカテナリ長(m)である。
なお、ここでいうケーブル20の「カテナリ長l」とは、少なくとも一端が支持されて自重によって弛んだケーブル等の線状部材が描く曲線の長さのことをいい、本実施形態におけるケーブル20のカテナリ長lは、以下の式(8)で求められる。
Figure 0006102638
ただし、Wはケーブル20の単位長さ当たりの重量(kg/m)である。
図8(a)に示されているように、ケーブル20の軸方向に垂直な方向の潮流粘性抵抗力Dのケーブル20の布設方向に垂直な方向の成分Dは、上述の布設船10の潮流に対する相対速度V(t)、および潮向流速計測部360が計測した潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βに基づいて、以下の式(2)で求められる。
Figure 0006102638
なお、ケーブル20の軸方向に垂直な方向の潮流粘性抵抗力Dのケーブル20の布設方向に沿った方向の成分Dcosβは、ケーブル20の揚力となるため無視することができる。
一方、図8(b)に示されているように、ケーブル20の軸方向の潮流粘性抵抗力Dは、以下の式(9)で求められる。
Figure 0006102638
このケーブル20の軸方向の潮流粘性抵抗力Dは、ケーブル20の船上張力T(t)に対して非常に小さいので、無視することができる。なお、水深100mの位置で、ケーブル20の軸方向の潮流粘性抵抗力Dは、約120kgf程度である。
以上より、図8(a)に示されているように、ケーブル20の船上張力T(t)に影響を与え得る潮流抵抗力の成分は上記したDのみであり、船上張力T(t)、離底点張力Tおよび潮流抵抗力のケーブル20の布設方向の成分Dは、以下の式(10)の関係を満たす。
T(t)=√(T +D ) ・・・(10)
潮流が生じている条件下で、離底点張力Tが所定の範囲(Tr1≦T<Tr2)内であるためには、時刻tとともに変化する潮流粘性抵抗力に応じて船上張力T(t)の範囲を変更していく必要がある。
そこで、制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0未満であるとき(S120でNo)、例えば以下のようにして、張力計測部としてのケーブル繰り出し部200が計測した船上張力T(t)が所定の範囲内となるように、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。
(潮流粘性抵抗力Dの算出S310)
まず、制御部400は、ケーブル20の軸方向に垂直な方向の潮流粘性抵抗力Dのケーブル20の布設方向に垂直な方向の成分Dを、上述の布設船10の潮流に対する相対速度V(t)、および潮向流速計測部360が計測した潮流のケーブル20の布設方向に対する角度βに基づいて、上記の式(2)により算出する。
このとき、式(2)には、ケーブル20のカテナリ長lとして、例えば布設船10によってケーブル20が布設される布設経路における水底の最大深度hmaxから求められる最大カテナリ長lcMaxが代入される。なお、最大カテナリ長lcMaxは、式(8)から離底点張力Tに布設船10が許容できる最大の離底点張力TrMaxを代入し、水深hに布設船10によってケーブル20が布設される布設経路における水底の最大深度hMaxを代入することにより求められる。なお、布設船10が許容できる最大の離底点張力TrMax、および布設船10によってケーブル20が布設される布設経路における水底の最大深度hmaxは、事前に制御部400の記憶装置に記録されている。
(船上張力T(t)判断S320)
次に、制御部400は、船上張力T(t)が、離底点張力Tについて設定された下限値Tr1および上限値Tr2と、ケーブル20の軸方向に垂直な方向の潮流粘性抵抗力Dのケーブル20の布設方向に垂直な方向の成分Dとに基づいて下記の式(3)を満たすか否かを判断する。
Figure 0006102638
(船速度または繰り出し速度調整S230)
次に、制御部400は、船上張力T(t)が式(3)を満たさないとき(S320でNo)、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。例えば、船上張力T(t)が式(3)の右辺以上となったとき、制御部400は、布設船10の速度を降下させるよう駆動部100を制御する、またはケーブル20の繰り出し速度を上昇させるようケーブル繰り出し部200を制御する。一方、例えば、船上張力T(t)が式(3)の左辺よりも小さくなったとき、制御部400は、布設船10の速度を上昇させるよう駆動部100を制御する、またはケーブル20の繰り出し速度を降下させるようケーブル繰り出し部200を制御する。
一方、制御部400は、船上張力T(t)が式(3)を満たすとき(S320でYes)、布設船10の速度およびケーブル20の繰り出し速度を維持するよう制御する。
このようにして、ケーブル20は、船上張力T(t)が式(3)を満たす所定の範囲内となるように、すなわち離底点張力Tが所定の範囲内となるように水底に布設される。
(距離制御S400)
