JP6095409B2 - 高炉セメントコンクリートの養生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉セメントコンクリートの養生方法に関するものである。
一般に、コンクリート養生の目的は、打設済の所定期間、コンクリートの表面の湿度及び温度を適切な状態に保つとともに、有害な力が作用しないように、外気条件である外気温度による寒暖差、日射、風等からコンクリート面を保護するものであり、コンクリートの硬化作用を十分に発揮させて、コンクリートの表面の品質を向上させる上で極めて重要である。
通常、コンクリートは、練上り時にセメントの水和反応に対して十分な水分を保有しているが、打ち込まれたコンクリートの露出面から徐々に水分が蒸発し、水和反応に必要な水が不足する場合がある。又、コンクリートの強度、耐久性、水密性等の品質を高めるためには、できる限り長い湿潤状態を保つ必要がある。水和反応に必要な湿潤状態を維持する方法として、例えば、図1に示すように、コンクリート打設翌日以降の、打設済コンクリート1のコンクリート表面10に散水機器2によって養生水20を継続的に散水するか、或いは、初期の散水後に、図2に示す通り、養生シート3で保水し、更に、その後、必要に応じて追加的な散水を行うことにより必要な水分量を維持する方法が一般的に採用されている。尚、本明細書における「打設済コンクリート」とは、コンクリートが硬化し始める始発の時点以降のコンクリートのことを言うものとする。尚、始発の時点とは、JIS A1147 コンクリートの凝結時間試験方法で、貫入抵抗値が3.5N/mmとなる時点のことを言う。
しかしながら、頻繁に追加的な散水を行う上記方法では、水の管理のための人件費等が高騰し、又、散水機器2等の散水設備の保守管理費用も嵩むためコスト面で問題があった。特に、例えば、高炉スラグ等、より多くの水分の供給を必要とするコンクリートを用いる場合には、上記のような散水に要するコストは更に顕著な問題となる。
そのような問題を解決するための手段として、コンクリート表面に特殊な凹凸シートを敷設しポンプを用いて水を循環することにより、シート敷設後も水を供給する養生方法が提案されている(特許文献1参照)。又、より大量の水分を安定的、且つ、持続的に供給するための養生方法として、図3に示す通り、打設済コンクリート1からなるスラブの周囲に貯水用の冠水外壁(土手)4を設置して、大量の養生水20を湛水させる冠水養生も一般に広く用いられている。(特許文献2参照)。
特開2011−202436号公報 特開平9−49323号公報
しかしながら、特許文献1に記載の養生方法は、特殊な凹凸シートやポンプが必要であるため、やはりコスト面で問題があり、汎用的に用いるのは困難な状況にある。又、特許文献2に記載の冠水養生方法を採用した場合には、養生前に大量の水を湛水させることを目的とする土手を、スラブ周囲に、養生のためだけに別途形成する必要がある。又、養生期間中に基準墨出しが行えないこと、養生期間中に硬化が進行中のコンクリートからなるスラブ上の軽微な作業が困難になること、養生水が下階に落下することにより工事現場環境が悪化すること等、養生期間中の他作業への悪影響による全体作業工程の作業効率低下が問題となる。
又、近年、高炉セメントコンクリートが、環境負荷低減に大きく寄与することから、RC造建築構造物への適用が期待されている。しかし、この高炉セメントコンクリートは、一般に広く用いられている普通ポルトランドセメントを用いたコンクリート(以下、「普通コンクリート」と言う)と比較して、水和反応の進行により多くの水分が必要なことが分かっている。
このため、高炉セメントコンクリートの養生方法としては、必要な水和反応を確実に進行させるために、上述の作業効率の低下というデメリットを甘受しつつ、大量の水分の保持を確実に行うことができる上述の各養生方法を選択せざるをえないというのが一般的な状況であった。
このため、汎用的に採用可能で、且つ、十分な保水量を保持することができる養生方法であって、更に、全体作業工程の作業効率低下を最小限に止めることができる高炉セメントコンクリートの養生方法が求められていた。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、十分な保水による確実な養生が可能となるとともに、冠水養生における問題点であった他作業への悪影響を排することもできる汎用的な高炉セメントコンクリートの養生方法を提供することにある。
ここで、従来は、コンクリートの養生において、所望の水和反応が進むために必要な水分の総量を予め算出するということは行われていなかった。養生の開始時において、経験値等により凡そ必要と推測される水分を散水し、その後の養生の過程で、必要に応じて追加の散水を行う方法とするか、或いは、そのような水分の不足が起こるおそれが高い場合等には、冠水養生方法を採用することによって、追加的な散水を不要とする方法とするか、いずれかの方法が採用されていた。
