JP6097383B2 - 流体試料のためのマイクロフロー濾過システム及びフロー濾過方法 - Google Patents

流体試料のためのマイクロフロー濾過システム及びフロー濾過方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体試料に含有される成分の濃度を増加させるためのマイクロフロー濾過システム及びフロー濾過方法に関する。システムは、流体試料の通過により濃縮液の流れと浸透液の流れとに流体試料を分離することが可能な半透膜を有する接線流(タンジェンシャルフロー)濾過モジュール(TFF−モジュール)を備えた流体チャネルを備える。流体は、TFF−モジュールを通過しそれにより流体の濃度を増加させるチャネル内を双方向に流れることができる。
精製又は濃縮のために半透膜を使用して流体試料を濾過する流体フロー濾過システムは、技術水準において公知である。これらのシステムは、精製の場合には微粒子状若しくは分子状汚染物質を除去するために使用され、又は例えば研究室での分析のためには流体内の成分の濃度を増加させるために使用される。このような濾過システムの膜は、流体試料のフローに対して法線向きに配置されることができ、法線流濾過として特徴づけられるか、又は膜面が、流体試料のフローに略平行に配置されることができ、接線流濾過システム(TFF−システム)として公知である。
接線流濾過システムは、対応する法線流濾過システムと比べて高い流束及び高い処理量がこのようなシステムによって多くの場合達成され得るように、膜面と略平行な試料のフローの方向により自動的な払拭及び洗浄が行われるという利点を有する。更に、目詰まり、ファウリング及び局所的に増加した濃度がこのようなシステム内で生じないように、試料の大きな画分が継続的に膜面上を流れる。これらの及び他の利点に関連して、接線流濾過システム(TFF−システム)は、多くの場合工業的な製薬プロセス、並びに生物工学又は食品及び飲料産業のような他の工業プロセスで使用される。
半透膜を有する接線流濾過モジュールを流体が通過する間、膜の孔径より小さい溶液の成分は浸透液の流れとして膜を通過して流れ、他方で大きな成分は濃縮液の流れに保持される。濃縮液の流れは、フロー回路内で再循環又は再方向付けされて、再び膜を越えて連続的にポンピングされる。このようなTFF−システムは、浸透液の流れがシステムから引き出される際に試料溶液の体積を大幅に低減させるために使用される。したがって、システムが濃縮モードで稼働するときに、試料溶液は濃縮される。
接線流濾過システムは、多くの場合、生物工学及び治療剤の生成で使用される。濾過プロセスは、通常、例えばタンパク質、粒子、凝集体、イオン、細菌、ウイルス、核酸、糖類などの活性成分の濃度を増加させるために使用される。新規なタンパク質の開発では、濃縮されるタンパク質を含有する流体試料は、多くの場合、数ミリリットル(mL)の少量でのみ入手可能である。加えて、これらのタンパク質溶液は、多くの場合、コストがかかり、又は生成が困難である。したがって、同様に約20mL以下の少ない量が濃縮プロセスのための開始体積として使用されることが望ましい。
このような少量の流体試料の扱いは、非常に困難である。このような小さな流体体積で動作することが可能なフロー濾過システムは少数しか存在しない。通常は、接線流濾過モジュールを備える回路、流体試料を含むリザーバ、1つ以上の圧力センサ、バルブ、及び流体試料を回路内で移動させるポンプを備えたフロー濾過システムが使用される。回路内の一方向のフローが発生するように流体は回路によるループ内を移動させられる。ループ回路及び内部のリザーバを備えるこのような濾過システムは、内部のリザーバが回路の最小作業容積に追加的に大きく寄与するという欠点を有する。
小さな流体体積で所定の濃縮倍率を実現することは、最小作業容積が非常に小さくなければならないという要求を導く。所望の濃縮倍率は、開始体積と回路の最小作業容積との比率として推定され得る。したがって、例えば開始体積が20mLで、要求される濃縮倍率が20である場合には、回路の最小作業容積は最大1mLでなければならない。最小作業容積は、回路を通る連続フローが配置され得るように空気をポンピングせずに回路内を移動することができる流体の量である。接線流濾過モジュールを通過する一方向のフローの更なる欠点は、膜を通過することができない分子の膜の長さにわたる分布が不均一であることである。濃縮液チャネルの下流側での分子の数は、多くの場合、上流側と比較して増加する。したがって、TFF−モジュールの濃縮液口の近傍で、ファウリング又は目詰まりが、濃縮プロセスの動作時間をわたって生じる場合がある。
したがって、少量の流体試料が濃縮されなければならない場合には、双方向濾過システムが使用され得る。このようなシステムは、2つの端部を有した直線状の流体チャネル中で一体化される接線流濾過モジュールを備える。2つのポンプを使用して流体がTFF−モジュールを通過して双方向にポンピングされ得るように、両端にピストンポンプ又はシリンジポンプが配置される。ピストンポンプは、濃縮される流体試料を含むためのリザーバを有する。リザーバは、ポンプの行程容積(シリンダ容積)に対応する。したがって、ピストンポンプの行程容積と同じ範囲である小さな体積範囲でポンプが最適に作業するように、ピストンポンプは別個の体積範囲のために設計される。小さな体積が扱われるほど、濾過システム内で流体を移動させるために使用されるピストンストローク量は小さくなる。その結果、濾過プロセスの最後に処理される小さな流体体積に対しては、ピストンストローク量も同様に非常に小さく、それにより比較的大きなずれ及び比較的大きな不正確さがもたらされるという欠点が導かれる。
したがって、特に医薬品及び生物工学産業では、少量の流体試料で、好ましくは20mL未満の開始体積で作動することが可能な、及び大きな濃縮率で溶液の成分を濃縮することが可能な接線流濾過システムに対する強い要求が依然として存在する。このような濾過システムは、未だ市販されていない。本発明の目的は、少量の流体を扱うこと及び要求された濃縮率を提供することが共に可能な最適化されたTFF−システムを提供することである。更に、TFF−モジュールでの目詰まり及びファウリングが、濾過プロセス間、長い時間帯にわたって回避されなければならない。
問題は、請求項1に記載の特性を有する流体プロセスを実行するためのマイクロフロー濾過システムによって解決される。目的はまた、請求項11に記載のフロー濾過方法によって達成される。
概要
流体試料に含有される成分の濃度を増加させる類の流体プロセスを実行する又は交換緩衝液によって試料溶液の溶媒を交換する本発明によるマイクロ接線流濾過システムは、一体化された接線流濾過モジュールを備えた流体チャネルを備える。チャネル及びTFF−モジュールを通過する流体試料の双方向のフローを可能にするように、流体チャネルは、接線流濾過モジュールに接続された2つの導管によって形成される。これらの導管の内部容積は、流体回路の全体の作業容積を低減させるために、最小化され得る。これは、とりわけ、回路の既存の流体コンポーネントへの、例えばTFF−モジュールのハウジングへの、又はTFF−モジュールをピストンポンプと接続するT字状の流体要素への、この導管の機能性の構造的一体化によって、実現され得る。
接線流濾過モジュール(TFF−モジュール)は、第1の流体ポート、第2の流体ポート、浸透液出口、並びに接線流濾過モジュール内へと向かう流体試料の通過により流体試料を濃縮液の流れと浸透液の流れとに分離することが可能な半透膜を有する。TFF−モジュールは、約10μm〜0.02μmの膜の孔径を有するか、又は約1〜1000kD(キロダルトン)の分子量カットオフを有した膜を備えるマイクロフロー濾過モジュールである。膜の孔径が0.02μm未満で配置され得るか、又は1kD未満ともなる膜の分子量カットオフをもたらすように膜孔が寸法取りされるならば、膜はまた限外濾過を実行することが可能である。
一方側の導管が第1の流体ポートに接続され、他方側の導管が第2の流体ポートに接続されて、チャネル内を流れる流体がTFF−モジュールを通過できるように、TFF−モジュールは流体チャネルに配置される。