ここで、図7(b)を用い、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるとき(S120でYes)について考える。図7(b)は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上である場合の第1入水角αの範囲を示す図である。
図7(b)に示されているように、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるとき(S120でYes)、ケーブル20の離底点張力Tが0となるときの第1入水角αで定義される「限界入水角α」は、第1入水角αの所定の角度範囲内に入ってしまう(α≦α<α)、または限界入水角αが第1入水角αの下限値αより小さくなってしまう(α<α)ことがある。したがって、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるとき、第1入水角αが所定の角度範囲内となるように制御することが困難となったり、または第1入水角αが所定の角度範囲内となるように制御することができなかったりする可能性がある。
そこで、制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるとき(S120でYes)、例えば以下のようにして、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。
(二点間移動距離計測S410)
まず、制御部400は、位置計測部310が計測した布設船10の2点の位置から移動距離x(t)を算出する。
ここで、布設船10の移動距離x(t)に対して、後述するケーブル20の繰り出し長L(t)と比較するための基準距離xが予め定められている。布設船10が基準距離xだけ進む間に、ケーブル20は船尾シュータ210から水底まで確実に到達するように繰り出される必要がある。
そこで、布設船10の移動距離x(t)の基準距離xは、後述するケーブル20の繰り出し長L(t)と比較するために、例えば布設船10から水底までのケーブル20のカテナリ長lに基づいて設定され、具体的には当該カテナリ長lよりも大きい値として設定される。
本実施形態では、布設船10の移動距離x(t)の基準距離xは、例えば布設船10によってケーブル20が布設される布設経路における水底の最大深度hmaxを上記の式(8)に代入することにより求められる最大カテナリ長lcMaxに基づいて、設定される。
布設船10の移動距離x(t)の基準距離xは、例えば以下の式(11)を満たすように設定される。
>lcMax+rGPS+rcount ・・・(11)
ただし、rGPSは位置計測部310による相対的位置誤差の最大値であり、rcountは繰り出し長計測部330によるケーブル20の繰り出し長L(t)の測定誤差である。
具体的には、布設経路における水底の最大深度hMaxが138mであり、布設船10が許容できる最大の離底点張力TrMaxが2500kgであるとき、最大カテナリ長lcMaxは190mである。また、位置計測部310による相対的位置誤差の最大値rGPSは例えば0.1mであり、繰り出し長計測部330によるケーブル20の繰り出し長L(t)の測定誤差rcountは例えばケーブル20の繰り出し長L(t)に対して0.1%である。例えばケーブル20の繰り出し長L(t)のスラック(余長)が最大カテナリ長lcMaxの1%に設定されているとき、L(t)=1.01lcMaxである。以上の条件を式(11)に代入することにより、布設船10の移動距離x(t)の基準距離xは、例えば以下のように求められる。
>190.3(m)
よって、この例では、xを例えば200mとして設定すればよい。
(ケーブル繰り出し長L(t)の算出S420)
次に、制御部400は、繰り出し長計測部330が計測した時刻tにおけるケーブル20の繰り出し長l(t)に基づいて、布設船10の移動距離x(t)が基準距離xとなったときのケーブル20の繰り出し長L(t)を算出する。ケーブル20の繰り出し長L(t)は以下の式(12)で求められる。
L(t)=l(t)−l(t−x/v(t)) ・・・(12)
(ケーブル繰り出し差判断S430)
次に、制御部400は、布設船10の移動距離x(t)が基準距離xとなったときの上記の式(12)から求められるケーブル20の繰り出し長L(t)と、布設船10の移動距離x(t)(=x)との差で定義されるケーブル繰り出し差(L(t)−x)が所定値以下となるか否かを判断する。
本実施形態では、制御部400は、例えば、ケーブル繰り出し差(L(t)−x)が布設船10の移動距離x(t)(=x)に対して所定比率k内であるか否かを判断する。すなわち、以下の式(4)を満たすか否かを判断する。
Figure 0006102638
式(4)における右辺のkxは、布設船10の移動距離xに対するケーブル20の繰り出し長L(t)のスラック(余長)であり、例えば布設経路長に対するケーブル20の全長、ケーブル20のコスト、ケーブル20の水底の起伏に対する追従具合等に基づいて設定される。具体的には、kは例えば0.001以上0.1以下であり、好ましくは、0.005以上0.02以下である。x=200mのとき、例えばkxは2mである。
