JP6095117B2 - ビームモニタシステムおよび粒子線照射システム - Google Patents
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Description
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、収集電極と、信号処理装置と、ビームモニタ制御装置とを備えたビームモニタシステムであって、前記収集電極は、通過する荷電粒子ビームを検出する電極であって、隣り合う複数のワイヤ電極を一つのグループとした前記グループを複数有し、このグループは隣り合う複数の前記ワイヤ電極で構成される区分に分割され、あるグループのある区分に属する各々の前記ワイヤ電極は他のグループに属する区分のいずれか一つの前記ワイヤ電極とそれぞれ同一の配線によって前記信号処理装置に対して各々接続され、このうち他のグループに属する区分のいずれか一つの前記ワイヤ電極は2チャンネルは物理的に連続しないようにグループ毎に異なるように置換されて前記同一の配線によって前記信号処理装置に対して各々接続されており、前記信号処理装置は、前記ワイヤ電極から出力された検出信号を計画したビーム照射目標位置に関連する情報と前記置換接続の情報とに基づいて並び替え、処理信号として出力し、前記ビームモニタ制御装置は、前記信号処理装置から出力された処理信号に基づいて、前記ワイヤ電極を通過した荷電粒子ビームのビーム位置とビーム幅とを演算することを特徴とする。
本発明のビームモニタシステムおよび粒子線照射システムの第1の実施形態を、図1乃至図14を用いて説明する。
なお、本発明において、粒子線照射システムとは、治療室内の治療台(ベッド装置)10上に固定された患者の患部に対して荷電粒子ビーム12(例えば、陽子線や炭素線等)を照射するシステムのことを意味する。
図1は本発明の粒子線照射システムの第1の実施形態の全体構成を示す構成図、図2は本発明の粒子線照射システムの第1の実施形態を構成するスキャニング照射システムおよび照射制御システムの概略を示す構成図、図3は本発明の粒子線照射システムの第1の実施形態におけるビームモニタシステムの概略図、図4はスキャニング照射方式による荷電粒子ビーム照射の制御のフローチャート図である。
治療台10は、治療室内に配置されており、患者13を載せて、患部の位置決めを行う。
照射ノズル11には、図2に示すように、荷電粒子ビーム12の進行方向の上流側から順番に、上流ビームモニタ11a、走査電磁石11b、線量モニタ11cおよび下流ビームモニタ11dがビーム経路に沿って配置される。照射ノズル11は、スキャニングビームの照射野を形成する。
上流ビームモニタ11aは、照射ノズル11内に入射された荷電粒子ビーム12の通過位置およびビーム幅(ビーム径)を計測する。
走査電磁石11bは、通過する荷電粒子ビームを第一の方向(例えば、X軸方向)に偏向・走査する第1走査電磁石11b1と、第一の方向と垂直な第二の方向(例えば、Y軸方向)に荷電粒子ビームを偏向・走査する第二走査電磁石11b2を備える。ここで、X軸方向とは、照射ノズル11に入射された荷電粒子ビームの進行方向に垂直な平面内の一方向であり、Y軸方向とは、当該平面内であってX軸と垂直な方向を示す。
線量モニタ11cは、通過する荷電粒子ビームの照射線量を計測する。すなわち、線量モニタ11cは、患者に照射された荷電粒子ビームの照射線量を監視するモニタである。
下流ビームモニタ11dは、走査電磁石11bの下流側に設置され、通過する荷電粒子ビームの位置およびビーム幅を計測する。すなわち、下流ビームモニタ11dは、走査電磁石11bによって走査された荷電粒子ビームの位置およびビーム幅を計測するモニタである。
中央制御装置5は、治療計画装置6、加速器・輸送系制御システム7、照射制御システム8および操作端末40に接続される。この中央制御装置5は、治療計画装置6からの設定データに基づいて、加速器運転のための運転パラメータの設定値、照射野を形成するための運転パラメータ、計画されるビーム位置およびビーム幅、線量の設定値を算出する機能を備えている。これらの運転パラメータおよびモニタ設定値は、中央制御装置5から加速器・輸送系制御システム7および照射制御システム8に出力される。
加速器・輸送系制御システム7は、荷電粒子ビーム発生装置1およびビーム輸送系2に接続され、荷電粒子ビーム発生装置1およびビーム輸送系2を構成する機器を制御する。
