JP6096831B2 - 位相共役光変換器及びそれを用いた光伝送システム - Google Patents
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Description
この発明は、複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換する位相共役光変換器及びそれを用いた光伝送システムに関するものである。
ICT(Information Communication Technology)の活用による世界規模での産業の拡大が続くと同時に、高齢化社会の到来等の社会背景とともにICTの活用は社会課題の解決の手段へとその役割を広げている。これらの通信インフラを支える光通信システムは社会インフラとして今後も重要な役割を担うことが期待されている。
光通信システムは、これまでに様々な技術革新により大容量化がなされてきた。近年では、デジタルコヒーレント技術により周波数利用効率の向上による大容量化が急速に進展している。さらなる大容量化に向けては一層の周波数利用効率の向上が求められる。
しかしながら、シャノン理論により、周波数利用効率の向上には、システム内でより高い信号雑音比(S/N比)が要求されることが知られている。これまでは信号(S)の増大によりS/N比の確保がなされてきたが、ファイバ1本当たりでの通信容量の限界が指摘されはじめている。
その主要因として、伝送路である光ファイバ自体が持つ非線形光学効果により生じる雑音が大容量化の大きな制限となっている。この非線形光学効果により生じる雑音は非線形雑音と呼ばれている。
このため、非線形雑音の補償手段として、位相共役光を積極的に活用する方法の提案や検討が近年急速に進展しはじめている。位相共役光は、位相進行の逆転操作であり、伝搬損失や光増幅過程などを除けば光波にとっての時間反転を生み出すことができる。
この位相共役光を活用した一つの方法としては、位相感応光増幅器(PSA)を用いた光信号処理による非線形雑音圧縮である。位相感応光増幅器内で、位相共役光と信号光を相互作用させることで位相雑音が圧縮できることが実験的にも示されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、位相及び強度方向に多値化したQAM信号に対して雑音圧縮が可能であり、この位相感応光増幅器を伝送路の各スパンの中継光増幅器として適用することで、非線形雑音を大幅に低減できる可能性がある。
また別の方法として、信号光と位相共役光を伝送路に同送し、受信器でその両方を受光し光電変換した後、電気領域での信号処理により演算することで非線形雑音の補償を行うブースティング受信(Boosting受信)と呼ばれる方法が提案検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
上述した2つの方法は、将来の大容量光伝送システムの実現に向けて有望な技術であるが、それぞれに課題も存在する。
位相感応光増幅器は、中継光増幅器として用いることで、各伝送スパン毎に非線形雑音を圧縮できるため、光伝送システム全体では大きな効果を得ることができる。位相感応光増幅により信号光と位相共役光との相互作用を効果的に引き起こすためには、信号光と位相共役光と励起光との間の位相関係を精度よく合わせる必要がある。
しかしながら、一般的に用いられている光伝送ファイバは波長分散を有しており、それにより生じる信号光と位相共役光との間の相対位相にずれが生じてしまい、位相感応光増幅器を実際の光伝送システム内で効果的に活用することが難しいという課題があった。光伝送ファイバの持つ波長分散とは逆の特性を持つファイバを使った分散補償手段を用いることで位相感応光増幅器を適用することは可能であるが、光伝送システム全体では各スパン毎に導入する必要が生じる分散補償手段による光損失により信号光雑音比(S/N比)が劣化するという課題があった。
Boosting受信は、送信段で信号光と対となる位相共役光を生成し、受信段で両方を受光した後の電気領域で信号処理を行う構成のため、既存の光伝送路にそのまま適用が可能であるという大きな利点を持つ。
一方で、Boosting受信は、受信後の一回の信号処理であるため、伝送路内で累積して生じた非線形雑音に対する雑音低減手段としては限界もあった。また、信号処理は光電変換を行い、さらにA/D変換により信号を一定のサンプリングレートでデジタル化した後に行う必要があるため、光電変換に用いるフォトダイオード等の受光器の動作帯域や、A/D変換器のサンプリングレートなどにより低減できる雑音量にも制限があった。つまり、受信器の持つ動作帯域及び分解能以上には非線形雑音を補償することが難しいという課題があった。これは、大容量化を図るために信号光のボーレート(Baudレート)を上げるほど顕著となるため非線形雑音の低減には限界があった。
上述した2つの局所的な信号処理とは異なる方法として、光伝送システムにおける光伝送ファイバで生じた非線形雑音を光伝送ファイバ自体を用いて雑音のキャンセルを行う方法がある。この方法として、光伝送路のほぼ中間地点において信号光を位相共役光に変換し、位相共役光を新たな信号光として位相共役光のみを伝送させる中間地点位相共役変換が知られている(例えば、非特許文献3参照)。
図9(a)にこの中間地点位相共役変換の一例を示す。同図において、1は光送信器、2は光伝送ファイバ、3は光増幅器、4は光受信器、5は位相共役光変換器である。位相共役光変換器5は、光送信器1と光受信器4とをつなぐ伝送路のほぼ中間地点に設けられており、光送信器1からの信号光を位相共役光に変換し、位相共役光を新たな信号光として位相共役光のみを伝送させる。図9(b)に光送信器1からの信号光の波長帯域(前半伝送路での波長帯域)と、光受信器4への新たな信号光(位相共役光)の波長帯域(後半伝送路での波長帯域)とを示す。
この方法では、伝送路全体の中間地点で信号光を位相共役光に変換することで、位相共役光の持つ時間反転性を用いて、実効的にファイバ内を逆伝搬させることで非線形雑音のキャンセルが行われる。つまり、光送信器1から中間地点の間の光伝送ファイバ2内で生じた非線形雑音が、中間地点から光受信器4の間の光伝送ファイバ2内を実効的に逆伝搬させることで補償される。
T. Umeki, O. Tadanaga, M.Asobe, Y. Miyamoto and H. Takenouchi., "First demonstration of high-order QAM signal amplification in PPLN-based phase sensitive amplifier," Optics Express, 2014年2月, Vol.22, No.3, p.2473-2482
Xiang Liu, A. R. Chraplyvy, P. J.Winzer, R. W. Tkach and S. Chandrasekhar.,"Phase-conjugated twin waves for communication beyond the Kerr nonlinearity limit" Nature Photonics, Vol7,pp.560-568 (2013)
S.Watanabe ,G .Ishikawa ,T .Naito ,and T .Chikama ,"Genaration of optical phase conjugate waves and compensation for pulse shape distortion in a single-mode fiber," J.Lightwave Technol.,vol.12. pp.2139-2146,1994.