または、制御部400は、例えば、ケーブル繰り出し差(L(t)−x)が、ケーブル20がループを形成する長さより小さいか否かを判断する。直径φのループを形成するために必要なケーブル20の長さ(πφ)は、以下の式(13)で与えられる。
Figure 0006102638
ただし、EIは、ケーブル20の曲げ剛性(kg・mm)である。
本実施形態では、制御部400は、例えば、ケーブル20の離底点張力Tが布設船10の許容できる最大の離底点張力TrMaxとなるときにケーブル20がループを形成する長さに基づいて、以下の式(5)を満たすか否かを判断する。
Figure 0006102638
具体的には、ケーブル20の曲げ剛性EIが2.1×10kg・mmであり、布設船10の許容できるケーブル20の最大の離底点張力TrMaxが2500kgであるとき、ケーブル20の形成されうるループの直径φは1.83mであり、すなわちループを形成するために必要なケーブル20の長さ(πφ)は、5.7mである。
制御部400は、例えば式(4)または式(5)のいずれか一方の厳しい条件、すなわち式(4)または式(5)のうち右辺の値が小さい方の条件を用い、ケーブル繰り出し差
(L(t)−x)が式を満たすか否かを判断する。上記した例では、式(4)ではL(t)−x<2(m)であり、式(5)ではL(t)−x<5.7(m)であるため、式(5)よりも厳しい条件である式(4)の条件が用いられる。
(船速度または繰り出し速度調整S440)
次に、制御部400は、ケーブル繰り出し差L(t)−xが式(4)または式(5)を満たさないとき(S430でNo)、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。
例えば、ケーブル繰り出し差L(t)−xが式(4)または式(5)の右辺以上となったとき、制御部400は、ケーブル20を繰り出しすぎていると判断し、布設船10の速度を上昇させるよう駆動部100を制御する、またはケーブル20の繰り出し速度を降下させるようケーブル繰り出し部200を制御する。
なお、制御部400は、常にケーブル20の繰り出し長L(t)が布設船10の移動距離xに対して短くなることが無いように、すなわちケーブル繰り出し差L(t)−xが0以上となるように、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。例えば、ケーブル繰り出し差L(t)−xが0に近づいたとき、制御部400は、ケーブル20の繰り出しが十分でないと判断し、布設船10の速度を降下させるよう駆動部100を制御すること、およびケーブル20の繰り出し速度を上昇させるようケーブル繰り出し部200を制御することの少なくともいずれか一方を行う。
なお、制御部400は、ケーブル繰り出し差L(t)−xが式(4)または式(5)の右辺の値の定数倍(<1)以上となったときに注意を促す警報を表示し、ケーブル繰り出し差L(t)−xが式(4)または式(5)の右辺の値以上となったときに異常を示す警報を表示してもよい。
このようにして、ケーブル20は、ケーブル繰り出し差L(t)−xが式(4)または式(5)を満たす所定の範囲内となるように水底に布設される。
(終了判断S160)
次に、制御部400は、以上の「入水角制御S200」、「張力制御S300」および「距離制御S400」の少なくともいずれか一つによるケーブル20の布設を終了するか否かを判断する。
制御部400は、ケーブル20の布設を終了しないとき(S160でNo)、「入水角制御S200」、「張力制御S300」および「距離制御S400」のそれぞれにおいて判断の基準となる時刻tをt+Δtに更新し、相対速度判断S120以降の工程を行っていく。
Δtは、例えば各種計測に係る計測間隔であり、「入水角制御S200」、「張力制御S300」および「距離制御S400」のそれぞれにおいて、Δtの間にS220、S320およびS430に係る条件式を満たさない状態となり船速度または繰り出し速度調整(S230、S330またはS440)を行っても上記の条件式を満たすように調整することができなくなることがないように設定される。
具体的には、距離制御S400において、仮に布設船10の移動を停止したままケーブル20が繰り出されても、Δt間のケーブル20の繰り出し長が、式(4)における右辺(布設船10の移動距離の基準距離xに対するケーブル20の繰り出し長L(t)のスラック:kx)以上とならないように、Δtが設定されることが好ましい。具体的には
、例えばケーブル20が最大速度0.33m/secで繰り出されても、Δt間のケーブル20の繰り出し長が布設船10の移動距離の基準距離200mに対して1%として設定されたケーブル20のスラック2m以上とならないように設定される。したがって、この例では、Δtは6sec以下であればよい。例えばケーブル繰り出し差判断S430において、制御部400が式(4)を満たさずケーブル20の繰り出し異常であると判断してからケーブル繰り出し部200によってケーブル20の繰り出し速度を降下させるよう制御するまでのタイムラグを考慮して、Δtは制御部400での処理におけるプログラム上の最小時間間隔(例えば1sec)に設定される。
