JP6099392B2 - 圧電式回転角センサの分極方法 - Google Patents

圧電式回転角センサの分極方法 Download PDF

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Description

本発明は、光偏向器における圧電式回転角センサの分極方法に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して製造する圧電駆動方式の光偏向器が知られている。例えば、特許文献1,2に示された光偏向器は、一定の方向から入射する光を反射するミラー部と、矩形枠からなる支持体と、ミラー部を所定軸線の回りに回動可能に支持体に結合する結合部と、ミラー部の回転角を検出する圧電式回転角センサと備える。
特許文献1の光偏向器では、圧電式回転角センサは、ミラー部の周縁部をスリットを介して包囲するように形成されるとともに、ミラー部と共に共通のトーションバーを介して支持体に結合している。
特許文献2の光偏向器では、ミラー部は、トーションバー及びカンチレバー型のアクチュエータを介して支持体に結合し、圧電式回転角センサは、該アクチュエータのトーションバー側の端部に配設されている。
上記の光偏向器において、圧電式回転角センサの出力を増大させるためには、圧電式回転角センサに用いられている強誘電体に対して分極処理を行って、該強誘電体の双極子モーメントの向きを揃えることが有効である。
特開2011−150055号公報 特開2010−197994号公報
そこで、光偏向器における圧電式回転角センサの強誘電体からなる圧電膜層に対して行う分極方法として、抗電界より大きい電界が圧電膜層に生じる一方向の直流電圧を、圧電膜層に数分間印加することが考えられる。
しかしながら、単純に一方向直流電圧を数分間印加するだけでは、圧電センサの出力増大量に限界があり、これをさらに増大させる技術が要望されるところである。
本発明の目的は、光偏向器における圧電式回転角センサの出力をさらに増大させる分極方法を提供することである。
本発明の圧電式回転角センサの分極方法は、
一定の方向から入射する光を反射するミラー部と、
支持体と、
前記ミラー部を所定軸線の回りに回動可能に前記支持体に結合し、前記ミラー部の回転角に応じて伸縮する伸縮面を有する結合部と、
前記ミラー部を前記所定軸線の回りに回動させる圧電アクチュエータと、
前記結合部の伸縮面に下から順番に積層される下部電極層、圧電膜層及び上部電極層を有し、前記伸縮面の伸縮量に応じた電圧を電極間電圧として出力する圧電式回転角センサとを備える光偏向器における前記圧電式回転角センサの分極方法であって、
前記圧電膜層の厚さ方向において前記下部電極層及び前記上部電極層へ向く電界の向きをそれぞれ正及び負の向きとしたときに、絶対値が前記圧電膜層の抗電界の絶対値より大きい正及び負の向きの電界が生じる分極処理電圧を両電極層の間にそれぞれ印加する正分極処理と負分極処理とを、正分極処理は少なくとも2回、負分極処理は少なくとも1回含むように、かつ正分極処理で終了するように、交互に実施することを特徴とする。
本発明によれば、上記構成の光偏向器において圧電式回転角センサの圧電層に対し、正分極処理は少なくとも2回、負分極処理は少なくとも1回含むように、正負の分極処理を交互に実施することにより、圧電式回転角センサの出力をさらに増大させることができる。
本発明によれば、分極処理を正分極処理で終了することにより、分極処理を負分極処理で終了するときよりも、圧電式回転角センサの出力を増大することができる。
この圧電式回転角センサの分極方法では、前記圧電アクチュエータは、前記結合部を構成するとともに、基板層上の圧電膜層及び上部電極層を分断する分断溝により、基端側のアクチュエータ部と先端側の非アクチュエータ部とに分断され、前記非アクチュエータ部における下部電極層、圧電膜層及び上部電極層は、前記圧電式回転角センサの下部電極層、圧電膜層及び上部電極層を構成し、前記非アクチュエータ部における前記基板層の、前記圧電式回転角センサ側の面は、前記伸縮面を構成することができる。
