以下、本発明に係るスイッチング電源装置の好適な実施形態について、照明用電源装置を例に図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書にて、接続という場合には、電気的な接続を意味する場合がある。
図1に示すように本実施形態のスイッチング電源装置は、照明用電源装置であり、照明用電源装置のオン/オフを切り替える電源スイッチSW1と、商用のAC電圧をDC電圧に変換して出力するスイッチング電源部PSと、スイッチング電源部PSを制御するスイッチング制御部SCと、照明用電源装置に接続される照明器LDの明るさを切り換える明暗設定回路SW2と、明暗設定回路SW2の状態によりスイッチング制御部SCに発光強度信号を出力する調光部DMと、とを備える。
<スイッチング電源部PSの構成>
スイッチング電源部PSは、フライバック方式とされ、電源スイッチSW1を介して商用電源に接続されている。商用電源に接続されるそれぞれ入力端子CN1,CN2の一方の入力端子CN1には、ヒューズF1が接続されている。また、それぞれの入力端子CN1,CN2間は、コンデンサC1及び抵抗R1でそれぞれ接続されている。さらに、入力端子CN1及び入力端子CN2にはそれぞれコイルL1が接続され、それぞれのコイルL1が互いに磁気結合している。このコンデンサC1及び抵抗R1及び一対のコイルL1によりフィルタが形成され、商用電源から入力するスパイクノイズ等が低減される。
入力端子CN1には、ヒューズF1を介して、トライアックTACと抵抗R2とが並列に接続されている。本実施形態では、このトライアックTACが突入電流防止素子とされる。整流回路RC1は、一対の入力端子及び一対の出力端子を有し、例えばブリッジダイオード回路等の全波整流回路とされる。上記のトライアックTACと抵抗R2とからなる並列回路は、整流回路RC1の一方の入力端子に接続されている。つまりトライアックTACは、一方のターミナルが入力端子CN1に接続され、他方のターミナルが整流回路RC1に接続されている。また、入力端子CN2は整流回路RC1の他方の入力端子に接続されている。
整流回路RC1の一方の出力端子は、ダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードは、トランスTの一次側のコイルTL1の一端に接続されている。コイルTL1の他端は、トランジスタQ1のドレインに接続されている。なお、本実施形態では、トランジスタQ1は、MOS型の電界効果トランジスタとされる。このトランジスタQ1がスイッチング電源部PSのスイッチング素子とされる。トランジスタQ1のソースは抵抗R4の一端に接続されている。そして、抵抗R4の他端は整流回路RC1の他方の出力端子に接続されている。また、ダイオードD1とコイルTL1との間と、抵抗R4と整流回路RC1との間とは、コンデンサC2で接続されている。つまり、コンデンサC2は、コイルTL1とトランジスタQ1と抵抗R4とからなる直列回路に並列に接続されている。このコンデンサC2は、平滑用コンデンサとされる。
また、トライアックTACの整流回路RC1に接続される側のターミナル、及び、抵抗R2の整流回路RC1に接続される側は、トランスTのコイルTL3の一端に接続されている。このコイルTL3は、コイルTL1と同極性とされてコイルTL1と磁気結合している。コイルTL3の他端は、ダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは、抵抗R3を介して、トライアックTACのゲートに接続されている。また、コイルTL3の一端とトライアックTACのターミナルとの間と、ダイオードD2のカソードと抵抗R3との間とはコンデンサC3で接続されている。つまり、コンデンサC3は、コイルTL3とダイオードD2とからなる直列回路に並列に接続されている。トライアックTACと抵抗R2がこのように接続されることにより、電源スイッチSW1がオンとされる直後は抵抗R2を介して整流回路RC1に電流が流れ、スイッチング電源部PSが動作した後は、トライアックTACを介して整流回路RC1に電流が流れる。このようにすることで、電源投入時のスパイクノイズを抵抗R2で低減し、その後はトライアックTACを介することで、不要な電力消費を抑えている。
また、トランスTの二次側のコイルTL2は、コイルTL1と逆極性とされコイルTL1と磁気結合している。コイルTL2の一端にはダイオードD4のアノードが接続されておりダイオードD4のカソードはスイッチング電源部PSの一方の出力端子CN3に接続されている。この出力端子CN3はグランドに対し+Vボルトの電圧とされる。また、コイルTL2の他端は抵抗R10の一端に接続されており、抵抗R10の他端はスイッチング電源部PSの他方の出力端子CN4に接続されている。この出力端子CN4はグランドとされる。さらに、ダイオードD4のカソードとコイルTL2の他端は、コンデンサC8で接続されている。つまり、コンデンサC8は、コイルTL2とダイオードD4からなる直列回路に並列に接続されている。このダイオードD4とコンデンサC8とで、整流回路が形成される。
また、図1において点線で示すようにスイッチング電源部PSの出力端子CN3,CN4間には、照明器LDが接続される。例えば、図1のように照明器LDが発光ダイオードから成る場合、出力端子CN3に発光ダイオードのアノードが接続され、出力端子CN4に発光ダイオードのカソードが接続される。
<スイッチング制御部SCの構成>
トランスTのコイルTL4は、コイルTL1と同極性とされ、コイルTL1と磁気結合している。コイルTL4の一端はダイオードD3のアノードに接続されている。ダイオードD3のカソードはスイッチングパルス発生回路IC1の電源端子VCC1に接続されている。また、コイルTL4の他端はグランドレベルとされるスイッチングパルス発生回路IC1のグランド端子GND1に接続されている。また、ダイオードD3のカソードとコイルTL4の他端は、コンデンサC7で接続されている。つまり、コンデンサC7は、コイルTL4とダイオードD3からなる直列回路に並列に接続されている。このダイオードD3とコンデンサC7とで、整流回路が形成される。従って、スイッチングパルス発生回路IC1の電源端子VCC1には、直流電圧が印加される。