マイクロフロー濾過システムは更に、ピストンポンプのそれぞれのペアが2つのピストンポンプを備えるピストンポンプの少なくとも2つのペア、及びピストンポンプを制御する制御ユニットを備える。それぞれのピストンポンプは、流体を含むことが可能なリザーバを形成する行程容積を有する。少なくとも2つのピストンポンプが、流体チャネルのそれぞれの端部に配置される。端部のピストンポンプは、好ましくは並列に流体接続されるように、配置される。したがって、流体チャネルのそれぞれの端部で、ピストンポンプの第1のペアの1つのピストンポンプが、ピストンポンプの第2のペアの1つのピストンポンプと並列に流体接続する。代替的に、ピストンポンプは、直列に流体接続され得る。ピストンポンプの1つのペアのピストンポンプは、好ましくは、容積が等しい。したがって、ピストンポンプの1つのペアを形成する類似したピストンポンプが存在する。
本発明との関連で、ピストンポンプは、ポンプのリザーバ(行程容積)に含まれる流体が少なくとも部分的に好ましくは完全に排出され得るように、行程容積で移動することができるピストンを有したポンプと理解される。好ましいタイプのピストンポンプは、備えられたリザーバから完全に流体を流出させることができるシリンジポンプである。本発明との関連で、語句「ピストンポンプ」及び「シリンジポンプ」は、同義的に使用される。しかしながら、同様に、蠕動ポンプも、流体チャネル内で流体を移動させるためにマイクロ流体濾過システムで使用され得る。
ピストンポンプのピストンの動きは、制御ユニットによって制御される。制御ユニットは、ピストンポンプのそれぞれのペアのピストンポンプの駆動を同時に制御するように配置及び適合される。制御ユニットは更に、ピストンポンプの一方側のペアからピストンポンプの他方側のペアへの切り替えを制御することができる。制御ユニットはまた、切り替えのための切り替え時間を制御することができる。
制御ユニットは、所定のフロー速度及び所定の圧力率でTFF−モジュール内で流体を移動させる同時の動きを実行することができるように、ピストンポンプの1つのペアのピストンの動きを制御する。したがって、それぞれのピストンポンプの行程容積内のピストンのストロークは、同期又は適合される。濃縮プロセスの間、所定量の流体がTFF−モジュールで浸透液の流れとして引き出されるので、ピストンポンプのピストンのストロークはそれに応じて適合されなければならない。また、ピストンポンプの一方側のペア内の流体量が所定の割合まで減少する場合には、ピストンポンプの一方側のペアからピストンポンプの他方側のペアへの切り替えが実行されなければならない。切り替え及び/又は切り替え時間を制御するために、制御ユニットは、センサ、例えば圧力センサ、はかり、流量計などであり得る測定及び制御要素からの情報を評価することができる。制御ユニットに情報を提供することができるいくつかの検知要素は、当業者に公知である。
好ましい実施形態では、制御ユニットは第1の制御機構及び第2の制御機構を備え、それぞれの制御機構がピストンポンプの1つのペアのピストンを制御する。しかしながら、制御ユニット又はそれぞれの制御機構はまた、ピストンポンプの複数のペアのピストンポンプを制御することができる。制御ユニットはまた、2つより多い制御機構を備えることができる。
ピストンポンプのピストンの動きを制御するために、制御ユニットは、制御ユニットからの直接的な効果が配置されるように、ピストンに対して直接作用することができる。代替的に、ピストンの動きを間接的に制御するために、制御ユニットは、モータ又はギアなどを制御することができる。また、モータ制御ユニットは、ピストンポンプを制御する制御ユニットによって制御され得る。
並列的に配置されたピストンのペアの場合、濃縮プロセスの時間帯の間ピストンポンプの少なくとも2つのペアのうちの1つのペアだけが流体チャネル内で流体を移動させるために使用されるように、システムは配置及び構成される。ピストンポンプの他のペアはこのとき使用されず、このピストンポンプの他のペアのそれぞれのピストンポンプのピストンは、このピストンポンプの他のペアのそれぞれのピストンポンプの死容積を最小化した位置にある。そのため、濃縮プロセスの第1の時間帯では、ピストンポンプの一方側のペア(第1のペア)のピストンポンプが使用される。濃縮プロセスの第2の時間帯では、ピストンポンプの他方側のペア(第2のペア)が、流体を移動させるために使用され得る。したがって、システムの死容積と残存液体体積の比率は最適化される。またポンプの2つより多いペアが使用され得ることは明らかである。
直列の配置でピストンポンプのペアを使用するためには、大きな直径のピストンが、濃縮プロセスの第1の時間帯に使用される。濃縮プロセスの第2の時間帯には、大きな直径を有するプランジャの動きは停止し、小さな直径のピストン及びプランジャだけが使用される。
フィルタ膜を使用した液体溶液に溶解された分子の濾過プロセスは、流体体積の減少をもたらす。流体体積が減少するほど、分子の濃度は増加する。したがって、ピストンのストローク量は、濾過システムに残存する流体体積に適合され得る。非常に小さな量のピストンストロークだけが実行されなければならず、ピストンの比較的小さな動きは実際の流体体積に対して比較的大きな流体のフローとなるため、ピストンポンプのピストンストローク量を、行程容積と比較して小さな体積のために高い精度で制御することはできない。したがって、小さな体積又は大きな体積のためにピストンポンプを制御することは、非常に複雑で、大きな手間及び費用を必要とする。制御ユニットは、それに応じて設計されなければならず、同様にコストが問題となり得る。
流体システム内の体積が小さなピストンポンプの容積プラスシステムの死容積と等しいか又はそれより少ない量に低減する場合には、ピストンポンプの第1のペアからより小さな容積を有するピストンポンプの第2のペアへの切り替えが行われる。制御ユニットは、必要なセンサ情報を処理することができ、切り替えを開始することができる。これにより、流体システムの最適化された制御及び扱い、並びに最適化された濾過プロセスが可能となる。
好ましい実施形態では、流体がTFF−モジュール内を所定の圧力で移動するように、制御ユニットは、ピストンポンプの第1のペア及びピストンポンプの第2のペアの、ピストンポンプの動きを制御する。したがって、流体チャネル内の圧力は、適切な場所でセンサによって測定され得る。ピストンポンプのピストンの動きはこのとき、連続フロー及び所定の圧力を確実なものとするために、測定に応じて適合され得る。TFF−モジュールを使用する濾過プロセスは強化され、目詰まり、ファウリング、又はTFF−モジュール内の濃度の局所的な増加は阻止される。これは、ピストンポンプの同じペアの一方側のピストンポンプから他方側のピストンポンプへのTFF−モジュール内の流体の往復のポンピング及び流動の間に、好ましくは実行される。
一代替実施形態では、ピストンポンプの第1のペアからピストンポンプの第2のペアへの切り替えは、流体プロセスの開始後所定の時間に到達した後に実行され得る。再現性の高い、はっきりと定められた濾過プロセスが実行される場合には、所定の時間間隔基準が好ましくは使用される。切り替え時間が、他の予備試験から決定され得るか、又は既知のシステムパラメータに基づいて理論式を使用して算出され得る場合に、この基準が使用され得る。この場合、実際の体積のオンラインの測定は、回避され得る。したがって、制御ユニットは、タイマなどを備えることができる。
ピストンポンプの2つのペア間の切り替えを導く体積レベルは、いくつかの方法の1つを使用して監視され得る。例えば、量を計量し、体積が算出されるように、浸透液の流れとして引き出される流体の量が、はかりを使用して測定され得る。これにより、流体チャネル内の実際の体積が測定され得る。更に、1つのピストンの明確なストローク量を使用して、システムの圧力、例えば濾過モジュールの膜間差圧の変化が検出されるまでの明確なストローク量の実行に必要なモータのインクリメント(きざみ幅)を監視することで、体積が測定され得る。いずれの場合にも、センサ情報は、ピストンポンプをそれぞれ制御する制御ユニットに提供される。