照射制御システム8は、スキャニング照射装置3に接続され、スキャニング照射装置3を構成する機器を制御する。
操作端末40は、操作者(医者、オペレータ等の医療従事者)がデータや指示信号を入力する入力装置および表示画面を備えている。
照射制御システム8は、患者機器制御装置8a、モニタ監視制御装置8bおよび走査電磁石電源制御装置8cを備える。
患者機器制御装置8aは、回転ガントリ14を構成する各機器を制御する回転ガントリ制御装置8a1、治療台10を移動して位置決め制御する治療台制御装置8a2、ノズル11内に配置された機器を制御するノズル内機器制御装置8a3を備えている。このうち、回転ガントリ制御装置8a1は、回転ガントリ14の回転角度を制御することで、患者13に照射する荷電粒子ビームの照射角度を制御する。
下流ビームモニタ監視制御装置8b2は、走査電磁石11bによって走査され、下流ビームモニタ11dに入射された荷電粒子ビームのビーム位置およびビーム幅を計測する機能を有する。すなわち、走査された荷電粒子ビームのビーム位置およびビーム幅に異常がないか否かを判定する機能(異常判定処理)を有する。上流ビームモニタ監視制御装置8b1や下流ビームモニタ監視制御装置8b2の機構は、具体的には以下の通りである。
中央制御装置5は、上流ビームモニタ監視制御装置8b1または下流ビームモニタ監視制御装置8b2から異常信号を入力すると、加速器・輸送系制御システム7にビーム停止指令信号を出力し、荷電粒子ビーム発生装置1から出射する荷電粒子ビームを停止させる。
本実施形態では、荷電粒子ビーム発生装置1から出射する荷電粒子ビームを停止するように制御したが、中央制御装置5がビーム輸送系2を制御し、照射ノズル11に入射される荷電粒子ビームを停止するように制御してもよい。
ここで、荷電粒子ビームのビーム位置とは、例えば、ビームモニタ(上流ビームモニタ11aまたは下流ビームモニタ11d)を通過する荷電粒子ビームの重心位置のことを示す。
また、荷電粒子ビームのビーム幅とは、ビームモニタ(上流ビームモニタ11aまたは下流ビームモニタ11d)を通過した荷電粒子ビームの領域を示す。ビーム幅の求め方には、例えば、ビーム進行方向に垂直な平面上に配置されたビームモニタ(上流ビームモニタ11aまたは下流ビームモニタ11d)で荷電粒子ビームを検出した領域の面積を算出する方法や、このようなビームモニタでの荷電粒子ビームの検出領域の面積および当該検出領域の幅を算出する方法などがある。
本実施形態では、患者13の患部をビーム進行方向(患者13の体表面からの深さ方向)に対して複数の層(以下、レイヤーという)に分割し、各レイヤーを複数のスポットである小領域に分けてビーム照射するスポットスキャニング照射法を例に説明する。
なお、本実施形態では、治療計画装置6が照射データおよび許容値データを求める構成としたが、治療計画装置6が照射データを求め、中央制御装置5が許容値データを求める構成としても良い。この場合、治療計画装置6は、許容値データを求めるのに必要なデータを中央制御装置5に送信し、中央制御装置5は受け取ったデータに基づいて許容値データを算出する。照射データである目標線量値は、各レイヤー内のスポット位置毎に定められる。
準備開始信号を受信した中央制御装置5は、該当する患者の治療計画情報を治療計画装置6から受け取り、治療台制御装置8a2にベッド位置情報を出力する。治療台制御装置8a2は、ベッド位置情報に基づいて患者13をビーム軸の延長線上の所定位置に配置するように治療台10を移動し、位置決めする。また、中央制御装置5は、回転ガントリ制御装置8a1にガントリ角度情報を出力する。回転ガントリ制御装置8a1は、ガントリ角度情報に基づいて回転ガントリ14を回転させて所定の角度に配置する。また、中央制御装置5は、照射位置毎の荷電粒子ビームの目標線量値や許容値データをモニタ監視制御装置8bに送信する。中央制御装置5は、照射データに含まれるビームエネルギー情報および照射位置情報に基づいて、走査電磁石11bに励磁すべき励磁電流値を算出し、励磁電流パラメータを求め、走査電磁石電源制御装置8cに励磁電流パラメータを送信する。さらに、中央制御装置5は、治療計画情報に基づいて円形加速器16の加速運転のための運転パラメータや、円形加速器16から出射された荷電粒子ビームを照射ノズル11に輸送するためのビーム輸送系2の運転パラメータを求め、加速器・輸送系制御システム7にこれらの運転パラメータを送信する。
