以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。
また、黄色をY、マゼンタ色をM、シアン色をC、黒色をKで表すと共に、各部品を色毎に区別する必要がある場合には、符号の末尾に各色に対応する色符号(Y、M、C、K)を付して区別する。
なお、各部品を色毎に区別せずに総称する場合には、符号の末尾に付加される色符号を省略する。
<第1実施形態>
図1に、本実施形態に係る電子写真方式を用いた画像形成装置20の要部構成を示す概略側面図を示す。本実施形態に係る画像形成装置20は、一例として、出力解像度が2400dpi(dot per inch)×2400dpiまで対応するものとする。 また、画像形成装置20には、図示しない通信回線を介して各種データを受信し、受信したデータに基づきカラー画像形成処理を行う画像形成機能が搭載されている。
画像形成装置20は、Y、M、C、K毎に、図中矢印Aの方向に回転する4つの感光体1Y、1M、1C、1Kと、帯電バイアスを印加することにより各感光体1の表面を帯電する帯電器2Y、2M、2C、2Kを備える。
また、画像形成装置20は、帯電された感光体1表面を各色の画像情報に基づいて変調された露光光により露光し、感光体1上に静電潜像を形成するレーザ出力部3Y、3M、3C、3Kと、各色現像剤(トナー)を保持する現像剤保持体である現像ロール34Y、34M、34C、34Kを各々備える。
また、画像形成装置20は、現像バイアス用電源によって現像ロール34Y、34M、34C、34Kに現像バイアスを印加することにより、感光体1上の静電潜像を各色トナーで現像して感光体1上にトナー像を形成する現像器4Y、4M、4C、4Kと、感光体1上の各色トナー像を中間転写ベルト6に転写する一次転写器5Y、5M、5C、5Kを備える。
また、画像形成装置20は、用紙Pを収納する用紙収容部Tと、中間転写ベルト6上のトナー像を用紙Pに転写する二次転写装置7と、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着器10と、トナー像を用紙Pに転写後、中間転写ベルト6表面に残留するトナーをクリーニングするベルトクリーナー8を備える。
更に、画像形成装置20は、各感光体1の表面をクリーニングする図示しないクリーナーと、各感光体1表面の残留電荷を除去する図示しない除電器を備える。
次に、図1に示されている画像形成装置20における画像形成動作について説明する。
まず、例えば、図示しない通信回線を介して図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置から画像形成装置20へ画像データが出力される。
画像形成装置20に画像データが入力されると、画像形成装置20は帯電器2に帯電バイアスを印加し、感光体1の表面を負極に帯電する。
一方、画像データは、画像形成装置20の後述する制御部40に入力される。制御部40では、画像データをそれぞれYMCK各色の画像データに分解した後、各色の濃度を網点(以下、ドットという)の面積階調に変換する画像処理を実施する。そして、画像処理後のYMCK各色の画像データに基づいた変調信号を、対応する色のレーザ出力部3に出力する。すると、レーザ出力部3は、入力された変調信号に従って変調されたレーザ光線11を出力する。
この変調されたレーザ光線11は、それぞれ感光体1の表面に照射される。感光体1表面は帯電器2により負極に帯電した状態にあるが、感光体1表面にそれぞれレーザ光線11が照射されると、レーザ光線11が照射された部分の電荷が消滅して、感光体1上にはそれぞれYMCK各色の画像データに対応した静電潜像が形成される。
更に、各色現像器4Y、4M、4C、4Kには、それぞれY、M、C、Kに着色されると共に負極に帯電したトナー、及び各トナーを感光体1表面に付着する現像ロール34が入っている。
感光体1上に形成された静電潜像が現像器4に到達すると、図示しない現像バイアス用電源によって現像器4内の現像ロール34に現像バイアスが印加される。すると、現像ロール34Y、34M、34C、34Kの周面に保持された各色のトナーが、それぞれ感光体1Y、1M、1C、1Kの静電潜像に付着し、感光体1Y、1M、1C、1Kに各色の画像データに対応したトナー像が形成される。
更に、図示しないモータによりローラ12A、12D、12E、及び二次転写装置7のバックアップロール7Aが回転し、中間転写ベルト6が一次転写器5と感光体1により形成される間隙に搬送されることで、中間転写ベルト6が感光体1に押し当てられる。この際、一次転写器5に一次転写バイアスが印加されると、感光体1に形成された各色の画像データのトナー像が、中間転写ベルト6に転写される。この場合、各色のトナー像の中間転写ベルト6への転写開始位置を一致させるようにローラ12A、12D、12E、バックアップロール7Aの回転を制御することで、各色のトナー像を重ね合わせ、画像データに対応したトナー像が中間転写ベルト6に形成される。