本発明者らは、打設済コンクリートの水和反応を完了させるのに必要な最低限の散水量である湿潤養生水総量を予め所与の算出方法によって算出し、少なくともそのように算出された湿潤養生水総量以上の水をコンクリート表面に散水してから、散水後のコンクリート表面に養生シートを速やかに敷設することにより、養生期間中に追加的な散水を行わなくとも、所望の程度にまでコンクリートの水和反応を進行するために必要十分な保水が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 高炉セメントコンクリートの養生方法であって、打設済コンクリートのコンクリート表面に散水する散水工程と、散水後の表面に養生シートを敷設して被覆する被覆工程と、を備え、前記散水工程において、前記打設済コンクリートの水和反応を完了させるのに必要な最低限の散水量である湿潤養生水総量を予め算出し、前記散水工程における散水量を、前記湿潤養生水総量以上、前記湿潤養生水総量×110%以下にすることにより、養生期間中の追加的な散水を不要としたことを特徴とするコンクリートの養生方法。
(1)の発明によれば、汎用的な設備のみによって実施可能であり、コスト面においても優れた方法でありながら、従来の冠水養生方法を採用した場合に問題となる作業効率の低下を回避することができ、且つ、冠水養生方法と同等の養生効果を達成することができるコンクリートの養生方法を提供することができる。
又、相対的に普通コンクリートよりも多量の養生水の供給が必要である高炉セメントコンクリートを材料として採用した場合であっても、コンクリート養生を、効率よく、且つ、安定的に実施することができる。又、高炉セメントコンクリートの採用に伴い、環境への影響を配慮しつつ、建築総コストの低減にも寄与することもできる。
(2) 前記湿潤養生水総量(L/m)を下記(式1)により算出する(1)に記載のコンクリートの養生方法。
(式1):湿潤養生水総量(W(L/m))
=養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W(L/m))
+養生開始時のコンクリートの吸水量(W(L/m))
+コンクリートの水和反応による水分の消費量(W(L/m))
ここで、(W(L/m))=コンクリート厚さ(m)×コンクリート1m当りの吸水量(L/m)であり、(W(L/m))=コンクリート厚さ(m)×コンクリート1m当りの水和反応による水分消費量(L/m)である。
(2)の発明によれば、(1)の発明を実施するために必要となる湿潤養生水総量を簡易且つ確実に算出することができ、(1)の発明の実施時における効果発現の安定性を更に高めることができる。
(3) 前記湿潤養生水総量(L/m)が、8.4L/m以下である(1)又は(2)に記載のコンクリートの養生方法。
(3)の発明によれば、本発明の養生方法の実施において、コスト面での優位性にかかる効果をより確実に享受することができる。
本発明によれば、安定的に養生を行うことができ、他作業への悪影響を最小限に抑え、且つ、汎用的に採用可能な、高炉セメントコンクリートの養生方法を提供することができる。
従来の養生方法の一例の説明に供する模式図である。 本発明の養生方法の説明に供する模式図である。 従来の冠水養生方法の説明に供する模式図である。 本発明の養生方法と従来の冠水養生方法との工程の比較対象図である。 一般的なコンクリートの吸水量の測定試験結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<コンクリート養生方法>
[全体工程概要]
本発明のコンクリート養生方法について、まずは、図1、図2及び図4を参照しながら、その全体工程の概要を説明する。本発明のコンクリート養生方法は、打設済コンクリート1のコンクリート表面10に散水(ST50)する散水工程(図1)と、散水後の表面に養生シート3を敷設(ST60)して被覆する被覆工程(図2)と、を備える養生方法である。
図4に示す通り、本発明のコンクリート養生方法においては、コンクリート打設(ST10)、天端均し押さえ(ST20)が行われた後、散水(ST50)に先行して、墨出し(ST30)の作業を行うことができる。そして、更に、散水(ST50)前に、予め散水量の算定(ST40)を行い、これにより算出された散水量に応じて最適量の散水(ST50)を行うものである。散水(ST50)後、速やかに養生シート敷設(ST60)を行い、養生を開始する(ST70)。養生期間経過後は、既に墨出し(ST30)作業を終えているため、速やかに、養生を終えたコンクリート(スラブ)上での次工程作業(ST80)に移行することができる。