治療開始信号が入力された中央制御装置5は、加速器・輸送系制御システム7に指令信号を送信する。
次いで、加速器・輸送系制御システム7は、最初に照射するレイヤー(最初のビームエネルギー情報)に相当する運転パラメータを円形加速器16およびビーム輸送系2に設定する。円形加速器16およびビーム輸送系2の運転パラメータが設定されて運転開始準備が完了すると(ステップS30)、走査電磁石電源制御装置8cは励磁電流パラメータに基づいて走査電磁石11bを励磁する(ステップS31)。最初の照射スポットに対応する励磁電流が走査電磁石11bに励磁された後、モニタ監視制御装置8bの線量監視制御装置8b3が、当該スポット位置に対する目標線量値に基づいてビームの照射線量の監視を開始し(ステップS32)、照射準備が完了する。
演算処理が終了し、ビームの位置およびビーム幅に異常がなければ(ビーム位置が許容ビーム位置の範囲内であり、ビーム幅が許容ビーム幅の範囲内と判断されれば)、照射満了した照射スポットがレイヤー内での最後のスポット位置であるか否かを判定する。最後の照射スポット位置でないと判断された場合(Noの場合)はステップS31に戻り、走査電磁石電源制御装置8cは、次のスポットに荷電粒子ビームを照射するように走査電磁石11bの励磁電流値を変更する。
走査電磁石電源制御装置8cは励磁電流パラメータに基づいて走査電磁石11bを励磁すると(ステップS31)、モニタ監視制御装置8bの線量監視制御装置8b3は、次の照射スポット位置に対する目標線量値に基づいてビーム線量の監視を再開する(ステップS32)。その後、中央制御装置5がビーム出射開始指令を送信することで次の照射スポット位置に対する荷電粒子ビームの照射が開始される(ステップS33)。
照射満了した照射スポットがレイヤー内での最後のスポット位置であると判断されるまで(Yesと判断されるまで)、走査電磁石設定(ステップS31)から最後のスポットであるか否かの判定までの制御フロー(ステップS37)を繰り返し行う。
本実施形態のビームモニタシステムは、ビームモニタ、モニタ信号処理装置およびビームモニタ制御装置を備える。ここで、ビームモニタシステムとして下流ビームモニタシステムの構成を例に、図3を用いて説明する。なお、上流ビームモニタシステムは、下流ビームモニタシステムと同様の構成を有し、ビームモニタのチャンネル数のみが異なる構成となるため、その詳細は省略する。
下流ビームモニタ11dは、マルチワイヤイオンチェンバ型のビームモニタである。下流ビームモニタ11dは、荷電粒子ビームのX方向の通過位置を検出するX電極、Y方向の通過位置を検出するY電極、電圧を印加する高圧電極(電圧印加電極、図示せず)および電流・周波数変換器(パルス発生器)23を備える。
本実施形態では、荷電粒子ビームの進行方向の上流側からX電極,Y電極の順番で配置された構成を例に説明するが、Y電極,X電極の順番で配置される構成であっても良い。
X電極およびY電極は、ワイヤ電極(タングステンワイヤ等)が等間隔で張られた構成を有する電荷収集電極である。X電極およびY電極を構成するワイヤ電極は、荷電粒子ビームのビーム軌道上に配置され、荷電粒子ビームを検出する。高圧電極に電圧を印加することによって、X電極と高圧電極の間に電場を発生し、Y電極と高圧電極の間に電場を発生させる。荷電粒子ビームがイオンチェンバを通過すると、高圧電極とX電極の間の気体および高圧電極とY電極の間の気体が電離し、イオンペアが生成される。生成されたイオンペアは、電場によってX電極およびY電極に移動して、ワイヤ(以降、チャンネルと呼ぶ)により回収される。従って、各チャンネルの検出電荷量を計測することにより、ビーム形状21を測定することができる。また、各チャンネルの検出電荷量を演算処理することにより、ビームの重心位置およびビーム幅を算出できる。
モニタ信号処理装置22は、2つのパルスカウンタ22aを備え、入力したパルス信号を受け取って信号処理する。具体的には、モニタ信号処理装置22のパルスカウンタは入力したパルス信号に基づいてパルス数を積算し、積算されたパルス数を下流ビームモニタ監視制御装置8b2の積算パルスカウンタ取込装置8b2−1に出力する。下流ビームモニタ監視制御装置8b2は、2つの積算パルス取込装置(第1の積算パルス取込装置と第2の積算パルス取込装置)を備える。
