JP2013170436A - コンクリート床構造体の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンクリート床が側溝部のコンクリート床面に水勾配を形成する施工に好適なコンクリート床構造体の施工方法を提供すること。
【解決手段】 レベリング材スラリーを生成する工程と、レベリング材スラリーを打設する工程と、レベリング材スラリー表面に勾配を設ける工程と、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程とを有し、レベリング材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び増粘剤とを含み、粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であるセルロース系増粘剤であり、ポルトランドセメント100質量部に対して、増粘剤0.4〜0.5質量部であり、レベリング材スラリーは、レベリング材100質量部に対して、水21〜25.5質量部を加えて混練して得られ、コンクリート床はコンクリート側溝部の床面である、コンクリート床構造体の施工方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 レベリング材スラリーを生成する工程と、レベリング材スラリーを打設する工程と、レベリング材スラリー表面に勾配を設ける工程と、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程とを有し、レベリング材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び増粘剤とを含み、粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であるセルロース系増粘剤であり、ポルトランドセメント100質量部に対して、増粘剤0.4〜0.5質量部であり、レベリング材スラリーは、レベリング材100質量部に対して、水21〜25.5質量部を加えて混練して得られ、コンクリート床はコンクリート側溝部の床面である、コンクリート床構造体の施工方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、コンクリート床が側溝部のコンクリート床面であるコンクリート床構造体の施工方法に関する。
建築物や道路等に沿って付設されている排水用の側溝は、建築物床面や道路床面等に雨水等の排水が溜まるのを防止するために、一般的に側溝部のコンクリート床表面には左官鏝などを用いて流動性(レベリング性)を有しないモルタル材を施工して緩やかな水勾配が形成される。
特許文献1には、セメント、骨材及び混和材を主成分とするセルフレベリング性セメント組成物に、硫酸アルミニウムがセメントと骨材との合計量に対して0.1〜0.45重量%含まれていることを特徴とするセルフレベリング性セメント組成物が開示されている。
また特許文献2には、建築物の基礎コンクリート硬化体上面に、セルレベリング性水硬性組成物と水とを混練して調製した水硬性モルタルを流し込み施工して硬化させる建築物用基礎コンクリート構造体の施工方法が開示されている。
しかしながら、側溝部のコンクリート床面に水勾配を形成するために、流動性を有しないモルタル材を左官鏝などを用いて施工するには、時間と労力を必要とし、また従来のセルフレベリング材を用いた施工では、左官鏝などを用いて水平面を形成することは比較的容易であるが、水勾配を形成する施工に十分に適したものではない。
本発明は、適度な流動性を有するレベリング材を用い、コンクリート床が側溝部のコンクリート床面に水勾配を形成する施工に好適なコンクリート床構造体の施工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために詳細に検討した結果、特定のレベリング材のスラリーを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、レベリング材及び水を混練して、レベリング材スラリーを生成する工程と、コンクリート床の上面に、レベリング材スラリーを打設する工程と、レベリング材スラリーの表面を鏝で均して、該表面に勾配を設ける工程と、勾配を有するレベリング材スラリーを硬化させ、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程と、を有するコンクリート床構造体の施工方法であって、レベリング材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び増粘剤とを含み、増粘剤は、2%水溶液の20℃における粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であるセルロース系増粘剤であり、ポルトランドセメント100質量部に対して、前記増粘剤0.4〜0.5質量部であり、レベリング材スラリーは、レベリング材100質量部に対して、該水21〜25.5質量部を加えて混練して得られ、コンクリート床はコンクリート側溝部の床面である、コンクリート床構造体の施工方法を提供する。
本発明のコンクリート床構造体の施工方法は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び上記増粘剤を含むレベリング材が適度な流動性を有することにより、水勾配施工に好適となる。本発明者らは、この要因について、レベリング材の粘度特性における、塑性粘度と降伏値とのバランスを両立していることによるものと推測している。
本発明のコンクリート床構造体の施工方法では、レベリング材が、さらに収縮低減剤を含むことができる。上記成分を含むことによって、レベリング材スラリー硬化時の収縮応力を抑制してひび割れの発生し難いレベリング材スラリー硬化体層を形成することができる。