しかしながら、従来の中間地点位相共役変換の手法には課題もあった。中間地点での信号光の位相共役光への変換には、例えば高非線形ファイバ中の非線形光学効果を使った波長変換器が使われるため、信号光を位相共役光へ変換した後に周波数がシフトしてしまう。このため、光伝送システムの設計及び構築が非常に困難になるという問題があった。
具体的には、例えば波長帯域として30nmの波長多重信号(WDM信号)をC帯を用いて伝送し、伝送路の中間地点でL帯へ波長変換することで位相共役光を生成し、L帯に変換された光を信号光として中間地点以降を伝送させるとする。この場合、中間地点以降は波長帯がL帯となってしまうため、中間地点以前と同じ光増幅器を用いることができなくなってしまう。
つまり、この手法を適用するためには、実際には中間地点に位相共役光への変換器を設置するだけでなく、中間地点以降の光増幅器をすべてL帯が増幅可能なものにする必要があるという制限が生まれる。特に、既存の光伝送システムに適用するためには、中間地点以降の光増幅器を全て置き換える必要が生じてしまう。
また、中間地点のみで位相共役光に変換するため、非線形雑音の低減量にも限界があった。通常の長距離光伝送システムは全体が数千kmにおよぶ。この中間地点で位相共役光に変換するということは、数千km伝送された信号光を、また別の数千kmの光伝送ファイバ中を伝送させることで補償することとなる。位相共役光を用いた逆伝搬特性は、前半の伝送路と、後半の伝送路のファイバ特性が同一であるほどキャンセルの効果が最大化されるが、端と端で数千kmもの距離があり、その間に複数の光増幅器が入っている実際の光伝送システムでは、中間地点以前とそれ以降では伝送特性が異なるため非線形雑音が完全にはキャンセルすることができなかった。
理想的には、光伝送システム全体ではなく、光伝送システムにおける伝送路のスパン(中継スパン)毎に非線形雑音を低減することができることが望ましいが、周波数シフトのある変換では、位相共役光への変換器を配置するたびにそれ以降の光増幅器構成等を見直す必要があり、伝送路の柔軟性が乏しかった。
また、スパン毎に位相共役光変換器を導入するには、従来技術では変換効率が小さいという問題もあった。変換効率が小さいとは、位相共役光へ変換する毎に光の過剰損失が生じることになる。この場合、この過剰損失を補償するために別途光増幅器が必要であり、これはシステム全体では過剰な雑音が生じることを意味している。つまり、非線形雑音をキャンセルするために、新たな過剰雑音が混入してしまうため、スパン毎のような複数回の位相共役光変換を光伝送システムに導入することはできなかった。
また、従来の中間地点位相共役変換の手法は、信号光を位相共役光に変換し、変換後は元の信号波長帯域には信号を伝送しないため、システム全体では帯域を2倍使用してしまうという課題もあった。非線形雑音を低減することでシステム全体での信号雑音比(S/N比)を向上させることができるが、実効的に2倍の帯域を用いてしまうため、その分だけ周波数利用効率が低下してしまうという課題があった。
これらの課題から、従来の中間地点位相共役変換の手法を既存の光伝送システムに適用することは困難であった。また、従来の中間地点位相共役変換の手法は、上述した今後の新たな技術として期待されている位相感応光増幅器(PSA)やBoosting受信などの位相共役光を積極的に活用した局所的な信号処理技術との融合という観点でも課題があり、これまでにこれらの手法を相補的に活用可能な構成は示されていなかった。
つまり、位相感応光増幅器(PSA)等の位相共役光を積極的に活用した非線形雑音低減技術と協調が可能であり、かつスパン毎に雑音を圧縮することができ、信号帯域全体では周波数シフトがなく、光伝送システム全体ではなく1中継ごとに光伝送路を逆伝送特性による非線形雑音補償が適用可能であり、かつ位相共役光変換に伴う過剰雑音の発生が少ない、位相共役光変換器はこれまでにはなかった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、信号帯域全体では周波数シフトがなく、かつ位相共役光変換に伴う過剰雑音の発生が少なく、伝送路のスパン毎に逆伝送特性による非線形雑音補償を行うことが可能な位相共役光変換器及びそれを用いた光伝送システムを提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換する位相共役光変換器であって、複数波長から成る光信号をその光信号の全帯域における中心波長を基準波長として短波側の波長成分と長波側の波長成分とに分離する波長分離フィルタと、波長分離フィルタによって分離された短波側の波長成分に中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により短波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに励起光を分離する第1の非線形光学デバイスと、波長分離フィルタによって分離された長波側の波長成分に中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により長波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに励起光を分離する第2の非線形光学デバイスと、第1の非線形光学デバイスから出力される短波側の波長成分及びその位相共役光と第2の非線形光学デバイスから出力される長波側の波長成分及びその位相共役光とを入力とし、この入力された光のうち短波側の波長成分の位相共役光と長波側の波長成分の位相共役光とを合波して出力光とする波長合波フィルタとを備えることを特徴とする。
この発明によれば、複数波長から成る光信号が波長分離フィルタによって短波側の波長成分と長波側の波長成分とに分離され、短波側の波長成分が第1の非線形光学デバイスに入力され、長波側の波長成分が第2の非線形光学デバイスに入力される。第1の非線形光学デバイスは、波長分離フィルタからの短波側の波長成分に中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により短波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに励起光を分離し、短波側の波長成分及びその位相共役光を出力する。第2の非線形光学デバイスは、波長分離フィルタからの長波側の波長成分に中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により長波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに励起光を分離し、長波側の波長成分及びその位相共役光を出力する。波長合波フィルタは、第1の非線形光学デバイスから出力される短波側の波長成分及びその位相共役光と第2の非線形光学デバイスから出力される長波側の波長成分及びその位相共役光とを入力とし、この入力された光のうち短波側の波長成分の位相共役光と長波側の波長成分の位相共役光とを合波して出力光とする。
この発明において、複数波長から成る光信号の短波側の波長成分と長波側の波長成分とは、同一帯域内で入れ替える形で位相共役光に変換されるものとなる。この場合、複数波長から成る光信号が一括して位相共役光に変換されるものとなり、複数波長から成る光信号全体の波長帯域としては、周波数がシフトされることがない。また、本発明において、第1および第2の非線形光学デバイスに、直接接合型の導波路を用いるようにすれば、低変換効率による過剰損失の増大を回避し、位相共役光変換に伴う過剰雑音の発生を少なくすることが可能となる。また、本発明の位相共役光変換器を光伝送システムに用いることにより、伝送路のスパン毎に逆伝送特性による非線形雑音補償を行うことが可能となる。
本発明の位相共役光変換器によれば、複数波長から成る光信号をその光信号の全帯域における中心波長を基準波長として短波側の波長成分と長波側の波長成分とに分離し、分離した短波側の波長成分と長波側の波長成分のそれぞれに中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により位相共役光を生成するとともに励起光を分離し、生成された短波側の波長成分の位相共役光と長波側の波長成分の位相共役光とを合波して出力光とするようにしたので、複数波長から成る光信号の短波側の波長成分と長波側の波長成分とが同一帯域内で入れ替える形で位相共役光に変換されるものとなり、信号帯域全体では周波数シフトがなく、かつ位相共役光変換に伴う過剰雑音の発生を少なくすることが可能となる。また、本発明の位相変換器を光伝送システムに用いることにより、伝送路のスパン毎に逆伝送特性による非線形雑音補償を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の権利範囲に含まれないものも実施の形態として記載されているが、ここでは全て実施の形態として説明する。
〔実施の形態1〕
図1に本発明に係る位相共役光変換器の第1の実施形態(実施の形態1)の構成を示す。この実施の形態1の位相共役光変換器100は、波長分離フィルタ101と、波長合波フィルタ102と、第1の非線形光学デバイス103と、第2の非線形光学デバイス104とを備えている。
図1に本発明に係る位相共役光変換器の第1の実施形態(実施の形態1)の構成を示す。この実施の形態1の位相共役光変換器100は、波長分離フィルタ101と、波長合波フィルタ102と、第1の非線形光学デバイス103と、第2の非線形光学デバイス104とを備えている。
この位相共役光変換器100において、第1の非線形光学デバイス103は、入力される光信号と励起光との間で擬似位相整合を満たす周期分極反転構造を有するニオブ酸リチウム導波路(以下、PPLN導波路と言う)103aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器103bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器103cとを備えている。
また、第2の非線形光学デバイス104も、第1の非線形光学デバイス103と同様、周期分極反転構造を有するPPLN導波路104aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器104bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器104cとを備えている。
また、波長分離フィルタ101はダイクロイックミラー型の合分波器101a,101b,101cを備えており、波長合波フィルタ102はダイクロイックミラー型の合分波器102a,102b,102cを備えている。
次に、この実施の形態1の位相共役光変換器100の動作を、各部の機能を交えながら説明する。
この位相共役光変換器100には、入力光として、複数波長から成る光信号が入力される。この例では、波長多重信号(WDM信号)が入力される(図2(a)参照)。入力されたWDM信号は、波長分離フィルタ101によって、短波側の成分(短波長信号)と長波側の成分(長波長信号)とに分離される(図2(b)参照)。
なお、この実施の形態では、WDM信号全帯域における中心波長を基準波長としてWDM信号を短波側の成分と長波側の成分とに分離するが、かならずしも基準波長は中心波長でなくてもよい。