この分極方法によれば、基板層が、圧電アクチュエータにおいて分断溝の下側を経て基端側のアクチュエータ部と先端側の非アクチュエータ部とに共通に形成され、伸縮面は、非アクチュエータ部における基板層の、アクチュエータ部の下部電極層と同じ側の面とされるので、圧電式回転角センサは、アクチュエータ部における基板層の伸縮に対する追従性の高い伸縮面の伸縮を検出することになり、出力精度が向上する。
光スキャナの構成図。 センサ付き圧電アクチュエータ及びその近辺範囲の主要部の拡大図。 図2のIII−III矢視断面図。 図2のIV−IV矢視断面図。 図2のV−V矢視断面図。 圧電式回転角センサの構造と共に正分極及び負分極を説明する図。 圧電式回転角センサの圧電膜層の材料として選択されているPZTの電界強度−分極量のヒステリシス曲線を示す図。 圧電式回転角センサの圧電膜層の無分極状態におけるミラー部の振れ角と圧電式回転角センサの出力との関係を示す図。 圧電式回転角センサに対して正分極処理と負分極処理とを交互に繰り返して実施したときの圧電式回転角センサの出力電圧比の変化を調べた図。
図1を参照して、光偏向器1の構成について説明する。光偏向器1は、MEMS技術を利用して製造される。光偏向器1は、一定の方向から入射する光としてレーザ光源90からの入射光91に対して、反射角度を一定の周波数で増減させることにより走査光としての反射光92を出射する。
制御部95は、光偏向器1からセンサ領域7の検出信号を含む各種入力信号を受けて、入力信号に基づいて直線状の圧電アクチュエータ5,8を制御する。制御部95は、さらに、レーザ光源90のオンとオフ、及び場合によってはレーザ光源90の光量も制御し、これにより、走査光の配向パターンを調整することもできる。光偏向器1、レーザ光源90及び制御部95を含む部分は、光スキャナ96として、例えば、プロジェクタ、バーコードリーダ、レーザプリンタ、レーザヘッドランプ、又はヘッドアップディスプレイ等に装備される。
説明の便宜上、光偏向器1について、上下左右を定義する。光偏向器1の上下左右を、図1の光偏向器1の正面視における上下左右とする。なお、光偏向器1について説明の便宜上定義した上下左右は、光偏向器1の現実の使用における上下左右を規定するものではない。また、光偏向器1は、現実の使用において、垂直(鉛直)に立てて使用されることに限らず、水平面や垂直面に対し傾斜して使用されてもよい。
光偏向器1は、ミラー部2、2つのトーションバー3、矩形枠4、1つの圧電アクチュエータ5、及び3つの圧電アクチュエータ8を備え、円形のミラー部2は、光偏向器1の中心に配置され、レーザ光源90からの入射光91を表側(光偏向器1の正面側及び背面側をそれぞれ「表側」及び「裏側」と呼ぶことにする。)のミラー面に受け、トーションバー3の軸線の回りの回転角に応じた向きに反射光92を出射する。なお、トーションバー3の軸線は、ミラー部2の回転軸線でもある。2つのトーションバー3は、それらの軸線がミラー部2の同一の直径上に揃えられて、ミラー部2の左右両側から先端部をミラー部2の周縁に結合している。
ミラー部2の右側において、圧電アクチュエータ5,8は、右側のトーションバー3の基端部の上下にそれぞれ配設され、右側のトーションバー3の基端部に先端側を結合している。ミラー部2の左側において、2つの圧電アクチュエータ8は、左側のトーションバー3の基端部の上下にそれぞれ配設され、左側のトーションバー3の基端部に先端側を結合している。
圧電アクチュエータ5は、基端側のアクチュエータ部6aと先端側の非アクチュエータ部6bとを有する。圧電アクチュエータ5と圧電アクチュエータ8との構造上の相違点は、圧電アクチュエータ5は非アクチュエータ部6bを有するのに対し、圧電アクチュエータ8は、非アクチュエータ部6bは有さず、全体をアクチュエータ部としている点である。
圧電アクチュエータ5は、その先端側範囲を占める非アクチュエータ部6bの表側がセンサ領域7とされ、非アクチュエータ部6bでは、圧電アクチュエータとしての機能が喪失され、代わりに圧電センサとして機能することである。