本発明のコンクリート床構造体の施工方法では、レベリング材が、さらに再乳化形樹脂粉末および/又は有機繊維を含むことができる。上記成分を含むことによって、レベリング材スラリーの施工性や表面状態がより一層向上するとともに、レベリング材スラリー硬化後の弾性を高めて、優れた強度特性を有するレベリング材スラリー硬化体層を形成することができる。
本発明のコンクリート床構造体の施工方法では、コンクリート床が、0/1000を超えて50/1000以下の勾配を有する面に、レベリング材スラリーを施工し、勾配を有する床面を形成することができる。
本発明のコンクリート床構造体の施工方法では、さらに、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体の上面に、貼り床仕上げ材を敷設する工程を有することが好ましい。貼り床仕上げ材を敷設することにより、耐久性がより一層向上するコンクリート床構造体を形成することができる。
本発明はまた、コンクリート床構造体の施工方法により得られるコンクリート床構造体を提供する。適度な流動性を有するレベリング材スラリーを用いた施工方法により、好適な勾配が形成されたコンクリート床構造体となる。
本発明によれば、適度な流動性を有するレベリング材スラリーを用い、水勾配施工に好適なコンクリート床構造体の施工方法を提供することができる。そして、本発明のコンクリート床構造体の施工方法を用いることで好適な勾配が形成されたコンクリート床構造体となる。
<コンクリート床構造体の施工方法>
本発明のコンクリート床構造体の施工方法は、レベリング材及び水を混練して、レベリング材スラリーを生成する工程と、コンクリート床の上面に、レベリング材スラリーを打設する工程と、レベリング材スラリーの表面を鏝で均して、該表面に勾配を設ける工程と、勾配を有するレベリング材スラリーを硬化させ、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程とを有する。
本発明のコンクリート床構造体の施工方法は、レベリング材及び水を混練して、レベリング材スラリーを生成する工程と、コンクリート床の上面に、レベリング材スラリーを打設する工程と、レベリング材スラリーの表面を鏝で均して、該表面に勾配を設ける工程と、勾配を有するレベリング材スラリーを硬化させ、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程とを有する。
上記施工方法は、コンクリート床の上面に、レベリング材用プライマーを塗布してプライマー皮膜層を設ける工程と、レベリング材及び水を混練して、レベリング材スラリーを生成する工程と、該プライマー皮膜層の上面に、レベリング材スラリーを打設する工程と、レベリング材スラリーの表面を鏝で均して、該表面に勾配を設ける工程と、勾配を有するレベリング材スラリーを硬化させ、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程と、該レベリング材スラリー硬化体層の上面に、貼り床仕上げ材用接着剤を塗布して接着剤層を設ける工程と、該接着剤層の上面に、貼り床仕上げ材を敷設して貼り床仕上げ材層を設ける工程と、を備えることが好ましい。
以下、本発明の好適な実施形態について、適宜図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るコンクリート床が側溝部のコンクリート床面であるコンクリート床構造体の施工方法における施工手順を模式的に示す断面図である。
図1(a)に示すように、コンクリート床1の床上面2はゆるやかに傾斜し、凹凸部分を備えている。コンクリート床1は、組成や厚さ、などは特に制限されず、新設のコンクリート床であってもよく、既設のコンクリート床であってもよい。
新設のコンクリート床は、例えば、生コンクリートを打設・締固めを行ってある程度の平面性を持たせた後、コンクリート表面の水が引いた段階で左官鏝などを用いて表面を均し、粗い凹凸を均す作業を行って、コンクリートを養生して硬化させることによって得られる。このため、硬化したコンクリート床全体の表面には多種多様な小さな凹凸や微妙な傾斜が入り組んだ状態になる傾向にある。
既設のコンクリート床は、例えば改修する場合、脆弱になったコンクリート床表面を除去した上で施工されるが、この場合もコンクリート床全体の表面には多種多様な小さな凹凸や微妙な傾斜が入り組んだ状態になる傾向にある。
本実施形態の施工方法においては、まず、図1(b)に示すように、床上面2にレベリング材用プライマーを塗布し、プライマー皮膜層3を形成する工程を備えることが好ましい。プライマー皮膜層3を床上面2に設けることによって、床上面2とレベリング材スラリー層4a(スラリー硬化体層4b)をより強固に接着することが可能となる。また、レベリング材スラリーを打設した際に、スラリー中の水分がコンクリート床1に浸透することを防止し易くなる。
レベリング材用プライマーとしては、アクリル/スチレン共重合樹脂やエチレン/酢酸ビニル共重合体を主成分とする市販のプライマーが使用でき、特にアクリル/スチレン共重合樹脂を主成分とするものを好適に使用することができる。
レベリング材用プライマーの塗布は、例えばコテ、ローラーあるいははけを適宜選択して用いることにより行うことができる。プライマーの塗布作業は、1回の処理で塗布してもよく、複数回(例えば2回〜3回程度)の作業で塗布してもよい。プライマーの塗布量は、プライマーに含まれる樹脂固形分として、良好な接着強度を安定して得るために、30〜120g/m2を塗布することが好ましく、45〜90g/m2を塗布することがより好ましい。
プライマー皮膜層3の厚みは、床上面2とレベリング材スラリー層4a(スラリー硬化体層4b)を強固に接着する観点から、5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましく、15〜75μmが更に好ましく、20〜50μmが特に好ましい。
