JP6098617B2 - ロータリピストンエンジン - Google Patents

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Description

ここに開示する技術は、ロータリピストンエンジンに関する。
特許文献1には、車両搭載用ロータリピストンエンジンが記載されている。このロータリピストンエンジンは、出力軸が車両前後方向となる向きで、車両に搭載されている。また、ロータリピストンエンジン内部のロータ収容室を区画形成するサイドハウジング及びインターミディエイトハウジングには吸気ポート及び排気ポートが設けられており、車両の前側の位置から当該出力軸に沿う方向にロータリピストンエンジンを見たときに、サイドハウジング及びインターミディエイトハウジングの側面に設けられた吸気ポートの開口部は、繭のような略楕円形状をしたロータ収容室の長軸を挟んだ車幅方向右側でかつ短軸よりも上側の位置(言い換えると、出力軸よりも上側の位置)に、同じくサイドハウジング及びインターミディエイトハウジングに設けられた排気ポートの開口部は、長軸を挟んだ車幅方向右側でかつ短軸よりも下側の位置(言い換えると、出力軸よりも下側の位置)に、それぞれ位置している。
特許文献1にはまた、ロータに設けられたガスシール部に潤滑用のオイルを供給するオイル供給機構が記載されている。オイル供給機構は、計量したオイルを送り出すメタリングオイルポンプと、ロータハウジングのトロコイド内周面にオイルを供給するノズルとを含んで構成されている。ノズルは、ロータ幅方向の中央部に取り付けられかつ、トロコイド内周面の幅方向の略中央に設けられた供給口を通じて、主として、ロータのアペックスシールにオイルを供給するセンタノズルと、ロータ幅方向の両側部それぞれに取り付けられかつ、トロコイド内周面の幅方向の両側部それぞれに設けられた供給口を通じて、主として、ロータのサイドシールやコーナーシールにオイルを供給する2つのサイドノズルとを含んでいる。オイルの供給口は、圧力が低い作動室において、ロータ収容室内にオイルを供給するよう、吸気ポートの開口部の近傍に設けられている。より詳細には、サイドノズルにつながる供給口及びセンタノズルにつながる供給口は全て、サイドハウジング及びインターミディエイトハウジングに設けた吸気ポートの開口部に対し、ロータ回転方向の進み側にずれて設けられ、また、サイドノズルにつながる供給口は、センタノズルにつながる供給口よりも、ロータ回転方向の進み側に、さらにずれて設けられている。供給口は、開口部よりも高い位置に位置しているが、その供給口の位置を、開口部に対し、ロータ回転方向にずらして配置することにより、供給口を通じてロータ収容室内に供給したオイルが、開口部を通じて吸気ポートに流れ込むことが抑制される。
尚、各供給口につながるセンタノズル及びサイドノズルは、ロータハウジング上部の車幅方向右側の位置において、トロコイド内周面のほぼ法線方向となるようにロータハウジングに取り付けられており、これにより、センタノズル及びサイドノズルはそれぞれ、ロータハウジングの外周面から斜め上方に突出するように配設される。
特許第4811262号公報
ところで近年は、狭小なエンジンルーム内で、効率的にエンジンを搭載することが要求されている。また、ロータリピストンエンジンの性能向上も、同時に求められている。
そこで、ロータリピストンエンジンを、特許文献1に記載されているような車両搭載状態から、出力軸に対して180°回転させることにより、吸気ポートの開口部が、出力軸よりも下側となりかつ、排気ポートの開口部が、出力軸よりも上側となるようにすることが考えられる。吸気ポートの開口部を下側にすることで、吸気ポートに接続される吸気通路は、ロータリピストンエンジンの側方位置を上から下に延びて配設された後、その吸気ポートに接続されるようになり、吸気通路の長さが比較的長くなる。その結果、慣性効果による動的過給効果を得る上で有利になる。一方で、排気ポートに接続される排気通路は、ロータリピストンエンジンの上方位置に配設され、排気通路の長さが比較的短くなり、排気通路における通路抵抗が低下する。こうして、ロータリピストンエンジンの性能向上が図られる。また、吸気通路には大型のデバイスが介設しないため、吸気通路をロータリピストンエンジンの側方位置に配設しても、ロータリピストンエンジン全体のコンパクト化を図ることができ、狭小なエンジンルーム内での搭載性が向上する。
吸気ポートの開口部を、出力軸よりも下側に位置させることに伴い、前述したオイルの供給口もまた、ロータハウジングの下部において、吸気ポートの開口部の近傍に設けることになる。従って、ロータハウジングの下部に設けた各供給口につながるノズルは、ロータハウジング下部の、長軸を挟んだ車幅方向左側の位置において、斜め下方向に延びて配設されることになる。しかしながら、エンジンの下部にはオイルパンが取り付けられることから、ロータハウジング下部に、斜め方向に延びるノズルを取り付けようとしても、オイルパンとの干渉により、その取り付けが困難になってしまうことが、本願発明者らの検討から明らかになった。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロータリピストンエンジンの搭載性の向上及び性能の向上を図りつつ、ロータのガスシール部にオイルを供給するオイル供給機構を構成することにある。
前記の目的に鑑みて、本願発明者らは、次のような検討を行った。図7(a)は、特許文献1に記載されているロータリピストンエンジンと実質的に同じ、従来構成のロータリピストンエンジン101を示している。このロータリピストンエンジン101は、吸気ポートの開口部110が、出力軸Xよりも上側でかつ、排気ポートの開口部100は、出力軸Xよりも下側である。従って、吸気ポートの開口部110の近傍に設けられるオイルの供給口73、74は、ロータハウジング上部における、長軸Yを挟んだ車幅方向右側(つまり、紙面左側)の位置に設けられる。センタノズル71及びサイドノズル72はそれぞれ、そのロータハウジング上部の車幅方向右側の位置において、ロータハウジング3の外周面から斜め上方に突出するように配設される。前述したように、オイルの供給口73、74は、吸気ポートの開口部110に対して、ロータ2の回転方向(つまり、紙面時計回り方向)の進み側にずれて配置されるため、供給口73、74につながるセンタノズル71及びサイドノズル72は、その分、長軸Yに近づく(つまり、ロータハウジング3の上端部に近づく)ことになる。
