以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、本第1実施形態に係る運転評価装置10が示されている。運転評価装置10は、車両等の移動体が進入して通過する交差点の危険度を評価し、前記交差点に進入して通過する際の移動体の運転を評価するものである。なお、移動体としては、車両以外に自動二輪車や自転車等も適用可能であるが、以下では移動体として車両を適用した態様を説明する。また、第1実施形態では運転評価装置10が車両に搭載されている態様を説明する。運転評価装置10は開示の技術に係る運転評価装置の一例である。
図1に示すように、運転評価装置10は、記憶部12、評価対象交差点判定部14、一時停止位置推定部16、交差点進入開始位置推定部18、視認可能位置推定部20、交差点危険度評価部22及び評価ルール選定部24を有している。また運転評価装置10は、運転評価部26及び評価結果出力部28を有している。
記憶部12は、地図DB(データベース)32と、自車両に搭載された車載記録装置30によって自車両の走行中に取得された車載データ34と、を記憶する。地図DB32は、自車両の現在位置が、評価対象の交差点(例えば信号の無い交差点)近傍であることを大まかに推定する際に用いる地図情報であり、評価対象の交差点の位置を表す位置情報を含む。例えば、交差点の位置と種別を保持する一般的なデジタル道路地図でもよいし、予め準備した評価対象交差点群の位置情報のリストでもよい。
車載記録装置30は、自車両の位置を検出する速度センサ、自車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)装置を含む。なお、GPS装置によって取得されるGPS情報は開示の技術における第1情報の一例であり、速度センサによって検出される車速情報は開示の技術における第3情報の一例である。また車載記録装置30は、これに加えて、自車両の周囲を撮影する撮影装置、自車両の周囲の物体との距離を測定するレーザセンサ、ミリ波センサ等の何れかを含む。なお、撮影装置によって撮影された映像情報は開示の技術における画像情報の一例、レーザセンサ又はミリ波センサによって取得された測距情報は開示の技術における距離情報の一例であり、これらの情報は開示の技術における第2情報の一例でもある。車載データ34は、上記のセンサ・装置によって検出又は測定又は取得されたデータを含む。なお、車載記録装置30は、自車両の走行中に車載データ34を常に取得するようにしてもよいし、何らかのイベントが発生したとき(例えば交差点の進入・通過に伴い自車両の加減速が生じたとき)にのみ取得するようにしてもよい。
また、本実施形態に係る運転評価装置10は、自車両の走行中に記憶部12に車載データ34を記憶蓄積し、自車両の走行中に運転評価を行う構成であってもよい。また、運転評価装置10は、車載データ34を記憶した記憶部12としての記録媒体を運転評価装置10にセットして運転評価を行う構成であってもよい。本第1実施形態では、前者の構成を前提に説明を行うが、後者の構成でもよい。
評価対象交差点判定部14は、車載データ34に含まれるGPS情報を地図DB32に登録された情報と照合することで、自車両が進入して通過した交差点が評価対象の交差点か否かを判定する。
一時停止位置推定部16は、車載データ34に含まれる、例えば映像情報等に基づき、評価対象交差点判定部14によって評価対象と判定された交差点における一時停止の有無及び位置を推定する。
交差点進入開始位置推定部18は、車載データ34に含まれる、例えば映像情報又は測距情報に基づいて、評価対象交差点判定部14によって評価対象と判定された交差点における車両の進入開始位置を推定する。
視認可能位置推定部20は、車載データ34に含まれる、例えば測距情報等に基づき、評価対象と判定された交差点における要視認領域を特定する。また視認可能位置推定部20は、前記評価対象の交差点のうち交差点進入開始位置推定部18で推定された進入開始位置の前後の各位置において、特定した要視認領域のうち移動体の乗員が視認可能な範囲を各々判定して比較する。そして視認可能位置推定部20は、視認可能な範囲の比較結果に基づいて、前記評価対象の交差点における車両の視認可能位置を推定する。
交差点危険度評価部22は、評価対象の交差点の危険度を評価する。評価対象の交差点の危険度の評価は、交差点進入開始位置推定部18で推定された評価対象の交差点における車両の進入開始位置と、視認可能位置推定部20で推定された評価対象の交差点における移動体の視認可能位置の少なくとも位置関係に基づいて行われる。
評価ルール選定部24は、交差点危険度評価部22によって評価された評価対象の交差点の危険度に基づいて、評価対象の交差点における車両の挙動に関する運転評価のルールを選定する。
運転評価部26は、車載データ34から求まる評価対象の交差点における自車両の挙動を、評価ルール選定部24で選定された運転評価のルールと照合することで、自車両の運転評価を行う。評価結果出力部28は、運転評価部26による自車両の運転評価の結果を出力する。
運転評価装置10は、例えば図2に示す車載コンピュータ40で実現することができる。車載コンピュータ40はCPU42、メモリ44、不揮発性の記憶部46、入力部48、表示部50、I/F(インタフェース)部52を備え、これらはバス54を介して互いに接続されている。車載記録装置30はI/F部52を介してバス54に接続されている。
また、記憶部46はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等によって実現できる。記録媒体としての記憶部46には、車載コンピュータ40を運転評価装置10として機能させるための運転評価プログラム56が記憶されている。CPU42は、運転評価プログラム56を記憶部46から読み出してメモリ44に展開し、運転評価プログラム56が有するプロセスを順次実行する。
運転評価プログラム56は、評価対象交差点判定プロセス58、一時停止位置推定プロセス60、交差点進入開始位置推定プロセス62、視認可能位置推定プロセス64及び交差点危険度評価プロセス66を有する。また運転評価プログラム56は、評価ルール選定プロセス68、運転評価プロセス70及び評価結果出力プロセス72を有する。
CPU42は、評価対象交差点判定プロセス58を実行することで、図1に示す評価対象交差点判定部14として動作する。またCPU42は、一時停止位置推定プロセス60を実行することで、図1に示す一時停止位置推定部16として動作する。またCPU42は、交差点進入開始位置推定プロセス62を実行することで、図1に示す交差点進入開始位置推定部18として動作する。またCPU42は、視認可能位置推定プロセス64を実行することで、図1に示す視認可能位置推定部20として動作する。またCPU42は、交差点危険度評価プロセス66を実行することで、図1に示す交差点危険度評価部22として動作する。またCPU42は、評価ルール選定プロセス68を実行することで、図1に示す評価ルール選定部24として動作する。またCPU42は、運転評価プロセス70を実行することで、図1に示す運転評価部26として動作する。またCPU42は、評価結果出力プロセス72を実行することで、図1に示す評価結果出力部28として動作する。これにより、運転評価プログラム56を実行した車載コンピュータ40が、運転評価装置10として機能することになる。
なお、運転評価プログラム56は開示の技術における運転評価プログラムの一例である。また、記憶部46には車載データ記憶領域74及び地図DB記憶領域76が設けられており、車載データ記憶領域74には車載データ34が記憶され、地図DB記憶領域76には地図DB32が記憶されている。これにより、記憶部46は記憶部12として機能する。
なお、運転評価装置10は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
次に本第1実施形態の作用として、車載コンピュータ40のCPU42によって運転評価プログラムが実行されることで実現される運転評価処理について、図3,4を参照して説明する。
運転評価処理のステップ200において、評価対象交差点判定部14は、地図DB32に登録された情報と車載データ34に含まれるGPS情報を照合し、参照中の車載データ34が評価対象の交差点近傍に対応する車載データ34か否かを判定する。なお、本実施形態では評価対象の交差点の一例として信号の無い交差点を適用している。ステップ200の判定が否定された場合はステップ200の判定を繰り返す。但し、ステップ200において、もし周囲環境が全く交差点のない環境、例えば高速道路上であったり、周囲に評価対象となる信号の無い交差点が存在しない場合には、以後の処理を行わない。
なお、本実施形態では、信号の無い全ての交差点を評価対象としてもよいし、信号の無い交差点のうち、過去に事故や危険度が高いと評価された事象が発生した箇所の情報等の他の情報から選定した一部の交差点のみを評価対象としてもよい。また、交差点以外に、道路幅の狭い急カーブ等も評価対象に含めてもよい。この場合は、信号の無い交差点で確認する交差路上の障害物(例えば車両や人物等)に代えて、カーブ前方に存在する障害物を適用して以降の評価を行うことができる。このように、評価対象の交差点は信号の無い交差点に限られるものではなく、自車両の前方又は進路周辺の障害物を視認確認する際に、前記障害物と接触する可能性が考えられる道路上の箇所を評価対象に適用してもよい。
ステップ200の判定が肯定された場合はステップ202へ移行する。ステップ202において、一時停止位置推定部16は、評価対象交差点判定部14で評価対象の交差点に対応すると判定された車載データ34に基づき、評価対象の交差点に一時停止の路面標示又は路表示が有るか否か判定する。また、ステップ202の判定が肯定された場合はステップ204へ移行し、ステップ204において、一時停止位置推定部16は、評価対象の交差点における一時停止位置を推定し、推定した一時停止位置に対応する車載データ34を特定する。特定する車載データ34は、最も一時停止線に近い唯一の時刻におけるデータであってもよいし、その近傍の時間又は距離に或る程度の幅をもたせた範囲内の複数の車載データ34を特定してもよい。
