本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
実施形態の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、まず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
−空気調和機−
空気調和機(10)について、図1を参照しながら説明する。
〈空気調和機の構〉
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。一方、室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出管が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入管が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートに向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通しかつ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通しかつ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
〈空気調和機の運転動作〉
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。
冷房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
暖房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する暖房運転中には、室外空気中の水分が霜となって室外熱交換器(23)の表面に付着する場合がある。室外熱交換器(23)に霜が付着すると、冷媒と室外空気の熱交換が霜によって阻害され、空気調和機(10)の暖房能力が低下する。そこで、空気調和機(10)は、室外熱交換器(23)にある程度以上の霜が付着していることを示す除霜開始条件が成立すると、暖房運転を一時的に休止して除霜運転を行う。
除霜運転中の空気調和機(10)では、室外ファン(15)および室内ファン(16)が停止する。除霜運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)が第1状態に設定され、圧縮機(21)が作動する。また、除霜運転中は、圧縮機(21)の回転速度が下限値に設定される。除霜運転中の冷媒回路(20)では、冷房運転中と同様に冷媒が循環する。つまり、室外熱交換器(23)へは、圧縮機(21)から吐出された高温高圧のガス冷媒が供給される。室外熱交換器(23)に付着した霜は、このガス冷媒によって暖められて融解する。室外熱交換器(23)を通過した冷媒は、膨張弁(24)と室内熱交換器(25)を順に通過し、その後に圧縮機(21)へ吸い込まれて圧縮される。
−室外熱交換器−
室外熱交換器(23)について、図2〜7を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,32)の本数と、主熱交換部(51a〜51c)および補助熱交換部(52a〜52c)の数は、いずれも単なる一例である。
〈室外熱交換器の構成〉
図2および図3に示すように、室外熱交換器(23)は、1つの第1ヘッダ集合管(60)と、1つの第2ヘッダ集合管(70)と、多数の扁平管(31,32)と、多数のフィン(36)とを備えている。第1ヘッダ集合管(60)、第2ヘッダ集合管(70)、扁平管(31,32)およびフィン(36)は、いずれもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
詳しくは後述するが、室外熱交換器(23)は、主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)とに区分されている。この室外熱交換器(23)では、一部の扁平管(32)が補助熱交換領域(52)を構成し、残りの扁平管(31)が主熱交換領域(51)を構成している。
第1ヘッダ集合管(60)と第2ヘッダ集合管(70)は、いずれも両端が閉塞された細長い円筒状に形成されている。図2および図3において、第1ヘッダ集合管(60)は室外熱交換器(23)の左端に、第2ヘッダ集合管(70)は室外熱交換器(23)の右端に、それぞれ起立した状態で設けられている。つまり、第1ヘッダ集合管(60)および第2ヘッダ集合管(70)は、それぞれの軸方向が上下方向となる状態で設置されている。
図4に示すように、扁平管(31,32)は、その断面形状が扁平な長円形となった伝熱管である。図3に示すように、室外熱交換器(23)において、複数の扁平管(31,32)は、その伸長方向が左右方向となり、それぞれの平坦な側面が対向する状態で配置されている。また、複数の扁平管(31,32)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置され、互いに実質的に平行となっている。各扁平管(31,32)は、その一端が第1ヘッダ集合管(60)に挿入され、その他端が第2ヘッダ集合管(70)に挿入されている。
図4に示すように、各扁平管(31,32)には、複数の流体通路(34)が形成されている。各流体通路(34)は、扁平管(31,32)の伸長方向に延びる通路である。各扁平管(31,32)において、複数の流体通路(34)は、扁平管(31,32)の幅方向(即ち、長手方向と直交する方向)に一列に並んでいる。各扁平管(31,32)に形成された複数の流体通路(34)は、それぞれの一端が第1ヘッダ集合管(60)の内部空間に連通し、それぞれの他端が第2ヘッダ集合管(70)の内部空間に連通している。室外熱交換器(23)へ供給された冷媒は、扁平管(31,32)の流体通路(34)を流れる間に空気と熱交換する。
