ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)進路案内表示処理:
(3)他の実施形態:
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる進路案内表示システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両Cに備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aを記録する。地図情報30aは、道路区間(リンク)の端点(交差点)に対応して設定されたノードを示すノードデータと、ノード間の道路区間に関する情報を示すリンクデータと、ノード間の道路区間の形状を特定するための形状補間点データ等を含んでいる。リンクデータには、道路区間が含むレーンのレーン数と、各レーンの幅とを示すレーン情報とが含まれる。
車両Cは、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とカメラ44とユーザI/F部45とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両Cの現在位置を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、車両Cが備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。ジャイロセンサ43は、車両Cに作用する角加速度に対応した信号を出力する。制御部20は、ジャイロセンサ43から出力された信号等に基づいて車両Cの走行方向を取得する。カメラ44は、車両Cの前方の前方画像を撮影するイメージセンサである。
カメラ44は車両Cの前方を俯瞰した前方風景を撮影することにより、当該前方風景を示す前方画像を取得する。カメラ44が撮影した前方画像は、図示しないインタフェースを介して制御部20に出力される。本実施形態において、視点位置が車両Cの幅方向の中央位置における所定の高さとなるようにカメラ44が備えられている。また、視線方向が車両Cの走行方向と一致するようにカメラ44が備えられている。ユーザI/F部45は、制御部20から出力された制御信号に基づいて各種案内を出力する出力装置と、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置とを含む。ユーザI/F部45の出力装置は、音声により案内を出力するスピーカと、画像により案内を表示する表示部としてのディスプレイとを含む。
前方画像内の位置と車両座標系で表された実空間内の位置との対応関係を規定した位置変換テーブル(不図示)が記録媒体30に記録されている。車両座標系とは、車両Cの現在位置と走行方向を基準とする座標系である。制御部20は、位置変換テーブルを参照して前方画像内の位置と車両座標系で表された実空間内の位置とを相互に変換する。また、制御部20は、車両Cの現在位置と走行方向とに基づいて、車両座標系で表された位置を地図情報30aが採用する地図座標系の位置へと変換する。
進路案内表示プログラム21は、ナビゲーション部21aと表示制御部21bと検出部21cと先端位置設定部21dとを含む。
ナビゲーション部21aは、目的地までの走行予定経路を案内するために必要な各種機能を制御部20に実行させるモジュールである。ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43の出力信号等に基づいて車両Cの現在位置を特定する。そして、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、地図情報30aのリンクデータを参照することにより、車両Cの現在位置が存在する道路区間を走行道路区間として特定する。また、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、地図情報30aに基づいて、現在位置から目的地までの走行予定経路を公知の経路探索手法により探索する。本実施形態では走行予定経路が予め探索されていることとする。走行予定経路は、出発地から目的地までを接続する一連の道路区間によって構成される。なお、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、走行予定経路を取得できればよく、外部のコンピュータにおいて探索された走行予定経路を通信により取得してもよい。
表示制御部21bは、進路案内オブジェクトを車両の前方風景(前方画像)に重畳してユーザI/F部45に表示させる機能を制御部20に実行させるモジュールである。表示制御部21bの機能により制御部20は、カメラ44が撮影した前方画像を取得し、当該前方画像上に進路案内オブジェクトを重畳するとともに、当該進路案内オブジェクトが重畳された前方画像をユーザI/F部45に表示させる。
表示制御部21bの機能により制御部20は、予め探索された走行予定経路に沿った進路案内オブジェクトGを前方画像に重畳してユーザI/F部45に表示させる。表示制御部21bの機能により制御部20は、車両Cが交差点Mに対して所定距離以内まで接近している場合、走行予定経路に沿った進路Rを設定する。図2Aに示すように、進路Rは、推奨レーンF上において進入道路区間Iの方向に延びる進入部分R1と、退出道路区間Oの方向に延びる退出部分R2とが、交差点Mの中央位置P上に設定された屈曲点R3にて屈曲する折れ線状の進路である。
