JP6096140B2 - レーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法 - Google Patents

レーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬化して弾性体を与えるレーザー光照射付加硬化型シリコーンゴム組成物及びその硬化方法に関する。
白金化合物を硬化触媒としたシリコーンゴム組成物は、その優れた硬化性から様々な用途に使用されている。従来の付加硬化型シリコーンゴム組成物は、良好に硬化させる際に加熱を必要とし、その温度は一般的に120℃以上である。この条件では温度条件を管理した装置の導入、維持管理などが発生する。また温度を一定に保つためにエネルギーも必要であり、この加熱に必要なエネルギーを削減することが求められている。
一方、加熱を必要としない硬化形態として、1液及び2液タイプの湿気硬化型、紫外線硬化型、また、2液タイプの付加硬化型などが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、湿気硬化型材料は、硬化にかかる時間が非常に長いという問題がある。また、紫外線硬化型材料は、硬化は短時間で終了するものの、紫外線を吸収する性質をもつ成分との併用は不可能であるため、色調などにも制約が生ずる場合がある。さらに、2液タイプの付加硬化型材料は無加熱で比較的速やかに硬化が可能であるが、硬化性を重視すると、作業可能時間が短くなる場合がある。
特開2013−95905号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、作業可能時間を確保しつつ、迅速に、すなわち、数秒から数十秒で硬化を達成することができるシリコーンゴム組成物及びその硬化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)平均組成式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7≦a≦2.1、bは0.001≦b≦1.0を満たす数であり、a+bは0.8≦a+b≦3.0を満たす数である)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の全ケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5モル以上5.0モル以下となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、及び
(D)光吸収性成分:(A)成分100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下、
を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物であって、レーザー光の照射により硬化するものであることを特徴とするレーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を提供する。
このようなレーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物であれば、レーザー光の照射により、作業可能時間を確保しつつ、迅速に、すなわち、数秒から数十秒で硬化物を得ることができる。
また、(D)成分は、銅、ビスマス、スズ、アルミニウム、亜鉛、銀、チタン、アンチモン、マンガン、鉄、ニッケル及びクロムのうち1種以上の金属の酸化物、水酸化物、硫化物、硫酸塩ならびにリン酸塩、カーボンブラック、黒色含有塗料、ならびにレーザー光吸収性の染料及び顔料からなる群から選ばれる1種以上の光吸収性化合物であることが好ましい。
このような光吸収性成分であれば、特にレーザー光吸収性が高いため、より迅速に加熱硬化することができる。
さらに本発明は、(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)平均組成式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7≦a≦2.1、bは0.001≦b≦1.0を満たす数であり、a+bは0.8≦a+b≦3.0を満たす数である)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の全ケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5モル以上5.0モル以下となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、及び
(D)光吸収性成分:(A)成分100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下、
を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を、レーザー光の照射により硬化させることを特徴とするレーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法を提供する。
このような硬化方法であれば、レーザー光の照射により、作業可能時間を確保しつつ、迅速に、すなわち、数秒から数十秒で硬化を達成することができる。さらに、従来の付加硬化型シリコーンゴム組成物を硬化させる際に必要としていた加熱炉等の熱源を使用する必要がなくなり、熱エネルギーの節約、CO排出量の削減にも寄与することができる。
また、レーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対して、レーザー光を直接または光透過性材料を介して照射し、その吸収による加熱で硬化させる硬化方法が好ましい。
このような硬化方法であれば、レーザー光の吸収に伴う発熱により、より迅速に硬化する付加型シリコーンゴム組成物を得ることができる。
本発明では、付加硬化型シリコーンゴム組成物に、光吸収性成分を配合することにより、レーザー光の吸収を可能にし、吸収に伴う発熱により、迅速に硬化する付加型シリコーンゴム組成物が得られる。また、従来の付加硬化型シリコーンゴム組成物を硬化させる際に必要としていた加熱炉等の熱源を使用する必要がなくなり、熱エネルギーの節約、CO排出量の削減にも寄与することができる。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記に示す(A)成分〜(D)成分を配合してなる付加硬化型シリコーンゴム組成物が、作業可能時間を確保しつつ、レーザー光の照射により、迅速に硬化させることが可能であることを見出し、発明をなすに至った。
本発明に用いられるレーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物は、下記(A)成分から(D)成分を含有するものである。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)平均組成式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7≦a≦2.1、bは0.001≦b≦1.0を満たす数であり、a+bは0.8≦a+b≦3.0を満たす数である)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の全ケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5モル以上5.0モル以下となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、
