JP6098050B2 - 複合多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、2以上の特性の異なる多結晶ダイヤモンドからなる複合多結晶ダイヤモンドに関し、特に結合剤を含まない複数の特性の異なる多結晶ダイヤモンド部からなる複合多結晶ダイヤモンドに関する。
ダイヤモンドは、本来絶縁体であり、また硬度、熱伝導率、耐熱性が高く、化学的安定性も優れていることから、切削工具、研磨材、放熱基板、センサ材料、バイオ関連材料、光学関連材料等の幅広い分野で利用されている。これらの用途において優れた特性を発揮させるべく、ダイヤモンド自体の特性を高めるための様々な工夫が従来からなされてきている。
例えば、ダイヤモンドの硬度を高めるためには、ナノ多結晶ダイヤモンドと呼ばれるナノサイズのダイヤモンド粒子を、結合剤を用いることなく結合すればよい。このような多結晶ダイヤモンドの一例が、例えば、特開2011−190124号公報等に記載されている。上記の手法を用いることで、ダイヤモンドの硬度を効果的に高めることが可能であるが、単体のダイヤモンドの硬度を高めるには、ある程度の限界がある。
ダイヤモンドには、ドーパントを添加することで、導電性を付与することも可能である。例えば、特開2012−66980号公報には、導電性を付与したダイヤモンド多結晶体が記載されている。ダイヤモンドの導電性を高めるには、ドーパントの添加量を増加させればよい。しかし、単体のダイヤモンドに対して、例えば、放電加工が可能な程度にまで導電性を付与するためには、多量のドーパントを添加する必要があるが、添加可能なドーパントの量にも限界がある。また、多量にドーパントを添加することで、ドーパントを添加しないダイヤモンドと比較して、ダイヤモンドの硬度が低下してしまう。
特開2012−66980号公報
上記のように、単体のダイヤモンドの特性を高めるべく、様々な方策を講じたとしても、限界がある。また、特定のダイヤモンドの特性を高めることができたとしても、別の特性を低下させてしまう場合が多々あった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、特性の異なる多結晶ダイヤモンドを組み合わせることで、所望の特性を高めながら、低下することが懸念される特性を補完することが可能となる、複合多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の複合多結晶ダイヤモンドは、結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンドからなる第1ダイヤモンド部と、結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンドからなり、第1ダイヤモンド部とは特性の異なる第2ダイヤモンド部とを備える。
上記特性は、電気特性と機械特性の少なくとも一方を含むことができる。上記第1ダイヤモンド部は添加元素を含み、該添加元素の合計濃度が0.0001質量%以上10質量%以下であり、第2ダイヤモンド部は添加元素の合計濃度が0.0001質量%未満としてもよい。上記第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部とはそれぞれ添加元素を含み、第1ダイヤモンド部における添加元素の合計濃度と、第2ダイヤモンド部とにおける添加元素の合計濃度は、0.0001質量%以上10質量%以下の範囲であり、かつそれぞれ異なる値であってもよい。
なお、本発明において、添加元素を添加するとは、添加元素を0.0001質量%以上添加することを言う。一方、添加元素を添加しないとは、炭素濃度が99.9999質量%以上であることを言う。
上記第1ダイヤモンド部は、99.9質量%以上の第1の炭素同位体を含み、第2ダイヤモンド部は、98.9質量%以上の第1の炭素同位体または第2の炭素同位体を含むとしてもよい。また、上記添加元素は、リチウム、ホウ素、リン、窒素、アルミニウム、硫黄、セレンのうち、少なくとも1つの元素からなるとすることができる。第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部とを積層してもよい。上記第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部とを積層した方向における、第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部との厚さは、それぞれ1nm以上100μm以下であり、第1ダイヤモンド部の厚さに対する、第2ダイヤモンド部の厚さの比が、0.0001以上10000以下であってもよい。
本発明に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法は、第1グラファイトを準備する工程と、第1グラファイト上に、第1グラファイトとは特性の異なる第2グラファイトを形成する工程と、第1グラファイトと第2グラファイトとを焼結することで、多結晶ダイヤモンドからなり、特性の異なる第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部を含む、複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程とを備える。
また、本発明に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法は、第1グラファイトを準備する工程と、第1グラファイトとは特性の異なる第2グラファイトを形成する工程と、第1グラファイトと第2グラファイトとを積層して焼結することで、第1多結晶ダイヤモンド部と第2多結晶ダイヤモンド部とを含む、複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程とを備えてもよい。
上記複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程においては、12GPa以上の圧力、1500℃以上の温度で結合剤を用いずに前記第1グラファイトと前記第2グラファイトとを焼結してもよい。上記第1グラファイトと第2グラファイトとを積層する前に、第1グラファイトと第2グラファイトの少なくとも一方を洗浄する工程をさらに備えてもよい。上記第1グラファイトと第2グラファイトとは、気相合成法によって作製することができる。