車載データ34に含まれる映像情報を用いる場合の具体的な処理を説明する。一般に一時停止の路面標示は、法令で規定された進路に垂直な一定幅の白線で描かれている。最も一時停止線に近い唯一の時刻の車載データ34を特定する場合は、白線と自車両との位置関係が予め設定された距離だけ離れているもの、例えば自車両の前端部より前方30cm以上の場所に白線が存在する位置での車載データ34等を特定する。図6に示すように、高さや撮影方向が既知の撮影装置で撮影した路面上の被写体は、撮影装置からの距離に応じて被写体が映り込む画像中の画面高さが変化するので、これを利用し、白線が映り込む画面高さから自車両の前端部と白線との距離を特定できる。
また、時間又は距離に或る程度の幅をもたせた範囲内の複数の車載データ34を特定する場合は、例えば白線に対して自車両が手前かつ十分近い(例えば自車両の前端部より前方30cm〜1m)範囲内に存在する場合の車載データ34などを特定する。なお、映像情報から一時停止線である白線を画像処理で抽出する方法は、既に多くのアルゴリズムが提案されており、それらの既存技術を用いることができる。例えば、白線とそれ以外の道路部分の輝度の違いに着目し、白線である輝度の高い部分が、映像内の道路撮影部分に垂直な予め設定された幅の矩形領域として存在するか否か等を検知する手法を適用することができる。
一方、映像情報以外の車載データ34を用いて、一時停止位置に対応する車載データ34を特定する例としては、GPS情報を地図DB32に登録された情報と照合する手法が考えられる。すなわち、一時停止の路面標示又は路標識の位置が地図DB32に道路地物情報として保持されている場合は、それらと車載データ34のGPS情報が表す位置とを比較し、一時停止位置に対応する車載データ34か否かを判断することができる。但し、現在のGPS精度(一般に数m〜程度)では、先に説明した映像情報を用いた特定手法の方が、より正確な特定を行うことが可能である。
次のステップ206において、交差点進入開始位置推定部18は、交差点進入開始位置(交差点の交差路上を通行する障害物との接触可能性が生ずる位置)を推定し、交差点進入開始位置に対応する車載データ34を特定する。なお、接触開始位置(接触可能性が生ずる位置)は必ずしも1つの交差点に1つ存在するとは限らず、例えば歩道のある交差路では歩道との接触開始位置と、その先の車道との接触開始位置の2か所を判別してもよい。
本実施形態では、交差点進入開始位置と後述する視認可能位置との位置関係が交差点の危険度の評価精度に影響するため、交差点進入開始位置の推定に関しても、なるべく高精度であることが望ましい。そのため、ここでは現在精度が低いGPS情報を用いるよりもより精度の高い推定方法の一例を説明するが、推定精度は低下するものの、GPS情報を用いて交差点進入開始位置を推定しても構わない。GPSを用いる場合は、車載データ34に含まれるGPS情報に基づき、予め何らかの手段で特定した交差点進入開始位置の位置情報(緯度経度などの位置特定情報)に合致する車載データ34を特定すればよい。なお、この場合の交差点進入開始位置の位置情報は、目視や後述する他の推定手法を一回以上実施し、参考とする位置情報を得ればよい。
例えば目視の場合は、交差点進入開始位置に該当すると思われる位置情報を、自動又は手動で、現地でリアルタイムに位置を特定しながら取得したり、または予め該当箇所を走行して記録した車載データ34を閲覧して決定・取得することができる。しかし、目視の場合は非常に労力が掛かるため、以下では目視以外により車載データ34から交差点進入開始位置を自動的に推定する手法について説明する。
交差点進入開始位置を推定する第1の手法は、車載データ34に含まれる映像情報を用いて、路面模様などの映像特徴を利用する手法である。すなわち、交差路上の路面模様(路側白線・黄線など)を車両の側方を撮影した映像情報から推定する。交差点に入ると、交差路に沿った路側線や中央線、路肩線などの路面模様が、交差路の先(消失点)に向かって伸びる様子が車両側方の映像に映る。このため、既知のエッジ抽出等で各路面模様に該当する輝度の線分を抽出すれば、交差点進入開始位置を推定できる。例えば、或る長さ以上の交差路の路面線分が現れたタイミングを交差点進入開始位置と見做すことができる。
一例を図5に示す。図5は車両の左側方を撮影した映像の一例である。或る時刻における映像内の路面線分は、例えば、映像内で水平線から下に存在し(水平線からの角度θが0〜π以内で、水平線の画面高さを越えない)、輝度が白又は黄色に近い色で、道路構造令で規定されている太さがある。これらの特徴量に基づき、映像内から路面線分に相当する直線を特定できる。
図5に示す例でも、これらの特徴量に基づいて、路面線分に相当する直線とそれ以外の線を区別している。交差点手前で白線が現れた時刻t1から、車両が交差点内に進入している時刻t3へ向けて時間を辿りながら、路面線分に相当する直線の長さが予め設定された長さ以下か否かを判定していく。路面線分に相当する直線が設定長さ以上になった時刻t2が見つかった時点で、明らかに設定長さ以下であった時刻t1と、設定長さ以上になった時刻t2の間を、交差点進入開始位置のタイミングとして決定することができる。
ここで、画像内の水平線は、撮影装置の設置位置及び角度から決定できる。図6に画像内の水平線と撮影装置の撮像範囲内の位置との関係を示す。図6において、撮影装置は縦画角βで撮影しているが、路面上の地表被写体は撮影装置との距離が大きくなる程、画面高さが上になり(yb>ya)、無限遠の地表被写体は限りなく縦画角βの真ん中、すなわち画面の半分の高さに近い高さに映る。このため、図6に示す撮影装置では路面線分は画面の半分より下に映り、地平線は画面中央に相当する高さとなる。なお、消失点の画面高さを求める方法は、上記に限られるものではなく、明らかな特徴がある路面模様、例えば既知の幅の縞模様が現れる横断歩道などの既知の模様の白線部分の交差点である消失点を用いたり、他の既知の様々な手法を用いてもよい。一度求めた消失点の高さ、すなわち水平線は、以後適宜修正しながら、そのまま用いてよい。
交差点進入開始位置を推定する第2の手法は、車載データ34に含まれる自車両の側方への測距情報を用いて、交差点の進入開始位置を推定する手法である。車載記録装置30がレーザセンサやミリ波センサを備えている場合、測距情報としては、レーザセンサ又はミリ波センサが自車両の周辺に存在する物体迄の距離を直接測定することで得られた測距情報を用いることができる。また、車載記録装置30が撮影装置を備えている場合、測距情報としては、撮影装置によって撮影された映像を解析し、自車両の周辺に存在する物体迄の距離を推定することで得られた測距情報を用いてもよい。
図7は、自車両の側方に存在する物体迄の距離を表す測距情報に基づいて、交差点進入開始位置を特定する手法を説明する図である。自車両が交差点内に位置している場合、交差点内には路肩物がないため、自車両の側方に存在する物体迄の距離が非常に長くなる。一方、自車両が交差点内に進入する前は、側方の路肩に建物などの物体が存在するため、自車両の側方に存在する物体迄の距離は交差点内に比べて明らかに短くなる。上記の特徴と、評価対象の交差点の道路構造、すなわち、交差する道路の数、交差角度、交差路の道路幅(道路種類や車両が通過できる道路幅から推定できる最低道路幅)を比較することで、自車両が交差点に進入開始した時点の車載データ34を特定する。
例えば、交差点近傍と判断できる、交差点から十分離れた位置から、交差点に向かう自車両の道路の方向へ進行しながら、交差道路の交差角度方向への距離、すなわち交差道路方向に存在する側方物体への距離(路側距離)を測定する。そして、測定した路側距離が予め設定した距離よりも大きい(=遠く)か否かを判定する。同時に、路側距離が設定距離よりも遠い車載データ34が初めて出現したときに、初めて出現した車載データ34を、交差点進入開始時点の車載データ候補として保持しておく。路側距離が設定距離よりも遠い車載データ34が初めて出現したときとは、その車載データ34よりも前は路側距離が設定距離よりも近く、その車載データ34が初めて設定距離よりも遠いと判定された車載データ34が現れたときを意味する。
そして、車載データ候補から交差路の道路幅を参考に決めた任意の走行距離以上(例えば道路幅の距離以上)、設定距離よりも遠い車載データ34が続いた場合に、前記車載データ候補を交差点進入開始位置に対応する車載データ34として決定する。例として図8には、自車両の進行に伴う路側距離の変化の一例を、交差点進入開始位置と判定した位置と共に示す。
実際には、交差点進入前にも側方の路肩に存在する建物の隙間等により路側距離が長くなったり、逆に交差点内でも交差路を通行する車両などによって路側距離が短くなることがある。但し、路側距離が上記のように変化している期間は一時的なものであるため、自車両の走行距離に対して測距状況を比較すれば、それらを排除することができる。また、路面から複数高さ位置で測距を行うことで、交差道路のように何れの高さ位置にも大きく物体の存在しない「抜けた」空間の存在を推定することが可能となる。
図9は、映像による一般的な測距の一例を示す。自車両の遠方に存在しかつ停止している物体は、自車両の位置変化に対して殆ど動かないように見える、という視差と距離の性質に基づき、自車両の周辺に存在する物体のオプティカルフローの大きさを調べることで物体の距離Lを推定することができる。
撮影装置から被写体までの距離L[mm]=撮影装置の移動距離K[mm]×撮影装置の焦点距離f[mm]÷撮像素子上の被写体の視差距離S[mm]
被写体視差距離S[mm]=撮影画像上に映る画素位置の変化量[dot]×撮像素子のサイズ[mm]÷撮像素子の画素数[dot]
画素位置の変化量はオプティカルフローの大きさと等しいことから、上記関係より、被写体距離Lは大まかに撮影装置の移動距離Kに比例し、オプティカルフローに反比例することが分かる。
なお、映像による測距に用いる2つの撮影装置A,B(図9参照)は、ステレオカメラとして2つの撮影装置を実際に車載してもよいし、位置の異なる2つの時刻の同じ撮影装置を擬似的に2つの撮影装置と看做しても構わない。前者の場合は、2つの撮影装置A,Bの距離が撮影装置の移動距離Kとなる。後者の場合は、2つの時刻の間で撮影装置を搭載した自車両が移動した距離が撮影装置の移動距離Kになるので、自車両の速度データなどを用いて推定できる。
なお、自車両の側方への測距の他の手法として、交差点内では左右側方の路面に十分遠方まで続く交差路の路平面が現れることを利用し、側方の交差路の路平面の領域を推定して交差点内に入ったことを検知してもよい。