(D)光吸収性成分:(A)成分100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下。
また、本発明では、必要に応じて、
(E)接着性付与成分:(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1質量部以上を含有させてもよい。
以下、上記組成物の各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、「Me」はメチル基を表し、「Vi」はビニル基を表す。
<(A)成分>
(A)成分は、組成物の硬化後にゴム弾性をもたらすための成分である。(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個有し、25℃における粘度が100,000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは10,000mPa・s以下の、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、基本的に直鎖状の分子構造を有するオルガノポリシロキサンである。粘度が100,000mPa・s以下であれば、組成物の粘度が過度に上昇せず、液状シリコーンゴム材料としての作業性が向上する。
なお、本発明において、粘度は回転粘度計により測定した値である(以下、同じ)。
上記ケイ素原子に結合したアルケニル基は、炭素原子数が、通常、2〜8、好ましくは2〜4のものである。その具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。
このケイ素原子に結合したアルケニル基は、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子中において、分子鎖末端及び分子鎖非末端(即ち、分子鎖側鎖)のいずれかに存在しても、あるいはこれらの両方に存在してもよいが、少なくとも分子鎖両末端に存在することが好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサン分子中において、アルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基は、脂肪族不飽和結合を有しないものであれば特に限定されず、例えば、非置換又は置換の、炭素原子数が、通常、1〜12、好ましくは1〜10の一価炭化水素基である。この非置換又は置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部が塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換された、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記平均組成式(2)で表される。
SiO(4−c−d)/2 (2)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Rは独立にアルケニル基であり、cは1.9〜2.1の数、dは0.005〜1.0の数であり、c+dは1.95〜3.0を満たす。)
上記平均組成式(2)中、Rで表される脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基は、アルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基として例示したものと同種のものである。また、Rで表されるアルケニル基は、ケイ素原子に結合したアルケニル基として例示したものと同種のものである。
cは1.95〜2.00の数であることが好ましく、dは0.01〜0.5の数であることが好ましく、c+dは1.98〜2.5を満たすことが好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(3)〜(9)で表されるもの等が例示される。
ViR SiO(R SiO)SiR Vi (3)
ViR SiO(RViSiO)(R SiO)SiR Vi (4)
ViSiO(R SiO)SiRVi (5)
ViSiO(R SiO)SiVi (6)
ViSiO(RViSiO)(R SiO)SiRVi (7)
ViSiO(RViSiO)(R SiO)SiVi (8)
SiO(RViSiO)(R SiO)SiR (9)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、e、f、gは0又は1以上の整数であり、好ましくは10≦e≦10,000、より好ましくは50≦e≦2,000を満たす整数である。また、好ましくは10≦f+g≦10,000、より好ましくは50≦f+g≦2,000であり、かつ0≦f/(f+g)≦0.20を満たす整数である。)
上記一般式(3)〜(9)中、Rで表される非置換又は置換の1価炭化水素基は、炭素原子数が、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のものである。その具体例としては、好ましくはアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基として例示した中でアリール基、アラルキル基以外のものと同種のものが挙げられるが、硬化物の耐光性及び耐熱性が優れるので、より好ましくはアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
(A)成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
<(B)成分>
(B)成分は、(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤として働くと共に、組成物を希釈して使用用途に適した粘度にする反応性希釈剤としても働く成分である。(B)成分は、下記平均組成式(1)で表され、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を1分子中に2個以上、好ましくは2〜200個、より好ましくは3〜100個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7≦a≦2.1、bは0.001≦b≦1.0を満たす数であり、a+bは0.8≦a+b≦3.0を満たす数である。)
上記平均組成式(1)中、Rで表される脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基は、(A)成分においてアルケニル基以外のケイ素原子に結合した有機基として例示したものと同種のものを挙げることができる。