一方、制御部400は、ケーブル20の布設を終了するとき(S160でYes)、ケーブル20の状態等の各種計測、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の制御を終了する。
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態やその変形例によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、制御部400は、布設船10の移動距離x(t)が基準距離xとなったときのケーブル20の繰り出し長L(t)と布設船10の移動距離x(t)(=x)との差で定義されるケーブル繰り出し差L(t)−xが所定値以下となるように、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する距離制御S400を行う。これにより、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合であっても水底にケーブル20を安定的に布設することができる。
これまで水底にケーブルを布設する際には、例えば布設船上においてケーブルが布設船から入水する入水角を計測したり、ケーブルの布設船上における張力としての船上張力を計測したりすることにより、水底におけるケーブルの状態、すなわちケーブルが水底から離れる点における離底点張力や、ケーブルの水底付近における曲率半径などを予測しながら、布設船の速度やケーブルの繰り出し速度を調整していた。
一方で、海洋等では、潮流が常に変化している。布設船の移動する速度と潮流の速度との相対的速度が大きい場合、ケーブルは潮流によって流され潮流の影響を受けて布設船の移動方向とは逆方向に撓むことにより、ケーブルの入水角が見かけ上小さくなることがある。この場合、布設船における作業者は、離底点張力が大きくなったと判断して、ケーブルを多く繰り出すように調整することが考えられる。
しかしながら、上記のように作業者がケーブルを多く繰り出すことによって、ケーブルが布設船から水底までのカテナリ長以上に余ってしまい、ケーブルの水底まで至る間にループが発生してしまう可能性がある。
したがって、潮流が存在する状況下で、どのように布設船の速度やケーブルの繰り出し速度を調整し水底にケーブルを安定的に布設するかが重要となる。
本実施形態によれば、制御部400は、例えば距離制御S400において、布設船10の移動距離x(t)が基準距離xとなったときのケーブル繰り出し差L(t)−xに基づいて、駆動部100およびケーブル繰り出し部200の少なくともいずれか一つを制御する。ケーブル20の見かけ上の入水角である船上入水角θに依存することなく、ケーブル20の繰り出し長が適切な長さに管理される。これにより、ケーブル20が布設船10から水底までのカテナリ長l以上に余ってしまうことが抑制され、ケーブル20の水底まで至る間にループが発生してしまうことが抑制される。また、入水角制御S200または張力制御S300などに比較して、距離制御S400を行う方が、布設経路に対して
最短のケーブル20の繰り出し長でケーブル20を布設することができる。以上のように、本実施形態によれば、ケーブル20が潮流の影響を受けた場合であっても水底にケーブル20を安定的に布設することができる。
(b)本実施形態によれば、制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるときに距離制御S400を行い、相対速度V(t)が閾値Vr0未満であるときに入水角制御S200および張力制御S300の少なくともいずれか一方を行う。布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が大きく入水角制御S200および張力制御S300が困難な場合には、距離制御S400に切り替えることができる。これにより、経時的な潮流の変化に応じて適切な制御を選択することによって、水底にケーブル20を安定的に布設することができる。
(c)本実施形態によれば、制御部400は、入水角制御S200において、船上入水角θを、第1入水角αについて設定された下限値αおよび上限値αと第2入水角γとに基づいて上記の式(1)を満たすように制御する。潮流が生じている条件下において、船上入水角θの角度範囲は、第1入水角αを所定の角度範囲内とするように、経時的に変化する潮流に応じて変更される。これにより、入水角制御S200を行う場合であっても、潮流の影響を考慮してケーブル20の見かけ上の入水角である船上入水角θの角度範囲を補正することによって、ケーブル20を水底に安定的に布設することができる。
(d)本実施形態によれば、制御部400は、張力制御S300において、ケーブル20の船上張力T(t)を、離底点張力Tについて設定された下限値Tr1および上限値Tr2と潮流粘性抵抗力のケーブル20の布設方向に垂直な方向の成分Dとに基づいて上記の式(3)を満たすように制御する。潮流が生じている条件下において、ケーブル20の船上張力T(t)の範囲は、経時的に変化する潮流粘性抵抗力に応じて変更される。これにより、張力制御S300を行う場合であっても、潮流の影響を考慮してケーブル20の見かけ上の船上張力T(t)の範囲を補正することによって、ケーブル20を水底に安定的に布設することができる。
