本発明の1つの態様によれば、身体内における熱経路を計算する方法が提供される。本方法は:(a)熱的なデータをその身体の少なくとも一部の表面と関連付け、これにより、その表面についての熱的なデータマップを生成するステップ;(b)その熱的なデータマップ内において少なくとも1つの熱的に区別可能な領域を同定するステップ;および(c)前述の少なくとも1つの熱的に区別可能な領域の表面分布に基づいて、その身体の少なくとも一部における熱経路を計算するステップを含む。
以下で開述されている本発明の好適な実施形態におけるさらなる特徴によれば、ステップ(a)は上述の表面からの熱放射を収集することにより果たされる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、前述の収集された熱放射を上述の身体の少なくとも一部における組織の放射率に関して補正するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つの熱的に区別可能な領域は、少なくとも2つの熱的に区別可能な領域を含んでいる。
本発明の別の態様によれば、生体内における熱経路を計算する方法が提供され、本方法は:その生体の3次元空間表現上で定められた合成熱空間画像であって前述の3次元空間表現の表面と関連付けられた熱的なデータを有する合成熱空間画像を取得するステップを含んでいる。前述の熱的なデータは、好適には、それぞれが格子上の強度値によって表される複数の画素の形態でその表面上に格子様に配列されている。本方法は、さらに、その熱空間画像内における少なくとも1つの熱的に区別可能なスポットを同定するステップ、ならびに上述の熱経路を計算するために前述の熱空間画像および前述の熱的に区別可能なスポットを使用するステップを含む。
以下で開述されている本発明の好適な実施形態におけるさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、その生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定することができるように、少なくとも2つの熱軌道を使用するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに:その生体の異なる姿勢を表す付加的な合成熱空間画像を取得するステップ;その異なる姿勢に対応した3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定することができるように、熱的に区別可能なスポットの同定および勾配計算を反復するステップ;ならびに異なる姿勢に対応したそれらの3次元の熱的に区別可能な内部領域を比較するステップを含んでいる。
本発明の尚も別の態様によれば、生体内における熱経路を計算するための装置が提供され、その装置は:合成熱空間画像を受け入れるための入力ユニット;その合成熱空間画像内における少なくとも1つの熱的に区別可能なスポットを同定するためのスポット同定ユニット;ならびに前述の熱空間画像および前述の熱的に区別可能なスポットに基づいて、その生体内における熱経路を計算するための計算機を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、その装置は、さらに、少なくとも2つの熱軌道に基づいて、その生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定することができるように設計され、かつ、そのように構成された、領域決定ユニットを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、その熱経路は、そのスポットにおける表面の空間的勾配を計算することにより算出される。
本発明の尚も別の態様によれば、生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定する方法が提供され、本方法は:合成熱空間画像を取得するステップ;その格子上で概して同様な強度値によって表されている少なくとも1つのセットになる画素を検索するステップ;および前述の少なくとも1つのセットになった画素のうちの少なくとも1つに対して、それぞれの場所が前述のセットのうちの少なくとも1組の画素と関連付けられており、かつ、その場所の各ポイントが前述の1組の画素のうちの個々の画素から等しい熱的距離にあるように定められている複数の場所を定め、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定するためにその複数の場所を使用するステップを含んでいる。
本発明の尚も別の態様によれば、生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定するための装置が提供され、その装置は:合成熱空間画像を受け入れるための入力ユニット;その格子上で概して同様な強度値によって表されている少なくとも1つのセットになった画素を検索するための検索ユニット;それぞれの場所が前述のセットのうちの少なくとも1組の画素と関連付けられており、かつ、その場所の各ポイントが前述の1組の画素のうちの個々の画素から等しい熱的距離にあるように定められている複数の場所を定めるための場所特定ユニット;および前述の複数の場所に基づいて、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定するための領域決定ユニットを含んでいる。
以下で開述されている本発明の好適な実施形態におけるさらなる特徴によれば、上述の複数の場所のうちの少なくとも1つの場所は平面である。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域は、前述の複数の場所によって少なくとも部分的に境界づけられている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域は、前述の複数の場所のうちの少なくとも数個の場所が交差している線に基づいて決定される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域内における発源領域の所在位置を特定するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、その装置は、さらに、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域内における発源領域の所在位置を特定するための発源領域所在位置特定装置を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、その発源領域は、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域の重心、重み付けされた重心および質量中心からなるグループから選択される。
本発明の1つの付加的な態様によれば、生体内における多数の熱的に区別可能な対象物を決定する方法が提供され、本方法は:そこでは熱的なデータが表面上の少なくとも1つの熱的に区別可能なスポットを取り囲んでいる閉じた等温曲線によって特徴付けられている、合成熱空間画像を取得するステップ;前述の合成熱空間画像に基づいて、その生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定するステップ;その3次元空間表現内における境界を定めるために3次元空間表現を分析するステップであって、そこでは、その境界の一方の側に存在しているポイントはその表面上の単一の熱的に区別されたスポットに対応しており、一方で、その境界の別の側に存在しているポイントはその表面上の複数の熱的に区別されたスポットに対応している、分析ステップ;およびその生体内における熱的に区別可能な対象物の数を決定するために、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域を前述の境界と比較するステップを含んでいる。
本発明の尚も付加的な1つの態様によれば、生体内における熱的に区別可能な対象物の数を決定するための装置が提供され、その装置は:合成熱空間画像を受け入れるための入力ユニット;その合成熱空間画像に基づいてその生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定するための領域決定ユニット;その3次元空間表現内における境界を定めるために3次元空間表現を分析するための分析装置であって、そこでは、その境界の一方の側に存在しているポイントはその表面上の単一の熱的に区別されたスポットに対応しており、一方で、その境界の別の側に存在しているポイントはその表面上の複数の熱的に区別されたスポットに対応している、分析装置;およびその生体内における熱的に区別可能な対象物の数を決定するために、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域を前述の境界と比較するための比較ユニットを含んでいる。
以下で開述されている本発明の好適な実施形態におけるさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得し、上述の合成熱空間画像を形成するために、その少なくとも1つのサーモグラフィー画像を3次元空間表現上にマッピングするステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のマッピングステップは、その生体の放射率データによって上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像に重み付けを行うステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像は複数のサーモグラフィー画像を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のサーモグラフィー画像のうちの少なくとも2つはその生体が異なる姿勢にあるときに取得される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つの付加的な合成熱空間画像はその生体の異なる姿勢に対応している。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに:その生体の複数の3次元空間表現を取得するステップ;少なくとも2つの3次元空間表現に対して、その3次元空間表現の表面における等温曲線の予測されるトポロジーを決定するために、それぞれの3次元空間表現を分析するステップ;ならびに前述の予測されるトポロジーに基づいて上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像に対する視点および/またはその生体の姿勢を選択するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに:その生体に関する異なる視点および/またはその生体の異なる姿勢に対応した、その生体の少なくとも1つの付加的な3次元空間表現を取得するステップ;その生体内における上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域に基づいて、前述の少なくとも1つの付加的な3次元空間表現の表面に等温曲線の予測されるトポロジーを構築するステップ;前述の異なる視点および/または前述の異なる姿勢に対応した少なくとも1つの付加的な合成熱空間画像を取得するステップ;前述の少なくとも1つの合成熱空間画像を上述の等温曲線の予測されるトポロジーと比較するステップ;および前述の比較に関するレポートを発行するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、上述の3次元空間表現を構築するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の3次元空間表現を取得するステップは、その身体に赤外領域におけるあるパターンを照射するステップ、その身体および前述のパターンの少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得するために少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置を使用するステップ、前述のパターンに対応したレンジデータを計算するステップ、ならびにその身体の3次元空間表現を構築するために上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像および前述のレンジデータを使用するステップを含んでいる。
本発明のさらなる1つの付加的な態様によれば、生体の前面の熱空間イメージングのためのシステムが提供され、そのシステムは、内部にその生体の前面の少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得するための少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置を有する体内プローブシステム、ならびにその生体の前面の合成熱空間画像を提供し、かつ、表示するために、前述の体内プローブシステムから受信された画像データを分析するためのデータ処理装置を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、そのシステムは、さらに、その生体の前面の少なくとも1つの可視光画像を取得するための少なくとも1つの可視光イメージング装置を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、そのシステムは、さらに、あるパターンをその身体の前面に照射するための照射装置を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の体内プローブシステムは、肛門を通じて挿入することができるように適合化されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の体内プローブシステムは、膣を通じて挿入することができるように適合化されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の体内プローブシステムは、尿道を通じて挿入することができるように適合化されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の体内プローブシステムは、食道を通じて挿入することができるように適合化されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の体内プローブシステムは移送機構に取り付けられている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の移送機構は、内視鏡プローブおよびカテーテルからなるグループから選択される。
本発明のさらなる1つの態様によれば、ある方法が提供され、本方法は:予め定められた視点から生体の一連のサーモグラフィー画像を取得するステップ;それらのサーモグラフィー画像における熱的な変化を抽出するために、それらのサーモグラフィー画像を比較するステップ;および、前述の熱的な変化が予め定められた閾値以下であったときに、その生体が概して安定した熱的状態にあることを示すレポートを発行するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の取得および比較ステップは実質的に同時的に果たされる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、少なくとも数個のサーモグラフィー画像が事前に取得されている単一のサーモグラフィー画像と比較される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、少なくとも数個のサーモグラフィー画像が事前に取得されている複数のサーモグラフィー画像と比較される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、上述の熱的な変化をディスプレイ装置に表示するステップを含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、生体内における医療装置の位置をモニタリングする方法が提供され、本方法は、その医療装置の温度をその生体の平均温度とは充分に異なるある温度に設定するステップ、その生体の少なくとも1つの合成熱空間画像を形成するステップ、およびその生体内における上述の挿入可能な装置の位置をモニタリングするために、前述の少なくとも1つの合成熱空間画像を使用するステップを含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、生体内に挿入可能な医療装置が提供され、その医療装置は、近位側端部、遠位側端部および前述の近位側端部から遠位側端部にまで延びているオプティカルファイバを有する中空構造物を含んでおり、上述のオプティカルファイバは、前述の遠位側端部から近位側端部へ熱放射を伝えることができるように設計され、かつ、そのように構成されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の中空構造物およびオプティカルファイバは異なる材料でできている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のオプティカルファイバは前述の中空構造物内における通路によって定められている。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、レンジ・イメージング・システムのための照射装置が提供され、その照射装置は、光ビームを発生させるための光源、ダイナミックビーム偏向器、およびそれぞれが異なる画像を形成するように設計されている複数の区別された領域を有する画像形成エレメントを含んでおり、ここで、上述のダイナミックビーム偏向器は、異なる時間で異なる画像を形成するために上述の画像形成エレメントをスキャンすることができるように設計され、かつ、そのように構成されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の光源はレーザー装置を含んでおり、上述の光ビームはレーザービームである。