JP6092134B2 - 有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機薄膜トランジスタの製造方法およびその製造方法により製造された有機薄膜トランジスタに関する。
軽量化、低コスト化、柔軟化が可能であることから、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに用いられるFET(電界効果トランジスタ)、RFID(RFタグ)やメモリなどの論理回路を用いる装置等に、有機半導体膜(有機半導体層)を有する有機薄膜トランジスタ(有機TFT)が利用されている。
このような有機薄膜トランジスタの製造方法としては、例えば、ソース電極およびドレイン電極を、金、銀、銅等の金属微粒子分散物を印刷法によりパターニングして金属微粒子層(平均粒子径50nm以下の金属微粒子群から実質的になる層)を形成した後、加熱処理することにより金属微粒子を熱融着して電極を形成する方法が特許文献1に記載されている。
特開2004−031933号公報
一方、昨今では、各電子デバイス装置等の高性能化および一般化に伴い、有機薄膜トランジスタには、動作速度や信頼性のより一層の向上が求められている。
本発明者が特許文献1に記載された有機薄膜トランジスタの製造方法を検討したところでは、動作速度(キャリア移動度)および信頼性(耐マイグレーション性、電極密着性)に改善の余地があることが知見された。なお、耐マイグレーション性とは、ソース電極とドレイン電極間での金属のイオンマイグレーションの起こりにくさを意図し、電極密着性とは電極(ソース電極および/またはドレイン電極)の隣接するゲート絶縁膜層に対する密着性を意図する。
そこで、本発明は、キャリア移動度、耐マイグレーション性および電極密着性に優れた有機薄膜トランジスタを製造するための、有機薄膜トランジスタの製造方法およびその製造方法により製造される有機薄膜トランジスタを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、所定の導電膜形成用組成物を用いて、ソース電極および/またはドレイン電極を形成することにより、所望の効果が得られることを知見し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により、上記課題を解決することができることを見出した。
(1)ゲート電極と、有機絶縁材料を含むゲート絶縁膜層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層とを備え、ゲート絶縁膜層とソース電極、および、ゲート絶縁膜層とドレイン電極が、それぞれ互いに接した構造を有する、ボトムゲート−ボトムコンタクト型またはトップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
平均一次粒子径が100nm以下の酸化銅粒子(A)と、周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩(B)と、アルコール化合物(C)とを含有する導電膜形成用組成物を用いて形成される塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより、ソース電極およびドレイン電極のうち少なくとも一方を形成する工程を含む、有機薄膜トランジスタの製造方法。
(2)有機絶縁材料が、シロキサン基またはパーフルオロ基を有する有機絶縁材料を含む、(1)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(3)ソース電極およびドレイン電極のうち少なくとも一方を形成する工程での加熱焼成を、ゲート絶縁膜層中の有機絶縁材料のガラス転移温度以上で加熱処理することにより行う、(1)または(2)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(4)塗膜を、印刷法により形成する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(5)金属粒子または塩(B)が、周期律表の第10族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩を含む、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(6)アルコール化合物(C)が3価のアルコールを含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(7)ゲート絶縁膜層の膜厚が200nm〜1μmである、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(8)ソース電極およびドレイン電極の厚みが50〜500nmである、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法
本発明によれば、キャリア移動度、耐マイグレーション性および電極密着性に優れた有機薄膜トランジスタを製造するための、有機薄膜トランジスタの製造方法およびその製造方法により製造される有機薄膜トランジスタを提供することができる。
図1はボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの一実施態様の断面図である。 図2はボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの他の実施態様の断面図である。 図3はトップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの一実施態様の断面図である。 図4はトップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの他の実施態様の断面図である。 図5は、実施例で使用したメタルマスクの平面図である。
以下に、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法、および、有機薄膜トランジスタの製造方法より得られる有機薄膜トランジスタについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の製造方法の特徴点の一つとしては、ボトムゲート−ボトムコンタクト型またはトップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの製造において、所定の成分を含む導電膜形成用組成物を用いてソース電極および/またはドレイン電極を作製している点が挙げられる。後述するように、ボトムゲート−ボトムコンタクト型またはトップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタにおいては、有機絶縁材料を含むゲート絶縁膜層と、ソース電極およびドレイン電極とが接触している。そのため、後述する導電膜形成用組成物を用いて加熱焼成または光焼成を施すことによりソース電極および/またはドレイン電極を作製すると、ゲート絶縁膜層の有機絶縁材料と、導電膜形成用組成物由来の成分との相互作用により、形成される電極のゲート絶縁膜層に対する密着性が向上する。なお、光焼成の際には、導電膜形成用組成物が光を吸収して発生した熱に起因して、密着性が向上するものと推測される。また、この導電膜形成用組成物を使用すると、電極間のマイグレーションが抑制されると共に、有機半導体層での移動度の低下も抑制される。なお、有機半導体層の移動度の低下が抑制される要因の一つとしては、上記電極の密着性の向上が寄与しているものと推測される。