波長分離フィルタ101によって分離されたWDM信号の短波側の成分は第1の非線形光学デバイス103に入力される。波長分離フィルタ101によって分離されたWDM信号の長波側の成分は第2の非線形光学デバイス104に入力される。
第1の非線形光学デバイス103において、ダイクロイックミラー型合波器103bは、波長分離フィルタ101からのWDM信号の短波側の成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分はPPLN導波路103aに入射される。PPLN導波路103aは差周波発生によりWDM信号の短波側の成分の位相共役光を生成する。
ダイクロイックミラー型合波器103bが合波する励起光は、WDM信号を分離した基準波長の半分の波長、本実施の形態ではWDM信号全帯域における中心波長の半分の波長を有する。中心波長の周波数をω0とすれば、励起光の周波数は2ω0である。WDM信号の短波側の成分の1波長の周波数をωsとすれば、PPLN導波路103a中の差周波発生により、周波数2ω0−ωsの変換光が生成される。また、光位相としては、励起光の位相をΦp、信号光の位相をΦsとすれば、差周波発生によりΦp−Φsとなり、励起光の位相を基準として信号光の位相共役光が生成される。つまり、中心波長を基準に波長軸上で折り返した形で長波側に信号光の位相共役光が生成されるものとなる。
PPLN導波路103aにより生成されたWDM信号の短波側の成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分とともにダイクロイックミラー型分波器103cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器103cは、PPLN導波路103aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の短波側の成分+WDM信号の短波側の成分の位相共役光:図2(c)の上段の図参照)を波長合波フィルタ102へ送る。
第2の非線形光学デバイス104において、ダイクロイックミラー型合波器104bは、波長分離フィルタ101からのWDM信号の長波側の成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分はPPLN導波路104aに入射される。PPLN導波路104aは差周波発生により、第1の非線形光学デバイス103におけるPPLN導波路103aと同様にして、WDM信号の長波側の成分の位相共役光を生成する。この場合、中心波長を基準に波長軸上で折り返した形で短波側にWDM信号の長波側の成分の位相共役光が生成されるものとなる。
PPLN導波路104aにより生成されたWDM信号の長波側の成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分とともにダイクロイックミラー型分波器104cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器104cは、PPLN導波路104aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の長波側の成分+WDM信号の長波側の成分の位相共役光:図2(c)の下段の図参照)を波長合波フィルタ102へ送る。
波長合波フィルタ102は、第1の非線形光学デバイス103及び第2の非線形光学デバイス104から入力された光のうち、WDM信号の短波側の成分の位相共役光と長波側の成分の位相共役光のみを合波して出力光とし(図2(d)参照)、新たなWDM信号として送り出す。
この場合、波長合波フィルタ102は、第1の非線形光学デバイス103及び第2の非線形光学デバイス104から入力される光のうち、元の信号光(WDM信号の短波側の成分+WDM信号の長波側の成分)を分離し、出力光として取り出されないように消光する。
以上記述した通り、本実施の形態の位相共役光変換器100のような構成を採用することにより、WDM信号の短波側の成分と長波側の成分とを同一帯域内で入れ替える形で位相共役光に変換することができる。つまり、WDM信号の短波側の成分は中心波長を軸に折り返した形で長波側の成分に変換され、WDM信号の長波側の成分は中心波長を軸に折り返した形で短波側の成分に変換される。ここで、WDM信号全体の波長帯域(信号帯域全体)としては、周波数がシフトすることなく、WDM信号を一括して位相共役光に変換することができている。さらに、励起光波長と信号光波長の関係を適切に設定すれば、WDM信号内の各信号のグリット位置まで同じ状態で位相共役光に変換できる。
WDM信号の短波側の成分と長波側の成分とを入れ替える形で位相共役光に変換する場合、折り返しとなる中心波長と信号光との間にガードバンドと呼ばれる短波側と長波側との間でのクロストークを抑制するために信号を送信しない帯域をある程度設ける必要があるが、本実施の形態の位相共役光変換器100の構成ではガードバンドを十分小さくできる。図2(a)に本実施の形態の位相共役光変換器100におけるガードバンドをGBとして示す。
一例として、波長1535nm〜1565nmの30nmの帯域を有するWDM信号を位相共役光に変換することを試みた。励起光として、WDM信号の中心波長1550nmの半波長である775nmの光を用いた。本実施の形態の位相共役光変換器100では、PPLN導波路をベースとした非線形光学デバイス103,104を用いるため、励起光の波長が信号波長と大きく異なる。これにより、誘電体のダイクロイックミラーを用いて低損失に合分波することがでる。かつ、励起光は信号光波長と同じ1550nm帯ではないため、原理的にはPPLN導波路の持つ励起光に対する帯域程度のガードバンドを設ければよい。PPLN導波路の持つ励起光に対する帯域は、素子長にも依存するが、50mm長さのPPLN導波路を用いるものとすれば、0.2nm(約25GHz)のガードバンドを設ければよいことになる。これはWDM信号の全帯域30nmの内の1%程度であり、帯域損失の観点から非常に小さいと言える。
もう一つのガードバンドの制限要因としては、波長合波フィルタ102の消光特性である。波長合波フィルタ102が十分な消光特性を有していないと、元の信号光が位相共役光に重畳されてしまうため信号品質が劣化する。波長合波フィルタ102に十分な消光特性を持たせるためには有限のガードバンドが必要となる。
本実施の形態の位相共役光変換器100では、誘電体多層膜を用いたダイクロイックミラーを反射と透過において各2枚用いる多段の構成により高い消光比を実現している。これにより3nmのガードバンドを設ければ30dB以上の十分な消光特性が得られた。この3nmのガードバンド量は、WDM信号の全帯域30nmの内の10%程度であり、帯域損失の観点から帯域を2倍使用する必要のある従来の方法と比べれば小さいと言える。なお、本実施の形態では、波長合波フィルタ102に誘電体多層膜を用いたダイクロイックミラーを用いたが、より急峻かつ高消光を持つフィルタを形成するためにLCOSやファイバブラックグレーティングなどの光フィルタを用いてもよい。
さらに、本実施の形態の位相共役光変換器100では、従来手法の課題であった低変換効率による過剰損失の増大を回避するために、非線形光学デバイス103,104内のPPLN導波路103a,104aとして、直接接合型の導波路を用いている。ここで、本実施の形態で用いたPPLN導波路103a,104aの作製方法を以下に例示する。
まず、Znを添加したLiNbO3上に周期が約17μmの周期的な電極を形成した。次に、電界印加法により上記の電極パターンに応じた分極反転グレーティングをZn:LiNbO3中に形成した。次に、この周期分極反転構造を有するZn:LiNbO3基板をクラッドとなるLiTaO3上に直接接合を行い、500℃で熱処理を行うことにより両基板を強固に接合した。次に、コア層を研磨により5μm程度まで薄膜化し、ドライエッチングプロセスを用いてリッジ型の光導波路を形成した。この導波路はペルチェ素子により温調が可能であり、導波路の長さは、50mmとした。このようにして形成されたPPLN導波路を有する2次非線形光学素子を1.5μm帯の偏波保持ファイバで光の入出力が可能なモジュールとした。
なお、この例では、Znを添加したLiNbO3を用いたが、それ以外の非線形材料である、KNbO3、LiTaO3、LiNbxTa1-xO3(0≦x≦1)若しくはKTiOPO4、又はそれらにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として含有している非線形光学材料を用いてもよい。
このようにして作製したPPLN導波路103a,104aを用いて位相共役光の生成を試みた。波長775nmの励起光を第1の非線形光学デバイス103及び第2の非線形光学デバイス104に入力した。各非線形光学デバイス103,104にはそれぞれ300mWの光パワーを入力した。直接接合型のPPLN導波路103a,104aを用いたため、100mW以上のハイパワーにおいても安定動作し、かつ変換光が利得を持つほど高い変換効率が得られた。変換利得として4dBが得られており、これは波長分離フィルタ101及び波長合波フィルタ102の全損失3dBを補償することができる値であり、位相共役光変換器100全体として、無損失での動作が可能であった。
以上の通り、本実施の形態の位相共役光変換器100のような構成を採用することにより、ガードバンドが小さく、無損失でかつ信号帯域全体としては周波数シフトのない、また位相共役光変換に伴う過剰雑音の発生が少ない位相共役光変換器を得ることができた。
なお、本実施の形態では、波長分離フィルタ101としてWDM信号を短波側の成分と長波側の成分とに分離する特性をもつフィルタを用いたが、また波長合波フィルタ102として短波側の成分の位相共役光と長波側の成分の位相共役光とを合波する特性をもつフィルタを用いたが、インターリーブ型のフィルタを用いてもよい。
波長分離フィルタ101としてWDM信号を偶数チャネルの成分と奇数チャネルの成分とに分離する特性をもつインターリーブ型のフィルタを、また波長合波フィルタ102として偶数チャネルの成分の位相共役光と奇数チャネルの成分の位相共役光とを合波する特性をもつインターリーブ型のフィルタを用いた場合の動作の様子を図3に示す。
また、図1において、インターリーブ型のフィルタ(インターリーバ)を用いた場合の位相共役光変換器を100’とし、この位相共役光変換器100’における波長分離フィルタ(インターリーバ)を101’、波長合波フィルタ(インターリーバ)を102’とする。
この位相共役光変換器100’には、入力光として、WDM信号が入力される(図3(a)参照)。入力されたWDM信号は、波長分離フィルタ(インターリーバ)101’によって、偶数チャネルの成分と奇数チャネルの成分とに分離される(図3(b)参照)。
なお、この実施の形態では、WDM信号全帯域における中心波長を基準波長としてWDM信号を偶数チャネルの成分と奇数チャネルの成分とに分離するが、かならずしも基準波長は中心波長でなくてもよい。
