JP6094756B2 - 希少金属を使用しない磁石の評価方法及び評価システム - Google Patents

希少金属を使用しない磁石の評価方法及び評価システム Download PDF

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本発明は、希少金属を使用しない磁石の評価方法及び評価システムに関するものである。
希少金属を使用しない磁石の製造工程には、磁石の高保磁力化を目的とした粒界改質工程がある。この粒界改質工程では、NdCuを磁石表面から内部に浸透させる処理を行うため、NdCuが磁石内部まで十分に浸透していない状態では、目的とする保磁力が確保できない虞がある。このため、磁石へのNdCuの浸透度合いを評価する必要があり、磁石を非破壊で確認するこのような方法の一例として、磁石を磁化した後、磁束密度を計測する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−039736号公報
しかしながら、上述したような評価方法では、磁石を磁化する必要があるため、磁石が強力な磁石に変化し、後の工程での取り扱いが困難になるという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、希少金属を使用しない磁石へのNdCuの浸透度合いを、磁石を磁化することなく、非破壊で容易に評価することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)希少金属を使用しない磁石の評価方法であって、前記磁石に電流を流し、この際の電流を流す深さを変化させながら、前記磁石に電流を流すことで得られる、前記磁石に係るパラメータの変化量に基づき、前記磁石へのNdCuの浸透度合いを評価する磁石の評価方法(請求項1)。
本項に記載の磁石の評価方法は、希少金属を使用しない磁石への、NdCuの浸透度合いを評価する方法である。NdCuは、磁石の周囲にNdCuを配置して加熱する方法等により浸透させるため、磁石の表面から中心部へ向かって浸透する。このため、NdCuの浸透度合いによって、NdCuが浸透している磁石の深さや、同じ深さでのNdCuの浸透量に差が生じる。そこで、本項に記載の磁石の評価方法は、電流を流す磁石の深さを変化させながら磁石に電流を流し、この際に、例えば電気抵抗値等の、NdCuの影響を受けて変化する磁石のパラメータを計測する。そして、電流を流した磁石の深さに係る、計測した磁石のパラメータの変化量に基づいて、磁石へのNdCuの浸透度合いを評価するものである。これにより、磁石を磁化することなく、非破壊で容易に評価することとなる。
(2)上記(1)項において、一対の電極により前記磁石を挟み、前記一対の電極間に交流電流を流し、該交流電流の周波数を変化させながら、前記磁石の電気抵抗値を計測し、前記交流電流の周波数と前記磁石の電気抵抗値との関係に基づき、前記磁石へのNdCuの浸透度合いを評価する磁石の評価方法(請求項2)。
本項に記載の磁石の評価方法は、一対の電極により磁石を挟み、周波数を変化させながら、一対の電極間に交流電流を流す。ここで、交流電流は、表皮効果により、周波数が高くなるほど磁石の表面近傍に集中して流れる傾向にある。このため、本評価方法では、周波数を変化させながら、磁石に交流電流を流すことで、電流が流れる磁石の深さを変化させる。すなわち、磁石に流す交流電流の周波数を低くすることで、磁石の深い位置まで電流を流し、交流電流の周波数を高くすることで、磁石の表面近傍に集中させて電流を流すものである。
又、磁石は、NdCuの浸透によって、NdCuが浸透している箇所の電気抵抗が小さくなり、電流が流れ易くなる。従って、NdCuの浸透度合いが大きいと、NdCuが磁石の表面近傍だけではなく、磁石の深い位置まで浸透した状態であるため、磁石の深い位置に電流を流した場合であっても、その際に計測される磁石の電気抵抗値は小さい値になる。一方、NdCuの浸透度合いが小さいと、NdCuが磁石の表面近傍までしか浸透していない状態であるため、磁石の表面近傍に電流を流した場合の磁石の電気抵抗値は小さいが、磁石の深い位置に電流を流した場合の磁石の電気抵抗値は大きい値になる。このため、本項に記載の磁石の評価方法は、交流電流の周波数、すなわち、電流を流す磁石の深さを変化させながら、磁石の電気抵抗値を計測して、交流電流の周波数(磁石の深さ)と磁石の電気抵抗値との関係に基づき、上述したような観点から、NdCuの浸透度合いを評価する。このように、磁石を磁化することなく、磁石へのNdCuの浸透度合いを容易に評価するものである。