本発明に係る複合多結晶ダイヤモンドは、結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンドからなる第1ダイヤモンド部と、結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンドからなり、第1ダイヤモンド部とは特性の異なる第2ダイヤモンド部とを備えることにより、単体の多結晶ダイヤモンドでは得られない特性を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドの断面図である。 本発明の実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドの構成例を示す図である。 図2の変形例を示す図である。 図2の他の変形例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法を示すフローである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドについて説明する。
本発明の実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドは、結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンド(以下、「ナノ多結晶ダイヤモンド」と称する)からなる第1ダイヤモンド部1と、結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下であるナノ多結晶ダイヤモンドからなり、第1ダイヤモンド部1とは特性の異なる第2ダイヤモンド部2とを備える。特性とは、電気特性や機械特性、物理特性等が挙げられる。電気特性としては、例えば、導電性等、機械特性としては、硬度特性や耐摩耗性、物理特性としては、光学特性等が考えられる。これらの特性の異なる第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とを備えることで、一方の多結晶ダイヤモンド単体では得られない特性を得ることができる。
第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2は、いずれも、結合剤、焼結助剤、触媒等を実質的に含まないため、多結晶ダイヤモンドの結晶粒同士が強固に直接結合している。さらに、第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2は、結晶粒径が1nm以上500nm以下と微細なナノ多結晶ダイヤモンドからなるため、複合多結晶ダイヤモンドは、緻密で空隙の極めて少ない結晶組織を有することができる。このとき、結晶粒間の結合力の観点から、結晶粒径のばらつきが小さい方が好ましい。
なお、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とを構成する多結晶ダイヤモンドのうち、ナノ多結晶ダイヤモンドの比率を90質量%以上としてもよい。この場合においても、単結晶ダイヤモンド特有の劈開性を無くし、異方性のない多結晶体としての特性を有することができる。
また、本実施の形態における第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2は、不可避不純物量を極めて少なくすることもできる。これにより、結晶粒間の結合力をさらに強めることができる。不可避不純物とは、例えば、窒素、水素、酸素、硼素、シリコン、結晶粒の成長を促進するような遷移金属等を挙げることができ、これらの濃度を0.01質量%以下とするのが好ましい。つまり、不純物濃度が、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析での検出限界程度である。また、遷移金属については、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析やSIMS分析における検出限界程度である。
上記高純度の第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2からなる複合多結晶ダイヤモンドは、全体にわたって不純物濃度が極めて低くなる。また、該複合多結晶ダイヤモンドには、従来のような不純物の偏析も見られず、いずれの部分の不純物濃度も極めて低く、結晶粒界における不純物の濃度も、0.01質量%以下程度である。このように結晶粒界における不純物濃度が極めて低いことから、結晶粒界での結晶粒の滑りを抑制することができ、結晶粒同士の結合を強化することができる。それにより、第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2のヌープ硬度を高くすることができる。
さらに、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との界面における不純物濃度も、0.01質量%以下とすることができる。このため、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との界面での滑りを抑制することができ、第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2の結合を強化することができる。これにより、複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度も高くすることができる。また、結晶粒の異常成長をも効果的に抑制することができ、結晶粒径のバラツキも低減することができる。
第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とは、任意の構成とすることができる。例えば、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2の少なくとも一方に、添加元素を添加し、導電性を付与することができる。
一般に、ダイヤモンドにおいて、添加元素の濃度を高めると、電気伝導率は高まるが、硬度は低下する。このため、導電性を有する高硬度なダイヤモンドを得ることは難しく、相反する2つの特性図から、最適な添加元素の濃度を求め、これを精度よく実施したとしても、同時に実現できる特性値は限られていた。これに対し、本実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドは、添加元素濃度の異なる第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との構成比によっても、導電性と硬度とを制御することができる。これにより、単一の組成からなるダイヤモンドと比較して、同時に実現できる特性値の範囲が広げることができる。例えば、放電加工可能でかつ、100GPa以上の高硬度を有する多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