図7(b)は、ロータリピストンエンジンの搭載性の向上及び性能の向上を図るために、図7(a)に示すロータリピストンエンジン101を出力軸Xに対して180°回転させた状態を示している。このロータリピストンエンジン102では、吸気ポートの開口部110が出力軸Xよりも下側になり、排気ポートの開口部100が出力軸Xよりも上側になる。これに伴い、オイルの供給口73、74は、ロータハウジング下部における、長軸Yを挟んだ車幅方向左側(つまり、紙面右側)の位置に設けられ、センタノズル71及びサイドノズル72はそれぞれ、そのロータハウジング下部の車幅方向左側の位置において、ロータハウジング3に対して、斜め下方に延びるように配設される。
前述したように、オイルの供給口73、74を、吸気ポートの開口部110に対して、ロータ回転方向の進み側にずれて配置することに伴い、センタノズル71及びサイドノズル72は、長軸Yの方に近づく(つまり、ロータハウジング3の下端部に近づく)ことになる。図7(b)に示すように、トロコイド内周面3aのほぼ法線方向となるように、センタノズル71及びサイドノズル72をロータハウジング3に取り付けようとしても、オイルパン84との干渉により、その取り付けが困難になってしまう。
図7(c)は、ロータハウジング3のトロコイド内周面3aに開口するオイルの供給口73、74の位置を、図7(b)と同じ位置にしつつ、センタノズル71及びサイドノズル72の取り付け形態を、図7(b)とは異ならせた構成を示している。つまり、オイルの供給口73、74は、吸気ポートの開口部110に対して、ロータ回転方向の進み側にずれて設ける一方で、供給口73、74につながるセンタノズル71及びサイドノズル72は、トロコイド内周面3aの法線方向に対して傾くようにして、ロータハウジング3の側面から内方に差し込むように配設する。こうすることで、オイルパン84との干渉が回避されるから、ロータハウジング下部に対して、センタノズル71及びサイドノズル72を取り付けることが可能になる。
しかしながら、この構成では、センタノズル71及びサイドノズル72を、その先端部がトロコイド内周面3aの近傍となるまで、ロータハウジング3に対し深く差し込むことができなくなる。なぜなら、トロコイド内周面3aの法線方向に対して傾いたセンタノズル71及びサイドノズル72を、ロータハウジング3に対して深く差し込もうとすると、ロータハウジング3に設ける取付孔が大きくなってしまうためである。ロータハウジング3には、図7では図示を省略するが、このロータハウジング3と、サイドハウジング及びインターミディエイトハウジングとを相互に結合するための通しボルトが挿通するボルト孔や、冷却水通路が設けられているが、大きな取付孔は、これらのボルト孔や冷却水通路との干渉を招く。従って、図7(c)に示すように、センタノズル71及びサイドノズル72は、その先端部がロータハウジング3の外周面の近傍に位置する程度にしか、ロータハウジング3に差し込むことができない。そのため、オイルの供給口73、74とノズル71、72の先端部とを接続する接続路75、76を、ロータハウジング3の内部に別途設けなければならない。しかしながら、こうした接続路75、76は、ロータ収容室31内へのオイルの供給を不安定にする。つまり、接続路75、76内にはオイルが充填され、ノズル71、72がオイルを吐出することに伴い、接続路75、76内のオイルの圧力を高めて、その先端開口からオイルがロータ収容室31内に供給されることになる。ここで、オイルが充填された接続路75、76内にエアが混入していると、ノズル71、72がオイルを吐出しても、供給口73、74からロータ収容室31内にオイルが供給されない場合がある。また、作動室8内の圧力が変動する結果、接続路75、76に充填しているオイルの一部が供給口73、74を通じてロータ収容室31内に吐き出される場合があり、この場合、次にノズル71、72がオイルを吐出しても、供給口73、74からロータ収容室31内にオイルが供給されない場合がある。オイル供給機構は、エンジンの運転状態に対応した量のオイルがロータ収容室31内に供給されるよう、メタリングオイルポンプによって計量したオイルの吐出回数を、エンジンの運転状態に応じて制御しており、ノズル71、72がオイルを吐出しても、供給口73、74からロータ収容室31内にオイルが供給されない事態は、ガスシール部の潤滑不良を招く虞がある。
以上のような検討を踏まえ、ここに開示する技術は、吸気ポートの開口部を出力軸よりも下側に配置した構成のロータリピストンエンジンでは、開口部に対する、オイルの供給口の位置をロータ回転方向にずらさなくても、供給口からロータ収容室内に供給したオイルが、開口部を通じて吸気ポートに流れ込むことを抑制することが可能である点に着目して、完成に至ったものである。
具体的に、ここに開示する技術は、ロータリピストンエンジンに係り、このロータリピストンエンジンは、水平方向に延びる出力軸に対して遊星回転するロータと、前記ロータが摺接するトロコイド内周面を有する繭型のロータハウジングと、前記ロータハウジングに対し前記出力軸の方向の両側に隣接して配設されかつ、前記出力軸の方向に延びる通しボルトによって互いに結合されることにより、前記ロータハウジングと共に、前記ロータを収容するロータ収容室を区画するサイドハウジングと、前記ロータハウジングの前記トロコイド内周面に開口した供給口を通じて、前記ロータのガスシール部を潤滑するためのオイルを、前記ロータ収容室内に供給するノズルと、を備える。