波長分離フィルタ(インターリーバ)101’によって分離されたWDM信号の偶数チャネルの成分は第1の非線形光学デバイス103に入力される。波長分離フィルタ(インターリーバ)101’によって分離されたWDM信号の奇数チャネルの成分は第2の非線形光学デバイス104に入力される。
第1の非線形光学デバイス103において、ダイクロイックミラー型合波器103bは、波長分離フィルタ(インターリーバ)101’からのWDM信号の偶数チャネルの成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の偶数チャネルの成分はPPLN導波路103aに入射される。PPLN導波路103aは差周波発生によりWDM信号の偶数チャネルの成分の位相共役光を生成する。この時、偶数チャネルの成分の位相共役光が奇数チャネルに生成されるよう励起光波長を設定する。具体的には、励起光の2倍の周波数がWDM信号のチャネル間隔の間となるように設定すればよい。
PPLN導波路103aにより生成されたWDM信号の偶数チャネルの成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の偶数チャネルの成分とともにダイクロイックミラー型分波器103cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器103cは、PPLN導波路103aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の偶数チャネルの成分+WDM信号の偶数チャネルの成分の位相共役光:図3(c)の上段の図参照)を波長合波フィルタ(インターリーバ)102’へ送る。
第2の非線形光学デバイス104において、ダイクロイックミラー型合波器104bは、波長分離フィルタ(インターリーバ)101’からのWDM信号の奇数チャネルの成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の奇数チャネルの成分はPPLN導波路104aに入射される。PPLN導波路104aは差周波発生により、第1の非線形光学デバイス103におけるPPLN導波路103aと同様にして、WDM信号の奇数チャネルの成分の位相共役光を生成する。この時、奇数チャネルの成分の位相共役光は偶数チャネルに生成される。
PPLN導波路104aにより生成されたWDM信号の奇数チャネルの成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の奇数チャネルの成分とともにダイクロイックミラー型分波器104cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器104cは、PPLN導波路104aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の奇数チャネルの成分+WDM信号の奇数チャネルの成分の位相共役光:図3(c)の下段の図参照)を波長合波フィルタ(インターリーバ)102’へ送る。
波長合波フィルタ(インターリーバ)102’は、第1の非線形光学デバイス103及び第2の非線形光学デバイス104から入力された光のうち、WDM信号の偶数チャネルの成分の位相共役光と奇数チャネルの成分の位相共役光のみを合波して出力光とし(図3(d)参照)、新たなWDM信号として送り出す。
この場合、波長合波フィルタ(インターリーバ)102’は、第1の非線形光学デバイス103及び第2の非線形光学デバイス104から入力される光のうち、元の信号光(WDM信号の偶数チャネルの成分+WDM信号の奇数チャネルの成分)を分離し、出力光として取り出されないように消光する。
これにより、WDM信号の偶数チャネルの成分と奇数チャネルの成分とを同一帯域内で入れ替える形で位相共役光に変換することができる。本構成では、原理的にカードバンドなしでの動作が可能となる。
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る位相共役光変換器の第2の実施の形態(実施の形態2)について説明する。
次に、本発明に係る位相共役光変換器の第2の実施の形態(実施の形態2)について説明する。
本発明における位相共役光変換器においては、2つの非線形光学デバイスを用いるため、2つの光路間で遅延差が存在すると、信号ビットの時間ずれが生じる。実施の形態1に示した位相共役光変換器100においても、非線形光学デバイス103,104の光路長を適切に設定すれば遅延差を最小化することができるが、実施の形態2では、ループ型の位相共役光変換器とすることにより、より簡便に遅延差を最小化できるようにする。
図4に実施の形態2の位相共役光変換器の構成を示す。この実施の形態2の位相共役光変換器200は、サーキュレータ201と、波長合分離フィルタ202と、第1の非線形光学デバイス203と、第2の非線形光学デバイス204と、偏波回転素子205とを備えている。
この位相共役光変換器200において、第1の非線形光学デバイス203は、周期分極反転構造を有するPPLN導波路203aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器203bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器203cとを備えている。
また、第2の非線形光学デバイス204も、第1の非線形光学デバイス203と同様、周期分極反転構造を有するPPLN導波路204aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器204bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器204cとを備えている。
次に、この実施の形態2の位相共役光変換器200の動作を、各部の機能を交えながら説明する。この位相共役光変換器200にも、実施の形態1の位相共役光変換器100と同様、入力光としてWDM信号が入力される。
入力されるWDM信号は、サーキュレータ201で受け取られ、波長合分離フィルタ202に送られる。波長合分離フィルタ202は、サーキュレータ201が受け取ったWDM信号を短波側の成分(短波長信号)と長波側の成分(長波長信号)とに分離する。
波長合分離フィルタ202によって分離されたWDM信号の短波側の成分は第1の非線形光学デバイス203に入力される。波長合分離フィルタ202によって分離されたWDM信号の長波側の成分は第2の非線形光学デバイス204に入力される。
第1の非線形光学デバイス203において、ダイクロイックミラー型合波器203bは、波長合分離フィルタ202からのWDM信号の短波側の成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分はPPLN導波路203aに入射される。PPLN導波路203aは差周波発生によりWDM信号の短波側の成分の位相共役光を生成する。
PPLN導波路203aにより生成されたWDM信号の短波側の成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分とともにダイクロイックミラー型分波器203cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器203cは、PPLN導波路203aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の短波側の成分+WDM信号の短波側の成分の位相共役光)を偏波回転素子205へ送る。
第2の非線形光学デバイス204において、ダイクロイックミラー型合波器204bは、波長合分離フィルタ202からのWDM信号の長波側の成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分はPPLN導波路204aに入射される。PPLN導波路204aは差周波発生によりWDM信号の長波側の成分の位相共役光を生成する。
PPLN導波路204aにより生成されたWDM信号の長波側の成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分とともにダイクロイックミラー型分波器204cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器204cは、PPLN導波路204aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の長波側の成分+WDM信号の長波側の成分の位相共役光)を偏波回転素子205へ送る。
偏波回転素子205は、第1の非線形光学デバイス203からの光(WDM信号の短波側の成分+WDM信号の短波側の成分の位相共役光)の偏波を回転させて、第2の非線形光学デバイス204に送る。また、偏波回転素子205は、第2の非線形光学デバイス204からの光(WDM信号の長波側の成分+WDM信号の長波側の成分の位相共役光)の偏波を回転させて、第1の非線形光学デバイス203に送る。
本実施の形態において、PPLN導波路203a,204aはZカットとされている。このため、PPLN導波路203a,204aは偏波依存性を有し、TM偏光の光に対して位相共役光を生成する。この偏波依存性を積極的に活用することで第1の非線形光学デバイス203及び第2の非線形光学デバイス204の両者の独立性を担保することができる。
具体的には、第1の非線形光学デバイス203から出力されるWDM信号の短波側の成分及びその位相共役光は、偏波回転素子205によって偏波が回転された後に第2の非線形光学デバイス204に入力されるため、第2の非線形光学デバイス204内では、励起光の反射光などが存在していたとしても、非線形過程を生じることがない。このため、反射光の影響が低減された状態で、第2の非線形光学デバイス204内を通過し、波長合分離フィルタ202へ戻される。
また、第2の非線形光学デバイス204から出力されるWDM信号の長波側の成分及びその位相共役光は、偏波回転素子205によって偏波が回転された後に第1の非線形光学デバイス203に入力されるため、第1の非線形光学デバイス203内では、励起光の反射光などが存在していたとしても、非線形過程を生じることがない。このため、反射光の影響が低減された状態で、第1の非線形光学デバイス204内を通過し、波長合分離フィルタ202へ戻される。
これにより、第1の非線形光学デバイス203と第2の非線形光学デバイス204とが同じループ内に配置されていても、お互いに影響を及ぼすことを低減できる。
波長合分離フィルタ202は、第1の非線形光学デバイス203を通して戻されてくるWDM信号の長波側の成分及びその位相共役光と第2の非線形光学デバイス204を通して戻されてくるWDM信号の短波側の成分及びその位相共役光とを入力とし、この入力された光のうち短波側の成分の位相共役光と長波側の成分の位相共役光のみを合波して出力光としてサーキュレータ201へ送る。サーキュレータ201は、波長合分離フィルタ202から送られてくる出力光を受け取って新たなWDM信号として送り出す。
この場合、波長合分離フィルタ202は、第1の非線形光学デバイス203及び第2の非線形光学デバイス204を通して戻されてくる光のうち、元の信号光(WDM信号の短波側の成分+WDM信号の長波側の成分)を分離し、出力光として取り出されないように消光する。