添加元素としては、例えば、リチウム、ホウ素、リン、窒素、アルミニウム、硫黄、セレン等のうち、1つ以上の元素を選ぶことができる。好ましくは、リチウム、ホウ素、リン、アルミニウムのうちから1つ以上の元素を選択し、より好ましくは、ホウ素、アルミニウムの少なくとも一方を選択する。
上記の添加元素を、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2の少なくとも一方に、0.1質量%以上添加することによって、著しく導電性が高まり、電気的特性を付与できるだけでなく、放電加工性を向上することができた。
さらにこのとき、添加元素濃度は10質量%以下に抑える必要があることを、本発明者らは見出した。つまり、添加元素濃度が10質量%を超えると、多結晶ダイヤモンドの粒界に添加元素あるいはその化合物が析出し、硬度が劇的に低下した。例えば、添加元素濃度が10質量%まではヌープ硬度は100GPa以上であったところ、添加元素濃度が11質量%でヌープ硬度は60〜70GPaにまで低下した。さらに摩耗特性も、多結晶ダイヤモンドの結晶粒が欠落することにより、添加元素を添加しない時と比較して、半分以下に低下してしまうことが分かった。これは同時に、添加元素あるいはその化合物が多結晶ダイヤモンドの粒界に析出することにより、複合多結晶ダイヤモンドにおいて硬度特性や電気特性等に局所的なムラが生じ、これらの特性が阻害されることを類推させ得るものであった。
また、添加元素の濃度を10質量%以下とすることにより、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との界面に添加元素あるいはその化合物が析出するのを抑制することができる。これにより、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との結合強度の低下を抑制できる。つまり、本発明者らは、添加元素の濃度を0.1質量%以上10質量%以下とするのが好ましいことを見出した。
第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2の他の構成例として、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2の一方を、炭素同位体12Cの濃度が99.9質量%以上の多結晶ダイヤモンドとしてもよい。なお、炭素同位体としては、13Cでもよい。一方のダイヤモンド部の、一つの炭素同位体の濃度を99.9質量%以上に高めることで、ヌープ硬度を120GPa以上とすることができる。このとき、他方のダイヤモンド部は、任意の多結晶ダイヤモンドとすることができ、例えば、添加元素を添加することによって導電性を付与してもよい。これにより、高硬度かつ導電性を有する複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。また、他方のダイヤモンド部における一つの炭素同位体を任意の濃度とすることにより、硬度を制御可能としてもよい。これにより、任意の硬度特性の複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とは、層状に形成されて、積層体として複合多結晶ダイヤモンドを構成してもよい。第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とを層状にすることで、層平面内においては同等の特性を得ることができる。さらに層状の第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とを積層することにより、それぞれの特性を同時に得ることができる。例えば、第1ダイヤモンド部1は添加元素濃度を高めて導電性を付与する一方で、第2ダイヤモンド部2は添加元素を付与せず高硬度とし、これらの積層体とすることで、導電性を有し、かつ高硬度の複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
このとき、各層の厚みを適当に構成することにより、複合多結晶ダイヤモンドの特性を制御し、任意の特性を選択して実現させることもできる。例えば、複合多結晶ダイヤモンドを放電加工する場合には、第1ダイヤモンド部1および第2ダイヤモンド部2の厚さはともに100μm以下とするのが好ましい。本発明者らは、導電性を有さない第2ダイヤモンド部2が100μm以上の厚みのときには、1MV/cm以上の極めて高い耐電界強度を有するため、放電加工による加工が不可能することができないことを見出した。添加物を添加した第1ダイヤモンド部1については、任意の厚みを採用することができるが、複合多結晶ダイヤモンドの硬度の観点から、厚みが100μm以下であるのが好ましいことがわかった。
複合多結晶ダイヤモンドを積層体としたときの構造は、図1を参照して、2層以上の構造とすることができる。このとき、図1を参照して、第1ダイヤモンド部1の厚さaに対する、第2ダイヤモンド部2の厚さbの比b/aは、特に制限するものではない。しかし、第1ダイヤモンド部1あるいは第2ダイヤモンド部2の一方が添加元素を含むものとした場合には、硬度の観点から、比b/aは0.0001以上10000以下が好ましく、より好ましくは、0.1以上10以下である。
一方、複合多結晶ダイヤモンドの幅dおよび奥行(図示しない)は、目的とする構造、デバイス、応用工具、器具等に合わせて任意の値としてもよい。また、複合多結晶ダイヤモンドの形状も、立方体、直方体、円柱等、任意の形状とすることができる。
さらに、図2および図3を参照して、複合多結晶ダイヤモンドは、上記2層構造を基本単位として、これらを複数積層させた多層構造としてもよい。層の数や各層の厚さは、任意に選択することができる。図3を参照して、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との厚さが異なっていてもよい。また、図4を参照して、各層の厚さは、非周期的でもよい。