第1の積算パルス取込装置は、X電極につながるパルスカウンタに接続され、X電極で検出された信号に基づくパルス数のデータ収集を行い、X軸方向の荷電粒子ビームのビーム位置およびビーム幅を求める。また、第2の積算パルス取込装置は、Y電極につながるパルスカウンタに接続され、Y電極で検出された信号に基づくパルス数のデータ収集を行い、Y軸方向の荷電粒子ビームのビーム位置およびビーム幅を求める。第1の積算パルス取込装置と第2の積算パルス取込装置は、下流ビームモニタ監視制御装置8b2内のCPU8b2−2に接続される。
第1の積算パルス取込装置および第2の積算パルス取込装置で収集して求めたビーム位置およびビーム幅のデータ(処理信号)は、CPUにて取り込まれる。CPUは処理信号に基づいて、ワイヤ電極を通過した荷電粒子ビームのビーム形状、ビームの重心位置およびビーム幅を算出する。
ここで、荷電粒子ビームのビーム形状とは、荷電粒子ビームのビーム軌道に垂直な平面内(X−Y平面)でのビームの強度分布を示す。
本実施形態では、下流ビームモニタ監視制御装置8b2がX軸方向のビーム形状およびY軸方向のビーム形状のそれぞれを求める構成としたが、これに限定されない。他には、第1の積算パルス取込装置がX電極からの検出信号に基づいてX電極を通過した荷電粒子ビームのX軸方向のビーム形状を求め、第2の積算パルス取込装置がY電極からの検出信号に基づいてY電極を通過した荷電粒子ビームのY軸方向のビーム形状を求める構成としても良い。
この場合、下流ビームモニタ監視制御装置8b2は、第1の積算パルス取込装置からのX軸方向のビーム形状の情報および第2の積算パルス取込装置からのY軸方向のビーム形状の情報に基づいて、X−Y平面でのビーム形状を求める。
図5は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態におけるチャンネルのグループ化処理接続の一例を示す概略図、図6は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態における置換接続の一例を示す概略図、図7は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態における置換接続の一例を示す概略図、図8は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態におけるチャンネルグループ化モニタシステムの概略図、図9は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態における置換接続の一例を示す概略図、図10は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態における置換接続の一例を示す概略図、図11は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態におけるチャンネルグループ化モニタシステムの概略図、図12は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態におけるチャンネルグループ化モニタシステムの正常時における出力分布を示す図、図13は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態におけるチャンネルグループ化モニタシステムの異常時における出力分布を示す図、図14は本発明のビームモニタシステムの第1の実施形態におけるチャンネルグループ化モニタシステムの異常時における照射位置特定の概念図である。
X軸ビームモニタ11d1を構成するワイヤ電極を、設置位置に関する物理的な並びで、端から順番にチャンネル1,2,3,4・・・768と示した場合、区分1がチャンネル1〜32、区分2がチャンネル33〜64、‥‥、区分23がチャンネル705〜736、区分24がチャンネル737〜768である。
また、本実施形態では、隣り合う4つの区分を一つのグループとする。すなわち、区分1〜4をグループ1、区分5〜8をグループ2、区分9〜12をグループ3、区分13〜16をグループ4、区分17〜20をグループ5、区分21〜24をグループ6とする。ここで、一つのグループを構成する複数のワイヤ電極の端から端までの幅が、照射予定の荷電粒子ビームのビーム幅よりも大きくなるように一つのグループを構成し、ビーム位置およびビーム幅の計算に必要なビーム分布は(1グループ内の区分数−1)区分内に現れるものとする。