なお、進入道路区間Iとは、交差点Mを終点とする走行道路区間であり、走行予定経路上の道路区間である。退出道路区間Oとは、交差点Mに接続する走行予定経路上の道路区間であって、進入道路区間Iの次に車両Cが走行する予定の道路区間である。進入道路区間Iの方向とは、交差点Mに最も近い進入道路区間I上の形状補間点から、当該交差点Mに対応するノードに向かう方向である。退出道路区間Oの方向とは、交差点Mに対応するノードから、交差点Mに最も近い退出道路区間O上の形状補間点に向かう方向である。退出道路区間Oの方向は、交差点Mにおいて車両が退出する方向であり、退出予定方向を意味する。推奨レーンFとは、進入道路区間I上のレーンのうち、退出道路区間Oへと退出できるレーンである。図2Aの場合、進入道路区間Iから交差点Mに進入して当該交差点Mを右折することにより退出道路区間Oへと退出でき、推奨レーンFは進入道路区間Iの右端のレーンとなっている。
交差点Mの中央位置Pとは、推奨レーンFの幅方向の中央線fと、進入道路区間Iの方向において交差点Mを二等分する中央線mとの交点である。制御部20は、地図情報30aのレーン情報に基づいて推奨レーンFの幅方向の中央線fを取得する。また、制御部20は、交差点Mに接続している道路区間である接続道路区間の位置と幅とを地図情報30aから取得し、当該接続道路区間の位置と幅とに基づいて交差点Mの形状を取得する。そして、制御部20は、交差点Mの形状に基づいて、進入道路区間Iの方向において交差点Mを二等分する中央線mを取得する。なお、制御部20は、前方画像において接続道路区間の縁の線(縁石やガードレールや区画線等)の像を認識し、接続道路区間の縁の線の像の位置に基づいて交差点Mの中央線mを取得してもよい。むろん、交差点Mの中央線mは進入道路区間Iごとに地図情報30aに規定されていてもよい。
制御部20は、進入部分R1を推奨レーンFの幅方向の中央位置に設定し、長さが所定の長さ(例えば20m)となるように進入部分R1を設定する。また、制御部20は、進路R(退出部分R2)の先端の幅を徐々に狭くすることにより、進路Rの先端を尖った形状とする。進路Rの先端とは、進路Rのうち前方側(退出道路区間O側)の端を意味する。制御部20は、路面の高さに進路Rを設定し、進路Rの幅を推奨レーンFの幅よりも小さく、かつ、一定の幅に設定する。
図2Bは、進路Rの拡大図である。表示制御部21bの機能により制御部20は、屈曲点R3から退出道路区間Oの方向に延びる退出方向線Bを生成し、退出方向線B上における屈曲点R3から退出部分R2の先端位置Xまでの距離を所定の下限距離Y(例えば5m)に設定する。すなわち、制御部20は、退出部分R2の長さを下限距離Yに設定する。以下、退出部分R2の長さが下限距離Yに設定された進路Rを標準形状の進路Rと表記する。なお、後述する先端位置設定部21dの機能によって、退出部分R2の長さが下限距離Yよりも大きく設定され得る。
表示制御部21bの機能により制御部20は、進路Rを前方画像と同じ視点位置から同じ視線方向で俯瞰した画像を進路案内オブジェクトGとして描画する。具体的に、制御部20は、地図座標系において進路Rが設定された領域を、車両Cの現在位置と走行方向とに基づいて車両座標系の領域に変換する。さらに、制御部20は、進路Rが設定された車両座標系の領域を、位置変換テーブルを参照して前方画像内の領域に変換し、当該前方画像内の領域を、進路案内オブジェクトGに対して設定された色彩や透明度に応じて塗りつぶすことにより進路案内オブジェクトGを描画する。
検出部21cは、前方車両CFの位置を検出する機能を制御部20に実行させるモジュールである。検出部21cの機能により制御部20は、公知のテンプレートマッチングを行うことにより、前方画像において他車両COの像を認識する。テンプレート(不図示)は、前方を除く複数の方向(右側方〜後方〜左側方)から種々の車両を撮影することにより得られた画像である。制御部20は、テンプレートと特徴点の配置が所定基準以上類似する領域を他車両COの像として認識する。
検出部21cの機能により制御部20は、前方画像内における他車両COの像の位置を、車両Cの現在位置と走行方向を基準とする車両座標系で表された実空間内の位置へと変換する。なお、テンプレートマッチングした他車両COの像の位置と大きさと、車両座標系における他車両COの位置(平面視において他車両COが占める範囲)との対応関係を規定したテーブル(不図示)が記録媒体30に記録されており、制御部20は、当該テーブルを参照することにより車両座標系における他車両COの位置を検出する。本実施形態では、マッチングするテンプレートごとに、車両座標系における他車両COの位置がテーブルに規定されていることとする。さらに、制御部20は、車両Cの現在位置と走行方向とに基づいて、車両座標系における他車両COの位置を地図座標系における他車両COの位置へと変換することにより、地図座標系における他車両COの位置を検出する。
検出部21cの機能により制御部20は、地図座標系において標準形状の進路Rが設定された範囲を取得し、当該範囲内に少なくとも一部分が存在する他車両COのうち、進路Rの方向の最も前方側に存在する他車両COを前方車両CFとして検出する。これにより、進路Rを表す進路案内オブジェクトGと像が重なり得る他車両COを前方車両CFとして検出できる。また、進路R上において複数の他車両COが連なっている場合に、当該複数の他車両COのうち先頭の他車両COを前方車両CFとして検出できる。図2A,図2Bにおいては、右折が可能な推奨レーンF上にて対向車両の通過待ちをしている複数の他車両CO(矩形ハッチング)のうち、先頭の他車両COが前方車両CFとして検出される。
ただし、制御部20は、標準形状の進路Rの範囲内の最も前方側に存在する他車両COであっても、当該他車両COが停滞していない場合には当該他車両COを前方車両CFとして検出しない。他車両COが停滞するとは、当該他車両COの位置の移動速度が所定の停滞閾値(例えば3km/時)以下であることを意味する。従って、交差点Mを停滞閾値よりも大きい速度で通過する他車両COは前方車両CFとして検出されない。なお、標準形状の進路Rの範囲内の最も前方側に存在する他車両COが停滞していない場合、制御部20は、前方車両CFが存在しないと判定する。