本発明によるマイクロフロー濾過システムでは、好ましくはピストンポンプの2つのペアが使用され、それぞれのペアが別個の体積範囲のためのピストンポンプを含む。ピストンポンプの一方側のペアのピストンポンプの容積は、ピストンポンプの他方側のペアのピストンポンプの容積より大きい。実用上、ピストンポンプの第1のペアが、ピストンポンプの第2のペアのピストンポンプの容積より大きな容積を有したピストンポンプを備える。これにより、大きな容積を有したピストンポンプの第1のペアを使用して、比較的大きな体積を扱うことができる。体積がより少ない量に減少する場合には(例えば流体システム内の所定の流体体積に到達する場合には)、システムは、流体の小さな(残りの)体積を扱うためにピストンポンプの第1のペアから第2のペアへと切り替える。したがって、システムは常に、現在の流体体積に対して、容積が最適化されたピストンポンプのペアで作業する。これにより、流体プロセスのそれぞれの段階での、流体の最適化された注入及びピストンポンプの最適化された移動が可能となる。
好ましくは、第1のペアのピストンポンプは、第2のペアのピストンポンプの容積より少なくとも3倍大きい、好ましくは少なくとも5倍又は10倍大きい、特に好ましくは少なくとも25倍大きい容積を有する。いくつかの好ましい実施形態では、第1のペアのピストンポンプの容積は、第2のペアのピストンポンプの容積より少なくとも100倍大きい。したがって、広範囲の体積を、ピストンポンプのこのような組み合わせによりカバーすることができる。好ましくは、一方側のペアのピストンポンプは、他方側のペアのピストンポンプより実質的に大きい。ピストンポンプのペアの組み合わせにより有利でかつプラスの効果を実現するために、ピストンポンプのペアの容積は、いずれにせよ異なっていなければならない。
したがって、本発明によるマイクロフロー濾過システムを使用することにより、最大100mLの、好ましくは最大25mLの、特に好ましくは最大10mL又は1mLの体積を有した流体試料で作動することができる。所望される濃縮倍率及び流体試料の開始体積がシステムの最小作業容積の影響を受けるため、できる限り小さい最小作業容積が所望される。好ましくは、システムの最小作業容積は、最大1mL、好ましく最大700μL、更に好ましくは最大500μL、特に好ましくは最大200μL、同様に特に好ましくは最大100μLである。
最小作業容積は、システム内へ空気をポンピングせずに、フロー濾過システムで作動させることが可能な流体の体積である。したがって、流体チャネル及びTFF−モジュールのような、コンポーネント、要素及び導管は、液体溶液内のエアキャビテーションを回避する、換言すればシステム内への空気の流入を回避する所定量の流体によって充填されなければならない。
好ましくは、マイクロ流体濾過システムに含まれる流体の体積は、ポンプの大きなペアの1つのピストンポンプの容積と等しい。システムに含まれる流体体積はまた、システムに含まれるすべてのピストンポンプの容積の合計と同じ大きさであってもよい。TFF−モジュールで引き出され続ける流体が外部のリザーバから補充されるように、外部の流体リザーバをシステムに、例えば流体チャネルの導管の1つに接続することも可能である。リザーバから流体チャネルへの一方側向の流体フローが、確立される必要がある。これは、技術水準において公知の手段によって実行される。
好ましくは、濾過プロセスを制御するための、特にピストンの動きを制御するための制御ユニットは、ピストンポンプのそれぞれのペアのピストンのストロークを同期させるように適合される。ピストンポンプが等しい行程容積及び等しい直径を有するように、ピストンポンプのペアが等しいピストンポンプからなる場合には、これは特に有益である。したがって、それぞれのピストンの同じストローク(ピストンを移動させる方法)は、同じ体積をもたらす。換言すれば、制御ユニットは、それぞれのピストンポンプの行程容積がストロークに応じて同期されるように、ピストンのストロークを制御する。流体の回路及びシステムでの空気のポンピングが回避されるように、制御は実行されなければならない。
本発明による濾過システムの好ましい実施形態では、システムは、流体チャネルから引き出される浸透液を計量するために、はかりを備える。引き出された流体塊の重量を使用して、引き出された浸透液の体積が算出され得る。濃縮プロセスの開始体積を知ることにより、システム内に含まれる実際の全体の体積を算出することができる。
好ましくは、システムは、チャネルの圧力を監視及び測定する少なくとも2つの圧力センサを備える。2つの圧力センサを使用することにより、流体チャネル内に含まれる実際の液体溶液の粘度の測定が可能となる。
圧力センサはまた、濃縮プロセスを制御するために使用され得る。使用中のピストンポンプの1つのペアの2つのピストンポンプは、流体チャネルの圧力に応じて及び/又は接線流濾過モジュールの膜間差圧に応じて、制御ユニットによって制御され得る。膜間差圧は、TFF−モジュールの対向する部位に配置された2つの圧力センサによって測定される2つの圧力値の平均値である。センサの情報は、センサ情報を評価して、ピストンポンプを制御する制御信号を生成する制御ユニットに提供される。
したがって、例えば、所望の膜間差圧がシステムで調節され得る。流体がポンプから流体チャネル内へ押圧されるように、第1のピストンポンプのピストンが行程容積内へ移動する。2つの圧力センサで測定されるシステムの圧力は増加する。流体チャネルの対向端部に位置決定されたピストンポンプの第1のペアの第2のピストンポンプのピストンは、流体が行程チャンバに到達することができるように、行程チャンバから外へ移動する。それにより、膜間差圧は、再び所望の値に調節され得る。測定された圧力が所定の膜間差圧と異なるときには、流体チャネルの対向端部での第2のピストンの動きは停止するか又は遅らされる。2つの圧力センサの平均値が所望の膜間差圧より小さい場合には、第2のピストンポンプのピストンは遅らされるか又は停止する。ここで、第2のピストンの行程チャンバは、濃縮される成分を含有した液体試料で、少なくとも部分的に充填される。次の工程では、サイクルが再び開始するが、ここでは、所望の膜間差圧が調節及び制御され得るように、第1のピストンのペアの第2のポンプのピストンが行程チャンバ内へ移動し、第1のピストンポンプの第1のピストンがチャンバから外へ移動する。
流体の実際の量が所定のレベルを下回る場合には、ピストンポンプの第2のペアのピストンが第1のピストンポンプのピストンの代わりに移動する。ピストンポンプの第1のペアからピストンポンプの第2のペアへの伝達装置が配置され得る。このような伝達装置(切り替え)は、好ましくは、制御ユニットによって制御される。続いて、プロセス工程は、ピストンポンプの第2のペアを使用して継続する。
本発明によるシステムの好ましい実施形態では、ピストンポンプはモータ駆動される。好ましくは、システムは、ポンプのピストンを駆動するために、それぞれのピストンポンプに対して1つのモータを備える。プロセスパラメータが簡単にかつ少数の調整工程だけで適合され得るように、別々のモータを使用したそれぞれのピストンポンプの動作が、ピストンポンプの非常に正確な調節及び簡単な制御を可能にする。モータの制御は、単一のユニットによって、又はそれぞれのモータに対して1つの制御ユニットによって実行される。1つ若しくは複数のモータ又は追加的な制御装置を制御する同じ制御ユニットが、モータ制御ユニットを制御、監視するために及びモータ制御ユニットに対応するために、使用され得る。
好ましくは、使用されるモータはステッピングモータである。したがって、モータは、モータを駆動するインクリメンタル(漸次の)ステップを使用して、簡単にかつ正確に制御され得る。チャネル内へポンピングされる流体及びチャネルの所望の圧力が、単純な方法で調節され得る。
更に好ましい実施形態では、システムは、流体試料に含有される成分の濃度及び凝集体の形成を測定する光学的測定器を備える。光学的測定器は、好ましくは、流体チャネルに一体化されたキュベットを備える。キュベットを使用して、濃度の光学的測定は実行され得る。したがって、リアルタイム測定が可能である。濃度に関連づけられる取得された測定データは、濃縮プロセスをオンライン制御するために使用され得る。好ましくは、キュベットは、ハーゲン−ポアズイユの式によって流体粘度を算出するために、圧力差を測定する2つの圧力センサに取り囲まれた定められた断面積を有する。測定データ(センサ情報)はまた、ピストンポンプのピストンを制御し濾過プロセス全体を制御するために、制御ユニットによって使用され得る。
