JP6096554B2 - Icタグを備えて成る複合容器蓋 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、頂板にICタグが埋め込まれたキャップが開示されている。
また、特許文献3には、容器口部に装着されるキャップ本体に連結された上蓋を開封した時、キャップ本体に設けられているアンテナが破断され、これにより、開封の事実を認識できることが開示されている。
このような問題を解決するために、本出願人は、開封しない限りキャップを容器口部から取外すことができず、開封時にICタグのアンテナ回路が確実に破断され通信不可能になるか或いは破断されたことが通信情報として読み取れることで、優れた開封明示機能及び品質保証機能を有する複合容器蓋及び包装容器を提案した(特願2012−142370号)。
しかしながら、ICタグにおけるアンテナ線の配置は用いるICタグによって異なり、ICタグの仕様によっては、従来の複合容器蓋ではICタグを確実に破壊することができない場合が生じた。
従って本発明の目的は、隣合う複数列のアンテナ線を有するタイプのICタグが設置された複合容器蓋においても、アンテナ線を確実に切断することができ、開封明示機能及び品質保証機能を確実に発揮し得る複合容器蓋を提供することである。
1.ICタグのアンテナ線が、同心円状に配列していること、
2.オーバーキャップの頂壁パネル下面に、先端が鋭利な突起が等間隔に複数個形成されていること、
3.インナーキャップの上面の周縁部には、複数個の突起部が形成されていると共に、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面の周縁部には、前記複数個の突起部と係合可能な凸部が複数個形成されており、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、オーバーキャップの閉栓方向且つ下方に垂下する少なくとも1個のスプリングタブが形成されていると共に、前記インナーキャップの頂板上面には、オーバーキャップを閉栓方向に回転させたときに、前記スプリングタブの先端と係合可能な係合部が形成されており、前記オーバーキャップのスカート下端には、開栓に際してスカートから切り離し可能なストッパーバンドが形成されており、前記オーバーキャップのスカートの内面には、係止突部が形成されていると共に、前記インナーキャップの筒状壁外面には、上下2段の周方向に延びる突条が形成されており、前記ストッパーバンドの切り離し前は、前記係止突部の係止面が上段突条の下面で係止することによりストッパーバンドの上昇が抑制されており、前記ストッパーバンドが切り離され、前記オーバーキャップを下方に降下させることにより、前記突起がICタグを破壊すると共に、前記インナーキャップの突起部とオーバーキャップの凸部が互いに係合して、オーバーキャップによるインナーキャップの開栓方向への回転が可能になると同時に、前記係止突部の係止面が下段突条の下面と係合することによりオーバーキャップの上昇が規制され、オーバーキャップ及びインナーキャップが一体に容器口部から取外すことが可能であること、
が好適である。
また本発明の複合容器蓋においては、ICタグの一部の回路を破壊することなく、複合容器蓋を容器口部から取外すことができないため、確実に開封履歴を明示することができ、内容物の詰め替え等の悪質ないたずらや偽造販売を有効に防止でき、優れた内容物の品質保証機能を有している。
更にICタグの破損のおそれなく、複合容器蓋を容器口部に装着することができ、キャッピング性にも優れている。
更にまたオーバーキャップの回転が確実にインナーキャップに伝達されるため、複合容器蓋全体が一体となってスムーズに回転するため、リシール性にも優れている。
またインナーキャップの筒状壁に外側筒状壁を更に設け、オーバーキャップでインナーキャップ全体を覆うようにすることによって、インナーキャップに外側から触れることが困難であることから、インナーキャップに何らかの操作を加えて、複合容器蓋全体を容器口部からすっぽ抜けさせることを更に有効に防止できる。
