JP6094942B2 - 多孔質ゴム印字体 - Google Patents

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Description

本発明は、インキ内蔵タイプの浸透印に使用される連続気泡を有する多孔質ゴム印字体に関する。
特許文献1には、無数の連続気泡を有する多孔質ゴム印字体として使用する多孔質ゴムについて開示されている。特許文献1に開示されている多孔質ゴム印字体は、ゴム組成物、カーボンブラック、水溶性化合物、加硫剤、充填剤及び、必要に応じて添加剤等を混練してマスターバッチとし、当該マスターバッチを加硫した後、水溶性化合物を除去して得られるものである。
特開2003−237205
しかし、本出願人が開示した特許文献1の発明は必要に応じて添加剤等を用いることができるが、これらのうち滑剤はゴム製造時の加工性を向上させることが目的であって、ゴム硬度や引張強度を下げずにインキの吸収時間を速める点では改善の余地があった。
すなわち、インキを多孔質ゴム印字体に吸収させる際、毛細管力を利用するだけのいわゆる自然含浸では多大な時間を要するため、従来、真空含浸法により強制的にインキをゴムに吸収させる方法が採用されていた。真空含浸法には真空含浸装置を必要とするためコストがかかる。それゆえ、生産コストを圧縮するために自然含浸で吸収可能なゴムの開発が切望されていた。
なおゴム硬度が下がり柔らかくなると、捺印時、印字体の印面が歪んでインキ付着量が増加し、捺印印影が滲む問題が生じる。また引張強度が弱くなると、捺印回数が増加した際、印面と紙面との摩擦によって印面が欠損する問題が生じる。
上記の課題を解決するために完成された発明は、ゴム、水溶性化合物、加硫剤、充填剤、前記ゴム100重量部に対して0.5〜5重量部のシリコーン系界面活性剤を混練りしてマスターバッチとし、該マスターバッチをシート化し、シート化したマスターバッチを加硫し、前記水溶性化合物を除去し、得られた多孔質シート体を切断して多孔質ゴム印字体とし、ひまし油誘導体を少なくとも含有する溶剤と、着色剤と、前記溶剤に可溶な樹脂とを少なくとも含有するインキを、前記多孔質ゴム印字体全体に、8時間以上12時間以内で自然含浸して得られる多孔質ゴム印字体の製造方法。
本発明によれば、ゴム硬度や引張強度をを下げずにインキの吸収時間を速めることができ、従来の真空含浸法ではなく、自然含浸にてインキ含浸が可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ゴムとしては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム等が使用できる。
水溶性化合物としては、塩や糖などの微粉末を使用できる。
ここでいう塩とは、微粉末化し易く、ゴムの加硫温度(約110℃〜約160℃)において分解ガス化せず、かつ、加熱後は水によって容易に除去できる無機化合物をいい、好適な具体例としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどの金属塩が挙げられる。これらは、単独で用いることもできるし、併用することもできる。
また、ここでいう糖は、加硫の際、熱の影響をうけて膨潤し、含量した微量水分をガスとして発生し、このガスは一種の発泡剤的作用をなして気泡形成に良い結果を与えるものをいい、好適な具体例としては、ペントースやヘキトースなどの単糖類、サッカロースやマルトースなどの二糖類、デンプンやグリコーゲンなどの多糖類が挙げられ、これらは、単独で用いることもできるし、併用することもできる。とりわけ、糖としては、デンプンを用いることが好ましい。デンプンは、可溶性において優れているうえ、均一な所要粒径を有する粉末が容易に得られ、また、安価であるとの理由からである。
水溶性化合物としては、塩と糖とを単独で用いてもよいし、これらを併用することもできる。また、塩と糖とを単独で用いるか、或いはこれらを併用するかは、用途によって、選択することもできる。これらを併用する場合には、塩と糖の配合重量比は約9:1ないし約3:1程度がよく、特に約4:1の割合で使用するのが好ましい。
このような配合重量比とすることで、糖の量が多すぎることによる加硫の際に水分および炭酸ガスが多く発生することを防止できる。当該水分等は、ゴム内の気泡のコントロールを困難とし、気泡が不均一になるおそれがあるので、回避することが必要である。また、糖の量が多すぎると、糖自体の分解が進行しすぎて金型内で混合物が成型不能となるおそれもあるからである。他方、逆に糖の量が少なすぎると、塩粒子相互間に糖粒子が適確に介在せず、糖を添加したことによる効果が充分発揮できない。
金属塩の大きさは、その種別にもよるが、通常、約32メッシュ〜約350メッシュ(約0.044mm〜約0.498mm)のものを使用するとよい。また、金属塩の使用比率は、ゴム100部に対して、約200部〜約1200部とすればよく、好ましくは、約400部〜約600部とすればよい。