スイッチングパルス発生回路IC1の出力端子OUT1は、トランジスタQ1のゲートに接続されている。スイッチングパルス発生回路IC1は、出力端子OUT1からスイッチングパルスを出力して、トランジスタQ1のスイッチングを行わせる回路であり、後述の所定の条件でスイッチングパルスの出力を停止したり、スイッチングパルスがHighレベルとされるパルス幅を変更したりする。また、スイッチングパルス発生回路IC1の入力端子CSは、トランジスタQ1のソースに接続されている。スイッチングパルス発生回路IC1は、トランジスタQ1から出力する電流を検出し、上記のようにスイッチングパルスがHighレベルとされるパルス幅を変更することで、トランジスタQ1に所定の電流が流れるよう制御している。
また、ダイオードD3のカソードは、抵抗R8の一端に接続されており、抵抗R8の一端は抵抗R5を介してスイッチング電源部PSのダイオードD1のカソードに接続されている。従って、抵抗R8の一端の電圧は、ダイオードD1からの電圧によりプルアップされる。抵抗R8の他端は抵抗R9の一端に接続されており、抵抗R9の他端はスイッチングパルス発生回路IC1のグランド端子GND1に接続されている。また、抵抗R8の他端と抵抗R9の一端はそれぞれトランジスタQ3のゲートに接続されている。なお、本実施形態では、トランジスタQ3は、MOS型の電界効果トランジスタとされる。トランジスタQ3のゲート及び抵抗R9の一端は、コンデンサC5を介して、グランド端子GND1に接続されている。つまり、コンデンサC5と抵抗R9は並列に接続されている。また、トランジスタQ3のドレインはスイッチングパルス発生回路IC1のフィードバック端子FBに接続されており、ソースはグランド端子GND1に接続されている。スイッチングパルス発生回路IC1は、フィードバック端子FBの電圧が低くなると、出力端子OUT1から出力されるスイッチングパルスがHighレベルとされるパルス幅を狭くする。さらに、スイッチングパルス発生回路IC1は、フィードバック端子FBの電圧が所定の電圧レベルより低いLowレベルとなると出力端子OUT1からのスイッチングパルスの出力を停止する。従って、トランジスタQ3がオンの場合に、出力端子OUT1からのスイッチングパルスの出力が停止される。
トランジスタQ2のゲートは、抵抗R6を介して、スイッチング電源部PSの整流回路RC1の出力端子に接続されている。つまり抵抗R6は、一端が整流回路RC1の出力端子に接続され、他端がトランジスタQ2のゲートに接続されている。なお、本実施形態では、トランジスタQ2は、MOS型の電界効果トランジスタとされる。さらに抵抗R6の他端は抵抗R7の一端に接続され、抵抗R7の他端はグランド端子GND1に接続されている。このように接続される抵抗R6により整流回路RC1から出力する電圧を検出することができる。スイッチング電源部PSに電圧が印加されると整流回路RC1から電圧が出力されるため、抵抗R6は、スイッチング電源部PSに印加される電圧を検出することとなる。従って、抵抗R6は電圧検出回路とされる。トランジスタQ2のゲート及び抵抗R7の一端は、コンデンサC4を介して、グランド端子GND1に接続されている。つまり、コンデンサC4と抵抗R7は並列に接続されている。このように接続されるコンデンサC4は、抵抗R6を介してスイッチング電源部PSから電圧が印加されなくなるとき、すなわち抵抗R6が電圧を非検出となるときから放電を行って、第1所定時間の間トランジスタQ2のゲートにトランジスタQ2がオン状態となる電圧を印加する。つまり、コンデンサC4は、放電により前記第1所定時間電圧の検出状態を維持する。従って、コンデンサC4は、電圧検出維持回路とされる。なお、コンデンサC4が、電圧の検出状態を維持する前記第1所定時間は、コンデンサC4及び抵抗R7の時定数により定まる。また、トランジスタQ2のドレインはトランジスタQ3のゲートに接続されている。上記のようにトランジスタQ3のゲートは、抵抗R8の他端に接続されているため、トランジスタQ2のドレインも抵抗R8の他端に接続されている。トランジスタQ2のソースはグランド端子GND1に接続されている。このような構成によりトランジスタQ3のオン/オフはトランジスタQ2のオン/オフにより制御される。つまりトランジスタQ2,Q3は、スイッチングパルス発生回路IC1にスイッチングパルスの出力の停止をさせるスイッチングパルス停止スイッチとされ、トランジスタQ1は、上記のように抵抗R6が電圧を非検出となるときから第1所定時間より後の第2所定時間後にスイッチングを停止する。この第1所定時間から第2所定時間までの時間は、通常、1m秒程度とされる。
また、スイッチングパルス発生回路IC1のフィードバック端子FBは、トランジスタQ3のドレインの他に第1フォトカプラのフォトトランジスタPHC1Tのコレクタが接続されている。フォトトランジスタPHC1Tは、後述の調光部DMの第1フォトカプラの発光ダイオードPHC1Dと光学的にカップリングされており、発光ダイオードPHC1Dの発光により、フォトトランジスタPHC1Tのコレクタ−エミッタ間に電流が流れる。フォトトランジスタPHC1Tのエミッタは、グランド端子GND1に接続されている。従って、フォトトランジスタPHC1Tが短時間だけオンとなるとスイッチングパルス発生回路IC1のフィードバック端子FBの電圧が下がる。そして、スイッチングパルス発生回路IC1の出力端子OUT1から出力するスイッチングパルスのHighレベルのパルス幅が狭くなる。
また、フィードバック端子FBとグランド端子GND1間には、フォトトランジスタPHC1Tと並列にコンデンサC6が接続されている。コンデンサC6はノイズ吸収用のコンデンサである。