(3)上記(1)項において、コイルを前記磁石に近づけた状態で前記コイルに交流電流を流すことで、前記磁石に渦電流を発生させ、前記交流電流の周波数を変化させながら、前記磁石の反磁界を計測し、前記交流電流の周波数と前記磁石の反磁界との関係に基づき、前記磁石へのNdCuの浸透度合いを評価する磁石の評価方法(請求項3)。
本項に記載の磁石の評価方法は、コイルを磁石に近づけた状態でコイルに交流電流を流すことで、磁石に渦電流を発生させる。ここで、磁石の中を渦電流が流れる深さは、コイルに流れる交流電流の周波数が高くなるほど、小さくなる傾向にある。このため、本評価方法では、周波数を変化させながら、コイルに交流電流を流すことで、渦電流が流れる磁石の深さを変化させる。すなわち、コイルに流す交流電流の周波数を低くすることで、磁石の深い位置まで渦電流を流し、交流電流の周波数を高くすることで、磁石の表面近傍に渦電流を流すものである。
又、磁石は、上述したように、NdCuの浸透によって、NdCuが浸透している箇所の電気抵抗が小さくなり、電流が流れ易くなる。従って、NdCuの浸透度合いが大きい場合は、浸透度合いが小さい場合よりも、磁石の同じ深さにおける渦電流の大きさが大きくなり、より大きな反磁界が発生することになる。このため、本項に記載の磁石の評価方法は、コイルに流す交流電流の周波数、すなわち、渦電流を流す磁石の深さを変化させながら、磁石から発生する反磁界を計測して、交流電流の周波数(磁石の深さ)と磁石の反磁界との関係に基づき、上述したような観点から、NdCuの浸透度合いを評価する。このように、磁石を磁化することなく、磁石へのNdCuの浸透度合いを容易に評価するものである。
(4)希少金属を使用しない磁石の評価システムであって、前記磁石を挟む一対の電極と、該一対の電極間に交流電流を供給する周波数可変式交流電源と、該周波数可変式交流電源と並列に前記一対の電極に接続される電圧計と、前記周波数可変式交流電源が供給する交流電流の周波数を変化させながら、前記磁石の電気抵抗値を計測する制御計測手段とを含む磁石の評価システム(請求項4)。
本項に記載の磁石の評価システムは、上記(2)項に記載の磁石の評価方法に用いられることで、上記(2)項に対応する同等の作用を奏するものである。
本発明はこのように構成したので、希少金属を使用しない磁石へのNdCuの浸透度合いを、磁石を磁化することなく、非破壊で容易に評価することができる。
本発明の実施の形態に係る磁石の評価システムを示す概略図である。 表皮効果を説明するためのイメージ図である。 磁石へのNdCuの浸透度合いを視覚的に示したイメージ図であり、(a)は浸透度合いが小さい場合、(b)は浸透度合いが大きい場合を示している。 磁石へ流す交流電流の周波数と、磁石の電気抵抗値との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る磁石の別の評価方法を説明するための、磁石とコイルとを示したイメージ図であり、(a)は斜視方向から、(b)は側面方向から示したものである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。なお、本説明では、磁化前の磁石についても磁石と記載している。
図1は、本発明の実施の形態に係る磁石の評価システム10を概略的に示している。図1において、希少金属を使用しない磁石20は、一対の電極12(12A、12B)により挟まれている。磁石20は、図1の例では直方体であり、その最も面積の小さい両端面に、当該両端面よりも大きな接触面を有する一対の電極12が取り付けられている。又、一対の電極12には、出力周波数を変化させることができる周波数可変式交流電源14が電気的に接続されており、更に、周波数可変式交流電源14とは並列に、電圧計16が電気的に接続されている。すなわち、磁石の評価システム10は、電流供給経路と電圧測定経路とが並列な、所謂4端子法の接続になっている。
又、磁石の評価システム10は、周波数可変式交流電源14と電圧計16とに通信可能に接続された、制御計測手段18を含んでいる。制御計測手段18は、周波数可変式交流電源14が出力する交流電流の周波数を制御し、又、周波数可変式交流電源14から交流電流の電流値を取得する。更に、制御計測手段18は、電圧計16により計測する、一対の電極12A、12B間の電圧値を取得する。そして、周波数可変式交流電源14から取得した電流値と、電圧計16から取得した電圧値とに基づき、磁石20の電気抵抗値を算出するものである。