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のダイナミックビーム偏向器は可動ミラーを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のダイナミックビーム偏向器は電気光学材料を含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、身体の3次元空間表現を構築する方法が提供され、本方法は:身体に赤外領域におけるあるパターンを照射するステップ;その身体および前述のパターンの少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得するために少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置を使用するステップ;前述のパターンに対応したレンジデータを計算するステップ;ならびにその身体の3次元空間表現を構築するために上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像および前述のレンジデータを使用するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の取得ステップは、少なくとも2つの異なる視点からその身体および上述のパターンの少なくとも2つのサーモグラフィー画像を取得することを含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、身体の3次元空間表現を構築するためのシステムが提供され、そのシステムは:赤外領域におけるあるパターンをその身体に照射することができるように設計され、かつ、そのように構成されている照射装置;その身体および前述のパターンの少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得することができるように設計され、かつ、そのように構成されている、少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置;ならびに前述のパターンに対応したレンジデータを計算し、また、その身体の3次元空間表現を構築するために上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像および前述のレンジデータを使用することができるように設計され、かつ、そのように構成されているデータ処理装置を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置は、少なくとも2つの異なる視点からその身体および上述のパターンの少なくとも2つのサーモグラフィー画像を取得することができるように設計され、かつ、そのように構成されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のパターンは、時系列コーディングによって3次元空間表現の構築が可能なように選択されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のパターンは、空間コーディングによって3次元空間表現の構築が可能なように選択されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のレンジデータは飛行時間法により算出される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のレンジデータは三角測量法により算出される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の照射を特性化するパルス長は20ミリ秒よりも短い。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像の取得は、20ミリ秒未満の露光時間により特徴付けられる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像の取得は、単一の露光時間の間に行われる多数回の読み出しを含む。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の多数回の読み出しのうちの少なくとも2回の読み出しは累積的に実行される。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の照射はレーザー光によって果たされる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、少なくとも数個のサーモグラフィー画像に対して、その身体によって発生された熱に由来する画像データをフィルターにかけて除去するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、本方法は、さらに、上述のパターンを伴うことなくその身体の少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得するステップを含んでおり、ここで、上述の画像データをフィルターにかけて除去するステップは、前述のパターンを伴って取得されたサーモグラフィー画像からそのパターンを伴うことなく取得されたサーモグラフィー画像を差し引くことを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の画像データ処理装置は、その身体によって発生された熱に由来する画像データをフィルターにかけて除去することができるように設計され、かつ、そのように構成されている。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の画像データ処理装置は、上述のパターンを伴って取得されたサーモグラフィー画像から前述のパターンを伴うことなく取得されたサーモグラフィー画像を差し引き、これにより、上述の画像データをフィルターにかけて除去することができるように設計され、かつ、そのように構成されている。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、身体の3次元空間表現を構築する方法が提供され、本方法は:その身体に一連のスポットを照射するステップであって、ここで、その一連のスポットのうちの少なくとも1つのスポットはそれらの一連のスポットにおける他のすべてのスポットから区別可能である、スポット照射ステップ;少なくとも2つの異なる視点からその身体および前述の一連のスポットの少なくとも2つの画像を取得するために少なくとも1つのイメージング装置を使用するステップ;各画像における前述の一連のスポットの所在位置を特定するステップ;各画像において、前述の少なくとも1つの区別可能なスポットを同定し、上述の一連のスポットにおける他のすべてのスポットを同定するために前述の少なくとも1つの区別可能なスポットを使用するステップ;および前述の一連のスポットに対するレンジデータを計算し、その身体の3次元空間表現を構築するために前述のレンジデータを使用するステップを含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、レンジ・イメージング・システムを較正する方法が提供され、本方法は:それぞれが図形エントリおよびその図形エントリの視点に対応した角度エントリを有している複数のエントリを含む図形のデータベースにアクセスするステップ;身体に図形を照射するステップ;少なくとも2つの異なる視点からその身体および前述の図形の少なくとも2つの画像を取得するために少なくとも1つのイメージング装置を使用するステップ;少なくとも2つの画像に対して、前述の図形を同定し、その図形に概して類似している図形エントリを上述のデータベースで検索し、かつ、そのデータベースから個々の角度エントリを抽出し、これにより、少なくとも2つの角度を提供するステップ;前述の少なくとも2つの角度に基づいて、その図形に対するレンジデータを算出し、かつ、上述のレンジ・イメージング・システムを較正するためにそのレンジデータを使用するステップを含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、熱空間イメージングシステムを較正する方法が提供され、そのシステムは少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置および少なくとも1つの可視光イメージング装置を有する熱空間イメージングシステムであり、本方法は:身体に複数の波長におけるあるパターンを照射するステップであって、ここで、それらの複数の波長のうちの少なくとも1つの波長は前述の少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置によって検出可能であり、また、それらの複数の波長のうちの少なくとも1つの波長は前述の少なくとも1つの可視光イメージング装置によって検出可能である、パターン照射ステップ;前述のパターンの少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得するために上述の少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置を使用し、前述のパターンの少なくとも1つの可視光画像を取得するために上述の少なくとも1つの可視光イメージング装置を使用するステップ;ならびに前述のサーモグラフィー画像および可視光画像を用いてその3次元サーモグラフィーイメージング装置を較正するステップを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つのサーモグラフィー画像および少なくとも1つの可視光画像は実質的に同時に取得される。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、身体の3次元空間表現を構築する方法が提供され、本方法は:少なくとも2つの異なる光の色を発生させるべく操作可能なパターンプロジェクタを用いて、コード化されたパターンを、それらの異なる色のコード化されたパターンが相互にシフトされるような態様で、その身体に照射するステップ;画像データをもたらすべく、そのコード化されたパターンの少なくとも1つの画像を取得するステップ;およびその画像データに基づいて、それらのコード化されたパターンの3次元的な位置を計算し、これにより、その身体の3次元空間表現を構築するステップを含んでいる。
本発明の尚もさらなる1つの態様によれば、身体の3次元空間表現を構築するためのシステムが提供され、そのシステムは:異なる色のコード化されたパターンが相互にシフトされるような態様でその身体に少なくとも2つの異なる光の色のコード化されたパターンを照射することができるように操作可能なパターンプロジェクタ;そのコード化されたパターンの少なくとも1つの画像を取得し、これにより画像データを提供するためのイメージング装置;ならびにその画像データに基づいてそれらのコード化されたパターンの3次元的な位置を算出することができるように設計され、かつ、そのように構成されている画像データ処理装置を含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも2つのコード化されたパターンは1つのピクセルサイズ分だけ相互にシフトされる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述のパターンプロジェクタは逐次的に異なる色のコード化されたパターンを投射することができるように操作可能である。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の異なる色のコード化されたパターンは、隣接している投射されたピクセルの中心間の特性距離に満たない量だけ相互にシフトされる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つの画像の取得は20ミリ秒未満の露光時間により特徴付けられる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも1つの画像の取得は、単一の露光時間の間に行われる多数回の読み出しを含んでいる。
その開述されている好適な実施形態における尚もさらなる特徴によれば、上述の少なくとも2つの異なる色は第1の色、第2の色および第3の色を含み、また、上述の少なくとも1つの画像の取得は、単一の露光時間の間に行われる3回の読み出しを含んでいる。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
本発明の実施形態の方法およびシステムを実行することは、選択されたタスクまたは工程を、手動操作で、自動的にまたはそれらを組み合わせて実行または完了することを含んでいる。さらに、本発明の装置、方法およびシステムの好ましい実施形態の実際の機器や装置によって、いくつもの選択されたステップを、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、あるいはオペレーティングシステムを用いるそれらの組合せによって実行できる。例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施されることができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態により選択されたタスクは、コンピュータが適切なオペレーティングシステムを使って実行する複数のソフトウェアの命令のようなソフトウェアとして実施されることができる。いずれにせよ、本発明の方法およびシステムの選択されたタスクは、データプロセッサー、例えば複数の命令を実行する計算プラットフォームで実行される。
本実施形態は、イメージングにおいて使用されることができる方法、装置およびシステムを含む。具体的には、限定されないが、本実施形態は、生体内における熱的に区別可能な領域の位置を決定することのために使用されることができる。
本発明による方法、装置、およびシステムの原理および操作は、図面および添付の説明を参照して、よりよく理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、次の記載において示されているか、または図面において例示されている構成および構成要素の配置の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、ほかの実施態様も可能であるし、または様々な方法で実行または実施することができる。同様に、本明細書において用いられる表現および用語法は、説明を目的としており、限定的なものとみなすべきでないことも理解すべきである。
本発明者らは、目的の組織領域(例えば腫瘍などの病的状態)からその組織領域の上部に存在している表面へ至る熱経路または熱軌道から、そのような組織領域の検出および所在位置の特定を可能にする手法を考案した。
本明細書では、そのような軌道または経路を計算するための幾つかの手法が想定されている。そのような1つの手法は、身体の少なくとも一部の表面と関連付けられた熱的なデータを含んでいる熱的なデータマップを利用する。その熱的なデータマップにおいて、1つ以上の熱的に区別可能な領域が同定される。本発明の様々な例証的実施形態においては、その熱的に区別可能な1つまたは複数の領域は、次いで、表面分布(例えば熱的領域のパターン)、その表面上における位置、熱的な強度、サイズ、他の熱的に区別可能な領域との関係における位置にまでにおよぶ広い範囲において特性付けされる。好適には、そのような特性決定的な特徴を利用して、その身体内における熱経路が算出される。
従って、本発明の好適な実施形態は、一般的には、表面情報の分析、例えば下層組織の性質の抽出などに関する。本発明の様々な例証的実施形態においては、前述の表面情報は、熱に関する情報のみならず空間情報も含んでいる。
上述の空間情報は、3次元の体積を少なくとも部分的に包囲する非平面表面の幾何学的性質を含む。一般的には、上述の非平面表面は3次元空間に包埋されている2次元の対象物である。正式には、非平面表面は、滑らかに接続されたコンパクトな2次元リーマン多様体によって誘導される計量空間である。理想的には、その非平面表面の幾何学的性質は、例えばその非平面表面のあらゆるポイントに対する傾きおよび曲率(またはさらに別の空間的派生項目もしくはそれらの組み合わせ)により明確に与えられるであろう。しかし、そのような情報は滅多に達成することができず、その空間情報は、2次元リーマン多様体上の1つのセットになったポイントであって、かつ、その2次元多様体のトポロジーを描写するのに充分であるその非平面表面の標本版に対して与えられる。典型的には、その非平面表面の空間情報は3D空間表現の縮小版であり、その縮小版は、ポイント雲であってもよいし、またはそのポイント雲に基づく3D再構築物(例えば多角形メッシュまたは曲線メッシュ)であってもよい。その3D空間表現は3D座標系を介して表され、例えば、限定するものではないが、それぞれ3D系のデカルト座標、球座標、楕円座標、3D放物線座標または3D放物面座標などを介して表される。
「表面」という用語は、本明細書では、「非平面表面」という用語の省略形として使用される。
上述の熱的情報は、その表面から放出された熱に関連するデータまたはその表面により吸収された熱に関するデータを含む。その表面の異なる部分は、一般的に、異なる量の熱を放出または吸収するため、その熱的情報は、それぞれがその表面上の領域またはポイントの座標およびそのポイントまたは領域と関連する熱的な値(例えば温度や熱エネルギーなど)を含む1つのセットになった組を含んでいる。前述の熱的情報は可視信号に変換することができ、この場合、その熱的情報はサーモグラフィー画像の形態を成している。「サーモグラフィー画像」および熱的情報という用語は、どのような態様においても本発明の範囲を制限することなく、本明細書全体を通じて互換可能に使用される。具体的に言うと、他に特記しない限り、「サーモグラフィー画像」という用語の使用は、上述の熱的情報の可視信号への変換に限定されるものと見なすべきではない。例えば、サーモグラフィー画像は、上で開述されている通りの1つのセットになった組としてコンピュータ可読媒体の記憶装置に保存することができる。
身体の(熱的および空間的な)表面情報は、典型的には、合成3D画像の形態を成しており、その合成3D画像は、同一の3D画像上に熱的なデータと空間的なデータとの両方を含んでいる。そのような画像は熱空間画像と称される。