一方、糖の大きさは、その種別にもよるが、通常、約150メッシュパス(約0.010mm〜約0.103mm)のものを使用するとよい。また、糖の使用比率は、ゴム100部に対して、約50部〜約300部とすればよく、好ましくは約100部〜約200部とすればよい。
加硫剤(架橋剤)としては、沈降硫黄、硫黄、セレン、テルル、塩化硫黄などの硫黄系加硫剤、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3ビス(t−ブチルパーオキシ−i−プロピル)ベンゼンなどの過酸化物を挙げることができる。これらは、いずれかを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。加硫剤の使用比率は、ゴム100部に対して約2部〜約5部とすればよく、好適には、約3部〜約4部とすればよい。
充填剤としては、クレー、タルク、シリカ、マイカ、珪酸、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシルム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン・酸化ケイ素・酸化アンチモン・酸化スズ・黒酸化鉄・赤酸化鉄などを雲母に被覆させた金属酸化物被覆雲母などを挙げることができる。これらも、いずれかを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。充填剤の使用比率は、ゴム100部に対して約0.1部〜約60部とすればよい。
さらに、本実施形態では、必要に応じて、各種添加物も使用することができる。例えば、アミン系の老化防止剤、ワセリン、可塑剤などの軟化剤、亜鉛華などの加硫助剤、グアニジン系の加硫促進剤などを有効量添加することができる。これらも、いずれかを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
さらに、有機系合成繊維を適量添加することもできる。有機系合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アクリル系繊維、ナイロン6・ナイロン6/6・ナイロン4/6・ナイロン6/10・ナイロン11等の脂肪族ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアルキルパラオキシベンゾエート繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリオキシメチレン繊維などを用いることができ、繊維長が約0.2mm〜約2mmとしたステープルが用いられる。これらも、いずれかを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。また、これらの有機系合成繊維は、特に繊度0.1d〜100dのものを用いることが好ましい。
本実施形態に係るシリコーン系界面活性剤は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−302、BYK−333、BYK−378等)、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン(例えばBYK−320等)、ポリエーテル変性シロキサン(例えばBYK−345、BYK−346等)、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−377)、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(例えばBYK-310、BYK-313等)、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−370)、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン(例えばBYK−322、BYK−323等)、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−UV3500)のいずれかのシリコーン系界面活性剤を用いることができる。
他の特性(成型加工性、硬度、引張強度、レーザ加工性、インキ消費量)を低下させずインキの吸収時間のみ速めるためには、前記シリコーン系界面活性剤の中でも特に、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−302、BYK−333、BYK−378等)、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン(例えばBYK−322、BYK−323等)、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−377)、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(例えばBYK−UV3500)のいずれかのシリコーン系界面活性剤を用いることが好ましい。
ここで、前記BYKシリーズはビックケミー株式会社製であり、また、前記シリコーン系界面活性剤は1種類で使用してもよいし、複数種類を併用して使用してもよい。