中間転写ベルト6へトナー像を転写した感光体1は、図示しないクリーナーにより表面に付着した残留トナー等の付着物が除去され、図示しない除電器により残留電荷が除去される。
一方、図示しないモータにより用紙搬送ローラ13が回転することで、用紙収容部T内の用紙Pがバックアップロール7Aと二次転写ロール7Bとにより形成される間隙に搬送される。
そして、用紙Pが、トナー像が形成されている中間転写ベルト6の面と対向した状態で中間転写ベルト6と共に、バックアップロール7Aと二次転写ロール7Bの間隙に挟まれる際に、バックアップロール7Aに二次転写バイアスを供給して、中間転写ベルト6に形成されたトナー像を用紙Pに転写する。そして、用紙Pは定着器10に搬送され、定着器10では用紙P上に転写されたトナー像を加熱溶融して、用紙Pに定着する。
一方、用紙Pへトナー像を転写した中間転写ベルト6は、ベルトクリーナー8により表面に付着した残留トナー等の付着物が除去される。
なお、図1には用紙収容部Tを1つしか明示していないが、これに限らず、例えば、用紙Pの種類、サイズ等毎に用紙収容部Tを複数設けてもよいことは言うまでもない。
以上により、画像データに対応した画像が用紙Pに形成され、画像形成動作が終了する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置20の機能を示したブロック図である。
画像形成装置20は、色変換部80、スクリーン処理部82、画像形成部84、及び制御部40を含んで構成される。
色変換部80は、例えば画像形成装置20に入力された画像データがRGBデータの場合に、CMYKデータに変換する。
スクリーン処理部82は、CMYK各色に変換された画像データの画素の濃度を2値化して、ドットの有無に変換する。
画像形成部84は、スクリーン処理部82の処理結果に基づき、ドットの有無に応じてレーザ出力部3が感光体1へ照射するレーザ光線11をオン、オフすると共に、図1で説明した画像形成動作を実施することで、用紙Pに画像データに対応した画像を形成する。
制御部40は、色変換部80、スクリーン処理部82、及び画像形成部84で行われる処理の制御を行う。
図3は、スクリーン処理部82の構成を示した図であり、スクリーン処理部82は、複数の閾値マトリクス823の中からYMCKの色毎に対応した閾値マトリクス823を選択する閾値選択部821と、YMCKデータに変換された画像データの画素値と閾値選択部821によって選択された閾値マトリクス823の値とを比較する比較部822を含んで構成される。
閾値マトリクス823はYMCKの色毎に予め用意されており、画像データの各画素の濃度が16階調で表される場合には、例えば図4に示した4×4の領域内に、それぞれ0から15までの閾値が割り当てられる。
比較部822は、画像データを閾値マトリクス823と同じ4×4画素毎の比較領域に分割し、各々の比較領域毎に順次比較領域内の各画素値と閾値マトリクス823の各閾値とを1対1に対応させ、比較領域内の各画素値と閾値マトリクス823の各閾値を比較する。
そして、比較領域内の画素値が対応する閾値以上の場合、画像データの各画素と1対1に対応するビットマップテーブルの当該画素に対応する箇所に「1」を設定する。一方、比較領域内の画素値が対応する閾値未満の場合には、ビットマップテーブルの当該画素に対応する箇所に「0」を設定し、画像データの各画素に対して「1」または「0」の値を割り当てる。
以上の2値化処理をYMCK各色の画像データに対して実施して、YMCK色毎に画像データに対応したビットマップテーブルを生成し、このビットマップテーブルを出力画像データとして画像形成部84に出力する。
そして、画像形成部84は、ビットマップテーブルの「0」に対応した画素の位置ではレーザ光線11の出力をオフにして、感光体1にドットを形成しないようにすると共に、「1」に対応した画素の位置ではレーザ光線11の出力をオンにして、感光体1にドットを形成して、感光体1の各々にYMCK色毎の画像データに応じた静電潜像を形成する。
なお、本実施形態では、画像データの濃度階調を16階調として説明したが、濃度階調はこれに限定されず、例えば256階調等の他の濃度階調であってもよい。この場合、閾値マトリクス823に割り当てられる閾値は0から255までの値となる。また、閾値マトリクス823の大きさも4×4の大きさに限られるものではない。
また、スクリーン処理部82は、出力画像データを画像形成部84に出力する前に、2値化処理の際に生じた変換誤差を周辺画素の各々に拡散する公知の誤差拡散処理を適用するようにしてもよい。
以上の処理により、画像データは画素毎にYMCK色のドットの面積階調に変換されて用紙P上に形成されるが、YMCK色の各ドットを同じ位置に重ねて形成すると、混色により画像品質が劣化するため、YMCK色の各ドットの形成位置が各々ずれるように、色毎に予め定めた角度を持たせたドットを配置するようにしている。
この角度をスクリーン角度と言い、スクリーン角度の調整は、閾値マトリクス823の閾値の配列を調整することによって実現される。