先端位置設定部21dは、車両の前方に存在する前方車両CFの位置に応じて、進路案内オブジェクトGの先端位置を設定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。すなわち、先端位置設定部21dの機能により制御部20は、検出部21cの機能によって検出された前方車両CFの位置に応じて、進路案内オブジェクトGの先端位置を設定する。
先端位置設定部21dの機能により制御部20は、前方車両CFを避けた位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定する。具体的に、先端位置設定部21dの機能により制御部20は、交差点Mにおける前方車両CFの位置から、当該交差点Mにおける車両Cの退出予定方向に所定の回避距離U(例えば3m)だけ進んだ位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定する。回避距離Uは、例えば前方車両CFの位置の検出誤差よりも大きい距離に設定されており、予め前方車両CFの位置の検出精度を調査することにより設定されている。従って、前方車両CFの位置の検出誤差を考慮しても、前方車両CFよりも前方に進んだ位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定できる。
図2Bに示すように、制御部20は、前方車両CFが存在する場合、屈曲点R3から退出道路区間Oの方向に延びる退出方向線Bを生成し、前方車両CFの位置(例えば検出された前方車両CFの位置のうち、退出予定方向の端部)から退出方向線Bへと下ろした垂線の交点の位置を進行位置Wとして取得する。そして、制御部20は、退出方向線B上において進行位置Wから回避距離Uだけ進んだ位置に進路案内オブジェクトGが表す進路Rの先端位置Xを設定する。この場合、進路Rの退出部分R2の長さは下限距離Yよりも大きく設定され、進路Rは標準形状ではなくなる。図2Bにおいて、退出部分R2の長さは下限距離Yよりも大きくなるように設定された進路Rを破線で示す。
ただし、制御部20は、進行位置Wから回避距離Uだけ進んだ位置が、屈曲点R3から下限距離Yだけ進んだ位置よりも屈曲点R3側にある場合、屈曲点R3から下限距離Yの位置に進路Rの先端位置Xを設定する。すなわち、前方車両CFの位置に応じて進路Rの先端位置Xを設定すると、退出部分R2の長さが下限距離Yよりも小さくなる場合には、制御部20は、前方車両CFの位置に拘わらず標準形状の進路Rを設定する。これにより、退出部分R2の長さが小さくなり過ぎて、退出道路区間Oの方向が認識できなくなることを防止できる。なお、進路Rの先端位置Xを設定することは、当該進路Rを俯瞰した進路案内オブジェクトGの先端位置を前方画像内にて設定することを意味する。
先端位置設定部21dの機能により制御部20は、交差点Mにおける前方車両CFの移動に応じて進路案内オブジェクトGの先端位置を移動させる。ただし、先端位置設定部21dの機能により制御部20は、前方車両CFが交差点Mから退出した場合に、当該前方車両CFの移動に応じた進路案内オブジェクトGの先端位置の移動を終了させる。具体的に、制御部20は、前方車両CFの位置の移動速度が所定の停滞閾値よりも大きい状態が所定の判定期間(例えば3秒)以上継続した場合、前方車両CFが交差点Mから退出したと判定する。前方車両CFが検出された段階では前方車両CFの位置の移動速度は停滞閾値以下であるため、前方車両CFが交差点Mから退出することは、交差点Mにて一旦停滞していた前方車両CFが再度移動したことを意味する。
なお、検出部21cの機能により制御部20は、前方車両CFが交差点Mを退出したと判定しない限り、前方車両CFの位置が標準形状の進路Rの範囲外に移動したとしても継続して前方車両CFであると見なす。制御部20は、前方車両CFが交差点Mを退出したと判定するまでは、前方車両CFの位置を継続的に検出し、当該前方車両CFの位置を検出するごとに当該前方車両CFの位置から退出予定方向に所定距離だけ進んだ位置に進路Rの先端位置を更新する。前方車両CFが交差点Mから退出したと判定すると、検出部21cの機能により制御部20は、交差点Mから退出した他車両COを除いて前方車両CFを検出する。
図3Aは、退出方向線B上における進路Rの先端位置Xを示すグラフである。同図の横軸は時刻を示し、縦軸は退出方向線B上における先端位置Xを示す。同図に示すように、前方車両CFが存在しない場合、進路Rの先端位置Xは屈曲点R3から下限距離Yだけ進んだ位置に設定される。すなわち、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGが表示されることとなる。
一方、対向車両の通過待ちや歩行者の通過待ち等によって前方車両CFが交差点Mにおいて停滞している場合、進路Rの先端位置Xはほぼ一定となる。なお、3台目の前方車両CFのように、進路Rの手前側の位置に停滞する場合、進行位置Wから回避距離Uだけ進んだ位置が屈曲点R3から下限距離Yだけ進んだ位置よりも屈曲点R3側となり得る。この場合、屈曲点R3から下限距離Yだけ進んだ位置に進路Rの先端位置Xが設定され、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGが表示されることとなる。