本実施形態のシリコーン系界面活性剤を採用すると、インキの吸収時間が短縮され、毛細管力を利用したいわゆる自然含浸が可能となる。自然含浸が可能となると真空含浸装置等の設備投資が不要となり、生産コストを圧縮できる利点がある。
ここで、多孔質ゴム印字体としては、無数の微細な気泡を有していて印面が彫刻されるトップ層と、その背面に位置するベース層とを有する二層のものと、これらを区別しない単層のものとがある。本実施形態の多孔質ゴム印字体は、単層・二層のいずれの多孔質ゴム印字体にも適用することができ、二層の場合にはトップ層とベース層とのいずれにも適用することができる。これは、本実施形態の多孔質ゴム印字体が、後述のように、レーザ加工の面からトップ層に好適に用いることができるし、その硬度の面からベース層に好適に用いることができるという理由による。
なお、トップ層とベース層とを有する二層の多孔質ゴム印字体の場合には、ベース層の気泡径はトップ層の気泡径よりも大きくなるように設計するとよい。こうすると、ベース層からトップ層へ安定したインキ供給が毛細管現象により可能となるためである。また、ベース層とトップ層とは、単に重ね合わせてもよいし、これらを未加硫の段階で重ね合わせて加硫して一体化してもよい。
つぎに、以上の各原料を混練機に入れ混練し、マスターバッチとする。ついで、カレンダーロールやプレス等で形を整えて、未加硫シートを作成する。
それから、シート化したマスターバッチを金型に入れ、約10分〜約2時間、約80℃〜160℃の温度下で加熱加硫させる。加熱手段としては、例えば電熱加熱や蒸気加熱を利用できる。
つぎに、加硫物を金型から取り出して、冷水または温水を使用して圧縮と膨張復元をくり返しつつ、水溶性化合物の洗い出しを行なう。これにより、連続気泡を有する多孔質ゴムシート体が得られる。この多孔質ゴムシート体を適当なサイズに切断すれば、多孔質ゴム印字体が得られる。
つぎに、多孔質ゴム印字体をトップ層に用いる場合には、炭酸ガスレーザ加工機やYAGレーザ加工機を用いて印面を彫刻した後に、これを適当なサイズに切断してから用いればよい。一方、多孔質ゴム印字体をベース層に用いる場合には、これを適当なサイズに切断してから用いればよい。
また、ベース層とトップ層とを有する二層の多孔質ゴム印字体の場合には、未加硫の段階で重ね合わせたベース層とトップ層とを加硫して一体化したのち、トップ層側から炭酸ガスレーザ加工機やYAGレーザ加工機を用いて印面を彫刻し、これを適当なサイズに切断してから用いればよい。
インキとしては、ひまし油誘導体を少なくとも含有する溶剤と、着色剤と、前記溶剤に可溶な樹脂とを少なくとも含有する。
ひまし油誘導体としては、プロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドによりひまし油を変性したひまし油多価アルコールエーテル、メタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールによりひまし油を変性したひまし油脂肪酸アルキルエステル、から選ばれる。前記脂肪酸とは、リシノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸等から選ばれる。
また、必要に応じてグリコールエーテルを混合できる。グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−メトキシプロパノール、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)モノメチルエーテル、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)モノエチルエーテルなどをあげることができる。
着色剤としては、特に制限されることなく従来公知の有機顔料及び無機顔料、従来公知の油溶性染料を特に制限されることなく使用することができる。
顔料としては、例えば、縮合アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ・チオインジゴ系、ベリノン・ベリレン系、イソインドレノン系、アゾメチレンアゾ系、ジケトピロロピロール系などの有機顔料や、カーボンブラック、マイカ、チタン白、パール顔料、酸化鉄・アルミニウム粉・真鍮等金属顔料などの無機顔料を用いることができる。これらの顔料は通常、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ロジンエステルなどの公知の樹脂などに練り込んで加工顔料としておくと、溶剤と混合する際に容易に分散するので便利である。また、既に分散剤中に顔料を練り込んである市販の加工顔料として、MICROLITH Black C−A、MICROLITH Scarlet R−A、MICROLITH Yellow 2R−A、MICROLITH Red 4C−K、MICROLITH Blue 4G−T(以上、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)などを用いてもよい。これらの顔料は色合いを勘案しながら単独又は混合して使用でき、インキ全量に対し1〜30重量%の顔料分が使用できる。