ところが、予め定めたスクリーン角度以外のスクリーン角度によって用紙Pにドットを形成した際、ドット相互の干渉によって、本来あるはずのない干渉縞が見える場合がある。この干渉縞をモアレとも呼び、モアレは画像品質を低下させる原因の1つとなる。
そこで、モアレを発生させないスクリーン角度として、各色のベクトル和が零になる角度、例えば図5に示すように、Y色のスクリーン角度を0度、C色のスクリーン角度を15度、K色のスクリーン角度を45度、及びM色のスクリーン角度を75度にすればよいことが従来から知られている。
この場合、図6に示すような、亀甲状のロゼッタ模様と呼ばれる模様が形成され、モアレの発生が低減されることから、モアレによる画像品質の低下を抑制する方法として、特にオフセット印刷、スクリーン印刷、及びグラビア印刷等の印刷領域の分野で用いられてきた。
本発明者らは、ロゼッタ模様を生成する各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値の配置を検討した結果、本実施形態に係る画像形成装置20に適用してみたところ、用紙Pに形成された画像にロゼッタ模様が強調される箇所が周期的に発生する場合があることがわかった。
そこで、更に鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、ロゼッタ模様の出現周期と、用紙Pに画像を形成する際に現れる画像形成装置20に固有の画像形成周期とが特定の関係となった場合に、ロゼッタ模様が強調される現象が発生することを見出した。
ロゼッタ模様は、予め定めた閾値マトリクス823を用いて生成されることから、特定の周期で同じ模様が繰り返される出現周期を有しており、図6のロゼッタ模様では、例えばA[μm]の周期で同じロゼッタ模様が現れる。
このロゼッタ模様の出現周期と、画像の形成に影響を与える画像形成装置20に固有の画像形成周期、例えば、帯電器2により帯電された感光体1に生じる帯電むらの周期、現像ロール34に現像バイアスが印加された際に感光体1に生じる現像むらの周期、レーザ出力部3においてレーザ光線11を出力するレーザ光源の間隔等とが一致した際に、周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様が、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
ここで、周期が一致するとは、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期とが一致する場合はもちろんのこと、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期との差分が、出力解像度に応じた予め定めた範囲以下となる場合も含む。
出力解像度に応じた予め定めた範囲とは、具体的には出力解像度によって決まる1ドットの長さをいう。ここでドットの長さとは、ドットが円形であれば直径、ドットが楕円形であれば長軸の長さ、ドットが四角形であれば長辺の長さを指す。一例として出力解像度が2400dpiの円形ドットである場合、25.4μmが1ドットの長さとなり、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期との差分が25.4μm以下であれば、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期とが一致するものとして扱う。
なお、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期との差分が出力解像度によって決まる1ドットの長さ以下の場合も、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期とが一致するものとして扱うのは、スクリーン処理部82において、ドットの形成位置を1ドットの長さ以下の範囲内で補正する場合が考えられるからである。
また、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期のうち、いずれか一方の周期の倍数が他方の周期の倍数と一致する場合でも、当該周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様が、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される。
なお、前述のロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期とが一致するケースは、換言すれば、ロゼッタ模様の出現周期の倍数と画像形成周期の倍数が共に「1」である場合に一致するケースであるとも言える。
従って、ロゼッタ模様の出現周期と画像形成周期のうち、いずれか一方の周期の倍数が他方の周期の倍数と異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すれば、各色のドット配置の変化により、画像形成周期の何れの倍数にも一致しない出現周期を持ったロゼッタ模様が生成されることになる。