本発明によるシステム、更に本発明の方法は、流体試料に含有される成分の濃縮などの流体プロセスを実行するために又は試料流体の溶媒を交換するために使用され得ることは明らかである。したがって、濃縮又は精製だけでなく、ダイアフィルトレーションも実行され得る。ダイアフィルトレーションの場合には、小さな容積を有するピストンポンプのペアのピストンポンプが、それぞれ、流体試料で充填される。大きな容積を有するペアのピストンポンプは、交換すべき交換緩衝液又は溶媒で充填される。
ダイアフィルトレーションプロセスの始めに、浸透液がシステムから引き出されるように、小さな容積を有するポンプが流体チャネル及びTFF−モジュール内で流体試料を移動させる。緩衝溶液を含んだ大きな容積を有するピストンポンプもまた、TFF−モジュールを介してシステムから引き出される流体の量を補充するために作業し続ける。これは継続的に行われるが、特別な実施形態では、大きな容積を有したポンプを使用した流体又は交換緩衝液の補充は不正確となる恐れがあるという欠点を有し得る。このような場合、所定の量の流体がシステムから引き出された場合に(大きな容積を有する)交換緩衝液を含むポンプが作業を開始するだけで有利となり得る。したがって、10mL未満の非常に少量の流体試料でのダイアフィルトレーションを実行することも可能である。
本発明は、図に示される特定の実施形態に基づいて、以下でより詳細に例示される。図に示される技術的特性は、本発明の好ましい実施形態を作製するために、個別に又は組み合わせて使用され得る。説明される実施形態は、請求項によって一般に定められる本発明の何らかの限定を意味するものではない。
本発明によるフロー濾過システムの一実施形態を示す。 本発明によるフロー濾過システムの一代替実施形態を示す。 本発明によるフロー濾過システムの別の代替実施形態を示す。
発明の詳細な説明
図1は、接線流濾過モジュール3を有する流体チャネル2を備えた濾過システム1を示す。流体チャネル2は、接線流濾過モジュール3の両端に接続される2つの導管4、5を備える。それぞれ導管4及び5の端部によって表される、流体チャネル2のそれぞれの端部10、11で、2つのピストンポンプ6が接続される。
図1のシステム1は、シリンジポンプ7として設計された全体で4つのピストンポンプ6を示す。それぞれシリンジポンプ7として設計され得るピストンポンプ6の第1のペア8は、第1のシリンジポンプ8a及び第2のシリンジポンプ8bからなる。シリンジポンプ7として設計され得るピストンポンプ6の第2のペア9は、第1のシリンジポンプ9a及び第2のシリンジポンプ9bを備える。
シリンジポンプの第1のペア8及び第2のペア9の第1のポンプ8a、9aは、流体チャネル2の第1の端部10で接続される。第1の端部10は流体チャネル2の左側に表示され、第2の端部11は流体チャネル2の右側に表示される。流体チャネル2の第2の端部11に、シリンジポンプの第1のペア8の第2のシリンジポンプ8b及び第2のペア9の第2のシリンジポンプ9bが接続される。
第1のシリンジポンプ8a、9aは、第1の端部10で並列に流体接続される。第2のシリンジポンプ8b、9bは、第2の端部11で並列に流体接続される。シリンジポンプ7のそれぞれは、それぞれの行程容積、すなわち流体を含む行程リザーバを有する。行程リザーバ18a、18bは、シリンジポンプ8a、8bの行程容積である。シリンジポンプ9a、9bは、それぞれのシリンジポンプ9a、9bの行程容積であるそれぞれの行程リザーバ19a、19bを有する。
シリンジポンプの第1のペア8のシリンジポンプ8a、8bの容積は、シリンジポンプの第2のペアのシリンジポンプ9a、9bの容積より実質的に大きい。好ましくは、第1のペア8のシリンジポンプ8a、8bの1つの容積は、100mL〜10mLの範囲である。好ましくは、容積は約25〜10mLである。したがって、例えば、約15mLの流体が第1のシリンジポンプ8aに含まれ得る。
シリンジポンプ9a、9bの第2のペア9の容積は、シリンジポンプ8a、8bの第1のペア8の容積より大幅に小さい。シリンジポンプ9a、9bの1つの容積は、好ましくは1mL〜2.5mLの範囲であり、特に好ましくは1mLの容積である。任意の一実施形態では、シリンジポンプ9a、9bの1つの容積はまた、1mLより小さく、好ましくは約100μL〜1000μLの範囲であり得る。
シリンジポンプ7のそれぞれは、モータ駆動される。したがって、4つのモータ12がシステム1に備えられる。それぞれのモータ12は、好ましくはギア13を介して、シリンジポンプ7のピストンと接続される。ピストンポンプ6のピストンの動きが制御されるように、制御ユニット80はモータ12を制御する。流体チャネル2の流体がTFF−モジュール3内で往復移動するように、ピストンポンプ6は制御される。モータ12は、モータ制御電流をチョッピングすることによって制御され得る。この場合には、制御ユニット80はチョッパ回路を備えることができる。代替的に、制御ユニット80はまた、モータ12に接続されたギア13を制御することができる。
本発明による流体システム1は、フィルタの両側からの接線流濾過モジュール3のより均一な荷重が生成されるという利点を有する。浸透の流束は、接線流濾過モジュール3のフィルタ領域又は膜領域全体にわたってより均一に分配される。流体回路のようなループと比較して、時間に対する浸透流束の減少を低減させることができる。流体チャネル2を備えた流体システム1の更なる利点は、双方向ポンピングのために、ポンプ6とフィルタモジュール(TFF−モジュール3)との間のより短い導管をもたらす。したがって、最小作業容積は、濾過回路のようなループに対して低減する。
接線流濾過モジュール(TFF−モジュール3)は、流体チャネル2でポンピングされ続ける流体がTFF−モジュールを通過するための第1の流体ポート14及び第2の流体ポート15を有する。膜17を通過する液体が、浸透液出口16を介して浸透液の流れとしてTFF−モジュール3から引き出され得るように、浸透液出口16は膜17の後側に流体流動的に配置される。浸透液は、浸透液チャンバ20内に収集され得る。
TFF−モジュール3から引き出され続ける浸透液の重量を計量することができるように、システム1はまた、好ましくは、浸透液チャンバ20に接触したはかり21を備えることができる。浸透液の測定された重量に基づいて、浸透液の体積が算出され得る。そのため、濃縮プロセスの始まりの既知の開始体積によって、流体チャネル2内の実際の体積もまた算出され得る。したがって、システム内の流体の実際の体積及びシステム1で濃縮される分子の濃度を監視することが可能である。
流体システム1は更に、膜間差圧を測定するために、少なくとも2つの圧力センサ23、24を備える。好ましくは、第3の圧力センサ22が流体チャネル2に取り付けられる。2つの圧力センサ22、23間の圧力差の測定により、ハーゲン−ポアズイユの式による流体チャネル2に含まれる液体溶液の粘度の測定が可能となる。
好ましくは、圧力センサ23及び24は、濾過モジュールの流体ポート14及び15に近接して配置される。測定結果は、シリンジポンプ7のそれぞれのモータ12を制御するために使用される。モータ12a、12bは、圧力センサ22、23、24のうちの1つ以上の情報を使用して制御され得る。圧力センサ22、23、24の情報及びはかり21からの情報は、制御ユニット80のための入力データ及び制御情報として使用され得る。この情報は、それぞれのモータ12を駆動するために、制御ユニット80で処理される。更に、制御ユニット80はまた、フロー濾過プロセスのプロセスパラメータを評価するために、評価及び監視回路を備えることができる。
以下、典型的な濾過プロセスが、システムの使用を例示するために、詳しく説明される。