更にまた、容器口部に既存のキャップが装着された容器口部の形状に対応した容器係止部材が容器口部に固定することによって、内容物が充填され且つ口部にキャップが装着されている既存の包装容器にも効果的に適用することができる。
図1に示した本発明に用いるICタグの一例においては、全体として1で示すICタグは、樹脂フィルム2の表面にICチップ3及びアンテナ線4,4・・が同心円状に間隔Dで形成されており、アンテナ線4,4・・は、リード線5により、ICチップ3に電気的に接続されている。
図2に示した本発明に用いるカッターの一例においては、全体として6で示すカッターは、オーバーキャップの頂壁パネル21から下方に延び、水平方向断面が略菱形であり、側面が軸方向と平行な平面6a1〜6a4から成る上部6a及び側面が軸方向に対して傾斜する斜面6b1〜6b4から成る略角錐部分6bから成っている。カッターの上部6aの平面6a1〜6a4の隣合う平面の境界線のうち、図2(A)に示す容器蓋の開栓に伴うカッターの進行方向Rと直交する方向の両方の境界線に、切断刃7a及び7bが形成されている。またカッターの略角錐部分6bの斜面6b1〜6b4のそれぞれの境界線には、切断刃8a,8b,8c,8dが形成され、これらの切断刃8がカッター下端で合流して鋭利な先端6cを形成し、ICタグへの突き刺しが容易になる。
インナーキャップ10は、図3から明らかなように、頂板11と、頂板周縁から降下している筒状壁12とを有しており、筒状壁12の内面には、螺条13が設けられている。即ち、この螺条13と容器口部の外面の螺条との螺子係合により、インナーキャップ10は、容器口部に固定することができる。
インナーキャップ10の頂板11の上面には、その中心部分に、後述するオーバーキャップの突起を受け入れ可能な環状凹部14aが形成されたICタグ取り付け領域14が形成されており、図示していないが、ICタグ取り付け領域14上面には環状凹部14aを覆うようにICタグを取り付けることができる。ICタグは、頂板11上に接着剤或いはヒートシール等によって載置されていてもよいが、頂板11に嵌め込まれていてもよい。
更にICタグ取り付け領域14よりも外側であって、筒状壁12より内側の位置には、後述するオーバーキャップのスプリングタブの先端を係合可能な係合部16,16・・・が形成されている。
またスカート22の下端には、弱化部23を介してストッパーバンド24がスカート22と一体に成形されており、このストッパーバンド24の内面には、複数個の係止部25,25・・・が均等に形成されている。図6に示されるように、このようにストッパーバンド24の内面に後述する容器係止部材50に形成された位置決め用リブ54の上面と係止する係止部25,25・・・を形成することにより、オーバーキャップ20がインナーキャップ10を完全に覆い、インナーキャップは外部から触ることができないことから、インナーキャップ10に何らかの操作を加え、複合容器蓋全体を容器口部から取外せる可能性がなく、内容物の入れ替え後に再び複合容器蓋を再シールして販売するような不正使用を確実に防止することができる。尚、ストッパーバンド24の下端が、筒状壁12の下端より下方に位置している方が、不正使用の防止には有効である。
尚、ストッパーバンド24には、図4(B)及び図5(B)に示されるように、弱化部23を破断するための摘み部24a、及び摘み部24aの付け根近傍には、弱化部23に連結する弱化部24bが形成されている。
また突起部15及び凸部28がいずれも垂直面15c,28bを有していることから、オーバーキャップ20を回転させると、突起部15及び凸部28は確実に係合することから、インナーキャップ10をオーバーキャップ20と共に確実回転させることが可能となる。
尚、オーバーキャップ20のスカート22の外面には、オーバーキャップ20の回転を容易にするためのローレット29が形成されている。
またこの係止突部30は、上面に係止面及び下面に下方に行くに従ってオーバーキャップの内径が増加するテーパ面を有することにより、オーバーキャップ20の上方への移動を規制すると共に、オーバーキャップの降下を容易にすることが可能となる。