そこで、以下では、より具体的な画像形成周期の例を示す。
(感光体)
図7は、感光体1及び感光体1を帯電する帯電器2の電気的な接続を示した図である。
感光体1及び帯電器2は、例えば、共に金属シャフトの周囲に導電性ゴムを形成して構成された円筒形状の部材であり、帯電器2の金属シャフト部分は、帯電バイアスを供給する交流電源2A及び直流電源2Bを介して基準電位であるグランド電位(ここでは、0V)に接続されている。また、感光体1の金属シャフト部分もグランド電位に接続され、帯電器2から帯電バイアスを印加された際に、感光体1と帯電器2の間に生じる電界によって感光体1が帯電する範囲内に感光体1が配置されている。
また、同図からわかるように、本実施形態に係る画像形成装置20の帯電バイアスには、直流電源2Bの直流成分に交流電源2Aの交流成分が重畳された所謂重畳電源が用いられる。なお、帯電バイアスに重畳電源が用いられるのは、帯電バイアスに交流成分を含めない場合と比較して、図中矢印で示した感光体1の回転方向と直交する方向(以下、感光体1の主走査方向という)に発生するスジ状の帯電むらを低減する効果があるためである。
しかし、帯電バイアスとして交流成分が重畳されることから、感光体1に印加される電界の強さも周期的に変化するため、帯電バイアスに交流成分を含めない場合に感光体1に発生する帯電むらより小さいが、詳細に見れば、感光体1に周期的な帯電むらが発生する場合がある。
この感光体1に発生した帯電むらの周期がロゼッタ模様の出現周期と一致すると、お互いの周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様は、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
本現象を抑制するためには、例えば、この感光体1に発生した帯電むらの周期をB[μm]とした場合に、周期Bの倍数とロゼッタ模様の出現周期である周期Aの倍数とが異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すればよい。
(レーザ出力部)
図8は、レーザ出力部3のレーザ光源15の配置面を示した概略図である。
本実施形態にかかるレーザ出力部3は、例えば16個のレーザ光源15を含んで構成される。16個のレーザ光源15は、4個のレーザ光源15を1組の単位光源16として、3組の単位光源16が感光体1の主走査方向に沿って配置されている。また、各単位光源16のレーザ光源15は、例えば千鳥状に配置される。
そして、3組の単位光源16を有する本実施形態に係るレーザ出力部3は、1回の露光動作で同時に16本のレーザ光線11を照射して感光体1を露光した後、レーザ出力部3を感光体1の主走査方向に移動することで、順次感光体1の主走査方向の露光を行う。
すなわち、感光体1の露光はレーザ出力部3の露光幅単位で実施される。ここで、レーザ出力部3の露光幅とは、レーザ出力部3において、感光体1の主走査方向の両端に位置するレーザ光源15Aとレーザ光源15Bとの間隔をいう。
このレーザ出力部3の露光幅がロゼッタ模様の出現周期と一致すると、レーザ出力部3の露光幅とロゼッタ模様の出現周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様は、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
本現象を抑制するためには、例えば、このレーザ出力部3の露光幅をC1[μm]とした場合に、露光幅C1の倍数とロゼッタ模様の出現周期である周期Aの倍数とが異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すればよい。
なお、上記の説明では、レーザ出力部3を感光体1の主走査方向に移動させて感光体1を露光するものとしたが、レーザ出力部3は固定して、レーザ出力部3から照射されたレーザ光線11を、回転する光偏向器とfθレンズとの作用により感光体1の主走査方向に移動させることで、感光体1の主走査方向の露光を行うようにしてもよい。また、レーザ出力部3におけるレーザ光源15の数は16個以外であってもよく、単位光源16の数や、単位光源16に含まれるレーザ光源15の数も本実施形態に限定されるものではない。
更に、レーザ出力部3の構造からわかるように、レーザ出力部3は単位光源16を単位として構成されることから、感光体1の露光はレーザ出力部3の単位光源16の露光幅単位で実施されるとも言える。ここで、レーザ出力部3の単位光源16の露光幅とは、例えばレーザ出力部3の単位光源16において、感光体1の主走査方向の両端に位置するレーザ光源15Aとレーザ光源15Cとの間隔をいう。