以上のように、複合多結晶ダイヤモンドを構成する第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2とを、上述の条件内において任意に構成できることにより、単一の組成のダイヤモンドでは同時に得ることが難しい複数の特性を、同時に、かつ多様に実現することができる。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドは、第1グラファイトを準備する工程(S01)と、第1グラファイト上に、第1グラファイトとは特性の異なる第2グラファイトを形成する工程(S02)と、第1グラファイトと第2グラファイトとを焼結することで、第1多結晶ダイヤモンド部と第2多結晶ダイヤモンド部とを含む、複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程(S03)とを備える。第1グラファイトと第2グラファイトとを同時に焼結し、直接的に多結晶ダイヤモンドに変換することで、結合剤を含まず、1nm以上500nm以下の結晶粒径を有する複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
第1グラファイトを準備する工程(S01)では、真空チャンバ内に導入した炭化水素ガスを1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して基材上に形成した、グラファイトとすることができる。このとき、真空チャンバ内の真空度は、20〜100Torr程度とすればよい。それにより、気相の炭化水素から直接基材上に、多結晶である固相のグラファイトを形成することができる。また、炭化水素ガスの純度を高めることで、不純物量の極めて少ないグラファイトを基材上に作製することができる。例えば、真空チャンバ内に導入した99.99%以上の純度の炭化水素ガスを1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して基材上に形成したグラファイトは、不純物濃度を0.01質量%以下とすることができる。なお、炭化水素ガスとしては、メタンガスを使用することが好ましい。
グラファイトを基材上に作製する際には、真空チャンバ内に設置した基材を1500℃以上の温度に加熱する。加熱方法としては周知の手法を採用することができる。たとえば、基材を直接あるいは間接的に1500℃以上の温度に加熱可能なヒータを真空チャンバに設置することが考えられる。
グラファイト作製用の基材としては、1500℃から3000℃程度の温度に耐え得る材料であればいかなる固相材料であってもよい。具体的には、金属、無機セラミック材料、炭素材料を基材として使用可能である。グラファイト中への不純物混入を抑制するという観点からは、上記基材を炭素で構成することが好ましい。固相の炭素材料としてはダイヤモンドやグラファイトを挙げることができる。グラファイトを基材として使用する場合、上述の手法で作製した不純物量の極めて少ないグラファイトを基材として使用することが好ましい。
なお、基材の材料としてダイヤモンドやグラファイトのような炭素材料を使用する場合、基材の少なくとも表面を炭素材料で構成すればよい。たとえば、基材の表面のみを炭素材料で構成し、基材の残りの部分を炭素材料以外の材料で構成してもよく、基材全体を炭素材料で構成してもよい。
次に、第1グラファイト上に、第1グラファイトとは特性の異なる第2グラファイトを形成する。本工程(S02)も、例えば、真空チャンバ内に導入した炭化水素ガスを1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して第1グラファイト上に形成することができる。このとき、第2グラファイトの形成条件を選択することにより、第2グラファイトに任意の特性を付与することができる。
例えば、気相の炭化水素に加えて、添加元素を含む化合物ガス、あるいは有機金属化合物を気化させたガスを、真空チャンバに導入し、1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して第1グラファイト上に形成した第2グラファイトには、導電性を付与することができる。
添加元素を含む化合物ガスあるいは有機金属化合物を気化させたガスとして、例えば、添加元素がホウ素であれば、ホウ素の水素化物からなる第1のガス、あるいは、トリメチル硼素、トリエチル硼素から選ばれる一つ以上のガスからなる有機金属系の第2のガスのいずれかを使用可能である。上記ガスの2つ以上を適宜混合することも考えられる。
また、炭素同位体の濃度を99.9質量%以上に高めた炭化水素ガスを、真空チャンバに導入し、1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して第1グラファイト上に形成した第2グラファイトは、全体に亘って不純物濃度が極めて低くすることができる。
なお、工程(S01)と工程(S02)において、気相合成法により第1グラファイトと、第2グラファイトとを連続して形成するのが好ましい。これにより、第1グラファイトと第2グラファイトとの界面が汚染するのを防止でき、清浄面を露出させる工程を省略できる。さらに、真空チャンバへの導入ガスの流量や、真空排気量を制御することによって、第1グラファイトと第2グラファイトとの界面近傍において、連続的な、あるいは急峻な濃度勾配を付与することができる。
また、工程(S01)においても、工程(S02)と同様に、添加元素を任意の量を添加してもよいし、炭素同位体の濃度を任意の値としてもよい。第1グラファイトと第2グラファイトとを、それぞれ任意の異なる条件で形成できる。これにより、異なる組成のグラファイト成型体を得ることができる。
第1グラファイトと第2グラファイトとを形成した後には、これらを焼結することで、第1多結晶ダイヤモンド部と第2多結晶ダイヤモンド部とを含む、複合多結晶ダイヤモンドを作製する。本工程(S03)では、第1グラファイトと第2グラファイトとを、温度1500℃以上、圧力12GPa以上の条件下で焼結し、ナノ多結晶ダイヤモンドからなる複合多結晶ダイヤモンドを作製する。これにより、結合剤、焼結助剤、触媒等を実質的に含まないナノ多結晶ダイヤモンドが得られる。
さらにこのとき、工程(S01)および工程(S02)において形成した第1グラファイトおよび第2グラファイトの組成を反映した、複合多結晶ダイヤモンドを作製することができる。つまり、添加元素を添加したグラファイトを上記の条件で焼結することにより、添加元素を含み、導電性を有したナノ多結晶ダイヤモンドを得ることができる。また、1種の炭素同位体の濃度を高めたグラファイトを上記の条件で焼結することにより、不純物濃度が極めて少ない複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