身体の3次元画像は、典型的には、身体部位の横方向の広がりを示していることに加え、ある基準点、例えばそのイメージング装置の所在位置などからの身体部位もしくはそれらの部位の部分の相対的または絶対的な距離をもさらに示している2次元画像であることが認識されている。従って、3次元画像は、典型的には、3次元的な身体の非平面表面に存在している情報および、必ずという訳ではないが、バルクに存在している情報を含んでいる。それにもかかわらず、その非平面表面が3次元系の座標上に都合よく定められるため、そのような画像を「3次元」と称することは一般的に受け入れ可能である。従って、この明細書全体を通じて、また、以下に続く特許請求の範囲のセクションにおいて、「3次元画像」および「3次元表現」という用語は、主として表面実体に関する。
上述の熱空間画像は、身体の3D空間表現上に定められ、そして、その3D空間表現の表面と関連付けられ、かつ、複数の画素(例えばピクセル、ピクセルの配列)の形態でその表面上に格子様に配列された熱的なデータを有し、前述の複数の画素はそれぞれがその格子上の強度値またはグレーレベルによって表される。ここで、異なる強度値の個数はグレーレベルの個数とは異なり得ることが認識される。例えば、8ビットのディスプレイは256個の異なるグレーレベルを生成することができる。しかし、原理的に、熱的情報に対応した異なる強度値の個数はもっとずっと大きくなり得る。1つの代表的な例として、その熱的情報が37℃のレンジ上でスパンし、0.1℃の分解能でデジタル化されるものとしよう。この場合、370個の異なる強度値が存在し、グレーレベルの使用は約1.4倍だけ正確度が劣ることになる。従って、本発明の様々な例証的実施形態においては、熱的なデータの処理は、グレーレベルではなく、強度値を用いて行われる。それにもかかわらず、グレーレベルの使用を本発明の範囲から除外するものではない。
本明細書においては、「ピクセル」という用語が、画素を示すべく略記される場合がある。しかしながら、これは「画素」という用語の意味を限定することを意図したものではなく、「画素」は、画像の構成単位をいう。
典型的には、熱空間画像を形成するために、1つ以上のサーモグラフィー画像が3D空間表現の表面にマッピングされる。3D空間表現の表面にマッピングされることとなるサーモグラフィー画像は、好適には、その3D空間表現と同じ座標系で表されている熱的なデータを含んでいる。あらゆるタイプの熱的なデータを使用することができる。1つの実施形態においては、その熱的なデータは絶対的な温度値を含んでおり、別の実施形態においては、それぞれが例えばその表面の個々のポイントと基準点との間での温度差に対応した相対的な温度値を含んでおり、また、1つの付加的な実施形態においては、その熱的なデータは局所的な温度差を含んでいる。さらに、上述のタイプの温度データの組み合わせも想定されており、例えば、その熱的なデータは絶対的な温度値と相対的な温度値との両方を含むことができる、などの場合が考えられる。
典型的には、そのサーモグラフィー画像における情報は、参照マーカーにおける熱的状態(例えば温度)も含んでいる。
3D空間表現の表面へのサーモグラフィー画像のマッピングは、例えば、それによって他のポイントもぴったりと合わせ、従って、上述の合成熱空間画像を形成することができるように、(例えばそのサーモグラフィー画像における参照マーカーの座標を上述の3D空間表現におけるそれらの座標と比較することにより)参照マーカーを正確にポジショニングすることにより行われる。
場合によっては、かつ、好適には、サーモグラフィー画像のマッピングは補正手順を伴い、そこでは、熱放射率に関する配慮が含まれる。
身体部位の熱放射率は、その身体部位の表面から発せられる熱放射の量およびその身体部位と同じ温度を有する黒体から発せられる熱放射の量の間での比率として定義される無次元量である。従って、理想化された黒体の熱放射率は1であり、すべての他の身体の熱放射率は0から1までの間である。一般的に、ある身体の熱放射率は概してその身体の熱吸収率に等しいものと仮定されている。
上述の補正手順は、目的の身体の推定される熱的特性を用いて実施することができる。具体的に言うと、そのサーモグラフィー画像は、その身体の表面に存在する領域間における放射率の差異を考慮に入れて、その身体を描写している非平面表面にマッピングされる。周囲と比べて異なる放射率値を有する領域は、例えば瘢痕領域、色素性領域、胸部の乳頭領域および母斑などであり得る。これに加え、異なる皮膚の色を有する被検者の放射率値も異なり得る。
1つの好適な実施形態においては、そのサーモグラフィー画像は、その表面の異なる放射率値によって重み付けされる。例えば、サーマルイメージング装置によって取得された情報が温度またはエネルギーの値を含んでいるときには、その温度またはエネルギーの値の少なくとも一部をその身体の表面に存在する個々の領域の放射率値で除することができる。当業者であれば、そのような手順は、そのサーマルイメージング装置によって取得された値よりも大きな実効温度値または実効エネルギー値をもたらすことが認識されよう。異なる領域は異なる放射率値によって特性付けすることができるため、その重み付けされたサーモグラフィー画像は、その身体の表面から発せられた熱に関する一層良好な推測を提供する。
身体が女性の胸部を含んでいる場合での合成熱空間画像の代表的な1つの例が図1a〜cに描かれており、それらの図は、それぞれ、非平面表面として描かれた3D空間表現(図1a)、平面的な等温曲線として描かれているサーモグラフィー画像(図1b)、およびそのサーモグラフィー画像を前述の3D空間表現の表面上にマッピングすることにより形成された合成熱空間画像(図1c)を示している。図示されているように、この熱空間画像の熱的なデータは、総体的に「102」で示されている格子上のグレーレベル値として表されている。このグレーレベル値による表現は、例証を目的としたものであって、限定的なものと見なされるべきものではないことを理解すべきである。上で説明されているように、熱的なデータの処理は、強度値を用いて実行することもできる。また、図1a〜cには、マッピングの際に使用される参照マーカー101も示されている。
この3D空間表現、サーモグラフィー画像および合成熱空間画像は、当技術分野において公知のあらゆる技術で取得されてよく、例えば国際特許公開公報WO第2006/003658号、米国公開出願公報第20010046316号、ならびに米国特許第6442419号、第6765607号、第6965690号、第6701081号、第6801257号、第6201541号、第6167151号および第6094198号で開示されている技術などを用いて取得することができる。また、本実施形態は、以降でさらに詳述されているように、その表面情報またはそれの一部を取得するための他の技術も与えている。
本発明の好適な実施形態は、方法ステップを遂行するためのコンピュータなどの有形的表現媒体で具現化することができる。本発明の好適な実施形態は、方法ステップを実行するためのコンピュータ可読の指示を含んでいるコンピュータ可読媒体で具現化されてよい。また、本発明の好適な実施形態は、有形的表現媒体でそのコンピュータプログラムを実行することができるように設定された、またはコンピュータ可読媒体でその指示を実行させることができるように設定されたデジタル式のコンピュータ処理能力を有する電子装置で具現化することもできる。本実施形態の方法ステップを実行するコンピュータプログラムは、一般的に、有形的配布媒体でユーザーに配布することができる。その配布媒体から、上述のコンピュータプログラムをハードディスクまたは同様な中間的記憶媒体へコピーすることができる。それらのコンピュータプログラムは、上述のコンピュータ指示をそれらの配布媒体または中間的記憶媒体のどちらかからそのコンピュータの実行メモリにローディングし、そのコンピュータを本発明の方法に従って作動するように構成することにより実行することができる。すべてのこれらの操作は、コンピュータシステムの分野における当業者にとっては周知である。
本実施形態は多くの医学的用途および他の用途において有用である。
例えば、本実施形態は内部の腫瘍または炎症の存在、位置および場合によってはそのサイズを決定するために使用することができ、従って、例えば癌の診断に役立てることができる。
また、本実施形態は、血管の温度が一般的に組織の温度とは異なっているため、血管マップの構築や、身体内における特定の血管の所在位置の決定にも有用である。この点において、本実施形態は、顔面内における血管位置の情報が特定の個人の身元確認に役立ち得るため、顔認識の分野においても有用である。また、他の器官の認識も想定されている。本実施形態を用いる器官認識は、本実施形態が生体内における熱的に区別可能な領域を限局化する能力を有しているため、特に有利である。そのような限局化は、その身体内における血管の配向および深さの両方に関する情報を提供する血管マップを構築するために使用することができる。その後、このマップは、例えばアクセス可能で、かつ、検索可能な血管マップのデータベースで同様なマップを検索することにより、個人の身元確認用に使用することができる。
また、本実施形態は、骨の温度が一般的に軟組織の温度とは異なっているため、骨イメージングにも有用である。これは、特に、骨の形状を定期的にモニタリングすることが必要とされる脊柱側弯症および他の脊椎変形症などの医療実施において有用である。そのような状態および他の状態に際し、本実施形態は、危険性の高いX線イメージングに対する安全な代替的手段を提供する。
また、骨イメージングは、骨粗鬆症症状の可能性を評価するために使用することもできる。具体的に言うと、一般的に健常な骨の前方にはその表面よりも多くの熱が存在するため、骨ミネラル密度が低減している可能性は、骨表面の温度発生をモニタリングすることにより同定することができる。例えば、骨の表面の温度が時間の経過とともに一貫して増大しているか否かを決定するために、一連の熱空間画像を本発明の好適な実施形態により特定の間隔(例えば、1カ月に1回など)で取得および分析することができる。この分析は、骨ミネラル密度の低減の可能性を評価するために使用することができ、これにより、温度増大の速度が大きければ大きいほど、それだけ可能性が高いことを表している。
次に、添付図面を参照すると、図2は、生体内における熱経路を算出するのに適した方法10を開示しているフローチャート式のダイアグラムである。他に特記しない限り、以下で開述されている本方法のステップは、同時的に実行されてもよいし、または実行する順番を多くの態様で組み合わせて逐次的に実行されてもよいことを理解すべきである。具体的に言うと、このフローチャート式ダイアグラムの順序付けは限定的なものと見なされるべきではない。例えば、以下の説明または上述のフローチャート式ダイアグラムに特定の順番で登場している本方法の2つ以上のステップは、異なる順番(例えば、逆の順番)で実行されてもよいし、または実質的に同時に実行することもできる。これに加え、以下で開述されている本方法の幾つかのステップは随意的なものであり、実行されなくてもよい。
方法10は、そこに身体内における熱的に区別可能な対象物が存在している経路を決定するために使用することができる。熱的に区別可能な対象物とは、それらが直に接している周辺の温度よりも高い温度または低い温度を有している対象物であって、例えば炎症、良性腫瘍、悪性腫瘍などであり得る。
本方法は、ステップ12から始まって、ステップ14へと続き、ステップ14では、その生体の合成熱空間画像が取得される。前述の合成熱空間画像は、既に述べられているように、その身体の3D空間表現上で定められており、その3D空間表現の表面と関連付けられた熱的なデータを有している。その熱空間画像は、方法10により発生させることができ、または方法10によりその画像を読み取ることができる別の方法もしくはシステムによって発生させることもできる。
本方法はステップ16へと続き、ステップ16では、その熱空間画像内において、1つ以上の熱的に区別可能なスポットが同定される。「熱的に区別可能なスポット」という用語は、それと関連付けられた熱的なデータがその領域の直に接している周辺領域と関連付けられた熱的なデータとは異なっている、3D空間表現の表面上におけるあるエリアを表す。例えば、熱的に区別可能なスポットは、その温度が局所的な最大値または局所的な最小値に達しているエリアであってよい。この例証的な図においては、熱的に区別可能なスポットが総体的に「201」で示されている(図1c参照)。この熱的に区別可能なスポットのサイズは、典型的には、熱空間画像のサイズよりもずっと小さい。
本方法はステップ18へと続き、ステップ18では、少なくとも数個の熱的に区別可能なスポットに対してその表面に対する空間勾配が計算される。空間勾配を求める計算は当技術分野において公知であり、そのような勾配を計算するための方法が多くのテキストに掲載されている。例えば、3D空間表現が多角形メッシュの形態を成しているときには、その空間勾配は、そのスポットを通り、かつ、個々の多角形に対して垂直に向けられたベクトルであってよい。ポイント雲または他のタイプの3D表現に対しては、その勾配は、空間1次導関数により、または接平面により見出すことができる。一旦勾配が算出されると、好適には、その勾配は、そのスポットの所在位置とともに、ある直線を定めるために使用され、その直線は、身体内における熱経路であってよい。例えば、方法10が炎症または腫瘍などの熱的に区別可能な対象物が存在している経路を決定するために使用される場合などのように、生体が高温の対象物を含んでいるときには、上述の直線は、そこに沿って熱が身体内を伝播する経路として定めることができる。
その手順が図3aに描かれており、図3aは、3D空間表現206の表面205上の熱的に区別されたスポット201を示している。勾配202はその3D空間表現の内側へ向いており、経路203は、勾配202に平行で、かつ、スポット201を通る直線として定められている。また、表現206における内部領域204によって表されているように、生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域の所在位置も示されている。図示されているように、経路203は領域204も通っている。一旦見出されると、その経路は、好適には、ディスプレイ装置、ハードコピーおよび記憶媒体などの有形的表現媒体に表示または記録される。
本発明の様々な例証的実施形態においては、本方法はステップ22へと続き、ステップ22では、生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域の所在位置を決定するために2つ以上の熱軌道が使用される。この手順が図3bに描かれており、図3bは、第2のスポット201’および第2の勾配202’に対応した第2の経路203’も示している。領域204の所在位置は、これら2つの軌道間での交点を計算することにより得ることができ、または、それらの軌道が交差しないときには、それらの軌道のうちの最も近付いているポイント間の領域として得ることができる。一旦見出されると、その3次元の熱的に区別可能な内部領域は、好適には、有形的表現媒体に表示または記録される。好適には、本方法はステップ24へと続き、ステップ24では、発源領域208が領域204内で所在位置を特定される。この発源領域は、身体内において熱的に区別された対象物(例えば炎症や腫瘍など)の所在位置に相当しており、限定するものではないが、領域204の重心、重み付けされた重心および質量中心などを含め、当技術分野において公知のあらゆる数学的な手順により所在位置が特定されてよい。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、本方法はステップ14へとループバックし、その際のステップ14では付加的な熱空間画像が取得され、この付加的な熱空間画像は生体の異なる姿勢に対応している。例えば、その生体が女性の胸部である場合には、第1の熱空間画像は女性が立っているときの胸部を描写していてよく、また、上述の付加的な熱空間画像は女性が前屈みになっているときまたは腹臥位で横たわっているときの胸部を描写していてよい。好適には、但し必須という訳ではないが、前述の付加的な熱空間画像は、それら2つ以上の熱空間画像が身体上の予め定められている固定の基準点に関して整列可能であるような態様で取得される。例えば、その基準点は腋窩上のマークであってよい。好適には、身体が第2の姿勢にあるときに3次元の熱的に区別可能な内部領域の所在位置を決定するために、上述の付加的な熱空間画像に対して、その1つまたは複数の熱的に区別可能なスポットの同定および1つまたは複数の勾配の計算が繰り返し行われる。その後、この手順の正確度を評価するため、異なる姿勢において決定されたそれらの所在位置を比較することができる。次いで、その評価された正確度に関するレポートを、例えばディスプレイ装置、ハードコピーなどで発行することができる。
あるいは、それらの所在位置を平均し、3次元の熱的に区別可能な内部領域の平均的所在位置を有形的表現媒体に表示または記録することもできる。
方法10はステップ26で終了する。
図4は、本発明の様々な例証的実施形態による、生体内における熱経路を算出するための装置40の概略的説明図である。装置40は、方法10における方法ステップのうちの1つ以上のステップを実行するために使用することができる。
装置40は、合成熱空間画像を受け入れる入力ユニット42、1つまたは複数の熱的に区別可能なスポットを同定するスポット同定ユニット44、およびこれまでの箇所でもっと詳しく説明されているように空間勾配を計算するための勾配計算機46を含んでいる。また、装置40は、場合によって、かつ、好適には、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定することができるように設計され、かつ、そのように構成されている、領域決定ユニット48を含んでいる。さらに、装置40は、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように発源領域の所在位置を特定する発源領域所在位置特定装置48も含んでいてよい。
次に図5を参照しながら説明すると、図5は、本発明の様々な例証的実施形態による、生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域の位置および場合によってはそのサイズを決定するのに適した方法50のフローチャート式のダイアグラムである。
本方法はステップ52から始まって、ステップ54へと続き、ステップ54では、合成熱空間画像が取得される。その熱空間画像は方法50により発生させられたものであってもよいし、または方法50によりその画像を読み取ることができる別の方法もしくはシステムにより発生させられたものであってもよい。