次に、図1の磁石の評価システム10を利用した、本発明の実施の形態に係る磁石の評価方法について説明する。本評価方法は、交流電流の表皮効果を利用して、電流を流す磁石20の深さを変化させながら、その際の磁石20の電気抵抗値を計測して、磁石20へのNdCuの浸透度合いを評価するものである。すなわち、図2に示すように、磁石20を流れる交流電流は、表皮効果により、周波数が高いほど磁石20の表面近傍に集中して流れることとなる。この特性を利用して、制御計測手段18により周波数可変式交流電源14を制御し、一対の電極12A、12B間の磁石20に、周波数を変化させながら交流電流を流すことで、電流が流れる磁石20の深さを変化させる。これにより、周波数可変式交流電源14から出力される交流電流は、周波数が高いときには磁石20の表面近傍を流れ(図3(a)の黒矢印参照)、周波数が低いときには磁石20の深い位置まで流れることとなる(図3(b)の黒矢印参照)。
ここで、希少金属を使用しない磁石20には、保磁力を高めるために、磁石20の表面からNdCuが浸透されている。図3には、磁石20へのNdCuの浸透度合いを可視化したイメージ図を示しており、磁石20内部の色の薄い部分が、NdCuが浸透している領域を示している。図3(a)は、磁石20へのNdCuの浸透度合いが小さい場合を示しており、磁石20の表面近傍(図中上下端近傍)のみに、NdCuが浸透している状態である。一方、図3(b)は、磁石20へのNdCuの浸透度合いが大きい場合を示しており、磁石20の表面近傍だけではなく、磁石20のより深い位置(図中上下方向中心に近い位置)まで、NdCuが浸透している状態である。
又、磁石20は、NdCuが浸透している箇所の電気抵抗が、NdCuが浸透していない箇所の電気抵抗よりも小さくなる。このため、図3(a)に示した、NdCuの浸透度合いが小さい場合は、磁石20の表面近傍の電気抵抗が小さくなっており、図3(b)に示した、NdCuの浸透度合いが大きい場合は、磁石20の表面近傍だけではなく、磁石20の深い位置まで電気抵抗が小さくなっている。すなわち、磁石20は、NdCuが浸透していることで、NdCuの浸透度合いによって、深さ方向(図3中上下方向)で電気抵抗が変化するものとなっている。
そこで、本評価方法では、周波数を変化させながら(電流を流す磁石20の深さを変化させながら)交流電流を流したときの、磁石20の電気抵抗値を計測し、交流電流の周波数と、計測した磁石20の電気抵抗値との関係に基づいて、磁石20へのNdCuの浸透度合いを評価する。具体的には、制御計測手段18により、周波数を変化させながら交流電流を出力している周波数可変式交流電源14から、磁石20に流れている交流電流の周波数と電流値とを取得し、更に、電圧計16から、一対の電極12A、12B間の電圧値、すなわち、磁石20の図1中左右両端面間の電圧値を取得する。そして、制御計測手段18により、磁石20を流れる交流電流の電流値と電圧値とに基づき、磁石20の電気抵抗値を算出する。
次に、交流電流の周波数と、磁石20の電気抵抗値との関係に基づいて、磁石20へのNdCuの浸透度合いを評価する方法について説明する。図4のグラフは、磁石20に流した交流電流の周波数をf、その際に計測した磁石20の電気抵抗値をrとして、周波数fと電気抵抗値rとの関係の一例を、NdCuの浸透度合いが異なる2つの磁石20の夫々について示している。
図4から、図中破線で示す磁石20は、周波数fが低いときの電気抵抗値rが大きく、周波数fが高くなるにつれて電気抵抗値rが顕著に小さくなっていることが読み取れる。これは、周波数fが低いことで磁石20の深部まで電流が流れている状態において、電気抵抗値rが大きく、又、周波数fが高いことで磁石20の表面近傍を電流が流れている状態において、電気抵抗値rが小さいことを示している。このため、破線で示す磁石20は、表面近傍にはNdCuが浸透して電気抵抗が小さくなっているが、深部にはNdCuが浸透しておらず、電気抵抗が小さくなっていないことが分かる。従って、図4で破線で示す磁石20は、図3(a)で示した磁石20のように、NdCuの浸透度合いが小さいと判断できる。
一方、図4から、図中実線で示す磁石20は、周波数fが高くなるにつれて電気抵抗値rが小さくなっているが、更に周波数fが低いときでも、破線で示す磁石20と比較して、電気抵抗値rが小さいことが読み取れる。これは、周波数fが高いことで磁石20の表面近傍を電流が流れている状態だけではなく、周波数fが低いことで磁石20の深部まで電流が流れている状態においても、電気抵抗値rが小さいことを示している。このため、実線で示す磁石20は、磁石20の表面近傍だけではなく、磁石20の深部までNdCuが浸透して、電気抵抗が小さくなっていることが分かる。従って、図4で実線で示す磁石20は、図3(b)で示した磁石20のように、NdCuの浸透度合いが大きいと判断できる。