以下、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの製造方法を第1の態様、トップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの製造方法を第2の態様として、詳述する。
<<第1の態様>>
図1に、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの一実施態様の断面図を示す。
図1に示すように、有機薄膜トランジスタ10は、支持体12と、支持体12上に配置されたゲート電極14と、ゲート電極14に接触するゲート絶縁膜層16と、ゲート絶縁膜層16のゲート電極14側とは反対側の表面と接するように配置されたソース電極18およびドレイン電極20と、ソース電極18、ドレイン電極20、および、ソース電極18とドレイン電極20とで挟まれた領域のゲート絶縁膜層16を覆うように配置された有機半導体層22を有する。なお、後述するように、ゲート絶縁膜層16は、有機絶縁材料を含む。
本発明の製造方法は、後述する導電膜形成用組成物を用いて形成される塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより、ソース電極18およびドレイン電極20の少なくとも一方を形成する工程(以後、ソース・ドレイン形成工程とも称する)を少なくとも有していればよく、他の部材(ゲート電極14、ゲート絶縁膜層16、有機半導体層22)の形成方法は特に制限されないが、通常、ゲート電極14を形成する工程(ゲート形成工程)、ゲート絶縁膜層16を形成する工程(絶縁膜層形成工程)、上記ソース・ドレイン形成工程、および、有機半導体層22を形成する工程(有機半導体形成工程)をこの順で実施することが好ましい。
以下では、図1に示す、有機薄膜トランジスタ10の製造方法の好適態様の一つとして、上記工程を有する手順について詳述する。
<ゲート形成工程>
本工程は、支持体上にゲート電極を形成する工程である。以下では、まず、使用される支持体およびゲート電極について詳述する。
支持体の種類は特に制限されず、主に、ガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えば、プラスチックフィルムをシートとして用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス支持体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
ゲート電極を構成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、銀、アルミニウム(Al)、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属;InO2、SnO2、ITO等の導電性の酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料などが挙げられる。なかでも、金属であることが好ましく、銀、アルミニウムであることがより好ましい。
ゲート電極を形成する方法は特に制限されず、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写やインクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。
また、導電性高分子の溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性高分子や導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。また、後述する導電膜形成用組成物を用いてゲート電極を形成してもよい。
ゲート電極の厚みは特に制限されないが、20〜200nmであることが好ましい。
<絶縁膜層形成工程>
本工程は、支持体上のゲート電極と接触するゲート絶縁膜層を形成する工程である。ゲート絶縁膜層は、通常、ゲート電極を覆うように配置される。以下では、まず、ゲート絶縁膜層を構成する材料について詳述する。
ゲート絶縁膜層は、有機絶縁材料を含む。ゲート絶縁膜層が有機絶縁材料を含むことにより、後述するソース・ドレイン形成工程での加熱焼成または光焼成の際に、ソース電極および/またはドレイン電極との間で優れた密着性が達成される。
ゲート絶縁膜層中の有機絶縁材料の含有量は特に制限されないが、主成分として含まれることが好ましい。ここで、主成分とは、ゲート絶縁膜層全質量に対して、有機絶縁材料の含有量が、75質量%以上であることを意図し、ソース電極および/またはドレイン電極とゲート絶縁膜層との密着性がより優れる点で、90質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
有機絶縁材料としては、絶縁性を示す有機物(有機化合物)であれば特にその種類は制限されない。例えば、絶縁樹脂が好ましく、より具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系や光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、シアノエチルプルラン、シリコン系ポリマー、フッ素系ポリマー等を用いることができる。
有機絶縁材料としては、ソース電極および/またはドレイン電極とゲート絶縁膜層との密着性がより優れる、または、有機薄膜トランジスタの移動度がより優れる点で、シロキサン基またはパーフルオロ基を有する有機絶縁材料が好ましい。シロキサン基またはパーフルオロ基を有する有機絶縁材料としては、シロキサン基含有ポリマーまたはパーフルオロ基含有ポリマーを用いることが好ましい。シロキサン基含有ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリシルセスキオキサン等が挙げられ、パーフルオロ基含有ポリマーとしては例えば、テフロン(R)(三井・デュポン フロロケミカル社製)、サイトップ(R)(旭硝子社製)、ネオフロンTM(ダイキン社製)等のアモルファスフッ素樹脂が挙げられる。
なお、シロキサン基とはSi−Oで表される基を意図し、パーフルオロ基とはすべての水素原子がフッ素原子で置換された基を意図する。
ゲート絶縁膜層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、ゲート電極が形成された支持体上に、上記有機絶縁材料を含むゲート絶縁膜層形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜層を形成する方法、上記有機絶縁材料を蒸着またはスパッタしてゲート絶縁膜層を形成する方法などが挙げられる。なお、ゲート絶縁膜層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒(水、または、有機溶媒)が含まれていてもよい。また、ゲート絶縁膜層形成用組成物には架橋成分が含まれてもよい。例えば、ヒドロキシ基を含有する有機絶縁材料に対し、メラミン等の架橋成分を添加することで、ゲート絶縁膜層に架橋構造を導入することもできる。