尚、本発明のコンクリート養生方法を採用した場合には、養生期間中に、硬化のための水和反応が完了前のコンクリート(スラブ)上において、軽微な次工程作業(ST70A)を養生の進行と平行して行うことができる。これにより全体工程の工期短縮が可能となる。
[散水工程]
散水工程は、打設済コンクリート1のコンクリート表面10に、コンクリートの水和反応を最終的に所望の程度にまで進行させるために必要な養生水20を散水(ST50)する工程である。散水を行う散水機器2としては、従来公知のハイウォシャー、スプリンクラー等、汎用的な散水機器を用いることができる。本発明のコンクリート養生方法においては、以下に詳細を説明する通り、冠水養生程の大量の養生水を必要とせず、又、養生期間中の追加の散水も不要であるため、比較的簡易で低廉な汎用品であっても、必要十分な散水を行うことができる。
(散水量の算定)
本発明の養生方法においては、打設済コンクリート1の水和反応を完了させるのに必要な最低限の散水量である湿潤養生水総量を、下記の通り、所定の算出方法で、散水前に予め算出する。尚、「水和反応を完了させるのに必要な最低限の散水量」とは、より具体的には、コンクリートの硬化のための水和反応を最終的に所望の程度にまで進行させるために必要な最低限の散水量のことを言う。
湿潤養生水総量は、「養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W(L/m))」、「養生開始時のコンクリートの吸水量(W(L/m))」、「コンクリートの水和反応による水分の消費量(W(L/m))」の合計量として算出する。散水量を少なくとも、このようにして算出した水量以上とすることで、シート敷設後の水分供給が不要となる点に本発明の養生方法の特徴がある。
具体的には、湿潤養生水総量は、下記(式1)により算出する。
(式1):湿潤養生水総量(W(L/m))
=養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W(L/m))
+養生開始時のコンクリートの吸水量(W(L/m))
+コンクリートの水和反応による水分の消費量(W(L/m))
養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W))とは、散水された養生水のうち、養生期間中に、養生シート越しに蒸発する水分の総量のことを言うものとする。具体的な数値は、使用する養生シートの種類等の個別の要件より、適宜算定することができる。
養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W)は、各実施現場毎の固有の諸条件によって異なる。但し、具体的な一例として、養生期間を7日間とした場合において、養生シートが、ポリエチレンフィルム(厚さ0.1〜0.5mm程度)の場合の水分の逸散量(W)は、2.5(L/m)程度、又、養生シートが、ウレタンフォーム、不織布などの複層構造で厚さ10mm程度である一般的な養生マットの場合には、水分の逸散量(W)は、6.0(L/m)程度であることが、確認されている。
養生開始時のコンクリートの吸水量(W))とは、散水された養生水のうち、散水時に、コンクリートの空隙に吸収される水分の総量のことを言うものとする。具体的には、(W(L/m))=コンクリート厚さ(m)×コンクリート1m当りの吸水量(L/m)として、算出することができる。尚、コンクリート厚さとは、養生の対象となる打設済コンクリートで形成されるいわゆるスラブ等、板状の立体物全般の厚さ方向の長さのことを言うものとする。
養生開始時のコンクリートの吸水量(W)についても、上記の養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W)と同様、具体的な一例として、普通コンクリートを養生の対象とした場合に、コンクリート1mに対し、12.4L程度の水分を吸水することが、確認されている。
コンクリートの水和反応による水分の消費量(W)とは、打設済コンクリート中の結合材成分が水和反応により消費する水分の総量のことを言うものとする。具体的には、(W(L/m))=コンクリート厚さ(m)×コンクリート1m当りの水和反応による水分消費量(L/m)として、算出することができる。