この単位光源16の露光幅がロゼッタ模様の出現周期と一致すると、単位光源16の露光幅とロゼッタ模様の出現周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様は、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
本現象を抑制するためには、例えば、この単位光源16の露光幅をC2[μm]とした場合に、露光幅C2の倍数とロゼッタ模様の出現周期である周期Aの倍数とが異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すればよい。
(現像ロール)
図9は、感光体1及び感光体1上の静電潜像をトナーで現像する現像ロール34の電気的な接続を示した図である。
現像ロール34も感光体1及び帯電器2と同様に、例えば、金属シャフトの周囲に導電性ゴムを形成して構成された円筒形状の部材であり、現像ロール34の金属シャフト部分は、現像バイアスを供給する交流電源34A及び直流電源34Bを介して基準電位であるグランド電位に接続されている。また、感光体1は、現像ロール34から現像バイアスを印加された際に、感光体1と現像ロール34の間に生じる電界により感光体1に現像ロール34のトナーが付着する範囲内に配置されている。
そして、現像ロール34を回転させ、現像ロール34の周囲に現像器4に収容されたトナーを付着させると共に、現像バイアスを印加して感光体1に現像ロール34に付着したトナーを移動させることで、感光体1上の静電潜像をトナー像に現像する。
また、同図からわかるように、本実施形態に係る画像形成装置20の現像バイアスには、直流電源34Bの直流成分に交流電源34Aの交流成分が重畳された重畳電源が用いられる。なお、現像バイアスに重畳電源が用いられるのは、現像バイアスに交流成分を含めない場合と比較して、感光体1に現像ロール34のトナーが付着しやすくなるためである。
この場合、現像ロール34には現像バイアスとして交流成分が重畳されることから、感光体1と現像ロール34の間に形成される電界も周期的に変化するため、感光体1に付着するトナーの量が周期的に変化して現像むらを生じさせる場合がある。
この感光体1に発生した現像むらの周期がロゼッタ模様の出現周期と一致すると、お互いの周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様が、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
本現象を抑制するためには、例えば、この感光体1に発生した現像むらの周期をD[μm]とした場合に、周期Dの倍数とロゼッタ模様の出現周期である周期Aの倍数とが異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すればよい。
このように、本実施形態に係る画像形成装置20では、用紙Pに画像を形成する際に現れる画像形成装置に固有の画像形成周期の倍数と、ロゼッタ模様の出現周期の倍数とが異なるように各閾値を配置したYMCK色毎の閾値マトリクス823を用いてスクリーン処理を実施することで、ロゼッタ模様の強調の度合いを低減させる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置20の画像形成周期は、上記に示した周期に限定されない。例えば、一次転写バイアスの印加によって中間転写ベルト6に発生する転写むらの周期や、二次転写バイアスの印加によって用紙Pに発生する転写むらの周期等、画像形成周期には、画像の形成に影響を与えるものと考えられる画像形成装置20の固有の周期が含まれる。
しかし、画像形成周期の中でも、レーザ出力部3の露光により生ずる画像形成周期とロゼッタ模様の出現周期とが一致した場合のロゼッタ模様が強調される度合いが最も高く、レーザ出力部3の露光により生ずる画像形成周期、感光体1の帯電により生ずる画像形成周期、現像ロール34のバイアス印加により生ずる画像形成周期、その他の画像形成周期の順に、これらの画像形成周期がロゼッタ模様の出現周期と一致した場合のロゼッタ模様が強調される度合いが高い。
従って、ロゼッタ模様の出現周期と一致した場合にロゼッタ模様が強調される度合いの高い画像形成周期から優先して、ロゼッタ模様の出現周期と異なるように閾値マトリクス823の各閾値を配置することが好ましい。
特に、レーザ出力部3の露光により生ずる画像形成周期及び感光体1の帯電により生ずる画像形成周期の少なくとも一方の周期がロゼッタ模様の出現周期と一致した場合には、これら以外の画像形成周期がロゼッタ模様の出現周期と一致した場合より、ロゼッタ模様が強調される度合いが高くなる傾向が見られる。
従って、レーザ出力部3の露光により生ずる画像形成周期及び感光体1の帯電により生ずる画像形成周期とロゼッタ模様の出現周期とが異なるように、閾値マトリクス823の各閾値を配置することがより好ましい。
<第2実施形態>