この実施の形態2の位相共役光変換器200では、ループ型の構成としていることによって、波長合分離フィルタ202により分離したWDM信号の短波側の成分と長波側の成分の光路長を厳密に一致化することができる。
なお、この実施の形態では2つの非線形光学デバイス203,204をループ内に配置したが、ループ構成内での各素子の反射率を非常に小さくすることにより1つの非線形光学デバイスを双方向で励起することによって、WDM信号の短波側の成分と長波側の成分の位相共役光の生成を1つの非線形光学デバイスで行うことも可能である。
また、この実施の形態では、波長合分離フィルタ202として、WDM信号の短波側の成分と長波側の成分とを分離し、短波側の成分の位相共役光と長波側の成分の位相共役光とを合波する特性をもつフィルタを用いたが、WDM信号の偶数チャネルの成分と奇数チャネルの成分とを分離し、偶数チャネルの成分の位相共役光と奇数チャネルの成分の位相共役光とを合波する特性をもつインターリーブ型のフィルタを用いてもよい。
〔実施の形態3〕
次に、本発明に係る位相共役光変換器の第3の実施の形態(実施の形態3)について説明する。
次に、本発明に係る位相共役光変換器の第3の実施の形態(実施の形態3)について説明する。
本発明における位相共役光変換器において、非線形光学デバイスとしてPPLN導波路を用いる場合、実施の形態1及び実施の形態2の構成では、偏波に依存性があった。近年の光通信システムへ適用するためには、偏波無依存で動作可能な構成がより求められる。このため、実施の形態3では、本発明に係る位相共役光変換器を偏波無依存で動作させるための構成を示す。
図5に実施の形態3の位相共役光変換器の構成を示す。この実施の形態3の位相共役光変換器300は、波長分離フィルタ301と、波長合波フィルタ302と、第1〜第4の非線形光学デバイス303〜306と、第1〜第4の偏波合分波素子(偏波ビームスプリッタ:PBS)307〜310とを備えている。
この位相共役光変換器300において、第1の非線形光学デバイス303は、周期分極反転構造を有するPPLN導波路303aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器303bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器303cとを備えている。
また、第2〜第4の非線形光学デバイス304〜306も、第1の非線形光学デバイス303と同様、周期分極反転構造を有するPPLN導波路304a〜306aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器304b〜306cと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器304c〜306cとを備えている。
また、波長分離フィルタ301はダイクロイックミラー型の合分波器301a,301b,301cを備えており、波長合波フィルタ302はダイクロイックミラー型の合分波器302a,302b,302cを備えている。
次に、この実施の形態3の位相共役光変換器300の動作を、各部の機能を交えながら説明する。
この位相共役光変換器300には、入力光(複数波長から成る光信号)として、WDM信号が入力される。入力されたWDM信号は、波長分離フィルタ301によって、短波側の成分(短波長信号)と長波側の成分(長波長信号)とに分離される。
なお、この実施の形態では、WDM信号全帯域における中心波長を基準波長としてWDM信号を短波側の成分と長波側の成分とに分離するが、かならずしも基準波長は中心波長でなくてもよい。
波長分離フィルタ301によって分離されたWDM信号の短波側の成分は、第1の偏波合分波素子307に入力され、X偏波成分とY偏波成分とに分離される。波長分離フィルタ301によって分離されたWDM信号の長波側の成分は、第2の偏波合分波素子308に入力され、X偏波成分とY偏波成分とに分離される。
第1の偏波合分波素子307によって分離されたWDM信号の短波側の成分のX偏波成分は第1の非線形光学デバイス303に入力される。第1の偏波合分波素子307によって分離されたWDM信号の短波側の成分のY偏波成分は第2の非線形光学デバイス304に入力される。
第2の偏波合分波素子308によって分離されたWDM信号の長波側の成分のX偏波成分は第3の非線形光学デバイス305に入力される。第2の偏波合分波素子308によって分離されたWDM信号の長波側の成分のY偏波成分は第4の非線形光学デバイス306に入力される。
第1の非線形光学デバイス303において、ダイクロイックミラー型合波器303bは、第1の偏波合分波素子307からのWDM信号の短波側の成分のX偏波成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分のX偏波成分はPPLN導波路303aに入射される。PPLN導波路303aは差周波発生によりWDM信号の短波側の成分のX偏波成分の位相共役光を生成する。
PPLN導波路303aにより生成されたWDM信号の短波側の成分のX偏波成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分のX偏波成分とともにダイクロイックミラー型分波器303cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器303cは、PPLN導波路303aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の短波側の成分のX偏波成分+WDM信号の短波側の成分のX偏波成分の位相共役光)を第3の偏波合分波素子309に送る。
第2の非線形光学デバイス304において、ダイクロイックミラー型合波器304bは、第1の偏波合分波素子307からのWDM信号の短波側の成分のY偏波成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分のY偏波成分はPPLN導波路304aに入射される。PPLN導波路304aは差周波発生によりWDM信号の短波側の成分のY偏波成分の位相共役光を生成する。
PPLN導波路304aにより生成されたWDM信号の短波側の成分のY偏波成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の短波側の成分のY偏波成分とともにダイクロイックミラー型分波器304cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器304cは、PPLN導波路304aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の短波側の成分のY偏波成分+WDM信号の短波側の成分のY偏波成分の位相共役光)を第3の偏波合分波素子309に送る。
第3の偏波合分波素子309は、第1の非線形光学デバイス303からの励起光が分離された光(WDM信号の短波側の成分のX偏波成分+WDM信号の短波側の成分のX偏波成分の位相共役光)と、第2の非線形光学デバイス304からの励起光が分離された光(WDM信号の短波側の成分のY偏波成分+WDM信号の短波側の成分のY偏波成分の位相共役光)を合波し、波長合波フィルタ302へ送る。
第3の非線形光学デバイス305において、ダイクロイックミラー型合波器305bは、第2の偏波合分波素子308からのWDM信号の長波側の成分のX偏波成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分のX偏波成分はPPLN導波路305aに入射される。PPLN導波路305aは差周波発生によりWDM信号の長波側の成分のX偏波成分の位相共役光を生成する。
PPLN導波路305aにより生成されたWDM信号の長波側の成分のX偏波成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分のX偏波成分とともにダイクロイックミラー型分波器305cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器305cは、PPLN導波路305aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の長波側の成分のX偏波成分+WDM信号の長波側の成分のX偏波成分の位相共役光)を第4の偏波合分波素子310に送る。
第4の非線形光学デバイス306において、ダイクロイックミラー型合波器306bは、第2の偏波合分波素子308からのWDM信号の長波側の成分のY偏波成分に励起光を合波する。この励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分のY偏波成分はPPLN導波路306aに入射される。PPLN導波路306aは差周波発生によりWDM信号の長波側の成分のY偏波成分の位相共役光を生成する。
PPLN導波路306aにより生成されたWDM信号の長波側の成分のY偏波成分の位相共役光は、励起光が合波されたWDM信号の長波側の成分のY偏波成分とともにダイクロイックミラー型分波器306cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器306cは、PPLN導波路306aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(WDM信号の長波側の成分のY偏波成分+WDM信号の長波側の成分のY偏波成分の位相共役光)を第4の偏波合分波素子310に送る。
第4の偏波合分波素子310は、第3の非線形光学デバイス305からの励起光が分離された光(WDM信号の長波側の成分のX偏波成分+WDM信号の長波側の成分のX偏波成分の位相共役光)と、第4の非線形光学デバイス306からの励起光が分離された光(WDM信号の長波側の成分のY偏波成分+WDM信号の長波側の成分のY偏波成分の位相共役光)を合波し、波長合波フィルタ302へ送る。
波長合波フィルタ302は、第3の偏波合分波素子309及び第4の偏波合分波素子310から入力された光のうち、WDM信号の短波側の成分(X偏波成分+Y偏波成分)の位相共役光と長波側の成分(X偏波成分+Y偏波成分)の位相共役光のみを合波して出力光とし、新たなWDM信号として送り出す。
この場合、波長合波フィルタ302は、第3の偏波合分波素子309及び第4の偏波合分波素子310から入力される光のうち、元の信号光(WDM信号の短波側の成分(X偏波成分+Y偏波成分)+WDM信号の長波側の成分(X偏波成分+Y偏波成分))を分離し、出力光として取り出されないように消光する。
この実施の形態3の位相共役光変換器300は、実施の形態1の位相共役光変換器100の基本構成を2つ用いて偏波のダイバシティ構成を組むものである。なお、この実施の形態では、波長分波した後、偏波を分離したが、逆に偏波分離を行った後、波長分離を行ってもよい。
また、この実施の形態では、波長分離フィルタ301として、WDM信号の短波側の成分と長波側の成分とに分離する特性をもつフィルタを用いたが、また波長合波フィルタ302として短波側の成分の位相共役光と長波側の成分の位相共役光とを合波する特性をもつフィルタを用いたが、波長分離フィルタ301として、WDM信号の偶数チャネルの成分と奇数チャネルの成分とを分離する特性をもつインターリーブ型のフィルタを、また波長合波フィルタ302として偶数チャネルの成分の位相共役光と奇数チャネルの成分の位相共役光とを合波する特性をもつインターリーブ型のフィルタを用いてもよい。