上記の養生開始時のコンクリートの吸水量は、普通コンクリートにおける実験結果から求めており、この実験結果はコンクリートの吸水量に加え、水和反応による水分の消費量も含んだ結果であると言える。しかしながら、高炉セメントは普通ポルトランドセメントに対して、水和反応に多くの水分を消費することが指摘されていることから、高炉セメントコンクリートの水和反応による水分の消費量(W)は、高炉セメントの水和反応による水分の消費量の差を加算する必要がある。コンクリートの水和反応による水分の消費量(W)は、この差を加算する項であり、既往の文献に示される値から、コンクリート1m当り8.1L程度であることが、確認されている。
以上、説明した通り、本発明のコンクリート養生方法においては、上記の具体的な一例として示した参考値を必要に応じて参照しつつ、各実施現場において、上記(式1)に基づいて算出した湿潤養生水総量以上湿潤養生水総量×110%以下の養生水を散水する。散水量を少なくとも所与の計算式に基づいて算出した湿潤養生水総量以上とすることによって、養生期間中の追加的散水を行うこともなく、コンクリートの水和反応を十分に進行させて、水和反応を完了させることができる。又、湿潤養生水総量×110%以下の散水量で足りるため、冠水養生方法を採用する必要はなく、冠水養生方法を採用した場合の工程上の上述のデメリットを回避することもできる。
尚、散水量の上限は、より具体的には、好ましくは、概ね8.4L/m程度以下である。普通コンクリート及び、後に詳細を説明する高炉セメントコンクリートにおいて、一般的な施工条件の下で、上記(式1)を適用して、湿潤養生水総量を算出した場合、十分に散水量を8.4L/m以下の範囲に設定することができる。散水量がこの範囲で足りるため、上記同様、冠水養生方法を採用した場合のデメリットをより確実に回避することができる。
[被覆工程]
被覆工程は、養生水20の散逸量を低減させるために、散水後の表面に、養生シート3を敷設する工程である。
(養生シート)
養生シート3としては、特に限定なく従来公知の汎用的な養生シートを用いることができる。好ましく用いることができる養生シートの具体的な例として、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、塩化ビニルシート、汎用的な養生マット等を挙げることができる。
[高炉セメントコンクリートの養生方法]
本発明のコンクリート養生方法は、高炉セメントコンクリートの養生方法として、特に好ましく用いることができる。
高炉セメントコンクリートは、環境負荷低減に大きく寄与することから、RC造建築構造物への適用が期待されている。しかし、高炉セメントコンクリートは、普通コンクリートと比較して、中性化抵抗性や収縮ひび割れ抵抗性が劣るとされており、長期にわたり湿潤環境下となる地下躯体への適用に限定されている。高炉セメントコンクリートを上部躯体に適用するためには収縮ひび割れ抵抗性の向上が重要となる。最近の知見では、高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性は、普通コンクリートに比べ、特に高温時に低下する傾向が指摘されている。その大きな要因の一つとして、高炉セメントコンクリートは高温時に自己収縮ひずみが大きくなることが挙げられている。一方で、高炉セメントコンクリートは硬化初期の養生の影響を鋭敏に受けることが一般的に知られている。即ち、硬化初期に十分な水分供給を施すことができる本発明の養生方法を用いることで、高炉セメントコンクリートの収縮ひび割れ抵抗性の向上が可能となる。
(散水量の算定式の調整)
高炉セメントは、普通ポルトランドセメントに対して、水和反応時の結合水量は同じであるが、ゲル水が多く生成され、水和反応に多くの水分を消費することが分かっている。上記の養生開始時のコンクリートの吸水量は、普通コンクリートを対象にしているため、高炉コンクリートを養生する場合には、高炉セメントと普通ポルトランドセメントの水和反応による水分の消費量を適切に補正する必要がある。
ここで、高炉セメントと普通ポルトランドセメントの比を45:55と仮定し、高炉セメントと普通ポルトランドセメントについて結合水量とゲル水量を算定した。高炉スラグ60%まで、普通ポルトランドセメントは100%まで水和できると仮定すると、上記比率の高炉セメントは反応率82%まで水和できることになり、湿潤養生終了時に、その9割まで水和すると仮定すると、高炉セメントの反応率は74%となる。普通ポルトランドセメントについても同様に仮定すると、反応率は90%となる。この仮定条件にて算定した結果、高炉セメントの結合水量+ゲル水量は、普通ポルトランドセメントに対して、結合材と単位水量の容積の2.7%に相当する分の水量がより多い結果となった。この結果を受け、コンクリート1mあたりの高炉セメントと普通ポルトランドセメントの水和反応による水分の消費量の差を、結合材と単位水量の容積の関数として表現し、コンクリート厚さを乗じることで算定することができる。尚、結合材とは、「日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説JASS5,2009.2」に記載のある通り、セメント、及びセメントと高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどの水硬性無機質粉末の混合物の総称で、骨材を結合し、コンクリートの強度発現に寄与する粉状の物質のことを言う。又、単位水量とは、同記載の通り、フレッシュコンクリート1m中に含まれる水量のことを言う。ただし、骨材中の水量は含まないものとする。