第1実施形態では、電子写真方式を用いた画像形成装置20のスクリーン処理でロゼッタ模様を生成する際に用いられる閾値マトリクスの各閾値の配置方法について説明したが、本実施形態では、インクジェット方式を用いた画像形成装置70のスクリーン処理でロゼッタ模様を生成する際に用いられる閾値マトリクスの各閾値の配置方法について説明する。
図10に、本実施形態に係るインクジェット方式を用いた画像形成装置70の要部構成を示す概略側面図を示す。
画像形成装置70の筐体14内の下部には用紙収容部Tが備えられており、用紙収容部Tに積層された用紙Pをピックアップロール18で1枚ずつ取り出す。取り出された用紙Pは、搬送経路22を構成する複数の搬送ローラ対21で搬送される。
また、用紙収容部Tの上方には、駆動ロール24及び従動ロール26に支持された無端状の搬送ベルト28が配置されている。搬送ベルト28の上方には記録ヘッドアレイ30が配置されており、搬送ベルト28の平坦部分28Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路22を搬送された用紙Pは、搬送ベルト28で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ30に対向した状態で、記録ヘッドアレイ30から画像データに応じたインク滴が付着される。
そして、用紙Pを搬送ベルト28で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行う。
なお、用紙Pの搬送手段としては搬送ベルト28に限られない。例えば円筒状あるいは円柱状に形成された搬送ローラの外周に、用紙Pを吸着保持して回転させる構成でもよい。ただし、本実施形態のように搬送ベルト28を使用すると平坦部分28Fが構成されるため、記録ヘッドアレイ30がより配置し易くなる。
記録ヘッドアレイ30は、例えば用紙Pの搬送方向と直交する方向(以下、用紙Pの交差方向という)に有効な画像形成領域幅が当該方向における用紙Pの長さ以上の長尺状とされ、YMCKの4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッド32が用紙Pの搬送方向に沿って配置され、各々のインクジェット記録ヘッド32からインク滴を吐出することで、用紙Pの交差方向に1ライン分の画像を形成する。なお、各インクジェット記録ヘッド32においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、いわゆるサーマル方式や圧電方式等、公知のものが適用される。
また、本実施形態にかかる記録ヘッドアレイ30は、用紙Pの交差方向に不動とされているが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像形成で、より解像度の高い画像が形成される。
記録ヘッドアレイ30の用紙P搬送方向下流側には、剥離プレート41が配置されており、用紙Pを搬送ベルト28から剥離する。
剥離された用紙Pは、排出経路44を構成する複数の排出ローラ対42で搬送され、筐体14の上部に設けられた排紙部46に排出される。
剥離プレート41の下方には、駆動ロール24とで搬送ベルト28を挟持するクリーニングロール48が配置されており、搬送ベルト28の表面をクリーニングする。
用紙収容部Tと搬送ベルト28の間には、複数の反転用ローラ対50を含んで構成された反転経路52が設けられており、片面に画像が形成された用紙Pを反転して搬送ベルト28に保持させることで、用紙Pの両面に画像を形成する。
搬送ベルト28と排紙部46の間には、YMCKの各色のインクをそれぞれ貯留するインクタンク54が設けられている。インクタンク54のインクは、図示しないインク供給配管によって記録ヘッドアレイ30に供給される。使用するインクに限定はなく、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクが使用される。
こうした全体構成を持つ画像形成装置70では、上述したように、用紙収容部Tから取り出された用紙Pが搬送され、搬送ベルト28に至る。そして、搬送ベルトの循環によって用紙Pが吐出領域SEを通過しつつ、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出されて、用紙P上に画像が記録される。1パスで画像を形成する場合には、剥離プレート41で用紙Pを搬送ベルト28から剥離し、排出ローラ対42で搬送して排紙部46に排出する。これに対し、マルチパスで画像を形成する場合には、必要な回数に達するまで用紙Pを周回させ吐出領域SEを通過させた後、剥離プレート41で用紙Pを搬送ベルト28から剥離し、排出ローラ対42で搬送して排紙部46に排出する。
また、本実施形態に係る画像形成装置70は、第1実施形態に係る画像形成装置20と同様に、色変換部80、スクリーン処理部82、画像形成部84、及び制御部40を含んで構成される。そして、制御部40が上記で説明した画像形成動作に係る各部材を含む画像形成部84を制御すると共に、スクリーン処理部82で生成されたビットマップテーブルに基づいて、使用するインク吐出口やインク滴の吐出タイミングを決める駆動信号をインクジェット記録ヘッド32に送り、用紙Pに画像を形成する。