<本実施形態の変形例>
上述の実施形態では、布設船10の潮流に対する相対速度Vr(t)に基づいて、「入水角制御S200」、「張力制御S300」および「距離制御S400」の少なくともいずれかを選択する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
以下の本実施形態の変形例は、布設船の潮流に対する相対速度に基づく判断を行わない点が上述の本実施形態と異なる。以下、本変形例では、上記した本実施形態と異なる要素についてのみ説明し、本実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、その説明を省略する。
図9は、本実施形態の変形例に係る水底ケーブルの布設工程のフローを示す図である。図9に示されているように、船首調整S110の後には、布設船10の潮流に対する相対速度に基づく判断を行わず、「距離制御S400’」、「張力制御S300’」および「入水角制御S200’」が例えばこの順で行われる。
「距離制御S400’」、「張力制御S300’」および「入水角制御S200’」のそれぞれにおける制御は、上記実施形態における「入水角制御S200」、「張力制御S300」および「距離制御S400」のそれぞれにおける制御と同様である。
本実施形態によれば、制御部400が、布設船の潮流に対するに関わらず、「距離制御S400’」、「張力制御S300’」および「入水角制御S200’」の全ての制御を
行うことにより、式(1)、式(3)および式(4)(若しくは式(5))の全てを満たす最適な状態でケーブル20を布設することができる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、ケーブル繰り出し部200が張力計測部を兼ねる場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。張力計測部はケーブル繰り出し部とは別に設けられていても良い。
また、上述の実施形態では、制御部400は、布設船10の潮流に対する相対速度V(t)が閾値Vr0以上であるときに距離制御S400を行い、相対速度V(t)が閾値Vr0未満であるときに入水角制御S200および張力制御S300の少なくともいずれか一方を行う場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。制御部は少なくとも距離制御を行えばよく、入水角制御および張力制御は行われなくてもよい。入水角制御および張力制御を行わない場合は、布設船の潮流に対する相対速度の閾値を0に設定したと考えればよい。
また、上述の実施形態では、制御部400は、ケーブル20の布設方向に対する角度βに基づいて布設船10の船首方向が潮流の方向に沿うように駆動部100を制御する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。船首調整において、船上張力の方向が離底点張力と潮流粘性抵抗力との合力の方向とつり合う(反対向きになる)ように船首方向を調整してもよい。
また、上述の実施形態では、距離制御S400において、布設船10の移動距離x(t)の基準距離xを繰り出し長計測部のカウンタ誤差rcountを考慮して設定する場合について説明した。この繰り出し長計測部のカウンタ誤差に関して、繰り出し長計測部は、布設船の所定の移動距離ごとにケーブルのカウンタ誤差を補正するカウンタ誤差補正機能を有していても良い。
また、上述の実施形態では、各種計測に係る計測間隔のΔtが1secである場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。Δtは、1secから999secまで可変とすることができる。
また、上述の実施形態では、張力制御S300において、潮流粘性抵抗力Dのケーブル20の布設方向に垂直な方向の成分Dを最大カテナリ長lcMaxに基づいて算出し、船上張力T(t)の範囲を設定する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。制御部が水深計測部により計測された時刻tとともに変化する水深hに基づいて式(8)から布設船から水底までのケーブルのカテナリ長lを算出することが可能である場合、潮流粘性抵抗力Dのケーブル20の布設方向に垂直な方向の成分Dを時刻tにおけるケーブルのカテナリ長lに基づいて算出し、船上張力T(t)の範囲を設定してもよい。
また、上述の実施形態では、距離制御S400において、布設船10の移動距離x(t)の基準距離xが最大カテナリ長lcMaxに基づいて設定される場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。制御部が水深計測部により計測された時刻tとともに変化する水深hに基づいて式(8)から布設船から水底までのケーブルのカテナリ長lを算出することが可能である場合、布設船の移動距離x(t)の基準距離xを、時刻tにおけるケーブルのカテナリ長lに基づいて経時的に変化させて設定しても