<調光部DMの構成>
スイッチング電源部PSの入力端子CN1,CN2には、照明器LDの発光強度を設定するための明暗設定回路SW2が接続されている。本実施形態では、明暗設定回路SW2はスイッチから構成されており、明暗設定回路SW2のスイッチがオフの状態で照明器LDが明るく発光する状態とされ、明暗設定回路SW2のスイッチがオンの状態で照明器LDが暗く発光する状態とされる。
調光部DMは、第2フォトカプラで絶縁された1次側と2次側とからなる。まず、1次側の構成を説明する。調光部DMの入力端子CN5,CN6は、明暗設定回路SW2を介して、スイッチング電源部PSの入力端子CN1,CN2に接続されている。明暗設定回路SW2のスイッチがオフの状態では、商用電源から調光部DMへの交流電圧の印加がなく、この状態は設定信号が非入力の状態とされる。一方、明暗設定回路SW2のスイッチがオンの状態では、商用電源から調光部DMへ交流電圧が印加され、この状態は設定信号が入力の状態とされる。つまり、本実施形態では、設定信号は、スイッチング電源部PSに印加される商用電圧の一部を分岐して生成されている。
それぞれの入力端子CN5,CN6の一方の入力端子CN5には、ヒューズF2が接続されている。整流回路RC2は、整流回路RC1と同様に一対の入力端子と一対の出力端子とを有し、例えばブリッジダイオード回路等の全波整流回路とされる。入力端子CN5はヒューズF2を介して整流回路RC2の一方の入力端子に接続されている。入力端子CN6は整流回路RC2の他方の入力端子に接続されている。整流回路RC2の一方の出力端子には抵抗R14の一端が接続され、抵抗R14の他端には第2フォトカプラの発光ダイオードPHC2Dのアノードが接続されている。発光ダイオードPHC2Dのカソードは、整流回路RC2の他方の出力端に接続されている。
次に2次側の説明をする。トランスTのコイルTL5は、コイルTL1と同極性とされ、コイルTL1と磁気結合している。コイルTL5の一端はダイオードD5のアノードに接続されている。また、ダイオードD5のカソードは発光強度安定回路IC2の電源端子VCC2に接続されている。また、コイルTL5の他端はグランドとされる発光強度安定回路IC2のグランド端子GND2に接続されている。また、ダイオードD5のカソードとコイルTL5の他端は、コンデンサC9で接続されている。つまり、コンデンサC9は、コイルTL5とダイオードD5からなる直列回路に並列に接続されている。このダイオードD5とコンデンサC9とで、整流回路が形成されている。従って、発光強度安定回路IC2の電源端子VCC2には、直流電圧が入力される。
この発光強度安定回路IC2は、所定の条件で、第1フォトカプラのフォトトランジスタPHC1Tを用いて、スイッチングパルス発生回路IC1の出力端子OUT1から出力されるスイッチングパルスがHighレベルとされるパルス幅を狭くする。例えば、照明器LDに設定よりも多くの電流が流れている場合に、所定の期間フォトトランジスタPHC1Tをオン状態とする電圧を出力する。
発光強度安定回路IC2の入力端子IN1は抵抗R12の一端に接続されており、抵抗R12の他端はスイッチング電源部PSの出力端子CN3に接続されている。また、入力端子IN1及び抵抗R12の一端は、抵抗R13の一端に接続されており、抵抗R13の他端は発光強度安定回路IC2のグランド端子GND2に接続されている。従って、発光強度安定回路IC2は、入力端子IN1から抵抗R12と抵抗R13との分圧を検出することで、スイッチング電源部PSの出力電圧を検出することができる。
また、発光強度安定回路IC2の入力端子IN2は、スイッチング電源部PSの出力端子CN4に接続されている。さらに発光強度安定回路IC2のグランド端子GND2はスイッチング電源部PSのコイルTL2の他端と抵抗R10の一端との間に接続されている。発光強度安定回路IC2は、入力端子IN2に印加される電圧とグランド端子GND2との電圧から抵抗R10における電圧を検出することで、抵抗R10に流れる電流を検出することができる。この電流の検出により、照明器LDに流れる電流を検出することができる。
また、ダイオードD5のカソードは、抵抗R11の一端に接続されており、抵抗R11の他端は第1フォトカプラの発光ダイオードPHC1Dのアノードに接続されている。また、第1フォトカプラの発光ダイオードPHC1Dのカソードは、発光強度安定回路IC2の出力端子OUT2に接続されている。従って、発光強度安定回路IC2の出力端子OUT2の電圧がHighレベルである場合に、第1フォトカプラの発光ダイオードPHC1Dは発光せず、当該出力端子OUT2の信号電圧がLowレベルである場合に、第1フォトカプラの発光ダイオードPHC1Dは発光する。発光強度安定回路IC2は、入力端子IN1に印加される電圧や、入力端子IN2に印加される電圧が所定のリファレンス電圧を超えると、出力端子OUT2にの電圧をLowレベルとする。そうすると第1フォトカプラの発光ダイオードPHC1Dが発光する。上記のように発光ダイオードPHC1Dの発光により、フォトトランジスタPHC1Tがオンとなり、スイッチングパルス発生回路IC1の出力端子OUT1から出力するスイッチングパルスのHighレベルのパルス幅が狭くなる。従って、入力端子IN1に印加される電圧や入力端子IN2に印加される電圧が所定の電圧値を超えると、出力端子CN3,CN4から出力される電圧が低下し、適正な電圧とされる。