主要な態様は、シリンジポンプのペア8、9の制御である。濃縮される成分を含有する流体試料が、第1のペア8の第1のシリンジポンプ8aのシリンジリザーバ18aに充填される。シリンジポンプの第1のペア8のポンプ8a、8bの制御は、TFF−モジュール3での所定の膜間差圧(TMP)を使用して実行され得る。圧力は、圧力センサ23、24を使用して測定される。流体が行程リザーバ18aから引き出されて、流体チャネル2内に導かれるように、第1のシリンジポンプ8aのピストンは押される。このとき、圧力センサ23、24を使用して測定される圧力は増加する。TFF−モジュール3での所定の及び所望の膜間差圧に到達するか、又は圧力センサ23、24での2つの圧力値p1、p2のメジアンが膜間差圧より大きい場合には、第2のシリンジポンプ8bのピストンは、モータ12bを使用して移動させられる。ポンプ8bのピストンは外側に移動し(引かれ)、その結果、測定される圧力p1、p2の中間値が所望の膜間差圧と等しくなる。測定される圧力中央値が所望の膜間差圧より小さい場合には、モータ12bを遅らせるか又は停止させて、第2のシリンジポンプ8bのピストンの動きを同様に遅らせるか又は停止させる。
第2のシリンジポンプ8bのピストンの動きが膜間差圧を制御するために低下している場合に、所望の圧力値が測定される場合にはピストンの動きは継続する。
第1のシリンジポンプ8aの行程リザーバ18aが使い尽くされ、第1のシリンジポンプ8aの流体体積がTFF−モジュール3を介して第2のシリンジポンプ8bに(完全に)移行したために、第2のシリンジポンプ8bのピストンの動きが停止する場合には、第1のシリンジポンプ8a及び第2のシリンジポンプ8bのピストンを移動させるサイクルが再び開始する。今度は、行程リザーバ18bに含有される流体が流体チャネル2内へ流出するように、第2のシリンジポンプ8bのピストンが押され、流体が行程リザーバ18aに入ることができるように、第1のシリンジポンプ8aのピストンは引かれる。したがって、シリンジポンプ8a、8bの圧力の駆動制御が実行され得る。
ポンピングサイクル(ピストンポンプの1つのペアの2つのポンプ間での往復の流体のポンピング)が数回実行され得ることは自明である。
代替制御は、それぞれの第1及び第2のシリンジポンプ8a、8bのモータ12a、12bを制御することによって、実行される。この場合、モータが回転のインクリメント(きざみ幅)によって制御され得るように、ステッピングモータが要求される。第1のシリンジポンプ8aのピストンを駆動するために、モータ12aは、所定の及び公知のインクリメント量で回転する。第2のシリンジポンプ8bのピストンを駆動するために、モータ12bが使用される。このモータは、好ましくはモータ12aと類似しており、第2の行程リザーバ18bから第2のシリンジポンプ8bのピストンを引くために同じインクリメント量で動く。浸透液として流体システムから引き出される流体体積の埋め合わせをするために、シリンジポンプ8a、8bのピストンを移動させるインクリメント量は、両方のシリンジポンプ8a、8bのために同じインクリメント量だけ同時に低減する。
第3の可能な制御は、はかり21を使用して、TFF−モジュール3から引き出される液体の浸透流束及び浸透液の体積を検出するために、実行され得る。したがって、ピストンストローク量及びモータ12のインクリメントに対する、シリンジポンプ7から流出する体積の比率が、既知でなければならない。引き出された浸透液は、浸透液収集チャンバ20内に収集されて、はかり21を使用してリアルタイムで測定される。好ましい実施形態では、浸透液収集チャンバ20は、浸透液の蒸発を低減させるために、蓋又はカバーを備える。流体がリザーバから流体チャネル2内へ流出するように、第1のシリンジポンプ8aのピストンは行程リザーバ18a内へと押される。したがって、モータは、所定のインクリメント量だけ回転する。第2のシリンジポンプ8bのピストンも同様に移動し、第2のシリンジポンプ8bを駆動するモータ12bは、第1のシリンジポンプ8aを駆動するモータ12aと比べ、低減したインクリメント量で動かされる。低減したインクリメント量は、第1のシリンジポンプ8aを駆動するために使用されるインクリメント数マイナス引き出された浸透液に対応するインクリメント数から算出され得る。
更に、排他的に圧力制御されるピストンポンプ調整とモータ駆動される調整との組み合わせが実行可能であり、又は代替的に、圧力駆動される調整とはかり及びモータによる調整との組み合わせが実行可能である。更に、圧力センサのない調整も、時間毎の流体フロー、及び期間毎のモータ工程の調整を定めることによって可能である。これらの調整は、1つ以上の制御ユニット80によって実行され得る。
行程リザーバ内へピストンを押すときの最大ピストンストロークは、ピストンのベッドストップによって調節される。行程リザーバからピストンを引く最大ピストンストローク量は、システム1に含まれる流体試料の量に左右される。モータ12は、流体試料の体積に従って駆動される。したがって、モータは、はかりを使用するか若しくは圧力情報を使用して、又ははかり及び圧力を介した両制御の組み合わせ若しくは時間毎の流体フローによって、制御され得る。
モータ12を制御するためにはかり21を使用することは、TFF−モジュール3から引き出される浸透液の重量に基づく。重量を使用して、引き出された浸透液の体積が算出され得る。したがって、開始体積マイナス引き出された浸透液の体積は、システム1内の流体試料の実際の体積である。実際のピストン位置の割り当てられたピストンリザーバの容積が、実際の流体試料の体積マイナス、流体チャネル2及びTFF−モジュール3の最小作業容積である流体システム1の最小容積に等しくなるまで、ピストンは引かれる。
流体システム1の動作の間、流体システム1内の液体試料の体積は、溶液が浸透液出口16を介して浸透液としてTFF−モジュール3から引き出されることにより、時間の経過に対して減少する。システム内の流体試料の実際の体積が、例えば第2のペア9のシリンジポンプ9a、9bのうちの1つの、所定の値より小さいか又は等しい場合には、シリンジポンプ9a、9bの第2のペア9が、シリンジポンプ8a、8bの第1のペア8の代わりに使用される。したがって、シリンジポンプの第1のペア8の使用は、シリンジポンプの第2のペア9へと切り替えられる。システム内の流体試料の体積がシリンジポンプ9a、9bのうちの1つの行程容積又は行程リザーバ19a、19bプラスシステムの最小作業容積より小さいか又は等しい場合に、切り替えが好ましくは行われる。
ピストンポンプのペアの使用の切り替えはまた、システム1のはかり21を使用して並びに/又は圧力情報及びステッピングモータの既知のインクリメントを使用して制御され得る。両者の組み合わせが可能である。
したがって、本発明による流体システム1は、いくつかの利点を有する。一方側では、ポンプ6、7とTFF−モジュール3との間の導管4、5の長さを低減させることができるため、最小作業容積を低減させることができる。他方では、ピストンポンプ6の容積が、流体システムの最小作業容積に殆ど寄与しない。並列に配置されたシリンジのペアでのみ、第1の端部10又は第2の端部11とシリンジポンプ8a、8bの第1のペア8との間の接続導管25が、それぞれ最小作業容積に影響を有する。しかしながら、これらの接続導管25は、非常に短くすることができる。更に、導管4、5及び接続導管25の内径又は内部の断面積は、1mm未満又は1mm2未満とすることができる。
更に、本発明によるシステム1は、流体の流速並びに接線流濾過モジュール3での剪断力及び膜間差圧の自由なプログラミングを可能にする。これは、制御ユニット80を使用することにより、容易に実行され得る。膜間差圧を一定に保つために、行程容積又はリザーバからのシリンジポンプのピストンの引っ張りが、制御された速さで実行される。膜間差圧は、圧力センサ23、24の圧力値の合計をセンサの数で、ここでは2の因子で割ったものにより、一般に算出される。浸透液の圧力を同様に検出するシステムでは、浸透液の圧力値が、圧力センサ23、24の圧力値の合計を圧力センサの数(ここでは2)で割ったものから減算される。圧力センサが浸透液口16内に存在しない場合には、浸透液の圧力値を0と推定することができ、式が圧力センサ23、24の圧力値の合計を圧力センサの数で割ったものへ変形される。1つの圧力センサからの圧力値を、その1つの圧力センサからの複数の圧力測定を表す平均値とすることができる。センサ情報のそれぞれの値の算出並びに情報及び測定データの更なる処理も同様に、制御ユニット80で一体化され、そこで実行され得る。