例えば、グループ2に属する区分5の129ch〜160chを構成するそれぞれのワイヤ電極は、区分1の1ch〜32chを構成するワイヤ電極のいずれか一つに接続される。グループ3に属する区分9の257ch〜288chを構成するそれぞれのワイヤ電極は、区分1の1ch〜32chを構成するワイヤ電極のいずれか一つに接続される。グループ4に属する区分13を構成するそれぞれのワイヤ電極は、区分1の1ch〜32chを構成するワイヤ電極のいずれか一つに接続される。グループ5に属する区分17の513ch〜544chを構成するそれぞれのワイヤ電極は、区分1の1ch〜32chを構成するワイヤ電極のいずれか一つに接続される。グループ6に属する区分21の641ch〜672chを構成するそれぞれのワイヤ電極は、区分1の1ch〜32chを構成するワイヤ電極のいずれか一つに接続される。
上記と同様に、グループ1の区分2,3,4を構成するワイヤ電極とは、グループ2の区分6,7,8を構成するワイヤ電極、グループ3の区分10,11,12を構成するワイヤ電極、グループ4の区分14,15,16を構成するワイヤ電極、グループ5の区分18,19,20を構成するワイヤ電極、グループ6の区分22,23,24を構成するワイヤ電極が各々接続される。
この際、区分内のワイヤ電極の接続方法は、区分内の物理的並びのままとせず、グループ固有の並びとしてワイヤ電極同士を接続することで、ワイヤ電極で計測されるビームの分布形状を電流・周波数変換器23の入力でグループ固有の分布形状にできる。これにより、分布形状から、どのワイヤ電極のグループへのビーム照射が行われたかを判断できる。以下に、この接続方法の詳細を示す。
グループ3の区分9は置換接続P1と異なる置換接続P2で、区分1の各チャンネルへ、同様に区分10,11,12の各チャンネルも置換接続P2で区分2,3,4の各チャンネルへ接続する。
グループ4の区分13,14,15,16はP1およびP2と異なる置換接続P3によりそれぞれ区分1,2,3,4へ、グループ5の区分17,18,19,20はP1、P2およびP3と異なる置換接続P4でそれぞれ区分1,2,3,4へ、グループ6の区分21,22,23,24はP1、P2、P3およびP4と異なる置換接続P5でそれぞれ区分1,2,3,4へ接続される。
このように、グループ毎に異なる置換接続によって、ある区分に属するワイヤ電極と他のグループの区分に属するワイヤ電極とを接続する。
例えば、置換接続P1は区間1と3、2と5、4と7,6と8を入れ替えた置換である。P2は1と4、2と7、3と5、6と8を入れ替え、P3は1と5、2と4、3と7、6と8を入れ替え、P4は1と7、2と6、3と5、4と8を入れ替え、P5は1と5、2と7、3と8、4と6を入れ替えた置換である。
すなわち、(2)に対しては1区間隣の区間と循環的に入れ替える((2)の位置のデータを循環的に1区間分ずらす)接続構成とし、(4)に対しては3区間分隣の区間と循環的に入替えを行う((4)の位置のデータを循環的に3区間分ずらす)接続構成を適用している。これにより、置換前後のチャンネルの並びの関係が(1)固定、(2)1区間隣、(3)固定、(4)3区間隣となっている。
例えば、図10に示すように、クループ3の区分9−12は、(1)固定、(2)2区間隣、(3)固定、(4)4区間隣となるよう(循環)置換を適用する。グループ4の区分13−16は、(1)固定、(2)3区間隣、(3)固定、(4)5区間隣となるよう(循環)置換を適用する。グループ5の区分17−20は、(1)固定、(2)4区間隣、(3)固定、(4)6区間隣となるよう(循環)置換を適用する。グループ6の区分21−24は、(1)固定、(2)5区間隣、(3)固定、(4)7区間隣となるよう(循環)置換を適用する。
これにより、区間内の連続する4つの計測チャンネルのうち隣り合う2つのチャンネルが物理的に連続しないように電流・周波数変換器23のチャンネルにワイヤ電極が接続されている。
しかし、ビームをどこに照射するかは予め治療計画装置6により定められている。このため、治療計画装置6で作成された治療計画データに基づき、実照射ビームが、P1〜P5のどの置換接続を実施されたかも予測することができる。
例えば、目標照射位置が区分19であるのに対し、実際のビーム照射位置が区分7となった場合について考える。
照射位置特定処理60として、例えば、図14に示すように、異常照射が起こった出力分布に対し、P1の逆置換、P2の逆置換、…と順次逆置換を実施し、ガウス分布が得られる置換接続を特定する。これにより、どのチャンネルに異常照射したかを正確に知ることができる。本実施形態の場合はP1の逆置換でガウス分布が得られるため、グループ2の特定のチャンネルに異常照射したことが明確になる。