図4に示すように、フィン(36)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。フィン(36)には、フィン(36)の前縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(36)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(45)が、多数形成されている。フィン(36)では、多数の切り欠き部(45)が、フィン(36)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(45)の風下寄りの部分は、管挿入部(46)を構成している。管挿入部(46)は、上下方向の幅が扁平管(31,32)の厚さと実質的に等しく、長さが扁平管(31,32)の幅と実質的に等しい。扁平管(31,32)は、フィン(36)の管挿入部(46)に挿入され、管挿入部(46)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(36)には、伝熱を促進するためのルーバー(40)が形成されている。そして、複数のフィン(36)は、扁平管(31,32)の伸長方向に配列されることで、隣り合う扁平管(31,32)の間を空気が流れる複数の通風路(38)に区画している。
図2および図3に示すように、室外熱交換器(23)は、上下に2つの熱交換領域(51,52)に区分されている。室外熱交換器(23)では、上側の熱交換領域が主熱交換領域(51)となり、下側の熱交換領域が補助熱交換領域(52)となっている。
各熱交換領域(51,52)は、上下に3つずつの熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)に区分されている。つまり、室外熱交換器(23)では、主熱交換領域(51)と補助熱交換領域(52)のそれぞれが、複数かつ互いに同数の熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)に区分されている。なお、各熱交換領域(51,52)に形成される熱交換部(51a〜51c,52a〜52c)の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
具体的に、主熱交換領域(51)には、下から上に向かって順に、第1主熱交換部(51a)と、第2主熱交換部(51b)と、第3主熱交換部(51c)とが形成されている。補助熱交換領域(52)には、下から上に向かって順に、第1補助熱交換部(52a)と、第2補助熱交換部(52b)と、第3補助熱交換部(52c)とが形成されている。各主熱交換部(51a〜51c)と各補助熱交換部(52a〜52c)は、扁平管(31,32)を複数本ずつ備えている。また、図3に示すように、各主熱交換部(51a〜51c)を構成する扁平管(31)の本数は、各補助熱交換部(52a〜52c)を構成する扁平管(32)の本数よりも多い。従って、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の本数は、補助熱交換領域(52)を構成する扁平管(32)の本数よりも多い。なお、本実施形態の室外熱交換器(23)において、各補助熱交換部(52a〜52c)を構成する扁平管(32)の本数は、3本である。
図3に示すように、第1ヘッダ集合管(60)の内部空間は、仕切板(39a)によって上下に仕切られている。第1ヘッダ集合管(60)では、仕切板(39a)の上側の空間が上側空間(61)となり、仕切板(39a)の下側の空間が下側空間(62)となっている。
上側空間(61)は、主熱交換領域(51)に対応した主連通空間を構成している。上側空間(61)は、主熱交換領域(51)を構成する扁平管(31)の全てと連通する単一の空間である。つまり、上側空間(61)は、各主熱交換部(51a〜51c)の扁平管(31)と連通している。
下側空間(62)は、補助熱交換領域(52)に対応した補助連通空間を構成している。下側空間(62)は、この下側空間(62)を横断する複数(本実施形態では2枚)の仕切板(39b)により、補助熱交換部(52a〜52c)と同数(本実施形態では3つ)の連通室(62a〜62c)に区画されている。最も下方に位置する第1連通室(62a)は、第1補助熱交換部(52a)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。第1連通室(62a)の上方に位置する第2連通室(62b)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。最も上方に位置する第3連通室(62c)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。
第2ヘッダ集合管(70)の内部空間は、主熱交換領域(51)に対応した主連通空間(71)と、補助熱交換領域(52)に対応した補助連通空間(72)とに区分されている。
主連通空間(71)は、2枚の仕切板(39c)によって上下に仕切られている。この仕切板(39c)は、主連通空間(71)を、主熱交換部(51a〜51c)と同数(本実施形態では3つ)の部分空間(71a〜71c)に区画している。最も下方に位置する第1部分空間(71a)は、第1主熱交換部(51a)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。第1部分空間(71a)の上方に位置する第2部分空間(71b)は、第2主熱交換部(51b)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。最も上方に位置する第3部分空間(71c)は、第3主熱交換部(51c)を構成する全ての扁平管(31)と連通する。