矩形枠4は、ミラー部2、トーションバー3、圧電アクチュエータ5,8を外側から包囲する。圧電アクチュエータ5,8は、先端部においてトーションバー3の基端部に結合し、基端部において矩形枠4の上辺部分又は下辺部分に結合する。トーションバー3及び圧電アクチュエータ5,8は、ミラー部2を所定軸線の回りに回動可能に、支持体としての矩形枠4に結合する結合部に相当する。
図2〜図5を参照して、圧電アクチュエータ5の構造をその周辺部と共に説明する。説明の便宜上、圧電アクチュエータ5について長さ方向、幅方向及び厚さ方向を定義する。圧電アクチュエータ5の長さ方向は、圧電アクチュエータ5の先端側と基端側との間において圧電アクチュエータ5の中心線に沿う方向(図2において上下方向)とする。
圧電アクチュエータ5の厚さ方向は、光偏向器1を表側−裏側間を貫く方向(図2において紙面に対して直角方向)とする。圧電アクチュエータ5の幅方向は、長さ方向と厚さ方向との両方向に対して直角の方向(図2において左右方向)とする。圧電アクチュエータ5の厚さ方向は、光偏向器1をMEMS技術により製造したときの各層の積層方向に一致する。
ここで、圧電アクチュエータ5の長さ(先端−基端間の寸法)をLaと定義し、圧電アクチュエータ5の幅をWaと定義する。
図2において、非アクチュエータ部6bは、圧電アクチュエータ5の先端部を占める。非アクチュエータ部6bは、長さ方向において、圧電アクチュエータ5の先端と、該先端から基端の方へLa/3離れた位置との間にあって、長さをLa/3未満にされている。
説明の便宜上、圧電アクチュエータ5を幅方向に5等分割したときの各区分幅がWa/5である各区分に対し圧電アクチュエータ5の内側から順番に番号1〜5を付ける。素子部101〜103は、非アクチュエータ部6bにおいて番号1〜3の区分にそれぞれ配置される。導線部111〜113は、圧電アクチュエータ5におけるアクチュエータ部6aの表面において番号1〜3の区分に配線され、一端においてそれぞれ素子部101〜103に接続され、他端において圧電アクチュエータ5の基端に達し、さらに、矩形枠4又はその他の支持枠(図示せず)の対応電極パッド(図示せず)に接続されている。
なお、厳密には、Waは、圧電アクチュエータ5において圧電アクチュエータとして機能する部分の幅であり(後述の図4において基板層26の幅ではなく、下部電極層29〜上部電極層31の幅)、圧電アクチュエータ5の幅よりは少し狭くなる。
素子部101〜103のうち圧電式回転角センサとして選択されるのは素子部102となる。素子部102に対して両側の素子部101,103は、電磁シールドとして作用するグランド部とされる。なお、素子部102に代えて、素子部101を圧電式回転角センサとして選択することもできる。
素子部101又は102を圧電式回転角センサとして選択する理由は、発明者らの実験結果に基づく(詳細は、本出願人の特願2012−199364参照)。その実験によれば、番号1〜5の区画にセンサNo.1〜No.5をそれぞれ配設し、センサNo.1〜No.5の出力を疑似的に調べたところ、センサNo.3〜No.5の出力は、実際の共振周波数を再現できていないことが分かった。したがって、センサNo.1〜No.5の出力を合計すると、単純な圧電センサ出力は増大するが、センサNo.3〜No.5のように、実際の共振周波数を再現できていない出力成分を合計出力が含むことになるので、共振周波数のピーク位置にずれが生じることが分かった。したがって、素子部101又は102が圧電式回転角センサとして利用することが有利である。なお、素子部101及び102の出力の合計を圧電式回転角センサの出力として利用してもよい。
なお、素子部101〜103の長さを短縮するときには、素子部101〜103の一端の位置はトーションバー3との結合端の位置に固定し、他端の位置は長さに応じて可変とし、他端を一端の方へ近づけるようにして、長さを短縮させる。素子部101〜103の圧電センサは、他端側より、トーションバー3に近い一端側の方の部位ほど出力成分が大きいからである。