ゲート絶縁膜層形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、インクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが好ましい。
ゲート絶縁膜層形成用組成物を塗布してゲート絶縁膜層を形成する場合、溶媒除去、架橋などを目的として、塗布後に加熱(ベーク)してもよい。
ゲート絶縁膜層の膜厚は、特に限定されず、50nm〜3μmが好ましく、200nm〜1μmがより好ましい。
<ソース・ドレイン形成工程>
本工程は、所定の導電膜形成用組成物を用いて形成される塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより、ソース電極およびドレイン電極の少なくとも一方を形成する工程である。より具体的には、支持体、ゲート電極、およびゲート絶縁膜層を含む積層体中のゲート絶縁膜層上に導電膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施す。なお、以下では、導電膜形成用組成物を用いてソース電極およびドレイン電極の両方を形成した態様について詳述するが、導電膜形成用組成物を用いてソース電極およびドレイン電極の一方のみを用いて形成してもよい。
以下では、まず、本工程で使用される導電膜形成用組成物について詳述する。
〈導電膜形成用組成物〉
導電膜形成用組成物(以後、単に組成物とも称する)は、平均一次粒子径が100nm以下の酸化銅粒子(A)と、周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩(B)と、アルコール化合物(C)とを含有する。以下、組成物中に含まれる成分について詳述する。
《平均一次粒子径が100nm以下の酸化銅粒子(A)》
導電膜形成用組成物は、平均一次粒子径100nm以下の酸化銅粒子(A)(以下、単に「酸化銅粒子(A)」という場合がある。)を含む。酸化銅粒子(A)は、後述する焼結処理によって酸化銅が金属銅に還元され、電膜中の金属導体を構成する。
酸化銅は、酸化銅(I)、酸化銅(II)またはこれらの混合物が好ましく、安価に入手可能であること、空気中でより安定であることから酸化銅(II)がより好ましい。
本発明における「酸化銅」とは、酸化されていない銅を実質的に含まない化合物であり、具体的には、X線回折による結晶解析において、酸化銅由来のピークが検出され、かつ金属銅由来のピークが検出されない化合物のことを指す。銅を実質的に含まないとは、銅の含有量が酸化銅粒子に対して1質量%以下であることをいう。
酸化銅粒子(A)の平均一次粒子径は、100nm以下であれば特に限定されないが、1〜80nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。平均一次粒子径が小さいほど酸化銅の還元がされやすく、より低い焼結温度で焼結した場合でも、高い導電性を有する導電膜を作製することができる。平均一次粒子径が10nm以上では、より良好な分散安定性が得られる。
なお、酸化銅粒子(A)の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」という場合がある。)像の中から無作為に選んだ100個の粒子の水平フェレ径および垂直フェレ径を測定し、それらのうちの大きい方の測定値をその粒子の1次粒子径として、算術平均して算出したものである。なお、水平フェレ径と垂直フェレ径の大きさが同じの場合は、いずれの値を使用してもよい。
《周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩(B)》
導電膜形成用組成物は、周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩(B)(以下、単に「第8〜11族元素の金属粒子または塩(B)」という場合がある。)を含む。
本発明において、第8〜11族元素とは、IUPAC周期表の第8〜11族のうち、安定同位体が存在する、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、および金(Au)をいう。第8〜11族元素としては、パラジウム、ロジウム、白金またはこれらのうち2以上の元素の組合せが好ましく、パラジウム、白金またはこれらの組合せがより好ましく、パラジウムがさらに好ましい。
本発明の導電膜形成用組成物を用いてソース電極およびドレイン電極を作製する際の加熱処理または光照射処理において、上記金属元素を含む金属粒子、または上記金属元素を含む塩に含まれる金属イオンが還元されて生成する金属の単体は、酸化銅粒子(A)の還元を促進するとともに、酸化銅粒子(A)の酸化銅が還元されて生成した銅粒子同士の融着を促進し、高い導電性を有する導電膜(電極)を作製することを可能とする。
(金属粒子)
周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子(以下、単に「第8〜11族金属粒子(B1)」という場合がある。)は、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀および金から選ばれる1または2種類以上の元素を含む金属粒子である。
第8〜11族金属粒子(B1)は第8〜11族元素を、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上含む金属粒子である。
第8〜11族金属粒子(B1)は、酸化、凝集等を防止するため、その表面がポリアクリル酸ナトリウム等のコーティング剤や保護コロイドなどで被覆されていてもよい。
第8〜11族金属粒子(B1)の平均一次粒子径は、特に限定されないが、1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、1〜5nmがさらに好ましい。
なお、第8〜11族金属粒子(B1)の平均一次粒子径は、SEM像の中から無作為に選んだ100個の粒子の水平フェレ径および垂直フェレ径を測定し、それらのうちの大きい方の測定値をその粒子の1次粒子径として、算術平均して算出したものである。なお、水平フェレ径と垂直フェレ径の大きさが同じの場合は、いずれの値を使用してもよい。
(塩)