図2は、本発明による流体システムの一代替実施形態を示す。図1に示される実施形態との差は、液体試料に含有される成分の濃度のオンラインの取得を可能にする追加的な光学的測定器26である。成分は、好ましくはタンパク質、粒子、凝集体、イオン、細菌、ウイルス、核酸、糖類などである。
光学的測定器26は、可視域又は紫外線域のような不可視域の光を伝送する光源27、光源27の光ビームを導く2つのレンズ28、及び例えばフォトダイオード又は光電子倍増チューブとすることが可能な光検出器29を備える。光ビームがキュベット30を通過するように、2つのレンズの間で、キュベット30が流体チャネル2に配置される。流体の成分の濃度、及び示される場合には凝集体の形成を、ランベルト−ベールの式に基づく公知の光学的方法で測定することができ、オンラインで監視することができる。したがって、更に重要なプロセスパラメータが、リアルタイムで検出され得る。これにより、本発明による流体システムを使用して、最適化された濃縮プロセスを実行することが可能となる。システムは、好ましくは100mL以下の液体試料の開始体積で、好ましくは最大10mLの開始体積で、特に好ましくは最大2mLの開始体積で濃縮プロセスを実行するように設計される。
図1に示される実施形態に対するこの実施形態の更なる差は、制御ユニット80が第1の制御機構81及び第2の制御機構82を備えることである。制御機構81、82はそれぞれ、ピストンポンプ8、9の1つのペアを制御する。制御機構81、82がまたシリンジポンプの第1のペア8の及びシリンジポンプの第2のペア9のモータ12の代わりにギア13を制御することができることは自明である。
図2の実施形態によれば、更に処理し、制御機構81、82のためのそれぞれの制御信号を制御し及び発生させる制御ユニット80に、圧力センサ22、23及び24の測定データは提供される。光検出器29によって提供される信号も同様に、制御ユニット80によって評価され得る。同様に液体試料に含有される成分の濃度の視覚的な把握が制御及び評価され得るように、光学的測定器26の光源27及び/又は光検出器29を制御することが更に可能である。
図3は、本発明によるシステム1の一代替実施形態を示す。流体チャネル2のそれぞれの端部に、1つの要素で組み合わされた2つのピストンポンプ6を備える一体化されたピストンポンプ60が配置される。一体化されたピストンポンプ60は、好ましくは、直列に流体接続された少なくとも2つのピストンポンプチャンバ61、62を備える。2つのピストンポンプチャンバ61、62は、それぞれピストンポンプ8a、9a又は8b、9bのリザーバに対応する。したがって、一体化されたピストンポンプ60は、好ましくは、少なくとも2つのピストンポンプ又はシリンジポンプ7を組み合わせる。2つのピストンポンプチャンバ61、62は、図1又は図2に示されるようなピストンポンプの行程リザーバ18、19に対応する。一体化されたピストンポンプ60はまた、制御ユニット80によって制御される。
一体化されたピストンポンプ60は、好ましくは、少なくとも1つのピストンが少なくとも2つのピストンポンプチャンバ61、62内を移動することができるように配置された、少なくとも2つのピストン63、64を備える。少なくとも2つのピストン63、64は、ピストンポンプチャンバ61、62のうちの少なくとも1つから流体を移動させることができる。ピストン63、64の動きは、制御ユニット80によって、モータ12を制御することにより制御される。
好ましくは、一体化されたピストンポンプ60は、一次ピストン63及びもう一方に好ましくは連結される二次ピストン64を少なくとも有した一体化されたピストン65を備える。したがって、2つのピストン63、64は一体化されたピストン65を形成する。
好ましくは、一次ピストン63及び二次ピストン64は、ピストンポンプチャンバ61、62の少なくとも1つで、同時に移動することができる。
図3に示されるように、流体チャネル2の左端部に、一体化されたピストンポンプ60aは、一次ピストン63a及び二次ピストン64aを備えるモータ駆動の一体化されたピストン65aを有する。2つのピストン63、64が、上の小さな図に詳細に示される。
図1に示されるような第1のシリンジポンプ8aの行程リザーバ18aに対応するピストンポンプチャンバ61a内の移動経路の少なくとも一部を2つのピストン63a、64aが同時に移動するように、2つのピストン63a、64aは互いに連結される。一体化されたピストンポンプ65aはピストンポンプチャンバ61a内へ移動し、一体化されたピストン65aはピストンポンプチャンバ61aの(右)端部で停止する。移動経路のこの時点で、ピストンポンプチャンバ61は(略)完全に使い尽くされる。このとき、ピストンポンプチャンバ61の移動経路の端部で、二次ピストン64aが、ピストンポンプチャンバ62内へ更に移動し、その結果、このピストンポンプチャンバ62に含まれる流体を流体チャネル2内へ押圧する。
好ましい実施形態では、一次ピストンポンプ63は、二次ピストン64のプランジャ68が延在する貫通穴67を有したピストンディスク66を備える。流体が通り穴から漏出することができないように、二次ピストン64のプランジャ68は貫通穴67で封止される。
図3に示されるような一体化されたピストン65は、二次ピストン64のピストンディスク71が設置、好ましくは嵌合設置される凹部70を有する。二次ピストン64のピストンディスク71はまた、凹部のない一次ピストン63の平板ピストンディスク66の表面上に配置され得る。
図3による好ましい実施形態では、二次ピストン64のプランジャ68が中空プランジャ69を通過して延在することができるように、一次ピストン63のプランジャ69は好ましくは中空プランジャである。
この実施形態では、両方のピストン63、64を備える一体化されたピストン65が第1のピストンチャンバ61内の移動経路に沿って移動することが可能であり、第1のピストンチャンバ61は、好ましくは、第2のピストンポンプチャンバ62より大きな容積を有する。二次ピストン64は、第1のピストンポンプチャンバ61を通過するだけでなく、第2のピストンポンプチャンバを完全に使い尽くすために第2のピストンポンプチャンバ62も通過して移動する。システムの全体の体積が(2つのピストンポンプチャンバのうちより小さな容積を有する)第2のピストンポンプチャンバ62の容積に対応する所定の量まで減少する場合には、二次ピストン64だけが、流体を流体チャネル2及びTFF−モジュール3内で移動させるために移動する。この方法により、また、非常に少量の流体試料を確実に扱うこと、及び2つのピストンポンプ8、9間の接続導管がシステム1の最小作業容積に寄与しないので、システムの死容積が非常に小さいことが確実となる。
一体化されたピストン65が図3に示される方法で配置され得るだけでないことは明らかである。2つのピストン63、64が互いに隣接して配置されるように、及びピストンの1つが1つのチャンバだけでなく一体化されたピストンポンプの別のチャンバでも更に移動するように、2つのピストン63、64はまた連結され得る。

Claims (25)

  1. 流体試料に含有される各成分の濃縮を含む流体プロセスを実行するための、流体試料の開始体積が最大100mLのマイクロフロー濾過システムであって、システム(1)が、
    2つの各端部(10、11)を有し、流体チャネル(2)を通過する前記流体試料の双方向のフローを可能にする第1と第2の2つの各導管(4、5)によって形成される前記流体チャネル(2)と、
    第1の流体ポート(14)、第2の流体ポート(15)、浸透液出口(16)、及び、半透膜(17)を有し、前記流体試料を、半透膜(17)及び前記浸透液出口(16)を通過させることによる浸透液の流れと、前記第1と第2の各流体ポート(14、15)のうちの1つを通過する濃縮液の流れと、に分離することが可能である接線流濾過モジュール(3)(TFF−モジュール)と、