また閉栓状態では、インナーキャップの頂板上面とオーバーキャップの頂壁パネルの下面との間に、突起26がICタグに当接することがない間隔が保持されるように、ストッパーバンド24の下端と容器係止部材50に形成された位置決め用リブ54の係止により、オーバーキャップ20のインナーキャップ10に対する下限位置が制御され、スプリングタブ27による弾性力と、オーバーキャップ20の係止突部30とインナーキャップ10の上段突条18aの係合によって、オーバーキャップ20とインナーキャップ10のがたつきを防止すると共にオーバーキャップ20の上方への移動を規制する。
この容器係止部材50,50は、円形の天面51と天面51の周縁部から垂下する側壁52とからなり、側壁52の外面にはインナーキャップ10の筒状壁10が螺子係合するように螺条53が形成され、容器係止部材50は天面51の中心を通り軸方向に延びる平面により切り離された2部材から形成されている。
また容器係止部材50,50の下方外面には、オーバーキャップ20のストッパーバンド24が切り離される前は、ストッパーバンド24と係止する位置決め用リブ54が形成されている。
既存のキャップが装着されている容器口部40に、これを取り囲むように、既存のキャップが装着された容器口部40に対応する外面を有する容器係止部材50,50を嵌め込む。この時、容器口部に巻き締められたキャップの裾部に係止するように側壁52の内面下方には内方に突出する係合突部55が形成されている。この状態で、前述したインナーキャップ10とオーバーキャップ20からなる複合容器蓋を装着する(図6の状態)。
またオーバーキャップ20を上方から押圧すると、前述したとおり、突起部15及び凸部28は、いずれもその先端が鋭角をなしていると共に傾斜面を有していることから、突起部15及び凸部28が同じ位置になり、ぶつかった場合にも、凸部28が突起部15の傾斜面をスムーズに移動して、オーバーキャップ20はスムーズに下降するため、オーバーキャップ20の係止突部30の全体が下段突条18bをスムーズに乗り越える。
また図に示した具体例においては、オーバーキャップの凸部を頂壁パネル下面周縁の一部の円弧に設けていたが、逆にインナーキャップの突起部を筒状壁上端の一部の円弧に設けてもよいし、或いは凸部及び突起部を全周に設けても勿論よい。
更に、図に示したICタグのアンテナ線は同心円状に4つ配置されていたが、隣合うアンテナ線が一定の間隔Dを有して配列されている限りこれに限定されず、アンテナ線が2本平行に並んだ矩形状のもの等、種々の形態を採用することができる。尚、この場合オーバーキャップの旋回に伴うカッターの移動位置上に、アンテナ線或いは隣合うアンテナ線の間が配置されるようにすることはいうまでもない。
更に、図に示した具体例においては、オーバーキャップがインナーキャップを完全に覆っており、外部からインナーキャップを視認できなかったが、これに限定されるものではなく、例えば、インナーキャップの筒状壁の下端に弱化部を介してタンパーエビデントバントを形成し、このタンパーエビデントバンドを容器口部と係合させることによって、インナーキャップの開封履歴を示すことが可能になり、品質保証機能は確保される。
これにより、インナーキャップが一旦容器口部から取り外されて容器が開封されると、インナーキャップに設けられているICタグ中の開封検出用アンテナ回路が破断するが、ICチップやアンテナ線及びリード線は破壊されていないため、外部読み取り装置によってICチップに入力されている情報を読み取ることができ、この情報の中には、開封検出用アンテナ回路が破断されているという情報も含まれる。
従って、インナーキャップにオーバーキャップが被せられたまま、容器口部に装着してリシールされていた場合にも、一般の需要者は、例えば携帯電話などを用いてICチップの情報を読み取ることにより、開封されたことの事実を正確に読み取り、認識することができる。或いは、アンテナ線やリード線或いは開封検出用アンテナ回路等が破断されて、一般需要者がICタグの情報を読み取ることができない場合に、開封されたことの事実を正確に認識することができる。このことから、本発明の複合容器蓋は、いたずら防止機能に優れ、また内容物入れ替えなどの不正使用も、開封事実を認識することにより有効に防止することができる。