周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素の塩(以下「第8〜11族金属塩(B2)」という場合がある。)は、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀および金から選ばれる1または2種類以上の元素を含む塩(錯体を含む。)である。第8〜11族金属塩(B2)としては、塩化パラジウム(II)、カリウムテトラクロロパラデートのような塩化物等のハロゲン化物塩;硝酸パラジウム等の硝酸塩;硫酸塩;炭酸塩;酢酸パラジウム(II)のような酢酸塩等のカルボン酸塩;アンミン錯体;硝酸テトラアンミンパラジウム(II)、硝酸テトラアンミン白金(II)のような硝酸テトラアンミン錯体;トリルテニウムドデカカルボニル(ドデカカルボニル三ルテニウム)等の金属カルボニル錯体;ジ(アセチルアセトナト)パラジウム等のアセチルアセトナト塩;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、ジクロロ[ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル等のホスフィン錯体;ビス(1,5−シクロオクタジエン)白金、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル等のジエン錯体;クロロ(π−アリル)パラジウム ダイマー等のπ−アリル錯体;ペンタキス(トリクロロスタナト)パラデート、ペンタキス(トリクロロスタナト)プラチネート等のトリクロロスタナト錯体;ジエチル(2,2’−ビピリジル)パラジウム等のビピリジル錯体;ジ(ベンザルアセトン)パラジウム、トリ(ベンザルアセトン)ジパラジウム等のベンザルアセトン錯体などが挙げられる。
なかでも、電極間の耐マイグレーション性がより優れる、および、電極密着性がより優れる点で、周期律表の第10族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩が好ましく、パラジウムを含む塩(パラジウム塩)がより好ましい。
《アルコール化合物(C)》
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法に用いる導電膜形成用組成物は、アルコール化合物(C)を含む。アルコール化合物(C)は、加熱処理の際に酸化銅粒子(A)の酸化銅を還元するための還元剤として作用する。
アルコール化合物(C)は、1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を1個以上有する化合物であれば特に限定されない。
アルコール化合物(C)としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、アリルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、シクロオクタノール、ノナノール、2−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、デカノール、2−デカノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、ウンデカノール、ドデカノール、2−ドデカノール、2−ブチル−1−オクタノール、トリデカノール、テトラデカノール、2−テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、1−フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール等の1価のアルコール;エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、2,7−ジメチル−3,6−オクタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−ヒドロキシメチル−2−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,2−ベンジルジメチロール、1,3−ベンジルジメチロール、1,2−シクロヘキサンジオール,1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価のアルコール;グリセリン(プロパン−1,2,3−トリオール)、ブタン−1,2,4−トリオール、ヘキサン−1,2,6−トリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、トリメチロールプロパン(2−ヒドロキシメチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール)等の3価のアルコール;シクロオクタン−1,3,5,7−テトラオール、ペンタエリスリトール(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)等の4価のアルコールなどが挙げられる。
アルコール化合物(C)は、2価または3価のアルコールを含むことが好ましく、電極間の耐マイグレーション性、および、電極密着性がより優れる点で、3価のアルコールを含むことがより好ましく、3価のアルコールとしては、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
《溶媒》
導電膜形成用組成物には、さらに、溶媒(ただし、アルコール化合物(C)は含まれない)が含まれてもよい。溶媒としては、酸化銅粒子(A)、第8〜11族元素の金属粒子または塩(B)およびアルコール化合物(C)を分散または溶解することができ、それらと反応しないものであれば、特に限定するものではないが、アルコールは含まれない。溶媒としては、例えば、水、エーテル類、エステル類、炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる一種、または相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
溶媒としては、アルコール化合物(C)との相溶性に優れることから、水、水溶性アルコール由来のアルキルエーテル、水溶性アルコール由来のアルキルエステル、またはこれらの混合物が好ましく用いられる。
水としては、イオン交換水以上のレベルの純度を有するもの、例えば、逆浸透ろ過水(RO水)、ミリQ水、蒸留水等が好ましい。
上記溶媒の中でも、沸点が高すぎないことから、特に水を主溶媒として用いることが好ましい。主溶媒とは、溶媒の中で含有率が最も多い溶媒である。
《その他成分》
導電膜形成用組成物には、酸化銅粒子(A)、第8〜11族元素の金属粒子または塩(B)、アルコール化合物(C)、および溶媒以外にも他の成分が含まれていてもよい。
例えば、導電膜形成用組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤は、酸化銅粒子の分散性を向上させる役割を果たす。界面活性剤の種類は特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これら界面活性剤は、1種を単独、または2種以上を混合して用いることができる。
導電膜形成用組成物は、酸化銅粒子(A)と、第8〜11族元素の金属粒子または塩(B)と、アルコール化合物(C)と、所望により、溶媒(D)等とを混合して製造することができる。
導電膜形成用組成物中における、酸化銅粒子(A)と第8〜11族元素の金属粒子または塩(B)との質量比(B/A)は特に制限されないが、ソース電極および/またはドレイン電極とゲート絶縁膜層との密着性がより優れる、電極間の耐マイグレーション性が優れる、または、有機薄膜トランジスタの移動度がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、0.005〜0.1が好ましく、0.01〜0.05がより好ましい。
導電膜形成用組成物中における、酸化銅粒子(A)とアルコール化合物(C)との質量比(C/A)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1〜10が好ましく、0.3〜6.0がより好ましい。