停滞していた前方車両CFが交差点Mから退出するための移動を開始すると、進路Rの先端位置Xは前方車両CFの位置に追従して退出予定方向へと進んでいき、判定期間が経過した時点(交差点Mを退出したと判定した時点)で進路Rの先端位置Xの移動は終了する。また、交差点Mを退出したと判定した時点で後続の他車両COが進路R上を移動している場合には、前方車両CFが存在しないと判定され、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGが表示されることとなる。図3Aにおいて、2台目の前方車両CFは、1台目の前方車両CFが交差点Mを退出したと判定された時点で移動中であったことを意味する。一方、3台目の前方車両CFは、2台目の前方車両CFが交差点Mを退出したと判定された時点ですでに停滞していたことを意味する。
表示制御部21bの機能により制御部20は、以上のように先端位置Xが更新された進路Rを俯瞰した進路案内オブジェクトGを描画し、当該進路案内オブジェクトGを前方画像に重畳して表示させる。また、表示制御部21bの機能により制御部20は、進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFの像上に重畳される部分の透明度を、進路案内オブジェクトのうち前方車両CFから進路案内オブジェクトGの先端位置までの部分の透明度よりも大きく設定する。具体的に、制御部20は、進路Rのうち進行位置Wよりも車両C側の部分の透明度(例えば50%)を、進路Rのうち進行位置Wよりも先端位置X側の部分の透明度(例えば30%)よりも大きく設定する。なお、制御部20は、進路Rのうち進行位置Wよりも車両C側の部分の色相と、進路Rのうち進行位置Wよりも先端位置X側の部分の色相とを異なるように設定してもよいし、同じに設定してもよい。
以上説明した本実施形態の構成において、前方車両CFの像によって進路案内オブジェクトGの先端の視認性が悪化しないように、前方車両CFの位置に応じて進路案内オブジェクトGの先端位置を設定できる。従って、進路案内オブジェクトGの先端を明確に視認でき、運転者は車両Cが進むべき方向を明確に認識できる。図3Bは、進路案内オブジェクトGが重畳された前方画像を示す。本実施形態において、前方車両CFは、車両Cの走行予定の進路Rと同一の進路(右折の進路)を取っている前方の他車両COである。図3Bに示すように、車両Cの走行予定の進路Rと同一の進路を取っている前方車両CFは、進路Rを表す進路案内オブジェクトGの視認性を悪化させる他車両COとなる。このような前方車両CFを避けた位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定することによって、車両Cの走行予定の進路Rを表す進路案内オブジェクトGの先端を明確に視認できるようにすることができる。
また、検出部21cの機能によって前方車両CFの位置を検出することにより、その時ごとに異なる前方車両CFの位置や形状に応じて、進路案内オブジェクトGの先端位置を動的に設定できる。さらに、制御部20は、交差点Mにおける前方車両CFの位置から、当該交差点Mにおける車両Cの退出予定方向に回避距離U(例えば3m)だけ進んだ位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定している。進路案内オブジェクトGの先端によって前方車両CFよりもさらに退出予定方向に進んだ位置を認識できるため、交差点Mにおける退出予定方向を明確に認識できる。また、進路案内オブジェクトGのうち、前方車両CFよりもさらに退出予定方向に進んだ部分(進行位置W〜先端位置Xを表す部分)を当該前方車両CFと重ならないようにできるため、退出予定方向を明確に認識できる。さらに、連なっている複数の他車両COのうち先頭の他車両COの位置に応じて進路案内オブジェクトの先端位置を設定するため、確実に他車両COが存在しない位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定できる。
また、制御部20は、交差点Mにおける前方車両CFの移動に応じて進路案内オブジェクトGの先端位置を移動させるため、移動している前方車両CFを避けた位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定でき、進路案内オブジェクトの視認性が悪化することを防止できる。ただし、制御部20は、前方車両CFが交差点Mから退出した場合に、当該前方車両CFの移動に応じた進路案内オブジェクトGの先端位置の移動を終了させている。これにより、進路案内オブジェクトGの先端位置が大きく移動することを防止し、進路案内オブジェクトGの先端の視認性が悪化することを防止できる。さらに、進路案内オブジェクトGによって走行予定経路に沿った進路Rに案内できるため、確実に走行予定経路上を走行するように案内できる。
さらに、制御部20は、進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFの像上に重畳される部分(車両C〜進行位置Wを表す部分)の透明度を、進路案内オブジェクトのうち前方車両CFから進路案内オブジェクトGの先端位置までの部分の透明度よりも大きく設定している。これにより、前方車両CFも明確に視認することができる。また、進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFから進路案内オブジェクトGの先端位置までの先端部分(進行位置W〜先端位置Xを表す部分)の透明度を大きくしなくても済むため、退出予定方向を明確に認識できる。
(2)進路案内表示処理:
次に、進路案内表示プログラム21の機能により実行される進路案内表示処理を説明する。進路案内表示処理は、走行予定経路が探索されている場合に実行される実行される処理である。まず、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、車両Cの現在位置を取得する(ステップS100)。次に、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、車両Cから交差点Mまでの残距離を取得する(ステップS110)。なお、交差点Mとは、走行予定経路上の交差点であって、走行予定経路上を走行している車両Cが次に走行する交差点である。残距離とは、交差点Mに対応するノードの位置と、車両Cの現在位置までの直線距離である。
次に、ナビゲーション部21aの機能により制御部20は、車両Cから交差点Mまでの残距離が閾値(例えば50m)以下であるか否かを判定する(ステップS120)。
車両Cから交差点Mまでの残距離が閾値以下であると判定しなかった場合(ステップS120:N)、制御部20は、ステップS100に戻る。すなわち、交差点Mに接近していない場合には進路案内オブジェクトGを表示する必要がないとして、車両Cから交差点Mまでの残距離が閾値未満となるまで待機する。この場合、制御部20は、進路案内オブジェクトGを重畳していない前方画像をユーザI/F部45に表示させる。
一方、車両Cから交差点Mまでの残距離が閾値以下であると判定した場合(ステップS120:Y)、制御部20は、車両Cが交差点Mにおいて直進するか否かを判定する(ステップS130)。制御部20は、進入道路区間Iの方向と退出道路区間Oの方向との差の角度が閾値(例えば30度)未満である場合に、車両Cが交差点Mにおいて直進すると判定する。車両Cが交差点Mにおいて直進すると判定した場合(ステップS130:Y)、制御部20は、ステップS100に戻る。すなわち、車両Cが交差点Mにおいて直進する場合には進路案内オブジェクトGを表示する必要がないとして、車両Cが次の交差点Mに接近するまで待機する。この場合も、制御部20は、進路案内オブジェクトGを重畳していない前方画像をユーザI/F部45に表示させる。
一方、車両Cが交差点Mにおいて直進すると判定しなかった場合(ステップS130:N)、検出部21cの機能により制御部20は、他車両COの位置を検出する(ステップS140)。具体的に、制御部20は、公知のテンプレートマッチングを行うことにより、前方画像において他車両COの像を認識する。そして、制御部20は、認識した他車両COの像の位置と大きさ、および、車両Cの現在位置と走行方向に基づいて、地図座標系において他車両COの位置を検出する。
次に、表示制御部21bの機能により制御部20は、走行予定経路に沿った標準形状の進路Rを設定する(ステップS150)。具体的に、制御部20は、現在の走行道路区間である進入道路区間Iを構成するレーンであって、車両Cが交差点Mから退出する予定の退出道路区間Oへと退出可能なレーンを推奨レーンFとして取得する。そして、制御部20は、推奨レーンF上において進入道路区間Iの方向に延びる進入部分R1と、退出道路区間Oの方向に延びる退出部分R2とが、交差点Mの中央位置P上に設定された屈曲点R3にて屈曲する形状の進路Rを設定する。また、制御部20は、退出方向線B上における屈曲点R3から退出部分R2の先端位置Xまでの距離を所定の下限距離Yに設定する。
次に、検出部21cの機能により制御部20は、前方車両CFが存在するか否かを判定する(ステップS160)。すなわち、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGを表示した場合に、当該進路案内オブジェクトGの視認性を悪化させる他車両COが存在するか否かを判定する。具体的に、制御部20は、標準形状の進路Rの範囲内の最も前方側に存在する他車両COであり、かつ、停滞している他車両COが存在するか否かを判定する。停滞しているとは移動速度が停滞閾値(例えば3km/時)以下であることを意味する。一旦、前方車両CFとして特定された他車両COは、交差点Mから退出したと判定されない限り、継続的に前方車両CFとして検出されることとなる。すなわち、一旦、前方車両CFとして特定された他車両COは、移動速度が停滞閾値よりも大きい状態が判定期間(例えば3秒)以上継続しない限り、当該車両の位置が標準形状の進路Rの範囲外となっても継続的に前方車両CFとして検出される。前方車両CFが存在すると判定しなかった場合(ステップS160:N)、表示制御部21bの機能により制御部20は、進路Rの全体について一様な透明度(例えば40%)を設定する(ステップS170)。
次に、表示制御部21bの機能により制御部20は、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGを、ステップS170にて設定された透明度で描画する(ステップS180)。なお、標準形状の進路RはステップS150においてすでに設定されている。次に、表示制御部21bの機能により制御部20は、進路案内オブジェクトGを前方画像に重畳し、当該前方画像をユーザI/F部45に表示させる(ステップS190)。以上説明したように、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGの視認性を悪化させる他車両COが存在しない場合には、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGによって走行予定経路上の退出道路区間Oへと退出するように案内することができる。