そして、前記ロータ収容室の長軸が上下方向となるように配置された前記サイドハウジングの側面には、前記出力軸よりも下側でかつ、前記長軸を挟んだ一側の所定位置に、吸気ポートの開口部が設けられ、前記供給口は、前記トロコイド内周面における前記出力軸よりも下側でかつ、前記長軸を挟んだ一側において、前記吸気ポートの前記開口部に対し、前記ロータの回転方向に重なる位置に設けられ、前記ノズルは、前記ロータハウジングの下部の一側から前記トロコイド内周面に向かって斜め上向きに、前記ロータハウジングに対し挿入されると共に、前記ノズルの先端は、前記通しボルトよりも内方に位置している。
前述したように、この構成のロータリピストンエンジンは、従来構成のロータリピストンエンジンに対して、出力軸に対して180°回転させている。これにより、ロータリピストンエンジンの性能向上と共に、エンジンルームへの搭載性が向上する。
吸気ポートの開口部は、出力軸よりも下側に位置しており、ロータハウジングのトロコイド内周面に設けたオイルの供給口も、ロータハウジングの下部に設けられる。これにより、圧力の低い作動室内に潤滑用オイルを供給することが可能になる。供給口は、吸気ポートの開口部に対して、ロータの回転方向に重なる位置に設けられる。ここで、供給口を、ロータの回転方向に重なる位置に設けるとは、出力軸の一方の側から出力軸に沿う方向にロータリピストンエンジンを見たときに、ロータの回転方向に広がる吸気ポートの開口部において、ロータの回転方向の遅れ側の縁部から進み側の縁部までの範囲内に、供給口の中心軸が位置している、と定義することができる。出力軸よりも下側において、吸気ポートの開口部に対しロータの回転方向に重なる位置に供給口を設けることにより、その供給口の高さ位置は、吸気ポートの開口部よりも低い位置か又は同程度の高さになる。従って、供給口を通じてロータ収容室内に供給したオイルが、開口部を通じて吸気ポート内に流れ込むことが防止される。
また、オイルの供給口を、吸気ポートの開口部に対し、ロータ回転方向の進み側にずれて設けるのではなく、ロータ回転方向に重なる位置に設けることに伴い、オイルの供給口は、長軸よりも短軸に近い位置となるから、この供給口につながるノズルを、オイルパンとの干渉を回避しつつ、トロコイド内周面のほぼ法線方向に延びるように配置して、ノズルの先端が、通しボルトよりも内方となるように、ロータハウジングに深く差し込むことが可能になる。これにより、オイルの供給口とノズルの先端とを接続する接続路が不要になるから、ロータ収容室内へのオイルの供給が安定化する。
前記吸気ポートは、前記サイドハウジング内を斜め下向きに延びた後、前記開口部に至り、前記供給口は、前記吸気ポートの通路中心よりも下側に設けられている、としてもよい。
この構成によると、ロータ収容室内に導入される吸気は、斜め下向きに延びる吸気ポート内を流れた後、開口部を通じてロータ収容室内に、斜め下向きに流入する。ロータ収容室内で回転するロータも、出力軸よりも下側である吸気ポートの開口部付近では、斜め下向きに移動をする。したがって、この構成は、吸気を、ロータの回転に沿うように、ロータ収容室内にスムースに流入させることが可能になる。
そして、この構成において、オイルの供給口を、吸気ポートの通路中心よりも下方に配置することにより、ロータ収容室内に供給したオイルが、開口部を通じて吸気ポート内に流れ込むことが確実に回避される。
前記ノズルは、前記ロータハウジングの幅方向の中央部に配設されたセンタノズルであり、前記ロータリピストンエンジンは、前記ロータハウジングの幅方向の両側部それぞれに配設されかつ、前記サイドハウジングの方に向かって開口する供給口を通じて、前記オイルを供給するサイドノズルをさらに備え、前記サイドノズルは、前記センタノズルに対し、前記ロータの回転方向の進み側に配置されている、としてもよい。
ロータハウジングの幅方向の中央部に配設したセンタノズルは主に、ロータの頂部に設けられたアペックスシールの潤滑を行い、幅方向の両側部それぞれに配設したサイドノズルは主に、ロータの側面に設けられたサイドシールやコーナーシールの潤滑を行う。これらのセンタノズル及びサイドノズルを、ロータ回転方向にずらして配設することで、ロータハウジングに対する、各ノズルのレイアウトがし易くなる。
前記サイドノズルにつながる前記供給口の中心軸は、前記吸気ポートの前記開口部に対し、前記ロータの回転方向の進み側にずれている、としてもよい。
サイドノズルは、サイドハウジングの方に向かってオイルを吐出するため、サイドノズルから吐出したオイルは、ロータハウジングの幅方向の中央部に設けたセンタノズルから吐出したオイルよりも、サイドハウジングの側面に設けた吸気ポートの開口部に流れ込みやすい。しかしながら、サイドノズルの供給口は、吸気ポートの開口部に対して、ロータの回転方向にずれているため、オイルの流れ込みが防止される。
以上説明したように、前記のロータリピストンエンジンは、従来構成のロータリピストンエンジンに対し、出力軸に対して180°回転させることで、ロータリピストンエンジンの性能向上と共に、エンジンルームへの搭載性を向上することができ、さらに、オイルの供給口を、吸気ポートの開口部に対して、ロータの回転方向に重なる位置に設けると共に、ノズルを、ロータハウジングの下部の一側から、トロコイド内周面に向かって斜め上向きに挿入しかつ、その先端は、ロータハウジングの結合用の通しボルトよりも内方に位置させることで、供給したオイルが開口部を通じて吸気ポート内に流れ込むことを防止しながら、ロータハウジングに対するノズルの取り付けを可能にし、さらに、ロータ収容室内へのオイルの供給を安定化することが可能になる。
車両に搭載されたロータリピストンエンジンを示す平面図である。 車両に搭載されたロータリピストンエンジンを示す側面図である。 車両に搭載されたロータリピストンエンジンを示す背面図である。 ロータリピストンエンジンの内部構造を示す断面図である。 ロータリピストンエンジンの吸気ポートの開口部付近を拡大して示す説明図である。 ロータリピストンエンジンのノズルの取り付け部分付近を拡大して示す側面図である。 (a)従来構成のロータリピストンエンジンのオイル供給口の配置及びノズルの取り付け構造を例示する図、(b)従来構成のロータリピストンエンジンを出力軸に対して180°回転させた構成において、オイル供給口の配置及びノズルの取り付け構造を示す図、(c)従来構成のロータリピストンエンジンを出力軸に対して180°回転させた構成において、ノズルの取り付け構造を、(b)とは変更した構成を示す図である。