圧電アクチュエータ5の出力を確保するために、素子部101〜103の長さについて、圧電アクチュエータ5の長さのLa/3未満とするが、圧電式回転角センサの出力は、長さが短くなるほど、低下するので、許容値以上の最小出力を確保するために、素子部101〜103はLa/6(=La/(3×2))以上が好ましい。
図3は、図2のIII−III矢視断面図であり、圧電アクチュエータ5の機能層をそのまま残してセンサ領域7を形成したときの構造を示している。圧電アクチュエータ5は、圧電アクチュエータ8として製造された後、後述の図5の分断溝12の形成により基端側のアクチュエータ部6aと先端側の非アクチュエータ部6bとに区分される。非アクチュエータ部6bは、さらに、その後、エッチングされることにより、複数の素子部101〜103が幅方向に相互に分離されて形成される。
圧電アクチュエータ5は、後述の図5の分断溝12の形成前の構造として、下層から上層へ順番に、Si(ケイ素:40μm)の基板層26、SiO2(二酸化ケイ素:500nm)の熱酸化膜層27、Ti(チタン:50nm。Tiに代えてTiOxでも可)の下部電極密着層28、Pt(プラチナ:150nm)の下部電極層29、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:3μm)の圧電膜層30、Pt(プラチナ:150nm)の上部電極層31、Ti(チタン:50nm)の層間絶縁膜密着層32、SiO2(二酸化ケイ素:500nm)の層間絶縁膜層33を有する。なお、圧電膜層30の成膜の仕方として、例えばADPR(Arc Discharged Reactive Ion Plating)が採用される。下部電極密着層28及び上部層間絶縁膜密着層32は、Ptの層とSiO2の層との密着性を改善するために、両者の間に介在するものである。
素子部101〜103は、Al(アルミニウム:500nm)又はAu(金:500nm)から成り、層間絶縁膜層33に穿設されたコンタクトホールを介して、層間絶縁膜層33の下の上部電極層31に接触している。
素子部101〜103は、構造が同一であるが、素子部101,103は、導線部111,113を介してグランドに接続され、素子部102のみが導線部112を介して制御部95の入力端子へ接続される。この結果、素子部102のみが圧電式回転角センサとして機能する。
図4は、図2のIV−IV矢視断面図であり、導線部111〜113は、素子部101〜103と同様に、Al(アルミニウム:500nm)又はAu(金:500nm)から成り、層間絶縁膜層33の表面上に形成される。
図2のV−V矢視断面図としての図5において、破線Hはトーションバー3と圧電アクチュエータ5又は8との境界線を示している。分断溝12は、圧電アクチュエータ5の長さ方向所定位置において、幅方向に延在する。圧電アクチュエータ5の圧電膜層30、上部電極層31及び層間絶縁膜密着層32は、分断溝12によりアクチュエータ部6aと非アクチュエータ部6bとに分断される。
分断溝12には、その側壁及び底壁を這うように、Alの層が接続線として計3本形成されている。この3本の接続線は、非アクチュエータ部6bの素子部101〜103とアクチュエータ部6aの導線部111〜113とを相互に接続する。
次に、図6を参照して、圧電式回転角センサ50の構造及び分極処理について説明する。図6において、圧電式回転角センサ50は、圧電式回転角センサとして選択した素子部102を意味する。なお、前述したように、素子部102のみに代えて、素子部101のみ、又は素子部101,102の両方を圧電式回転角センサとして選択してもよいことになっている。その場合、図6の構造は、圧電式回転角センサとして選択された素子部101、又は素子部101,102を意味する。
前述の図3〜図5の熱酸化膜層27、下部電極密着層28及び層間絶縁膜密着層32は、圧電式回転角センサ50の機能において主要要素でないため、図6では、図示の簡略化上、省略している。実際の圧電式回転角センサ50には、熱酸化膜層27、下部電極密着層28及び層間絶縁膜密着層32も存在する。圧電式回転角センサ50の下部電極層29は、アクチュエータ部6aの下部電極層29でもあって、グランドに接続されているので、下部電極層29の電圧は0である。