以上のように、本実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法によれば、第1グラファイトと、第1グラファイト上に形成した第2グラファイトとを同時に焼結することにより、それぞれ第1多結晶ダイヤモンド部と第2多結晶ダイヤモンド部と直接的に変換できる。これにより、結合剤等を含まず、第1ダイヤモンド部1と第2ダイヤモンド部2との界面の結合状態が優れた複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
なお、添加元素を添加しないグラファイトから直接的に変換されて得られた多結晶ダイヤモンドは、光が照射された場合に、光が透過し、黄色透明な領域として現れる。それに対し、添加元素を添加したグラファイトから直接的に変換されて得られた多結晶ダイヤモンドは、透光性を有さない。そのため、複合多結晶ダイヤモンドに光を照射することにより、添加元素が添加されていない領域と、添加元素が添加されている領域とは明確な模様として確認することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る複合多結晶ダイヤモンドは、基本的には実施の形態1に係る複合多結晶ダイヤモンドと同等であるが、複合多結晶ダイヤモンドの製造方法の工程(S02)において、第1グラファイトと別体として、第2グラファイトを準備し、工程(S03)において、第1グラファイトと第2グラファイトとを積層させた後焼結する点で、実施の形態1と異なる。
工程(S01)において準備する第1グラファイトと、工程(S02)において準備する第2グラファイトとは、別体として任意の方法で作製される。この場合には、工程(S01)と工程(S02)とを真空チャンバ内で連続して実施することができる実施の形態1と比較して、第1グラファイトと第2グラファイトの表面が汚染されるリスクが高い。そのため、工程(S03)において、第1グラファイトと第2グラファイトとを積層させて焼結する前に、第1グラファイトと第2グラファイトとの界面となるそれぞれの面に対して、清浄面を露出させる工程を施すことが好ましい。
清浄面を露出させる工程としては、例えば、第1グラファイトと第2グラファイトとを重ね合わせて界面となる面において、清浄面を露出させ、さらにそれぞれの清浄面同士を不活性ガス雰囲気中において向かい合うように積層させて、焼結するための容器に封入すればよい。
これによって、別体として準備した、第1グラファイトと第2グラファイトとから、界面の結合状態が良好な複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。このとき、第1グラファイトと第2グラファイトとの一方に、添加元素を添加した場合には、第1グラファイトと第2グラファイトとの界面では、急峻な濃度勾配を示す複合多結晶ダイヤモンドを得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度の第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。第1グラファイトの層状成型体と第2グラファイトの層状成型体の密度は、いずれも1.8g/cmであった。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
得られた複合多結晶ダイヤモンドに光を照射したところ、光を透過した黄色透明な層と、透光性を失った層との明確な縞模様を確認した。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は130GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は115GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度の第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。第1グラファイトの層状成型体と第2グラファイトの層状成型体の密度は、いずれも2.0g/cmであった。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
得られた複合多結晶ダイヤモンドに光を照射したところ、光を透過した黄色透明な層と、透光性を失った層との明確な縞模様を確認した。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は130GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は120GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度の第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力18GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
得られた複合多結晶ダイヤモンドに光を照射したところ、光を透過した黄色透明な層と、透光性を失った層との明確な縞模様を確認した。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は130GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は120GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は125GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度の第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
得られた複合多結晶ダイヤモンドに光を照射したところ、光を透過した黄色透明な層と、透光性を失った層との明確な縞模様を確認した。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は150GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は135GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は140GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度の第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