上記プライマー塗布後の乾燥時間は、温度条件や通風条件に応じて適宜乾燥時間をとることができ、通常夏季には1〜8時間、冬季には5〜12時間乾燥することが好ましい。
次いで、図1(c)に示すように、プライマー皮膜層3の上面に、後述するレベリング材及び水を混練し、生成したレベリング材スラリーを打設する。
レベリング材スラリーは、水平面を有する床面や、0/1000を超えて50/1000以下の勾配を有する床面に打設することができる。
次に、打設されたレベリング材スラリーは、鏝5を用いて均一化される。これにより、レベリング材スラリーの表面が一定の勾配を有するように施工され、レベリング材スラリー層4aを形成することができる。
レベリング材スラリー層4aは、施工場所の温度や湿度の条件にもよるが、施工終了後24時間の間に硬化を開始し、硬化の進行に伴って表面硬度が上昇し、図1(d)に示すように、スラリー硬化体層4bとなる。また、硬化の進行に伴ってスラリー硬化体層4bの表面の含水量は低下する傾向にある。
レベリング材スラリー層4aは、好ましくは12〜72時間、より好ましくは24〜48時間の間に、硬化させることが好ましい。12時間経過する前では、張り床材を施工するための作業を行うのに充分なスラリー硬化体層4bの表面硬度が発現していないことがある。また、セルフレベリング材スラリーを打設・施工したのち、72時間以内であれば、スラリー硬化体層の表面からの水分離脱が進んでいないことから、スラリー硬化体層内部が充分に水和するために必要な水分が充分に確保されており、高い強度特性を付与することができるため好適である。
スラリー硬化体層4bの表面は、0/1000を超えて40/1000以下の勾配を有することが好ましく、0/1000を超えて35/1000以下の勾配を有することがより好ましく、0/1000を超えて30/1000以下の勾配を有することが更に好ましい。これにより、形成したスラリー硬化体層4bに良好な排水性を付与することができる。なお、本実施形態において、例えば、40/1000の勾配を有するとは、水平方向1000mmの直線において、起点(片側)の高さが0mmであり、終点(反対側)の高さが40mmの高さを有することを意味する。
本実施形態の施工方法により、図1(d)に示すように、コンクリート床1、プライマー皮膜層3、スラリー硬化体層4bからなるコンクリート床構造体6を得ることができる。コンクリート床構造体6は、上記レベリング材スラリーが適度な流動性有することから、好適に勾配が形成されたコンクリート床構造体となる。
本実施形態の施工方法においては、さらにスラリー硬化体層4bの上面に、張り床材を敷設することができる。図1(e)に示すように、スラリー硬化体層4bの上面に張り床材用接着剤を塗布し、接着剤層7を設け、該接着剤層7の上面に張り床材を敷設し、張り床材層8を設けることができる。
接着剤層7は、スラリー硬化体層4bと張り床材層8を接着するために設けられる。張り床材用接着剤としては、溶剤形エポキシ樹脂系、無溶剤形エポキシ樹脂系、水性形エポキシ樹脂系、溶剤形ウレタン樹脂系、無溶剤形ウレタン樹脂系、湿気硬化形ウレタン樹脂系、メタクリル樹脂系、溶剤形アクリル樹脂系、水性形アクリル樹脂系、溶剤形ゴム系、非溶剤形ゴム系、溶剤形酢酸ビニル樹脂系、無溶剤形酢酸ビニル系、水性形酢酸ビニル樹脂系、溶剤形ビニル共重合樹脂系、無溶剤形ビニル共重合樹脂系、水性形エチレン酢酸ビニル樹脂系等を用いることができる。
張り床材用接着剤の施工は各張り床材メーカーの施工要領書に準拠し、クシゴテ、ローラーあるいははけを適宜選択して使用することができる。
張り床材層8は、要求される特性に応じてプラスチック床、カーペット床、リノリウム床、ゴム床、木質床、石材床、セラミックス床の張り床材から適宜選択して用いることができる。
プラスチック床としては、ホモジニアスビニル床タイル、半硬質コンポジションビニル床タイル、軟質コンポジションビニル床タイル、ピュアビニル床タイル、レジンテラゾータイル、ビニル床シート、織布ビニル床シート、不織布ビニル床シート、織布積層ビニル床シート、不織布積層ビニル床シート、積層ビニル床シート、織布積層発砲ビニル床シート、不織布積層発泡ビニル床シート、積層発泡ビニル床シート、不織布積層印刷発泡ビニル床シート、積層印刷発泡ビニル床シート等を用いることができ、特に耐動荷重性、耐薬品性及び耐摩耗性に優れる塩化ビニル系シートや塩化ビニル系タイルを好適に用いることができ、カーペット床としては、カーペットタイル、ロールカーペット等を好適に用いることができ、リノリウム床としては、リノリウム床タイル、リノリウム床シート等を好適に用いることができ、ゴム床としては、ゴム床タイル、ゴム床シート等を用いることができ、木質床としては、フローリングボード、フローリングブロック等を好適に用いることができる。
張り床材層8の厚さは、コンクリート床構造体に求められる機能と、張り床材の材質に応じて適宜選択され、好ましくは1〜10mmの厚さを有すること、さらに好ましくは1.2〜8mmの厚さを有すること、より好ましくは1.3〜5mmの厚さを有すること、特に好ましくは1.5〜3mmの厚さを有することが、レベリング材を用いて形成した高い平面性を活かして、張り床材が強固に接着したコンクリート床構造体が得られることから好ましい。
張り床材の施工は、各張り床材メーカーの施工要領書に準拠し、ローラーあるいは転圧ローラー等を適宜選択して使用することができる。
本実施形態の施工方法により、図1(e)に示すように、コンクリート床1、プライマー皮膜層3、スラリー硬化体層4b、接着剤層7、張り床材層8からなるコンクリート床構造体9を得ることができる。コンクリート床構造体9は、上記レベリング材スラリーが適度な流動性有し、張り床材と強固に接着することから、好適に勾配が形成されたコンクリート床構造体となる。
<レベリング材>