〔実施の形態4〕
本発明に係る位相共役光変換器は、上記の実施の形態1〜3で示した通り、ほぼ無損失で複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換することが可能であるが、位相共役光変換器内で、波長分離フィルタや偏波合分波素子(PBS)による損失をPPLN導波路中の光パラメトリック過程により補償するため、信号品質は多少なりとも劣化する。この位相共役光変換器を光通信システムにおいてどのように用いるかで、システム全体としてのS/N比は大きく異なる。
本発明に係る位相共役光変換器は、上記の実施の形態1〜3で示した通り、ほぼ無損失で複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換することが可能であるが、位相共役光変換器内で、波長分離フィルタや偏波合分波素子(PBS)による損失をPPLN導波路中の光パラメトリック過程により補償するため、信号品質は多少なりとも劣化する。この位相共役光変換器を光通信システムにおいてどのように用いるかで、システム全体としてのS/N比は大きく異なる。
図6に本発明に係る位相共役光変換器を用いた光伝送システムの第1の実施の形態(実施の形態4)を示す。この実施の形態4の光伝送システム400は、WDM信号を生成する光送信器401と、複数の光伝送ファイバ402と、複数の中継光増幅器403と、複数の位相共役光変換器404と、光受信器405とを備えている。
本実施の形態において、位相共役光変換器404としては、実施の形態3に示した偏波無依存構成の位相共役光変換器300を用いている。また、中継光増幅器403には、EDFA(エルビウムドープファイバ増幅器)を用いている。なお、位相共役光変換器404として、実施の形態1に示した位相共役光変換器100や実施の形態2に示した位相共役光変換器200を用いてもよい。
この光伝送システム400において、光送信器401からのWDM信号は、光送信器401と光受信器405との間に多段に接続された光伝送ファイバ402を伝送路406として、光受信器405に送られる。
この光伝送システム400では、伝送路406における光伝送ファイバ402で区切られた1つの区間が1スパンとされ、各スパンにおける伝送損失がスパン毎に設けられた中継光増幅器403で補償される。
この光伝送システム400において、光伝送ファイバ402としては、80kmのシングルモードファイバを用いている。約24dB伝搬損失の損失があるため、この損失を補償するためにEDFAを中継光増幅器403として用い、多段に光伝送ファイバ402を接続している。そして、この中継光増幅器403の直後に、位相共役光変換器404を配置している。一般に、光増幅器を多段に接続した場合、後段の雑音指数(NF)は前段の増幅利得(G)で割った形で寄与することが知られているが、この光伝送システム400における位相共役光変換器404でも同様の効果があった。
中継光増幅器403の直後に位相共役光変換器404を配置することで、増幅利得24dBの分だけ位相共役光変換器404の信号品質低下の影響を低減できる。つまり、位相共役光変換器404の本来の雑音指数(NF)が4dB程度あっても、光伝送システム400全体ではその百分の1以下に低減することができる。これにより、位相共役光変換器404自体による信号品質の劣化を最小化し、位相共役光変換器404の有する非線形雑音補償特性を最大化することができる。
各スパンの中継光増幅器403の直後に位相共役光変換器404を配置し、この位相共役光変換器404によってWDM信号を位相共役光に変換することで、各スパン毎に非線形雑音を補償することができる。具体的には、光送信器401から送られたWDM信号の最初の光伝送ファイバ402(第1のスパン)で生じた非線形雑音は、次の光伝送ファイバ402(第2のスパン)内を伝搬する間に位相共役光の持つ逆伝搬特性により補償される。以下同様に、第3、第4のスパン以降においても、非線形雑音を直ちに補償しながら伝送することができる。
これにより、光伝送システム400全体で、10dB以上のS/N比の向上をもたらすことができた。
〔実施の形態5〕
次に、本発明に係る位相共役光変換器の第4の実施の形態(実施の形態5)について説明する。本発明における位相共役光変換器は、位相感応光増幅器やBoosting受信などの位相共役光を同送した雑音低減手段とも協調可能であり、これにより大幅なシステム特性の改善を実現することができる。
次に、本発明に係る位相共役光変換器の第4の実施の形態(実施の形態5)について説明する。本発明における位相共役光変換器は、位相感応光増幅器やBoosting受信などの位相共役光を同送した雑音低減手段とも協調可能であり、これにより大幅なシステム特性の改善を実現することができる。
図7に、実施の形態5の位相共役光変換器として、信号光とその信号光の位相共役光を同送するマルチキャリア信号に対して、位相感応光増幅器を中継光増幅器として適用可能とするための、位相共役光変換器の構成を示す。
この実施の形態5の位相共役光変換器500は、波長分離フィルタ501と、波長合波フィルタ502と、第1の非線形光学デバイス503と、第2の非線形光学デバイス504と、第1の光分岐回路505と、特定波長のみを透過させるバンドパスフィルタ(BPF)506,512と、可変の光減衰器(VOA)507と、サーキュレータ508と、半導体レーザ509と、第2の光分岐回路510と、光増幅器(EDFA)511と、励起光生成用の非線形光学デバイス513と、励起光分波器514と、第3の光分岐回路515とを備えている。
この位相共役光変換器500において、第1の非線形光学デバイス503は、周期分極反転構造を有するPPLN導波路503aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器503bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器503cとを備えている。
また、第2の非線形光学デバイス504も、第1の非線形光学デバイス503と同様、周期分極反転構造を有するPPLN導波路504aと、励起光を合波するダイクロイックミラー型合波器504bと、励起光を分波するダイクロイックミラー型分波器504cとを備えている。
次に、この実施の形態5の位相共役光変換器500の動作を、各部の機能を交えながら説明する。
この位相共役光変換器500には、入力光(複数波長から成る光信号)として、複数の信号光と位相共役光との対とパイロットトーン信号光とから成るマルチキャリア信号が入力される。
ここで、パイロットトーン信号光は、連続波光(CW光)であり、マルチキャリア信号の帯域の中心波長に設定されている。信号光と位相共役光との対は、このパイロットトーン信号光の波長を中心として、短波側及び長波側に、対称に離調されている。マルチキャリア信号は、この信号光と位相共役光との対を複数有している。
入力されたマルチキャリア信号は、その一部の光パワーが第1の光分岐回路505により分岐され、バンドパスフィルタ(BPF)506へ送られる。バンドパスフィルタ(BPF)506は、第1の光分岐回路505によって分岐されたマルチキャリア信号からパイロットトーン信号光のみを分離し、可変の光減衰器507へ送る。
可変の光減衰器507は、バンドパスフィルタ(BPF)506によって分離されたパイロットトーン信号光を数百から数十マイクロWになるようにパワーを調整する。このパワーが調整されたパイロットトーン信号光はサーキュレータ508を通して半導体レーザ509に送られる。
これにより、半導体レーザ509は、パイロットトーン信号光に光注入同期され、パイロットトーン信号光と同じ搬送波位相を持つ光をサーキュレータ508へ送る。サーキュレータ508は、この半導体レーザ509からのパイロットトーン信号光と同じ搬送波位相を持つ光を第2の光分岐回路510へ送る。
第2の光分岐回路510は、サーキュレータ508から出力された光を2分岐し、一方を基本波光として、光増幅器511へ送る。光増幅器511は、第2の光分岐回路510からの基本波光を2Wまで増幅した後、バンドパスフィルタ(BPF)512を通して励起光生成用の非線形光学デバイス513に入力する。
励起光生成用の非線形光学デバイス513は、第1の非線形光学デバイス503及び第2の非線形光学デバイス504と同様の構成から成り、周期分極反転構造を有するPPLN導波路513aと、ダイクロイックミラー型合波器513bと、ダイクロイックミラー型分波器513cとを備えている。
励起光生成用の非線形光学デバイス513は、その内部のPPLN導波路513a中の第2高調波発生(SHG)過程により、基本波光の半分の波長を持つ励起光を生成する。この例では、励起光生成用の非線形光学デバイス513から、1Wの励起光が出力される。この励起光は、励起光分波器514へ送られて2分岐され、第1の非線形光学デバイス503のダイクロイックミラー型合波器503b及び第2の非線形光学デバイス504のダイクロイックミラー型合波器504bに送られる。
一方、第1の光分岐回路505を透過したマルチキャリア信号は、波長分離フィルタ501によって、短波側の成分(信号光)と長波側の成分(位相共役光)とに分離される。波長分離フィルタ501によって分離されたマルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)は第1の非線形光学デバイス503に入力される。波長分離フィルタ501によって分離されたマルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)は第2の非線形光学デバイス504に入力される。
第1の非線形光学デバイス503において、ダイクロイックミラー型合波器503bは、波長分離フィルタ501からのマルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)に励起光分波器514から送られてくる励起光を合波する。この励起光が合波されたマルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)はPPLN導波路503aに入射される。PPLN導波路503aは差周波発生によりマルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)の位相共役光を生成する。
PPLN導波路503aにより生成されたマルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)の位相共役光は、励起光が合波されたマルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)とともにダイクロイックミラー型分波器503cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器503cは、PPLN導波路503aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(マルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)+マルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)の位相共役光)を波長合波フィルタ502へ送る。