導電膜形成用組成物中における、酸化銅粒子(A)と溶媒(D)との質量比(D/A)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.2〜5.0が好ましく、0.3〜3.0がより好ましい。
(電極の作製方法)
ソース電極およびドレイン電極は、上述した導電膜形成用組成物を用いて形成される塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより形成することができる。より具体的には、上述した導電膜形成用組成物をゲート絶縁膜層上に塗布(パターン状に塗布)して、得られた塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより、ソース電極およびドレイン電極が形成される。
上記導電膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法が採用される。例えば、凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、凹版印刷、孔版印刷、インクジェット法等の印刷法により導電膜形成用組成物を所定の位置にパターニングすることができる。なお、通常、導電膜形成用組成物を塗布する際には、所定のソース電極およびドレイン電極の形状となるように、パターン状に塗布される。また、形成される塗膜の厚みは、後述するソース電極およびドレイン電極の好適な厚みとなるように調整される。
なお、インクジェット法とは、導電膜形成用組成物をインクジェットヘッドより吐出してパターニングする方法であり、インクジェットヘッドからの吐出方式としては、ピエゾ方式、バブルジェット(R)方式等のオンデマンド型や静電吸引方式などの連続噴射型のインクジェット法等公知の方法によりパターニングすることができる。
なお、上記塗布後、必要に応じて、乾燥処理を施してもよい。乾燥処理を施すことにより、塗膜中の溶媒を除去することができる。
次に、得られた塗膜(導電膜形成用組成物の層)に対して、加熱焼成または光焼成などの焼結処理を施すことにより、導電膜が形成され、ソース電極およびドレイン電極となる。
加熱焼成の際の加熱処理条件は特に制限されないが、導電性により優れる導電膜(ソース電極およびドレイン電極)を形成することができ、電極密着性がより優れる点で、加熱温度は、ゲート絶縁膜層中の有機絶縁材料のガラス転移温度(Tg)以上とすることが好ましい。
加熱焼成の際の加熱処理条件として、まず、加熱温度としては、150〜220℃が好ましく、160〜200℃がより好ましい。また、加熱時間は5〜120分が好ましく、5〜30分がより好ましい。なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
光焼成の際の光照射処理は、上述した加熱焼成とは異なり、室温にて塗膜が付与された部分に対して光を短時間照射することで金属銅への還元および焼結が可能となり、長時間の加熱による基材(ゲート絶縁膜層)の劣化が起こらず、導電膜の基材との密着性がより良好となる。
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線等がある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、フラッシュランプによるパルス光照射であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、塗膜を付与した部分の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒が更に好ましい。
なお、光照射処理は、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気等で行いうるが、大気雰囲気で行うことが好ましい。
上記加熱処理および光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
形成されるソース電極およびドレイン電極の厚みは、特に限定されないが、10nm〜1μmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
<有機半導体形成工程>
本工程は、上述したソース電極およびドレイン電極が配置されたゲート絶縁膜層上にさらに有機半導体層を形成する工程である。より具体的には、本工程では、ソース電極、ドレイン電極、および、ソース電極とドレイン電極とで挟まれた領域のゲート絶縁膜層を覆うように、有機半導体層が形成される。なお、本工程は図1の態様には限定されず、例えば、図2の有機薄膜トランジスタ100に示すように、ソース電極18とドレイン電極20とで挟まれた領域のゲート絶縁膜層16を覆うように有機半導体層22が少なくとも形成されればよい。
以下では、有機半導体層を構成する材料について詳述する。
有機半導体材料として、π共役系材料が用いられる。π共役系材料としては、例えば、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類;ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類;ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類;ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類;ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類;ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)等のポリアニリン類;ポリアセチレン等のポリアセチレン類;ポリジアセチレン等のポリジアセチレン類;ポリアズレン等のポリアズレン類;ポリピレン等のポリピレン類;ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)等のポリカルバゾール類;ポリセレノフェン等のポリセレノフェン類;ポリフラン、ポリベンゾフラン等のポリフラン類;ポリ(p−フェニレン)等のポリ(p−フェニレン)類;ポリインドール等のポリインドール類;ポリピリダジン等のポリピリダジン類;ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセン等のポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、O等の原子、カルボニル基等の官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノン等);ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィド等のポリマー;特開平11−195790号に記載された多環縮合体等を用いることができる。
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有する、例えば、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体等のオリゴマーも好適に用いることができる。