aは1.0〜2.0、bは0.01〜1.0、a+bは1.1〜2.6の数であることが好ましい。
(B)成分中、ケイ素原子に結合した水素原子の含有量は、(A)成分1g当たり、0.001〜0.02molの範囲であることが好ましく、0.002〜0.017molの範囲であることがより好ましい。
一分子中に2個以上、好ましくは3個以上含有されるケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は直鎖状、環状、分岐状、及び三次元網状構造のいずれであってもよいが、一分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、好ましくは2〜400個、より好ましくは3〜200個、さらに好ましくは4〜100個程度のものである。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が、好ましくは1,000mPa・s以下(通常、1〜1,000mPa・s)、より好ましくは5〜200mPa・sである。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体等が挙げられるほか、下記一般式(10),(11):
SiO[SiR(H)O]SiR (10)
環状の[SiR(H)O] (11)
(式中、Rは前記のとおりであり、tは2〜30、好ましくは2〜25の整数であり、uは4〜8の整数である)
で表されるもの、下記一般式:
Figure 0006096140
(式中、Rは前記のとおりであり、hは5〜40の整数、iは5〜20の整数、jは2〜30の整数である)
で表されるもの等が例示される。
(B)成分の具体例としては、下記一般式(12):
MeSiO[SiMe(H)O]SiMe (12)
(式中、tは前記のとおりである)
で表されるもの、下記平均構造式で表されるもの等が挙げられる。
Figure 0006096140
Figure 0006096140
(B)成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分中の全ケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5モルから5.0モルとなる量であることが好ましく、より好ましくは0.7モルから3.0モルとなる量である。かかる配合量が0.5モルから5.0モルとなる量を満たさない場合には、架橋のバランスが不適切なものとなる。
この(B)成分の配合量が、更に、組成物中の全ケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.6モルから3.0モルとなる量であることが好ましく、より好ましくは0.7モルから2.5モルとなる量である。かかる範囲を満たすと、使用に適した粘度範囲の組成物で、かつ、目的とする高硬度の硬化物を得ることができる。
<(C)成分>
(C)成分である白金族金属系触媒は、前記(A)成分及び前記(B)成分のヒドロシリル化反応を進行及び促進させるための成分である。
白金族金属系触媒は特に限定されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属;塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物等の白金化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられるが、前記(A)成分及び前記(B)成分との相溶性が良好であり、クロル不純物をほとんど含有しないので、塩化白金酸をシリコーン変性したものが好ましい。
(C)成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(C)成分の配合量は、触媒としての有効量であればよいが、(A)成分、(B)成分の合計に対して、白金族金属元素の質量換算で好ましくは3〜100ppm、より好ましくは5〜40ppmである。この配合量が適切であると、ヒドロシリル化反応をより効果的に促進させることができる。
<(D)成分>
(D)光吸収性成分は、レーザー光を吸収することで、組成物を加熱するための成分である。具体的には、銅、ビスマス、スズ、アルミニウム、亜鉛、銀、チタン、アンチモン、マンガン、鉄、ニッケル及びクロムなどの金属の酸化物、水酸化物、硫化物、硫酸塩及びリン酸塩、カーボンブラック、黒色含有塗料、ならびにレーザー光吸収性の染料及び顔料などが例示される。特に適しているのは、カーボンブラック、三酸化アンチモン、二酸化スズ、チタン酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、リン酸銅、ならびにアンスラキノン染料及びアゾ染料である。
このような光吸収性成分であれば、特にレーザー光吸収性が高いため、その吸収による加熱でより迅速に硬化することができる。但し、本発明の光吸収性成分は、レーザー光を吸収して、組成物を加熱することができればよく、上記に例示したものに限定されない。
求める効果により(D)の添加量は異なるが、(A)成分100質量部に対して、0.5〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部が添加される。(A)成分100質量部に対する(D)成分が、0.5質量部未満の場合、レーザー光の吸収が不十分となる。また、20質量部も添加されれば十分で、これより多い場合、過剰吸収により、表面のみの硬化や、硬化物の特性の劣化が引き起こされる。
<その他の成分>
本発明の組成物には目的に応じて、その他の添加物等を配合することができる。例えば、本発明の組成物の硬化物の接着性を向上させるため、(E)接着性付与成分を配合することが好ましい。接着性付与成分は、エポキシ基、アルコシキシシリル基、カルボニル基及びフェニル基から選択される1種以上の官能基を有するシラン又はシロキサンからなる有機ケイ素化合物で、特に本発明による組成物に金属や有機樹脂に対する自己接着性を与える成分とすることが好ましい。
また、添加量としては、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。さらには、ゴム弾性、接着性を考慮すると、0.5〜10質量部であることが好ましい。
(E)接着性付与成分として具体的には、下記のものが挙げられる。
Figure 0006096140
Figure 0006096140
また、他にも(F)硬化制御剤なども添加できる。本発明の組成物に添加できる配合物は、上記に挙げたものに限定されない。
本発明の組成物は、通常の硬化性シリコーンゴム組成物と同様に、2液に分け、使用時にこの2液を混合して硬化させる所謂二液型の組成物でもよいが、組成物を使用する際の作業性等の点から一液型とすることが好ましい。
このようにして得られる本発明の組成物は、使用条件に合わせて、適宜、流動性のあるものや、チキソトロピック性のあるものなどに調製することが可能である。
<付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法>
本発明の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法は、