本方法はステップ56へと続き、ステップ56では、表面、またはもっと具体的には格子102が、概して同様な強度値によって表されている1つ以上のセットになった画素に関して検索される。正式には、その格子が、I−ΔIからI+ΔIまでの強度値を有する1つのセットになった画素に関して検索され、ここで、Iはそのセットを特性付けしている予め定められた強度であり、ΔIは幅パラメータである。ΔIの値は、好適には、そのセットに充分な個数の画素(例えば、10個より多い個数の画素)の収集を許容するのに充分な大きさではあるものの、できるだけ小さく選ばれる。例えば、それぞれの画素における強度値が0から255までの数字であるときには、ΔIは約10単位の強度であってよい。
本明細書で使用する場合、「約」という用語は±20%を表す。
1つより多くのセットになった画素が定められるときには、それぞれのセットは異なる強度Iによって特性付けされるが、2つのセットが等しい幅パラメータを有していてよく、または2つのセットが等しい幅パラメータを有していなくてもよい。
また、概して同様な強度値によって表されるセットになった画素の検索は、平均化手順を伴っていてもよい。例えば、その検索は、表面上の熱的に区別されたスポットまたな領域の所在位置を特定することにより始まってよい。次いで、その所在位置が特定されたスポットまたは領域におけるピクセルまたは画素の強度値が、平均強度値をもたらすべく、平均または加重平均される。この後、本方法は、同一または同様な平均強度値を有している他の領域またはスポットを検索することができる。何ら適合が見出されなかった場合、本方法は、場合によっては、かつ、好適には、熱的に区別された領域における画素およびその領域の周囲の画素を用いて、従って、その領域を拡げて、平均強度値を計算し直す。この後、本方法は、新たな平均値を用いて他の領域の検索を行うことができる。望ましい場合には、このプロセスを数回繰り返すことができる。従って、この実施形態においては、そのセットは上述の平均強度値によって特性付けされる。
本方法はステップ58へと続き、ステップ58では、セットになった画素のうちの1つ以上に対して複数の場所が定められる。それら複数の場所のうちのそれぞれの場所は、そのセットになった画素のうちの少なくとも1組の画素と関連付けられており、また、その場所の各ポイントが前述の1組の画素のうちの個々の画素から等しい熱的距離にあるように定められている。この手順が図6aに描かれており、図6aは部分図であって、表面205の断面、ならびに概して同様な強度値を有している(従って、同一のセットに属している)1組の画素601および602を示している。ポイントの場所603がポイント601および602と関連付けられている。場所603のポイント604とポイント601との間で定められる距離d1は、場所603の同じポイント604とポイント602との間で定められる距離d2に等しい。一般的に、距離d1およびd2は、幾何学的距離の観点からではなく、熱伝導率に基づく熱的距離の観点から決定される。しかしながら、幾つかの実施形態においては身体を熱的に等方性の媒体としてモデル化することができ、その場合には、熱的距離の定義は幾何学的距離の定義と一致する。
場所603は平面状または非平面状のどちらの形状をも成すことができる。距離d1およびd2が幾何学的距離であるときには、場所603は平面であることが認識される。それぞれの組のポイントは、原理上、異なる場所と関連付けることができる。従って、そのセットになった画祖が1つより多くの組のポイントを含んでいるときには、複数の場所が定められる。それらの場所が一旦定められると、本方法はステップ60へと続き、ステップ60では、それらの場所が3次元の熱的に区別可能な内部領域を定めるために使用される。これは、1つより多くの態様で為すことができる。1つの実施形態においては、その内部領域はそれらの場所によって完全に、または部分的に境界づけられている。言い換えれば、それらの場所は、その領域の外表面を定めるために使用されている。この実施形態が図6b〜dに描かれており、図6b〜dは、参照記号603、603’、603’’で表されている数個の平面状の場所によって境界づけられた3次元領域204の例を示している。
別の実施形態においては、その内部領域は、それらの場所のうちの2つ以上の場所の交差する線に基づいて決定される。この実施形態が図6e〜fに描かれており、図6e〜fは、それに沿って2つの場所603および603’が交差する線605(図6e)、ならびに2つ以上の線605の交点である複数のポイント606(図6f)を示している。この後、ポイント606は、例えばそれらのポイント606をポイント雲と見なすことにより、または領域204を多角形メッシュもしくは曲線メッシュとして再構築することにより、領域204を定めるために使用することができる。
本方法がステップ56において1つより多くのセットになった画素を見出したときには、それらのセットになった画素のうちの少なくとも幾つかの場所が、個々のセットになった画素と関連付けられた内部領域を定めるために独立して使用される。この後、例えばそれらの領域を平均化することにより、最終的な内部領域を定めることができる。その平均は、個々の領域に対する相対的な重みとしてそれらのセットになった画素と関連付けられた強度を用いて重み付けされてよい。あるいは、その最終的な領域をすべての領域の集合として定めることもできる。またあるいは、その最終的な領域は、2つ以上の領域の交差した部分として定めることもできる。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、本方法はステップ54へとループバックし、その際のステップ54では、1つ以上の付加的な熱空間画像が取得され、その付加的な熱空間画像は生体の異なる姿勢に対応している。好適には、但し必須という訳ではないが、その付加的な熱空間画像は、それら2つ以上の熱空間画像が身体上における予め定められた固定の基準点に関して整列可能であるような態様で取得される。好適には、その身体が第2の姿勢にあるときに3次元の熱的に区別可能な内部領域の所在位置を決定するため、この1つまたは複数のセットになった画素の検索および場所の特定工程が上述の付加的な熱空間画像に対して繰り返される。その後、この異なる姿勢で決定されたこれらの所在位置を、その手順の正確度を評価するために比較することができる。その後、この評価された正確度に関するレポートを、例えばディスプレイ装置、ハードコピーなどで発行することができる。
あるいは、それらの所在位置を平均し、3次元の熱的に区別可能な内部領域の平均的所在位置を有形的表現媒体に表示または記録することもできる。
一旦見出されると、領域204は、好適には、有形的表現媒体に表示または記録される。好適には、本方法はステップ62へと続き、ステップ62では、領域204内における発源領域208の所在位置が特定される。その発源領域は、その身体内における熱的に区別された対象物(例えば炎症や腫瘍など)の所在位置に相当しており、当技術分野において公知のあらゆる数学的手順によってその所在位置が特定されてよく、そのような数学的手順は、限定するものではないが、領域204の重心、重み付けされた重心および質量中心を含む。
方法50はステップ64で終了する。
以下は、距離d1およびd2が幾何学的距離であって、かつ、それぞれの場所が平面である実施形態において、場所を特定し、それらの場所に基づいて内部領域を決定するためのアルゴリズムの1つの代表的な例である。
I−ΔIからI+ΔIまでの同様な強度値を有する1つのセットになったすべてのピクセルが「s」で表されている。デカルト座標系において、「s」内の2つのピクセルが、それぞれ、p1=[x1 y1 z1]Tおよびp2=[x2 y2 z2]Tで表されている。これらのピクセルのユークリッドノルムが、それぞれ、‖p1‖2および‖p2‖2で表されている。p1およびp2から等距離にあるすべてのポイントの場所は、ベクトルp1−p2=[x1−x2,y1−y2,z1−z2]Tに垂直な平面である。そのような平面の式は:
であり:
とも書くことができる。
すべてのそのような平面の式が線形最小2乗問題を与えるためのアルゴリズムによって連結され:
ここで、Aおよびbは、あらゆる組のピクセルpi、pj∈sに対する、それぞれ、すべてのベクトル2(pi−pj)およびすべてのノルム差‖pi‖2−‖pj‖2を含む配列である。この線形最小2乗問題の解は:
である。
そのアルゴリズムは以下の疑似コードによって記述される:
1.表面での固有のグレーレベル値を「見出せ」。
2.空配列としてAおよびbを「初期化せよ」。
3.「それぞれの」グレーレベル「に対して」:
(a)同じ強度値(I−ΔIからI+ΔIまで)を共有しているすべてのピクセルの組を「見出せ」。それぞれの組は、その組になったピクセルのうちの2つのピクセルから等しい距離にあるすべてのポイントからなる平面を定めている。その平面の式(式1または式2)を構築せよ。
(b)相互に近付き過ぎているすべての組を「捨てよ」。
(c)ベクトル2・(p1−p2)を配列Aに「連結せよ」。
(d)スカラー‖p1‖2−‖p2‖2を配列bに「連結せよ」。
4.この最小2乗法の式Ax≒b(式4)を「解け」。
5.「終了」。
この問題の複雑性は、「s」のすべての組を選択する場合およびそれに対応する最小2乗問題を解く場合の両方に対して、O(n2)[ここで、nは「s」のサイズである]である。例えば、41×41ピクセルの放物面に対して、その発源部の位置が、Intel(登録商標)Pentium(登録商標)M1.70GHzプロセッサおよび599MHzで504MbのRAMを備えたIBMのThinkPad R50eにより(0.006、0.006、0.009)の正確度および0.03秒の計算時間をもって決定された。
図7は、本発明の様々な例証的実施形態による、生体内における3次元の熱的に区別可能な内部領域を決定するための装置70の概略的説明図である。装置70は、方法50ステップのうちの1つ以上のステップを実行するために使用することができる。
装置70は、合成熱空間画像を受け入れるための入力ユニット42、概して同様な強度値によって表されている1つ以上のセットになった画素に関してその格子上を検索する検索ユニット72、それらの場所を特定する場所特定ユニット74、およびこれまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、それらの場所に基づいて3次元の熱的に区別可能な領域である内部領域204を決定するための領域決定ユニット76を含んでいる。また、装置70は、これまでの箇所でもっと詳しくされているように発源領域所在位置特定装置48も含んでいてよい。
次に、図8を参照しながら説明すると、図8は、本発明の様々な例証的実施形態による、生体内における多数の熱的に区別可能な対象物を決定するのに適した方法80のフローチャート式のダイアグラムである。
本方法はステップ82から始まって、ステップ84へと続き、ステップ84では合成熱空間画像が取得される。その熱空間画像は方法80によって発生させられたものであってよく、または方法80によってその画像を読み取ることができる別の方法もしくはシステムによって発生させられたものであってもよい。熱的なデータが可視画像に変換されるときには、その画像は一般的に等温曲線の形態を成していることが認識される。大まかに言うと、それらの等温曲線は閉じていることもあり得るし、またはそれらの等温曲線が開いていることもあり得る。例えば、その熱的なデータが温度レベルのデータを含んでいるときには、閉じた等温曲線の存在は、典型的には、その温度がその閉じた曲線によって囲まれた領域に1つ以上の局所的な極値を有していることを示しており、一方、開いた等温曲線の存在は、典型的には、その温度がその開いた曲線の領域内において単調(鞍点の場合を含む)であることを示している。例えば、熱源がイメージング装置での視野内にないときには、等温曲線は一般的に開いている。
閉じた等温曲線および開いた等温曲線によって特性付けられた熱的なデータの代表的な例が、それぞれ、図9a〜bに与えられている。図示されているように、図9aでは、閉じた等温曲線が少なくとも1つの熱的に区別されたスポット901を取り囲んでおり、一方、等温曲線が開いた状態の図9bにはそのようなスポットが存在していない。
本発明の様々な例証的実施形態では、ステップ84で取得された熱空間画像の熱的なデータは、3D空間表現の表面における少なくとも1つの熱的に区別されたスポットを取り囲んでいる閉じた等温曲線により特性付けられる。
本方法はステップ86へと続き、ステップ86では、生体内における1つ以上の3次元の熱的に区別可能な内部領域の位置および場合によってはそのサイズが決定される。これは、方法10、方法50または何らかの他の方法を用いて果たすことができる。また、それらの方法の間での組み合わせ(例えば、方法10と方法50の組み合わせ)も想定されている。場合によっては、かつ、好適には、本方法は、これまでの箇所で説明されているように1つ以上の発源領域も決定する。
方法80はステップ88へと続き、ステップ88では、空間表現内における境界を定めるため、3D空間表現が分析される。前述の境界は、その境界の一方の側に存在しているポイントが表面上において熱的に区別された単一のスポットに対応しており、一方、その境界の別の側に存在しているポイントが表面上において熱的に区別された複数のスポットに対応するような態様で定められる。
ステップ88については、図10a〜dおよび以下の説明を参照することにより一層良好な理解が得られよう。
図10aは、3D空間表現206の表面205における熱的なデータを伴った熱空間画像の概略的説明図である。表面205上には2つの熱的に区別されたスポット901および902が存在し、それぞれが、閉じた熱的曲線によって取り囲まれているものとして確認することができる。図10bは、図10aの熱空間画像に対応した3D空間表現206の断面図を概略的に描いている。図10bには、スポット901および902が表面205上に存在し、熱的に区別された内部発源ポイント903がそのバルクに存在していることが示されている。
発源ポイント903と表面205上の種々のポイントとの間の熱的距離を記述する距離関数Dの観点から、スポット901および902はDの局所的な最小を含んでいる。換言すると、発源ポイント903とスポット901との間の熱的距離は、発源ポイント903とスポット901のすぐ近辺における表面205上のポイントとの間でのどの熱的距離よりも小さく;そして、発源ポイント903とスポット902との間の熱的距離は、発源ポイント903とスポット902のすぐ近辺における表面205上のポイントとの間でのどの熱的距離よりも小さい。また、図10bには、全体的な最大に対応した表面ポイント904も示されている。
それとは異なる状況が図10c〜dに描かれている。図10cは、表面205上における熱的に区別された単一のスポット905を有する熱空間画像(閉じた熱的曲線を伴っている)の概略的な説明図である。図10dは、図10cの熱空間画像に対応した、表面205の断面図の概略的な説明図である。図10bには、スポット905およびそのバルクに存在する発源ポイント903が示されている。距離関数Dの観点から、スポット905はDの局所的な最小である。しかしながら、上の図10a〜bで提示されている状況とは異なり、図10c〜dには局所的最小が1つだけ存在している。
原理的に、ある与えられた表面205に対して、距離関数Dの局所的最小の個数は、そのバルクに存在する発源ポイント903の位置に依存する。本発明の様々な例証的実施形態においては、本方法は、表面205を分析し、その発源ポイントに対してDが単一の最小を有する発源ポイント903のすべての可能な位置およびその発源ポイントに対してDが1つより多くの最小を有する発源ポイント903のすべての可能な位置の間での境界を特定する。そのような境界の1つの代表的な説明図が図10eに描かれており、図10eは、そのバルクを2つのセクション907および908に分割する境界906を示しており、その境界により、下側のセクション907はその発源ポイントに対してDが2つの最小を有する発源ポイント903のすべての可能な位置を含んでおり、また、上側のセクション908はその発源ポイントに対してDが単一の最小を有する発源ポイント903のすべての可能な位置を含んでいる。境界906は、ポイント雲の形態で与えることもできるし、またはそのポイント雲を近似する再構築表面の形態で与えることもできる。そのポイント雲が図10eではアスタリスクとして描かれており、また、その再構築表面は実線として描かれている。
一旦境界906が見出されると、方法80はステップ90へと続き、ステップ90では、ステップ86で見出された1つまたは複数の内部領域および/または1つまたは複数の発源領域が境界906に対して比較される。具体的に言うと、本方法は、それぞれの内部領域に対して、それが境界906のどちらの側に存在しているのかを決定する。そのような比較を行うことにより、方法80は、以下の簡単化された実施例からも分かるように、生体での熱的に区別された対象物の数を決定することが可能になる。
以降では、ステップ84で取得された熱空間画像は熱的に区別された2つのスポットを含んでいるものとする(図10a参照)。さらに、ステップ86において、本方法はセクション908内に所在する内部発源領域を同定しているものとしよう。発源領域がセクション908で所在位置を特定されたときには、表面205には熱的に区別されたスポットが1つしか存在していないことが予測されるため、本方法は、表面205上の2つの熱的に区別されたスポットはそのバルクに存在する2つの異なる熱的に区別された対象物に対応するものであると決定することができる。その一方で、ステップ84において取得された熱空間画像が熱的に区別された単一のスポットを含んでおり(図10c参照)、かつ、本方法がセクション908内に所在する内部発源領域を同定している場合には、本方法は、その同定された内部発源領域が、他のそのような対象物を伴うことなく、そのバルク内に存在している熱的に区別された単一の対象物に対応するものであると決定することができる。この比較は、ステップ86の正確度を評価する機能を果たすこともできる。例えば、ステップ84で取得された熱空間画像が1つの熱的に区別されたスポットを含んでおり(図10c参照)、かつ、ステップ86において、本方法がセクション907内に所在する内部発源領域を同定しているものとする。発源領域がセクション907内に所在しているときには、表面205上に2つの熱的に区別されたスポットが存在していることが予測されるため、本方法は、ステップ86において実施された手順の正確度が不充分であることを決定し、オペレータに対してそのような不正確性に関するレポートまたは信号を発行することができる。あるいは、または付加的に、本方法は、ステップ86へとループバックし、別の手順を用いて、または同一の手順ではあるが(例えば、3D空間表現206の再構築でもっと多くのサンプリングされたポイントを用いて)正確度が高められた状態での同じ手順を用いて、その発源領域の位置および/またはサイズを決定することもできる。