このシミュレーションとは、計算機上で実際のビームモニタシステム中のセンサ部からパルス発生器入力前までを模擬し、異常照射時の実照射分布をガウス分布と想定して、ビーム位置,ビーム幅をある値からある値まで一定の間隔でそれぞれ変化させた入力を与え、ビーム位置から決まる置換接続が適用されたそれぞれの計算機出力結果と実照射の信号処理装置22、もしくは下流ビームモニタ制御装置に入力される分布を比較し一致するものを求め、異常照射時のビーム位置,ビーム幅を求めるものである。
本実施形態のビームモニタシステムと、従来のビームモニタシステムを比較する。
そのため、シンプルな構成でモニタシステムを構築することができる。また、本実施形態によれば、ワイヤの接続方法をグループ毎に変更することで照射位置を正確に知ることができ、信頼性の高いモニタシステムを実現できる。
また、単純に区間を入れ替える置換を行うと、位置幅計算に必要とされるチャンネル数が区間内に収まるビーム幅の狭いビームが照射される場合に、分布形状が置換接続の有無、種類に関わらず変化しないために、計測位置でのビームの分布形状が置換接続後の電流・周波数変換器23でのビームの分布形状と一致して、誤照射ビームを検出できない可能性がある。しかし、本実施形態の置換接続の構成によれば、ビームの分布が最低限確認できる3ch程度の細いビームであっても、あるまとまった連続する計測チャンネルに対して、2チャンネルは物理的に連続しないように信号処理装置のチャンネルにワイヤ接続されていることによって計測位置でのビームの分布形状が置換接続によって崩れる。このため、計測位置でのビームの分布を信号処理装置22でグループ毎に必ず変化させることができ、位置幅計算にずれが生じ、誤った位置への照射を正確に検出することができる。
本発明のビームモニタシステムおよび粒子線照射システムの第2の実施形態を図15および図16を用いて説明する。
図15は本発明のビームモニタシステムの第2の実施形態におけるフィッティング関数と実測値の分布の一例を示す図、図16は本発明のビームモニタシステムの第2の実施形態におけるフィッティング関数と実測値の分布の他の例を示す図である。
上記上流ビームモニタ監視制御装置8b1または下流ビームモニタ監視制御装置8b2における判断条件以外の構成は第1の実施形態のビームモニタシステムおよび粒子線照射システムと略同じであるため、詳細は省略する。
分散値σ2は、ビーム位置幅計算に用いるチャンネル数をn、計測チャンネルをxとしてフィッティング関数をf(x)、実測値をM(x)と表すと、次式(1)
この場合は、フィッティング関数112aと実測値111aとの差分は非常に小さくなり、分散値も許容値以下となる。そのため、下流ビームモニタ監視制御装置8b2は正常なビーム位置での照射であると判定し、下流ビームモニタ監視制御装置8b2は、求めたビーム位置およびビーム幅を操作端末40に備えられた表示画面に表示させ、荷電粒子ビームのビーム位置およびビーム幅を表示する。
この場合は、フィッティング関数112bからの実測値111bのずれが大きくなるため、分散値は許容値より大きくなる。そのため、下流ビームモニタ監視制御装置8b2は正常なビーム位置での照射でないと判定し、ビームのエラーを示すエラー信号を中央制御装置5に出力する。また、下流ビームモニタ監視制御装置8b2は、照射位置特定処理60を実施する。
すなわち、シンプルな構成でモニタシステムを構築することができ、低コストかつ信頼性の高いモニタシステムを実現することができる。
これに対し、位置および幅の算出結果が許容値以下であるかの判断条件に加えて、分布から求められるフィッティング関数と実測値とのチャンネル毎の差分の分散値が許容値以下の場合に適切な照射であると判断する条件を加えることにより、実測値と計算に使用するフィッティング関数とのずれを評価し、適切なビーム位置であるかどうかをより正確に判断することができ、計算上で誤照射を正確に検出するモニタシステムを実現することができる。
本発明のビームモニタシステムおよび粒子線照射システムの第3の実施形態を図17を用いて説明する。
図17はラスタースキャン方式による荷電粒子ビーム照射の制御のフローチャート図である。