また、ダイオードD5のカソードは発光強度制御回路IC3の電源端子VDDに接続されている。従って、発光強度制御回路IC3には発光強度安定回路IC2と同様に直流電圧が印加される。また、このように発光強度制御回路IC3の電源端子VDDに接続されるダイオードD5のカソードには、さらに抵抗R18の一端が接続され、抵抗R18の他端にはトランジスタQ4のコレクタが接続されている。トランジスタQ4のエミッタは、グランドとされる発光強度制御回路IC3のグランド端子VSSに接続される。また、抵抗R18の他端及びトランジスタQ4のコレクタは、発光強度制御回路IC3の入力端子DIMINに接続されている。従って、トランジスタQ4がオンであれば、入力端子DIMINの電圧レベルはLowレベルとされ、トランジスタQ4がオフであれば、抵抗R18を介してトランジスタQ4のコレクタに印加される電圧により入力端子DIMINの電圧レベルはHighレベルとされる。また、発光強度制御回路IC3の出力端子DIMOUTは、発光強度安定回路IC2の入力端子IN3に接続されている。発光強度制御回路IC3は、入力端子DIMINの電圧レベルがLowである場合に出力端子DIMOUTから電圧がLowレベルの信号を出力し、入力端子DIMINの電圧レベルがHighである場合に出力端子DIMOUTから電圧がHighレベルの信号を出力する。
発光強度安定回路IC2は、入力端子IN3に印加される電圧がLowレベルである場合に、リファレンス電圧の設定を低くする。このリファレンス電圧は、出力端子OUT2に印加する電圧をLowレベルとする際に、入力端子IN1に印加される電圧や入力端子IN2に印加される電圧と比較する電圧である。従って、入力端子IN3に印加される電圧がLowレベルである場合には、入力端子IN3に印加される電圧がHighレベルである場合よりも、入力端子IN1に印加される電圧や入力端子IN2に印加される電圧が低い状態で発光ダイオードPHC1Dが発光する。
また、電源端子VDDに接続されるダイオードD5のカソードには、さらに抵抗R15の一端が接続され、抵抗R15の他端には、第2フォトカプラのフォトトランジスタPHC2Tのコレクタが接続されている。このフォトトランジスタPHC2Tは、一次側の発光ダイオードPHC2Dと光学的にカップリングされており、発光ダイオードPHC2Dの発光により、フォトトランジスタPHC2Tのコレクタ−エミッタ間に電流が流れる。上記のように本実施形態では、設定信号は、スイッチング電源部PSに印加される電圧から成り、設定信号が入力されている状態で第2フォトカプラの発光ダイオードPHC2Dが発光する。従って、この発光ダイオードPHC2Dの発光を検出するフォトトランジスタPHC2Tは、設定信号検出回路とされる。第2フォトカプラのフォトトランジスタPHC2Tのエミッタには、抵抗R16の一端が接続されており、抵抗R16の他端は発光強度制御回路IC3のグランド端子VSSに接続されている。なお、発光強度制御回路IC3のグランド端子VSSと発光強度安定回路IC2のグランド端子GND2とは互いに接続されている。また、フォトトランジスタPHC2Tのエミッタ及び抵抗R16の一端は、抵抗R17の一端に接続されており、抵抗R17の他端は、トランジスタQ4のベースに接続されている。従って、第2フォトカプラの発光ダイオードPHC2Dが発光している状態では、トランジスタQ4にベース電流が流れ、トランジスタQ4がオンとなる。従って、上記のように入力端子DIMINの電圧レベルはLowレベルとなる。
また、抵抗R17の一端に接続されるフォトトランジスタPHC2Tのエミッタ及び抵抗R16の一端は、コンデンサC10を介して、発光強度制御回路IC3のグランド端子VSSに接続される。つまり、コンデンサC10と抵抗R16とは並列接続されている。このように接続されるコンデンサC10は、フォトトランジスタPHC2Tから電圧が印加されなくなるとき、すなわちフォトトランジスタPHC2Tが設定信号を非検出となるときから放電を行って、ある特定の時間トランジスタQ4のベースにトランジスタQ4がオン状態となる電圧を印加する。つまり、コンデンサC10は、放電により前記特定の時間だけ設定信号が検出される状態を維持する。従って、コンデンサC10は、設定信号維持回路とされる。なお、コンデンサC10が設定信号の検出状態を維持する特定の時間は、コンデンサC10及び抵抗R16の時定数により定まる。このコンデンサC10が設定信号の検出状態を維持する前記特定の時間は、スイッチング制御部SCにおいてコンデンサC4が電圧の検出状態を維持する第1所定時間よりも長く設定され、上記第2所定時間よりも長く設定されることが好ましい。つまり、コンデンサC10を含む設定信号維持回路は、入力端子CN1,CN2に電圧が印加されなくなるタイミングと設定信号が非入力となるタイミングが同じ場合に、トランジスタQ1がスイッチングを停止する第2所定時間の経過後まで、設定信号の検出状態を維持する。
また、上記のように発光強度安定回路IC2は、発光強度制御回路IC3の出力端子DIMOUTから入力端子IN3に印加される電圧がLowレベルである場合に、入力端子IN3に印加される電圧がHighレベルである場合よりも、入力端子IN1に印加される電圧や入力端子IN2に印加される電圧が低くても発光ダイオードPHC1Dが発光させる。従って、フォトトランジスタPHC2Tが設定信号の入力を検出し、発光強度制御回路IC3が出力端子DIMOUTから入力端子IN3に印加される電圧がLowレベルとすることにより、出力端子OUT1からのスイッチングパルスの出力が停止される期間が長くなる。こうして、出力端子CN3,CN4から出力される適正な電圧値を低下させることができる。つまり、発光強度制御回路IC3の出力端子DIMOUTから出力される電圧を発光強度指示信号と理解することができ、発光強度制御回路IC3は発光強度安定回路IC2の制御を利用して、発光強度を制御している。そして、本実施形態では、第1フォトカプラの発光ダイオードPHC2Dからの光信号に基づいて、スイッチング制御部SCは、トランジスタQ1のスイッチングを制御する。従って、本実施形態では、発光ダイオードPHC2Dから出力する光信号が調光部DMから出力する発光強度信号とされる。この発光強度信号は、上記のように設定信号等に基づいて生成される。また調光部DMは、コンデンサC10が上記の第2所定時間経過後まで設定信号の検出状態を維持するため、第2所定時間経過後まで設定信号が非入力となる直前の発光強度信号を出力する。