方法80はステップ92で終了する。
図11は、本発明の様々な例証的実施形態による、生体内における多数の熱的に区別可能な対象物を決定するための装置110の概略的な説明図である。装置110は、方法80における方法ステップのうちの1つ以上のステップを実行するために使用することができる。
装置110は、合成熱空間画像を受け入れるための入力ユニット42、ならびに3Dの熱的に区別可能な内部領域および最適には内部発源領域を決定する領域決定ユニット112を含んでいる。ユニット112は、装置40(例えば、ユニット44、計算機46、ユニット46、所在位置特定装置48)および/または装置70(例えば、ユニット72、ユニット74、ユニット76)の選定された構成要素を含んでいてよく、また、方法10、方法50またはそれらの方法の組み合わせの選定されたステップを含んでいてよい。さらに、装置110は、装置40または装置70から1つまたは複数の内部領域を受け入れるようにすることもできる。
装置110は、さらに、その3D空間表現を分析し、かつ、上で説明されているように境界906を定める分析装置114、および、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、その身体内における熱的に区別可能な対象物の個数を決定するために、その3Dの熱的に区別可能な内部領域を境界906と比較する比較ユニット116を含んでいる。
以下の説明は、本発明の様々な例証的実施形態による、熱空間画像を取得するための技術に関する説明である。以下で説明されているそれらの技術は、上述のどの方法および装置によって使用されてもよい。
熱空間画像は、1つ以上のサーモグラフィー画像を取得し、その1つまたは複数のサーモグラフィー画像を3D空間表現上にマッピングすることにより発生させ、かつ、得ることができる。
次に、図12aを参照しながら説明すると、図12aは、本発明の好適な実施形態による熱空間イメージングシステム120の概略的な説明図である。図12aに示されているように、人物212の生体210またはそれの一部がイメージング装置214の前に位置付けされている。人物212は、立っていてもよいし、座っていてもよく、またはイメージング装置214に対して相対的に適切な他のあらゆる姿勢にあってよい。人物212は、典型的にはエンジンの力または何らかの他の適切な力によってレール上を動く台を含んでいるポジショニング装置215により、イメージング装置214に対して相対的に、最初にポジショニングされてもよいし、または後でポジショニングし直されてもよい。付加的に、人物212の身体210には、腫瘍などの熱的に区別可能な対象物216が存在し得る。例えば、身体210が胸部を含んでいるときには、対象物216は癌性腫瘍などの乳房の腫瘍であり得る。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、人物212は、シャツなどの衣服218を身に着けていてよい。好適には、衣服218は、400〜700ナノメートルのなどの可視光波長を通さないか、もしくは部分的にしか通さず、赤外波長などの可視光波長よりも長い波長を通すものであってよい。付加的に、基準マーク220が人物212の近くに位置付けされてよく、好適には人物212の身体に直接的に、および身体210の極近傍に位置付けされてよい。場合によっては、かつ、好適には、基準マーク220は身体210に直接的に取り付けられる。基準マーク220は、典型的には、本明細書の以降の箇所で説明されているように、一片の材料、人物212上に描かれたマークまたは何らかの他の適切なマークを含んでよい。
イメージング装置214は、典型的には、少なくとも可視光波長に感応することができる少なくとも1つの可視光イメージング装置222、および赤外波長、典型的には3〜5マイクロメートルおよび/または8〜12マイクロメートルの範囲における赤外波長に感受性を有する少なくとも1つのサーモグラフィーイメージング装置224を含んでいる。典型的には、イメージング装置222および224は、上述の基準マーク220に感応することができる。
場合によっては、偏光子225が可視光イメージング装置222の前に配置されてよい。さらなる代替的な形態として、その可視光波長のうちの少なくとも一部を遮断することができるカラーフィルター226が可視光イメージング装置222の前に配置されてもよい。
典型的には、少なくとも1つの可視光イメージング装置222は、白黒もしくはカラーの静止画イメージング装置、またはCCDもしくはCMOSなどのデジタルイメージング装置を含んでいてよい。付加的に、少なくとも1つの可視光イメージング装置222は複数のイメージングエレメントを含んでいてよく、また、それらの各エレメントが3次元イメージングエレメントであってよい。
場合によっては、かつ、好適には、イメージング装置214は、ポジショニング装置227により、人物212に対して相対的にポジショニングし直されてよい。また、1つのさらなる代替的な形態として、それぞれのイメージング装置222および224を少なくとも1つのポジショニング装置228により人物212に対して相対的にポジショニングし直すこともできる。ポジショニング装置227は、エンジン、レバーまたは何らかの他の適切な駆動力を含んでいてよく、また、その上でイメージング装置214を移動させるためにレールも含んでいてよい。好適には、再ポジショニング装置228を同様に構造化することができる。
可視光イメージング装置222およびサーモグラフィーイメージング装置224により取得されたデータは、通信ネットワーク232を介してデータ処理装置230へ出力され、典型的には、そのデータ処理装置上で実行されるアルゴリズムにより分析され、かつ、処理される。結果として得られたデータは、少なくとも1つのディスプレイ装置234で表示することができ、このディスプレイ装置は、好適には、通信ネットワーク236を介してデータ処理装置230に接続されている。データ処理装置230は、典型的には、PC、PDAまたは何らかの他の適切なデータ処理装置を含む。通信ネットワーク232および236は、典型的には、インターネットもしくはイントラネットなどの物理的な通信ネットワークを含むか、あるいは、携帯電話によるネットワーク、赤外通信ネットワーク、ラジオ周波数(RF)による通信ネットワーク、ブルートゥース(BT)による通信ネットワークもしくは何らかの他の適切な通信ネットワークなどの無線ネットワークを含むこともできる。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、ディスプレイ234は、典型的には、LCDスクリーン、CRTスクリーンまたはプラズマスクリーンなどのスクリーンを含んでいる。1つのさらなる代替的な形態として、ディスプレイ234は、ユーザーの目の前に置かれ、眼鏡の場合と同様な構造にまとめられた、2つのLCDまたは2つのCRTを含む少なくとも1つの視覚化装置を含んでいてよい。好適には、ディスプレイ234はポインタ238も表示し、このポインタ238は、典型的には、表示されたモデルのX軸、Y軸およびZ軸に沿って動かすことができ、その表示されたデータの異なる場所または異なるエレメントを指し示すために使用することができる。
次に、図12b〜fおよび図13a〜eを参照しながら説明すると、これらの図は、本発明の様々な例証的実施形態による、熱空間イメージングシステム120の様々な動作原理を描いている。
最初に図12b〜fを参照しながら可視光イメージングが説明され、その後、図13a〜eを参照しながらサーモグラフィーイメージングが説明される。図12b〜fに描かれている可視光画像データの取得は、図13a〜eに描かれているサーモグラフィー画像データの取得の前、取得の後、またはサーモグラフィー画像データの取得と同時的に行われてよいことが認識されよう。
図12b〜fを参照すると、身体210を含む人物212が、イメージング装置に対して相対的な第1の位置240にあるイメージング装置214の前のポジショニング装置215上に位置付けされている。身体210の第1の画像データが、場合によっては偏光子225を通じて、または代替的な選択肢としてカラーフィルター226を通じて、可視光イメージング装置222により取得される。カラーフィルターを使用する利点は信号対雑音比を改善し得ることであり、例えばその人物に特定の色のパターンまたはマークを照射した場合、前述のカラーフィルターを用いることによりその特定の色のみを透過させ、これにより、バックグラウンドの読み取りを低減させることができる。付加的に、身体210がイメージング装置214に対して相対的な少なくとも第2の位置242に位置付けられた状態で、身体210の少なくとも第2の画像データが可視光イメージング装置222により取得される。従って、第1の画像データ、第2の画像データおよび場合によってはもっと多くの画像データが、身体210に対して相対的なイメージング装置の少なくとも2つの異なる視点から取得される。
上述の第2の相対的な位置242は、図12bから分かるようにポジショニング装置215を用いて人物212を位置付けし直すことにより、図12cから分かるようにポジショニング装置227を用いてイメージング装置214を位置付けし直すことにより、または図12dから分かるようにポジショニング装置228を用いてイメージング装置222を位置付けし直すことにより設定されてよい。1つのさらなる代替的な形態として、第2の相対的な位置242は、図12eから分かるように2つの別個なイメージング装置214を用いることにより、または図12fから分かるように2つの別個な可視光イメージング装置222を用いることにより設定されてもよい。
図13a〜eを参照すると、身体210を含む人物212が、イメージング装置214に対して相対的な第1の位置244にあるイメージング装置214の前のポジショニング装置215上に位置付けされている。身体210の第1のサーモグラフィー画像データがサーモグラフィーイメージング装置224により取得される。場合によっては、かつ、好適には、身体210がイメージング装置214に対して相対的な少なくとも第2の位置242に位置付けられた状態で、身体210の少なくとも第2のサーモグラフィー画像データがサーモグラフィーイメージング装置224により取得される。従って、第1のサーモグラフィー画像データ、第2のサーモグラフィー画像データおよび場合によってはもっと多くのサーモグラフィー画像データが、身体210に対して相対的なそのサーモグラフィーイメージング装置の少なくとも2つの異なる視点から取得される。
上述の第2の相対的な位置246は、図13aから分かるようにポジショニング装置215を用いて人物212を位置付けし直すことにより、図13bから分かるようにポジショニング装置227を用いてイメージング装置214を位置付けし直すことにより、または図13cから分かるようにポジショニング装置228を用いてサーモグラフィーイメージング装置224を位置付けし直すことにより設定されてよい。1つのさらなる代替的な形態として、その第2の相対的な位置246は、図13dから分かるように2つの別個なイメージング装置214を用いることにより、または図13eから分かるように2つの別個なサーモグラフィーイメージング装置224を用いることにより設定されてもよい。
身体210の画像データは、身体210の完全な画像のうちの複数の狭いストライプを別々にイメージングすることにより、サーモグラフィーイメージング装置224によって取得されてよい。あるいは、身体210の完全な画像をそのサーモグラフィーイメージング装置で取得し、その画像を、複数の狭いストライプまたは処理用に別な具合の形状に成された複数の部分でサンプリングしてもよい。1つのさらなる代替的な形態として、身体210のイメージングが異なる露光時間を用いて実施されてもよい。
イメージング装置214から得られたサーモグラフィーおよび可視光による画像データは、好適には、以下のようにして、データ処理装置230により分析され、かつ、処理される。イメージング装置222から取得された画像データは、米国特許第6442419号(参照により、ここで完全に説明されている如くにして、本明細書に組み入れられる)に記載されている方法などの当技術分野において周知のアルゴリズムおよび方法を用いて、身体210の3次元空間表現を構築すべくデータ処理装置230により処理される。その3D空間表現は、好適には、基準マーカー220の所在位置を含んでいる(図13a参照)。場合によっては、かつ、好適には、その3D空間表現は、身体210の色、色相および組織テクスチャに関する情報を含んでいる。イメージング装置224から取得されたサーモグラフィー画像データは、米国特許第6442419号に記載されている方法などの当技術分野において周知のアルゴリズムおよび方法を用いて、身体210のサーモグラフィーによる3次元モデルを構築すべくデータ処理装置230により処理される。このサーモグラフィーによる3Dモデルは、好適には、基準マーカー220を含んでいる(図13b参照)。この後、そのサーモグラフィーによる3Dモデルが、処理装置230により、熱空間画像を形成すべく、例えば基準マーカー220を整列させることにより、その3D空間表現上にマッピングされる。
身体210の3D空間表現を構築するための2つ以上の可視光画像の組み合わせ、およびサーモグラフィーによる3Dモデルを構築するための2つ以上のサーモグラフィー画像の組み合わせは、異なる視点から取得された(可視光またはサーモグラフィーのどちらかにおける)画像データ間の領域ベースでの比較が必要になり得る。そのような比較は、典型的には、2要素プロセスである:第1に、画素の選定されたグループがそれぞれの個々の画像において同定され、第2に、1つの画像のその同定された画素のグループが様々な画像間でマッチングされる。本実施形態は、その同定プロセスおよびマッチングプロセスを改善するのに適した方法を成功裏に提供する。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、身体は一連のスポットで照射され、ここで、その一連のスポットのうちの少なくとも1つのスポットは他のすべてのスポットから区別可能である。そのような一連のスポットの1つの代表的な例が図14に描かれており、図14は一連のスポット142を示していて、そのうちの1つのスポット144(この例では、左から3番目のスポット)が他のすべてのスポットから区別されている。図14の1つの代表的な例では、一連のスポット142はスポットの列であるが、それら一連のスポットは、1次元(例えば列、段、弧、曲線など)または2次元(例えばマトリクス)のどちらかの、あらゆる幾何学的性質を有することができる。スポット144は、限定するものではないが、形状、サイズ、波長、強度および配向を含め、あらゆる際立った特徴により区別されてよい。
身体がそれら一連のスポットで一旦照射されると、好適には、少なくとも2つの異なる視点からその身体およびそれら一連のスポットの2つ以上の画像を取得するため、1つ以上のイメージング装置が使用される。それらの画像は、1つ以上の可視光イメージング装置を用いて取得された可視光画像であってもよいし、または1つ以上のサーモグラフィーイメージング装置を用いて取得されたサーモグラフィー画像であってもよい。それら一連のスポット142の波長または波長域は、そのイメージング装置が感応する波長域に適合する。従って、可視光画像の場合、一連のスポット142は、一般的に、可視域の波長において照射され、またサーモグラフィー画像の場合には、一連のスポット142は、一般的に、赤外域の波長において照射される。
一旦それらの画像が取得されると、好適には、上述の区別可能なスポット144が同定され、かつ、それら一連のスポットにおける他のすべてのスポットを同定するためにその同定された区別可能なスポットが使用される。図14における例証的な一連のスポットを参照しながら説明すると、それら一連のスポットにおけるスポットの個数およびそれら一連のスポットにおけるスポット144の相対的な位置(この例では、左から3番目)が分かれば、スポット144に関するそれらの相対的な位置により、他のすべてのスポットを同定することができる。このようにして、本方法は、画像上のある線に沿ってすべての画素を横断的にスキャンし、既に同定されているそのスポットから始めてそれらのスポットを計数することができる。
従って、本実施形態は、一連のスポット142におけるすべてのスポットをインデックスするためのポインタとしてスポット144を使用する。そのようなインデックス機能は、スポットベースでのマッチングとは対照的に、一連的なレベルでのマッチングを可能にするため、マッチングステップの効率を大幅に増強する。それら一連のスポットは原理的にあらゆる長さのものであり得るため、単回の一連的なマッチングによってそれらの画像の大部分を包含することが可能である。
このマッチングは、典型的には三角測量法により、少なくとも幾つかのスポットに対するレンジデータの計算を可能にし、より好適には一連となったスポットにおけるそれぞれのスポットに対するレンジデータの計算を可能にする。この後、そのレンジデータを使用して、上述の3D空間表現または3Dサーモグラフィーモデルを構築することができる。
本発明の別の実施形態によれば、スポットの同定およびマッチングは、少数の照射されたスポット、例えば5個のスポット、より好適には4個のスポット、より好適には3個のスポット、より好適には2個のスポット、より好適には単一のスポットに対して実施される。この実施形態においては、各視点から複数の画像が取得され、ここで、それぞれのそのような取得に先立って、スポットでの身体表面上の異なる領域または異なる場所の照射が行われる。それらのスポットの同定およびマッチングは、それぞれのそのような領域または場所に対して別々に実施される。