以下、図面を参照しながらロータリピストンエンジンを説明する。尚、以下の説明は、例示である。図1〜3は、車両に搭載されたロータリピストンエンジン1(以下、単にエンジン1ともいう)を示している。この内、図1は、エンジンルーム90内のエンジン1を上から見た平面図であり、図1の紙面左側が車両前後方向の前側であり、紙面右側が車両前後方向の後側であり、紙面上側が車幅方向の右側であり、紙面下側が車幅方向の左側である。図2は、エンジンルーム90内のエンジン1を車幅方向の左から右に向かう方向に見た側面図であり、図2の紙面左側が車両前後方向の前側であり、紙面右側が車両前後方向の後側であり、紙面上側が上下方向の上側であり、紙面下側が上下方向の下側である。図3は、エンジンルーム90内のエンジン1を車両前後方向の後ろから前に向かう方向に見た背面図であり、図3の紙面左側が車幅方向の左側であり、紙面右側が車幅方向の右側であり、紙面上側が上下方向の上側であり、紙面下側が上下方向の下側である。
エンジン1は、出力軸Xが車体前後方向となる向きでエンジンルーム90内に配設されている。エンジンルーム90と車室91との間に介在するダッシュパネル92には、車幅方向中央部に、車両前後方向の前側から後方に向かって凹陥すると共に、フロアトンネル94につながる凹陥部93が形成されている。エンジン1の後端部は、この凹陥部93の内部に位置するように配設されている。これにより、エンジン1は、エンジンルーム90内で可能な限り後方に配置されていると共に、エンジン1の重心位置が可能な限り低くなるように配置されている。これは、車両の前後重量配分を50:50にしかつ、車両を低重心化する上で有利になる。
このエンジン1は、詳細な図示は省略するが、2つのロータ2(図4参照)を備えた2ロータタイプであり、図1、2に示すように、前側及び後側の2つのロータハウジング3、3が、インターミディエイトハウジング(つまり、サイドハウジング)4をその間に挟んだ状態で、これらの両側からさらに2つのサイドハウジング5、5で挟み込むようにして一体化されることによって構成されている。ロータハウジング3、インターミディエイトハウジング4、及びサイドハウジング5は、出力軸Xの方向に延びる通しボルト14(図5参照)によって、互いに結合される。エンジン1の下部には、オイルパン84が取り付けられている(図4参照)。
図4に示すように、ロータハウジング3の、平行トロコイド曲線で描かれるトロコイド内周面3aと、これらロータハウジング3を両側から挟むサイドハウジング5の内側面と、インターミディエイトハウジング4の両側の内側面4aとによって、回転軸Xの一方側から回転軸Xに沿う方向にロータリピストンエンジン1を見たときに、繭のような略楕円形状をしたロータ収容室31が、車両前後方向の前側及び後側の2つ横並びに区画されており、これらロータ収容室31にロータ2が1つずつ収容されている。各ロータ収容室31は、インターミディエイトハウジング4に対して対称に配置されており、ロータ2の位置及び位相が異なっている点を除けば構成は同じであるため、以下、1つのロータ収容室31について説明する。
ロータ2は、回転軸Xの方向から見て各辺の中央部が膨出する略三角形状をしたブロック体からなり、その外周に、各頂部間に3つの略長方形をしたフランク面2a、2a、2aを備えている。
ロータ2は、各頂部に、ロータ幅方向(図4の紙面に直交する方向)の全域に亘って延びるアペックスシール21を有し、これらアペックスシール21がロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接している。ロータ2の両側面には、頂部同士を互いにつなぐように、弓状のサイドシール22が配設されると共に、両サイドシール22が接合する部位には、略円筒状のコーナーシール23が配設されている。これらのシール21〜23を構成するシール部材は、詳細な図示は省略するが、ロータ2に設けた溝内に嵌め込まれると共に、ばね部材によって外方へ付勢されている。
ロータハウジング3のトロコイド内周面3aと、インターミディエイトハウジング4の内側面4aと、サイドハウジング5の内側面と、ロータ2のフランク面2aとで、ロータ収容室31の内部に、3つの作動室8、8、8がそれぞれ区画形成されている。このエンジン1は、車両前後方向の前側に第1〜第3の3つの作動室8と、後側に第4〜第6の3つの作動室8の、合計6個の作動室を有している。各作動室8は、前述した各シール21〜23によって、高圧のガスが作動室8から吹き抜けることが阻止されている。
ロータ2の内側には位相ギアが設けられている(図示せず)。すなわち、ロータ2の内側の内歯車(ロータギア)とサイドハウジング5側の外歯車(固定ギア)とが噛合するとともに、ロータ2は、インターミディエイトハウジング4及びサイドハウジング5を貫通しかつ、出力軸Xを構成するエキセントリックシャフト6に対して、遊星回転運動をするように支持されている。尚、符号24は、ロータ2の側面に設けられたオイルシールであり、余分な潤滑オイルが作動室8内に流入することを防止する。
ロータ2の回転運動は内歯車と外歯車との噛み合いによって規定され、ロータ2は、3つのシール部が各々ロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しつつ、エキセントリックシャフト6の偏心輪(偏心軸)6aの周りを自転しながら、回転軸Xの周りに自転と同方向に公転する(この自転及び公転を含め、広い意味で単にロータの回転という)。そして、ロータ2が1回転する間に3つの作動室8、8、8が周方向に移動し、それぞれで吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程が行われて、これにより発生する回転力がロータ2を介してエキセントリックシャフト6から出力される。