よい。
また、上述の実施形態では、一つの制御部400が、入水角制御S200、張力制御S300および距離制御S400を行う場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。制御部は入水角制御を行う入水角制御手段、張力制御を行う張力制御手段、および距離制御を行う距離制御手段を含んでいたり、制御部はそれらの手段に分かれていたりしてもよい。
10 布設船
20 ケーブル
100 駆動部
200 ケーブル繰り出し部
210 船尾シュータ
220 ウインチ
230 ブレーキ
240 やぐら
250 ケーブルコイル
310 位置計測部
320 船首方向計測部
330 繰り出し長計測部
340 ケーブルカウンタ
350 入水角計測部
360 潮向流速計測部
370 水深計測部
400 制御部

Claims (13)

  1. 布設船を移動させ、前記布設船の速度を調整する駆動部と、
    前記布設船からケーブルを繰り出し、前記ケーブルの繰り出し速度を調整するケーブル繰り出し部と、
    前記布設船に設けられ、前記布設船の位置を計測する位置計測部と、
    前記ケーブル繰り出し部に設けられ、前記ケーブルの繰り出し長を計測する繰り出し長計測部と、
    前記位置計測部が計測した前記布設船の2点の位置から求められる移動距離と、前記繰り出し長計測部が計測した前記ケーブルの繰り出し長と、に基づいて、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、
    前記布設船の前記移動距離が基準距離となったときの前記ケーブルの繰り出し長と前記布設船の移動距離との差で定義されるケーブル繰り出し差が所定値以下となるように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する距離制御を行う
    ことを特徴とする水底ケーブルの布設システム。
  2. 前記制御部は、
    前記距離制御では、前記布設船の移動距離の前記基準距離を、前記布設船から水底までの前記ケーブルのカテナリ長に基づいて設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の水底ケーブルの布設システム。
  3. 前記制御部は、
    前記距離制御では、前記布設船の移動距離の前記基準距離を、前記布設船によって前記ケーブルが布設される布設経路における水底の最大深度から求められる最大カテナリ長に基づいて設定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の水底ケーブルの布設システム。
  4. 前記制御部は、
    前記距離制御では、前記ケーブル繰り出し差を、前記布設船の移動距離に対して所定比率内となるように制御する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システム。
  5. 前記制御部は、
    前記距離制御では、前記ケーブル繰り出し差を、前記ケーブルがループを形成する長さより小さくなるように制御する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システム。
  6. 前記布設船に設けられ前記布設船の船首方向を計測する船首方向計測部と、
    前記布設船に設けられ前記布設船から前記ケーブルを布設するときの潮流の速度および前記ケーブルの布設方向に対する角度を計測する潮向流速計測部と、
    をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記潮向流速計測部が計測した潮流の前記ケーブルの布設方向に対する角度に基づいて、前記船首方向計測部が計測した前記布設船の船首方向が前記潮流の方向に沿うように前記駆動部を制御する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システム。
  7. 前記ケーブルが前記布設船から水平方向に対して入水する角度で定義される船上入水角を計測する入水角計測部をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記入水角計測部が計測した前記船上入水角が所定の角度範囲内となるように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する入水角制御を行う
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システム。
  8. 前記布設船から前記ケーブルを布設するときの潮流の速度および前記ケーブルの布設方向に対する角度を計測する潮向流速計測部をさらに有し、
    前記制御部は、
    時間に対する前記布設船の前記移動距離から前記布設船の速度を算出し、