さらに、銅フタロシアニンや特開平11−251601号に記載のフッ素置換銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)およびN,N’−ジオクチルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、およびアントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素などが挙げられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
有機半導体材料としては、例えば、DNTT(ジナフト[2,3−b:2´,3´−f]チエノ[3,2−b]チオフェン)、DPh−BTBT(2,7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン)、DT−BTT(2,6−ジトリルベンゾ[1,2−b:4,5−b´]ジチオフェン)、DPh−BTT(2,6−ジフェニルベンゾ[1,2−b:4,5−b´]ジチオフェン)、TIPSペンタセン(6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン)、TESペンタセン(6,13−ビス((トリエチルシリル)エチニル)ペンタセン)、ADT(アントラ[2,3−b:6,7−b´]ジチオフェン)、DFH−4T(5,5´´´−ビス(トリデカフルオロヘキシル)−2,2´:5´,2´´:5´´,2´´´−テトラチオフェン)、TES−ADT(5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン)、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタフルオロ−9,10−ビス(メシチルエチニル)アントラセン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタフルオロ−9,10−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アントラセン、DH−FTTF(5,5´−ビス(7−ヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)−2,2´−ビチオフェン)、NSFAAP(13,6−N−スルフィニルアセトアミドペンタセン)、ペンタセン−N−スルフィニル−tert−ブチルカルバミン酸、9,10−ビス[(トリイソプロピルシリル)エチニル]アントラセン等も挙げられる。
本発明においては、有機半導体層に、例えば、アクリル酸等、アセトアミド等、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。
本発明に用いるドーパントとしてアクセプター、ドナーのいずれも使用可能である。このアクセプターとしてCl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等のハロゲン、PF、AsF、SbF、BF、BC1、BBr、SO等のルイス酸、HF、HC1、HNO、HSO、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOH等のプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸等の有機酸、FeCl、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoCl、WF、WCl、UF、LnCl(Ln=La、Ce、Nd、Pr等のランタノイドとY)などの遷移金属化合物、Cl、Br、I、ClO4−、PF6−、AsF5−、SbF6−、BF4−、スルホン酸アニオン等の電解質アニオンなどを挙げることができる。
また、本発明に用いるドナーとしては、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb等の希土類金属、アンモニウムイオン、R、RAs、R(各Rはアルキル基、アリール基等を表す。)、アセチルコリンなどを挙げることができる。
これらのドーパントのドーピングの方法として予め有機半導体層を作製しておき、ドーパントを後で導入する方法、有機半導体層作製時にドーパントを導入する方法のいずれも使用可能である。前者の方法のドーピングとして、ガス状態のドーパントを用いる気相ドーピング、溶液あるいは液体のドーパントを有機半導体層に接触させてドーピングする液相ドーピング、個体状態のドーパントを有機半導体層に接触させてドーパントを拡散ドーピングする固相ドーピングの方法を挙げることができる。また液相ドーピングにおいては電解を施すことによってドーピングの効率を調整することができる。後者の方法では、有機半導体化合物とドーパントの混合溶液あるいは分散液を同時に塗布、乾燥してもよい。例えば、真空蒸着法を用いる場合、有機半導体化合物とともにドーパントを共蒸着することによりドーパントを導入することができる。またスパッタリング法で有機半導体層を作製する場合、有機半導体化合物とドーパントの二元ターゲットを用いてスパッタリングして薄膜中にドーパントを導入させることができる。さらに他の方法として、電気化学的ドーピング、光開始ドーピング等の化学的ドーピングおよび例えば刊行物(工業材料、34巻、第4号、55頁、1986年)に示されたイオン注入法等の物理的ドーピングのいずれも使用可能である。
有機半導体層の作製法は特に制限されず、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。ただし、この中で生産性の点で、有機半導体の溶液をもちいて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。また、有機半導体の溶液あるいは分散液をインクジェットで吐出し、溶媒を乾燥、除去することにより有機半導体層を形成してもよい。
有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、1μm以下が好ましく、10〜300nmがより好ましい。
<<第2の実施態様>>
図3に、トップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの一実施態様の概略図を示す。
図3に示すように、有機薄膜トランジスタ200は、支持体12と、支持体12上に配置された有機半導体層22と、有機半導体層22と接するように配置されたソース電極18およびドレイン電極20と、ソース電極18およびドレイン電極20を覆うように有機半導体層22上に配置されたゲート絶縁膜層16と、ゲート絶縁膜層16のソース電極18およびドレイン電極20側とは反対側の表面と接するように配置されたゲート電極14とを有する。
図3に示す有機薄膜トランジスタ200を構成する各部材は、上述した図1に示す有機薄膜トランジスタ10を構成する各部材と同じであり、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図3に示す有機薄膜トランジスタ200と、上述した図1に示す有機薄膜トランジスタ10とでは、各部材の積層順のみが異なる。