圧電膜層30の分極処理では、上部電極層31に電圧が矩形枠4の表面側の電極パッド(図示せず)を介して印加される。なお、上部電極層31は、分極処理後は、圧電式回転角センサ50の出力部となり、ミラー部2の回転角度に応じた電圧が出力される。
図6(a)に示すように、圧電式回転角センサ50において、上部電極層31に正電圧が印加されたときは、圧電膜層30の各PZT分子51は、正極及び負極をそれぞれ下部電極層29側及び上部電極層31側へ向ける。図6(b)に示すように、圧電式回転角センサ50において、上部電極層31に負電圧が印加されたときは、圧電膜層30の各PZT分子51は、正極及び負極をそれぞれ上部電極層31側及び下部電極層29側へ向ける。
図6(a)のように、圧電膜層30における上部電極層31から下部電極層29への電界向きを正と定義し、図6(b)のように、圧電膜層30における下部電極層29から上部電極層31への電界の向きを負とする。さらに、図6(a)のように、圧電膜層30に正の電界を生じさせる分極処理を正分極処理と呼び、図6(b)のように、圧電膜層30に負の電界を生じさせる分極処理を負分極処理と呼ぶことにする。
上記構成の圧電式回転角センサ50の具体的な分極処理を説明する前に、圧電式回転角センサ50のセンサ機能について概略的に説明する。
光スキャナ96(図1)の作動中、圧電アクチュエータ5及び圧電アクチュエータ8は、上部電極層31に正側のみで(負側のみであっても可。ユニポーラ駆動)所定周波数で増減する三角波形、矩形波形又は正弦波形の分極処理電圧を印加される。これにより、圧電アクチュエータ5のアクチュエータ部6a及び圧電アクチュエータ8の全体において、圧電膜層30が圧電アクチュエータ5及び圧電アクチュエータ8をその長さ方向に縮小及び縮小解除されて、圧電アクチュエータ5及び圧電アクチュエータ8は、先端部をトーションバー3の軸線回りに該所定周波数で回動させる。
各トーションバー3は、基端部において、該基端部の両側に結合している圧電アクチュエータ5又は8から軸線回りに往復回動する駆動力を受けて往復回動し、これに伴い、ミラー部2はトーションバー3の軸線回りに該所定周波数で往復回動する。
一方、圧電アクチュエータ5の非アクチュエータ部6bにおいて、基板層26の下部電極層29側の面は、伸縮面として伸縮し(厳密にはユニポーラ駆動であるので、縮み量を0以上の範囲で増減し)、圧電式回転角センサ50の圧電膜層30は、これに伴い、圧電アクチュエータ5の長さ方向へ伸縮し、圧電式回転角センサ50の上部電極層31には、ミラー部2の回動角に応じた電圧が出力される。この電圧は、圧電式回転角センサ50の出力として制御部95へ送られる。
次に、図7を参照して、圧電膜層30の材料の抗電界について説明する。図7は該材料についての電界のヒステリシスを示している。図7において、横軸の電界強度の正負は、図6(a)及び(b)における電界の向きに一致させている。抗電界は、正側と負側とに1つずつ存在し、抗電界Ec,−Ecの絶対値は、共に5V/μmである。飽和分極量(=±約5μC/cm2)の絶対値は約40V/mである。
図8を参照して、圧電式回転角センサ50を、圧電膜層30の分極処理無しで使用したときのミラー部2の振動周波数とミラー部2の振れ角及び圧電式回転角センサ50の出力との関係について説明する。振れ角(=回動角)は、ミラー部2が真正面を向いたときを0°とし、真正面に対して一方及び他方の振れ角を正及び負とし、トーションバー3の軸線の回りのミラー部2の振れ角の絶対値で示している。
ミラー部2の振れ角は、ミラー部2、トーションバー3、圧電アクチュエータ5,8の質量と、トーションバー3、圧電アクチュエータ5,8の剛性等により決まる共振周波数(図8では、共振周波数=15.889kHz)で最大(図8では、最大振れ角=約5°)となり、共振周波数から離れるに連れて急速に減少する。圧電式回転角センサ50の出力は、ミラー部2の振れ角にほぼ比例し、ほぼミラー部2の共振周波数において最大(図8では、最大出力電圧=約125mV)になる。図8における縦軸で示している圧電式回転角センサ50の出力電圧は、各周波数における最大振れ角時の圧電式回転角センサ50の出力電圧であり、換言すると、各周波数における圧電式回転角センサ50の最大出力電圧となる。