    前記布設船の速度と前記潮向流速計測部が計測した前記潮流の速度との差から求められる前記布設船の前記潮流に対する相対速度が閾値以上であるときに、前記距離制御を行い、
    前記相対速度が閾値未満であるときに、前記入水角制御を行う
    ことを特徴とする請求項7に記載の水底ケーブルの布設システム。
  9. 前記布設船から水底までの水深を計測する水深計測部をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記入水角制御では、前記船上入水角をθ、前記布設船から水底までの前記ケーブルを布設方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される第1入水角をα、前記布設船から水底までの前記ケーブルを布設方向に対して垂直な方向に沿った面に投影したときの水平方向に対する入水角として定義される第2入水角をγとしたとき、
    前記布設船の前記ケーブルの布設方向からの位置と前記水深計測部が計測した前記水深とから前記第2入水角γを算出し、
    前記船上入水角θを、前記第1入水角αについて設定された下限値αおよび上限値αと前記第2入水角γとに基づいて下記の式(1)を満たすように制御する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の水底ケーブルの布設システム。
    Figure 0006102638
  10. 前記ケーブルの前記布設船における張力としての船上張力を計測する張力計測部をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記船上張力を所定の範囲内とするように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する張力制御を行う
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の水底ケーブルの布設システム。
  11. 前記布設船から前記ケーブルを布設するときの潮流の速度および前記ケーブルの布設方向に対する角度を計測する潮向流速計測部をさらに有し、
    前記制御部は、
    時間に対する前記布設船の前記移動距離から前記布設船の速度を算出し、
    前記布設船の速度と前記潮向流速計測部が計測した前記潮流の速度との差から求められる前記布設船の前記潮流に対する相対速度が閾値以上であるときに、前記距離制御を行い、
    前記相対速度が閾値未満であるときに、前記張力制御を行う
    ことを特徴とする請求項10に記載の水底ケーブルの布設システム。
  12. 前記制御部は、
    前記張力制御では、前記ケーブルの形状係数をC、時刻tのときの前記布設船の前記潮流に対する前記相対速度をV(t)、前記ケーブルの直径をd、水の密度をρ、前記ケーブルの前記布設船から水底までのカテナリ長をl、前記潮流の前記ケーブルの布設方向に対する角度をβ、前記ケーブルが前記潮流から受ける潮流粘性抵抗力の前記ケーブルの布設方向に垂直な方向の成分をD、前記ケーブルが水底から離れる点における前記ケーブルの張力として定義される離底点張力をT、時刻tのときの前記布設船の船上張力をT(t)としたとき、
    下記の式(2)により、前記潮流粘性抵抗力の前記ケーブルの布設方向に垂直な方向の成分Dを算出し、
    前記船上張力T(t)を、前記離底点張力Tについて設定された下限値Tr1および上限値Tr2と前記潮流粘性抵抗力の前記ケーブルの布設方向に垂直な方向の成分Dとに基づいて下記の式(3)を満たすように制御する
    ことを特徴とする請求項11に記載の水底ケーブルの布設システム。
    Figure 0006102638
    Figure 0006102638
  13. 布設船を移動させる駆動部により前記布設船の速度を調整するとともに、当該布設船からケーブルを繰り出すケーブル繰り出し部により前記ケーブルの繰り出し速度を調整することにより、前記ケーブルを水底に布設する水底ケーブルの布設方法であって、
    位置計測部によって前記布設船の位置と、繰り出し長計測部によって前記布設船から繰り出される前記ケーブルの繰り出し長と、を計測することを開始する計測開始工程と、
    前記位置計測部が計測した前記布設船の2点の位置から求められる移動距離と、前記繰り出し長計測部が計測した前記ケーブルの繰り出し長と、に基づいて、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部を制御する布設制御工程と、
    を有し、
    前記布設制御工程では、
    前記布設船の前記移動距離が基準距離となったときの前記ケーブルの繰り出し長と前記布設船の移動距離との差で定義されるケーブル繰り出し差が所定値以下となるように、前記駆動部および前記ケーブル繰り出し部の少なくともいずれか一つを制御する距離制御を行う
    ことを特徴とする水底ケーブルの布設方法。
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