    少なくともそれぞれのピストンポンプが、流体を含むことが可能なリザーバ(18、19)を形成するピストン行程容積を有し、前記各ピストンポンプ(6)が、流体フローを移動させることが可能である、2つの前記各ピストンポンプ(6)をそれぞれ有する、前記各ピストンポンプ(6)の少なくとも2つの各ペア(8、9)と、
    各ピストンポンプ(9a、9b)の第2のペア(9)の各ピストンポンプ(6)の容積よりも大きい、各ピストンポンプ(8a、8b)の第1のペア(8)の各ピストンポンプ(6)の容積と、
    前記各ピストンポンプ(6)を制御する制御ユニットと、
    を備え、
    前記流体チャネル(2)内を流れる流体がTFF−モジュール(3)を通過できるように、前記第1の導管(4)が前記第1の流体ポート(14)に接続され、前記第2の導管(5)が前記第2の流体ポート(15)に接続されるように、前記TFF−モジュール(3)が前記流体チャネル(2)内に配置され、
    全てのピストンポンプ(6)が前記TFF−モジュール(3)の半透膜(17)の上流側に配置され、前記流体チャネル(2)の前記各端部(10、11)のそれぞれに、前記各ピストンポンプ(6)が流体接続されるように、各ピストンポンプのそれぞれのペア(8、9)のうちの一方のピストンポンプ(6)が配置され、
    前記制御ユニットが、各ピストンポンプ(6)のそれぞれのペア(8、9)の前記各ピストンポンプを同時に駆動させる制御をするように、及び/又は、ピストンポンプの前記第1のペア(8)内の流体量が所定の体積まで減少した場合には、各ピストンポンプ(8a、8b)の前記第1のペア(8)から、各ピストンポンプ(9a、9b)の前記第2のペア(9)への切り替えのための切り替え時間、及び/又は、切り替えを制御するように、配置及び適合され、
    システムが、少なくとも所定の期間の流体プロセスの間、少なくとも前記各ピストンポンプ(6)の各ペア(8、9)のうちの1つだけが、前記流体フローを前記流体チャネル(2)を通過させて移動させるために使用されるように、配置及び適合される、
    マイクロフロー濾過システム。
  2. 前記流体チャネル(2)の前記端部の前記各ピストンポンプ(6)が、並列に流体接続される
    ことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロフロー濾過システム。
  3. 前記流体チャネル(2)の前記端部の前記各ピストンポンプ(6)が、直列に流体接続され、
    前記流体チャネル(2)の1つの端部に配置された前記各ピストンポンプ(6)が、直列に流体接続された少なくとも2つの各ピストンポンプチャンバ(61、62)を有し、及び、少なくとも1つのピストンが少なくとも2つの各ピストンポンプチャンバ(61、62)内で移動可能であり、及び、前記少なくとも2つの各ピストンポンプチャンバ(61、62)のうちの少なくとも1つから前記流体を移出させることが可能である、ように配置された少なくとも2つの各ピストン(63、64)を有した、一体化されたピストンポンプ(60)に少なくとも組み込まれる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロフロー濾過システム。
  4. 前記一体化されたピストンポンプ(60)が、一次ピストン(63)及び二次ピストン(64)を少なくとも有した一体化されたピストン(65)を備え、
    前記一次ピストン(63)及び二次ピストン(64)が、少なくとも1つのチャンバ(61、62)内で、同時に移動することができ、
    前記二次ピストン(64)が、前記一体化されたピストンポンプ(60)の別のチャンバ(62)内へ更に移動することができる
    ことを特徴とする、請求項3に記載のマイクロフロー濾過システム。
  5. 前記一次ピストン(63)及び二次ピストン(64)が互いに連結される
    ことを特徴とする、請求項4に記載のマイクロフロー濾過システム。
  6. 各ピストンポンプ(8a、8b)の前記第1のペア(8)の前記各ピストンポンプ(6)の前記容積が、各ピストンポンプ(9a、9b)の前記第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(6)の容積より少なくとも3倍大きい、
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  7. 各ピストンポンプ(8a、8b)の前記第1のペア(8)の前記各ピストンポンプ(6)の前記容積が、各ピストンポンプ(9a、9b)の前記第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(6)の容積より少なくとも100倍大きい、
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  8. 前記システム(1)が、前記TFF−モジュール(3)から引き出される浸透液を計量するはかり(21)を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  9. 前記システム(1)が、
    前記流体チャネル内又は前記TFF−モジュール(3)内に、前記システム(1)の圧力を監視及び測定する少なくとも1つの圧力センサ(22、23、24)を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  10. 前記システム(1)が、
    前記流体チャネル内又は前記TFF−モジュール(3)内の、前記半透膜(17)の前記膜間差圧を測定するために使用され得、前記TFF−モジュール(3)の各対向側の第1の流体ポート(14)及び第2の流体ポート(15)に近接して配置される、前記システム(1)の圧力を監視及び測定する少なくとも2つ以上の各圧力センサ(22、23、24)を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  11. 前記システム(1)が、
    前記流体試料に含有される各成分の濃度を取得するための光学的測定器(26)を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  12. 前記制御ユニット(80)が、前記各ピストンポンプ(6)の前記ピストン行程容積が同期させて適合されるように、各ピストンポンプ(6)の同じペア(8、9)の前記各ピストンポンプ(6)の各ピストンのストロークを、同期させて適合させる
    ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  13. 前記制御ユニット(80)が、流体が、各ピストンポンプ(6)の1つのペア(8、9)の一方のピストンポンプ(6)から他方のピストンポンプ(6)へと、TFF−モジュール(3)を通過して、正逆方向に流れるように、各ピストンポンプ(6)の1つのペア(8、9)の前記各ピストンポンプ(6)を制御する
    ことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  14. 前記各ピストンポンプ(6)が、モータ(12)によりモータ駆動される
    ことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載のマイクロフロー濾過システム。
  15. 接線流濾過モジュール(3)を使用して流体試料に含有される成分を濃縮するフロー濾過方法であり、
    流体試料の開始体積が最大100mLのマイクロフロー濾過システム(1)を供給する方法であって、
    前記マイクロフロー濾過システム(1)が、
    2つの各端部(10、11)を有し、流体チャネル(2)を通過する前記流体試料の双方向のフローを可能にする第1と第2の2つの各導管(4、5)によって形成される前記流体チャネル(2)と、