染料としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系などを例示することができる。これらの油溶性染料は色合いを勘案しながら単独又は混合して使用でき、インキ全量に対し1〜30重量%を使用することができる。
樹脂としては、前記溶剤に溶解する樹脂を選択し、インキ全量に対して1〜30重量%の範囲にて使用できる。具体的にはアルキッド樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン樹脂、ロジンマレイン酸樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等である。
上記溶剤は、粘度、他の物質の溶解力、使用用途、対象押印物の性質、インキ吸蔵体や容器等の侵食等を勘案して任意に混同して使用することができるが、溶剤総量はインキ全量に対して30〜99重量%が使用され、インキ全量に対して40〜95重量%のひまし油誘導体を用いるのが好ましい。
本発明のインキとしては、上記物質を適量選択して、撹拌機にて常温以上100℃以下で約2時間混合分散して製造する。粘度は自由に設定することができるが、本発明では特に、100〜1000mPa・s(25℃)のインキを用いることが好ましい。この範囲以上では印影が乾燥するまでに時間がかかりすぎ、これ以下ではにじみを防止することが困難だからである。
以下、本発明の実施例の多孔質ゴム印字体につき、更に詳細に説明する。もっとも、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない点に留意されたい。
合成ゴム(NBR)を約100重量部、硫黄を約3.5重量部、亜鉛華を約5重量部、加硫促進剤を約5重量部、液状ゴム(低重合NBR分子量)・ワセリン・DBP等からなる軟化剤を約30重量部、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−333)約0.5重量部、シリカを約28重量部、老化防止剤を約2重量部、約200メッシュ〜約350メッシュ(約0.044mm〜約0.074mm)の塩化ナトリウムを約800重量部、約150〜約250メッシュ(約0.062mm〜約0.103mm)のデンプンを約200重量部加えてから、これらを混練してマスターバッチを製造した(実施例1)。
また、実施例1中のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−333)につき、約0.5重量部の添加量に代えて、約1重量部、約3重量部、約5重量部の添加量として、その他の条件は実施例1の場合と同様にして、マスターバッチを製造した(実施例2、3、4)。
また、比較例として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−333)につき、約0.5重量部の添加量に代えて、0重量部(添加しない)、約7重量部の添加量として、その他の条件は実施例1の場合と同様にして、マスターバッチを製造した(比較例1、2)。
また、比較例として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK−333)に代えて、PEG約5重量部、PPG約5重量部の添加量として、その他の条件は実施例1の場合と同様にして、マスターバッチを製造した(比較例3、4)。
つづいて、各実施例に係るマスターバッチをカレンダーロールにて、厚さ約5mmの平板状のシートとした。次に、当該各シートを平滑な金型内に収容した。次いで、約200kg/cm2程度の圧力を加えて熱盤間に挟圧し、約100℃の温度下で約60分間加硫した。
その後、各々につき、加硫後離型して、塩化ナトリウム、デンプンが完全に除去されるまで充分に水洗し、脱水乾燥することによって、液体吸収ゴムを製造した。その後、当該液体吸収ゴムにつき、トップ層としての適性をみるために、YAGレーザ加工機で所望の彫刻を行ってから適当なサイズに切断し、また、ベース層としての適性をみるために、彫刻を行うことなく適当なサイズに切断した。
Figure 0006094942
表1は、実施例1〜4の各々につき、成型加工性、硬度、引張強度、レーザ加工性、インキ消費量、インキの吸収時間の評価結果を示す表である。参考のため比較例1〜4も付記した。また、理解容易のため、シリコーン系界面活性剤、PEG、PPGのゴムに対する含有量も示した。
表1に示すように、まず成型加工性につき実施例1〜4の多孔質ゴム印字体と比較例1〜4の多孔質ゴム印字体とを対比すると、実施例1〜4および比較例1、2、4はいずれも混練り性が良好だった。一方、比較例3のものは溶剤がブリードし成型加工性が悪かった。
次に硬度について、実施例1〜4の多孔質ゴム印字体と比較例1〜4の多孔質ゴム印字体とを対比すると、比較例2を除いてほぼ同等の値であることが分かる。多孔質ゴム印字体のトップ層は、硬度が40〜50程度であることが推奨されていることから、実施例1〜4及び比較例1、3、4の多孔質ゴム印字体は、とりわけ、トップ層として好適に用いることができることが分かる。硬度が40未満と柔らかくなると、捺印時、印字体の印面が歪んでインキ付着量が増加し、捺印印影が滲む問題が生じる。