より具体的に、図4において、ロータ2は矢印で示すように、時計回りに回転し、回転軸Xを通るロータ収容室31の長軸Yを境に分けられるロータ収容室31の右側が概ね吸気及び排気行程の領域となり、左側が概ね圧縮及び膨張行程の領域となっている。
これに対し、従来構成のロータリピストンエンジンは、回転軸Xを通るロータ収容室31の長軸Yを境に分けられるロータ収容室31の左側が概ね吸気及び排気行程の領域となり、右側が概ね圧縮及び膨張行程の領域となっている。つまり、本構成のロータリピストンエンジンは、従来構成のロータリピストンエンジンを、回転軸Xを中心として180°回転させたような状態で車両に搭載している。
図4における右下の作動室8に着目すると、これは吸気と噴射された燃料とによって混合気を形成する吸気行程を示しており(以下、この状態にある作動室を吸気作動室8ともいう)、この作動室8がロータ2の回転につれて圧縮行程に移行すると、その内部にて混合気が圧縮される(図示は省略するが、以下、この状態にある作動室を圧縮作動室8ともいう)。その後、図2の左側に示す作動室8のように圧縮行程の終盤から膨張行程にかけて所定のタイミングにて点火プラグ82、83により点火されて、燃焼・膨張行程が行われる(以下、この状態にある作動室を圧縮・膨張作動室8ともいう)。そして、最後に図2の右上の作動室8のような排気行程に至ると(以下、この状態にある作動室を排気作動室8ともいう)、燃焼ガスが排気ポート10から排気された後、再び吸気行程に戻って各行程が繰り返されるようになっている。
吸気作動室8には、吸気ポート11が連通している。吸気ポート11の開口部110は、回転軸Xを通るロータ収容室31の短軸Zよりも下側、言い換えるとエンジン1における下部側でかつ、長軸Yを挟んだ車幅方向左側(図4の紙面右側)の位置に設けられている。吸気ポート11の開口部110は、より詳細には、吸気作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aに、ロータ収容室31の外周側の短軸Z寄りに設けられている。吸気ポート11は、インターミディエイトハウジング4内を、開口部110から斜め上方に若干傾くように延びており、エンジン1の側面に開口する。また、図示は省略するが、吸気作動室8に面するサイドハウジング5の内側面にも、吸気ポート11の開口部110に対向するように、別の吸気ポートの開口部が設けられており、この吸気ポートも、サイドハウジング5内を斜め上方に若干傾くように延びて、エンジン1の側面に開口する。図4における矢印は、吸気ポート11の通路中心に相当し、この矢印はまた、吸気ポート11から、その開口部110を通じて吸気作動室8内に流入する吸気の方向を示している。吸気ポート11が、開口部110に向かって斜め下向きに設けられていることに伴い、吸気作動室8に流入する吸気もまた、斜め下向きに流れるようになる。これは、吸気ポート11の開口部110付近においては、斜め下向きに移動するロータ2の方向と一致し、吸気作動室8内に、吸気がスムースに流入する。
排気作動室8には、排気ポート10が連通している。すなわち、排気ポート10の開口部100は、回転軸Xを通るロータ収容室31の短軸Zよりも上側、言い換えるとエンジン1における上部側の位置に設けられている。排気ポート10の開口部100は、より詳細には、排気作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aに、ロータ収容室31の外周側の短軸Z寄りで設けられていると共に、排気ポート10は、インターミディエイトハウジング4内を、斜め上方に向かって延びて、エンジン1の上面と側面との角部付近に開口する。また、図示は省略するが、排気作動室8に面するサイドハウジング5の内側面にも、前記排気ポート10の開口部100に対向して別の排気ポートの開口部が設けられている。この排気ポートも、サイドハウジング5内を、斜め上方に向かって延びて、エンジン1の上面と側面との角部付近に開口する。このエンジン1では、いわゆるサイド排気方式が採用されており、この排気ポート10の開口部の位置及び形状は、吸気のオープンタイミングと排気のオープンタイミングとがオーバーラップしないように設定されている。これによって、次行程に持ち込まれる残留排ガスを低減している。
このように、このロータリピストンエンジン1では、従来構成とは異なり、出力軸Xの一方側の位置から当該出力軸Xに沿う方向にエンジン1を見たときに、吸気ポート11の開口部110を、エンジン1における下部側の位置に設け、排気ポート10の開口部100を、エンジン1における上部側の位置に設けている。
作動室8内に燃料を供給するためのインジェクタ81は、インターミディエイトハウジング4に取り付けられており、このインターミディエイトハウジング4に設けた吸気ポート11内に燃料を噴射する。インジェクタ81は、図4に示すように、軸が斜め下向きとなるように傾いて、インターミディエイトハウジング4の側面から吸気ポート11に向かって延びて配設されており、その先端は、吸気ポート11内に臨んでいる。これにより、インジェクタ81は、吸気の流れ方向に沿うように燃料を吸気ポート11内に噴射する。噴射された燃料は吸気ポート11内を流れる吸気と混合しながら、吸気ポート11の開口部110を通じて吸気作動室8内に導入される。
ロータハウジング3の側部における、短軸Zを挟んだロータ回転方向のトレーリング側(遅れ側)位置と、リーディング側(進み側)位置とにはそれぞれ、T側点火プラグ82とL側点火プラグ83とが取り付けられている。これら2つの点火プラグ82、83は、圧縮・膨張作動室8に臨んでおり、この圧縮・膨張作動室8内の混合気に、同時に点火、又は位相差を持って順に点火をする。このように2つの点火プラグ82、83を備えることによって、扁平形状となる圧縮・膨張作動室8において、その燃焼速度を高めるようにしている。
前述したように、このロータリピストンエンジン1では、吸気ポート11が、エンジン1における下部側に設けられている。この吸気ポート11に連通しかつ、吸気通路の一部を構成する吸気マニホールド12は、エンジン1の側方位置で、上から下に延びて設けられている。