    第1の流体ポート(14)、第2の流体ポート(15)、浸透液出口(16)、及び、前記流体試料を分離することが可能な半透膜(17)、を有する接線流濾過モジュール(3)と、
    それぞれのピストンポンプ(6)が流体を含むことが可能なリザーバ(18、19)を形成する、各ピストンポンプ(6)の少なくとも2つの各ペア(8、9)と、
    前記各ピストンポンプ(6)の各ピストンの動きを制御する制御ユニット(80)と、
    を備え、
    前記第1の導管(4)が前記第1の流体ポート(14)に接続され、前記第2の導管(5)が前記第2の流体ポート(15)に接続されるように、TFF−モジュール(3)が前記流体チャネル(2)内に配置され、
    全てのピストンポンプ(6)が前記TFF−モジュール(3)の半透膜(17)の上流側に配置され、前記流体チャネル(2)の前記各端部(10、11)のそれぞれに、前記各ピストンポンプ(6)が流体接続されるように、各ピストンポンプ(6)のそれぞれのペア(8、9)の1方のピストンポンプ(6)が配置され、
    前記各ピストンポンプの第1のペア(8)の各ピストンポンプ(6)が、前記各ピストンポンプ(6)の第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(6)より大きな容積を有し、
    前記制御ユニット(80)が、各ピストンポンプのそれぞれのペア(8、9)の前記各ピストンポンプの前記各ピストンの同時の移動を制御するように、及び/又は、ピストンポンプの前記第1のペア(8)内の流体量が所定の体積まで減少した場合には、各ピストンポンプ(8a、8b)の前記第1のペア(8)から各ピストンポンプ(9a、9b)の前記第2のペア(9)への切り替えのための切り替え時間、及び/又は、切り替え、を制御するように、配置及び適合され、
    前記方法が、
    工程1: 各ピストンポンプの前記第1のペア(8)の少なくとも1つのピストンポンプ(6)に流体を充填する工程と、
    工程2: 前記制御ユニット(80)によって制御される各ピストンポンプの前記第1のペア(8)の前記第1のピストンポンプ(8a)のピストンを、往復移動の第1の方向に移動させることで、ピストン行程容積を減少させ、前記流体試料を、前記第1のピストンポンプ(8a)から前記流体チャネル(2)を通過して、前記TFF−モジュール(3)を通過させ、それにより、前記システム(1)内の前記流体試料の前記各成分の濃度を増加させ、所定量の流体を浸透液の流れに引き出す工程と、
    工程3: 前記制御ユニット(80)によって制御される各ピストンポンプの前記第1のペア(8)の前記第2のピストンポンプ(8b)のピストンを、前記第1の方向に移動させることで、前記ピストン行程容積を増大させ、流体を、前記流体チャネル(2)の通過後に前記ピストンポンプ(8b)に入らせる工程と、
    工程4: 前記制御ユニット(80)によって制御される各ピストンポンプの前記第1のペア(8)の前記第2のピストンポンプ(8b)のピストン、及び、前記第1のピストンポンプ(8a)のピストンを、前記第1の方向とは反対の往復移動の第2の方向に移動させることで、前記流体試料を、前記第2のピストンポンプ(8b)から、前記TFF−モジュール(3)を通過して、前記第1のピストンポンプ(8a)内へ、逆に移動させる工程と、
    工程5: 前記システム(1)内の前記流体試料の体積が、所定の値未満に減少したことを測定する工程と、
    工程6: 前記所定の値に到達するまで、前記制御ユニット(80)によって制御される各ピストンポンプの前記第1のペア(8)の前記第1及び第2の各ピストンポンプ(8a、8b)を、前記第1及び第2の方向に移動させる各工程を繰り返し、それにより、前記流体を、前記TFF−モジュール(3)を通過して、正逆方向に移動させる工程と、
    工程7: 前記システム(1)内の前記流体試料の体積が、前記所定の値未満に減少した場合に、上記の各工程に従って各ピストンポンプの前記第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(9a、9b)を使用し、それにより、前記流体チャネル(2)内に流体の連続的な双方向のフローを確立する工程と、
    の各工程を含む
    フロー濾過方法。
  16. 各ピストンポンプの前記第1のペア(8)、及び、各ピストンポンプの前記第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(8、9)を移動させる工程が、前記制御ユニット(80)によって、前記流体が、前記TFF−モジュール(3)を通過して一定の圧力で移動するように制御される
    ことを特徴とする、請求項15に記載のフロー濾過方法。
  17. 各ピストンポンプ(8a、8b)の第1のペア(8)の前記各ピストンポンプ(6)の容積が、各ピストンポンプ(9a、9b)の第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(6)の容積よりも、少なくとも3倍大きい、
    ことを特徴とする、請求項15又は16に記載のフロー濾過方法。
  18. 各ピストンポンプ(8a、8b)の第1のペア(8)の前記各ピストンポンプ(6)の容積が、各ピストンポンプ(9a、9b)の第2のペア(9)の前記各ピストンポンプ(6)の容積よりも、少なくとも100倍大きい、
    ことを特徴とする、請求項15又は16に記載のフロー濾過方法。
  19. 前記システム(1)内の前記流体試料の体積が、前記TFF−モジュール(3)から引き出される前記浸透液を計量することによって測定される
    ことを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
  20. 前記システム内の前記流体試料の体積が、前記ピストンのストローク量を計測又は測定することによって測定される
    ことを特徴とする、請求項15〜19のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
  21. 前記各ピストンポンプ(6)が、モータ(12)によりモータ駆動される
    ことを特徴とする、請求項15〜20のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
  22. 前記フローを、前記システム(1)内の前記流体の実際の圧力を監視することによって、各ピストンポンプのペア(8、9)の前記第1のピストンポンプ(8a、9a)から前記第2のピストンポンプ(8b、9b)へ制御する
    ことを特徴とする、請求項15〜21のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
  23. 前記フローを、前記システム(1)内の前記流体の膜間差圧を監視することによって、各ピストンポンプのペア(8、9)の前記第1のピストンポンプ(8a、9a)から前記第2のピストンポンプ(8b、9b)へ制御する
    ことを特徴とする、請求項15〜21のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
  24. 前記フローを、前記各ピストンポンプ(6)を駆動するためのインクリメンタル(漸次)に駆動されるモータによって、及び、前記モータ(12)により移動されるインクリメント(きざみ幅)を制御することで、前記各ピストンポンプのペア(8、9)の第1のピストンポンプから第2のピストンポンプへ制御する
    ことを特徴とする、請求項15〜23のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
  25. 前記各ピストンポンプ(6)を駆動するためのステッピングモータによって、及び、前記モータ(12)により移動されるインクリメント(きざみ幅)を制御することで、前記各ピストンポンプのペア(8、9)の第1のピストンポンプから第2のピストンポンプへの前記フローを制御する
    ことを特徴とする、請求項15〜23のいずれか1項に記載のフロー濾過方法。
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