<電力の供給が一時的に断たれる場合の照明用電源装置の動作>
次に電力の供給が一時的に断たれる場合の照明用電源装置の動作について説明する。図2、図3では、記載されるそれぞれの部位の電圧を示している。ただし、本説明では、理解の容易のため、時間軸のスケールが各部位で異なる場合がある。
まず、電源スイッチSW1がオン状態において第1所定時間より長い間電力の供給が断たれる場合の図1の照明用電源装置の動作について図2を用いて説明する。
図2に示すように、電源スイッチSW1がオンの状態では、入力端子CN1,CN2に商用電源からの電圧が印加される。この状態では、整流回路RC1から出力電圧が全波整流の波形で出力する。そして、平滑用のコンデンサC2により平滑された電圧がコイルTL1に印加する。スイッチング素子であるトランジスタQ1がオンの状態では、コイルTL1と抵抗R4に電流が流れる。このときトランスTに電力を蓄える。そして、トランジスタQ1がオフとなり、コイルTL1と抵抗R4に電流が流れない状態において、絶縁トランスの逆起電力を利用して、蓄えられていた電力をコイルTL2から放出する。するとダイオードD4とコンデンサC8による整流回路を介して、出力端子CN3,CN4から直流の電圧が出力する。このように、トランジスタQ1がスイッチングし続けることで、出力端子CN3,CN4から電圧が出力する。CN3、CN4から電圧が出力すると、照明器LDが点灯する。なお、照明器LDが発光ダイオードである場合には定電流動作とされる。
上記のように電源スイッチSW1がオンとされた直後においては、電流は抵抗R2を介して整流回路RC1に流れて、平滑用コンデンサであるコンデンサC2が充電されスイッチング電源部PSが動作する。そして、スイッチング電源部PSが動作した後は、トライアックTACを介して整流回路RC1に電流が流れる。このように動作することで、電源スイッチがオンとされた直後に発生し易い突入電流の電流値を抑制することができる。そして、スイッチング電源部PSが動作している状態では、トライアックTACを通じて電流を流すことで、電流を流し易くしている。
整流回路RC1から電圧が出力している状態では、トランジスタQ2のゲートに印加される電圧はHighレベルとされ、トランジスタQ2はオン状態とされる。なお、整流回路RC1からの出力電圧は瞬間的にゼロとなる場合があるが、この場合コンデンサC4が、トランジスタQ2のゲートに印加される電圧を所定レベル以上に保ち、トランジスタQ2はオン状態を維持する。
トランジスタQ2がオンとされると、抵抗R5,R8を流れる電流はトランジスタQ2を介してグランドに流れるため、トランジスタQ3のゲートに印加される電圧はLowレベルとされ、トランジスタQ3はオフ状態とされる。従ってスイッチングパルス発生回路のフィードバック端子FBの電圧はHighレベルとされる。従って、この間、スイッチングパルス制御回路の出力端子OUT1からは、トランジスタQ1のゲートに入力するスイッチングパルスが出力し続ける。
なお、上記のように発光強度安定回路IC2の入力端子IN1,IN2に印加される電圧が所定のリファレンス電圧を超える場合には、発光ダイオードPHC1Dが発光して、フィードバック端子FBの電圧が低下し、スイッチングパルスのHighレベルのパルス幅が狭くなる。このスイッチングパルスのHighレベルのパルス幅の狭小化により、出力端子CN3,CN4から出力する電圧が低下する。そして、入力端子IN1,IN2に印加される電圧が所定のリファレンス電圧以下となると、発光ダイオードPHC1Dの発光が停止して、フィードバック端子FBの電圧がHighレベルとされ、スイッチングパルスが元の状態に戻る。従って、図2では特に示さないが、トランジスタQ3はオフ状態とされる最中においても、フィードバック端子FBの電圧は一定では無い。
また、明暗設定回路SW2のスイッチがオンとされる場合には、調光部DMの入力端子CN5,CN6には、入力端子CN1,CN2に印加される電圧と同様の電圧である設定信号が入力する。すると、第2フォトカプラの発光ダイオードPHC2Dが発光し、トランジスタQ4のベースに印加される電圧がHighレベルとされる。従って、トランジスタQ4はオン状態とされ、発光強度制御回路IC3の入力端子DIMINの電圧はLowレベルとされる。すると発光強度制御回路IC3の出力端子DIMOUTから発光強度安定回路IC2の入力端子IN3には、発光強度指示信号であるLowレベルの電圧が印加される。従って、上記の発光強度安定回路IC2は、入力端子IN1,IN2に印加される電圧と比較するリファレンス電圧を低めに設定する。従って、フィードバック端子FBの電圧が低くなり易い。こうして、明暗設定回路SW2のスイッチがオンとされることで、照明器LDは暗めに発光する。
一方、明暗設定回路SW2のスイッチがオフとされる場合には、調光部DMの入力端子CN5,CN6には、設定信号である電圧が入力しない。すると、第2フォトカプラの発光ダイオードPHC2Dは発光せず、トランジスタQ4はオフ状態とされる。このため、発光強度制御回路IC3の入力端子DIMINの電圧はHighレベルとされる。すると発光強度制御回路IC3の出力端子DIMOUTから発光強度安定回路IC2の入力端子IN3には、発光強度指示信号としてHighレベルの電圧が印加される。従って、上記の発光強度安定回路IC2は、入力端子IN1,IN2に印加される電圧と比較するリファレンス電圧を高めに設定する。従って、発光ダイオードPHC2Dが発光しづらく、明暗設定回路SW2のスイッチがオンとされる場合と比べて、フィードバック端子FBの電圧が低くなりづらい。こうして、明暗設定回路SW2のスイッチがオフとされることで、照明器LDは明るく発光する。