吸気マニホールド12は、共通通路121と、この共通通路121に連続する第1〜第4の4つの独立通路122とを含んで構成されている。共通通路121は、図2、3に示すように、エンジン1の側方の上部に配設されている。共通通路121は、その中間部が屈曲しており、共通通路121の上流端部は、車両前後方向の前方を向いて配設されて、エンジン1の側方上部の前側の位置においてスロットルボディ123が取り付けられると共に、下流端部は、エンジン1の側方上部の前後方向の中央部付近(つまり、インターミディエイトハウジング4の付近)において下方を向くように配設されている。
4つの独立通路122は共に、その上流端部が共通通路121の下向きの下流端に接続されて下方に向かって延びると共に、4つの独立通路122はそれぞれ、車両前後方向に対称な形状となるように配設されている(図2参照)。そうして、第1の独立通路122は、前側のサイドハウジング5に設けた吸気ポートに接続され、第2の独立通路122は、インターミディエイトハウジング4に設けた吸気ポート11(正確には、前側のロータ収容室31に開口する吸気ポート11)に接続され、第3の独立通路122は、インターミディエイトハウジング4に設けた吸気ポート11(正確には、後側のロータ収容室31に開口する吸気ポート11)に接続され、第4の独立通路122は、後側のサイドハウジング5に設けた吸気ポートに接続される。
車両前後方向に一列に並んだ4つの独立通路122の下流端部には、これら4つの独立通路に共通のフランジ124が車両前後方向に延びて設けられており、このフランジ124がエンジン1の側面下部に固定されることに伴い、各独立通路122が各吸気ポート11に接続されるようになっている(図4も参照)。
また、このロータリピストンエンジン1では、排気ポート10が、エンジン1における上部側に設けられている。この排気ポート10に連通しかつ、排気通路の一部を構成する排気マニホールド13は、エンジン1の上面と側面との角部付近に取り付けられている。排気マニホールド13は、2つのサイドハウジング5のそれぞれに設けられた排気ポートと、インターミディエイトハウジング4に設けられた2つの排気ポート10のそれぞれとに接続される合計4つの独立通路132と、これら4つの独立通路132が連通する集合通路131とを有して構成されている。4つの独立通路132の内、インターミディエイトハウジング4の排気ポート10に連通する2つの独立通路132は、外観上、一体化している。排気マニホールド13の独立通路132の下流端部にも、共通のフランジ133が車両前後方向に延びて設けられており、このフランジ133がエンジン1の上面と側面との角部付近に固定されることに伴い、各独立通路132が各排気ポート10に接続されるようになっている(図4も参照)。
排気マニホールド13の上方位置には、タービン32とコンプレッサ33とを含む排気ターボ装置30が配設されている。これにより、排気ターボ装置30は、ロータリピストンエンジン1の上方において、当該エンジン1における車体前後方向の前側に位置することになる。排気ターボ装置30のタービン32は、排気マニホールド13の上面部に対して載置されるように配設され、図示は省略するが、排気マニホールド13の集合通路131に連通している。また、図示は省略するが、排気ターボ装置30のコンプレッサ33の流入口は吸気通路を介してエアクリーナーに接続され、流出口は吸気通路を介してスロットルボディ123に接続される。
排気ターボ装置30のタービン32の流出口には排気通路34が接続されている。排気通路34は、エンジン1の上方を車体前後方向の後方に延びた後、エンジン1の後ろ側において、斜め下向きに延び、ダッシュパネル92の凹陥部93を通じてフロアトンネル94内に至るように配設されている。排気通路34の途中には、直キャタリスト35、及び、アンダーフットキャタリスト36がそれぞれ介設している。直キャタリスト35は、エンジン1の上方でかつ、エンジン1の後端部付近に配設されている。アンダーフットキャタリスト36は、フロアトンネル94内に配設されている。
本構成のロータリピストンエンジン1は、前述したように、吸気ポート11がエンジン1における下部側の位置に設けられており、それに伴い、吸気通路(つまり、吸気マニホールド12)は、エンジン1の側方位置を上から下に延びて配設される。吸気マニホールド12の、特に独立通路122の長さは、吸気ポートがエンジンにおける上部側の位置に設けられた従来構成のロータリピストンエンジンと比較して長くなる。その結果、慣性効果による動的過給効果を得る上で有利になる。つまり、本構成のロータリピストンエンジン1は、吸気性能が向上する。また、エンジン1の近傍に配設される吸気マニホールド12及び吸気通路には、大型のデバイスが介設されないため、吸気マニホールド12をエンジン1の側方位置で上から下に延びて配設する構成は、ロータリピストンエンジン1のコンパクト化に有利になる。
また、本構成のロータリピストンエンジン1は、排気ポート10がエンジン1における上部側の位置に設けられており、それに伴い、排気マニホールド13及び排気通路34は共に、エンジン1の上方位置に配設される。この構成により、排気マニホールド13及び排気通路34の長さが比較的短くなり、通路抵抗が低下して、排気性能が向上する。
また、排気マニホールド13及び排気通路34をエンジン1の上方位置に配設することに伴い、排気ターボ装置30も、エンジン1の上方位置に配設されることになる。ここで、従来構成のロータリピストンエンジンでは、排気ポートがエンジンの下部側の位置に設けられることで、例えば、図3に破線で囲むようなエンジンの側方下部に、排気ターボ装置が配設されることになる。この場合、排気ターボ装置と、クロスメンバ95(つまり、車体部材)との干渉を招く虞がある。これに対し、本構成では、排気ターボ装置30がエンジン1の上方位置に配設されるため、こうした干渉を確実に回避することが可能になる。また、排気ターボ装置30と車体部材との干渉が回避されることにより、ロータリピストンエンジン1の搭載位置を、できるだけ低い位置にすることが可能になる。これは、エンジンルーム90内で、エンジン1の上方の空間を広くし、排気マニホールド13、排気ターボ装置30、及び、排気通路34の配設スペースを十分に確保することを可能にする。さらに、直キャタリスト35を、エンジン1の上方位置において、エンジン1に近い位置に配置することも可能になるから、触媒の早期活性化に有利になり、排気エミッション性能の向上に有利になる。