以下では、一例として画像を用いて交差路の路平面を検知する方法を説明する。図6に示すように、地表被写体Bは撮像画面上の決まった高さybの位置に映るが、撮影装置から地表被写体Bを結ぶ直線上に存在する高さHcの物体Cも同一の画面位置に映るので、画面に映った位置だけでは地表被写体Bと物体Cを区別できない。しかし、オプティカルフローの大きさは距離によって異なるため、地表被写体Bに比べて物体Cのオプティカルフローは大きくなる。このため、画面内の特徴点の位置とオプティカルフローの大きさから、特徴点が路面(地表)上の被写体に属するものか否かを判定できる。この結果、画面内のどこに路面が映っているかを推定することで、側面に十分広い路面が映っているかを調べて、交差路の存在と交差点への進入を検知することができる。
図10に路平面による交差点の進入の判定の一例を示す。自車両の側方を撮影した画面から求めた交差路の路平面領域に対し、例えばその大きさと位置に基づき下記の判定を行う。なお、判定条件(3)は自車両の左側を撮影する撮影装置の場合であり、自車両の右側を撮影する撮影装置の場合は、「領域の右端が画像内の横判定位置を越えて右側に存在する」という条件になる。
判定条件(1):領域の大きさ(面積)が既定値以上
判定条件(2):領域の水平線までの距離が既定値以下
判定条件(3):領域の左端が画像内の横判定位置を越えて左側に存在する
左右側方の路平面領域が上記条件に合致する場合、図7で物体の存在しない「抜けた」大きな空間を検知したのと同様に、条件に合致する時刻が一定時間以上続き、かつ該当交差点の道路構造に合致する場合に、交差点への進入開始を検知する。
次のステップ208において、視認可能位置推定部20は、評価対象の交差点における交差路上の要視認領域を決定する。またステップ210において、視認可能位置推定部20は、周辺映像又は周辺測距結果から、交差点進入開始位置の前後の各位置において、ステップ208で決定した要視認領域を視認できる割合(視認可能率)を算出する。ステップ212において、視認可能位置推定部20は、交差点進入開始位置よりも手前の各位置における視認可能率の変化が視認可能位置と判定可能か否か判定する。ステップ212の判定が肯定された場合はステップ214へ移行し、ステップ214において、視認可能位置推定部20は、交差点進入開始位置より手前の各位置における視認可能率の変化から視認可能位置を推定し、対応する車載データ34を特定する。また、ステップ212の判定が否定された場合はステップ216へ移行し、ステップ216において、視認可能位置推定部20は、交差点進入開始位置通過後の各位置の視認可能率を算出して視認可能位置を推定し、対応する車載データ34を特定する。
以下、視認可能位置推定部20によるステップ208〜ステップ216の視認可能位置の推定の詳細を説明する。ステップ208で決定する要視認領域は、評価対象の交差点が信号が無い交差点の場合、当該交差点を通過する前に確認を要する一般的な空間領域、すなわち、交差路上の空間領域である。視認可能位置推定部20は、交差点進入開始位置推定部18と類似の手法により、車載データ34から、現在の自車両から要視認領域をどの程度視認できるかを推定し、要視認領域を十分に視認できると推定した位置を視認可能位置と推定する。そして視認可能位置推定部20は、視認可能位置に対応する車載データ34を特定する。要視認領域をどの程度視認できるかの推定には、交差点進入開始位置推定部18と同様に、目視による推定を用いることも可能であるが、以下では目視以外の推定手法について、図11を参照して説明する。
図11は、自車両が自車路直線Mに沿って位置T1から位置T2へ向かう方向へ移動しているものとする。なお、図11では説明を簡単にするため、自車両道路及び交差路を直線としているが、任意の形状でも構わない。視認可能位置推定部20は、地図DB2に登録されている道路データから、評価対象の交差点において、自車路直線Mと交差路Lとが交差角φで交差していることを認識する。次に、視認可能位置推定部20は、交差点進入開始位置Kでの車載データ34及び記録時刻と、推定中の車載データ34に含まれる車速及び記録時刻を用いて、交差点進入開始位置Kと推定中の車載データ34に対応する自車両の位置との相対距離を算出する。例えば、自車両の位置が位置T1の場合は相対距離はM1、自車両の位置が位置T2の場合は相対距離はM2となる。
次に、視認可能位置推定部20は、要視認領域の外縁位置として、推定中の車載データ34に対応する自車両の位置に基づき、交差点進入開始位置Kから交差路に沿って距離Laだけ隔てた交差路上の端点Aを設定する。例えば、自車両の位置が位置T1の場合の距離Laは、位置T1での自車両の速度や交差点進入開始位置Kまでの距離M1を用いて計算してもよいし、50mなどの適当な値を設定しても構わない。距離Laを計算する場合は、例えば、自車両が即時にその位置(T1)で制動を掛けた、或いは制動を掛けようとした場合に、交差点進入開始位置Kに到達迄の停止時間TKを反応時間や制動距離等から計算する。そして、計算した停止時間TK内に交差路上の想定速度の物体(走行車など)が同地点Kに到達すると推定される距離を求めてもよい。
例えば、車両の停止距離=空走距離+制動距離であるから、距離M1が空走距離S以内か否かで条件分けして算出することができる。
空走距離S=「位置T1での速度V1」×空走時間0.7秒
として、
S≧M1の場合、時間X=距離M1÷「T1での速度V1」
S<M1の場合、−0.5×μ×g×X2+V1×X−(距離M1−S)=0 の二次方程式の解X=時間X
のように解くことができる。なお、gは重力加速度、μは路面の摩擦係数である。
よって、
距離La[m]=時間X×交差路車両速度60[km/h]÷3.6
から算出できる。
なお、上式では、空走時間や交差路の車両速度をそれぞれ0.7秒、60km/hと看做して摩擦による停止状況を計算した一例であり、空走時間や車両速度は他の値でも構わない。また、上式以外の式で、自車両が交差点進入開始位置Kに到達する時間までに到達する可能性のある交差路上の物体の存在空間を推定し、これを距離Laとしても勿論構わない。高速走行時は交差点までに早く到達するので、同時に交差点に到達することのできる交差車が存在する交差路領域=要視認領域は、低速時よりも小さくなる。より必要な分だけ正確に要視認領域を見積もることができる。
次に視認可能位置推定部20は、算出した交差路上の要視認領域の端点Aと推定中の車載データ34に対応する自車両の位置との距離を算出する。例えば、交差点進入開始位置Kでの交差角φを用いて、自車両の位置が位置T1の場合は、
として算出する。
続いて視認可能位置推定部20は、算出した距離を半径とし、自車両位置を中心とする円を考えて、要視認領域に合致する円弧、すなわち、自車両路との交点(自車両前方)から、要視認領域の端点Aまでの円弧を算出する。また視認可能位置推定部20は、算出した円弧を含む扇形の領域における中心角度を、推定中の車載データ34に対応する自車両の位置における要視認角αとして算出する。視認可能位置推定部20は、算出した要視認角αを中心角とする扇形領域の円弧部分のうち、路側に物体がなく「抜けた」空間内にある円弧部分の角度(視認角β)の割合を求め、求めた割合が予め設定した値以上であれば、自車両の位置が視認可能位置と判定する。
図11には自車両の位置が位置T1,T2の場合の要視認角α及び視認角βの例に示す。位置T1において、測距センサを用いて位置T1での車載データ34から周辺の路側物体の存在を推定することで、物体の存在しない円弧部分の角度(視認角)β1,β2が求まる。この場合、位置T1における要視認領域に対応する要視認角α1に対する視認角β1,β2の割合(視認可能率)は下記の式で求まる。
視認可能率=(β1+β2)÷α1
この割合が閾値以上であれば、自車両位置T1は視認可能位置となる。
また同様に、位置T2において、測距センサを用いて位置T2での車載データ34から周辺の路側物体の存在を推定することで、物体の存在しない円弧部分の角度(視認角)γ1が求まる。この場合、位置T2における要視認領域に対応する要視認角α2に対する視認角γ1の割合(視認可能率)は下記の式で求まる。
視認可能率=γ1÷α2
この割合が閾値以上であれば、自車両位置T2は視認可能位置となる。図11では、位置T1は視認可能位置と判断されず、位置T2は視認可能位置と判断されたものとする。
視認可能位置推定部20は、上記の視認可能率を自車両の左右両方に対して自車両経路を辿りながら、各車載データ34に対して算出する。そして視認可能位置推定部20は、視認可能率の変化を確認して、最終的な視認可能位置を特定する。以下にこの視認可能率の変化状況に対して、視認可能位置を特定する手法の一例を説明する。
例として図12に示すように、視認可能位置推定部20は、例えば交差点近傍と判断できる、交差点から十分離れた位置から、交差点進入開始位置K迄、自車両経路を遡りながら視認可能率の変化を監視する。その結果、距離・時間・地点数の何れかが既定値以上連続して視認可能率が閾値を越えた場合には、当該連続部分(視認可能な連続部分)で交差点進入開始位置Kに最も近い箇所を、視認可能位置として決定する。そして、決定した視認可能位置に関連する車載データ34を視認可能位置に関する車載データ34として特定する。
なお、前記連続部分は、連続部分内の全ての地点の視認可能率が閾値を越えなければならないという厳密な定義にしてもよい。また、前記連続部分は、既定の地点数又は時間以内に視認可能率が閾値より低下している部分が出現した場合にも、それらを瞬間的な低下と看做して、それらを含む部分を視認可能な連続部分とする定義にしてもよい。また、前記連続部分は、交差点進入開始位置Kを含むことを条件としてもよい。この条件により、定義に合致した連続部分が存在すれば、交差点手前の視認可能位置から交差点進入開始位置Kに至る間中ずっと、交差路を確認できることになる(図12(A)参照)。
一方、交差点進入開始位置Kの手前に連続部分が存在しない場合には、前述のステップ212の判定が否定されることになる。この場合は、更に交差点進入開始位置Kより前方、すなわち交差点内へと自車両の経路を辿りながら、視認可能率が閾値を越える地点を探索し、視認可能率が閾値を越えた地点を視認可能位置と推定する(図12(B)参照)。
