JP6093530B2 - 乳中の微生物を濃縮および乳中の微生物の核酸を回収する方法 - Google Patents
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Description
例1
乳汁からの黄色ブドウ球菌の濃縮を例に、本発明における濃縮方法を説明する。本法は図2に示すように非常に簡単なフローにて実施した。
乳汁0.9mLに対して、あらかじめ培養した黄色ブドウ球菌を1000cfu/mLとなるように調整した菌液を100μL添加撹拌した。次に、18M酢酸100μLを添加し9100×g、5分間の遠心処理をした。ここで、酸である酢酸を添加することで、乳汁中に含まれるタンパク溶解度が常温でも飽和するため、タンパクが凝集する。タンパク凝集の際、周りに存在する脂肪や糖と共に、黄色ブドウ球菌がタンパクに包括されながら凝集する。凝集した液を9100×g、5分間処理することで、液体層と固体層に分離されるが、液体層について、核酸を抽出する処理を施したところ、黄色ブドウ球菌の核酸が得られず、他方、固体層から核酸を抽出したところ、添加した黄色ブドウ球菌のほぼ全菌数を回収することができた。つまり、乳汁中に含まれる水分を除いた固体層に黄色ブドウ球菌が濃縮したことが確認された。乳汁は概ね90%の水分からなっているため、本処理のように乳汁に酢酸を添加し、遠心処理をするだけで、乳汁中に含まれる細菌を10倍濃縮することができたことがわかる。ここで、遠心処理だけでも液体と固体に分離できるが、分離された液体層に酢酸を添加すると白濁する。つまり、遠心分離だけでは、タンパクや脂肪の分離が不十分であり、また、遠心分離した液体層を核酸抽出処理したところ、核酸の存在が認められた。つまり、酢酸を添加後に遠心分離することで高効率に細菌を固体層に濃縮できた。また、本例では酸として、カルボン酸である酢酸を使用した。カルボン酸は、細菌をより確実に固体層に包括することができ、且つその後の遺伝子検査、培養検査および免疫学的検査に阻害を起こさないので好ましい。
グラム陽性菌とグラム陰性菌の破砕
乳汁に含まれるグラム陽性菌とグラム陰性菌をそれぞれ破砕した。グラム陽性菌として黄色ブドウ球菌を培養した菌液を用いた。グラム陰性菌として緑膿菌を培養した菌液を用いた。
磁性ビーズの影響についての検討
磁性ビーズによる核酸の濃縮効果について検討した。グラム陽性菌について行った実施例2の方法と、磁性ビーズを使用したことを除いて実施例2と同様に行った実施例3の方法とを比較した。
乳汁からの黄色ブドウ球菌の核酸の分離
乳汁に含まれる黄色ブドウ球菌の核酸を分離するための時間について、実施形態に従う単細胞生物の核酸を分離する方法と従来の方法とを比較した。
実施例4として、乳汁からの黄色ブドウ球菌の核酸を分離する方法を説明する。
上記の実施例4の方法では、乳汁から黄色ブドウ球菌の核酸を回収するまでの時間は約15分であった。それに対して、市販の核酸抽出キットであるFastlD Genomic DNA Extraction Kit(日本認証サービス株式会社製)を用いて、同様の試料、即ち、感染した乳汁から黄色ブドウ球菌の核酸を次のように回収した。
抽出精度について
実施形態に従う単細胞生物の核酸を分離する方法および従来の方法によって、乳汁から黄色ブドウ球菌の核酸を分離する際の抽出効率を比較した。
黄色ブドウ球菌の濃度を除いて、実施例2と同様の方法を用いて核酸を分離し、リアルタイムPCRにより核酸を増幅した。各試験は、1つの濃度につき2例ずつ行い、結果は、平均値±標準誤差で示した。
黄色ブドウ球菌の濃度を除いて、比較例1と同様の方法を用いて核酸を分離し、リアルタイムPCRにより核酸を増幅した。各試験は、1つの濃度につき2例ずつ行い、結果は、平均値±標準誤差で示した。
実施例5と比較例2の方法により得られた結果を図5のグラフに示した。
加熱温度についての検討
実施例5、6および7として、加熱温度を75℃、85℃および95℃とし、加熱時間を5分間行うこと、およびSDSを使用しないこと以外は、実施例4と同様に擬似感染乳から黄色ブドウ球菌の核酸を分離した。
加熱時間についての検討
実施例9、10、11、12および13として、加熱時間を1分間、3分間、5分間、7分間および10分間とし、加熱温度を85℃としたこと、およびSDSを使用しないこと以外は、実施例4と同様に擬似感染乳から黄色ブドウ球菌の核酸を分離した。
核酸吸着性ビーズの添加時期についての検討
核酸吸着性ビーズの添加時期と黄色ブドウ球菌の2種類の異なる菌株を用いて実施例14〜17を行った。
擬似感染乳をマイクロチューブに40μL入れた。そこに5Mのグアニジンチオシアン酸塩の500μL、10%のSDS100μLを添加した。この混合物を85℃で5分間に亘り加熱した。