次に、ロータ2に設けたガスシール部に、潤滑用のオイルを供給するオイル供給機構の構成について、図を参照しながら説明する。オイル供給機構は、計量したオイルを送り出すメタリングオイルポンプ(図示省略)と、ロータハウジング3のトロコイド内周面3aに設けた供給口73、74を通じて、ロータ収容室31内にオイルを供給するノズル71、72とを含んで構成されている。メタリングオイルポンプとノズル71、72とは、図示しない供給管を通じて互いに接続され、ノズル71、72には、メタリングオイルポンプによって計量されたオイルが供給される。ロータ収容室31内へのオイルの供給量は、エンジン1の運転状態に応じて変更され、具体的には、ノズル71、72が単位時間当たりにオイルを吐出する回数が、エンジン1の運転状態に応じて変更される。
ノズル71、72は、図5、6に示すように、吸気ポート11の開口部110の近傍位置において、ロータハウジング3に対して取り付けられている。ノズルは、センタノズル71と、2本のサイドノズル72とを含んでいる。つまり、1つのロータ収容室31に対して、合計3本のノズルが取り付けられる。センタノズル71及びサイドノズル72は、その構成は実質的に同じであるが、その取り付け位置が異なる。
センタノズル71は、図6に示すように、ロータハウジング3の幅方向(つまり、車両前後方向)の中央部に取り付けられている。ロータハウジング3に設けた取付孔311内に内挿されるセンタノズル71は、図5に示す横断面で見て、トロコイド内周面3aに対してほぼ法線方向に延びるように配設され、ロータハウジング3に対して、その外周面から内方に向かって挿入されている。従って、センタノズル71は、図5に示す状態で、斜め上向きに傾いて配設される。
センタノズル71からロータ収容室31内に供給されるオイルは、後述する供給口73を通じて、トロコイド内周面3aの幅方向の中央部に供給され、主に、アペックスシール21の潤滑に供される。センタノズル71の先端は、トロコイド内周面3aの付近に位置しており、より詳細には、通しボルト14よりも内方に位置している。
2本のサイドノズル72は、ロータハウジング3の幅方向の両側部それぞれに取り付けられている。センタノズル71と同様に、ロータハウジング3に設けた取付孔312内に内挿されるサイドノズル72は、図5に示す横断面で見て、トロコイド内周面3aに対してほぼ法線方向に延びるように配設され、ロータハウジング3に対して、その外周面から内方に向かって挿入されている。従って、サイドノズル72はそれぞれ、図5に示す状態で、斜め上向きに傾いて配設される。
2本のサイドノズル72はまた、図6からわかるように、ロータハウジング3の幅方向の外方に向かって傾いて配設されている。サイドノズル72から供給されるオイルは、後述する供給口74を通じて、トロコイド内周面3aのロータハウジング3の幅方向の両側部から、インターミディエイトハウジング4及びサイドハウジング5の側面に供給され、主に、サイドシール22やコーナーシール23の潤滑に供される。サイドノズル72の先端も、センタノズル71と同様に、トロコイド内周面3aの付近に位置しており、より詳細には、通しボルト14よりも内方に位置している。
センタノズル71及びサイドノズル72のそれぞれにつながる供給口73、74は、図5に示すように、吸気ポート11の開口部110の近傍に設けられている。供給口73、74は、トロコイド内周面3aに開口している。センタノズル71につながる供給口73は、図5に示すように、吸気ポート11の開口部110に対し、ロータ回転方向に重なる位置に配設されている。言い換えると、ロータ回転方向に広がる開口部110の、回転方向の遅れ側の縁部から、進み側の縁部までの範囲内に、センタノズル71につながる供給口73の中心軸(図5の二点鎖線参照)は位置している。
一方、サイドノズル72につながる供給口74も同様に、トロコイド内周面3aに開口している。サイドノズル72につながる供給口74は、センタノズル71につながる供給口73よりも、ロータ回転方向の進み側にずれて配設されていると共に、吸気ポート11の開口部110に対しても、ロータ回転方向の進み側にずれて配設されている。つまり、サイドノズル72につながる供給口74の中心軸(図5の二点鎖線参照)は、ロータ回転方向に広がる開口部110の、ロータ回転方向の進み側の縁部よりも、さらに進み側に位置している。センタノズル71とサイドノズル72とをロータ回転方向にずれて配置することにより、これらのノズルのレイアウトがし易くなる。
従来構成のロータリエンジンでは、オイルの供給口は、吸気ポートの開口部に対してロータ回転方向にずらして配置していた。これは、従来構成のロータリエンジン101では、図7(a)に示すように、吸気ポート11の開口部110は、出力軸Xよりも上方に位置しており、その近傍に設けられるオイルの供給口73、74は、吸気ポート11の開口部110よりも高い位置に位置していることから、供給したオイルが開口部110を通じて吸気ポート11内に流れ込まないように、供給口73、74を、吸気ポート11の開口部110に対して、ロータ回転方向の進み側に配置していた。
これに対し、本構成のロータリエンジン1では、吸気ポート11の開口部110が、出力軸Xよりも下方に位置しており、センタノズル71につながる供給口73を、吸気ポート11の開口部110に対して、ロータ回転方向に重なる位置に設けても、その供給口73の高さ位置は、吸気ポート11の開口部110と同じ程度位置か、又は、低い位置になる。そのため、供給口73を通じてロータ収容室31内に供給したオイルが、開口部110を通じて吸気ポート11内に流れ込むことが抑制される。