なお、視認可能率の算出方法として、円弧の角度(扇形の中心角)を用いた算出方法を一例として挙げたが、要視認領域のうちの自車両から視認できる割合を算出できれば他の方法でも構わない。例えば、要視認領域内の何箇所かを適当に選定し、選定した各箇所と自車両の位置とを結ぶ各線分上に何らかの物体が存在するか否かを判定し、選定した箇所のうち物体が存在しなかった箇所の割合を視認可能率として用いてもよい。
また、視認可能率を算出する際の自車両の位置は、車両の運転者の視線(目)の位置及び高さに一致又は近傍の位置であることが望ましい。例えば、自車両の位置を自車両の先端部の幅方向中心とし、高さを地表面付近とすることに代えて、自車両の運転者が居る位置及び高さから求めた運転者の視線位置とすることで、実際に運転者が目視確認できるか否かを考慮した視認可能位置の推定が可能となる。
また、自車両が通行する道路の左右で周辺の路肩物体の状況が大きく異なる場合、視認可能位置の推定には以下の手法が考えられる。第1の手法は、交差路左側及び右側の各々に対して要視認領域を設定して視認可能率を算出し、左右の視認可能率が各々閾値が超える場合を視認可能位置候補に該当すると判定し、左右で単一の視認可能位置を選定する方法である。第1の手法は、同時に左右の要視認領域を確認できる地点を視認可能位置として選定する手法であり、一般的な運転者の心理に合致する。第2の手法は、左右それぞれの視認可能率に基づいて左右で独立して視認可能位置を選定する方法である。第2の手法は少しでも早く視認動作を行ないたい、という運転者の心理に合致する。
なお、視認可能位置推定部20が視認可能位置の推定に用いた視認可能率は、より詳細な運転評価に利用することも可能である。この場合、視認可能位置推定部20は、特定した視認可能位置に対応する車載データ34以外に、視認可能位置の特定に用いた視認可能率も保持する構成とすればよい。
ステップ218において、交差点危険度評価部22は、交差点進入開始位置推定部18によって推定された交差点進入開始位置と、視認可能位置推定部20によって推定された視認可能位置の位置関係から、評価対象の交差点の危険度を評価する。具体的には、交差点危険度評価部22は、視認可能位置が交差点進入開始位置よりも自車両の進行方向の手前側に位置している場合は、評価対象の交差点は危険度が比較的低いと評価する。また、交差点危険度評価部22は、視認可能位置が交差点進入開始位置よりも自車両の進行方向の奥側、すなわち交差点内に位置している場合には、評価対象の交差点は危険度が比較的高いと評価する。
なお、左右で独立して視認可能位置を選定している場合には、左右の視認可能位置の少なくとも一方が交差点内に位置している場合に、評価対象の交差点を危険度が比較的高い交差点と評価する。また、交差点危険度評価部22は、視認可能位置と交差点進入開始位置との距離も考慮することで、評価対象の交差点に対するより高精度な危険度の評価を行うことが望ましい。視認可能位置と交差点進入開始位置との距離は、関連する車載データ34に含まれる車速と時刻差、或いはGPS情報が表す車両位置の差などから算出することができる。
次のステップ220では、評価ルール選定部24、運転評価部26及び評価結果出力部28によってルール選定・評価処理が行われる。以下、図4を参照してルール選定・評価処理を説明する。
ルール選定・評価処理のステップ230において、評価ルール選定部24は、交差点危険度評価部22による評価対象の交差点に対する危険度の評価結果に基づいて、自車両の運転を評価するための評価ルールを選定する。評価ルール選定部24は、評価ルールの選定に際し、評価対象の交差点の危険度が高いと評価された場合と危険度が低いと評価された場合とで評価ルールを変更するが、更に、視認可能位置と交差点進入開始位置の距離の遠近に応じて評価ルールを変更してもよい。図13に一例を示す。
図13に示す評価ルールは、各場所毎及び各区間毎に、車両の望ましい挙動を対応付けて登録したものである。図13において、右側の表は危険度が高いと評価された交差点に対する評価ルールを示し、左側の表は危険度が低いと評価された交差点に対する評価ルールを示す。図13に示す評価ルールは、一時停止位置がある場合、交差点の危険度に拘わらず、一時停止位置で一時停止を実行することが望ましいとされている。
また、図13における左側の表は、視認可能位置と交差点進入開始位置の距離に応じて評価ルールが相違されている。例えば、危険度の低い交差点で視認可能位置から交差点進入開始位置までの距離が遠い場合は、視認可能位置で要視認領域を視認したとしても、交差点進入開始位置まで移動したときには、前記領域の状況が大きく変化していることが考えられる。そのため、距離が長い視認可能位置から交差点進入開始位置迄の区間を徐行しながら要視認領域の状況を確認し、交差点進入開始位置で一時停止して再度確認することが、自分以外の行動に起因する事故を防ぐための防衛運転として望ましい。
一方、危険度の低い交差点で視認可能位置から交差点進入開始位置迄の距離が近い場合は、視認可能位置から交差点進入開始位置迄の短い間に要視認領域の確認を行う必要がある。このため、距離が短い視認可能位置から交差点進入開始位置迄の区間を最徐行しながら、前記区間内の何れかの位置で一時停止を行う。なお、防衛運転の場合に交差点進入開始位置で一時停止することが望ましいことは同じである。このため、図13に示す評価ルールは、防衛運転の場合、前記区間内の交差点進入開始位置と十分異なる別の場所で一時停止したとしても、交差点進入開始位置でも再度の一時停止での確認を要することとしている。
また、危険度の高い交差点での評価ルールは、交差点進入開始位置が視認可能位置よりも先に現れるため、危険度の低い交差点評価に比べて一時停止及び最徐行が増えている。すなわち、交差点進入開始位置で一時停止し、その後視認可能位置まで最徐行し、視認可能位置で要視認領域を確認するために一時停止を行うように定められている。
なお、図13に示す評価ルールは一例であり、徐行を最徐行にしたより慎重な評価にしてもよい。また、一時停止についても、一時停止を継続している時間も評価ルールに含めてもよい。例えば、危険度の低い交差点で交差点進入開始位置が近い場合に、視認可能位置以後に複数回一時停止する場合には、最低限、どちらかの一時停止で要視認領域を十分確認できる時間だけ停止すればよい、などの評価ルールを採用してもよい。
また、評価ルール選定部24によって選定された評価ルールに基づいて後述する運転評価を行うに際し、各評価ルールの判定に重み付けをするために、各々の評価ルールに対する評価ポイントを決定してもよい。本実施形態では、各評価ルールに評価ポイントを付与する態様を説明する。
すなわち、次のステップ232において、評価ルール選定部24は、評価対象の交差点で過去に発生した事故や、危険度が高いと認定された事象、過去の運転履歴を表す情報に基づき、選定された評価ルールの中に要注意ルールが有るか否か判定する。ステップ232の判定が否定された場合はステップ236へ移行するが、ステップ232の判定が肯定された場合はステップ234へ移行し、ステップ234において、評価ルール選定部24は、要注意ルールの評価ポイントを重みが大きくなるように変更する。
これにより、運転評価に際し、上記の要注意ルールが、運転者が特に気をつけなければならない評価ルールとして、他の評価ポイントよりも重要視されて評価される。なお、要注意ルールとしては、例えば、法令違反を防ぐために準拠をより厳しくしたい一時停止位置での一時停止に関する評価ルール、複数回の評価を経て判明した運転者の評価履歴で頻発する忘却しがちな評価ルールが挙げられる。また、他の要注意ルールとしては、例えば、地図DB32から得た過去の事故や危険度が高いと認定された事象の発生状況で特に重視すべき評価ルール、営業所等で強化ポイントとして決定した評価ルールが挙げられる。
また、図13は履行すべき最低限の評価ルールの一例を1つ記載したが、このほかに、各評価ルールとして同一の位置に対して、安全運転のレベルに応じた複数の評価ルールを定義してもよい。例えば、防衛運転である交差点進入開始位置での一時停止に対して、最徐行の場合は評価ポイントを1点、一時停止を行えば評価ポイント2点、のような複数の評価ルールと評価ポイントを定義してもよい。更に、複数の評価ルールと評価ポイントを定義する場合に、複数の評価ルールの何れを最低限必要とするか、運転者種別と評価ルールの対応付けを行ってもよい。例えば、運転者の運転レベルとして、防衛運転を要求する運転者に対しては、後者の評価ポイント2点のルール、交差点進入開始位置での一時停止を最低限必要なルールとして適用し、それ他の運転者に対しては最徐行を最低限必要なルールとして適用してもよい。
次のステップ236において、運転評価部26は、交差点進入開始位置に対応する車載データ、視認可能位置に対応する車載データ(及び一時停止位置に対応する車載データ)から、自車両の挙動が評価ルールに合致しているか否かを判定し、運転評価を行う。本実施形態では、評価ポイントを加算して総合ポイントを算出することで運転評価を行う。これにより、運転評価の結果をポイントという数値で簡単に表現できるため、評価結果が分かりやすく、また比較も簡単になる。
具体的には、例えば、評価ルールに規定された一時停止や徐行などの挙動を、車載データ34から得た車速データと比較して、実施されたか否か判定する。その際に、評価ルールに規定された挙動が履行されていれば、対応する評価ポイントを総合ポイントに加算する。もし、評価ルール選定部24で選定した評価ルールにおいて、同一位置に複数の評価ルールが選定されている場合には、自車両の挙動に合致する評価ルールの評価ポイントを適用する。また、複数の評価ルールを適用していなくても、徐行より最徐行、最徐行より一時停止の方が安全に配慮した行動であると見做し、評価ルールに規定された挙動より安全に配慮した挙動が履行されていれば、安全配慮得点として余分の評価ポイントを付加してもよい。
なお、運転評価部26における運転評価は、上記の例のように実施できた評価ポイントを加算方式で加算していくことに限られるものではなく、予め設定した得点から未実施だった評価ポイント分を減算していく減算方式で判定しても構わない。また、運転評価部26は、交差点での運転者の運転に関する評価ポイントを計算することに加え、その値に基づいて、運転者の運転を「危険な運転」「要注意運転」「通常の運転」「より安全に配慮した運転」のような複数の運転の種類の何れかに分類してもよい。