補助連通空間(72)は、2枚の仕切板(39d)によって上下に仕切られている。この仕切板(39d)は、補助連通空間(72)を、補助熱交換部(52a〜52c)と同数(本実施形態では3つ)の部分空間(72a〜72c)に区画している。最も下方に位置する第4部分空間(72a)は、第1補助熱交換部(52a)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。第4部分空間(72a)の上方に位置する第5部分空間(72b)は、第2補助熱交換部(52b)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。最も上方に位置する第6部分空間(72c)は、第3補助熱交換部(52c)を構成する全ての扁平管(32)と連通する。
第2ヘッダ集合管(70)には、2本の接続用配管(76,77)が取り付けられている。これらの接続用配管(76,77)は、いずれも円管である。
第1接続用配管(76)は、その一端が第2主熱交換部(51b)に対応する第2部分空間(71b)に接続され、その他端が第1補助熱交換部(52a)に対応する第4部分空間(72a)に接続される。第2接続用配管(77)は、その一端が第3主熱交換部(51c)に対応する第3部分空間(71c)に接続され、その他端が第2補助熱交換部(52b)に対応する第5部分空間(72b)に接続される。また、第2ヘッダ集合管(70)では、第3補助熱交換部(52c)に対応する第6部分空間(72c)と、第1主熱交換部(51a)に対応する第1部分空間(71a)とが、互いに連続した1つの空間を形成している。
このように、本実施形態の室外熱交換器(23)では、第1主熱交換部(51a)と第3補助熱交換部(52c)とが直列に接続され、第2主熱交換部(51b)と第1補助熱交換部(52a)とが直列に接続され、第3主熱交換部(51c)と第2補助熱交換部(52b)とが直列に接続されている。
図2および図3に示すように、室外熱交換器(23)には、ガス配管(57)が設けられている。ガス配管(57)は、円管状に形成されたアルミニウム合金製の部材である。ガス配管(57)は、第1ヘッダ集合管(60)とロウ付けによって接合されている。
ガス配管(57)の一端は、第1ヘッダ集合管(60)における上側空間(61)の高さ方向のほぼ中央に対応する部位に接続され、上側空間(61)に連通している。ガス配管(57)の他端は、室外熱交換器(23)と四方切換弁(22)の第3のポートとを繋ぐ銅製の配管(18)に、継手(図示せず)を介して接続されている。
また、室外熱交換器(23)には、分流器(80)が設けられている。分流器(80)は、第1ヘッダ集合管(60)の側方(図3で左方)に配置されている。以下、分流器(80)およびその周辺の構成について詳しく説明する。
〈分流器およびその周辺の構成〉
分流器(80)およびその周辺の構成について、図5〜図8を適宜参照しながら説明する。なお、この説明では、分流器(80)の側面のうち第1ヘッダ集合管(60)側の部分を「前面」とし、分流器(80)の側面のうち第1ヘッダ集合管(60)とは反対側の部分を「背面」とする。
図5〜図7に示すように、分流器(80)は、両端が閉塞された円筒状の円筒部材(89)を有していて、起立した状態で設けられている。円筒部材(89)の材質は、アルミニウム合金である。図5に示すように、分流器(80)の下端は、第1ヘッダ集合管(60)の下端とほぼ同じ高さに位置している。分流器(80)の上端は、第1連通室(62a)と第2連通室(62b)とを仕切っている仕切板(39b)とほぼ同じ高さに位置している。つまり、分流器(80)の上端は、第3連通室(62c)の上端よりも下側に位置している。また、分流器(80)の上下方向の長さは、第1連通室(62a)の上下方向の長さとほぼ同じである。つまり、分流器(80)の上下方向の長さは、第1連通室(62a)の下端から第3連通室(62c)の上端までの長さよりも短い。
図5に示すように、分流器(80)の内部空間には、下側横仕切板(81a)と、上側横仕切板(81b)と、縦仕切板(84)とが1つずつ設置されている。分流器(80)の内部空間は、2枚の横仕切板(81a,81b)と1枚の縦仕切板(84)とによって、連通室(62a〜62c)と同数(本実施形態では3つ)の流通室(88a〜88c)と1つの混合室(87)とに仕切られている。下側横仕切板(81a)、上側横仕切板(81b)、および縦仕切板(84)の材質は、アルミニウム合金である。また、上述のとおり、円筒部材(89)の材質もアルミニウム合金である。よって、分流器(80)は、その全ての構成要素がアルミニウム合金でできている。下側横仕切板(81a)、上側横仕切板(81b)および縦仕切板(84)は、仕切部材(100)を構成している。
下側横仕切板(81a)および上側横仕切板(81b)のそれぞれは、概ね円板状の部材であって、分流器(80)の内部空間を横断するように設けられている。つまり、下側横仕切板(81a)および上側横仕切板(81b)は、分流器(80)の内部空間を上下に仕切っている。下側横仕切板(81a)は、分流器(80)の高さ方向の中央よりもやや下側に配置されている。上側横仕切板(81b)は、分流器(80)の高さ方向の中央よりもやや上側に配置されている。下側横仕切板(81a)および上側横仕切板(81b)は、ロウ付けによって円筒部材(89)と接合されている。