圧電膜層30の分極処理がなされていないとき、図8示すように、圧電式回転角センサ50の出力電圧は低い。共振周波数から十分に離れた周波数における圧電式回転角センサ50の出力電圧をノイズ電圧とすると、図8では、ノイズ電圧=24mVであり、S/N比=125/24=5.2となる。
図9を参照して、光偏向器1における圧電式回転角センサ50の分極方法について、説明する。図9において、横軸は累積分極サイクル数、縦軸は、0.5刻みの累積分極サイクル数における圧電式回転角センサ50の出力電圧比(共振周波数時の出力電圧比)を示している。
各半サイクルは、正分極処理又は負分極処理(図6)の1回の実行に相当する。1サイクルは、正及び負の分極処理の順番は問わず、1回の正分極処理と1回の負分極処理との組の実行に相当する。圧電式回転角センサ50のサンプルに対して、正分極処理と負分極処理とを交互に実行していき、各半サイクルごとの圧電式回転角センサ50の出力電圧比を調べて、図9の対応位置にマークを付けて、”◆”のマーク同士及び”■”のマーク同士をそれぞれ順番に実線及び破線で結んだものが図9の各特性線となっている。
図9において、実線の特性は、”◆”のマーク同士を順番に結んであり、各サイクルにおいて最初の半サイクルでは正分極処理を実行し、後の半サイクルでは負分極処理を実行したときの実験結果を示している。破線は、”■”のマーク同士を順番に結んであり、各サイクルにおいて最初の半サイクルでは負分極処理を実行し、後の半サイクルでは正分極処理を実行したときの実験結果を示している。
図9において、実線及び破線の起点としての累積分極サイクル数=0では、”◆”のマークと”■”のマークとが重なっており、該起点は、圧電式回転角センサ50のサンプルに対して1回も分極処理を実施していない状態、すなわち圧電膜層30が図8の無分極状態にある時を意味する。図9において、縦軸を圧電式回転角センサ50の出力電圧でなく、出力電圧比により正規化した理由は、圧電式回転角センサ50の出力電圧は、圧電式回転角センサ50のサンプルごとにばらつきが比較的大きいのに対し、出力電圧比は、圧電式回転角センサ50のサンプルごとのばらつきが小さいので、分極方法の効果を一般的に示すことができるからである。
各分極処理は、発明者が手動で機器を操作して、圧電式回転角センサ50の上部電極層31に、正分極処理では正の電圧を、また、負分極処理では負の電圧を印加することにより実施した。印加電圧は、正及び負の分極処理において、それぞれ圧電膜層30に+及び−の抗電界Ecのほぼ1.7倍以上の電界がかかる電圧、換言すると、それぞれ符号が同一で絶対値が抗電界の絶対値|±Ec|のほぼ1.7倍以上である電界がかかる電圧とした。印加時間は、正分極処理及び負分極処理共に約3秒とした。
図9の実験グラフから次のことが判明した。
(a)少なくとも正分極処理、負分極処理、正分極処理を順番に実施する3つの半サイクルの連続を分極処理に含ませれば、累積サイクル数に関係なく、圧電式回転角センサ50の出力電圧比について、1回の負分極処理のみ、1回の正分極処理のみ、又は1サイクルの分極処理のみで終了したときの圧電式回転角センサ50の出力電圧比(=1)に対して増大が認められる。
(b)累積分極サイクル数=1より後の各サイクルでは、実線の実験結果と破線の実験結果のいずれも、圧電式回転角センサ50の出力電圧比は、正分極処理の終了時の方が負分極処理の終了時よりも高い。すなわち、実線の実験結果では、圧電式回転角センサ50の出力電圧比は、累積分極サイクル数=1.5の時の方が累積分極サイクル数=2の時よりも高い。また、破線の実験結果では、圧電式回転角センサ50の出力電圧比は、累積分極サイクル数=2の時の方が累積分極サイクル数=1.5の時よりも高い。
上記(a)及び(b)の知見に基づいて、光偏向器1の圧電式回転角センサ50の分極処理では、正分極処理から開始して、累積分極サイクル数=1.5となる分極処理を実施した。