本実施形態に係るレベリング材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び増粘剤を含み、増粘剤は、2%水溶液の20℃における粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であるセルロース系増粘剤であり、ポルトランドセメント100質量部に対して、増粘剤0.4〜0.5質量部であることを特徴とする。
本実施形態に係るレベリング材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び増粘剤を含み、増粘剤は、2%水溶液の20℃における粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であるセルロース系増粘剤であり、ポルトランドセメント100質量部に対して、増粘剤0.4〜0.5質量部であることを特徴とする。
ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメントから選択して用いることができる。また、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメントをその代替として使用することもできる。速硬性の観点から、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントの使用が好ましい。
高炉スラグ微粉末は、セメント混和材として一般的なものであり、市販されている。混和材として市販されている高炉スラグ微粉末は、いずれも問題なく使用できるが、JIS・A・6206:1997(コンクリート用高炉スラグ微粉末)の規格に適合するものが好ましい。また、その粉末度は、混和材用として市販されているものであれば特に制限されないが、2,000〜10,000cm2/gのブレーン比表面積を有する微粉末を使用することが、添加効果発現性の面から好ましい。高炉スラグの過度の添加は、逆に強度発現性の低下に繋がることから、高炉スラグの添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、120質量部以下とすることが好ましく、50〜90質量部の範囲とすることがより好ましい。
石膏は、例えば、二水石膏、半水石膏及び無水石膏が挙げられ、排煙脱硫やフッ酸製造工程で副産される石膏、又は天然に算出される石膏のいずれも使用することができる。石膏は、レベリング材及び水を混練して生成されるレベリング材スラリーが硬化した後の寸法安定性を保持する成分として機能するものである。石膏の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、5〜25質量部の範囲とすることが好ましく、10〜20質量部の範囲とすることがより好ましい。
細骨材は、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類、スラグ細骨材、再生細骨材から適宜選択して用いることができる。特に細骨材としては、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類から選択したものを好適に用いることができる。細骨材としては、細骨材100質量%中に600μm以上の粒子径を有する粗粒分を10質量%未満含むことが好ましい。細骨材中の粗粒分は0超〜5質量%であることがより好ましい。細骨材の粒子径は、JIS・Z・8801:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、「600μm以上の粒子径を有する粗粒分」とは、篩目600μmの篩いを用いたときの篩上残分の粒子の質量割合のことをいう。細骨材の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、200〜400質量部の範囲とすることが好ましく、250〜300質量部の範囲とすることがより好ましい。
凝結調整剤は、凝結促進剤と凝結遅延剤があり、レベリング材の構成成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、それらの成分、添加量及び混合比率を適宜選択して、レベリング材の可使時間(流動保持性)及び凝結時間を調節することができる。
凝結促進剤としては、公知の凝結を促進する成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。例えば、塩化物として塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硝酸塩として硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硫酸塩として硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸リチウム、炭酸塩として炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、アルミン酸塩として、アルミン酸ナトリウム、有機酸のカルシウム塩としてギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、アクリル酸カルシウムを挙げることができる。特に、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムは、凝結促進効果、入手容易性、価格の面から好ましい。凝結促進剤は、1種または2種以上用いる場合、それぞれの凝結促進剤の添加量がポルトランドセメント100質量部に対して、0.5〜3.0質量部の範囲とすることが好ましく、1.0〜2.0質量部の範囲とすることがより好ましい。凝結促進剤が上記範囲で含まれることにより好適な流動性が得られる可使時間(流動保持性)を確保し易くなる。