続いて、図5を参照して、本発明の実施の形態に係る磁石の別の評価方法について説明する。図5(a)に示すように、コイル30に交流電流を流した状態で、コイル30を磁石20に近づけると、コイル30を流れる交流電流に励起された磁場の影響により、磁石20に渦電流ECが発生する。この際、図5(b)に示している、渦電流ECが発生する磁石20の深さ(渦電流ECの浸透深さ)δは、コイル30を流れる交流電流の周波数をf、磁石20の透磁率(磁化前)をμ、磁石20の導電率をσとすると、
δ=1/√(πfμσ)
と表すことができる。この式から、コイル30を流れる交流電流の周波数fが変化すると、渦電流ECの浸透深さδが変化することが分かる。本評価方法は、この点に着目して、NdCuの浸透度合いを評価するものである。
より具体的に、本評価方法は、磁石20にコイル30を近づけた状態で、周波数を変化させながらコイル30に交流電流を流すことで、渦電流ECの浸透深さδを変化させながら、磁石20に渦電流ECを発生させる。そして、その際に、磁石20で発生する反磁界を、例えば、図示しない磁気センサ等により計測し、計測した磁石20の反磁界と、コイル30に流した交流電流の周波数f(渦電流ECの浸透深さδ)との関係に基づき、NdCuの浸透度合いを評価する。
ここで、上述したように、磁石20は、NdCuが浸透している箇所の電気抵抗が、NdCuが浸透していない箇所の電気抵抗と比較して小さくなる。従って、磁石20へのNdCuの浸透度合いが大きいと、磁石20の表面近傍だけではなく、磁石20の深部までNdCuが浸透して電気抵抗が小さくなっている状態であるため、磁石20の深部まで渦電流ECを発生させた場合でも大きな渦電流ECが流れ、比較的大きな反磁界が計測できる。一方、磁石20へのNdCuの浸透度合いが小さいと、磁石20の表面近傍のみにNdCuが浸透して電気抵抗が小さくなっている状態であるため、磁石20の深部では小さな渦電流ECしか発生せず、この場合に計測される反磁界は小さい。本評価方法は、上述したような点を考慮して、磁石20の反磁界と、コイル30に流した交流電流の周波数fとの関係に基づき、NdCuの浸透度合いを評価するものである。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る磁石の評価方法は、希少金属を使用しない磁石20への、NdCuの浸透度合いを評価する方法であり、例えば、図1に示すような磁石の評価システム10を用いて実行されるものである。NdCuは、磁石20の周囲にNdCuを配置して加熱する方法等により浸透させるため、図3に示すように、磁石20の表面から中心部へ向かって浸透する。このため、NdCuの浸透度合いによって、NdCuが浸透している磁石20の深さや、同じ深さでのNdCuの浸透量に差が生じる。そこで、本評価方法は、電流を流す磁石20の深さを変化させながら磁石20に電流を流し、この際に、例えば電気抵抗値r(図4参照)や反磁界等の、NdCuの影響を受けて変化する磁石20のパラメータを計測する。そして、電流を流した磁石20の深さに係る、計測した磁石20のパラメータの変化量に基づいて、磁石20へのNdCuの浸透度合いを評価するものである。これにより、磁石20を磁化することなく、非破壊で容易に評価することができる。
本発明の実施の形態に係る磁石の評価方法は、より具体的には、図1に示すように、一対の電極12(12A、12B)により磁石20を挟み、制御計測手段18により周波数可変式交流電源14を制御して、周波数を変化させながら、一対の電極12A、12B間に交流電流を流す。ここで、交流電流は、図2に示すように、表皮効果により、周波数が高くなるほど磁石20の表面近傍(図中上下端近傍)に集中して流れる傾向にある。このため、本評価方法では、周波数を変化させながら、磁石20に交流電流を流すことで、電流が流れる磁石20の深さを変化させる。すなわち、磁石20に流す交流電流の周波数を低くすることで、磁石20の深い位置まで電流を流し(図3(b)の黒矢印参照)、交流電流の周波数を高くすることで、磁石の表面近傍に集中させて電流を流す(図3(a)の黒矢印参照)ものである。