ここで、時刻t0において、入力端子CN1、CNへの電力供給が停止する。例えば、誤操作等により電源スイッチSW1がオフとされたり、外的要因で入力端子CN1、CNへの電力供給が停止したりする。入力端子CN1,CN2に印加される電圧がゼロとなると、整流回路RC1からの出力が無くなる。しかし、コンデンサC2が放電をすることで、スイッチング電源部PSはすぐに動作を停止しない。
また、整流回路RC1からの出力が無くなるため、抵抗R6は電圧を検出することができなくなる。しかし、上記のように、電圧検出維持回路であるコンデンサC4は、電圧の検出状態を維持すべく、放電により前記第1所定時間だけトランジスタQ2のゲートにトランジスタQ2がオン状態となる電圧を印加する。従って、コンデンサC4からの放電により、トランジスタQ2のゲートに印加される電圧は、すぐにLowレベルとならず、徐々に低下する。そして、時刻t0から第1所定時間後の時刻t1において、トランジスタQ2のゲートに印加される電圧が、トランジスタQ2がオン状態を維持する電圧より小さくなり、トランジスタQ2はオフ状態となる。トランジスタQ2はオフ状態となると、トランジスタQ3のゲートに印加される電圧が上昇して、トランジスタQ3はオン状態となる。このためフィードバック端子FBの電圧はLow状態となり、時刻t0から第2所定時間後の時刻t2においてトランジスタQ1のスイッチングが停止する。こうして、トランジスタQ1は、コンデンサC2が放電を完了する前にスイッチングを停止する。
なお、上記第1所定時間は、コンデンサC2の放電によりスイッチング電源部PSが動作する時間よりも短い時間とされる。例えば、上記第1所定時間は、前記電圧が非検出となるときから20m秒以内に前記スイッチングが停止する時間とされる。また、例えば、この第1所定時間は、コンデンサC2の放電量がコンデンサC2の容量の30%を超えるまでにトランジスタQ1がスイッチングを停止するような時間とされる。これらの場合、第1所定時間は、例えば、1m秒以上とされる。
トランジスタQ1のスイッチングが停止すると、トライアックTACのゲートに印加される電圧が低下してトライアックTACはオフとなる。こうして、照明器LDは消灯する。
次に、時刻t2よりも後のt3に再び入力端子CN1,CN2に電力が供給される。つまり、時刻t0から第1所定時間経過後に入力端子CN1,CN2に再び電力が供給される。この場合、時刻t0からコンデンサC2の電位は下がっている。従って、コンデンサC2に高い電流値の電流が流れ得る状況である。しかし、図2に示すように、この時点でトライアックTACはオフとされている。従って、この時点で流れる電流は、上記のように電源スイッチSW1がオンとされた直後と同様にして、抵抗R2を介して整流回路RC1に流れて、平滑用コンデンサであるコンデンサC2は充電される。従って、コンデンサC2の電位が低くても、抵抗R2により突入電流の電流値が低く抑えられる。
入力端子CN1,CN2に電力が供給されると、再びトランジスタQ2のゲートに印加される電圧が上昇して、トランジスタQ2がオンとなる。トランジスタQ2がオンとなるとトランジスタQ3のゲートに印加される電圧が下がり、トランジスタQ3はオフとなる。そして、FB端子の電圧が上がり、再びトランジスタQ1はスイッチングを開始する。こうして、照明用電源装置は再び動作する。
次に、電源スイッチSW1がオン状態において第1所定時間より短い間電力の供給が断たれる場合の図1の照明用電源装置の動作について図3を用いて説明する。なお、本動作を説明するに当たり、図2を用いて説明した動作と同一の動作については、特に説明する場合を除き、その説明を省略する。
図2を用いて説明した動作と同様に、時刻t0において、一時的に入力端子CN1、CNへの電力供給が停止する。すると、入力端子CN1,CN2に印加される電圧がゼロとなり、整流回路RC1からの出力が無くなる。しかし、コンデンサC2が放電をすることで、スイッチング電源部PSはすぐに動作を停止しない。
また、図2を用いて説明した動作と同様にして、整流回路RC1からの出力が無くなるが、コンデンサC4は、放電により第1所定時間だけトランジスタQ2のゲートにトランジスタQ2がオン状態となる電圧を印加する。従って、トランジスタQ2のゲートに印加される電圧は、すぐにLowレベルとならず、徐々に低下する。しかし、本例では、上記時刻t1よりも前の時刻t4において、再び入力端子CN1,CN2に電力が供給される。つまり、時刻t0から第1所定時間経過する前に入力端子CN1,CN2に再び電力が供給される。この時刻t4においては、トランジスタQ2はオン状態である。従って、スイッチング電源部PSは動作を止めていない。このため、電流は抵抗R2ではなくトライアックTACを介してコンデンサC2に流れる。しかし、この状態では、コンデンサC2は然程放電していないため、電流は流れづらい。従って、再び入力端子CN1,CN2に電力が供給される際に、突入電流が流れる場合であっても、その電流値が低く抑えられる。
<電力の供給が断たれる場合の照明用電源装置の調光に係る動作>
次に照明用電源装置の調光に係る動作について説明する。図4、図5では、記載されるそれぞれの部位の電圧を示している。ただし、本説明では、理解の容易のため、時間軸のスケールが各部位で異なる場合がある。また、図2、図3を用いて説明した内容と同様の内容については、特に説明がない限り、同じ記号を用いて詳細な説明を省略する。
まず、明暗設定回路SW2のスイッチがオンとされ、電源スイッチSW1がオン状態からオフ状態とされる動作について図4を用いて説明する。上記のように明暗設定回路SW2のスイッチがオンの状態は、照明器LDが暗く発光する。
ここで、時刻t0において、電源スイッチSW1がオフとされる。この場合、上記電力の供給が一時的に断たれる場合の照明用電源装置の動作の説明と同様にして、時刻t2においてトランジスタQ1のスイッチングが停止し、照明器LDは消灯する。