図6および図7に示すように、下側横仕切板(81a)および上側横仕切板(81b)のそれぞれには、スリット孔(82a,82b)が1つずつ形成されている。スリット孔(82a,82b)は、細長い長方形状の孔であって、横仕切板(81a,81b)を厚さ方向に貫通している。下側横仕切板(81a)および上側横仕切板(81b)のそれぞれにおいて、スリット孔(82a,82b)は、分流器(80)の中心軸(80a)よりも分流器(80)の背面寄りに位置している。スリット孔(82a,82b)は、その幅が縦仕切板(84)の厚さとほぼ同じであり、その長さが縦仕切板(84)の幅とほぼ同じである。
下側横仕切板(81a)には、1つの流量調節孔(83a)が形成されている(図7(C)を参照)。流量調節孔(83a)は、下側横仕切板(81a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。流量調節孔(83a)は、スリット孔(82a)よりも分流器(80)の背面寄りに配置されている。 上側横仕切板(81b)には、1つの流量調節孔(83b)が形成されている(図7(B)を参照)。流量調節孔(83b)は、上側横仕切板(81b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。流量調節孔(83b)は、スリット孔(82b)よりも分流器(80)の背面寄りに配置されている。
図8に示すように、縦仕切板(84)は、縦長の長方形板状に形成されている。縦仕切板(84)は、下側横仕切板(81a)のスリット孔(82a)と、上側横仕切板(81b)のスリット孔(82b)とに通されている(図6および図7を参照)。縦仕切板(84)は、分流器(80)の内部空間を縦断している。
縦仕切板(84)は、その下端が円筒部材(89)の底部に当接し、その上端が円筒部材(89)の頂部に当接している。また、縦仕切板(84)は、幅方向(図7における左右方向)の両側部が円筒部材(89)の内周面に接している。縦仕切板(84)は、他の部材に対して接合されていない。この縦仕切板(84)は、各横仕切板(81a,81b)のスリット孔(82a,82b)に差し込まれ、円筒部材(89)の底部および頂部に当接することによって、その姿勢が保持されている。
図6および図7に示すように、縦仕切板(84)は、上側横仕切板(81b)よりも上側の部分が上側部分(84a)となり、上側横仕切板(81b)と下側横仕切板(81a)との間の部分が中間部分(84b)となり、下側横仕切板(81a)よりも下側の部分が下側部分(84c)となっている。
縦仕切板(84)の上側部分(84a)は、分流器(80)の内部空間のうち上側横仕切板(81b)よりも上側の部分を、分流器(80)の前面側と背面側とに仕切っている。縦仕切板(84)の上側部分(84a)に対して分流器(80)の前面側に位置する空間は、第3流通室(88c)を構成している。
縦仕切板(84)の中間部分(84b)は、分流器(80)の内部空間のうち上側横仕切板(81b)と下側横仕切板(81a)に挟まれた部分を、分流器(80)の前面側と背面側とに仕切っている。縦仕切板(84)の中間部分(84b)に対して分流器(80)の前面側に位置する空間は、第2流通室(88b)を構成している。縦仕切板(84)の中間部分(84b)に対して分流器(80)の背面側に位置する空間は、混合室(87)を構成している。
このように、混合室(87)は、縦仕切板(84)の中間部分(84b)と、下側横仕切板(81a)と、上側横仕切板(81b)と、円筒部材(89)の側壁部とによって囲まれている。また、上述のとおり、各横仕切板(81a,81b)の流量調節孔(83a,83b)は、スリット孔(82a,82b)よりも分流器(80)の背面寄りに配置されている。つまり、流量調節孔(83a,83b)は、各横仕切板(81a,81b)における混合室(87)に面する部位に形成されている。
縦仕切板(84)の下側部分(84c)は、分流器(80)の内部空間のうち下側横仕切板(81a)よりも下側の部分を、分流器(80)の前面側と背面側とに仕切っている。縦仕切板(84)の下側部分(84c)に対して分流器(80)の前面側に位置する空間は、第1流通室(88a)を構成している。
縦仕切板(84)には、2つの円形の導入孔(85a,85b)と、1つの円形の流量調節孔(86a)とが形成されている。各導入孔(85a,85b)および流量調節孔(86a)は、縦仕切板(84)を厚さ方向に貫通している。
導入孔(85a,85b)は、縦仕切板(84)の上側部分(84a)と下側部分(84c)とに1つずつ形成されている。上側の導入孔(85b)は、縦仕切板(84)の上側部分(84a)のほぼ中央に形成されている。上側の導入孔(85b)の断面積は、上側横仕切板(81b)に形成された流量調節孔(83b)の断面積よりも大きい。下側の導入孔(85a)は、縦仕切板(84)の下側部分(84c)のほぼ中央に形成されている。下側の導入孔(85a)の断面積は、下側横仕切板(81a)に形成された流量調節孔(83a)の断面積よりも大きい。
流量調節孔(86a)は、縦仕切板(84)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。流量調節孔(86a)は、縦仕切板(84)における混合室(87)に面する部位(中間部分(84b))の下部に形成されている。
上述したように、下側横仕切板(81a)、上側横仕切板(81b)および縦仕切板(84)には、流量調節孔(83a,83b,86a)が形成されている。これらの流量調節孔(83a,83b,86a)は、混合室(87)の冷媒を各流通室(88a〜88c)へ所定の割合で分配するための連通用貫通孔である。
下側横仕切板(81a)の流量調節孔(83a)は、その下方の空間を介して混合室(87)を第1流通室(88a)と連通させている。この流量調節孔(83a)の直径は、例えば2mm程度である。