これにより、ミラー部2の往復回動中における圧電アクチュエータ5の長さ方向伸縮量に対する圧電式回転角センサ50の出力電圧の変化は、すなわちミラー部2の回動角の変化に対する圧電式回転角センサ50の出力電圧の変化は、通常の分極処理による圧電式回転角センサ50よりも増大させることができる。したがって、ミラー部2の共振振動中の圧電式回転角センサ50の出力のS/N比も、通常の分極処理による圧電式回転角センサ50のものによりも増大させることができる。
なお、光偏向器1の圧電式回転角センサ50の分極処理において、負分極処理から開始して、累積分極サイクル数=2となる分極処理を実施したり、累積分極サイクル数=2.5以上でかつ累積分極サイクル数を正分極処理で終了したりしても、圧電式回転角センサ50の出力及びS/N比を、通常の分極処理による圧電式回転角センサ50のものによりも増大させることができる。
本発明を実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されることなく、種々に変形して実施可能である。
実施形態の光偏向器1では、ミラー部2は、1つの軸線の回りにしか回転しないので、圧電式回転角センサ50も1つしか装備されないが、ミラー部が相互に直角の2つの軸線の回りに回転可能に支持され、各軸線回りの回動角の検出ごとに、圧電式回転角センサが装備されるときは、本発明は、どの圧電式回転角センサの分極方法にも適用することができる。
実施形態では、圧電アクチュエータ5,8の上部電極層31にユニポーラの正の電圧を印加して、圧電アクチュエータ5,8を駆動することになっているが、上部電極層31にユニポーラの負の電圧を印加して、圧電アクチュエータ5,8を駆動することも可能である。その場合、圧電式回転角センサ50の上部電極層31には、負の電圧が出力される。
1・・・光偏向器、2・・・ミラー部、3・・・トーションバー(結合部)、4・・・矩形枠(支持体)、5・・・圧電アクチュエータ、8・・・圧電アクチュエータ、26・・・基板層、29・・・下部電極層、30・・・圧電膜層、31・・・上部電極層、50・・・圧電式回転角センサ。

Claims (2)

  1. 一定の方向から入射する光を反射するミラー部と、
    支持体と、
    前記ミラー部を所定軸線の回りに回動可能に前記支持体に結合し、前記ミラー部の回転角に応じて伸縮する伸縮面を有する結合部と、
    前記ミラー部を前記所定軸線の回りに回動させる圧電アクチュエータと、
    前記結合部の伸縮面に下から順番に積層される下部電極層、圧電膜層及び上部電極層を有し、前記伸縮面の伸縮量に応じた電圧を電極間電圧として出力する圧電式回転角センサとを備える光偏向器における前記圧電式回転角センサの分極方法であって、
    前記圧電膜層の厚さ方向において前記下部電極層及び前記上部電極層へ向く電界の向きをそれぞれ正及び負の向きとしたときに、絶対値が前記圧電膜層の抗電界の絶対値より大きい正及び負の向きの電界が生じる分極処理電圧を両電極層の間にそれぞれ印加する正分極処理と負分極処理とを、正分極処理は少なくとも2回、負分極処理は少なくとも1回含むように、かつ正分極処理で終了するように、交互に実施することを特徴とする圧電式回転角センサの分極方法。
  2. 請求項1記載の圧電式回転角センサの分極方法において、
    前記圧電アクチュエータは、前記結合部を構成するとともに、基板層上の圧電膜層及び上部電極層を分断する分断溝により、基端側のアクチュエータ部と先端側の非アクチュエータ部とに分断され、
    前記非アクチュエータ部における下部電極層、圧電膜層及び上部電極層は、前記圧電式回転角センサの下部電極層、圧電膜層及び上部電極層を構成し、
    前記非アクチュエータ部における前記基板層の、前記圧電式回転角センサ側の面は、前記伸縮面を構成することを特徴とする圧電式回転角センサの分極方法。
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