凝結遅延剤としては、公知の凝結を遅延する成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。例えば、オキシカルボン酸類等の有機酸や、グルコース、マルトース、デキストリン等の糖類、重炭酸ナトリウムやリン酸ナトリウム等が挙げられる。オキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。オキシカルボン酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸等の脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸等の芳香族オキシ酸を挙げることができる。オキシカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩等)を挙げることができ、ナトリウム塩がより好ましい。また、特に、グルコン酸ナトリウムが、凝結遅延効果、入手容易性及び価格の面から好ましい。凝結遅延剤は、1種または2種以上用いる場合、それぞれの凝結遅延剤の添加量がポルトランドセメント100質量部に対して、0.05〜0.5質量部の範囲とすることが好ましく、0.1〜0.2質量部の範囲とすることがより好ましい。凝結遅延剤が上記範囲で含まれることにより好適な流動性が得られる可使時間(流動保持性)を確保し易くなる。
消泡剤は、シリコン系、アルコール系及び/又はポリエーテル系などの合成物質及び/又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることができる。消泡剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、0.1〜1.5質量部の範囲とすることが好ましく、0.15〜0.6質量部の範囲とすることがより好ましい。消泡剤が上記範囲内で含まれることにより、消泡効果を得やすくなる。
流動化剤は、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系及びポリエーテルポリカルボン酸系等の市販の流動化剤が、その種類を問わず使用でき、特にポリエーテル系及びポリエーテルポリカルボン酸等の市販の流動化剤を用いることが好ましい。流動化剤の添加量は、使用するポルトランドセメントに応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、ポルトランドセメント100質量部に対して、0.01〜2.0質量部の範囲とすることが好ましく、0.1〜1.0質量部の範囲にすることがより好ましい。流動化剤の添加量が0.01質量部未満であると、場合によっては粘稠性も大きくなってしまい、所要の流動性を得るための混練水量が増大して強度性状が悪化する場合がある。また、添加量が2.0質量部より多くても添加量に見合った効果が得られにくい傾向にあり、単に不経済であるだけでなく、場合によっては材料分離によりスラリー硬化体層としての高い強度を発現しにくくなることもある。
増粘剤は、セルロース系増粘剤であり、その種類を問わず用いることができるが、特にヒドロキシエチルメチルセルロースを主成分とする増粘剤を用いることが好ましい。増粘剤は、2%水溶液の20℃における粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であり、好ましくは15,000〜35,000mPa・sの範囲である。増粘剤の粘度は、セルロース系増粘剤2%水溶液(20℃)を、B型粘度計(東機産業社製デジタル粘度計 DVL−B形)を用いて測定することができる。増粘剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、増粘剤0.3〜0.6質量部であり、好ましくは0.4〜0.5質量部であり、特に好ましくは0.42〜0.48質量部である。増粘剤が上記範囲内で含まれることにより、レベリング材の分離抑制やレベリング材の粘度特性における、塑性粘度と降伏値とのバランスを両立することとなり、適度な流動性を有するレベリング材となる。このようなレベリング材は、本施工方法により好適に用いることができる。
本実施形態に係るレベリング材は、さらに収縮低減剤を含むことができる。上記成分を含むことによって、レベリング材スラリー硬化時の収縮応力を抑制してひび割れの発生し難いレベリング材スラリー硬化体層を形成することができる。
収縮低減剤は、公知の収縮低減剤を用いることができる。収縮低減剤としては、アルキレンオキシド重合物を化学構造の骨格に有するものなどを好適に用いることができる。例えばポリプロピレングリコール、ポリ(プロピレン・エチレン)グリコールなどのポリアルキレングリコール類及び炭素数1〜6のアルコキシポリ(プロピレン・エチレン)グリコールなどの一般に公知のものから適宜選択して用いることができる。収縮低減剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは1〜5質量部、さらに好ましくは2〜3質量部である。
本実施形態に係るレベリング材は、さらに再乳化形樹脂粉末および/又は有機繊維を含むことができる。上記成分を含むことによって、レベリング材スラリーの施工性や表面状態がより一層向上するとともに、レベリング材スラリー硬化後の弾性を高めて、優れた強度特性を有するレベリング材スラリー硬化体層を形成することができる。
再乳化形樹脂粉末は、特にその種類は限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができ、ブロッキング防止剤を主に再乳化形樹脂粉末の表面に付着させたものを用いることができる。また、水性ポリマーディスパージョンを噴霧やフリーズドライなどの方法で溶媒除去し、乾燥させた再乳化形樹脂粉末を用いることも好ましい。再乳化形樹脂粉末は、酢酸ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/ベオバ/アクリル共重合体又はアクリル/メタアクリル共重合体を主成分とする再乳化形樹脂粉末であることが好ましい。これにより、スラリーを硬化させた際により均質な硬化表面を得ることができる。再乳化形樹脂粉末の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、0.05〜0.5質量部であることが好ましく、0.1〜0.4質量部であることがより好ましい。