具体的には、高炉セメントコンクリートの養生を、本発明の養生方法で行うためには、コンクリートの水和反応による水分の消費量(W)を算出する際に、上述の知見に基づき、算出式を以下の通りに修正することにより、高炉セメントコンクリートの水和反応による水分の消費量(WHA)を算出することができる。
高炉セメントコンクリート1m当りの水和反応による水分の消費量(WHA(L/m))=高炉セメントコンクリート厚さ(m)×{1000×結合材と単位水量の容積×2.7%}(L/m
以上の通り、本発明のコンクリート養生方法は、高炉セメントコンクリートの養生に特に好ましく用いることができる方法である。従来、高炉セメントコンクリートの養生には、養生水がより多く消費されるため、冠水養生、煩雑な追加の散水、或いは、特殊な機器を用いた養生方法等によらなければ、適切に養生を行うことが困難であった。しかし、本発明の養生方法によれば、高炉セメントコンクリートの養生においても、冠水養生とすることは不要であり、汎用的な設備のみを用いて、十分に水和反応を進行させて養生を行うことができるようになった。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。尚、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<試験例>
[養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W)の測定]
養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W)を測定するために、質量変化試験を行った。水密性の優れた直方体の容器(幅88mm×奥行き88mm×高さ76mm)に、水深3mm若しくは6mmの水を溜め、その水面上に水面を全て覆う態様で、各種の養生シートを敷設したものを各試験例の試験体とし、30℃、RH60%の環境下で静置した。試験開始から材齢7日まで、各試験体の重量変化を測定し、水分の逸散量を確認した。尚、養生シートとしては、表中に記載した各厚さのポリエチレンフィルム(試験例3〜8)、及び不織布などの複層構造で厚さ10mm程度の汎用的な養生マット(試験例9、10)を、それぞれ用いた。
表1に試験例の試験結果を示す。養生シートの有無が水分の散逸に与える影響は大きく、シート無しの試験例1、2に対して、各種養生シートを敷設した試験例3〜10は、水分逸散を低減する効果が高いことが確認された。一方、水深やシートの厚さの影響は小さく、材齢7日時点で、ポリエチレンフィルムの散逸量の平均値が、2.5(L/m)、養生シートの同平均値が6.0(L/m)であった。本発明のコンクリート養生方法を実施する際には、これらの平均値を、養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W)の参考値として必要に応じて参照することができる。
Figure 0006095409
[養生開始時のコンクリートの吸水量(W)の測定]
30種の普通コンクリートを対象に、吸水量試験を行った。100×100×400mmの試験体を作製し、材齢1日で脱型後、試験体重量を測定した。その後、水中養生に供し、材齢7日の時点で再度試験体重量を測定し、その差から吸水量を算定した。尚、「日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説JASS5,p.271,2009.2」には、湿潤養生の期間として、高炉セメントB種相当の湿潤養生期間は7日以上と定められているため、本試験例の養生期間も7日間とした。
図5に試験結果を示す。コンクリートの吸水量は4.2〜21.0L/mの範囲で分布しており、平均値は12.4L/mであった。本発明のコンクリート養生方法を実施する際には、この平均値を、養生開始時のコンクリートの吸水量(W)の参考値として必要に応じて参照することができる。
<実施例>
表2及び表3に記載の材料、成分比からなる高炉セメントコンクリートを用いて、本発明の養生方法による効果を確認するための試験を行った。