一方、前方車両CFが存在すると判定した場合(ステップS160:Y)、制御部20は、前方車両CFの位置に応じて進路Rの先端位置Xを設定するか否かを判定する(ステップS200)。具体的に、先端位置設定部21dの機能により制御部20は、屈曲点R3から退出道路区間Oの方向に延びる退出方向線Bを生成し、前方車両CFの位置から退出方向線Bへと下ろした垂線の交点の位置を進行位置Wとして取得する(図2B)。そして、制御部20は、退出方向線B上において進行位置Wから回避距離Uだけ進んだ位置が、屈曲点R3から下限距離Yだけ進んだ位置よりも屈曲点R3側にある場合、前方車両CFの位置に応じて進路Rの先端位置Xを設定しないこととする(図3Aの3台目)。前方車両CFの位置に応じて進路Rの先端位置Xを設定すると判定しなかった場合(ステップS200:N)、制御部20は、ステップS170に進む。すなわち、前方車両CFの位置に応じて進路Rの先端位置Xを設定すると退出部分R2の長さが下限距離Yよりも小さくなる場合には、制御部20は、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGを表示させる。
一方、前方車両CFの位置に応じて進路Rの先端位置Xを設定すると判定した場合(ステップS200:Y)、先端位置設定部21dの機能により制御部20は、前方車両CFの位置に応じて先端位置Xが設定された進路Rを設定する(ステップS210)。具体的に、制御部20は、標準形状の進路Rと同様の進入部分R1と屈曲点R3とを設定するとともに、退出方向線B上において進行位置Wから回避距離Uだけ進んだ位置に進路Rの先端位置Xが設定された退出部分R2を設定する。次に、表示制御部21bの機能により制御部20は、進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFの像上に重畳される部分の透明度を、進路案内オブジェクトのうち前方車両CFから進路案内オブジェクトGの先端位置までの部分の透明度よりも大きく設定する(ステップS220)。具体的に、制御部20は、進路Rのうち進行位置Wよりも車両C側の部分の透明度(例えば50%)を、進路Rのうち進行位置Wよりも先端位置X側の部分の透明度(例えば30%)よりも大きく設定する。さらに、表示制御部21bの機能により制御部20は、前方車両CFの位置に応じて先端位置Xを設定した進路Rを表す進路案内オブジェクトGを、ステップS220にて設定された透明度で描画する(ステップS230)。
そして、表示制御部21bの機能により制御部20は、進路案内オブジェクトGを前方画像に重畳し、当該前方画像をユーザI/F部45に表示させる(ステップS190)。
以上説明したように、標準形状の進路Rを表す進路案内オブジェクトGの視認性を悪化させる他車両COが存在する場合には、前方車両CFを避けるように先端位置Xを設定した進路Rを表す進路案内オブジェクトGによって走行予定経路上の退出道路区間Oへと退出するように案内することができる(図3B)。
(3)他の実施形態:
さらに、先端位置設定部21dの機能により制御部20は、地図情報30aに基づいて交差点Mにおける前方車両CFの停滞領域を取得し、当該停滞領域から、当該交差点Mにおける車両の退出予定方向に所定の回避距離Uだけ進んだ位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定してもよい。停滞領域の退出予定方向側の端から回避距離Uだけ進んだ位置に先端位置を設定するため、実際に停滞領域のどこに前方車両CFが停滞していたとしても、進路案内オブジェクトGの先端の視認性が悪化することを防止できる。また、地図情報30aに基づいて進路案内オブジェクトGの先端位置を設定できるため、処理負荷を軽減できる。停滞領域とは、交差点Mにおいて他車両COが停滞する領域であり、交差点Mにおいて対向車両の通過待ちの通過待ちを行う領域であってもよい。交差点Mに対向車両の通過待ちを行うための停止線や歩行者が横断する横断歩道が設けられる場合、当該停止線や横断歩道の手前の領域を停滞領域と見なしてもよい。また、交差点Mのうち、対向車両が通過する対向車線(対向道路)と重ならない領域を停滞領域と見なしてもよい。
前記実施形態においては、交差点Mの手前において車両Cが直進する場合に、進路案内オブジェクトGを表示しないこととしたが、交差点Mにおいて直進する場合にも進路案内オブジェクトGを表示してもよい。この場合、退出部分R2が示す退出予定方向は直進方向となる。直進する他車両COが信号待ちをしている場合、制御部20は、当該他車両COを前方車両CFとして検出し、当該前方車両CFの位置よりも回避距離Uだけ直進方向に進んだ位置に進路Rの先端位置Xを設定してもよい。また、制御部20は、交差点Mの手前以外においても進路案内オブジェクトGを表示してもよい。すなわち、制御部20は、走行道路区間の道なりの進路Rを表す進路案内オブジェクトGを表示してもよい。走行道路区間上の踏切等の一旦停止地点にて停滞する他車両COがある場合、制御部20は、当該他車両COよりも道なり方向の前方に進んだ位置に進路Rの先端位置Xを設定してもよい。さらに、前記実施形態においては、交差点Mにて停滞している車両Cを前方車両CFとして検出したが、停滞することなく交差点Mを通過する車両Cも前方車両CFとして検出してもよい。
前記実施形態においては、進路Rの形状を交差点Mの中央位置Pにて屈曲する形状としたが、進路Rは他の形状を有してもよい。例えば、推奨レーンFから退出道路区間Oへと退出する場合の平均的な走行軌跡を調査しておき、当該走行軌跡を地図情報30aに記録しておいてもよい。そして、制御部20は、推奨レーンFから退出道路区間Oへと退出する場合の走行軌跡上に進路Rを設定してもよい。また、進路Rは、退出予定方向の複数の位置に先端位置Xが設定可能な形状を有していればよく、例えば退出部分R2のみで構成されてもよい。また、進入部分R1は、必ずしも推奨レーンF上のみに設定されなくてもよい。例えば、車両Cが推奨レーンF以外のレーンを走行する場合、進入部分R1は車両Cが走行している位置から推奨レーンFまでのレーン変更の進路を含んでいてもよい。