第2の非線形光学デバイス504において、ダイクロイックミラー型合波器504bは、波長分離フィルタ501からのマルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)に励起光分波器514から送られてくる励起光を合波する。この励起光が合波されたマルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)はPPLN導波路504aに入射される。PPLN導波路504aは差周波発生によりマルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)の位相共役光を生成する。
PPLN導波路504aにより生成されたマルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)の位相共役光は、励起光が合波されたマルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)とともにダイクロイックミラー型分波器504cに送られる。ダイクロイックミラー型分波器504cは、PPLN導波路504aを通して送られてくる光から励起光を分離し、この励起光を分離した光(マルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)+マルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光)の位相共役光)を波長合波フィルタ502へ送る。
波長合波フィルタ502は、第1の非線形光学デバイス503及び第2の非線形光学デバイス504から入力された光のうち、マルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)の位相共役光と長波側の成分(位相共役光)の位相共役光のみ合波して、第3の光分岐回路515へ送る。
この場合、波長合波フィルタ502は、第1の非線形光学デバイス503及び第2の非線形光学デバイス504から入力される光のうち、元の信号光(マルチキャリア信号の短波側の成分(信号光)+マルチキャリア信号の長波側の成分(位相共役光))を分離し、第3の光分岐回路515へ送る光として取り出されないように消光する。
第3の光分岐回路515は、第2の光分岐回路510を用いて2分岐された光のうちのもう一方の光を新たなパイロットトーン信号光とし、この新たなパイロットトーン信号光と波長合波フィルタ502から送られてくる光とを合波して出力光とする。すなわち、第2の波長合波フィルタ502から出力された位相共役光に変換された複数の信号光と位相共役光との対と、新たなパイロットトーン信号光とを第3の光分岐回路515を用いて合波して出力光とし、新たなマルチキャリア信号として送り出す。
新たなパイロットトーン信号光は、変換光強度に対し十分強いため、第3の光分岐回路515として14対1で光を分岐する構成の光分岐回路を用いてパイロットトーン信号光を合波することで、変換光の損失は10%以下にすることができた。
これにより、信号光と位相共役光との対を、パイロットトーン信号光との位相関係を保持したまま、一体でそれぞれの位相共役光に変換することが可能となった。なお、本実施の形態では、第1の光分岐回路505及び第3の光分岐回路515には、波長帯域全体の一定の光強度をタップするものを用いたが、中心波長のパイロットトーン信号光のみを分離し、中心波長以外の光を透過させるバンドリジェクションフィルタを用いてもよい。
また、波長分離フィルタ501と波長合波フィルタ502との間の構成を実施の形態3(図5)と同様な構成とすることにより、偏波無依存構成とすることもできる。また、実施の形態2に示した位相共役光変換器200に対して同様の構成を採用するようにしてもよい。
〔実施の形態6〕
本発明に係る位相共役光変換器は、上記実施の形態5で示した通り、信号光と位相共役光との対に対し、その波長関係を入れ替える形で、それぞれの光に対する位相共役光を発生させることで、複数の信号光と位相共役光との対から成るマルチキャリア信号の帯域を保持したまま、位相共役光へ一括で変換することができる。この位相共役光変換器を実現することで、位相感応光増幅器とBoosting受信を併用した非線形雑音補償伝送路を構築することが可能となる。
本発明に係る位相共役光変換器は、上記実施の形態5で示した通り、信号光と位相共役光との対に対し、その波長関係を入れ替える形で、それぞれの光に対する位相共役光を発生させることで、複数の信号光と位相共役光との対から成るマルチキャリア信号の帯域を保持したまま、位相共役光へ一括で変換することができる。この位相共役光変換器を実現することで、位相感応光増幅器とBoosting受信を併用した非線形雑音補償伝送路を構築することが可能となる。
図8に本発明に係る位相共役光変換器を用いた光伝送システムの第2の実施の形態(実施の形態6)を示す。この実施の形態6の光伝送システム600は、複数の信号光と位相共役光との対とパイロットトーン信号光とから成るマルチキャリア信号を生成する光送信器601と、複数の光伝送ファイバ602と、複数の中継光増幅器603と、複数の位相共役光変換器604と、光受信器(Boosting受信器)605とを備えている。
本実施の形態において、位相共役光変換器604としては、実施の形態3に示した位相共役光変換器500、すなわちパイロットトーン信号光との位相関係を保持したまま位相共役光へ変換可能な構成の位相共役光変換器500を用いている。また、中継光増幅器603には、ラマン光増幅器606と位相感応光増幅器607とを併用して用いている。光受信器605は、コヒーレントレシーバ605−1と605−2とを備え、信号光と位相共役光との対を分離してそれぞれを受信可能な構成とされている。
この光伝送システム600において、光送信器601からのマルチキャリア信号は、光送信器601と光受信器605との間に多段に接続された光伝送ファイバ602を伝送路608として、光受信器605に送られる。
この光伝送システム600では、伝送路608における光伝送ファイバ602で区切られた2つの区間が1スパンとされ、各スパンにおける伝送損失がスパン毎に設けられた中継光増幅器603で補償される。
この光伝送システム600において、伝送路608における1スパンは、2つの光伝送ファイバ602と位相共役光変換器604とで構成される。以下、1スパンを構成する2つの光伝送ファイバ602のうち、光送信器601側の光伝送ファイバ602(602F)を第1の光伝送ファイバと呼び、光受信器605側の光伝送ファイバ602(602R)を第2の光伝送ファイバと呼ぶ。位相共役光換器604は第1の光伝送ファイバ602Fと第2の光伝送ファイバ602Rとの間に配置されている。
この光伝送システム600において、光伝送ファイバ602として、80kmのシングルモードファイバを用いている。また、約24dB伝搬損失の損失があるため、この損失の一部を補償するために光伝送ファイバ602毎にラマン光増幅器606を用いている。14dBのラマン増幅利得により、80kmの光伝送ファイバ602の損失24dBの内14dBを補償し、実効的な損失を10dBとした。
この光伝送システム600では、マルチキャリア信号が第1の光伝送ファイバ602Fを通して80km伝送された後に、位相共役光変換器604において一括して位相共役光に変換される。その後、第1の光伝送ファイバ602Fと同じ80kmのシングルモードファイバを用いて構成された第2の光伝送ファイバ602Rを通して、変換後のマルチキャリア信号が伝送される。
位相共役光変換器604は、無損失で変換が可能であり、かつ第2の光伝送ファイバ602Rも第1の光伝送ファイバ602Fと同様にラマン光増幅器606により伝搬損失の一部が補償されているため、10dBの損失であった。つまり、第1の光伝送ファイバ602Fと位相共役光変換器604と第2の光伝送ファイバ602Rとで構成される1スパンの伝送路距離は160kmであり、伝搬損失は20dBである。
第1の光伝送ファイバ602Fおよび第2の光伝送ファイバ602Rは、同じ仕様で作製したファイバであり、作製誤差範囲で等しいものを用いている。これにより、1スパン内の前半の80kmで生じた非線形雑音を、後半の80kmの伝送路自体を伝搬させることでキャンセルすることができた。また、位相共役光を用いることで、非線形雑音を打ち消すだけでなく、シングルモードファイバの持つ波長分散も補償することが可能となり、1スパンで分散補償のされた伝送路を構成することができた。
第2の光伝送ファイバ602Rを通して伝送されるマルチキャリア信号は位相感応光増幅器607で増幅される。1スパン内で分散が補償されているため、信号光と位相共役光との対の間での位相関係がずれることなく、位相感応光増幅器607を動作させることが可能となった。これにより、低雑音な光増幅が可能となりシステム全体でのS/N比を改善することができる。また、位相感応光増幅器607内での信号光と位相共役光との間の相互作用により、非線形雑音や波長分散の残留した成分を圧縮することで、信号品質をさらに高めることもできる。
1スパン160kmの伝送路と位相感応光増幅器607による中継増幅を多段に接続することで、長距離の伝送路を構築することができる。100段接続することで1万6000kmの伝送路を構築することができる。
さらに、本実施の形態の構成では、各スパン毎の光伝送ファイバ602を同一のものを用いる必要がない。つまり、1スパンを構成する前半のファイバ(第1の光伝送ファイバ602F)と後半のファイバ(第2の光伝送ファイバ602R)は同じファイバを用いる必要があるが、スパン毎に異なるファイバを用いてもよい。
例えば、上述した例では、最初のスパンの第1の光伝送ファイバ602F及び第2の光伝送ファイバ602Rとしてシングルモードファイバを用いるものとしたが、他のスパンでは分散シフトファイバなどの異なるファイバを用いてもよいし、80km以外の長さのファイバを用いてもよい。
これにより、光伝送システム600を構築するうえで、柔軟性が向上する。個別のスパン毎に前後半で同じファイバを用いればよいだけであるので、システムの一部を変更しても、全体に影響を及ぼすことがない。
このようにして、光送信器601からのマルチキャリア信号は、多段に接続された複数の光伝送ファイバ602を通して伝送され、光受信器605で受信される。光受信器605では、信号光と位相共役光との対が分離され、それぞれを別々のコヒーレントレシーバ605−1,605−2を用いて光の強度と位相情報を電気信号に変換される。その後、個々のデータの和を取ることで、電気での信号処理により非線形雑音が補償される。
各スパン毎の非線形雑音キャンセリングと分散補償と、中継光増幅器603での低雑音かつ光信号処理による非線形雑音圧縮と、光受信器605での非線形雑音補償により、光伝送システム600全体で、20dB以上のS/N比向上をもたらすことができた。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