上側横仕切板(81b)の流量調節孔(83b)は、その上方の空間を介して混合室(87)を第3流通室(88c)と連通させている。この流量調節孔(83b)の直径は、下側横仕切板(81a)の流量調節孔(83a)の直径と実質的に等しい。
縦仕切板(84)の流量調節孔(86a)は、混合室(87)を第2流通室(88b)と連通させている。この流量調節孔(86a)の直径は、下側横仕切板(81a)の流量調節孔(83a)の直径と実質的に等しい。
図6および図7に示すように、円筒部材(89)の前面側の側壁部には、円形の貫通孔である連絡接続口(91a〜91c)が形成されている。連絡接続口(91a〜91c)は、円筒部材(89)における各流通室(88a〜88c)に対応する部位に形成されかつ各流通室(88a〜88c)に連通している。具体的に、第1連絡接続口(91a)は、円筒部材(89)における第1流通室(88a)に対応する部位に形成されかつ第1流通室(88a)に連通している。第2連絡接続口(91b)は、円筒部材(89)における第2流通室(88b)に対応する部位に形成されかつ第2流通室(88b)に連通している。第3連絡接続口(91c)は、円筒部材(89)における第3流通室(88c)に対応する部位に形成されかつ第3流通室(88c)に連通している。各連絡接続口(91a〜91c)の中心は、対応する流通室(88a〜88c)の高さ方向のほぼ中央に位置している。
各連絡接続口(91a〜91c)には、連絡配管(92a〜92c)が差し込まれている。連絡配管(92a〜92c)は、円管状に形成されたアルミニウム合金製の部材である。連絡配管(92a〜92c)は、円筒部材(89)とロウ付けによって接合されている。
連絡配管(92a〜92c)の一端は、対応する流通室(88a〜88c)に開口している。具体的に、第1連絡配管(92a)の一端は、第1流通室(88a)に開口している。第2連絡配管(92b)の一端は、第2流通室(88b)に開口している。第3連絡配管(92c)の一端は、第3流通室(88c)に開口している。
図5に示すように、各連絡配管(92a〜92c)の他端は、第1ヘッダ集合管(60)に接続され、対応する連通室(62a〜62c)の下部に開口している。具体的に、第1連絡配管(92a)の他端は、第1連通室(62a)の下部に開口している。第2連絡配管(92b)の他端は、第2連通室(62b)の下部に開口している。第3連絡配管(92c)の他端は、第3連通室(62c)の下部に開口している。つまり、各流通室(88a〜88c)と各連通室(62a〜62c)とは、各連絡配管(92a〜92c)を介して互いに連通している。連絡配管(92a〜92c)は、第1ヘッダ集合管(60)とロウ付けによって接合されている。
図6に示すように、円筒部材(89)の背面側の側壁部には、円形の貫通孔である液接続口(54)が形成されている。液接続口(54)は、円筒部材(89)のうち下側横仕切板(81a)と上側横仕切板(81b)との間の部分に形成され、混合室(87)に連通している。液接続口(54)の中心は、混合室(87)の高さ方向の中央に位置している。また、分流器(80)に対する液配管(55)の接続位置である液接続口(54)の中心は、第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)の仕切板(39b)のうち最も下に位置する仕切板(39b)よりも下側にある。
液接続口(54)には、液配管(55)が差し込まれている。液配管(55)は、円管状に形成されたアルミニウム合金製の部材である。液配管(55)は、円筒部材(89)とロウ付けによって接合されている。液配管(55)の一端は、分流器(80)の内部空間に開口しかつ混合室(87)に連通している。液配管(55)の他端は、室外熱交換器(23)と膨張弁(24)とを繋ぐ銅製の配管(17)に、継手(図示せず)を介して接続されている。
上述したように、縦仕切板(84)の流量調節孔(86a)は、縦仕切板(84)のうち混合室(87)に面する部位の下部に配置されている。一方、液接続口(54)の中心は、混合室(87)の高さ方向の中央に位置している。つまり、縦仕切板(84)では、液接続口(54)の正面から外れた部分に流量調節孔(86a)が配置されている。
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/凝縮器の場合〉
空気調和機(10)の冷房運転中には、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が供給される。圧縮機(21)から送られたガス冷媒は、ガス配管(57)を介して第1ヘッダ集合管(60)の上側空間(61)へ流入した後、主熱交換領域(51)の各扁平管(31)へ分配される。主熱交換領域(51)の各主熱交換部(51a〜51c)において、扁平管(31)の流体通路(34)へ流入した冷媒は、流体通路(34)を流れる間に室外空気へ放熱して凝縮し、その後に第2ヘッダ集合管(70)の対応する各部分空間(71a〜71c)へ流入する。
主連通空間(71)の各部分空間(71a〜71c)へ流入した冷媒は、補助連通空間(72)の対応する部分空間(72a〜72c)へ送られる。主連通空間(71)の第1部分空間(71a)へ流入した冷媒は、下方へ流れ落ちて補助連通空間(72)の第6部分空間(72c)へ流れ込む。主連通空間(71)の第2部分空間(71b)へ流入した冷媒は、第1接続用配管(76)を通って補助連通空間(72)の第4部分空間(72a)へ流入する。主連通空間(71)の第3部分空間(71c)へ流入した冷媒は、第2接続用配管(77)を通って補助連通空間(72)の第5部分空間(72b)へ流入する。