本実施形態の粒子線照射システムは、患者13の患部をビーム進行方向に複数のレイヤーに分割し、各レイヤーにおいて荷電粒子ビームの照射を継続したまま(ビームONのまま)、荷電粒子ビームを走査するラスタースキャニング照射法におけるビーム位置およびビーム幅を監視するビームモニタシステムを備える。
治療開始信号を入力した中央制御装置5は、加速器・輸送系制御システム7に指令信号を送信する。
加速器・輸送系制御システム7は、最初に照射するレイヤー(最初に照射するビームエネルギー情報)に相当する運転パラメータを円形加速器16およびビーム輸送系2に設定する。円形加速器16およびビーム輸送系2の運転パラメータが設定されて準備完了すると(ステップS30)、走査電磁石電源制御装置8cは励磁電流パラメータに基づいて走査電磁石11bを励磁する(ステップS31A)。最初の照射位置に対応する励磁電流が走査電磁石11bに励磁された後、モニタ監視制御装置8bの線量監視制御装置8b3が、当該スポット位置に対する目標線量値に基づいてビーム線量の監視を開始し(ステップS32A)、照射準備が完了する。
ステップS34に戻り、照射満了した照射スポットがレイヤー内での最後のスポット位置であると判断されるまで(Yesと判断されるまで)、線量満了の判断ステップS34から最後のスポットであるか否かの判定までの制御フロー37Aを繰り返し行う。
すなわち、シンプルな構成でモニタシステムを構築することができ、低コストかつ信頼性の高いモニタシステムを実現することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。
例えば、実施形態において、信号処理装置は電流・周波数変換器およびパルスカウンタを含むデジタルモニタ信号処理装置で構成されているが、電荷を積分し、電圧に変換して出力する回路や電流を電圧に変換し出力するアナログモニタ信号処理装置によって構成されてもよい。
また、モニタのチャンネル、区分、およびグループは任意の数で構成することができ、グループ内の置換接続は同一でなくてもよい。
また、置換接続は1区分を複数区間に分割した後、区間同士の入れ替えによる置換を行ったが、それに限らず任意の置換方法で実施することができる。
2…ビーム輸送系、
3…スキャニング照射装置、
4…制御システム、
5…中央制御装置、
6…治療計画装置、
7…加速器制御システム、
8…照射制御システム、
8a…患者機器制御装置、
8a1…回転ガントリ制御装置、
8a2…治療台制御装置、
8a3…ノズル内機器制御装置、
8b…モニタ監視制御装置、
8b1…上流ビームモニタ監視制御装置、
8b2…下流ビームモニタ監視制御装置、
8b2−1…積算パルス取込装置、
8b2−2…CPU、
8b3…線量監視制御装置、
8c…走査電磁石電源制御装置、
10…治療台、
11…照射ノズル、
11a…上流ビームモニタ、
11b…走査電磁石、
11c…線量モニタ、
11d…下流ビームモニタ、
11d1…下流ビームモニタ(X軸方向)、
11d2…下流ビームモニタ(Y軸方向)、
12…荷電粒子ビーム、
13…患者・患部、
14…回転ガントリ、
15…前段加速器、
16…円形加速器
21…ワイヤ電極で計測された計測分布、
22…モニタ信号処理装置(デジタル信号処理)、
23…電流・周波数変換器、
40…操作端末、
50a…正常時分布、
50b…異常時分布、
51a…出力分布(正常時)、
52a…逆置換出力分布(正常時)、
51b…出力分布(異常時)、
52b…逆置換出力分布(異常時)、
60…照射位置特定処理、
111a…第2の実施形態における正しいビーム位置の場合の実測値、
111b…第2の実施形態における誤ったビーム位置の場合の実測値、
112a…第2の実施形態における正しいビーム位置の場合のフィッティング関数、
112b…第2の実施形態における誤ったビーム位置の場合のフィッティング関数、
113b…第2の実施形態における実測値とフィッティング関数の差分、
S30…スキャニング照射方式の加速器準備、
S31…スキャニング照射方式の走査電磁石設定、
S32…スキャニング照射方式のスポット線量目標設定、
S33…スキャニング照射方式のビームON、
S34…スキャニング照射方式の線量満了、
S35…スキャニング照射方式のビームOFF、
S36…スキャニング照射方式のビーム位置・幅計算、
S37…スキャニング照射方式のスポット照射制御フロー部、
S38…スキャニング照射方式のレイヤー・エネルギー変更制御フロー部、
S39…スキャニング照射方式の治療終了、
S31A…ラスタースキャン方式の走査電磁石設定、