次のステップ238において、評価結果出力部28は、運転評価部26によって算出された総合ポイントが設定値未満か否か判定する。ステップ238の判定が否定された場合はステップ242へ移行するが、ステップ238の判定が肯定された場合はステップ240へ移行する。そして、ステップ240において、評価結果出力部28は、運転者によって為された危険運転の種類を決定し、特に評価ポイントが低い評価ルールについて、例えば表示部50にメッセージを表示させる等により、要改善運転として運転者に提示する。これにより、評価対象の交差点の進入・通過において、評価ルールに規定された挙動(運転)よりも危険と評価された挙動(運転)を、運転者に認識させることができる。
次のステップ242において、評価結果出力部28は、各評価ルール毎の評価ポイントを、運転評価履歴として例えば記憶部46に保存し、運転評価処理を終了する。上記で保存した運転評価履歴を統計処理することで、運転者の運転傾向として特に評価ポイントの良し悪しが目立つ(=多くの履歴が残る)交差点の種類や構造、評価ルールを調べて、その評価ルールの重みを変更することができる。また、統計処理結果を運転者自身に通知して運転傾向を知らせ、安全運転の実施状況をモニタリングすることもできる。
このように、本実施例は、評価対象の交差点に対して交差点進入開始位置及び視認可能位置を推定し、交差点進入開始位置と視認可能位置との位置関係に基づいて危険度を評価するので、評価対象の交差点の危険度を高精度に評価することができる。また、交差点の危険度の評価結果に基づいて運転評価ルールを選定して運転評価を行うことで、交差点の構造自体の問題の有無、すなわち交差点内に入らないと周辺確認ができない危険な交差点なのか否かを考慮した高精度な運転評価を実現できる。
また、評価対象の交差点の危険度や、交差点進入開始位置と視認可能位置との位置関係等の情報は、例えば道路管理者等へ危険な交差点としてデータを提供する等の交差点の危険度の改善に利用することも可能となる。
なお、第1実施形態では、運転評価装置10全体が単一の車両に搭載された態様を説明したが、開示の技術はこれに限定されるものではなく、運転評価装置10の一部の機能をセンタサーバで実現してもよい。この場合、センタサーバと車載機との無線通信によって必要な情報の送受を行う構成を採用することができる。
具体的には、例えば、一時停止位置推定部16、交差点進入開始位置推定部18、視認可能位置推定部20の少なくとも1つに相当する処理のうち、負荷の大きな処理をセンタサーバで行う。一時停止位置や交差点進入開始位置、視認可能位置の推定に用いる車載データ34を車載機からセンタサーバへ無線通信により送信し、センタサーバ側で推定処理を行う。その後、センタサーバは、推定した各位置に対応するデータを車載機が車載データ34内から特定するための情報(例えば車載データ34内における該当データの通し番号等)と付随する解析情報(例えば視認可能率等)を車載機へ送信する。その後、車載機は受信したデータを用いて、車載データ34から各位置に対応するデータを特定すると共に、センタサーバで未実行の処理があれば当該処理を行い、交差点危険度評価部22や評価ルール選定部24、運転評価部26等に相当する処理を行う。上記構成の場合、車載機からセンタサーバに車載データ34を送信する必要がある。但し、運転評価とは別に、証拠保持や運行管理等の観点から車載データ34をセンタサーバで記録管理したい等の別目的のシステムが既に導入されている場合は、新たなデータ送信コストを発生させることなく運転評価を実施できる。また、車載機に加わる負荷が軽減され、車載機が簡単で低コストに構成できるという利点がある。
また、運転評価装置10全体が単一の車両に搭載された態様及び運転評価装置10の一部の機能をセンタサーバで実現する態様の何れについても、各処理の処理順序は図1(図3,4)に示す順序に限られるものではない。例えば、一時停止位置推定部16に相当する処理を、交差点進入開始位置推定部18や視認可能位置推定部20に相当する処理の後で行ってもよいし、それらと並列に処理しても構わない。
〔第2実施形態〕
次に開示の技術の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図14には本第2実施形態に係る運転評価装置100及び運転評価用車載機104が示されている。第1実施形態では、運転評価装置10が車両に搭載されている態様を説明したが、本第2実施形態では、運転評価用車載機104のみが車両に搭載されており、運転評価装置100は車両と別に設けられている。第2実施形態において、運転評価装置100は開示の技術に係る運転評価装置の一例であり、運転評価用車載機104は開示の技術に係る運転評価用車載機の一例である。
図14に示すように、運転評価装置100は、記憶部12B、評価対象交差点判定部14B、一時停止位置推定部16、交差点進入開始位置推定部18、視認可能位置推定部20、交差点危険度評価部22及び評価ルール選定部24を有している。また運転評価装置100は、運転評価部26及び評価結果出力部28に代えて簡易推定情報選定部102を有している。
記憶部12Bには地図DB32Bと車載データ34Bが記憶されている。第2実施形態では、運転評価装置100が車両と別に設けられており、車載記録装置30も接続されていない。このため、記憶部12Bに記憶された車載データ34Bは、第1実施形態で説明した車載記録装置30が搭載された車両の走行中に車載データ34Bが記録された記録媒体が運転評価装置100に接続され、接続された記録媒体から読み出すことによって取得される。なお、車載データ34Bの取得に用いられる車両と、運転評価用車載機104が搭載された車両(運転評価対象の車両)は、相違していてもよいし同一であってもよい。
簡易推定情報選定部102は、記憶部12Bに記憶された車載データ34Bから、交差点進入開始位置推定部18及び視認可能位置推定部20で推定された交差点進入開始位置や視認可能位置を特定するためのランドマークに対応する車載データを選定する。また簡易推定情報選定部102は、選定したランドマークに対応する車載データの特徴と、選定したランドマークに対応する車載データの取得タイミングと各位置に対応する車載データの取得タイミングとの時間差又は車両の移動距離を、簡易推定情報として保持する。
一方、運転評価用車載機104は、記憶部12A、評価対象交差点判定部14A、位置簡易推定部106、運転評価部26、評価結果出力部28及び車載記録装置30Aを有している。記憶部12Aには地図DB32Aと車載データ34Aが記憶されている。運転評価用車載機104は、車両に搭載され、車載記録装置30Aも設けられているので、車載記録装置30によって取得された車載データが記憶部12Aには車載データ34Aとして記憶される。なお、運転評価用車載機104の車載記録装置30Aは、第1実施形態で説明した車載記録装置30と同一の構成であってもよいが、例えば自車両の周囲の物体との距離を測定するレーザセンサやミリ波センサが省略された、より簡易な構成であってもよい。
第2実施形態では、運転評価装置100の簡易推定情報選定部102に保持されている簡易推定情報が運転評価用車載機104によって取得される。位置簡易推定部106は、取得された簡易推定情報に基づいて、運転評価用車載機104が搭載された自車両(運転評価対象の車両)の車載データ34Aからランドマークに対応する車載データを特定する。そして位置簡易推定部106は、特定したランドマークに対応する車載データとの取得タイミングの時間差又は自車両の移動距離から、交差点進入開始位置や視認可能位置に対応する車載データを各々特定する。
図15にはサーバコンピュータ112と車載コンピュータ130が通信ネットワーク140を介して無線通信可能とされたコンピュータシステム110が示されている。運転評価装置100は、例えば図15に示すサーバコンピュータ112で実現することができ、運転評価用車載機104は、例えば図15に示す車載コンピュータ130で実現することができる。
サーバコンピュータ112はCPU114、メモリ116、不揮発性の記憶部126、入力部118、表示部120、通信制御部122を備え、これらはバス124を介して互いに接続されている。サーバコンピュータ112は通信制御部122を介して通信ネットワーク140に接続されている。記憶部126はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等によって実現できる。記録媒体としての記憶部126には、サーバコンピュータ112を運転評価装置100として機能させるための運転評価プログラム56Aが記憶されている。CPU114は、運転評価プログラム56Aを記憶部126から読み出してメモリ116に展開し、運転評価プログラム56Aが有するプロセスを順次実行する。
運転評価プログラム56は、評価対象交差点判定プロセス58B、一時停止位置推定プロセス60、交差点進入開始位置推定プロセス62、視認可能位置推定プロセス64及び交差点危険度評価プロセス66を有する。また運転評価プログラム56は、評価ルール選定プロセス68及び簡易推定情報選定プロセス128を有する。
CPU114は、評価対象交差点判定プロセス58Bを実行することで、図14に示す評価対象交差点判定部14Bとして動作する。またCPU114は、一時停止位置推定プロセス60を実行することで、図14に示す一時停止位置推定部16として動作する。またCPU114は、交差点進入開始位置推定プロセス62を実行することで、図14に示す交差点進入開始位置推定部18として動作する。またCPU114は、視認可能位置推定プロセス64を実行することで、図14に示す視認可能位置推定部20として動作する。またCPU114は、交差点危険度評価プロセス66を実行することで、図14に示す交差点危険度評価部22として動作する。またCPU114は、評価ルール選定プロセス68を実行することで、図14に示す評価ルール選定部24として動作する。またCPU114は、簡易推定情報選定プロセス128を実行することで、図14に示す簡易推定情報選定部102として動作する。