ところで、上記のようにコンデンサC10を含む設定信号維持回路は、入力端子C1,C2に電圧が印加されなくなるタイミングと設定信号が非入力となるタイミングが同じ場合に、トランジスタQ1がスイッチングを停止する第2所定時間経過後まで、設定信号の検出状態を維持する。従って、コンデンサC10は、放電により第2所定時間経過後までトランジスタQ4のベースにトランジスタQ4がオン状態となる電圧を印加する。このため、図4に示すようにトランジスタQ4のベースに印加される電圧は、時刻t0から徐々に低下するが、トランジスタQ4がオフとなるのは、時刻t0から第2所定時間である時刻t2よりも後の時刻t5となる。つまり、調光部DMは、第2所定時間経過後まで設定信号が非入力となる直前の発光強度信号を出力する。トランジスタQ4がオフとなると発光強度制御回路IC3の入力端子DIMINの電圧がHighレベルとされ、発光強度安定回路IC2の入力端子IN3にHighレベルの電圧が印加される。しかし、既にトランジスタQ1のスイッチングが停止しているため、スイッチング電源部PSから出力する電圧に影響は無い。このため、電源スイッチSW1がオフとされてから照明器LDが消灯するまでの間に、照明器LDが暗く発光する状態から明るく発光する状態に変化することを防止できる。
次に、明暗設定回路SW2のスイッチがオフとされ、電源スイッチSW1がオン状態からオフ状態とされる動作について図5を用いて説明する。なお、本動作を説明するに当たり、図4を用いて説明した明暗設定回路SW2のスイッチがオンとされる動作と同一の動作については、特に説明する場合を除き、その説明を省略する。上記のように明暗設定回路SW2のスイッチがオフの状態は、照明器LDが明るく発光する。
ここで、時刻t0において、電源スイッチSW1がオフとされる。すると、明暗設定回路SW2のスイッチがオンとされた状態で電源スイッチSW1がオフとされる場合と同様にして照明器LDは消灯する。
本動作では、上記のように調光部DMの入力端子CN5,CN6には、設定信号である電圧が入力しない。従って、図5に示すように、電源スイッチSW1がオン状態からオフ状態とされる前後において、発光強度制御回路IC3の出力端子DIMOUTから発光強度安定回路IC2の入力端子IN3に印加される電圧は変化せず、Highレベルのままである。従って、電源スイッチSW1がオフとされてから照明器LDが消灯するまで、照明器LDは明るめに発光する。
以上、上記の第1所定時間を単に所定時間として、本実施形態のスイッチング電源装置纏めると次のようになる。すなわち、本実施形態のスイッチング電源装置は、トランスTの一次側のコイルTL1に接続されコイルTL1に流れる電流をスイッチングするスイッチング素子であるトランジスタQ1と、コイルTL1及びトランジスタQ1に並列に接続されコイルTL1に印加される電圧の平滑を行う平滑用コンデンサであるコンデンサC2と、入力端子CN1,CN2からコイルTL1に至る経路に配置されトランジスタQ1のスイッチングに基づいてオンするトライアックTACと、トライアックTACに並列に接続される抵抗R2と、を有するスイッチング電源部PSと、スイッチング電源部PSに印加される電圧を検出し、電圧の検出状態でトランジスタQ1がスイッチングするよう制御し、電圧が非検出となるときからコンデンサC2の放電時間より短い所定時間t1後にトランジスタQ1のスイッチングを停止させる信号を出力するスイッチング制御部SCと、を備える。
このようなスイッチング電源装置によれば、スイッチング電源部PSに印加される電圧が所定時間t1よりも短い時間断たれたとしても、トランジスタQ1はスイッチングを続ける。従って、スイッチング電源装置へ供給される電力に瞬断が生じる場合であっても、電力の出力を安定して行うことができる。そして、トランジスタQ1が継続してスイッチングしている間、トライアックTACは動作を続けている。従って、スイッチング電源装置へ供給される電力が断たれてから所定時間t1以内に再度スイッチング電源装置に電力が供給される場合、突入電流はトライアックを介して流れる。しかし、この所定時間t1は平滑用コンデンサの放電時間よりも短い時間とされる。従って、平滑用コンデンサが放電された後の状態で突入電流が流れる場合よりも、突入電流を抑えることができる。
また、所定時間t1よりも長い時間にわたりスイッチング電源部PSに印加される電圧が断たれる場合、スイッチング制御部SCはトランジスタQ1のスイッチングを停止させる。従って、この場合に再度スイッチング電源装置に電力が供給され突入電流が流れるとしても、トライアックTACがオフとなるため、突入電流は抵抗R2を流れ、電流値が低減されることになる。
また、本実施形態のスイッチング電源装置では、所定時間t1が、前記電圧が非検出となるときから20m秒以内に前記スイッチングが停止する時間とされる。一般的なスイッチング電源装置において、変換される電圧を平滑する一次側の平滑用コンデンサC2の放電時間は20m秒よりも十分に長い。従って、所定時間が上記のようにされることで、コンデンサC2の放電量が多い状態、すなわちコンデンサC2の電位が低い状態で、トライアックTACを通じた電流の再突入を防止することができる。或いは、本実施形態のスイッチング電源装置では、所定時間t1がコンデンサC2の放電量が容量の30%を超えない時間される。コンデンサC2の放電量がコンデンサC2の容量の30%未満であれば、トライアックTACがオンの状態で突入電流が流れる場合であっても、コンデンサC2に流れる電流の量が限られるため、突入電流の電流値を抑えることができる。また、本実施形態のスイッチング電源装置では、前記所定時間t1が1m秒以上とされる。このように所定時間が設定されることで、1m秒より短い時間の瞬断等が生じても、スイッチング電源装置の運転が停止されることを防止できる。なお、上記所定時間(第1所定時間)は、上記のように設定されることが好ましいが、スイッチング電源部PSに印加される電圧が非検出となるときからコンデンサC2の放電時間より短い時間であれば、特に限定されない。