得られた複合多結晶ダイヤモンドに光を照射したところ、光を透過した黄色透明な層と、透光性を失った層との明確な縞模様を確認した。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は150GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は140GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は145GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度の第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力18GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
得られた複合多結晶ダイヤモンドに光を照射したところ、光を透過した黄色透明な層と、透光性を失った層との明確な縞模様を確認した。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は150GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は130GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は140GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、添加元素としてホウ素を0.001質量%添加した第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を1質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径50nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
この複合多結晶ダイヤモンドに、二次電子顕微鏡(SEM)により電子を照射すると、導電性の低い低添加物濃度の第1ダイヤモンド部と、導電性の高い高添加物濃度の第2ダイヤモンド部とが異なるコントラストをもって現れるため、明確な縞模様として観察できた。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は150GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は135GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は140GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、添加元素としてホウ素を0.001質量%添加した第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、添加元素としてホウ素を0.6質量%添加した第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径50nmの粒子からなる厚さ1000μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径200nmの粒子からなる厚さ1000μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
この複合多結晶ダイヤモンドに、二次電子顕微鏡(SEM)により電子を照射すると、導電性の低い低添加物濃度の第1ダイヤモンド部と、導電性の高い高添加物濃度の第2ダイヤモンド部とが異なるコントラストをもって現れるため、明確な縞模様として観察できた。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は160GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は140GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は150GPaであった。
本発明の実施の形態2に係る複合多結晶ダイヤモンドの製造方法において、工程(S01)において、天然炭素同位体存在比(12C:98.9%、13C:1.1%)でかつ、不純物濃度が0.01質量%以下である第1グラファイトの層状成型体と、工程(S02)において、炭素同位体12Cの濃度を99.9%に高めた、不純物濃度が0.001質量%以下である第2グラファイトの層状成型体とを準備した。
工程(S03)において、それぞれのグラファイトが重なる面を清浄面とし、不活性ガス雰囲気中で清浄面同士を向かい合わせて積層させ、焼結するための容器に封入し、これを温度2000℃、圧力18GPaの高温高圧下で焼結して多結晶ダイヤモンドに直接的に変換した。これにより、結合剤を含まず、結晶粒径100nmの粒子からなる厚さ10μmの層状の第1ダイヤモンド部と、結晶粒径50nmの粒子からなる厚さ50μmの層状の第2ダイヤモンド部とからなる複合多結晶ダイヤモンドを得た。
このとき、第1ダイヤモンド部のヌープ硬度は175GPa、第2ダイヤモンド部のヌープ硬度は200GPaであった。複合多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は187GPaであった。
以下、比較例として、単一の組成のグラファイトを直接変換したときのヌープ硬度を示す。
(比較例1)
水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度がSIMS分析で0.001質量%以下である高純度のグラファイト成型体を、温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して直接変換して得られたナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、130GPaであった。
(比較例2)
添加元素としてホウ素を1質量%添加したグラファイト成型体を、温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して直接変換して得られたナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、115GPaであった。