100(100’)…位相共役光変換器、101(101’)…波長分離フィルタ、102(102’)…波長合波フィルタ、103,104…第1,第2の非線形光学デバイス、103a,104a…PPLN導波路、103b,104b…ダイクロイックミラー型合波器、103c,104c…ダイクロイックミラー型分波器、200…位相共役光変換器、201…サーキュレータ、202…波長合分離フィルタ、203,204…第1,第2の非線形光学デバイス、203a,204a…PPLN導波路、203b,204b…ダイクロイックミラー型合波器、203c,204c…ダイクロイックミラー型分波器、205…偏波回転素子、300…位相共役光変換器、301…波長分離フィルタ、302…波長合波フィルタ、303〜306…第1〜第4の非線形光学デバイス、303a〜306a…PPLN導波路、303b〜306b…ダイクロイックミラー型合波器、303c〜306c…ダイクロイックミラー型分波器、307〜310…第1〜第4の偏波合分波素子、400…光伝送システム、401…光送信器、402…光伝送ファイバ、403…中継光増幅器、404…位相共役光変換器、405…光受信器、406…伝送路、500…位相共役光変換器、501…波長分離フィルタ、502…波長合波フィルタ、503,504…第1,第2の非線形光学デバイス、503a,504a…PPLN導波路、503b,504b…ダイクロイックミラー型合波器、503c,504c…ダイクロイックミラー型分波器、505…第1の光分岐回路、506…バンドパスフィルタ(BPF)、507…可変の光減衰器(VOA)、508…サーキュレータ、509…半導体レーザ、510…第2の光分岐回路、511…光増幅器(EDFA)、512…バンドパスフィルタ(BPF)、513…励起光生成用の非線形光学デバイス、514…励起光分波器、515…第3の光分岐回路、600…光伝送システム、601…光送信器、602…光伝送ファイバ、602F…第1の光伝送ファイバ、602R…第2の光伝送ファイバ、603…中継光増幅器、604…位相共役光変換器、605…光受信器、606…ラマン光増幅器、607…位相感応光増幅器、608…伝送路。
Claims (6)
- 複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換する位相共役光変換器であって、
前記複数波長から成る光信号をその光信号の全帯域における中心波長を基準波長として短波側の波長成分と長波側の波長成分とに分離する波長分離フィルタと、
前記波長分離フィルタによって分離された短波側の波長成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記短波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第1の非線形光学デバイスと、
前記波長分離フィルタによって分離された長波側の波長成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記長波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第2の非線形光学デバイスと、
前記第1の非線形光学デバイスから出力される前記短波側の波長成分及びその位相共役光と前記第2の非線形光学デバイスから出力される前記長波側の波長成分及びその位相共役光とを入力とし、この入力された光のうち短波側の波長成分の位相共役光と長波側の波長成分の位相共役光とを合波して出力光とする波長合波フィルタと
を備えることを特徴とする位相共役光変換器。 - 複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換する位相共役光変換器であって、
前記複数波長から成る光信号を受け取るサーキュレータと、
前記サーキュレータが受け取った複数波長から成る光信号をその光信号の全帯域における中心波長を基準波長として短波側の波長成分と長波側の波長成分とに分離する波長合分離フィルタと、
前記波長合分離フィルタによって分離された短波側の波長成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記短波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第1の非線形光学デバイスと、
前記波長合分離フィルタによって分離された長波側の波長成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記長波側の波長成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第2の非線形光学デバイスと、
前記第1の非線形光学デバイスから出力される前記短波側の波長成分及びその位相共役光の偏波を回転して前記第2の非線形光学デバイスに送り、前記第2の非線形光学デバイスから出力される前記長波側の波長成分及びその位相共役光の偏波を回転して前記第1の非線形光学デバイスに送る偏波回転素子とを備え、
前記波長合分離フィルタは、
前記第1の非線形光学デバイスを通して戻されてくる前記長波側の波長成分及びその位相共役光と前記第2の非線形光学デバイスを通して戻されてくる前記短波側の波長成分及びその位相共役光とを入力とし、この入力された光のうち短波側の波長成分の位相共役光と長波側の波長成分の位相共役光とを合波し出力光として前記サーキュレータへ送り、
前記サーキュレータは、
前記波長合分離フィルタから送られてくる出力光を受け取って新たな光信号として送り出す
ことを特徴とする位相共役光変換器。 - 複数波長から成る光信号を一括して位相共役光に変換する位相共役光変換器であって、
前記複数波長から成る光信号をその光信号の全帯域における中心波長を基準波長として短波側の波長成分と長波側の波長成分とに分離する波長分離フィルタと、
前記波長分離フィルタによって分離された短波側の波長成分を第1の偏波成分と第2の偏波成分とに分離する第1の偏波合分波素子と、
前記波長分離フィルタによって分離された長波側の波長成分を第1の偏波成分と第2の偏波成分とに分離する第2の偏波合分波素子と、
前記第1の偏波合分波素子によって分離された前記短波側の波長成分の第1の偏波成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記短波側の波長成分の第1の偏波成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第1の非線形光学デバイスと、
前記第1の偏波合分波素子によって分離された前記短波側の波長成分の第2の偏波成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記短波側の波長成分の第2の偏波成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第2の非線形光学デバイスと、
前記第2の偏波合分波素子によって分離された前記長波側の波長成分の第1の偏波成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記長波側の波長成分の第1の偏波成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第3の非線形光学デバイスと、
前記第2の偏波合分波素子によって分離された前記長波側の波長成分の第2の偏波成分に前記中心波長の半分の波長を有する励起光を合波した後、差周波発生により前記長波側の波長成分の第2の偏波成分の位相共役光を生成するとともに前記励起光を分離する第4の非線形光学デバイスと、
前記第1の非線形光学デバイスから出力される前記短波側の波長成分の第1の偏波成分及びその位相共役光と前記第2の非線形光学デバイスから出力される前記短波側の波長成分の第2の偏波成分及びその位相共役光とを合波し、前記短波側の波長成分及びその位相共役光として出力する第3の偏波合分波素子と、
前記第3の非線形光学デバイスから出力される前記長波側の波長成分の第1の偏波成分及びその位相共役光と前記第4の非線形光学デバイスから出力される前記長波側の波長成分の第2の偏波成分及びその位相共役光とを合波し、前記長波側の波長成分及びその位相共役光として出力する第4の偏波合分波素子と、
前記第3の偏波合分波素子から出力される前記短波側の波長成分及びその位相共役光と前記第4の偏波合分波素子から出力される前記長波側の波長成分及びその位相共役光とを入力とし、この入力された光のうち短波側の波長成分の位相共役光と長波側の波長成分の位相共役光とを合波して出力光とする波長合波フィルタと
を備えることを特徴とする位相共役光変換器。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載された位相共役光変換器において、
第1の光分岐回路と、半導体レーザと、第2の光分岐回路と、光増幅器と、励起光生成用の非線形光学デバイスと、第3の光分岐回路とを少なくとも備え、
前記第1の光分岐回路は、
前記複数波長からなる光信号として中心波長を持つパイロットトーン信号光を含む光信号を分岐し、
前記半導体レーザは、
前記パイロットトーン信号光の光注入同期により前記パイロットトーン信号光と同じ搬送波位相を持つ光を発生し、
前記第2の光分岐回路は、
前記半導体レーザが発生する光を2分岐して一方を基本波光、他方を新たなパイロットトーン信号光とし、
前記光増幅器は、
前記基本波光を増幅し、
前記励起光生成用の非線形光学デバイスは、
前記光増幅器によって増幅された基本波光を入力とし第2高調波発生により励起光を生成し、
前記第3の光分岐回路は、
前記位相共役光変換器からの出力光に前記新たなパイロットトーン信号光を合波する
ことを特徴とする位相共役光変換器。 - 複数波長からなる信号光を光信号として生成する光送信器と、この光送信器が生成した光信号を伝送する伝送路と、この伝送路を通して送られてくる光信号を受信する光受信器とを備え、
前記伝送路は、
前記光送信器と前記光受信器との間に多段に接続された光伝送ファイバと、
前記伝送路における前記光伝送ファイバで区切られた1つの区間を1スパンとし各スパンにおける伝送損失を補償する前記スパン毎に設けられた中継光増幅器と、
前記中継光増幅器毎にその直後に配置された請求項1〜3の何れか1項に記載された位相共役光変換器と
を備えることを特徴とする光伝送システム。 - 複数の信号光と位相共役光との対とパイロットトーン信号光とからなるマルチキャリア信号を光信号として生成する光送信器と、この光送信器が生成した光信号を伝送する伝送路と、この伝送路を通して送られてくる光信号を受信する光受信器とを備え、
前記伝送路は、
前記光送信器と前記光受信器との間に多段に接続された光伝送ファイバと、
前記伝送路における前記光伝送ファイバで区切られた2つの区間を1スパンとし各スパンにおける伝送損失を補償する前記スパン毎に設けられた中継光増幅器と、
前記スパン毎にそのスパン内の第1の光伝送ファイバと第2の光伝送ファイバとの間に配置された請求項4に記載された位相共役光変換器と
を備えることを特徴とする光伝送システム。
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