補助連通空間(72)の各部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52c)の各扁平管(32)へ分配される。各扁平管(32)の流体通路(34)を流れる冷媒は、室外空気へ放熱して過冷却液となり、その後に第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)の対応する連通室(62a〜62c)へ流入する。
連通室(62a〜62c)へ流入した冷媒は、連絡配管(92a〜92c)を通って分流器(80)の対応する流通室(88a〜88c)へ流入する。その後、冷媒は、混合室(87)を経て液配管(55)へ流れ込み、室外熱交換器(23)から流出してゆく。ここで、液配管(55)は第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)において最も下に位置する仕切板(39b)よりも下側に位置しているので、各連通室(62a〜62c)において液冷媒が溜まり込むことなく冷媒が流通可能となっている。
〈室外熱交換器における冷媒の流れ/蒸発器の場合〉
空気調和機(10)の暖房運転中には、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が供給される。膨張弁(24)から流れてきた気液二相状態の冷媒は、液接続口(54)に差し込まれた液配管(55)を通って分流器(80)内の混合室(87)へ流入する。その際、液配管(55)から噴出した冷媒が縦仕切板(84)に衝突する。このため、混合室(87)内では、冷媒が激しく掻き乱され、その冷媒中のガス冷媒と液冷媒とが混合される。つまり、混合室(87)内の冷媒が均質化され、混合室(87)内の冷媒の湿り度が概ね均一となる。
混合室(87)内の冷媒は各流通室(88a〜88c)へ分配される。具体的に、混合室(87)内の冷媒は、下側横仕切板(81a)の流量調節孔(83a)を通過した後、縦仕切板(84)の下側の導入孔(85a)を通って第1流通室(88a)へ流入する。また、混合室(87)内の冷媒は、縦仕切板(84)の流量調節孔(86a)を通過し、第2流通室(88b)へ流入する。また、混合室(87)内の冷媒は、上側横仕切板(81b)の流量調節孔(83b)を通過した後、縦仕切板(84)の上側の導入孔(85b)を通過して第3流通室(88c)へ流入する。上述したように、混合室(87)内の気液二相状態の冷媒は均質化されているので、各流通室(88a〜88c)へ流入する冷媒の湿り度は概ね等しい。
本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(87)から各流通室(88a〜88c)への冷媒の分配割合が所定の割合となるように、流量調節孔(83a,83b,86a)の大きさが設定されている。具体的に、本実施形態の室外熱交換器(23)では、補助熱交換部(52a〜52c)を構成する各扁平管(32)へ流入する冷媒の質量流量が実質的に等しくなるように、混合室(87)から各流通室(88a〜88c)への冷媒の分配割合が設定される。従って、本実施形態の室外熱交換器(23)では、混合室(87)から各流通室(88a〜88c)へ流入する冷媒の質量流量が、互いに実質的に等しい。
各流通室(88a〜88c)へ流入した冷媒は、各連絡配管(92a〜92c)を通って第1ヘッダ集合管(60)の対応する各連通室(62a〜62c)へ流入する。そして、各連通室(62a〜62c)へ流入した冷媒は、対応する補助熱交換部(52a〜52c)の各扁平管(32)へ分配される。
ここで、上述のとおり、各流通室(88a〜88c)における冷媒の湿り度は概ね均一なので、各連絡配管(92a〜92c)を介して各流通室(88a〜88c)から各連通室(62a〜62c)に流入する冷媒の湿り度も概ね均一になる。また、各連絡配管(92a〜92c)の他端は各連通室(62a〜62c)の下部に開口しているので、各連通室(62a〜62c)内では冷媒が上方に向かって吹き上がるように流れる。これにより、密度の大きい液冷媒が下側の扁平管(32)に偏って流れ込むことなく各扁平管(32)に均等に流れ込むので、各扁平管(32)を流れる冷媒の湿り度が概ね均一になる。
各扁平管(32)の流体通路(34)へ流入した冷媒は、流体通路(34)を流れる間に室外空気から吸熱し、一部の液冷媒が蒸発する。扁平管(32)の流体通路(34)を通過した冷媒は、第2ヘッダ集合管(70)の補助連通空間(72)の対応する部分空間(72a〜72c)へ流入する。この部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、依然として気液二相状態のままである。
補助連通空間(72)の各部分空間(72a〜72c)へ流入した冷媒は、主連通空間(71)の対応する部分空間(71a〜71c)へ送られる。補助連通空間(72)の第4部分空間(72a)へ流入した冷媒は、第1接続用配管(76)を通って主連通空間(71)の第2部分空間(71b)へ流入する。補助連通空間(72)の第5部分空間(72b)へ流入した冷媒は、第2接続用配管(77)を通って主連通空間(71)の第3部分空間(71c)へ流入する。補助連通空間(72)の第6部分空間(72c)へ流入した冷媒は、上方へ向かって流れて主連通空間(71)の第1部分空間(71a)へ流入する。
主連通空間(71)の各部分空間(71a〜71c)へ流入した冷媒は、対応する主熱交換部(51a〜51c)の各扁平管(31)へ分配される。各扁平管(31)の流体通路(34)を流れる冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、実質的にガス単相状態となった後に、第1ヘッダ集合管(60)の上側空間(61)へ流入する。その後、冷媒は、ガス配管(57)を通って室外熱交換器(23)から流出してゆく。