これにより、運転評価プログラム56Aを実行したサーバコンピュータ112が、運転評価装置100として機能することになる。なお、運転評価プログラム56Aも開示の技術における運転評価プログラムの一例である。また、記憶部126には車載データ記憶領域74B及び地図DB記憶領域76Bが設けられており、車載データ記憶領域74Bには車載データ34Bが記憶され、地図DB記憶領域76Bには地図DB32Bが記憶されている。これにより、記憶部126は記憶部12Bとして機能する。
なお、運転評価装置100は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
一方、車載コンピュータ130は、第1実施形態で説明した車載コンピュータ40とほぼ同様の構成であり、バス54に通信制御部132が接続されており、通信制御部132が通信ネットワーク140に接続されている点で相違している。また、記憶部46には、車載コンピュータ130を運転評価用車載機104として機能させるための車載用評価プログラム134が記憶されている。CPU42は、車載用評価プログラム134を記憶部46から読み出してメモリ44に展開し、車載用評価プログラム134が有するプロセスを順次実行する。
車載用評価プログラム134は、評価対象交差点判定プロセス58A、位置簡易推定プロセス136、運転評価プロセス70及び評価結果出力プロセス72を有する。CPU42は、評価対象交差点判定プロセス58Aを実行することで、図14に示す評価対象交差点判定部14Aとして動作する。またCPU42は、位置簡易推定プロセス136を実行することで、図14に示す位置簡易推定部106として動作する。またCPU42は、運転評価プロセス70を実行することで、図14に示す運転評価部26として動作する。またCPU42は、評価結果出力プロセス72を実行することで、図14に示す評価結果出力部28として動作する。
これにより、車載用評価プログラム134を実行した車載コンピュータ130が、運転評価用車載機104として機能することになる。なお、記憶部46には車載データ記憶領域74A及び地図DB記憶領域76Aが設けられており、車載データ記憶領域74Aには車載データ34Aが記憶され、地図DB記憶領域76Aには地図DB32Aが記憶されている。これにより、記憶部46は記憶部12Aとして機能する。
なお、運転評価用車載機104は、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
次に本第2実施形態の作用を説明する。本第2実施形態では、運転評価用車載機104が搭載された車両が走行して運転評価を行うよりも以前に、CPU114によって運転評価プログラム56Aが実行されることで、運転評価装置100によって図16に示す運転評価処理が行われる。図16に示す運転評価処理は、第1実施形態で説明した運転評価処理(図3,4)と比較して、図4に示すステップ236〜ステップ242に代えて、ステップ250の処理を行う点でのみ相違している。図16に示す運転評価処理のステップ250では、簡易推定情報選定部102により、交差点進入開始位置や視認開始位置、一時停止位置に対応する車載データ34を簡易な処理で推定するための位置簡易推定情報を選定する位置簡易推定情報選定処理が行われる。以下、この位置簡易推定情報選定処理の詳細を説明する。
位置簡易推定情報は、具体的には、ランドマーク(目印)の車載データ34を特定するための情報を含む。また位置簡易推定情報は、ランドマークに対応する車載データ34と交差点進入開始位置や視認開始位置、一時停止位置の各位置に対応する車載データ34の相対的な関係を表す関係情報(相対時刻や距離)を含む。
最も簡単な位置簡易推定情報は、一時停止位置、交差点進入開始位置、視認可能位置の各位置自身のGPS位置情報をランドマーク情報とするものである。この場合は、ランドマークの車載データ34が各位置の車載データ34と同じになるため、相対的な関連情報は省略、又は、相対時刻・距離=ゼロとして設定する。上記の情報を用いることで、一時停止位置や交差点進入開始位置、視認可能位置を推定する複雑な処理に代えて、位置簡易推定情報のGPS情報から特定したランドマークの車載データ34を使うという簡易な処理で各位置に対応する車載データ34を特定できる。現在のGPS情報は前述のように測位精度が低いものの、精度が向上した場合には最も簡単に各位置を特定できる。
なお、上記の例では、位置が既知の衛星群からの電磁波の強度分布等を用いて車載のGPS装置で測距するGPS情報を一例として挙げたが、これに限られるものではない。例えば、交差点内の位置を特定するためのビーコン等の周辺の位置が既知の電磁波発生源からの電磁波特徴や強度分布等から位置を推定する専用位置センサを予め車載しておき、その位置情報をGPS情報の代用とした位置簡易推定情報であっても構わない。
他の位置簡易推定情報の例として、車載データ34に含まれる映像情報に映っている周辺物体情報を用いる例を説明する。例えば、評価対象の交差点へ向かう車両の映像情報に映る周辺物体のうち、特に目立つ映像特徴(画像特徴や形状特徴)を持つ物体=ランドマークを幾つか選定する。ランドマークとして選定可能な物体の一例としては、図18に示す標識や電柱、横断歩道、一時停止線、格子縞の柵等や、他との輝度差の激しい発光灯等が挙げられる。
次に、選定したランドマークの映像内における時空間的な位置、すなわち、画像内の映り込み位置や映像に映るタイミング及び対応する車載データを幾つか特定しておく。次に、特定したランドマークに対応する車載データに対して、一時停止位置や交差点進入開始位置、視認可能位置の各位置の何れかに対応する各車載データとの時空間的な相対量、すなわち相対時刻、或いは相対距離等を計算する。そして、ランドマーク検知用の情報(映像特徴とそれらの映像内の映りこみ時空間位置)と、ランドマークに対応する車載データから、各位置に対応する車載データを特定するための相対情報(相対時刻・距離等)を位置簡易推定情報とする。
例えば、図19に示す「ランドマークLフレーム1」では、ランドマークとして電柱と自動販売機が選定され、画像内における電柱及び自動販売機の映り込み位置と、画像内に電柱及び自動販売機が映るタイミングが特定され、対応する車載データが特定される。また、図19に示す「ランドマークLフレーム2」では、ランドマークとして停止線が選定され、画像内における停止線の映り込み位置と、画像内に停止線が映るタイミングが特定され、対応する車載データが特定される。
次に、ランドマークに対応する車載データと、一時停止位置や交差点進入開始位置、視認可能位置の各位置の何れかに対応する各車載データと、の時空間的な相対量が計算される。例えば図19の例では、「ランドマークLフレーム1」の車載データを基準として、視認可能位置に対応する車載データとの相対走行距離が奥側へ3.5mと計算され、交差点進入開始位置に対応する車載データとの相対走行距離が奥側へ11.1mと計算される。また図19の例では、「ランドマークLフレーム2」の車載データを基準として、視認可能位置に対応する車載データとの相対走行距離が手前側へ5.5mと計算され、交差点進入開始位置に対応する車載データとの相対走行距離が奥側へ2.1mと計算される。これらの情報が位置簡易推定情報に含まれることになる。
なお、映像特徴は上記で説明したランドマークに限られるものではなく、任意の車載の撮影装置によって撮影された映像に映る任意の映像特徴でよい。例えば既存のエッジ検出手法で検出したエッジ群の各長さと交差角度等の情報でもよい。エッジは画像処理で一般的な特徴量であり、路面標示や路肩の建物の形状、柵等の格子、電柱などに顕著に現れる。また、既定の特徴点の分布及び特徴点のオプティカルフローの平均値が既定値になるタイミング等でもよい。オプティカルフローも同じく画像処理で一般的な特徴量で、周辺の物体との距離を大まかに表すことができる。或いは、周辺との輝度差が大きな領域の形状や輝度差等の情報でもよい。例えば、街灯や門灯、自動販売機等の道路周辺物体や、路面に埋め込まれた発光式道路鋲などに存在する発光体等における、高輝度で他との輝度差が大きい領域は、画像処理の基本である輝度差の算定により、簡単に映像特徴として取得することができる。
更に、ランドマークとして用いるエッジやオプティカルフローや輝度領域を、画像の一部分、例えば画像中央付近等に存在するものに限定すれば、ランドマークに関連する車載データをより負荷の軽い画像処理で特定することができる。更に、簡単な差分情報を用いてランドマークに関連する車載データ34から各位置の車載データ34を推定することで、測距情報を用いた交差点進入開始位置や視認可能位置の推定処理よりも高速で簡易な車載データ34の特定が可能となる。
位置簡易推定情報の他の例としては、間引きした測距センサの情報をランドマークとして用いる例が挙げられる。例えば、地面(道路面)からの決まった高さに対する、道路の側方への測距情報から、凹凸がより大きな高さを1つ以上選定しておく。なお、図20に示すように、凹凸に対して縦方向(自車両の進路に直交する方向)及び横方向(自車両の進路方向)に最小サイズを各々定めておき、各方向に最小サイズ以上の凹凸をランドマークとして用いる凹凸とすることが好ましい。図20に示す例では、丸印の付いた凹凸がランドマークとして用いる凹凸として抽出されることになる。選定する高さの数は少ないほど良く、例えば「地面から30cmの高さの測距情報」のように選定する。この30cmの高さの測距情報のうち、特徴的な凹凸(最小サイズ以上の凹凸)をランドマークとする。また、30cmの高さで特徴的な凹凸の入り口が測距センサの正面にきたタイミングで、ランドマークに対応する車載データを特定する。
そして、特徴的な凹凸を表すランドマークに対応する車載データ34から、一時停止位置・交差点進入開始位置・視認可能位置の各位置の車載データ34までの相対時間および相対距離を相対情報として、位置簡易推定情報を決定する。図20では、上記の相対情報の一例として、特徴とする各凹凸から交差点進入開始位置(図20では正解フレームとして図示)迄の相対距離を示している。上記のように、ランドマークを識別する測距情報を決まった高さに制限することで、測距情報を用いた交差点進入開始位置や視認可能位置の推定処理よりも処理を簡素化することができ、簡単に各位置に対応する車載データ34を特定することができる。
また、運転評価用車載機104では、CPU42によって車載用評価プログラム134が実行されることで、図17に示す車載用評価処理が行われる。図17に示す車載用評価処理は、第1実施形態で説明したルール選定・評価処理(図4)と比較して、図4に示すステップ230〜ステップ234に代えて、ステップ260〜ステップ264の処理を行う点で相違している。