有機繊維は、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリ塩化ビニルなどの樹脂成分からなる有機繊維を用いることができ、これらの一種又は二種以上の混合物として使用することができる。有機繊維の繊維長は0.5〜15mm程度のものを用いることが好ましい。繊維の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、0.05〜0.5質量部であることが好ましく、0.1〜0.4質量部であることがより好ましい。
以上のとおり、本実施形態に係るレベリング材は、適度な流動性を有することから水勾配施工を好適に行うことが可能となる。
<レベリング材スラリー>
本実施形態に係るレベリング材スラリーは、レベリング材及び水を混練することにより生成できる。例えば、レベリング材を袋物の形態で施工現場に搬入し、施工場所の近傍で現場設置型の混合・混練装置やハンドミキサー等の混合機を用いて、所定量の水を加えて混練することにより、レベリング材スラリーを生成することができる。レベリング材スラリーは、レベリング材100質量部に対して、水21〜25.5質量部を加えて混練して生成され、好ましくは、水22〜25質量部を加えて混練して生成される。水が上記範囲内でレベリング材と混練されることにより、材料分離がなく、水勾配施工に好適な流動性を有したレベリング材スラリーとなる。
本実施形態に係るレベリング材スラリーは、レベリング材及び水を混練することにより生成できる。例えば、レベリング材を袋物の形態で施工現場に搬入し、施工場所の近傍で現場設置型の混合・混練装置やハンドミキサー等の混合機を用いて、所定量の水を加えて混練することにより、レベリング材スラリーを生成することができる。レベリング材スラリーは、レベリング材100質量部に対して、水21〜25.5質量部を加えて混練して生成され、好ましくは、水22〜25質量部を加えて混練して生成される。水が上記範囲内でレベリング材と混練されることにより、材料分離がなく、水勾配施工に好適な流動性を有したレベリング材スラリーとなる。
水勾配施工に好適なレベリング材スラリーの流動性及び可使時間(流動保持性)の観点から、レベリング材スラリーのフロー値は、好ましくは190〜215mmであり、好ましくは190〜213mmであり、さらに好ましくは190〜211mmである。フロー値が上記範囲にあると、水勾配施工に好適となり、平滑性の高いスラリー硬化体層表面を得やすい傾向にある。
また、上記スラリーのレベリング性は、図2に示すレベリング測定器を用いて評価することができる。
図2は、スラリーのレベリング性評価に用いるレベリング測定器を模式的に示す斜視図であり、レベリング測定器10は、合成樹脂製で、内寸法が幅30mm×高さ30mm×長さ750mmの樋状であり、一方の端のみが開口端となっている。そして、レベリング測定器10は、閉口端側にスラリー11を充填するための充填部と、充填部に隣接し、充填されるスラリー11を堰き止めておくための、合成樹脂製の堰板12とを備えており、充填部は、内寸法が幅30mm×高さ30mm×長さ150mmの容量を有している。
図3は、このようなレベリング測定器を用いた、スラリーのレベリング性の評価方法を模式的に示す断面図である。レベリング性の評価は、温度30℃の環境下で行う。まず、図3の(a)に示すように、混練直後のスラリー11を充填部を満たすように流し込む。次いで、堰板12が引き上げられることにより、図2の(b)に示すように、流し込まれたスラリー11は、レベリング測定器10の開口端側へ向けて流れ出す。
流れ出したスラリー11が、標点13から200mmの距離を流れるのに要する時間を流動時間(秒)とし、標点13からスラリー11の流れが停止した終点14までの距離を流動距離(mm)とする。充填部でのスラリー11の保持時間を変更して流動時間及び流動距離を測定することで、スラリーのレベリング性を評価することができる。
スラリー11を充填部に流し込んだ直後(保持時間0分、以下、「L0」という)に、堰板12を引き上げて、スラリー11が200mmの距離を流れる流動時間(L0)は、好ましくは15〜150秒であり、より好ましくは16〜140秒であり、更に好ましくは17〜120秒である。スラリー11の流動距離(L0)は、好ましくは200〜390mmであり、より好ましくは220〜385mmであり、更に好ましくは240〜382mmである。
また、スラリー11を充填部に流し込み30分間保持した後(以下、「L30」という)に、堰板12を引き上げて、スラリー11の流れの停止後に、標点13からスラリー11の終点14までの距離である流動距離(L30)は、流動距離(L10)以下であり、且つ100mm以上であればよく、好ましくは105mm以上であり、より好ましくは120mm以上であり、更に好ましくは135mm以上であり、特に好ましくは140mm以上である。L30の値が上記範囲にあると、水勾配施工に好適な流動性を有するスラリーとなる傾向にある。
また、スラリーの可使時間(ハンドリングタイム)は、好ましくは30分間であり、より好ましくは40分間であり、更に好ましくは50分間であり、特に好ましくは60分間である。上記可使時間を備えることによって、良好な施工性を確保することができる。
スラリーの施工勾配は、側溝部床面の排水性能を確保するために、好ましくは4/1000以上であり、より好ましくは4.5/1000以上であり、さらに好ましくは5/1000以上である。上記施工勾配を形成できることによって、側溝部床面の雨水等を効率よく排水することができる。