また、スイッチング制御部SCは、スイッチング電源部PSに印加される電圧を検出する電圧検出回路としての抵抗R6と、抵抗R6において電圧が非検出となるときから所定時間の間電圧の検出状態を維持する電圧検出維持回路としてのコンデンサC4を有する構成とされた。そして、コンデンサC4の放電により電圧の検出状態が維持される構成とされた。
このようにコンデンサや抵抗により、検出回路や維持回路を形成することで、その時定数を変化させて、電圧の検出状態を維持する時間や、設定信号の入力が非検出となる直前の設定信号の検出状態を維持する時間を容易に設定することができる。
また、スイッチング電源部PSは、商用電源を整流する整流回路RC1を有し、電圧検出回路である抵抗R6は、整流回路RC1から出力する電圧を検出する構成とされた。このように整流回路RC1から出力される電圧は、瞬間的にゼロ電位となる場合がある。しかし、本実施形態の照明用電源装置では、コンデンサC4により、電圧の検出状態を所定時間維持することができる。従って、動作が不安定となることを防止することができる。
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、入力端子CN1,CN2からコイルTL1に至る経路に配置されトランジスタQ1のスイッチングに基づいてオンする突入電流防止素子としてトライアックTACを用いたが、これに限定されない。図6に示すように、突入電流防止素子としてMOS型の電界効果トランジスタFETを用いることができる。MOS型の電界効果トランジスタFETを用いることで、電源効率をより良くすることができる。通常、MOS型の電界効果トランジスタFETは、動作時に流れる電流サージ耐量が低く突入電流により損傷する恐れがあるため使用できなかったが、本実施形態の回路を用いることで使用が可能となる。
さらに、この他にも突入電流防止素子としては、バイポーラ型トランジスタや、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、サイリスタ、半導体解放スイッチ、リレーなどのスイッチ素子を用いることができる。
また、上記実施形態では、突入電流防止素子であるトライアックTACと抵抗R2とからなる並列回路が、ヒューズF1と整流回路RC1の一方の入力端子の間に接続されているが、これに限定されない。図6に示すように、突入電流防止素子であるMOS型の電界効果トランジスタFETと抵抗R2とからなる並列回路を整流回路RC1の一方の出力端子とダイオードD1のアノードの間に接続してもよい。このような構成にすることで、図6で用いているMOS型の電界効果トランジスタFETのように、一方向のオン/オフを制御する突入電流防止素子を安定して使用することが可能となる。
また、上記実施形態では、トライアックTACの動作にトランスTに磁気結合されたTL3を用いたが、これに限定されない。図1において、一次側回路、例えば、整流回路RC1に接続されたコンデンサC2とTL1、R4の間に、電源効率改善のためのPFC回路を設け、そのPFC回路を構成するインダクタに磁気結合されたコイルを用いて、トライアックTAC等の突入電流防止素子を動作させても良い。
また、上記実施形態では、スイッチング電源装置として照明用電源装置を例に説明した。しかし、本発明は他の用途の電源装置にも用いることができ、例えば、モーター駆動用電源装置に用いられても良い。
また、上記実施形態では、スイッチング電源部PSとして、フライバック方式のスイッチング電源を例に説明をした。しかし、スイッチング電源部PSの方式は特に限定されず、例えば、スイッチング電源部PSはフォワード方式であっても良い。
また、上記実施形態では、調光部DMの入力端子CN5は、明暗設定回路SW2を介して、スイッチング電源部PSの入力端子CN1に接続され、入力端子CN6は入力端子CN2に接続されている。このため、照明用電源装置の電源がオフにされると、スイッチング電源部PSへの電圧印加と、調光部DMへの設定信号の入力が同時に断たれる。しかし、入力端子CN5,CN6は入力端子CN1、CN2に接続されずに、設定信号としての電力を供給する他の電源に接続されていても良い。この場合、例えば、照明用電源装置の電源がオフにされると、入力端子CN1,CN2への電圧印加と、当該他の電源から入力端子CN5、CN6への設定信号の供給と同時に断たれるようにしても良い。この他の電源が直流電源であれば、整流回路RC2は不要となる。
また、上記実施形態では、トランジスタQ2,Q3から成るスイッチングパルス停止スイッチにより、フィードバック端子FBの電圧をLowレベルとして、スイッチングパルス発生回路IC1からのスイッチングパルスの出力の停止をさせた。しかし本発明において、トランジスタQ1のスイッチングを停止させる方法は他の方法でも良く、例えば、トランジスタQ2がオフとなるとスイッチングパルス発生回路IC1が一切の動作を停止する構成としても良い。
また、上記実施形態では、スイッチング素子のトランジスタQ1としてMOS型の電界効果トランジスタを用いた。しかし、スイッチング素子の構成は特に限定されない。
また、上記実施形態では、第1フォトカプラの発光ダイオードから発光強度信号をスイッチング制御部SCに出力したが、他の方法により調光部DMからスイッチング制御部SCに発光強度信号を出力しても良い。例えば、発光強度制御回路IC3から直接スイッチングパルス発生回路に発光強度信号を出力しても良い。
また、スイッチング電源部PSに印加される電圧を検出する電圧検出回路は抵抗に限らず他の構成であっても良く、電圧の検出状態を維持する電圧検出維持回路はコンデンサに限らず他の構成であっても良い。
また、上記実施形態では、照明用電源装置が調光部DMを有し、調光部DMは、設定信号が非入力となる場合に、第2所定時間経過後まで設定信号が非入力となる直前の発光強度信号を出力するものとした。しかし、本発明は調光部DMのこのような動作は必須では無く、また、調光部DMを有していなくても良い。