擬似感染乳をマイクロチューブに40μL入れた。そこに5Mのグアニジンチオシアン酸塩の500μL、磁性ビーズMagneSil(登録商標)BLUE(Promega社製)の20μL、10%のSDS100μLを添加した。この混合物を85℃で5分間に亘り加熱した。
磁性ビーズ量と抽出量についての検討
エンテロコッカス、酵母およびストレプトコッカスからそれぞれ核酸を分離した。
菌種についての検討
グラム陽性菌、グラム陰性菌および藻類の核酸を分離した。
グラム陽性菌の例として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、連鎖球菌であるEnterococcus faecalisおよびStreptococcus dysagalactiaeの培養菌液を用いた。
Claims (21)
- 乳に酸を加えてタンパク質を凝集して凝集物を形成すること、
前記凝集物を固体層として回収すること、および
回収された前記固体層から核酸を抽出することを含む、乳中の微生物の核酸を回収する方法。 - 前記凝集物を固体層として回収することが、遠心力または濾過を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記凝集物を固体層として回収することが、遠心により凝集物を沈殿すること、および上清を除去することを含む請求項2に記載の方法。
- 乳に酸を加えてタンパク質を凝集して凝集物を形成すること、前記凝集物を固体層として回収すること、
前記固体層とカオトロピック塩とを含む液体混合物を加熱すること;および
前記液体混合物中の核酸を核酸吸着性ビーズに接触させて、前記核酸を前記核酸吸着性ビーズに付着させて分離すること;
を含む、乳中の微生物の核酸を回収する方法。 - 前記加熱が、前記試料と、前記カオトロピック塩と、前記核酸吸着性ビーズとの混合物に対して行われる請求項4に記載の方法。
- 更に、前記核酸が吸着した前記核酸吸着性ビーズを回収することを含む請求項4または5に記載の方法。
- 更に、前記核酸が吸着した核酸吸着性ビーズをアルコールにより洗浄することを含む請求項4〜6の何れか1項に記載の方法。
- 更に、アルコールにより洗浄された前記核酸が吸着した核酸吸着性ビーズから、核酸を抽出することを含む請求項7に記載の方法。
- 前記カオトロピック塩が、タンパク変性剤である請求項4〜8の何れか1項に記載の方法。
- 前記カオトロピック塩が、尿素またはグアニジウムイオンとその対イオンとの塩である請求項4〜8の何れか1項に記載の方法。
- 前記カオトロピック塩がグアニジン塩酸塩またはグアニジンチオシアン酸塩である請求項4〜7の何れか1項に記載の方法。
- 前記核酸吸着性ビーズがシリカコーティングされた磁性ビーズである請求項4〜11の何れか1項に記載の方法。
- 前記アルコールにより洗浄することが、2−イソプロピロアルコールおよびエタノールをそれぞれ用いて少なくとも1回行われる請求項7〜12の何れか1項に記載の方法。
- 前記洗浄に使用される2−イソプロピロアルコールおよびエタノールの濃度が、99%である請求項13に記載の方法。
- 前記アルコールにより洗浄することが、2−イソプロピロアルコールおよびエタノールの混合物を用いて少なくとも1回行われる請求項7〜12の何れか1項に記載の方法。
- 前記アルコールにより洗浄されたビーズからの核酸の抽出が、トリス塩酸液により行われる請求項8〜15の何れか1項に記載の方法。
- 前記加熱が60℃〜95℃で1〜10分間に亘り行われるか、または70℃〜85℃で1〜5分間に亘り行われるか、または80℃〜85℃で1〜5分間に亘り行われる請求項4〜16の何れか1項に記載の方法。
- 前記液体混合物が、更に緩衝剤を含む請求項4〜17の何れか1項に記載の方法。
- 前記液体混合物が更に界面活性剤および/または両面活性剤を含む請求項18に記載の方法。
- 前記加熱することが、撹拌しながら行われる請求項4〜19の何れか1項に記載の方法。
- 乳に酸を加えてタンパク質を凝集すること、
遠心により凝集物を沈殿すること、
上清を除去すること、
前記凝集物をカオトロピック塩と核酸吸着性ビーズを含む緩衝液に混合した混合液を準備すること;
前記混合液を加熱すること;
前記核酸吸着性ビーズを含む混合液の液体成分を除去すること;
前記核酸吸着性ビーズを2−イソプロピロアルコールおよびエタノールで少なくとも1回ずつ洗浄すること;おとび
前記核酸吸着性ビーズにトリス塩酸液を加えて核酸を抽出すること;
を含む、乳中の微生物の核酸を回収する方法。
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