車載用評価処理のステップ260において、評価対象交差点判定部14Aは、第1実施形態で説明した運転評価処理(図3)のステップ200と同様に、参照中の車載データ34が評価対象の交差点近傍に対応する車載データ34か否かを判定する。判定が否定された場合はステップ260を繰り返し、ステップ260の判定が肯定されるとステップ262へ移行する。ステップ262において、位置簡易推定部106は、評価ルール選定部24によって選定された運転評価ルールと、簡易推定情報選定部102によって選定された位置簡易推定情報を運転評価装置100から取得する。
次のステップ264において、位置簡易推定部106は、まず、ステップ262で取得した位置簡易推定情報にランドマークを特定するための情報が含まれているか否かを判定する。ランドマークを特定するための情報が含まれている場合、位置簡易推定部106は、当該情報に基づきランドマークに対応する車載データを特定する。また位置簡易推定部106は、特定したランドマークに対応する車載データ及び位置簡易推定情報に含まれる相対情報に基づき、交差点進入開始位置、視認可能位置及び一時停止位置に対応する車載データを各々特定する。なお、各位置に対応する車載データの特定に失敗した場合には、評価無しとして本処理を終了する。次のステップ236以降の処理は第1実施形態と同じであるので、説明を省略する。
このように、第2実施形態では、車両評価装置100が位置簡易推定情報の選定を行い、運転評価用車載機104が位置簡易推定情報に基づいて各位置に対応する車載データを各々特定する。これにより、運転評価用車載機104による各位置に対応する車載データを各々特定する処理が簡素化され、運転評価用車載機104に加わる負荷が軽減されることで、運転評価用車載機104の構成を簡単にすることができる。また、車両評価装置100によって選定された位置簡易推定情報及び運転評価ルールは、複数台の車両に搭載された複数の運転評価用車載機104が各々利用可能であるので、コンピュータシステム110全体としての構成も簡単にすることができる。
なお、上記では、図13に示すように、一時停止位置、交差点進入開始位置、視認可能位置及び各位置の間の区間について、望ましい車両の挙動を各々定めた評価ルールを用いて運転評価を行う態様を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、より単純に、交差点危険度評価部22によって危険度が高いと判定された交差点については、進入時に最徐行及び一時停止を行ったかを評価し、危険度が低いと判定された交差点については進入時に徐行及び一時停止を行ったかを評価してもよい。すなわち、交差点進入開始位置及び視認可能位置は交差点の危険度の評価にのみ用い、運転評価については、各位置を特定することなく、交差点に車両が進入する際の全体的な評価ルールを交差点の危険度に応じて単に切り替えるようにしてもよい。開示の技術は、このような態様も権利範囲に含むものである。
また、上記では開示の技術に係る運転評価プログラムの一例である運転評価プログラム56が記憶部46に、運転評価プログラム56Aが記憶部126に、各々予め記憶(インストール)されている態様を説明した。しかし、開示の技術に係る運転評価プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
道路を通行する移動体に搭載された車載装置により取得された、前記移動体の位置を判定可能な第1情報及び前記移動体の周囲の状況を判定可能な第2情報を含む車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置を推定する交差点進入開始位置推定部と、
前記車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における要視認領域を特定し、前記評価対象の交差点のうち前記交差点進入開始位置推定部で推定された前記進入開始位置の前後の各位置において、特定した前記要視認領域のうち移動体の乗員が視認可能な範囲を各々判定して比較することで、前記評価対象の交差点における移動体の視認可能位置を推定する視認可能位置推定部と、
前記交差点進入開始位置推定部で推定された前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置と、前記視認可能位置推定部で推定された前記評価対象の交差点における移動体の視認可能位置と、の少なくとも位置関係に基づいて、前記評価対象の交差点の危険度を評価する交差点危険度評価部と、
を含む交差点評価装置。
(付記2)
前記車載データに含まれる前記第1情報を地図情報と照合することで、前記移動体が進入して通過した交差点が前記評価対象の交差点か否かを判定する評価対象交差点判定部を更に含む付記1記載の交差点評価装置。
(付記3)
前記車載データは、前記第2情報として、前記移動体の側方に存在する周辺物体との距離を表す距離情報及び前記周辺物体を撮影した画像情報の少なくとも一方を含み
前記交差点進入開始位置推定部は、前記距離情報及び前記画像情報の少なくとも一方に基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置を推定する付記1又は付記2記載の交差点評価装置。
(付記4)
前記視認可能位置推定部は、前記評価対象の交差点における要視認領域として、前記移動体が前記評価対象の交差点に進入する際に前記移動体が通行した道路と、前記評価対象の交差点で交差している交差路上の領域を特定する付記1〜付記3の何れか1項記載の交差点評価装置。
(付記5)
前記視認可能位置推定部は、前記移動体が前記評価対象の交差点に進入する際の前記移動体の速度、及び、前記交差点進入開始位置推定部で推定された前記交差点進入開始位置迄の距離の少なくとも一方を用いて、前記要視認領域を特定する付記1〜付記4の何れか1項記載の交差点評価装置。
(付記6)
前記視認可能位置推定部は、前記進入開始位置の前後の各位置について、各位置を中心とし前記要視認領域を内側に有する円弧のうち、前記移動体から、前記移動体が前記評価対象の交差点に進入する際に前記移動体が通行した道路と前記評価対象の交差点で交差している交差路迄に遮蔽物体が存在しない視認可能な範囲が占める割合を表す視認可能率を各々比較することで、前記視認可能位置を推定する付記1〜付記5の何れか1項記載の交差点評価装置。
(付記7)
前記視認可能位置推定部は、前記進入開始位置の前後の各位置について、前記要視認領域内の任意の点を複数選定し、選定した各点と前記移動体を結ぶ各直線上に遮蔽物体が存在するか否かを判定し、選定した点のうち前記遮蔽物体が存在しないと判定した点の割合を表す視認可能率を算出して比較することで、前記視認可能位置を推定する付記1〜付記5の何れか1項記載の交差点評価装置。
(付記8)
前記交差点危険度評価部によって評価された前記評価対象の交差点の危険度に基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の挙動に関する運転評価のルールを選定する評価ルール選定部を更に備えた付記1〜付記7の何れか1項記載の運転評価装置。
(付記9)
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された、少なくとも前記運転評価対象の移動体の挙動を判定可能な第3情報を含む車載データから求まる、前記評価対象の交差点における前記運転評価対象の移動体の挙動を、前記評価ルール選定部で選定された前記ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う運転評価部を更に備えた付記8記載の運転評価装置。
(付記10)
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された車載データは前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を含み、
前記評価ルール選定部は、前記評価対象の交差点のうち移動体の進入開始位置と移動体の視認可能位置との間の区間における移動体の挙動に関する運転評価のルールも選定し、
前記運転評価部は、前記評価対象の交差点のうち前記区間における移動体の挙動も、前記評価ルール選定部で選定された前記区間における評価ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記9記載の運転評価装置。
(付記11)
前記車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における一時停止の有無及び位置を推定する一時停止位置推定部(図1,14:16)を更に含み、
前記評価ルール選定部は、前記評価対象の交差点に一時停止が有る場合に、前記評価対象の交差点の一時停止位置における移動体の挙動に関する運転評価のルールも選定し、
前記運転評価部は、前記評価対象の交差点の一時停止位置における移動体の挙動も、前記評価ルール選定部で選定された前記一時停止位置における評価ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記9又は付記10記載の運転評価装置。
(付記12)
前記評価ルール選定部は、前記評価対象の交差点の複数の評価対象位置に対し、移動体の挙動を各々複数設定すると共に、設定した複数の挙動に対して互いに異なる評価ポイントを設定し、
前記運転評価部は、運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された前記車載データから求まる、前記評価対象の交差点の複数の評価対象位置における前記運転評価対象の移動体の挙動に対応する評価ポイントを合算又は減算することで、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記9〜付記11の何れか1項記載の運転評価装置。
(付記13)
前記評価ルール選定部は、前記評価対象の交差点における事故の発生状況、前記評価対象の交差点において危険度が高いと評価された事象の発生状況、前記運転評価対象の移動体に対する過去の運転評価の履歴、及び、直接指示の少なくとも1つに基づいて、少なくとも1つ以上の挙動の評価ポイントに重みを設定する付記12記載の運転評価装置。