尚、上記のICチップは、一般に、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂などの電気絶縁性の硬化樹脂等により、封止されて保護されている。
また、開封検出用アンテナ回路は、これが切断したときの抵抗変化によりICチップでの電圧変化などをもたらすものであればよい。
上記のようなアンテナ線や開封検出用アンテナ回路、及びこれらをICチップに接続するリード線は、通常、アルミニウム、銅、銀、金などの低抵抗金属の薄膜(厚みが5乃至50μm程度)からなる。
また、図1では、樹脂フィルムは円板形状を有しているが、その取り付け形態やアンテナ線の破断位置などに応じて適当な形状を有していればよく、円形である必要はない。
またアンテナ線の配列に間隔がある場合であっても、確実にアンテナ線の切断ができるため、市販のICタグを使用することができ、経済性の点でも優れ、高級品に限定されずに使用することを可能にする。
Claims (4)
- 螺子係合により容器の口部に設けられるインナーキャップ、該インナーキャップに被せて設けられるオーバーキャップ、及びICタグからなる複合容器蓋において、
前記インナーキャップは、頂板と、該頂板周縁から垂下し且つ内面に容器の口部外面と螺子係合する螺条を備えた筒状壁とから成り、前記頂板上面には、アンテナ回路を有するICタグが取り付けられており、
前記オーバーキャップは、頂壁パネルと、該頂壁パネル周縁から垂下したスカートから成り、前記頂壁パネル下面には、前記ICタグのアンテナ回路を破断するためのカッターとなる先端が鋭利な突起が形成されており、
前記ICタグは、少なくともICチップ及び一定間隔の幅で隣合う複数列のアンテナ線を備えた樹脂フィルムから成り、
前記オーバーキャップの先端が鋭利な突起は、少なくとも前記隣合うアンテナ線の配列方向と直交する方向の両端部に切断刃を有すると共に、該両端部の切断刃間の最大幅Wが前記隣合うアンテナ線の間隔と2本分のアンテナ線の幅の合計よりも大きいことを特徴とする複合容器蓋。 - 前記ICタグのアンテナ線が、同心円状に配列している請求項1記載の複合容器蓋。
- 前記オーバーキャップの頂壁パネル下面に、先端が鋭利な突起が等間隔に複数個形成されている請求項1又は2記載の複合容器蓋。
- 前記インナーキャップの上面の周縁部には、複数個の突起部が形成されていると共に、前記オーバーキャップの頂壁パネル下面の周縁部には、前記複数個の突起部と係合可能な凸部が複数個形成されており、
前記オーバーキャップの頂壁パネル下面には、オーバーキャップの閉栓方向且つ下方に垂下する少なくとも1個のスプリングタブが形成されていると共に、前記インナーキャップの頂板上面には、オーバーキャップを閉栓方向に回転させたときに、前記スプリングタブの先端と係合可能な係合部が形成されており、
前記オーバーキャップのスカート下端には、開栓に際してスカートから切り離し可能なストッパーバンドが形成されており、
前記オーバーキャップのスカートの内面には、係止突部が形成されていると共に、前記インナーキャップの筒状壁外面には、上下2段の周方向に延びる突条が形成されており、前記ストッパーバンドの切り離し前は、前記係止突部の係止面が上段突条の下面で係止することによりストッパーバンドの上昇が抑制されており、
前記ストッパーバンドが切り離され、前記オーバーキャップを下方に降下させることにより、前記突起がICタグを破壊すると共に、前記インナーキャップの突起部とオーバーキャップの凸部が互いに係合して、オーバーキャップによるインナーキャップの開栓方向への回転が可能になると同時に、前記係止突部の係止面が下段突条の下面と係合することによりオーバーキャップの上昇が規制され、オーバーキャップ及びインナーキャップが一体に容器口部から取外すことが可能な請求項1〜3の何れかに記載の複合容器蓋。
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