各実施例、比較例、参考例の試験体として、上記の高炉セメントコンクリートからなる模擬スラブを作成した。模擬スラブの形状は円柱状とし、直径は125mm、高さ(コンクリート厚さ)は、表3に記載の各コンクリート厚さ(mm)とした。
各試験体(模擬スラブ)は、コンクリート打設後、上面をコテ仕上げし気乾養生とし、冠水養生を行った参考例1〜5については、円柱天面の表面周囲に冠水可能な土手を形成した。
試験体作製後、比較例4〜6の試験体を除き、全て30℃の環境下で養生を行った。試験体打設から24時間の時点で表4に記載の各種養生を7日まで実施し、その後は上面のみ気乾養生とした。強度試験は材齢28日で実施した。尚、本試験での養生開始時における積算温度は40°DDとした。
各試験体の強度試験として、各試験体の圧縮強度を、下記の試験方法により測定した。各試験体の圧縮強度は、試験体形状により若干差異があるため、それぞれの形状で実施した水中養生28日強度に対する各養生28日強度の比として示した。圧縮強度の評価については、水中養生28日強度に対する各養生28日強度の比が1.0以上の強度を有する試験体を好ましい強度を有する試験体として評価した。結果を表4に示す。
[強度試験]
コンクリートの圧縮強度試験方法(JIS A 1108)により、各試験体の圧縮強度を測定した。
Figure 0006095409
Figure 0006095409
Figure 0006095409
表4から、本発明のコンクリート養生方法及び冠水養生によって養生を行った試験体については、好ましい強度を有するものとなっていることが分る。一方で、シートのみによる養生は養生を行なわない場合と同程度の強度発現であった。このことから、水分逸散を防ぐだけでは効果が足らず、水分を供給する養生が必要であることが分る。
以上より、本発明のコンクリート養生方法は、汎用的に実施可能でコスト面でも有利な方法でありながら、高炉セメントコンクリートの養生方法として、従来の冠水養生と同等の効果があることが確認された。
1 打設済コンクリート(スラブ)
10 コンクリート表面
2 散水機器
20 養生水
3 養生シート
4 冠水外壁(土手)
ST10 コンクリート打設
ST20 コンクリート天端均し押え
ST30 墨出し
ST40 散水量の算定
ST50 散水
ST60 養生シート敷設
ST70 養生開始(冠水養生開始)
ST70A スラブ上での軽微な次工程作業
ST80 スラブ上での次工程作業

Claims (3)

  1. 高炉セメントコンクリートの養生方法であって、
    打設済コンクリートのコンクリート表面に散水する散水工程と、
    散水後の表面に養生シートを敷設して被覆する被覆工程と、を備え、
    前記散水工程において、前記打設済コンクリートの硬化のための水和反応を最終的に所望の程度にまで進行させるために必要な最低限の散水量である湿潤養生水総量を予め算出し、
    前記散水工程における散水量を、前記湿潤養生水総量以上、前記湿潤養生水総量×110%以下の散水量とし、前記養生シートの敷設前に該散水量の水を全てコンクリート表面に散水することにより、前記散水工程完了後の全養生期間中における追加的な散水を不要としたことを特徴とするコンクリートの養生方法。
  2. 高炉セメントコンクリートの養生方法であって、
    打設済コンクリートのコンクリート表面に散水する散水工程と、
    散水後の表面に養生シートを敷設して被覆する被覆工程と、を備え、
    前記散水工程において、前記打設済コンクリートの水和反応を完了させるのに必要な最低限の散水量である湿潤養生水総量(L/m を、下記(式1)により予め算出し、
    前記散水工程における散水量を、前記湿潤養生水総量以上、前記湿潤養生水総量×110%以下の散水量とし、前記養生シートの敷設前に該散水量の水を全てコンクリート表面に散水することにより、前記散水工程完了後の全養生期間中における追加的な散水を不要としたことを特徴とするコンクリートの養生方法。
    (式1):湿潤養生水総量(W (L/m ))
    =養生期間中の養生シートからの水分の逸散量(W (L/m ))
    +養生開始時のコンクリートの吸水量(W (L/m ))
    +コンクリートの水和反応による水分の消費量(W (L/m ))
    ここで、(W (L/m ))=コンクリート厚さ(m)×コンクリート1m 当りの吸水量(L/m )であり、(W (L/m ))=コンクリート厚さ(m)×コンクリート1m 当りの水和反応による水分消費量(L/m )である。
  3. 前記湿潤養生水総量(L/m)が、8.4L/m以下である請求項1又は2に記載のコンクリートの養生方法。
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