−実施形態の効果−
本実施形態の室外熱交換器(23)では、分流器(80)を、起立した状態の円筒部材(89)と、分流器(80)の内部空間に混合室(87)および流通室(88a〜88c)を形成する横仕切板(81a,81b)および縦仕切板(84)とで構成される簡易な構造のものとした。また、分流器(80)の上下方向の長さを、第1ヘッダ集合管(60)の複数の連通室(62a〜62c)のうち最も下にある第1連通室(62a)の下端から複数の連通室(62a〜62c)のうち最も上にある第3連通室(62c)の上端までの長さよりも小さくしたので、混合室(87)に流入した気液二相状態の冷媒は混合室(87)内で十分に混合されて均質化される。従って、湿り度の均一な冷媒が各流通室(88a〜88c)および各連通室(62a〜62c)に流れ込み、各連通室(62a〜62c)に連通する各扁平管(32)に分配される。以上より、本実施形態の室外熱交換器(23)では、簡易な構造の分流器(80)によって各扁平管(32)を流れる冷媒の湿り度を均一化することができる。
また、分流器(80)、連絡配管(92a〜92c)および第1ヘッダ集合管(60)は全てアルミニウム合金でできているので、これらの部材を一体的に炉中ロウ付けで接合することが可能である。従って、室外熱交換器(23)を簡易に製造することができる。
また、分流器(80)の上端を、複数の連通室(62a〜62c)のうち最も上に位置する第3連通室(62c)の上端よりも下側に位置するようにした。さらに、分流器(80)における液配管(55)が設けられる部位である液接続口(54)を、各連通室(62a〜62c)を仕切る仕切板(39b)のうち最も下に位置する仕切板(39b)よりも下側に位置するようにした。これにより、液配管(55)と複数の連通室(62a〜62c)のうち最も下に位置する第1連通室(62a)との高低差を無視できる程度に小さくできるので、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合に、液没現象の発生を確実に抑制することができる。
また、除霜時には、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。その時に液没現象が発生すると、室外熱交換器(23)の下部の扁平管(32)は冷媒がほとんど流れない状態になる。そうなると、室外熱交換器(23)の下部に付着した霜を融かすことができないおそれがある。しかし、本実施形態では、上述のとおり液没現象の発生が確実に抑制されるので、除霜運転時において室外熱交換器(23)の下部に付着した霜も確実に融かすことができる。
また、縦仕切板(84)において、液接続口(54)の正面から外れた部分に流量調節孔(86a)を配置したことにより、液配管(55)から流れ込んだ気液二相状態の冷媒が縦仕切板(84)に衝突して混合室(87)内で激しく掻き乱されるので、混合室(87)内における冷媒の均質化を促進することができる。
−実施形態の変形例−
室外熱交換器(23)の分流器(80)に形成される流通室の数は、3つに限定されない。ここでは、流通室が4つの場合について、分流器(80)等の構造を説明する。また、ここでは、図5に示す流通室(88a〜88c)の数が3つの場合の分流器(80)等の構造と異なる点について説明する。
まず、流通室(88a〜88d)の数が4つの場合には、それに対応して、第1ヘッダ集合管(60)に形成される連通室(62a〜62d)の数も4つになる。図9に示すように、第1ヘッダ集合管(60)の下側空間(62)は、この下側空間(62)を横断する3枚の仕切板(39b)により、上下方向に4つの連通室(62a〜62d)に仕切られている。この下側空間(62)では、下から上に向かって順に、第1連通室(62a)と、第2連通室(62b)と、第3連通室(62c)と、第4連通室(62d)とが配置されている。
また、室外熱交換器(23)の補助熱交換領域(52)は、連通室(62a〜62d)と同数(即ち、4つ)の補助熱交換部(52a〜52d)に区分される。この補助熱交換領域(52)では、下から上に向かって順に、第1補助熱交換部(52a)と、第2補助熱交換部(52b)と、第3補助熱交換部(52c)と、第4補助熱交換部(52d)とが配置されている。また、図9では図示を省略するが、室外熱交換器(23)の主熱交換領域(51)は、補助熱交換部(52a〜52d)と同数(即ち、4つ)の主熱交換部(51a〜51d)に区分される。
図10に示すように、分流器(80)の内部空間には、下側横仕切板(81a)と、上側横仕切板(81b)と、中間横仕切板(81c)と、縦仕切板(84)とが1つずつ配置される。分流器(80)の内部空間は、これらの横仕切板(81a,81b,81c)および縦仕切板(84)によって、4つの流通室(88a〜88d)と1つの混合室(87)とに仕切られる。この分流器(80)の内部空間では、下から上に向かって順に、第1流通室(88a)と、第2流通室(88b)と、第3流通室(88c)と、第4流通室(88d)とが配置されている。なお、中間横仕切板(81c)の材質は、アルミニウム合金である。
下側横仕切板(81a)および上側横仕切板(81b)のそれぞれは、概ね円板状の部材であって、分流器(80)の内部空間を横断するように設けられている。中間横仕切板(81c)は、円板の一部を直線状に切り取った形状の部材であって、分流器(80)の内部空間のうち縦仕切板(84)よりも分流器(80)の前面側の部分を横断するように設けられている。