上述した第1の実施態様と同様に、有機薄膜トランジスタ200中のソース電極およびドレイン電極の少なくとも一方は、上記の導電膜形成用組成物を用いて形成される塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより形成される。つまり、有機薄膜トランジスタ200の製造方法は、上記ソース・ドレイン形成工程を少なくとも有する。
有機薄膜トランジスタ200を製造する方法は特に制限されず、上記ソース・ドレイン形成工程を有していればよいが、通常、支持体12上に有機半導体層22を形成する工程(有機半導体形成工程)、ソース電極18およびドレイン電極20を形成する工程(ソース・ドレイン形成工程)、ゲート絶縁膜層16を形成する工程(絶縁膜層形成工程)、および、ゲート電極14を形成する工程(ゲート形成工程)をこの順で実施することが好ましい。なお、各工程の手順は、上述した第1の実施態様での各工程の手順と同じである。
なお、有機半導体層22を形成する際には、図3の態様に限定されず、図4の有機薄膜トランジスタ300に示すように、ソース電極18とドレイン電極20とで挟まれた領域に有機半導体層22が少なくとも形成されればよい。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[導電膜形成用組成物の調製]
〈導電膜形成用組成物1〉
酸化銅粒子(シーアイ化成社製,NanoTek CuO;平均一次粒子径 48nm)(45質量部)および水(20質量部)を混合し、自転公転ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)で5分間処理することで酸化銅粒子水分散液を得た。酸化銅粒子水分散液にトリメチロールプロパン(225重量部)および酢酸パラジウム(2重量部)を添加し、自転公転ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE−310)で5分間処理することで導電膜形成用組成物を調製した。この導電膜形成用組成物を導電膜形成用組成物1とした。
〈導電膜形成用組成物2〉
トリメチロールプロパン(225質量部)に代えて1,6−ヘキサンジオール(225質量部)を使用した点を除き、導電膜形成用組成物1と同様にして、導電膜形成用組成物2を調製した。
〈導電膜形成用組成物3〉
トリメチロールプロパン(225質量部)に代えて1,7−ヘプタンジオール(225質量部)を使用した点を除き、導電膜形成用組成物1と同様にして、導電膜形成用組成物3を調製した。
〈導電膜形成用組成物4〉
酢酸パラジウム(2質量部)に代えてトリルテニウムドデカカルボニル(2質量部)を使用した点を除き、導電膜形成用組成物1と同様にして、導電膜形成用組成物4を調製した。
〈導電膜形成用組成物5〉
酢酸パラジウムを使用しなかった点を除き、導電膜形成用組成物1と同様にして、導電膜形成用組成物5を調製した。
表1は、導電膜形成用組成物1〜5の組成をまとめたものである。
[実施例1]
1.有機半導体トランジスタ素子(有機薄膜トランジスタ)の作製
図1に示すボトムゲート・ボトムコンタクト型有機半導体トランジスタ素子を製造した。
(ゲート電極形成)
無アルカリ硝子基板(5cm×5cm)上に、銀ナノインク(銀ナノコロイド H−1,三菱マテリアル社製)をDMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、幅100μm、膜厚100nmの配線パターンを形成し、その後、200℃90分間、ホットプレート上、大気下で加熱焼成することで、ゲート電極配線を形成した。
(ゲート絶縁膜層形成)
アルキルアセタール化ポリビニルアルコール(エスレック(R)KS−3,積水化学工業社製;固形分97質量%)の10質量%(固形分濃度)エタノール溶液(固形分として、5質量部)を、ゲート電極を作製した硝子基板上に滴下し、スピンコート(1000rpm,120秒)により、コートし、150℃/30分加熱することで、ゲート絶縁膜層(膜厚:500nm)を形成した。
(ソース・ドレイン電極形成)
上記絶縁膜コートされた基板中央上に、図5に示すパターンを複数個有するメタルマスクを載せ、UVオゾン30分照射することで、マスク開口部を親水処理表面に改質した。なお、図5中、メタルマスク51には、光を遮断するマスク部52と、開口部53および54がある。
改質部分周辺にDMP2831(1ピコリットルヘッド)を用いたインクジェット印刷により、導電膜形成用組成物1を吐出して、チャネル長50μm、チャネル幅320μmのソース・ドレイン電極パターンを形成した。得られた基板をN雰囲気下(グローブボックス中、酸素濃度20ppm以下の環境)にて、ホットプレート上200℃で90分、加熱焼成することで、膜厚200nmの銅電極が形成された。
(有機半導体層形成)
TIPSペンタセン(シグマアルドリッチ社製)のベンゼン0.5wt%溶液を作製し、0.2μmメンブレンフィルターでろ過することで、有機半導体溶液を作製した。得られた溶液をソース・ドレイン電極を形成した基板上に、滴下し、スピンコート(1000rpm,120秒)により、コートした。そのまま、大気下室温で2時間乾燥することで、有機半導体層を作製した。
2.耐マイグレーション性評価
作製した有機半導体トランジスタ素子の各配線に30V電圧を印加した状態で、温度/湿度=85℃/85%の条件下で保存し、絶縁抵抗値が106台以下に低下するまでの時間(絶縁崩壊時間)を測定し、以下の評価基準に従って耐マイグレーション性を評価した。評価結果を表2の耐マイグレーション性の欄に示す。
A:絶縁崩壊時間が1000時間以上
B:絶縁崩壊時間が500時間以上〜1000時間未満
C:絶縁崩壊時間が100時間以上〜500時間未満
D:絶縁崩壊時間が100時間未満
3.電極密着性評価
有機半導体層を形成する前の、ゲート絶縁膜層上にソース・ドレイン電極を作製した段階の基板を電極密着性評価用試験片として用いて、JIS K 6854−1:1999に従ってテープ剥離試験を行い、配線部分(ソース・ドレイン電極)の剥がれのレベルを以下の評価基準に従って評価した。評価結果を表2の電極密着性の欄に示す。
A:全く剥離なし
B:5%未満の面積の剥離あり
C:5%以上20%未満の面積の剥離あり
D:20%以上90%未満の面積の剥離あり
E:90%以上の面積の剥離あり
4.キャリア移動度評価
半導体デバイスアナライザB1500A(アジレント社製)を用いて、キャリア移動度を測定した。測定結果を表2のキャリア移動度の欄に示す。
[実施例2、3]
ゲート絶縁膜層の膜厚を、それぞれ、300nm、1000nmに変更した点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
ゲート絶縁膜層を形成するための溶液として、アモルファスフッ素樹脂溶液(サイトップ(R)CTX−807AP,旭硝子社製)を使用してゲート絶縁膜層を形成した点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
ゲート絶縁膜層を形成するための溶液として、アモルファスフッ素樹脂溶液(テフロン(R)AF−1601S,三井・デュポン フロロケミカル社製)を使用してゲート絶縁膜層を形成した点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例6]