また、前記実施形態において、進路Rが設定される範囲にて前方車両CFを検出したが、必ずしも進路Rが設定される範囲と同一の範囲にて前方車両CFを検出しなくてもよい。例えば、制御部20は、標準形状の進路Rが設定される範囲を、前方車両CFの位置の検出誤差に応じて拡張した範囲にて前方車両CFを検出してもよい。また、推奨レーンFから退出道路区間Oへと退出する場合の走行軌跡上に設定された範囲にて前方車両CFを検出するとともに、前記実施形態と同様の進路Rを表す進路案内オブジェクトGを表示させてもよい。
前記実施形態においては、前方車両CFの位置の検出誤差に基づいて回避距離Uが設定されたが、回避距離Uは前方車両CFの位置の検出誤差とは異なる観点で設定されてもよい。回避距離Uは進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFの像と重ならない先端部分の長さに対応するため、前方画像上における当該先端部分の長さが所定長さとなるように回避距離Uが設定されてもよい。所定長さは、進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFの像と重ならない先端部分の長さの視認性に基づいて設定されてもよい。また、回避距離Uは、一定の値でなくてもよく、車両Cから交差点Mまでの残距離に応じて設定されてもよい。例えば、車両Cから交差点Mまでの残距離が小さくなるほど、回避距離Uを小さくすることにより、進路案内オブジェクトGのうち前方車両CFの像と重ならない先端部分の前方画像内における長さの増大を抑制してもよい。さらに、回避距離Uは、進路案内オブジェクトGの視認性が悪化するほど長くなるように設定されてもよい。例えば、前方画像における道路の像の色は時間帯に応じて変化するため、制御部20は、進路案内オブジェクトGの色が道路の像の色と近くなる時間帯ほど回避距離Uを長く設定してもよい。さらに、制御部20は、進路案内オブジェクトGの色が前方車両の色と近いほど回避距離Uを長く設定してもよい。また、制御部20は、前方車両の車種に応じて回避距離Uを設定してもよく、前方車両CFの像とマッチングしたテンプレートに対応付けられた車種がが大型の車種であるほど回避距離Uを長く設定してもよい。
前記実施形態においては、進路Rを前方車両CFの位置に応じて設定し、当該進路Rを表す進路案内オブジェクトGを描画したが、前方車両CFの位置に応じて予め描画された進路案内オブジェクトGを記録媒体30に記録しておいてもよい。また、車両Cから交差点Mまでの残距離や退出予定方向の変化に対応できるように、車両Cから交差点Mまでの残距離や退出予定方向ごとに進路案内オブジェクトGを記録媒体30に記録しておけばよい。そして、制御部20は、前方車両CFの位置と車両Cから交差点Mまでの残距離と退出予定方向とに対応する進路案内オブジェクトGを記録媒体30から取得し、当該進路案内オブジェクトGを前方画像に重畳して表示させてもよい。
前記実施形態においては、前方車両CFの位置から退出予定方向に回避距離Uだけ進んだ位置に進路Rの先端位置Xを設定したが、退出予定方向とは異なる方向にずれた位置に進路Rの先端位置Xを設定してもよい。例えば、制御部20は、前方画像において、進路案内オブジェクトGの先端位置が前方車両CFの像の位置を避けるように、進路Rの退出部分R2を退出予定方向の直交方向に平行移動させてもよい。
さらに、必ずしも進路Rの先端位置Xを設定しなくてもよく、制御部20は、前方画像内において認識した前方車両CFの像の位置に基づいて、前方画像内における進路案内オブジェクトGの先端位置を直接設定してもよい。例えば、制御部20は、退出道路区間Oの像と前方車両CFの像とを前方画像にて認識し、前方車両CFの像から所定画素数だけ退出道路区間Oの像側に移動した前方画像内の位置に進路案内オブジェクトGの先端位置を設定してもよい。
本発明は、進路案内オブジェクトを車両の前方風景に重畳して表示部に表示させる表示制御手段と、車両の前方に存在する前方車両の位置に応じて、進路案内オブジェクトの先端位置を設定する先端位置設定手段と、を備えていればよく、上述した実施形態とは異なる態様であってもよい。
進路案内オブジェクトは、走行予定の車両の進路を表す画像であればよく、前方風景に映り込んでいる領域内における車両の進路を表す画像であればよい。進路案内オブジェクトは、車両が走行する予定の道路を指し示してもよいし、車両が走行する予定のレーンを指し示してもよい。進路案内オブジェクトの先端位置とは、進路案内オブジェクトが表す進路のうち、当該進路の方向の前方側の端の位置であり、当該進路上を車両が最後に走行する位置である。進路案内オブジェクトが表す進路は、道路の路面上に設定された進路であってもよいし、路面から所定高さに設定された進路であってもよい。なお、進路案内オブジェクトは、進路案内オブジェクトが表す進路に沿った連続または不連続の線状の図形であってもよいし、矢印状の画像であってもよい。進路案内オブジェクトが矢印状の画像である場合、矢印の頭部によって進路案内オブジェクトの先端を容易に認識できる。
前方風景とは、車両から前方を見た風景であればよく、車載カメラによって前方を撮影した風景であってもよいし、地図情報に基づいて描画した風景であってもよいし、運転者が視認している実風景であってもよい。表示制御手段は、前方風景を表す前方画像を取得し、当該前方画像上に進路案内オブジェクトを重畳するとともに、当該進路案内オブジェクトが重畳された前方画像を表示部に表示させてもよい。また、表示部は、運転者がフロントガラス越しに見る前方風景(実風景)に重なるように設置されたヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)であってもよい。表示制御手段は、ヘッドアップディスプレイに進路案内オブジェクトを表示させることにより、進路案内オブジェクトを前方風景に重畳してもよい。