下側横仕切板(81a)は、分流器(80)の高さ方向の中央よりもやや下側に配置されていて、第1流通室(88a)と第2流通室(88b)とを仕切っている。上側横仕切板(81b)は、分流器(80)の高さ方向の中央よりもやや上側に配置されていて、第3流通室(88c)と第4流通室(88d)とを仕切っている。中間横仕切板(81c)は、分流器(80)の高さ方向の中央に配置されていて、第2流通室(88b)と第3流通室(88c)とを仕切っている。
縦仕切板(84)の中間部分(84b)は、第2流通室(88b)および第3流通室(88c)に面している。この中間部分(84b)における第2流通室(88b)に面する部位と第3流通室(88c)に面する部位とのそれぞれには、円形の流量調節孔(86a,86b)が1つずつ形成されている。各流量調節孔(86a,86b)は、縦仕切板(84)を厚さ方向に貫通している。各流量調節孔(86a,86b)の直径は、下側横仕切板(81a)の流量調節孔(83a)の直径と実質的に等しい。
図10に示すように、円筒部材(89)の前面側の側壁部には、円形の貫通孔である連絡接続口(91a〜91d)が形成されている。連絡接続口(91a〜91d)は、円筒部材(89)における各流通室(88a〜88d)に対応する部位に形成されかつ各流通室(88a〜88d)に連通している。具体的に、第1連絡接続口(91a)は、円筒部材(89)における第1流通室(88a)に対応する部位に形成されかつ第1流通室(88a)に連通している。第2連絡接続口(91b)は、円筒部材(89)における第2流通室(88b)に対応する部位に形成されかつ第2流通室(88b)に連通している。第3連絡接続口(91c)は、円筒部材(89)における第3流通室(88c)に対応する部位に形成されかつ第3流通室(88c)に連通している。第4連絡接続口(91d)は、円筒部材(89)における第4流通室(88d)に対応する部位に形成されかつ第4流通室(88d)に連通している。各連絡接続口(91a〜91d)の中心は、対応する流通室(88a〜88d)の高さ方向のほぼ中央に位置している。
各連絡接続口(91a〜91d)には、連絡配管(92a〜92d)が差し込まれている。連絡配管(92a〜92d)は、円管状に形成されたアルミニウム合金製の部材である。連絡配管(92a〜92d)は、円筒部材(89)とロウ付けによって接合されている。
連絡配管(92a〜92d)の一端は、対応する流通室(88a〜88d)に開口している。具体的に、第1連絡配管(92a)の一端は、第1流通室(88a)に開口している。第2連絡配管(92b)の一端は、第2流通室(88b)に開口している。第3連絡配管(92c)の一端は、第3流通室(88c)に開口している。第4連絡配管(92d)の一端は、第4流通室(88d)に開口している。
図9に示すように、各連絡配管(92a〜92d)の他端は、第1ヘッダ集合管(60)に接続され、対応する連通室(62a〜62d)の下部に開口している。具体的に、第1連絡配管(92a)の他端は、第1連通室(62a)の下部に開口している。第2連絡配管(92b)の他端は、第2連通室(62b)の下部に開口している。第3連絡配管(92c)の他端は、第3連通室(62c)の下部に開口している。第4連絡配管(92d)の他端は、第4連通室(62d)の下部に開口している。つまり、各流通室(88a〜88d)と各連通室(62a〜62d)とは、各連絡配管(92a〜92d)を介して互いに連通している。連絡配管(92a〜92d)は、第1ヘッダ集合管(60)とロウ付けによって接合されている。
図9に示す室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する状態では、液配管(55)から混合室(87)へ気液二相状態の冷媒が流入し、液配管(55)から噴出した冷媒が縦仕切板(84)に衝突する。そして、混合室(87)内の冷媒は、4つの流通室(88a〜88d)へ分配される。具体的に、混合室(87)内の冷媒は、下側横仕切板(81a)の流量調節孔(83a)および縦仕切板(84)の下側の導入孔(85a)を通って第1流通室(88a)へ流入する。混合室(87)内の冷媒は、縦仕切板(84)の下側の流量調節孔(86a)を通って第2流通室(88b)へ流入する。混合室(87)内の冷媒は、縦仕切板(84)の上側の流量調節孔(86b)を通って第3流通室(88c)へ流入する。混合室(87)内の冷媒は、上側横仕切板(81b)の流量調節孔(83a)および縦仕切板(84)の上側の導入孔(85b)を通って第4流通室(88d)へ流入する。各流通室(88a〜88d)内の冷媒は、各連絡配管(92a〜92d)を通って第1ヘッダ集合管(60)の各連通室(62a〜62d)へ流入する。具体的に、第1流通室(88a)内の冷媒は、第1連絡配管(92a)を通って第1連通室(62a)へ流入する。第2流通室(88b)内の冷媒は、第2連絡配管(92b)を通って第2連通室(62b)へ流入する。第3流通室(88c)内の冷媒は、第3連絡配管(92c)を通って第3連通室(62c)へ流入する。第4流通室(88d)内の冷媒は、第4連絡配管(92d)を通って第4連通室(62d)へ流入する。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、各横仕切板(81a,81b)および縦仕切板(84)に形成される流量調節孔(83a,83b,86a,86b)の直径は全て実質的に等しいが、これに限らず、各流量調節孔(83a,83b,86a,86b)の直径は互いに異なっていてもよい。この場合、各流通室(88a〜88d)に分配されるべき冷媒の質量流量に応じて、各流量調節孔(83a,83b,86a,86b)の直径が設定される。
また、上記実施形態では、板状のフィン(36)に代えて波形のフィンが設けられていてもよい。このフィンは、いわゆるコルゲートフィンであって、上下に蛇行する波形に形成されている。そして、この波形のフィンは、上下に隣り合った扁平管(31,32)の間に1つずつ配置される。