なお、硬度の測定は、試験対象となる多孔質ゴム印字体を硬い剛性のある平らな面に置き、押し針が多孔質ゴム印字体の測定面に対して直角になるようにE型硬度計を保持し、加圧面に衝撃が加わらない程度に、なるべく速やかに試験片測定面に密着させて、目盛を読み込むことによって測定した。この測定方法はJIS K 6253に準拠する。
次に引張強度について、実施例1〜4の多孔質ゴム印字体と比較例1〜4の多孔質ゴム印字体とを対比すると、比較例2を除いて1.30Mpa以上の値であることが分かる。多孔質ゴム印字体のトップ層は、引張強度が1.30Mpa〜1.60Mpa程度であることが推奨されていることから、実施例1〜4及び比較例1、3、4の多孔質ゴム印字体は、とりわけ、トップ層として好適に用いることができることが分かる。引張強度が1.30Mpa未満と弱くなると、捺印回数が増加した際、印面と紙面との摩擦によって印面が欠損する問題が生じる。
なお引張強度の測定は、加硫ゴムの引張試験方法JIS6251に準拠して行い、試験片の寸法はダンベル状2号形とした。
次にYAGレーザでの加工性については、実施例1〜4及び比較例1〜4の各多孔質ゴム印字体はともに優れていた。また、YAGレーザでの加工速度も、ほぼ同様であった。したがって、彫刻のためのレーザ加工については、実施例1〜4の多孔質ゴム印字体と比較例1〜4の多孔質ゴム印字体との間で大きな相違はないといえ、いずれも、トップ層に好適に用いることができる。
次に、インキ消費量につき、実施例1〜4の多孔質ゴム印字体と比較例1〜4の多孔質ゴム印字体とを対比すると、実施例1〜4の多孔質ゴム印字体については、いずれも略300mgを超える多量のインキ消費量が確認できた。一方、比較例の多孔質ゴム印字体については、比較例1、2、4は、実施例1〜4の場合と同程度の多量のインキ消費量が確認できたが、比較例3は少量のインキ消費量しか確認できなかった。
なお、インキ消費量の測定は、以下のようにして行った。まず、測定対象の多孔質ゴム印字体は、厚みが5mm、直径が9.5mmの円柱状のものとした。この場合の印面の版下面積は、約25mmとなる。インキには、ひまし油誘導体を少なくとも含有し、粘度約700mPa・sの油性顔料系朱インキを用い、これを多孔質ゴム印字体に飽和含浸させたのち、上質紙に5000回連続捺印したときのインキ消費量を測定した。インキ消費量が多いほど1回あたりの捺印に多くのインキを吐出したこととなり、連泡性が高いと考えられる。インキ消費量が300mg以上であれば、連泡性が良好であると判断できる。
次に、インキの吸収時間を測定した。ここでは、インキを満たしたシャーレ内にインキを含浸したパッド(インキ吸蔵体)を置き、そのパッド上に多孔質ゴム印字体を載置させてから、当該多孔質ゴム印字体全体にインキが含浸するまでの時間を測定した。
各実施例及び各比較例ともに、多孔質ゴム印字体には、厚みが5mm、直径が9.5mmの円柱状のものを用い、インキには、ひまし油誘導体を少なくとも含有し、粘度約700mPa・sの油性顔料系朱インキを用い、パッド(インキ吸蔵体)にはポリビニルアルコールのホルマリン縮合体を材質とした焼結体(多孔質体)を用いた。また、この測定は、約20℃の温度、約65%の湿度下で5回行い、表1にはこれらの平均値を示している。
比較例1、4の多孔質ゴム印字体の場合には、165時間を超えてもインクの吸収完了を確認できなかった。これに対して、実施例1〜4および比較例2の多孔質ゴム印字体の場合には、6〜12時間でインキの吸収完了を確認できた。また、比較例3の多孔質ゴム印字体の場合には、46時間でインキの吸収完了を確認できた。このことから、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを添加すると、インキの吸収の短縮化が図れるということがいえる。
以上、現時点において最も実践的でありかつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う多孔質ゴム印字体もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (1)

  1. ゴム、水溶性化合物、加硫剤、充填剤、前記ゴム100重量部に対して0.5〜5重量部のシリコーン系界面活性剤を混練りしてマスターバッチとし、
    該マスターバッチをシート化し、
    シート化したマスターバッチを加硫し、
    前記水溶性化合物を除去し、
    得られた多孔質シート体を切断して多孔質ゴム印字体とし、
    ひまし油誘導体を少なくとも含有する溶剤と、着色剤と、前記溶剤に可溶な樹脂とを少なくとも含有するインキを、前記多孔質ゴム印字体全体に、8時間以上12時間以内で自然含浸して得られる多孔質ゴム印字体の製造方法。
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