(比較例3)
高純度グラファイト成型体を、温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して直接変換して得られたナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、150GPaであった。
(比較例4)
気相でホウ素を1質量%添加したグラファイト成型体を、温度2000℃、圧力20GPaの高温高圧下で焼結して直接変換して得られたナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、135GPaであった。
以上の実施例では、結晶粒径が50〜200nm程度であり、かつ、添加元素濃度や炭素同位体濃度が異なる第1のダイヤモンド部と第2のダイヤモンド部とを備える複合多結晶ダイヤモンドを作製することで、単一の組成のダイヤモンドでは同時に得ることが困難であったヌープ硬度や導電性等の特性を同時に得ることができることが確認できた。
しかし、実施例以外の条件であっても、特許請求の範囲に記載の範囲であれば、同等の特性を有する複合多結晶ダイヤモンドを作製できるものと考えられる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
1 第1ダイヤモンド部、2 第2ダイヤモンド部。

Claims (13)

  1. 結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンドからなる第1ダイヤモンド部と、
    結合剤を含まず、結晶粒径が1nm以上500nm以下である多結晶ダイヤモンドからなり、前記第1ダイヤモンド部とは特性の異なる第2ダイヤモンド部とを備えた、複合多結晶ダイヤモンド。
  2. 前記特性は、電気特性と機械特性の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  3. 前記第2ダイヤモンド部は添加元素を含み、該添加元素の合計濃度が0.0001質量%以上10質量%以下であり、
    前記第1ダイヤモンド部は、前記添加元素の合計濃度が0.0001質量%未満である、請求項1または請求項2に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  4. 前記第1ダイヤモンド部と前記第2ダイヤモンド部とは、それぞれ添加元素を含み、
    前記第1ダイヤモンド部における前記添加元素の合計濃度と、前記第2ダイヤモンド部とにおける前記添加元素の合計濃度は、ともに0.0001質量%以上10質量%以下の範囲であり、かつ、それぞれ異なる値である、請求項1または請求項2に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  5. 前記第1ダイヤモンド部は、99.9質量%以上の第1の炭素同位体を含み、前記第2ダイヤモンド部は、98.9質量%以上の前記第1の炭素同位体または第2の炭素同位体を含む、請求項1または請求項2に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  6. 前記添加元素は、リチウム、ホウ素、リン、窒素、アルミニウム、硫黄、セレンのうち、少なくとも1つの元素からなる、請求項3または請求項4に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  7. 前記第1ダイヤモンド部と前記第2ダイヤモンド部とを積層した、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  8. 前記第1ダイヤモンド部と前記第2ダイヤモンド部とを積層した方向における、前記第1ダイヤモンド部と前記第2ダイヤモンド部との厚さは、それぞれ1nm以上100μm以下であり、
    前記第1ダイヤモンド部の厚さに対する、前記第2ダイヤモンド部の厚さの比が、0.0001以上10000以下である、請求項7に記載の複合多結晶ダイヤモンド。
  9. 第1グラファイトを準備する工程と、
    前記第1グラファイト上に、前記第1グラファイトとは特性の異なる第2グラファイトを形成する工程と、
    前記第1グラファイトと前記第2グラファイトとを焼結することで、多結晶ダイヤモンドからなり、特性の異なる第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部を含む、複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程とを備える、複合多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  10. 第1グラファイトを準備する工程と、
    前記第1グラファイトとは特性の異なる第2グラファイトを形成する工程と、
    前記第1グラファイトと前記第2グラファイトとを積層して焼結することで、多結晶ダ
    イヤモンドからなり、特性の異なる第1ダイヤモンド部と第2ダイヤモンド部を含む、複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程とを備える、複合多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  11. 前記複合多結晶ダイヤモンドを作製する工程においては、12GPa以上の圧力、1500℃以上の温度で結合剤を用いずに前記第1グラファイトと前記第2グラファイトとを焼結する、請求項9または請求項10に記載の複合多結晶ダイヤモンドの製造方法
  12. 前記第1グラファイトと前記第2グラファイトとを積層する前に、前記第1グラファイトと前記第2グラファイトの少なくとも一方を洗浄する工程をさらに備える、請求項10または請求項11に記載の複合多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  13. 前記第1グラファイトと前記第2グラファイトとは、気相合成法によって作成される、請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載の複合多結晶ダイヤモンドの製造方法。
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