なお、本実施形態に係る色変換部80及びスクリーン処理部82の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
図11は、インクジェット記録ヘッド32のインク滴吐出面を示した概略図である。
本実施形態にかかるインクジェット記録ヘッド32のインク滴吐出面は、複数のインク吐出口31を有し、例えば4個のインク吐出口31をまとめて1組の吐出ユニット33として、複数組の吐出ユニット33が用紙Pの交差方向に沿って配置されると共に、各吐出ユニット33内のインク吐出口31は、例えば千鳥状に配置されている。
このように、吐出ユニット33が用紙Pの交差方向に沿って周期的に配置されたインクジェット記録ヘッド32では、各インク吐出口31からインク滴を吐出して用紙Pに画像を形成した際、隣接する吐出ユニット33の境界部分に位置するインク吐出口31から吐出されたインク滴の重なり等により、用紙P上の画像に吐出ユニット33の並びに起因した画像形成に関する周期が現れる場合がある。すなわち、各吐出ユニット33の周期的な配置によって現れる画像形成装置70に固有な周期は、吐出ユニット33の用紙Pの交差方向に沿った両端に位置する、インク吐出口31A及びインク吐出口31Bの間隔(以下、ユニット幅という)に相当するものである。
このユニット幅がロゼッタ模様の出現周期と一致すると、ユニット幅とロゼッタ模様の出現周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様は、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
本現象を抑制するためには、例えば、このユニット幅をE2[μm]とした場合に、ユニット幅E2の倍数とロゼッタ模様の出現周期である周期Aの倍数とが異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すればよい。
なお、吐出ユニット33に含まれるインク吐出口31の数は4個に限定されるものではなく、排出ユニット33内のインク吐出口31の配置形態も本実施例によって限定されない。
また、本実施形態にかかる記録ヘッドアレイ30の有効な画像形成領域幅は、用紙Pの交差方向における用紙Pの長さ以上であるものとして説明したが、これに限らず、例えば記録ヘッドアレイ30の有効な画像形成領域幅、すなわち記録ヘッドアレイ30の用紙Pの交差方向の長さが当該方向における用紙Pの長さ未満であってもよい。
この場合、各インクジェット記録ヘッド32を、インクジェット記録ヘッド32の有効な画像形成領域幅単位で順次用紙Pの交差方向に移動させながら、1ライン分の画像を形成する。従って、ユニット幅に起因した周期の他に、用紙P上の画像にインクジェット記録ヘッド32の周期的な移動に起因した画像形成に関する周期が現れる場合がある。
すなわち、インクジェット記録ヘッド32の周期的な移動によって現れる画像形成装置70に固有な周期は、インクジェット記録ヘッド32の用紙Pの交差方向に沿った両端に位置する、インク吐出口31A及びインク吐出口31Cの間隔(以下、ヘッド幅という)に相当するものである。
このヘッド幅がロゼッタ模様の出現周期と一致すると、ヘッド幅とロゼッタ模様の出現周期が一致した箇所に形成されたロゼッタ模様は、その他の箇所に形成されたロゼッタ模様に比べて強調される場合がある。
本現象を抑制するためには、例えば、このヘッド幅をE1[μm]とした場合に、ユニット幅E2の倍数とロゼッタ模様の出現周期である周期Aの倍数とが異なるように、YMCK各色に対応した閾値マトリクス823の各閾値を配置すればよい。
このように、本実施形態では、インクジェット方式を用いた画像形成装置70であっても、第1実施形態に係る電子写真方式を用いた画像形成装置20と同様に、画像形成装置70に固有の画像形成周期が存在する場合があることを説明した。この場合、画像形成装置70に固有の画像形成周期の倍数と、ロゼッタ模様の出現周期の倍数とが異なるように各閾値を配置したYMCK色毎の閾値マトリクス823を用いてスクリーン処理を実施することで、ロゼッタ模様の強調の度合いを低減させる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置70の画像形成周期は、上記に示した周期に限定されない。画像形成周期には、画像の形成に影響を与えるものと考えられる固有の周期が含まれる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、各実施形態に係る画像形成装置はYMCKの4色を用いて画像を形成するようにしたが、色数はこれに限らず、例えば3色や5色以上の色を用いて画像を形成してもよい。ただし、2色以下の色数ではスクリーン角度を伴った各色のベクトルの和が零にならないため、ロゼッタ模様は生成されない。