S32A…ラスタースキャン方式のスポット線量目標設定、
S35A…ラスタースキャン方式のビームOFF、
S35B…ラスタースキャン方式のGスポット走査電磁石設定、
S35C…ラスタースキャン方式のGスポット線量目標値設定、
S36A…ラスタースキャン方式のビーム位置・幅計算、
S37A…ラスタースキャン方式のスポット照射制御フロー部、
S38A…ラスタースキャン方式のレイヤー・エネルギー変更制御フロー部。
Claims (5)
- 収集電極と、信号処理装置と、ビームモニタ制御装置とを備えたビームモニタシステムであって、
前記収集電極は、通過する荷電粒子ビームを検出する電極であって、隣り合う複数のワイヤ電極を一つのグループとした前記グループを複数有し、このグループは隣り合う複数の前記ワイヤ電極で構成される区分に分割され、あるグループのある区分に属する各々の前記ワイヤ電極は他のグループに属する区分のいずれか一つの前記ワイヤ電極とそれぞれ同一の配線によって前記信号処理装置に対して各々接続され、このうち他のグループに属する区分のいずれか一つの前記ワイヤ電極は2チャンネルは物理的に連続しないようにグループ毎に異なるように置換されて前記同一の配線によって前記信号処理装置に対して各々接続されており、
前記信号処理装置は、前記ワイヤ電極から出力された検出信号を計画したビーム照射目標位置に関連する情報と前記置換接続の情報とに基づいて並び替え、処理信号として出力し、
前記ビームモニタ制御装置は、前記信号処理装置から出力された処理信号に基づいて、前記ワイヤ電極を通過した荷電粒子ビームのビーム位置とビーム幅とを演算する
ことを特徴とするビームモニタシステム。 - 請求項1に記載のビームモニタシステムにおいて、
前記ビームモニタ制御装置は、前記信号処理装置からの処理信号から求めたビーム分布のフィッティング関数と実測値とのチャンネル毎のずれが許容値以下であるか否かを判定し、前記ずれが許容値以下であると判定されるときは適切な照射であると判断し、前記ずれが許容値より大きいときは適切でない照射であると判断して警告用信号を出力する
ことを特徴とするビームモニタシステム。 - 請求項2に記載のビームモニタシステムにおいて、
前記ビームモニタ制御装置は、前記信号処理装置からの処理信号から求めたビーム分布のフィッティング関数と実測値とのチャンネル毎のずれとして、差分もしくは差分の和もしくは差分の二乗和の分散値の少なくともいずれかを演算する
ことを特徴とするビームモニタシステム。 - 収集電極と、信号処理装置と、ビームモニタ制御装置とを備えたビームモニタシステムであって、
前記収集電極は、通過する荷電粒子ビームを検出する電極であって、隣り合う複数のワイヤ電極を一つのグループとした前記グループを複数有し、このグループは隣り合う複数の前記ワイヤ電極で構成される区分に分割され、あるグループのある区分に属する各々の前記ワイヤ電極は他のグループに属する区分のいずれか一つの前記ワイヤ電極とそれぞれ同一の配線によって前記信号処理装置に対して各々接続され、このうち他のグループに属する区分のいずれか一つの前記ワイヤ電極は2チャンネルは物理的に連続しないようにグループ毎に異なるように置換されて前記同一の配線によって前記信号処理装置に対して各々接続されており、
前記信号処理装置は、前記収集電極の前記ワイヤ電極から出力された検出信号を受け取って信号処理する信号処理装置であって、前記ワイヤ電極から出力された検出信号を元に全てのビーム位置に対してとりうる区分の組合せに対する並び替えを全て実施し、処理信号として出力し、
前記ビームモニタ制御装置は、前記信号処理装置から出力された処理信号から、ビーム分布のフィッティング関数と実測値とのチャンネル毎のずれとして、差分もしくは差分の和もしくは差分の二乗和の分散値の少なくともいずれかを演算し、それぞれの区分の組合せに対する前記差分もしくは前記差分の和もしくは前記差分の二乗和の分散値の少なくともいずれかの演算結果が許容値以下かつ最小となる場合を実照射位置と判断し、前記ワイヤ電極を通過した荷電粒子ビームのビーム位置とビーム幅とを演算する
ことを特徴とするビームモニタシステム。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビームモニタシステムを備えた
ことを特徴とする粒子線照射システム。
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