上述のどの実施形態においても、それらのスポットの同定は減算により実現することができる。もっと具体的に説明すると、各画像が2回取得される:1回は身体にスポットを照射することなく取得され、別の回にはスポットを伴って取得される。この後、スポットを伴うことなく取得された画像がスポットを伴って取得された画像から差し引かれ、その残りのデータは、バックグラウンドノイズをほんの僅かにしか伴わずに、またはそのようなノイズを全く伴わずに、それらのスポットに関するほとんどの情報を含んでいる。
上述のシステム120または以下でさらに開述される他のシステムなどのレンジ・イメージング・システムおよび熱空間イメージングシステムは、取得ステップの前に較正ステップが必要になり得ることが認識される。
本実施形態は、それぞれが図形エントリおよびその図形エントリの視点に対応した角度エントリを有している複数のエントリを含む図形のデータベースを用いる較正手順を成功裏に提供する。このデータベースは、典型的には、前もって、複数の異なる視点から表面へ図形(例えば幾何学的な図形であってよい)を投射し、各視点に対してそれぞれの図形に引き起こされたひずみを決定することにより作成される。それぞれのひずんだ図形がそのデータベースの図形エントリとして記録され、また、各視点がそのデータベースの角度エントリとして記録される。上述の較正は、好適には、以下のようにして実施される。ある図形が身体に照射され、その身体および図形の少なくとも2つの画像が少なくとも2つの異なる視点から取得される。各画像に対して、その取得された図形が同定される。上述のデータベースがアクセスされ、個々の画像の同定された図形に概して類似している図形エントリに関してそのデータベースでの検索が行われる。すべての画像に対して一旦それらの図形エントリが見出されると、三角測量法により、それらの個々の角度エントリを用いてレンジデータが算出される。これらの本実施形態の較正手順の利点は、そのデータベース上での検索の方が、原理的に、それらの角度の完全な計算よりも迅速に行えることである。
また、本発明の様々な例証的実施形態による熱空間イメージングシステムの較正は、身体に複数の波長におけるあるパターンを照射することによって行うこともでき、ここで、そのうちの少なくとも1つの波長は本システムのサーモグラフィーイメージング装置によって検出可能であり、また、少なくとも1つの波長は本システムの可視光イメージング装置によって検出可能である。そのような照射をもたらすことができる照射装置は当技術分野において公知である。例えば、赤外線ランプ、例えばScitec Instruments Ltd,UKから商業的に入手可能なIR−50シリーズの赤外線ランプなどを使用することができる。サーモグラフィーイメージング装置および可視光イメージング装置を用いて、身体のサーモグラフィー画像および可視光画像が取得される。上述の較正は、可視光イメージング装置により取得されたパターンとサーモグラフィーイメージング装置により取得されたパターンとを整列させることにより果たされる。本発明の1つの好適な実施形態によれば、較正操作の間その身体が本質的に静止した状態であるようにして上述のサーモグラフィー画像および可視光画像が実質的に同時に取得される。
そのパターンの同定は、場合によっては、かつ、好適には、図14を参照してこれまでの箇所でもっと詳しく説明されているようにインデックス技術を用いることにより果たすことができる。
次に、図15を参照しながら説明すると、図15は、本発明の様々な例証的実施形態による、身体の3D空間表現を構築するのに適した方法150のフローチャート式ダイアグラムである。本発明の様々な例証的実施形態においては、方法150は、好適には可視光画像を用いることなく、サーモグラフィー画像に基づいてその3D空間表現を構築する。
方法150はステップ152から始まって、ステップ154へと続き、ステップ154では、身体に、あるパターン、例えば赤外域におけるコード化されたパターンが照射される。そのパターンは、それの同定を可能にするどのような形状であってもよい。例えば、1つの実施形態においては、そのパターンは1つ以上のバーコードを含んでおり、別の実施形態においては、そのパターンは上述の一連のスポット144などの一連のスポットを含んでおり、1つのさらなる実施形態においては、そのパターンはバーコードと一連のスポットとの組み合わせを含んでいる。
典型的には、そのパターンは、3〜14マイクロメートルの波長を有するレーザー光を用いて照射される。本発明の1つの好適な実施形態によれば、10.6マイクロメートルの波長を有するCO2レーザーが使用される。あるいは、赤外線ランプ、例えばScitec Instruments Ltd,UKから商業的に入手可能なIR−50シリーズの赤外線ランプなどを使用することもできる。そのパターンは、上述の3次元空間表現を構築するために使用される望ましい技術に応じて選択される。従って、そのパターンは、時系列コーディングおよび/または空間コーディングを可能にするように選択することができる。
好適には、身体に投射されるそのパターンは時間とともに変動する。例えば、ある一連のパターンを、一度に1つのパターンを急速かつ周期的な態様で投射することができる。これは、数多くの方法のうちのどのような方法で行われてもよい。例えば、周期的に変動する透過係数を有しているプレートを照射装置の前で動かすことができる。あるいは、円周方向的に変動する透過係数を有しているディスクを照射装置の前で回転させることもできる。またあるいは、相互に位相がシフトされた一連の定常的なパターンを急速に投射するためにストロボ技術を使用することもできる。また、そのパターンを形成するために光学的な回折素子を使用することも想定されている。さらに、そのパターンは、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように(図14およびそれに伴う説明を参照のこと)、一連のスポットの形態であってもよい。あるパターンを提供するための1つの好適な照射装置が以下で説明されている。
本発明の様々な例証的実施形態においては、その照射は充分に短いパルス長により特性付けられる。好適には、20ミリ秒より短いパルス、例えば15ミリ秒未満、より好適には10ミリ秒未満のパルスが使用される。
方法150はステップ156へと続き、ステップ156では、上述の身体およびパターンの1つ以上のサーモグラフィー画像を取得するために1つ以上のサーモグラフィーイメージング装置が使用される。そのサーモグラフィーイメージング装置は、好適には、その身体およびパターンから赤外域におけるデータを取得するのに適した光学素子を備えている。そのような光学素子は、例えばHolo−Or Ltd,Israelから商業的に入手することができる。本発明の様々な例証的実施形態においては、本方法は、2つ以上の異なる視点からその身体およびパターンの2つ以上のサーモグラフィー画像を取得する。このサーモグラフィーによるイメージングは、選択されるパターンのタイプに応じて実施される。例えば、時系列コーディングが用いられるときには、サーモグラフィーイメージング装置は、照射のパルスと同期化される。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、サーモグラフィーイメージング装置の露光時間は20ミリ秒未満である。好適には、そのサーモグラフィーイメージング装置の露光時間および読み出し時間は、各サイクルでぴったり20ミリ秒に合わせられる。例えば、1つの実施形態においては、露光時間は19ミリ秒であり、読み出しは1ミリ秒の間に行われる。この実施形態が図16aに描かれている。
1つの代替的な実施形態においては、1回の露光で数回の読み出しが同時的に実行される。この実施形態においては、露光時間は20ミリ秒以下であってよい。この実施形態が図16bに描かれている。本発明の1つの好適な実施形態によれば、それらの読み出しは蓄積的に実行される。これは、例えば、取得された信号を、先の信号を消去または上書きすることなく、イメージング装置のピクセル内に先に格納されている信号に累積することにより果たすことができる。数回の読み出し後、およそ20ミリ秒毎に、そのイメージング装置のピクセル内に格納されているデータを消去することができる。あるいは、この蓄積をデジタル方式で実施することもできる。
1つの代替的な実施形態においては、露光時間および読み出し時間の両方が20ミリ秒よりも短い。この実施形態が図16cに描かれている。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、本方法はステップ158へと進み、ステップ158では、身体により発生された熱に由来する画像データがフィルターにかけられてそのサーモグラフィー画像から除去される。これは、例えばデジタル強度フィルターを用いて、その1つまたは複数のサーモグラフィー画像を処理することにより果たすことができる。あるいは、そのパターンを伴うことなく身体の1つ以上のサーモグラフィー画像を取得し、パターンを伴って取得されたサーモグラフィー画像から前述のパターンを伴うことなく取得されたサーモグラフィー画像を差し引くことによりそのフィルター作用を成し遂げることができる。
本方法はステップ160へと続き、ステップ160では、パターンに対応したレンジデータが計算される。そのレンジデータは、飛行時間法、三角測量法またはこの目的を達成するために当技術分野において公知のあらゆる技術によって計算されてよく、例えばInternational Conference on Pattern Recognitionの議事録、806−808頁(1984年)におけるS.Inokuchi,K.SatoおよびF.Matsudaによる「Range imaging system for 3D object recognition」:ならびに米国特許第4488172号、第4979815号、第5110203号、第5703677号、第5838428号、第6349174号、第6421132号、第6456793号、第6507706号、第6584283号、第6823076号、第6856382号、第6925195号および第7194112号;などを参照のこと。
本方法はステップ162へと続き、ステップ162では、サーモグラフィー画像およびレンジデータが身体の3D空間表現を構築するために使用される。
一旦構築されると、その3D空間表現を、例えばディスプレイ装置もしくはプリンターを用いて、視覚可能な形態で表示させることができ、またはその3D空間表現をコンピュータ可読媒体にデジタル形式で記録することもできる。また、前述の3D空間表現は、その3D空間表現を受け入れてそれを分析および/または処理することができるように構成されている別のシステムまたは装置へデジタル形式で出力することもできる。例えば、その3D空間表現は、熱空間画像を発生させるシステムまたは装置へ出力することができる。本方法はステップ164で終了する。
図17は、身体の3次元空間表現を構築するためのシステム170の概略的な説明図である。システム170は、方法150またはそのうちの選定されたステップを実行するために使用することができる。システム170は照射装置172を含んでおり、照射装置172は、身体210に赤外域におけるあるパターン174を照射することができるように設計され、かつ、そのように構成されている。パターン174はバーコードとして照射されているが、幾つかの用途ではそのパターンがバーコードの形態を成している必要性がないため、必ずしもこうである必要はない。従って、パターン174はあらゆる形状およびテクスチャのパターンであってよい。さらに、図17には単一のパターンが示されているが、装置172は1つより多くのパターンで身体210を照射すべく構成することもできるため、必ずしもこうである必要はない。従って、本実施形態は一連のパターンも想定している。本発明の1つの好適な実施形態においては、パターン174は、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、インデックス機能を可能にするため、少なくとも部分的に一連のスポット142を含んでいる。
装置172は、レーザー装置、赤外線ランプ、または赤外域の光および場合によっては上述の如く可視域の光をも提供することができるあらゆる他の照射装置を含んでいてよい。システム170は、さらに、身体210およびパターン174の1つ以上のサーモグラフィー画像を取得する1つ以上のサーモグラフィーイメージング装置224を含んでいる。好適には、サーモグラフィーイメージング装置224は、少なくとも2つの異なる視点から少なくとも2つの画像を取得する。システム170は、さらに、データ処理装置230を含んでおり、そのデータ処理装置230は、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、パターンに対応したレンジデータを算出し、かつ、身体210の3D空間表現を構築する。本発明の様々な例証的実施形態においては、処理装置230は、例えば、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、パターン174を伴って取得されたサーモグラフィー画像からパターン174を伴わずに取得されたサーモグラフィー画像を差し引くことにより、その身体によって発生された熱に由来する画像データをフィルターにかけて除去する。
本実施形態の技術は、身体の内部器官部分だけでなく外部器官部分の熱空間画像の取得および/または分析に利用することができる。また、本実施形態の技術は、熱空間的に画像撮影されるべき器官へのアクセスが本熱空間システムを用いて果たすことができる場合には、観血療法の間に用いることもできる。本発明の好適な実施形態よる観血療法用途に最も適した熱空間システムは、上で説明されているシステムと同様であるが、好適には、その内部器官へのアクセスを容易化することができるように、イメージング装置が小型化されている。この実施形態は、観血療法中に外科医師によってアクセス可能であるとともに動かすこともできる内部器官を撮像するのに特に有用である。
肝臓内における腫瘍(アデノーマ、肝細胞癌など)の場合においては、例えば、観血療法の間に、外科医師はイメージング装置を肝臓の近くに位置付け、その内部の腫瘍などの病変の所在位置を決定するため、その肝臓の熱空間画像を取得する。一旦1つまたは複数のそれらの所在位置が決定されると、外科医師は、例えばアブレーションまたはキャビテーションにより、その腫瘍を破壊することができる。肝臓は極めて流血性の高い器官であるため、肝臓の組織を侵襲することなく肝臓内の腫瘍を破壊する能力が最重要性課題であることが認識される。尚その上に、極端な場合には、肝臓のうちの治療不可能な量の腫瘍を含有している部分を除去することができ、一方では、ごく僅かの腫瘍(例えば転移)を含んでいる残りの部分を熱空間的に撮像することができ、かつ、その内部の腫瘍をアブレーションまたはキャビテーションによって破壊することができる。また、上で説明されている手順を、腎臓、結腸、胃または膵臓などの他の器官に対して実施することもできる。
本発明の様々な例証的実施形態において撮像され得る他の器官は脳である。脳は、本実施形態の教示によって所在位置を特定することができ、かつ、場合によっては診断することができる多くのタイプの腫瘍を含み得る。そのような腫瘍の代表的な例は、に限定するものではないが、髄膜腫などの原発性の良性腫瘍、膠芽細胞腫または星状細胞腫などの原発性の悪性腫瘍、ならびに結腸、胸部および睾丸などのいずれかの器官から脳への何らかの悪性転移を含む。
これは、例えば、観血的な脳外科手術の間に果たすことができる。この実施形態においては、頭蓋の一部が除去され、熱空間画像を取得するためのイメージング装置が、脳と頭蓋の残りの部分との間に、予め定められた配列で挿入される。この後、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように脳の熱空間画像を発生させることができる。もし脳が腫瘍などの病変を含んでいる場合には、例えばアブレーションまたはキャビテーションにより、それらの病変を破壊することができ、または、少なくとも部分的にそれらの病変にダメージを与えることができる。
また、本実施形態の技術は、極めて侵襲性の低い手順において使用することもできる。この目的を達成するために、本発明者らは、一般的に本明細書ではシステム180として表されており、かつ、図18a〜cに概略的に描かれている、熱空間イメージングシステムを想定している。
図18a〜cを参照しながら説明すると、システム180は、それの最も簡単な構成において、その内部に生体の前部の少なくとも1つのサーモグラフィー画像を取得するための1つ以上のサーモグラフィーイメージング装置184を有する体内プローブシステム182を含んでいる。
体内プローブシステム182は、好適には、限定するものではないが、内視鏡プローブまたはカテーテルなどの適切な移送機構にその装置を取り付けることにより、内視鏡的に挿入される。体内プローブシステム182は、好適には、その内視鏡的挿入を容易化するため、可撓性を有している。付加的に、かつ、好適には、体内プローブシステム182は、非侵襲的な生体内検査の間に被検者に及ぼす不快感を最小化するため、サイズ的に、かつ、幾何学的に、その被検者の内部空洞に適合するように成されている。従って、体内プローブシステム182は、好適には、経直腸的、経尿道的、経膣的または経食道的な検査に適合している。
イメージング装置184は、好適には、プローブシステム182に取り付けることができるような小型のイメージング装置である。システム180は、さらに、データ処理装置230を含んでおり、このデータ処理装置230は、例えばプローブシステム182上に設けられた第1送信機/受信機186および処理装置230上に設けられた第2送信機/受信機188を有する無線通信システムを介してプローブシステム182と通信する。あるいは、通信ライン190を介して通信機能を確立することができる。イメージング装置184により取得された画像データはプローブシステム182を介して処理装置230へ送信され、処理装置230は、その画像データを受信し、かつ分析することで、上述の生体の前部の合成熱空間画像を提供し、かつ、表示する。熱空間画像の生成は、これまでに述べられているように、3D空間表現206の表面205上に1つ以上のサーモグラフィー画像をマッピングすることにより行われる。
本発明の様々な例証的実施形態においては、プローブシステム182は、さらに、1つ以上の可視光イメージング装置192を含んでおり、これらの可視光イメージング装置192は、前述の生体の前部の少なくとも1つの可視光画像を取得し、プローブシステム182を介してその可視光画像に関する画像データを処理装置230へ送信する。この実施形態においては、処理装置230は、3D空間表現を構築するために前述の可視光画像データを使用する。