前方車両とは、車両(自車両)の前方に存在する他車両であって、進路案内オブジェクトの視認性を悪化させる他車両であればよい。進路案内オブジェクトは走行予定の車両の進路を表すため、前方車両は、当該進路上に存在する他車両であってもよい。すなわち、前方車両は、車両(自車両)の走行予定の進路と同一の進路を取っている前方の車両であってもよい。また、交差点にて進路案内オブジェクトを表示する場合、前方車両は、車両(自車両)の退出予定方向と同一の方向へと退出する他車両であってもよい。停滞している他車両は進路案内オブジェクトの視認性を長期間にわたって悪化させるため、停滞している他車両を前方車両として検出してもよい。停滞している他車両とは、車速が閾値以下の他車両であってもよい。さらに、複数の他車両が連なって停滞している場合、前方車両は、当該複数の他車両のうち先頭の他車両であってもよい。走行予定の進路上に存在する複数の他車両のうち、最も前方に進行している前方車両の位置に応じて進路案内オブジェクトの先端位置を設定すれば、運転者に進路の方向を明確に認識させることができる。
先端位置設定手段は、前方車両の位置に応じて進路案内オブジェクトの先端位置を設定すればよく、前方車両を避けた位置に進路案内オブジェクトの先端位置を設定してもよい。例えば、先端位置設定手段は、前方車両から所定距離だけ離れた位置に進路案内オブジェクトの先端位置を設定してもよい。
さらに、進路案内表示システムは、前方車両の位置を検出する検出手段を備えてもよい。そして、先端位置設定手段は、検出手段が検出した前方車両の位置に応じて、進路案内オブジェクトの先端位置を設定してもよい。検出手段を備えることにより、その時ごとに異なる前方車両の位置や形状に応じて、進路案内オブジェクトの先端位置を動的に設定できる。検出手段は、電磁的な手法(電波、赤外線等)によって前方車両を検出するセンサを含んでもよいし、前方をカメラで撮影した画像から前方車両を画像認識する画像認識装置を含んでもよい。さらに、検出手段は、外部のサーバーや他の車両との通信によって取得したデータに基づいて前方車両を検出してもよい。
また、先端位置設定手段は、交差点における前方車両の位置から、当該交差点における車両の退出予定方向に所定距離だけ進んだ位置に進路案内オブジェクトの先端位置を設定してもよい。進路案内オブジェクトの先端によって前方車両よりもさらに退出予定方向に進んだ位置を認識できるため、交差点における退出予定方向を明確に認識できる。また、進路案内オブジェクトのうち、前方車両よりもさらに退出予定方向に進んだ部分を当該前方車両と重ならないようにできるため、退出予定方向を明確に認識できる。さらに、連なっている複数の他車両のうち先頭の他車両の位置に応じて進路案内オブジェクトの先端位置を設定する場合、確実に他車両が存在しない位置に進路案内オブジェクトの先端位置を設定できる。
また、表示制御手段は、進路案内オブジェクトのうち前方車両の像上に重畳される部分の透明度を、進路案内オブジェクトのうち前方車両から進路案内オブジェクトの先端位置までの部分の透明度よりも大きく設定してもよい。これにより、前方車両も明確に視認することができる。また、進路案内オブジェクトのうち前方車両から進路案内オブジェクトの先端位置までの部分の透明度を大きくしなくても済むため、走行予定の進路の方向を明確に認識できる。
さらに、先端位置設定手段は、交差点における前方車両の移動に応じて進路案内オブジェクトの先端位置を移動させてもよい。これにより、移動している前方車両を避けるように進路案内オブジェクトの先端位置を移動させることができ、進路案内オブジェクトの視認性が悪化することを防止できる。また、先端位置設定手段は、前方車両が交差点から退出した場合に、当該前方車両の移動に応じた進路案内オブジェクトの先端位置の移動を終了させてもよい。これにより、進路案内オブジェクトの先端位置が大きく移動することを防止し、進路案内オブジェクトの先端の視認性が悪化することを防止できる。前方車両が交差点から退出した場合とは、交差点における前方車両の移動の継続期間が閾値以上となった場合であってもよいし、交差点における前方車両の走行距離が閾値以上となった場合であってもよいし、交差点における前方車両の車速が閾値以上となった場合であってもよい。さらに、前方車両が交差点から退出した場合とは、退出予定の道路である退出道路に対して前方車両が所定距離以内まで接近した場合であってもよい。
また、表示制御手段は、予め探索された走行予定経路に沿った進路案内オブジェクトを前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。進路案内オブジェクトによって進路を案内できるため、確実に走行予定経路上を走行するように案内できる。走行予定経路とは、公知の経路探索手法によって探索された経路であり、出発地から目的地までの経路であってもよい。進路案内オブジェクトが表す進路とは、走行予定経路上に形成された進路であればよく、走行予定経路を構成する道路区間のうち車両が走行すべき推奨レーン上に形成された進路であってもよい。
さらに、先端位置設定手段は、地図情報に基づいて交差点における前方車両の停滞領域を取得し、当該停滞領域から、当該交差点における車両の退出予定方向に所定距離だけ進んだ位置に進路案内オブジェクトの先端位置を設定してもよい。停滞領域から所定距離だけ進んだ位置に先端位置を設定するため、実際に停滞領域のどこに前方車両が存在していたとしても、進路案内オブジェクトの先端の視認性が悪化することを防止できる。また、地図情報に基づいて進路案内オブジェクトの先端位置を設定できるため、処理負荷を軽減できる。