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(B)平均組成式(1)
SiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7≦a≦2.1、bは0.001≦b≦1.0を満たす数であり、a+bは0.8≦a+b≦3.0を満たす数である)
で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の全ケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5モル以上5.0モル以下となる量、
(C)白金族金属系触媒:有効量、及び
(D)光吸収性成分:(A)成分100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下、
を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を、レーザー光の照射により硬化させることを特徴とするレーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法である。
この場合、レーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対して、レーザー光を直接または光透過性材料を介して照射し、その吸収による加熱で硬化させることが好ましい。
このような硬化方法であれば、作業可能時間を確保しつつ、迅速に、すなわち、数秒から数十秒で硬化を達成することができる。さらに、従来の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化させる際に必要としていた加熱炉等の熱源を使用する必要がなくなり、熱エネルギーの節約、CO排出量の削減にも寄与することができる。
本発明の組成物を硬化させるために照射するレーザー光は、波長、出力、直接的照射または間接的照射の照射方法、その組成物の量などに応じて任意に変更することができる。好ましくは近赤外線レーザー光である。また、かかるレーザー光の出力も任意に変更することができるが、好ましくは0.5〜1.2Wである。なお、レーザー光の照射には、市販のレーザーヘッドを使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記原料を使用し、表1に示す組成の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。
<原料>
(A)直鎖状オルガノポリシロキサン(ポリシロキサン)
下記式で表されるビニル基含有の直鎖状オルガノポリシロキサン
Figure 0006096140
(式中、nは該ポリシロキサンの25℃における粘度が1000cStとなるような数である。)
(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(ハイドロシロキサン)
下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 0006096140
(C)白金族金属触媒
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金化合物)
白金元素含有量0.5重量%
(D)光吸収性成分
カーボンブラック(電気化学工業株式会社製DENKABLACK HS−100)
(E)接着性付与剤
下記式で表される接着性付与剤
(E−1)
Figure 0006096140
(E−2)
Figure 0006096140
(式中、Meはメチル基を示す。)
(F)硬化制御剤
エチニルシクロヘキサノール
Figure 0006096140
表1の実施例1〜4及び比較例1〜4の組成物を用いて硬化性を評価した。また、比較例5として縮合反応硬化型シリコーンゴム組成物である信越化学工業株式会社製KE−3498を用いた。評価結果を表2に示す。
ガラス板上にこれらの実施例1〜4及び比較例1〜4の組成物を、厚さ0.5mmで塗布した。実施例1〜4及び比較例1,2の組成物に対しては、レーザー光を15秒照射した後の硬化性を検証した。比較例3の組成物は23℃で30分静置し、比較例4の組成物は120℃で1時間加熱し、比較例5の組成物は23℃で一週間静置し、それぞれその後の硬化性を検証した。
本例で使用したレーザー光照射には、浜松ホトニクス株式会社製LD HEATER L10060−11122を用いた。本例に使用したレーザー光は、波長940nm、レーザー出力0.8Wであった。
Figure 0006096140
表2の通り、実施例1〜4は、レーザー光を15秒間照射することにより、作業可能時間を確保しつつ、迅速に硬化を達成した。比較例1は、レーザー光が照射された側の表面のみ硬化し、深部は未硬化となった。比較例2は光吸収性成分を含んでいないため、レーザー光を照射しても硬化を達成できなかった。また、比較例3は硬化を達成したが、作業可能時間が確保できないという結果になった。比較例4及び比較例5では、従来通りそれぞれ硬化を達成したが、達成するまでに長い時間がかかるほか、温度条件を管理する装置や維持管理なども要した。
上記の結果から、本発明は作業時間を確保しつつ、迅速に数秒から数十秒で硬化を達成することができるシリコーンゴム組成物及びその硬化方法を提供する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (2)

  1. (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
    (B)平均組成式(1)
    SiO(4−a−b)/2 (1)
    (式中、Rは独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7≦a≦2.1、bは0.001≦b≦1.0を満たす数であり、a+bは0.8≦a+b≦3.0を満たす数である)
    で表され、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中の全ケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5モル以上5.0モル以下となる量、
    (C)白金族金属系触媒:有効量、及び
    (D)光吸収性成分:(A)成分100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下、
    を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を、レーザー光の照射により硬化させることを特徴とするレーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法。
  2. 前記レーザー光照射付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に対して、前記レーザー光を直接または光透過性材料を介して照射し、その吸収による加熱で硬化させることを特徴とする請求項に記載の硬化方法。
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