以上、本実施形態の施工方法によれば、適度な流動性を有するレベリング材スラリーを用いることによって、水勾配施工に好適なコンクリート床構造体の施工方法を提供することができる。そして、本発明のコンクリート床構造体の施工方法を用いることで好適な勾配が形成されたコンクリート床構造体となる。
以下に、実施例を挙げて本発明について具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例で使用した材料を以下に記す。
実施例及び比較例で使用した材料を以下に記す。
(1)ポルトランドセメント[PC](早強ポルトランドセメント、宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積4480cm2/g)
(2)高炉スラグ微粉末[BFS](リバーメント、千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm2/g)
(3)石膏[GG](フッ酸無水石膏、ブレーン比表面積3300cm2/g)
(4)細骨材
・珪砂[S](600μm以上の粒子径を有する粗粒分=0.1質量%、吸水率=1.2
5%、粗粒率1.15、単位容積質量=1.53kg/L、実績率=57.5%)
(5)凝結調整剤
・促進剤(硫酸アルミニウム)
・遅延剤(グルコン酸ナトリウム)
(6)消泡剤
・ポリエーテル系消泡剤
(7)流動化剤
・ポリカルボン酸系流動化剤
(8)増粘剤
・セルロース系増粘剤(2%水溶液の20℃における粘度28,000mPa・s)
(9)再乳化形樹脂粉末
・酢酸ビニル/ベオバ共重合体系再乳化形樹脂粉末
(10)収縮低減剤
・アルキレンオキシド重合体系収縮低減剤
(11)有機繊維
・ポリエステル系繊維(繊維長2mm)
(2)高炉スラグ微粉末[BFS](リバーメント、千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm2/g)
(3)石膏[GG](フッ酸無水石膏、ブレーン比表面積3300cm2/g)
(4)細骨材
・珪砂[S](600μm以上の粒子径を有する粗粒分=0.1質量%、吸水率=1.2
5%、粗粒率1.15、単位容積質量=1.53kg/L、実績率=57.5%)
(5)凝結調整剤
・促進剤(硫酸アルミニウム)
・遅延剤(グルコン酸ナトリウム)
(6)消泡剤
・ポリエーテル系消泡剤
(7)流動化剤
・ポリカルボン酸系流動化剤
(8)増粘剤
・セルロース系増粘剤(2%水溶液の20℃における粘度28,000mPa・s)
(9)再乳化形樹脂粉末
・酢酸ビニル/ベオバ共重合体系再乳化形樹脂粉末
(10)収縮低減剤
・アルキレンオキシド重合体系収縮低減剤
(11)有機繊維
・ポリエステル系繊維(繊維長2mm)
[レベリング材の調製]
上記材料を表1に示す配合割合(質量部)で混合し、実施例及び比較例のレベリング材を調製した。
上記材料を表1に示す配合割合(質量部)で混合し、実施例及び比較例のレベリング材を調製した。
[スラリーの生成]
上記レベリング材のプレミックス粉体25kgに所定量の水を加えて3分間ハンドミキサーで混練してスラリーを得た。スラリーの生成は温度30℃の環境下で行った。
上記レベリング材のプレミックス粉体25kgに所定量の水を加えて3分間ハンドミキサーで混練してスラリーを得た。スラリーの生成は温度30℃の環境下で行った。
[フロー値]
JASS・15M−103「社団法人日本建築学会:セルフレベリング材の品質基準」に準拠してフロー値を測定した。測定は、温度30℃の環境下で行なった。測定結果を表2に示す。
JASS・15M−103「社団法人日本建築学会:セルフレベリング材の品質基準」に準拠してフロー値を測定した。測定は、温度30℃の環境下で行なった。測定結果を表2に示す。
[レベリング性]
図2に示すレベリング測定器50の、充填部51に混練直後のスラリーを、流し込んだ直後(保持時間0分)に堰板52を引き上げ、図3に示すように、充填部51から流れ出したスラリーの流れが停止した後に、標点(堰板の設置部)53からスラリー10の流れが停止した終点54までの距離を、流動距離(L0)として測定した。また、スラリーが標点53から200mmの距離を流れるのに要する流動時間(L0)を測定した。同様に、スラリー10の充填後30分後に堰板52を引き上げて、スラリー10の流れの停止後に、標点53からスラリー10の終点54までの距離を、流動距離(L30)として測定した。測定結果を表2に示す。
図2に示すレベリング測定器50の、充填部51に混練直後のスラリーを、流し込んだ直後(保持時間0分)に堰板52を引き上げ、図3に示すように、充填部51から流れ出したスラリーの流れが停止した後に、標点(堰板の設置部)53からスラリー10の流れが停止した終点54までの距離を、流動距離(L0)として測定した。また、スラリーが標点53から200mmの距離を流れるのに要する流動時間(L0)を測定した。同様に、スラリー10の充填後30分後に堰板52を引き上げて、スラリー10の流れの停止後に、標点53からスラリー10の終点54までの距離を、流動距離(L30)として測定した。測定結果を表2に示す。
[表面硬度]
スラリー打設後からの所定の経過時間の後に、硬化した表面の硬度(ショア硬度)をスプリング式硬度計タイプD型((株)上島製作所製)を用いて、任意の4カ所の表面硬度を測定し、そのスプリング式硬度計タイプD型のゲージの読み取り値の平均値をその時間の表面硬度とした。本実施例及び比較例においては、24時間後のショア硬度を測定した。測定結果を表2に示す。
スラリー打設後からの所定の経過時間の後に、硬化した表面の硬度(ショア硬度)をスプリング式硬度計タイプD型((株)上島製作所製)を用いて、任意の4カ所の表面硬度を測定し、そのスプリング式硬度計タイプD型のゲージの読み取り値の平均値をその時間の表面硬度とした。本実施例及び比較例においては、24時間後のショア硬度を測定した。測定結果を表2に示す。