あるいは、図18bに描かれているように、システム180は、「182」および「182’」で表されている2つの体内プローブシステムを含んでおり、ここでは、1つまたは複数のサーモグラフィーイメージング装置184がプローブシステム182に取り付けられており、1つまたは複数の可視光イメージング装置192がプローブシステム182’に取り付けられている。この実施形態においては、プローブシステム182および182’は、好適には、例えば同期化を可能にするため、送信機/受信機186または通信ライン190を介してそれらの間で相互に通信している。
尚も別の代替的な形態においては、図18cに描かれているように、システム180は2つの体内プローブシステム182および182’を含んでおり、これらの各プローブシステムはサーモグラフィーイメージング装置184と可視光イメージング装置192との両方を有している。図18bにおける実施形態の場合と同様に、プローブシステム182および182’は、好適には、それらの間で相互に通信している。
本発明の様々な例証的実施形態においては、システム180は、さらに、あるパターンを身体の前部に照射するための照射装置194を含んでいる。このパターンは、本明細書のこれまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、レンジデータを算出するのに役立つ。照射装置194は、好適には、プローブシステム182に取り付けられている。
一般的に、システム180は、侵襲性が極めて低い多くの手順において使用することができ、そのような手順は、限定するものではないが、関節鏡検査、気管支鏡検査、結腸鏡検査、膣鏡検査、膀胱鏡検査、内視鏡生検、胃鏡検査、腹腔鏡検査、喉頭鏡検査、直腸鏡検査、胸腔鏡検査、食道−胃−十二指腸内視鏡検査、および内視鏡的逆行性胆道膵管造影を含む。
次に、図19aを参照しながら説明すると、図19aは、本体内プローブシステムが胃の熱空間画像を撮像するために使用される実施形態の概略的な説明図である。図19aには、食道360および胃361が示されている(これらの画像のソース:National Library of Medicine(NLM)のウェブサイト)。また、カテーテル363により食道360を通じて挿入され、胃361内に位置付けられた、体内プローブシステム182も示されている。この実施形態は、平滑筋腫などの良性腫瘍、または癌腫もしくはリンパ腫などの悪性腫瘍を撮像するために使用することができる。
食道を通じて本体内プローブシステム182を挿入することができることによって、オペレータは、食道自体の熱空間画像を取得することが可能になり、これにより、そこに存在する食道の癌腫などの病変の所在位置を特定することが可能になる。
次に、図19bを参照しながら説明すると、図19bは、体内プローブシステム182が前立腺または膀胱の熱空間画像を撮像するために使用される実施形態の概略的な説明図である。図19bには、直腸367、膀胱366、前立腺370および尿道369が示されている。本実施形態においては、体内プローブシステム182は、肛門368を通じて直腸367へ、または尿道369を通じて挿入することができる。本装置のプローブシステム182が尿道を通じて挿入されるときには、本装置は前立腺を撮像するために使用することができ、この場合には、プローブシステム182が前立腺の近くに位置付けられ、また別の場合においては膀胱を撮像するために使用することができ、この場合には、プローブシステム182が、図19bに示されているように、膀胱内に挿入される。
次に、図19cを参照しながら説明すると、図19cは、プローブシステム182が子宮、膀胱または卵巣の熱空間画像を撮像するために使用される実施形態の概略的な説明図である。図19cには、直腸367、膀胱366、子宮372および卵巣373が示されている。本実施形態においては、プローブシステム182は膣374を通じて挿入することができる。あるいは、プローブシステム182をカテーテルに取り付けて、子宮内に挿入することもできる。この実施形態の熱空間イメージングは、子宮または膀胱内に存在するポリープの所在位置の特定または診断のために使用することができる。付加的に、この実施形態は、子宮内に存在する良性腫瘍(例えば子宮筋腫)またはそこに存在する何らかの悪性腫瘍の所在位置を特定するため、および場合によってはそれらを診断するために使用することもできる。また、この実施形態は、卵巣に対して、そこに存在する原発性または二次性の何らかの悪性腫瘍の熱空間画像を撮像するために使用することができる。
本発明の様々な例証的実施形態においては、異なる空間表現が被検者の異なる姿勢に対応するようにして、2つ以上の3D空間表現が構築される。これらの実施形態は、これまでの箇所で説明されているどのタイプの熱空間イメージングにも適用可能である。
これらの3D空間表現のうちの少なくとも数個は、場合によっては、かつ、好適には、個々の姿勢に対する1つ以上のサーモグラフィー画像の取得、および複数の熱空間画像を提供するためなどの個々のサーモグラフィー画像の個々の3D空間表現上へのマッピングを伴っていてよい。
幾つかの3D空間表現を用いることの1つのメリットは、それが本実施形態の方法により一貫性試験として使用され得ることである。これが図20に描かれており、図20は、身体内において熱的に区別された内部領域の決定に関する正確度を評価するのに適した方法400のフローチャート式ダイアグラムである。
方法400はステップ402から始まって、ステップ404へと続き、ステップ404では合成熱空間画像が取得される。その熱空間画像は方法400により生成されたものであってよく、または方法400によりその画像を読み取ることができる別の方法もしくはシステムにより生成されたものであってもよい。本方法はステップ406へと続き、ステップ406では、生体内における1つ以上の3次元の熱的に区別可能な内部領域の位置および場合によってはサイズが決定される。これは、方法10、方法50または異なる方法の間での組み合わせ(例えば方法10と方法50の組み合わせ)を含めた何らかの他の方法を用いて果たすことができる。場合によっては、かつ、好適には、本方法は、これまでの箇所で説明されているように、1つ以上の発源領域も決定する。
方法400はステップ408へと続き、ステップ408では、生体の1つ以上の付加的な3D空間表現が取得され、ここで、の各3D空間表現はその生体に関する1つの異なる視点および/またはその生体の1つの異なる姿勢に対応している。方法400がそれらの付加的な3D空間表現を構築してよく、または方法400によってそれらの3D空間表現を読み取ることができる別の方法もしくはシステムにより3D空間表現が構築されてもよい。
方法400はステップ410へと続き、ステップ410では、上述の3次元の熱的に区別可能な内部領域に基づいて、3D空間表現のうちの少なくとも数個に対して、その付加的な3D空間表現の表面における等温曲線の予想されるトポロジーが構築される。その予想されたトポロジーは、好適には、その等温曲線の一般的な形状(閉じた曲線、開いた曲線)に関する情報を含んでいるが、もっと多くの情報、例えば表面の温度データなどに関する情報も含んでいてよい。この予想されるトポロジーは、身体内における上述の内部領域の位置およびその3D空間表現の形状を使用し、かつ、等方性または異方性のどちらの場合もあり得るその身体の熱伝導率をモデル化することにより、数値的に算出することができる。例えば、本方法は、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように(図10a〜eおよびそれらに伴う説明を参照のこと)、熱的距離関数Dを考慮することにより、その予想されるトポロジーを構築することができる。
方法400はステップ412へと続き、ステップ412では、1つ以上の付加的な熱空間画像が取得され、ここで、各熱空間画像は生体に関する1つの異なる視点および/またはその生体の1つの異なる姿勢に対応している。これらの熱空間画像は方法400により生成されてよく、または方法400によってその画像を読み取ることができる別の方法もしくはシステムによりそれらの熱空間画像が生成されてもよい。本方法はステップ414へと続き、ステップ414では、上述の1つまたは複数の付加的な熱空間画像が前述の予想されたトポロジーと比較される。もし1つの付加的な熱空間画像における等温曲線のトポロジーが上述の予想されたトポロジーに類似している場合には、本方法は、その内部領域の位置および場合によってはサイズが正確であるという決定を下すことができる。そうでない場合には、本方法は、エラーの存在を認め、エラーが生じているという決定を下す。従って、方法400は、一貫性チェックとしての機能を果たし、身体内における熱的に区別された対象物の所在位置に関して一貫性が存在するか否かの決定を下すことができる。
方法400は、上述の比較に関するレポートが発行されるステップ418へと続き、ステップ419で終了する。
幾つかの3D空間表現を用いることの1つの付加的なメリットは、それらが、予備試験において、撮像するための適切な視点および/または身体の適切な姿勢を選択するのに役立ち得ることである。具体的に言うと、少なくとも数個の3D空間表現に対して、表面上における等温曲線の上述の予想されるトポロジーが好適に構築される。一旦2つ以上のそのような予想されるトポロジーが分かると、オペレータまたは医師は、その検査に最も適した撮像のための視点および/または身体の姿勢を選択することができる。
例えば、生体が女性の胸部であり、かつ、1つの3D空間表現はその女性が立っている状態のときに取得され、第2の3D空間表現は女性が前屈みになっている状態のときに取得されるものとしよう。さらに、上述の第1の3D空間表現ではその予想されるトポロジーが開いたタイプの等温曲線であり、また、上述の第2の3D空間表現ではその予想されるトポロジーが閉じたタイプの等温曲線であるとしよう。この場合においては、オペレータまたは医師は、熱的なデータが閉じたタイプの等温曲線によって特性付けられているときには、熱的に区別可能な対象物の位置の決定が一層正確であるため、第2の姿勢(前屈姿勢)を選ぶように決定することができる。
それらのサーモグラフィー画像の取得中に生じる被検者の身体内における熱的な変化が極めて僅かであるときに熱空間画像の撮像が実施されることが好適である。
次に、図21を参照しながら説明すると、図21は、本発明の様々な例証的実施形態により、生体が概して安定した熱的状態にあることを確証するのに適した方法420のフローチャート式のダイアグラムである。本方法はステップ422から始まって、ステップ424へと続き、ステップ424では、予め定められた視点から、その生体の一連のサーモグラフィー画像が取得される。方法420はステップ426へと続き、ステップ426では、それらの画像内における熱的な変化を抽出するため、サーモグラフィー画像が比較される。本発明の様々な例証的実施形態においては、ステップ424およびステップ426は実質的に同時に実施される。
上述の比較は1つより多くの方法で果たすことができる。1つの実施形態においては、それぞれのサーモグラフィー画像が先に取得されている単一のサーモグラフィー画像と比較される。あるいは、少なくとも数個のサーモグラフィー画像が、複数のサーモグラフィー画像、例えばすべてが先に取得されている複数のサーモグラフィー画像と比較される。場合によっては、かつ、好適には、本方法はステップ427へと続き、ステップ427では、熱的な変化がディスプレイ装置に表示される。
本方法は決定ステップ428へと続き、ステップ428において、本方法は、その熱的な変化が予め定められている閾値以下であるかどうかを決定する。もしそれらの変化が前述の閾値以下でない場合には、本方法はステップ424へとループバックする。もしそれらの変化が閾値以下である場合には、本方法はステップ430へと続き、ステップ430では、その生体が概して安定した熱的状態にあることを示すレポートが発行される。上述の閾値の値はサーマルイメージング装置に依存し、典型的には、そのイメージング装置の熱的分解能に設定される。0.1℃以下の分解能を有するサーマルイメージング装置が当技術分野において知られている。例えば、Photon OEM Cameraコアは、FLIRから商業的に入手可能であって、摂氏0.085度未満の熱的分解能を提供しており、TH9100PMVは、NECから商業的に入手可能であって、摂氏0.06度未満の熱的分解能を提供しており、IVN 3200−HSはIMPACから商業的に入手可能であって、摂氏0.08度未満の熱的分解能を提供している。従って、本発明の1つの好適な実施形態によれば、上述の閾値の値は約摂氏0.1度である。
また、本実施形態は、生体内における生検針またはカテーテルなどの医療装置の位置をモニタリングするために使用することもできる。例えば、腫瘍内に生検針を導入する必要があるときに、生検を実施する上で針の経路が適切であることを保証するために熱空間イメージングを使用することができる。さらに、熱空間イメージングは、これまでに述べられているように、腫瘍の位置および場合によってはサイズを決定するために使用することができるため、複合手順を用いることが可能であり、これにより、その腫瘍の存在、位置および場合によってはサイズを決定するため、ならびに既にその身体内に導入されている生検針の経路をモニタリングするために、同一の熱空間イメージングシステムを用いることができる。
本発明の様々な例証的実施形態においては、その医療装置(針、カテーテルなど)の温度は、その身体の平均温度とは充分に異なる温度に設定される。これにより、その医療装置が本熱空間イメージングシステムによって検出可能であることが保証される。一旦その医療装置の温度が設定されると、その医療装置が身体内に導入される。この後、その身体および医療装置の1つ以上の合成熱空間画像を生成し、その装置の位置または経路をモニタリングするために使用することができる。
次に、図22を参照しながら説明すると、図22は、生体内に挿入可能な医療装置440の概略的な説明図である。装置440は、例えば生検装置として、例えば標準的な乳房生検手順を実施するための生検装置として使用されてよい。装置440の特別な利点は、本装置が、身体内に挿入されている間に、温度の感知または測定を可能にすることである。装置440は、好適には、比較的サイズが小さく、かつ、それによって感知機能に影響を及ぼすようなレベルの熱伝導率をもたらさない。好適には、装置440は、腫瘍のサイズが小さいときに早期に癌の診断を行えるようにするため、高い正確度でその腫瘍および周囲組織の温度プロファイルを検出し、かつ、そのような温度プロファイルを提供することができる。
装置440は、好適には、近位側端部444、遠位側端部446および端部444から端部446まで延びているオプティカルファイバ448を有する中空構造物442を含んでいる。遠位側端部446は、装置440を身体内に容易に挿入することができるようにするために、尖端部として成形することができる。ファイバ448は、熱放射を遠位側端部446から近位側端部444まで伝えることができるように設計され、かつ、そのように構成されている。その熱放射は、適切な装置、例えば、限定するものではないが、ファイバ448と光学的にやりとりを行うサーマルイメージング装置450などにより測定または記録されてよい。ファイバ448は、赤外域における電磁放射線を誘導するのに適した材料でできている。また、ファイバ448は、構造物442の材料とは異なる材料でできていてよい。この実施形態においては、ファイバ448は、構造物442内の通路452内へ導入される。あるいは、構造物442が赤外域における電磁放射線を誘導するのに適した材料でできていてもよく、この場合には、上述の通路自体がオプティカルファイバとして機能することができる。
図22に描かれている実施形態においては、構造物442内において温度の測定または感知が行われないことが認識される。もっと正確に言えば、熱的なエネルギーがそのオプティカルファイバを通じる放射によって誘導される。これは、公知の温度測定用プローブ、例えば米国特許第6419635号に開示されているプローブなどとは実質的に異なっており、前述の特許の場合、そのプローブは測定を実施し、データを外部の場所へ伝送する。装置440は、それ故、製造プロセスの観点からも、また、コストおよび入手可能性の観点からも、どちらの観点からも有利である。
次に、図23a〜bを参照しながら説明すると、図23a〜bは、本発明の様々な例証的実施形態による、照射装置460の概略的な説明図である。装置460は、例えば撮像されるべき表面にあるパターンを照射するための、レンジ・イメージング・システムにおいて使用することができる。
装置460は、光ビーム464を発生させる光源462、ダイナミックビーム偏向器466および画像形成エレメント468を含んでいる。光源462は、好適には、レーザービームを放射するレーザー装置を含む。光ビーム464は、装置460が使用される適用形態に依存して、可視域または赤外域のどちらであってもよい。また、例えばScitec Instruments Ltd,UKから商業的に入手可能なIR−50シリーズの光源などのように可視域および赤外域の両方の光ビームを発生させる光源も想定されている。
ビーム偏向器466は、画像形成エレメント468の表面をスキャンするために、光ビーム464を動的に偏向させる働きをし、例えばそこを横断するラスターパターンを定める。ビーム偏向器466は、例えば、限定するものではないが、Texas Instruments Inc.,USAから商業的に入手可能なDigital Micromirror DeviceTMなどの、可動ミラーまたは可動ミラーのアレイを含むことができる。また、ビーム偏向器466は、電気光学素子、好適にはそこに加えられた電気的なバイアスに応答してその光ビームを偏向させる電気光学結晶も含むことができる。
画像形成エレメント468が図23bでもっと分かりやすく描かれており、図23bは視点Aからのエレメント468を示している。図示されているように、エレメント468は、参照記号470−1、470−2、...470−M、...470−Nで表されている複数の区別された領域を含んでいる。の区別された領域のうちの少なくとも数個は、好適には、異なる画像を形成すべく設計されている。それらの領域470は、例えばホログラフィック素子および回折格子などであってよい。いずれにしても、領域470は、領域470を通過した光が画像を構成するような態様で、光の選択的な透過を許容する。