ゲート絶縁膜層を形成するための溶液として、ポリシルセスキオキサン(HBSQ101,荒川化学工業社製)(100質量部)およびイソホロンジイソシアネート(10質量部)およびジメチルグリコール100重量部を混合した溶液を使用してゲート絶縁膜層を形成した点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例7〜9]
実施例7〜9は、導電膜形成用組成物として、それぞれ、導電膜形成用組成物2〜4を使用した点を除き、実施例4と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例10〜12]
実施例10〜12は、ソース・ドレイン電極形成の際の焼成を、加熱処理からパルス光による光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m、パルス幅:2m秒)に変更した点を除き、それぞれ、実施例7〜9と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例13は、ソース・ドレイン電極形成の際の焼成を、加熱処理からパルス光による光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m、パルス幅:2m秒)に変更した点を除き、実施例6と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
比較例1は、ゲート絶縁膜層をSiO2の蒸着膜とした点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
比較例2は、ソース電極およびドレイン電極を銀ナノコロイドH−1を使用して作製した点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例3は、導電膜形成用組成物として、導電膜形成用組成物5(第8〜11族元素の金属粒子または第8〜11族元素の塩を含まない)を使用した点を除き、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製およびキャリア移動度の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例4は、ソース・ドレイン電極形成の際の焼成を、加熱処理からパルス光による光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m、パルス幅:2m秒)に変更した点を除き、比較例1と同様にして有機薄膜トランジスタの作製および各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例と比較例との対比から、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法によって製造したトランジスタは、キャリア移動度、耐マイグレーション性および電極密着性に優れることがわかる。
実施例1〜3の対比から、ゲート絶縁膜層の厚みが少なくとも200nm〜1μmの範囲内で、良好な電極密着性が得られることがわかる。
実施例1と実施例4〜6との対比から、ゲート絶縁膜材料としてシロキサン基含有ポリマーまたはパーフルオロ基含有ポリマーを使用する方がより優れた電極密着性とキャリア移動度を得られることがわかる。
実施例1と実施例7、8との対比から、導電膜形成用組成物中のアルコール化合物が3価のアルコールであると、2価のアルコールよりも優れた耐マイグレーション性を得られることがわかる。
実施例1と実施例9との対比から、第8〜11族元素の塩としてパラジウム塩を含む場合、ルテニウム錯体を含む場合よりも、耐マイグレーション性および電極密着性がより優れることがわかる。
比較例1と実施例1との対比から、ゲート絶縁膜層が有機化合物を含まない場合、電極密着性およびキャリア移動度が劣ることがわかる。
比較例2と実施例1との対比から、ソース電極およびドレイン電極を銀ナノ粒子を用いて作製した場合、耐マイグレーション性、電極密着性およびキャリア移動度がいずれも劣ることがわかる。
比較例3と実施例1との対比から、第8〜11族元素の金属粒子および第8〜11族元素の塩のいずれも含まない場合、キャリア移動度が劣ることがわかる。
実施例7〜9と実施例10〜12との対比から、ソース・ドレイン電極の形成は加熱焼成および光焼成のいずれによってもできるが、光焼成によって行うと、耐マイグレーション性がより優れることがわかる。
10,100,200,300 有機薄膜トランジスタ
12 支持体
14 ゲート電極
16 ゲート絶縁膜層
18 ソース電極
20 ドレイン電極
22 有機半導体層
51 メタルマスク
52 マスク部
53,54 開口部

Claims (8)

  1. ゲート電極と、有機絶縁材料を含むゲート絶縁膜層と、ソース電極と、ドレイン電極と、有機半導体層とを備え、前記ゲート絶縁膜層と前記ソース電極、および、前記ゲート絶縁膜層と前記ドレイン電極が、それぞれ互いに接した構造を有する、ボトムゲート−ボトムコンタクト型またはトップゲート−トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
    平均一次粒子径が100nm以下の酸化銅粒子(A)と、周期律表の第8〜11族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩(B)と、アルコール化合物(C)とを含有する導電膜形成用組成物を用いて形成される塗膜に対して加熱焼成または光焼成を施すことにより、前記ソース電極および前記ドレイン電極のうち少なくとも一方を形成する工程を含む、有機薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記有機絶縁材料が、シロキサン基またはパーフルオロ基を有する有機絶縁材料を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記工程での加熱焼成を、前記ゲート絶縁膜層中の前記有機絶縁材料のガラス転移温度以上で加熱処理することにより行う、請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記塗膜を、印刷法により形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 前記金属粒子または塩(B)が、周期律表の第10族元素からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属粒子または塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 前記アルコール化合物(C)が3価のアルコールを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 前記ゲート絶縁膜層の膜厚が200nm〜1μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  8. 前記ソース電極および前記ドレイン電極の厚みが50〜500nmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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