(付記14)
前記交差点進入開始位置推定部及び前記視認可能位置推定部で推定された各位置を特定するためのランドマークに対応する車載データを選定し、選定したランドマークに対応する車載データの特徴と、選定したランドマークに対応する車載データの取得タイミングと前記各位置に対応する車載データの取得タイミングとの時間差又は前記移動体の移動距離と、を、前記各位置の簡易推定情報として保持する簡易推定情報選定部を更に含む付記1〜付記13の何れか1項記載の運転評価装置。
(付記15)
運転評価対象の移動体に搭載され、付記8記載の運転評価装置の前記評価ルール選定部によって選定された運転評価のルールを取得する取得部と、
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された、少なくとも前記運転評価対象の移動体の挙動を判定可能な第3情報を含む車載データから求まる、前記評価対象の交差点における前記運転評価対象の移動体の挙動を、前記評価ルール選定部で選定された前記ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う運転評価部と、
を含む運転評価用車載機。
(付記16)
付記8記載の運転評価装置は、前記交差点進入開始位置推定部及び前記視認可能位置推定部で推定された各位置を特定するためのランドマークに対応する車載データを選定し、選定したランドマークに対応する車載データの特徴と、選定したランドマークに対応する車載データの取得タイミングと前記各位置に対応する車載データの取得タイミングとの時間差又は前記移動体の移動距離と、を、前記各位置の簡易推定情報として保持する簡易推定情報選定部を更に含み、
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された車載データは、前記移動体の位置を判定可能な第1情報及び前記移動体の周囲の状況を判定可能な第2情報の少なくとも一方を含み、
前記取得部は、前記各位置の簡易推定情報を取得し、
前記取得部によって取得された前記各位置の簡易推定情報に基づいて、運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された前記車載データから前記ランドマークに対応する車載データを特定し、特定したランドマークに対応する車載データとの取得タイミングの時間差又は前記運転評価対象の移動体の移動距離から、前記各位置に対応する車載データを特定する位置簡易推定部を更に含み、
前記運転評価部は、前記位置簡易推定部によって特定された前記各位置に対応する車載データを用いて、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記15記載の運転評価用車載機。
(付記17)
道路を通行する移動体に搭載された車載装置により取得された、前記移動体の位置を判定可能な第1情報及び前記移動体の周囲の状況を判定可能な第2情報を含む車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置を推定し、
前記車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における要視認領域を特定し、前記評価対象の交差点のうち前記推定した前記進入開始位置の前後の各位置において、特定した前記要視認領域のうち移動体の乗員が視認可能な範囲を各々判定して比較することで、前記評価対象の交差点における移動体の視認可能位置を推定し、
前記推定した前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置と、前記推定した前記評価対象の交差点における移動体の視認可能位置と、の少なくとも位置関係に基づいて、前記評価対象の交差点の危険度を評価する
ことを含む交差点評価方法。
(付記18)
前記車載データに含まれる前記第1情報を地図情報と照合することで、前記移動体が進入して通過した交差点が前記評価対象の交差点か否かを判定する付記17記載の交差点評価方法。
(付記19)
前記車載データは、前記第2情報として、前記移動体の側方に存在する周辺物体との距離を表す距離情報及び前記周辺物体を撮影した画像情報の少なくとも一方を含み
前記距離情報及び前記画像情報の少なくとも一方に基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置を推定する付記17又は付記18記載の交差点評価方法。
(付記20)
前記評価対象の交差点における要視認領域として、前記移動体が前記評価対象の交差点に進入する際に前記移動体が通行した道路と、前記評価対象の交差点で交差している交差路上の領域を特定する付記17〜付記19の何れか1項記載の交差点評価方法。
(付記21)
前記移動体が前記評価対象の交差点に進入する際の前記移動体の速度、及び、推定した前記交差点進入開始位置迄の距離の少なくとも一方を用いて、前記要視認領域を特定する付記17〜付記20の何れか1項記載の交差点評価方法。
(付記22)
前記進入開始位置の前後の各位置について、各位置を中心とし前記要視認領域を内側に有する円弧のうち、前記移動体から、前記移動体が前記評価対象の交差点に進入する際に前記移動体が通行した道路と前記評価対象の交差点で交差している交差路迄に遮蔽物体が存在しない視認可能な範囲が占める割合を表す視認可能率を各々比較することで、前記視認可能位置を推定する付記17〜付記21の何れか1項記載の交差点評価方法。
(付記23)
前記進入開始位置の前後の各位置について、前記要視認領域内の任意の点を複数選定し、選定した各点と前記移動体を結ぶ各直線上に遮蔽物体が存在するか否かを判定し、選定した点のうち前記遮蔽物体が存在しないと判定した点の割合を表す視認可能率を算出して比較することで、前記視認可能位置を推定する付記17〜付記21の何れか1項記載の交差点評価方法。
(付記24)
評価した前記評価対象の交差点の危険度に基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の挙動に関する運転評価のルールを選定する付記17〜付記23の何れか1項記載の運転評価方法。
(付記25)
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された、少なくとも前記運転評価対象の移動体の挙動を判定可能な第3情報を含む車載データから求まる、前記評価対象の交差点における前記運転評価対象の移動体の挙動を、選定した前記ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記24記載の運転評価方法。
(付記26)
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された車載データは前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を含み、
前記評価対象の交差点のうち移動体の進入開始位置と移動体の視認可能位置との間の区間における移動体の挙動に関する運転評価のルールも選定し、
前記評価対象の交差点のうち前記区間における移動体の挙動も、選定した前記区間における評価ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記25記載の運転評価方法。
(付記27)
前記車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における一時停止の有無及び位置を推定し、
前記評価対象の交差点に一時停止が有る場合に、前記評価対象の交差点の一時停止位置における移動体の挙動に関する運転評価のルールも選定し、
前記評価対象の交差点の一時停止位置における移動体の挙動も、選定した前記一時停止位置における評価ルールと照合して、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記25又は付記26記載の運転評価方法。
(付記28)
前記評価対象の交差点の複数の評価対象位置に対し、移動体の挙動を各々複数設定すると共に、設定した複数の挙動に対して互いに異なる評価ポイントを設定し、
運転評価対象の移動体に搭載された車載装置により取得された前記車載データから求まる、前記評価対象の交差点の複数の評価対象位置における前記運転評価対象の移動体の挙動に対応する評価ポイントを合算又は減算することで、前記運転評価対象の移動体の運転評価を行う付記25〜付記27の何れか1項記載の運転評価方法。
(付記29)
前記評価対象の交差点における事故の発生状況、前記評価対象の交差点において危険度が高いと評価された事象の発生状況、前記運転評価対象の移動体に対する過去の運転評価の履歴、及び、直接指示の少なくとも1つに基づいて、少なくとも1つ以上の挙動の評価ポイントに重みを設定する付記28記載の運転評価方法。
(付記30)
推定した前記交差点進入開始位置及び前記視認可能位置を特定するためのランドマークに対応する車載データを選定し、選定したランドマークに対応する車載データの特徴と、選定したランドマークに対応する車載データの取得タイミングと前記各位置に対応する車載データの取得タイミングとの時間差又は前記移動体の移動距離と、を、前記各位置の簡易推定情報として保持する付記17〜付記29の何れか1項記載の運転評価方法。
(付記31)
コンピュータに、
道路を通行する移動体に搭載された車載装置により取得された、前記移動体の位置を判定可能な第1情報及び前記移動体の周囲の状況を判定可能な第2情報を含む車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置を推定し、
前記車載データに基づいて、前記評価対象の交差点における要視認領域を特定し、前記評価対象の交差点のうち前記推定した前記進入開始位置の前後の各位置において、特定した前記要視認領域のうち移動体の乗員が視認可能な範囲を各々判定して比較することで、前記評価対象の交差点における移動体の視認可能位置を推定し、
前記推定した前記評価対象の交差点における移動体の進入開始位置と、前記推定した前記評価対象の交差点における移動体の視認可能位置と、の少なくとも位置関係に基づいて、前記評価対象の交差点の危険度を評価する
ことを含む処理を行わせるための運転評価プログラム。