作動中には、ビーム464がエレメント468の表面をスキャンしているときに、異なる時間で異なる画像が形成される。従って、装置460は、周期的な態様で表面に一連のパターンを照射することができる。エレメント468上におけるビーム464のスキャニング速度は、好適には、形成される画像の急速な変化が可能なように選択される。これは、迅速なレンジイメージングを促進するため、有利である。例えば、その表面を単一フレーム(例えば20ミリ秒)の持続時間内に一連の10個以上のパターンで照射することができ、従って、レンジイメージングの速度の大きさを1桁増大させることができる。
本実施形態は、身体の3次元空間表現を構築するための技術を成功裏に提供する。その技術は、「構造光技術」または「符号化光技術」として一般的に知られている技術を改良したものである。この技術は、非平面表面に投射されたストライプが曲線でその表面と交わり、前述の曲線がその表面の特性を反映したものであり得るという観察結果に基づいている。その曲線の画像は、イメージング平面と呼ばれるイメージング装置の平面上に複数の測定されたポイントを形成すべく撮像されるイメージング装置により取得することができる。その曲線および上述のストライプを生成する光源は、光平面と呼ばれる別の平面を定めている。その光平面上のポイントと前述のイメージング平面上のポイントとの間には、予測される対応が存在する。この予測される対応に基づいて、非平面表面上に存在するポイントの3D座標を決定することができる。表面全体の画像を取得するために、単一のストライプの代わりにコード化されたパターンが投射され、従って「構造光」または「符号化光」という用語が使用されるようになった。
公知の構造光技術に関する1つの大きな問題は、取得された画像の方位分解能を符号化されたパターンを生成するために使用したプロジェクタの固有分解能以上に高めることができないということである。多くのタイプのイメージング装置が小さめのピクセルサイズ(数十ミクロンのオーダー)における画像を取得することができるものの、高分解能のプロジェクタはほとんど入手することができない。例えば、SVGAプロジェクタは800本のストライプを生成する。約40cmの投射領域の場合、単一のストライプ(または隣接したストライプ間のギャップ)の幅は約1ミリメートルの半分である。もっと高性能で高価なプロジェクタを使用しても、その分解能を辛うじて改善する程度にすぎない。例えばXGAプロジェクタは1024本のストライプを生成し、従って、割合として30%未満だけその分解能を小さくすることができるにすぎない。しかしながら、どちらの場合にも、単一の投射されたエレメントの幅はイメージング装置の数個のピクセルにわたって広がり、達成可能な分解能はそのプロジェクタの分解能によって決定づけられることが認識される。
本実施形態は、身体の3次元空間表現を構築するための方法500およびシステム600を提供することにより、上述の分解能に関する限界を成功裏に克服している。
本発明の好適な実施形態による方法500の方法ステップを開述しているフローチャート式のダイアグラムが図24に与えられており、また、本発明の好適な実施形態によるシステム600の概略的な説明図が図25に与えられている。
図24および図25を共同的に参照しながら説明すると、方法500はステップ502から始まって、ステップ504へと続き、ステップ504では、身体610がパターンプロジェクタ602を用いて照射される。本発明の様々な例証的実施形態においては、プロジェクタ602は、異なる色のコード化されたパターンが相互にシフトされるような態様で、身体610に2つ以上の異なる色のコード化されたパターン604を投射する。図25には相互にシフトされた3つのコード化されたパターン604a、604bおよび604cが示されており、それら3つのパターンは、例えば赤色光、緑色光および青色光のコード化されたパターンに対応するものであってよい。
プロジェクタ602は、当技術分野において公知のどのようなテクノロジーに基づくものであってもよく、例えば、限定するものではないが、LCD、DLPまたはそれらの組み合わせなどであってよい。プロジェクタ602は多くのタイプのパターンを提供することができる。例えば、あるパターンは幾つかのストライプを含むことができる。それらのストライプは一様であってよく、または線形勾配の光強度プロファイルを有することもできる。そのようなパターンは、ストライプ上に存在する数個のポイントの同定を可能にする。別のタイプおよび形状のパターンも本発明の範囲から除外されるものではない。
大まかに言うと、プロジェクタ602は、光源606および光学素子608を含んでいる。光源606は、典型的には、それぞれが幾つかの主要な色(例えば赤、緑および青)の光出力が可能な、多色照射ユニットのマトリクスまたは多色照射セルのマトリクスを含んでいる。また、それぞれの照射ユニットを2つ以上の単色サブユニットに小分けすることもできる。従って、例えば、多色照射ユニットは、当技術分野において公知なように赤色サブユニット、緑色サブユニットおよび青色サブユニットを含むことができる。あるいは、その多色照射ユニットを、例えばDLPプロジェクタの場合のように、そのような小分けを伴うことなく作動することもできる。上述のマトリクスは、パッシブマトリクスであってもよいし、またはアクティブマトリクスであってもよい。
光源606がパッシブマトリクスから成っているときには、そのユニット内では何ら光は発生されず、そのユニットは、その光源のバックライトアセンブリにより発生された光の透過をブロックすることができるだけか、またはその光源のフロント・イルミネーション・アセンブリにより発生された光の反射を可能にすることができるだけである。この実施形態においては、それぞれの照射ユニットは、異なる色の光出力をもたらすための、カラーホイールまたは赤色、緑色および青色(RGB)フィルターの配列などのカラーフィルターを含んでいる。光源606がアクティブマトリクスから成っているときには、それぞれの照射ユニットが独立して光を放射する。この実施形態においては、各ユニットが白色光を生成し、その後、その白色光がサブユニットレベルにおいてカラーフィルターによりフィルターにかけられてもよい。あるいは、各サブユニットが発光ダイオードまたは有機発光ダイオードなどの単色発光素子を含んでいてもよい。
光源606の多色照射ユニットの個数がプロジェクタ602の分解能と呼ばれている。当業者であれば認識されるものと思われるが、ピクセルの個数が多ければ多いほど、それだけ分解能は良好になる。これまでに、640×480ユニットの分解能を有するプロジェクタ(VGAプロジェクタとしても知られている)、800×600ユニットの分解能を有するプロジェクタ(SVGAプロジェクタとしても知られている)、1024×768ユニットの分解能を有するプロジェクタ(XGAプロジェクタとしても知られている)、1366×768ユニットの分解能を有するプロジェクタ(ワイドXGAまたはWXGAプロジェクタとしても知られている)、1280×1024ユニットの分解能を有するプロジェクタ(SXGAプロジェクタとしても知られている)、1400×1050ユニットの分解能を有するプロジェクタ(SXGA+またはSXGAプラスプロジェクタとしても知られている)、および1600×1200ユニットの分解能を有するプロジェクタ(UXGAプロジェクタとしても知られている)などが知られている。
それぞれの多色照射ユニットが照射表面上における単位領域の照射に関与し、その単位領域は文献中において「ドット」または「投影ピクセル」としても知られている。その投影ピクセルは(それに対応している照射ユニットの物理的な面積というよりむしろ)表面上の面積に対応しているため、その投影ピクセルのサイズは、プロジェクタとその照射表面との間の距離およびその照射ユニットから発せられる光ビームの発散性に依存している。それにもかかわらず、ある与えられたプロジェクタおよびある与えられた投射距離に対しては、投影ピクセルを直径または面積などのサイズによって特性付けすることができる。プロジェクタ602の分解能がその照射表面上に投影されるピクセルの最大個数を決定づける。同様に、プロジェクタ602のある与えられたカバーエリアに対しては、その分解能がプロジェクタ602の隣接している投影ピクセルの中心間の横方向距離を決定づける。
光学素子608は、上述のコード化されたパターンをもたらすべく、光源606によって発生された光ビームを光学的にコントロールする。光学素子608は、例えば集束化または平行化素子、2色性光学系、回折格子、ホログラフィック素子およびデジタル・マイクロミラー・デバイス・チップなどを含むことができる。また、そのような光学素子および同様な光学素子の様々な組み合わせも想定されている。異なる色のコード化されたパターン間における相互的なシフトは、好適には、光学素子608により達成される。本発明の様々な例証的実施形態においては、光学素子608は、異なる転向角度で異なる波長を転向する。これは、例えば光学素子608が可視域における予め定められた波長(例えば、緑色または緑色がかった色の光に相当する波長)を有する光を光学的にコントロールするように設計することによって達成することができる。光学素子608は特定の波長用に設計されるため、異なる波長に対して異なる光学的なコントロールが得られる。
プロジェクタ602は、好適には、但し必ずという訳ではないが、逐次モードで作動する。この好適な実施形態においては、表面は、異なる色の2つの隣接したパターンが異なるタイミングで投射されるような態様で照射される。ある与えられた色のパターンは、好適には、収集ステップにおける各ユニットが同じ波長として光を放射するような態様で照射ユニットの収集ステップを起動させることにより発生される。隣接するパターンは、異なる波長として光を放射させるべく照射ユニットの同じ収集ステップを起動させることにより発生させることができる。従って、本発明の1つの好適な実施形態によれば、少なくとも2つの隣接しているパターンが、照射ユニットの同一の収集ステップを用いて発生される。
それらのパターンの波長は、それらのユニットの主要な色に対応するものであってよく、あるいは、予め定められたそれら主要な色の混ぜ合わせに対応するものであってもよい。ある主要な色のパターン、例えば赤色のパターンが発生されるときには、収集ステップにおける各ユニットが赤い色の光を放射する。隣接する1つのパターンは、同じ収集ステップを、例えば緑色の光を放射するようにして起動させることにより発生させることができ、また、別の隣接するパターンは、青色の光を放射するようにして同じ収集ステップを起動させることにより発生させることができる。好適には、上述のプロジェクタ602の逐次的な作動は、ユニットの収集ステップが第1の色のパターンを放射させるべく起動され、次いで、同じ収集ステップが第2の色のパターンを放射させるべく起動され、その他、というような作動の態様である。その後、ユニットの別の収集ステップが、一連の単一の色のパターンなどを放射させるべく起動される。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、プロジェクタ602は、異なる色のコード化されたパターンが隣接している投影ピクセルの中心間の特性距離よりも少ない量だけ相互にシフトされるように設計され、かつ、そのように構成されている。好適には、異なる色のコード化されたパターンは、隣接している投影ピクセルの中心間の特性距離の半分、より好適にはそのような特性距離の3分の1相互にシフトされる。
本実施形態は、異なる波長に対して光学素子608の異なる応答を引き出し、投影ピクセルのサイズに満たない量だけシフトされた隣接パターンを発生させる。本発明の様々な例証的実施形態においては、プロジェクタ602は、たとえパターン間の距離が単一の投影ピクセルのサイズよりも小さいとしても、隣接しているパターンの間での混ざり合いを避けるため、プロジェクタ602の逐次モードで作動する。しかしながら、プロジェクタ602は同時モードで作動することもできる。この実施形態においては、その取得は(以降の、ステップ506および装置612を参照のこと)、好適には、隣接しているストライプの同定を可能にするため、カラーフィルターの配列を使用する。いずれにしても、プロジェクタ602の有効分解能が有意に高められる。好適には、プロジェクタ602の有効分解能はその照射ユニットの個数よりも3倍大きい。
より好適には、プロジェクタ602の有効分解能はその照射ユニットの個数の9倍である。これは、それぞれの横方向寸法においてその分解能を3倍高めることにより達成することができる。
例えば、ある表面にストライプを生成するRGBプロジェクタについて考えてみよう。その表面には、ストライプによって照射され得る特定量の異なる場所が存在する。この数は、一般的に、投影ピクセルのユニット数で表現された表面の幅または長さに等しい。そのプロジェクタが逐次モードで作動しているときには、上述の異なる場所の個数は3倍増大し得る。これは、照射ユニットの特定の線形収集が、表面の第1の横方向の場所に赤色のストライプを投射し、表面の第2の横方向の場所に緑色のストライプを投射し、そして、表面の第3の横方向の場所に青色のストライプを投射することができるためであり、ここで、第1、第2および第3の横方向の場所は相互に関して僅かにシフトされている。しかしながら、これら3つすべての場所の横方向の広がりは単一の投影ピクセルの直径にほぼ等しい。従って、それらの照射ユニットの収集ステップが表面に白色のストライプ(RGBカラーすべてのブレンドとして形成される)を投射したとすれば、その幅は、それぞれの主要な色のストライプの幅よりも約3倍広くなるであろう。
この状況が図26a〜dに描かれており、これらの図は、横方向の場所712における第1のストライプ702(図26a)、横方向の場所714における第2のストライプ704(図26b)、横方向の場所716における第3のストライプ706(図26a)を示しており、これら3つすべてのストライプが横方向の場所712〜716にわたって広がっている。
水平方向のストライプに対してだけでなく、垂直方向のストライプに対しても同様な考察を行うことができ、この場合においては、分解能が3×3=9倍高められる。
本発明の様々な例証的実施形態においては、異なる色の2つの隣接しているストライプ間のシフトは、単一のストライプの幅よりも小さい。正式には、ストライプの幅がwであるとき、異なる色の2つの隣接しているストライプ間の相互のシフトはXwであり、ここで、Xは0<X<1であり、より好適には0<X≦0.5、さらに一層好適には0.3≦X≦0.5であり、例えば約1/3である。例えば、ストライプの幅が0.4mmであり、かつ、プロジェクタ602が3つの主要な色を生成するときには、上述の相互シフトは約0.15mmである。
方法500はステップ506へと続き、ステップ506では、画像データをもたらすべく、コード化されたパターンの1つ以上の画像が取得される。その取得は、CCDなどのイメージング装置612を用いて果たすことができる。イメージング装置612の設計および基本機能は当技術分野において周知であり、ここでは詳しく説明しない。画像取得の基本機能(例えば、限定するものではないが、CCDチップの読み出しおよび同期化、バックグラウンドの減算、自動露光、オートフォーカスなど)を行うことに加え、装置612の電子回路は、好適には、較正データを保存するための記憶媒体を含んでいる。
本発明の1つの好適な実施形態によれば、その取得は、異なる色のコード化されたパターン間での区別が可能であるようにして果たされる。従って、イメージング装置612の分解能は、少なくともプロジェクタ602の有効分解能と同程度の高さを有している。これに加え、それらのコード化されたパターンは逐次的な態様で発生されるため、画像の取得ステップは、単一の露光時間の間に行われる多数回の読み出しを含む。例えば、3つの主要な色が存在しているときには、その画像の取得ステップは、例えば発生されたそれぞれのパターンに対して1回の読み出しを行うなど、単一の露光時間の間に行われる3回の読み出しを含む。また、これまでの箇所でもっと詳しく説明されているように、短い露光時間の使用も想定されている(図16a〜cおよびそれに付随する説明を参照のこと)。
方法500はステップ508へと進み、ステップ508では、上述の画像データに基づいて、それらのコード化されたパターンの3D位置が算出される。その計算は、当技術分野において公知の適切な3D位置計算アルゴリズムによって補完されている画像データ処理装置614を用いて実施される。
大まかに言うと、そのアルゴリズムは、好適には、画像上のコード化されたパターンの位置を用いて所在位置を特定する。場合によっては、取得されたパターンの強度が相互間で比較される。一旦それらのパターンが同定されると、そのパターンの3D座標を、当技術分野において公知の態様で、例えば三角測量法により決定することができる。システムの幾何学的なパラメータ、例えば光源とイメージング装置との間の距離およびそれらのパターンが放射される角度などは、一般的に、そのシステムの設計から知ることができ、または当技術分野において公知のように適切な較正プロセスで決定することができる。較正データの代表的な例は、限定するものではないが、三角測量による距離、焦点距離、ピクセルのサイズ、角度的な位置およびコード化されたパターンの強度プロファイルなどを含む。3D座標の計算は、典型的には、但し排他的にということではないが、2つの段階に分けて使用される:それらのパターンの一部のみの3D座標が決定される低分解能段階、およびそれらの3D座標がすべてのパターンに対して算出される高分解能段階。その3D座標の計算は、好適には、異なる色の隣接しているパターンの決定が可能になるような正確度で実行される。言い換えれば、その計算の正確度は、好適には、隣接している投影ピクセル間の距離よりも小さい量だけ横方向にシフトされた対象物間における区別を可能にするような正確度である。例えば、それらのパターンがストライプを含んでいるときには、その計算の正確度は、2つの隣接しているストライプ間の距離に適合する。
典型的には、それぞれが約10〜50本のストライプから成っている約10〜20個のパターンで充分に表面の幾何学的形状を見積もることができる。その表面の3次元表現は、三角メッシュをもたらすべく、当技術分野において公知のメッシングアルゴリズム用いて近似することができる。
本方法はステップ510で終了する。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。