又、磁石20は、NdCuの浸透によって、NdCuが浸透している箇所の電気抵抗が小さくなり、電流が流れ易くなる。従って、図3(a)に示すように、NdCuの浸透度合いが小さいと、NdCuが磁石20の表面近傍までしか浸透していない状態であるため、図4に破線で示す曲線のように、磁石20の表面近傍に電流を流した場合(周波数fが高い場合)の磁石20の電気抵抗値rは小さいが、磁石20の深い位置に電流を流した場合(周波数fが低い場合)の磁石20の電気抵抗値rは大きい値になる。一方、図3(b)に示すように、NdCuの浸透度合いが大きいと、NdCuが磁石20の表面近傍だけではなく、磁石20の深い位置まで浸透した状態であるため、図4に実線で示す曲線のように、磁石20の深い位置に電流を流した場合(周波数fが低い場合)であっても、その際に計測される磁石20の電気抵抗値rは小さい値になる。
このため、本発明の実施の形態に係る磁石の評価方法は、交流電流の周波数f、すなわち、電流を流す磁石20の深さを変化させながら、磁石20の電気抵抗値rを計測して、交流電流の周波数f(磁石の深さ)と磁石20の電気抵抗値rとの関係に基づき、上述したような観点から、NdCuの浸透度合いを評価する。磁石20の電気抵抗値rは、制御計測手段18により、周波数可変式交流電源14から取得される電流値と、電圧計16から取得される電圧値とに基づき算出できる。このように、本評価方法は、磁石20を磁化することなく、磁石20へのNdCuの浸透度合いを容易に評価することができる。
又、本発明の実施の形態に係る磁石の評価方法は、図5に示すような方法でNdCuの浸透度合いを評価してもよい。すなわち、本評価方法では、コイル30を磁石20に近づけた状態でコイル30に交流電流を流すことで、磁石20に渦電流ECを発生させる。ここで、磁石20の中を渦電流ECが流れる深さδは、コイル30に流れる交流電流の周波数が高くなるほど、小さくなる傾向にある。このため、本評価方法では、周波数を変化させながら、コイル30に交流電流を流すことで、渦電流ECが流れる磁石20の深さδを変化させる。すなわち、コイル30に流す交流電流の周波数を低くすることで、磁石20の深い位置まで渦電流ECを流し、交流電流の周波数を高くすることで、磁石20の表面近傍に渦電流ECを流すものである。
又、磁石20は、上述したように、NdCuの浸透によって、NdCuが浸透している箇所の電気抵抗が小さくなり、電流が流れ易くなる。従って、NdCuの浸透度合いが大きい場合は、浸透度合いが小さい場合よりも、磁石20の同じ深さにおける渦電流ECの大きさが大きくなり、より大きな反磁界が発生することになる。このため、本発明の実施の形態に係る磁石の評価方法は、コイル30に流す交流電流の周波数、すなわち、渦電流ECを流す磁石20の深さδを変化させながら、磁石20から発生する反磁界を計測して、交流電流の周波数(磁石の深さδ)と磁石20の反磁界との関係に基づき、上述したような観点から、NdCuの浸透度合いを評価する。このように、渦電流ECを利用した本評価方法によっても、磁石20を磁化することなく、磁石20へのNdCuの浸透度合いを容易に評価することが可能となる。
10:磁石の評価システム、12:一対の電極、14:周波数可変式交流電源、16:電圧計、18:制御計測手段、20:磁石、30:コイル、EC:渦電流、f:周波数、r:電気抵抗値

Claims (4)

  1. 希少金属を使用しない磁石の評価方法であって、
    前記磁石に電流を流し、この際の電流を流す深さを変化させながら、前記磁石に電流を流すことで得られる、前記磁石に係るパラメータの変化量に基づき、前記磁石へのNdCuの浸透度合いを評価することを特徴とする磁石の評価方法。
  2. 一対の電極により前記磁石を挟み、前記一対の電極間に交流電流を流し、該交流電流の周波数を変化させながら、前記磁石の電気抵抗値を計測し、前記交流電流の周波数と前記磁石の電気抵抗値との関係に基づき、前記磁石へのNdCuの浸透度合いを評価することを特徴とする請求項1記載の磁石の評価方法。
  3. コイルを前記磁石に近づけた状態で前記コイルに交流電流を流すことで、前記磁石に渦電流を発生させ、前記交流電流の周波数を変化させながら、前記磁石の反磁界を計測し、前記交流電流の周波数と前記磁石の反磁界との関係に基づき、前記磁石へのNdCuの浸透度合いを評価することを特徴とする請求項1記載の磁石の評価方法。
  4. 希少金属を使用しない磁石の評価システムであって、
    前記磁石を挟む一対の電極と、該一対の電極間に交流電流を供給する周波数可変式交流電源と、該周波数可変式交流電源と並列に前記一対の電極に接続される電圧計と、前記周波数可変式交流電源が供給する交流電流の周波数を変化させながら、前記磁石の電気抵抗値を計測する制御計測手段とを含むことを特徴とする磁石の評価システム。
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