こうして、センタノズル71につながる供給口73の位置は、ロータ収容室31の長軸Yよりも短軸Zに近づくようになる。この供給口73に対してロータ回転方向の進み側に配置される供給口74も、短軸Zに近づくようになる。各供給口73、74の位置、及び、それらの供給口73、74につながるセンタノズル71及びサイドノズル72の位置がそれぞれ、ロータハウジング3の側部の方に位置するようになる。その結果、前述したように、センタノズル71及びサイドノズル72はそれぞれ、トロコイド内周面3aのほぼ法線方向に延びるように配設されるが、これらセンタノズル71及びサイドノズル72を、オイルパン84と干渉させることなく、ロータハウジング3に対して取り付けることが可能になる。つまり、ロータハウジング3の側面に対し、内方に向かう取付孔311、312を設け、そこに、センタノズル71及びサイドノズル72をそれぞれ、ロータハウジング3の側面から内挿することにより、ロータハウジング3に取り付けることが可能になる。これら取付孔311、312は、トロコイド内周面3aのほぼ法線方向に延びるため、その長さを最短にしかつ、その大きさを最小限にすることが可能になる。図5に示すように、ロータハウジング3には、通しボルト14のボルト孔や、冷却水の流れる冷却水通路15が形成されるが、それらの通しボルト14や、冷却水通路15との干渉を回避することが可能になる。
また、センタノズル71及びサイドノズル72をそれぞれ、トロコイド内周面3aに対して法線方向に延びるように配設することにより、これらのノズルの先端が通しボルト14よりも内方に位置するように配設することが可能になり、ノズルの先端と供給口73、74とを直接に接続することができる。これにより、ロータハウジング3内に、ノズルの先端と供給口73、74とを接続するための接続路を設ける必要がなくなる。これは、ノズルからオイルを吐出することに対し、供給口73、74からトロコイド内周面3aにオイルが供給されることの応答性を高める。ロータ収容室31内へのオイルの供給が安定化して、ロータ2のガスシール部の潤滑不良が確実に回避される。
また、開口部110に向かって斜め下向きに延びる吸気ポート11の中心軸に対して、センタノズル71及びサイドノズル72につながる供給口73、74はそれぞれ、下側に位置している。これにより、吸気が斜め下向きに流れることとも関係して、供給口73、74からロータ収容室31内に供給したオイルが、開口部110を通じて吸気ポート11内に流れ込むことを確実に防止することが可能になる。
サイドノズル72につながる供給口74は、吸気ポート11の開口部110に対して、ロータ回転方向の進み側にずれている。サイドノズル72から供給されるオイルは、インターミディエイトハウジング4及びサイドハウジング5の側面にも供給されるが、その供給口74の位置を、吸気ポート11の開口部110に対してロータ回転方向にずらすことによって、この供給口74を通じて供給したオイルが、開口部110を通じて吸気ポート11内に流れ込んでしまうことを、より一層、抑制することが可能になる。
尚、ここではロータ2を2個有する2ロータタイプのエンジンを例示したが、ロータ2の個数(気筒数)はこれに限定されるものではない。
1 ロータリピストンエンジン
11 吸気ポート
110 開口部
2 ロータ
3 ロータハウジング
31 ロータ収容室
4 インターミディエイトハウジング(サイドハウジング)
5 サイドハウジング
71 センタノズル(ノズル)
72 サイドノズル(第2のノズル)
73、74 供給口
X 出力軸

Claims (4)

  1. 水平方向に延びる出力軸に対して遊星回転するロータと、
    前記ロータが摺接するトロコイド内周面を有する繭型のロータハウジングと、
    前記ロータハウジングに対し前記出力軸の方向の両側に隣接して配設されかつ、前記出力軸の方向に延びる通しボルトによって互いに結合されることにより、前記ロータハウジングと共に、前記ロータを収容するロータ収容室を区画するサイドハウジングと、
    前記ロータハウジングの前記トロコイド内周面に開口した供給口を通じて、前記ロータのガスシール部を潤滑するためのオイルを、前記ロータ収容室内に供給するノズルと、を備え、
    前記ロータ収容室の長軸が上下方向となるように配置された前記サイドハウジングの側面には、前記出力軸よりも下側でかつ、前記長軸を挟んだ一側の所定位置に、吸気ポートの開口部が設けられ、
    前記供給口は、前記トロコイド内周面における前記出力軸よりも下側でかつ、前記長軸を挟んだ一側において、前記吸気ポートの前記開口部に対し、前記ロータの回転方向に重なる位置に設けられ、
    前記ノズルは、前記ロータハウジングの下部の一側から前記トロコイド内周面に向かって斜め上向きに、前記ロータハウジングに対し挿入されると共に、前記ノズルの先端は、前記通しボルトよりも内方に位置しているロータリピストンエンジン。
  2. 請求項1に記載のロータリピストンエンジンにおいて、
    前記吸気ポートは、前記サイドハウジング内を斜め下向きに延びた後、前記開口部に至り、
    前記供給口は、前記吸気ポートの通路中心よりも下側に設けられているロータリピストンエンジン。
  3. 請求項1又は2に記載のロータリピストンエンジンにおいて、
    前記ノズルは、前記ロータハウジングの幅方向の中央部に配設されたセンタノズルであり、
    前記ロータハウジングの幅方向の両側部それぞれに配設されかつ、前記サイドハウジングの方に向かって開口する供給口を通じて、前記オイルを供給するサイドノズルをさらに備え、
    前記サイドノズルは、前記センタノズルに対し、前記ロータの回転方向の進み側に配置されているロータリピストンエンジン。
  4. 請求項3に記載のロータリピストンエンジンにおいて、
    前記サイドノズルにつながる前記供給口の中心軸は、前記吸気ポートの前記開口部に対し、前記ロータの回転方向の進み側にずれているロータリピストンエンジン。
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