[下地勾配]
内寸法が幅150×長さ1800×高さ100mmの木製容器に、JIS R 5201:1997に準拠したモルタルを30mmの厚さで打設し、2週間養生した後、その表面に固形分濃度45%のアクリル系プライマーを塗布して、プライマー層を形成した。そして該木製容器を、水平に設置した場合を0/1000の下地勾配とし、長さ方向の片方の端部を18mm嵩上げして傾けた場合を10/1000の下地勾配とし、長さ方向の片方の端部を36mm嵩上げして傾けた場合を20/1000の下地勾配とした。
内寸法が幅150×長さ1800×高さ100mmの木製容器に、JIS R 5201:1997に準拠したモルタルを30mmの厚さで打設し、2週間養生した後、その表面に固形分濃度45%のアクリル系プライマーを塗布して、プライマー層を形成した。そして該木製容器を、水平に設置した場合を0/1000の下地勾配とし、長さ方向の片方の端部を18mm嵩上げして傾けた場合を10/1000の下地勾配とし、長さ方向の片方の端部を36mm嵩上げして傾けた場合を20/1000の下地勾配とした。
[施工勾配]
上記の木製容器に、スラリーを流し込む施工を行った後に、コテを用いて長さ方向の端部より反対側の端部に向かって、スラリー表面に20/1000の勾配が設けられるように、鏝を用いて均した。スラリーが硬化した後に、長さ方向の端部の高さと、反対側の端部の高さを測定し、その差の絶対値の1/2(x)の1/1000を施工勾配(x/1000)とした。計算結果を表2に示す。
上記の木製容器に、スラリーを流し込む施工を行った後に、コテを用いて長さ方向の端部より反対側の端部に向かって、スラリー表面に20/1000の勾配が設けられるように、鏝を用いて均した。スラリーが硬化した後に、長さ方向の端部の高さと、反対側の端部の高さを測定し、その差の絶対値の1/2(x)の1/1000を施工勾配(x/1000)とした。計算結果を表2に示す。
[表面平坦性]
表面平坦性は、上記施工で得られたスラリー硬化体表面を目視又は指で触れて評価した。表面の凹凸の存在が、指で触れても分からない場合は「良好」とし、目視などにより白化(粉化)や表面の凹凸の存在が明らかな場合は「不良」とした。測定は、温度30℃の環境下で行った。評価結果を表2に示す。
表面平坦性は、上記施工で得られたスラリー硬化体表面を目視又は指で触れて評価した。表面の凹凸の存在が、指で触れても分からない場合は「良好」とし、目視などにより白化(粉化)や表面の凹凸の存在が明らかな場合は「不良」とした。測定は、温度30℃の環境下で行った。評価結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜5においては、フロー値、流動距離(L0、L30)、流動時間(L0)及び施工勾配についていずれも好適な値を示し、適度な流動性を有し、水勾配施工に好適なレベリング材のスラリーとなることを確認した。一方、比較例1においては、上記指標の少なくとも一つは好適な値を示さず、水勾配施工に好適ではなかった。
1…コンクリート床、2…床上面、3…プライマー皮膜層、4a…レベリング材スラリー層、4b…スラリー硬化体層、5…鏝、6,9…コンクリート床構造体、7…接着剤層、8…張り床材層、10…レベリング測定器、11…スラリー、12…堰板、13…標点、14…終点。
Claims (5)
- レベリング材及び水を混練して、レベリング材スラリーを生成する工程と、
コンクリート床の上面に、前記レベリング材スラリーを打設する工程と、
前記レベリング材スラリーの表面を鏝で均して、該表面に勾配を設ける工程と、
勾配を有する前記レベリング材スラリーを硬化させ、勾配を有するレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程と、を有するコンクリート床構造体の施工方法であって、
前記レベリング材は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、石膏、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、流動化剤及び増粘剤とを含み、
前記増粘剤は、2%水溶液の20℃における粘度が20,000〜40,000mPa・sの範囲であるセルロース系増粘剤であり、
ポルトランドセメント100質量部に対して、前記増粘剤0.4〜0.5質量部であり、
前記レベリング材スラリーは、レベリング材100質量部に対して、該水21〜25.5質量部を加えて混練して得られ、
前記コンクリート床はコンクリート側溝部の床面である、コンクリート床構造体の施工方法。 - 前記レベリング材が、収縮低減剤を含む、請求項1に記載のコンクリート床構造体の施工方法
- 前記レベリング材が、再乳化形樹脂粉末および/又は有機繊維を含む、請求項1または請求項2に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
- 前記コンクリート床が、0/1000〜50/1000の勾配を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
- さらに、勾配を有する前記レベリング材スラリー硬化体の上面に、張り床仕上げ材を敷設する工程を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート床構造体の施工方法。
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- 2012-02-22 JP JP2012036755A patent/JP2013170436A/ja active Pending
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