JP6089829B2 - 薬剤候補化合物の設計方法、設計装置、及び合成方法、プログラム、並びに記録媒体 - Google Patents
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しかし、前記SBDDを利用した従来の化合物の設計方法では、前記(1)〜(3)の事象を考慮していないため、標的タンパク質に対して大きな結合活性を有する化合物を選択的に設計することが難しく、前記SBDDのみでは薬剤候補化合物の絞込みを十分に行うことが困難であるという問題がある。また、前記SBDDのみでは多くの薬剤候補化合物が得られ、それらの薬剤候補化合物を合成及び評価するには、膨大な時間を要するという問題がある。
開示の薬剤候補化合物の設計方法は、
構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程と、
前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程と、
前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める工程と、
安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程と、
前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程とを含む。
コンピューターに、
構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程と、
前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程と、
前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める工程と、
安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程と、
前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程とを実行させる。
薬剤候補化合物を設計する工程と、
設計された前記薬剤候補化合物を合成する工程とを含み、
前記薬剤候補化合物を設計する工程が、開示の前記薬剤候補化合物の設計方法である。
開示のプログラムは、構造ベース薬剤設計方法を用いた薬剤候補化合物の設計を精度よくかつ効率的に行うことができるプログラムを提供できる。
開示のコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、構造ベース薬剤設計方法を用いた薬剤候補化合物の設計を精度よくかつ効率的に行うことができる記録媒体を提供できる。
開示の薬剤候補化合物の設計装置は、構造ベース薬剤設計方法を用いた薬剤候補化合物の設計を精度よくかつ効率的に行うことができる装置を提供できる。
開示の薬剤候補化合物の合成方法は、構造ベース薬剤設計方法を利用した薬剤候補化合物の合成の時間を短縮できる方法を提供できる。
開示の薬剤候補化合物の設計方法は、構造設計工程と、安定構造計算工程と、平均自乗偏差計算工程と、水素結合数計算工程と、選択工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
通常、前記SBDDを用いて薬剤候補化合物を設計する際、6員環などの芳香族炭化水素を構成している炭素原子を窒素原子に置換することで、標的タンパク質と薬剤候補化合物との間の水素結合の数を増やそうとする試みが行われる。この時、設計者は結合構造が変化しないものと仮定して設計を行うが、窒素原子置換による電荷移動の影響は大きく、設計分子の安定構造を大きく変化させることが多い。そのため、6員環などの芳香族炭化水素を構成している炭素原子を窒素原子に置換することによって、安定構造においては設計構造に対して6員環が反転していることなどが起こりえる。
そのため、前記SBDDを用いた設計分子の構造と安定構造とが一致しないことが多く、前記SBDDでの薬剤候補化合物の絞り込みの精度が低く、かつ効率的ではないことが多い。
図1に標的となるタンパク質を示す。
図2及び図4に、図1に示すタンパク質に適合する化合物として、前記SBDDを用いて設計された化合物の構造を示す。なお、図2及び図4は同一の化合物である。
図3及び図5に、分子軌道計算で計算されたその化合物の安定構造を示す。なお、図3及び図5は、同一の化合物である。
図2及び図4に示す化合物の構造と、図3及び図5に示す化合物の安定構造とでは、シクロヘキセンが反転しており、平均自乗偏差が大きいという結果が得られる。この化合物の場合、水素結合数は、同じ数である。この化合物の場合、タンパク質に対する結合活性に関しては、安定構造の化合物の方が、4kcal/mol良い結果となる。
このように、前記SBDDを用いて設計された化合物の構造と、その化合物の安定構造とは一致しないことが多い。
前記構造設計工程は、構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程である。
ここで、前記構造とは、立体構造を意味する。
前記SBDDを行うためのソフトウエアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、OPMF(Optimum Packing of Molecular Fragments、富士通株式会社製)、Prime(シュレーディンガー社製)、Discovery Studio(アクセラリス社製)、SYBYL(トライポス社製)などが挙げられる。
前記安定構造計算工程としては、前記SBDDを用いて構造の設計がなされた前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子軌道計算を用いて構造最適化をすることで安定構造を計算することができる。
前記分子軌道計算は、基底関数HF6−31G*を用いて行うことが好ましい。
前記基底関数HF6−31G*においては、例えば、“#HF/6−31G* SCF=tight Pop=MK iop(6/33=2) iop(6/42=6) opt”をオプションとして選択する。
前記平均自乗偏差計算工程は、前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差(Root Mean Square Deviation、RMSD)を求める工程である。
前記水素結合数計算工程は、安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程である。
前記分子動力学法(MD)を用いた前記水素結合数の計算方法としては、例えば、以下のような方法などが挙げられる。
前記タンパク質の結合位置に安定構造を取る前記薬剤候補化合物を置き、前記分子動力学法(MD)を用いて前記結合位置における前記薬剤候補化合物の配置の最適化を行う(通常、100ps程度の前記MDによって前記薬剤候補化合物は最適な位置に落ち着く)。このとき、前記薬剤候補化合物において、水素原子以外の原子は完全に固定しておく。続いて、前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する。前記水素結合数の計算は、例えば、gromacsのツールであるg hbondを用いて行うことができる。
前記選択工程は、前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程である。
開示の薬剤候補化合物の合成方法は、薬剤候補化合物設計工程と、合成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
開示のプログラムは、コンピューターに、構造設計工程と、安定構造計算工程と、平均自乗偏差計算工程と、水素結合数計算工程と、選択工程とを少なくとも実行させるプログラムである。
開示のコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、開示の前記プログラムを記録してなる。
前記コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
開示の薬剤候補化合物の設計装置は、開示の前記コンピュータが読み取り可能な記録媒体を備える。
まず、SBDDを用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する(構造設計工程)。
次に、設計された前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する(安定構造計算工程)。
次に、前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める(平均自乗偏差計算工程)。
また、安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する(水素結合数計算工程)。
ここで、前記平均自乗偏差計算工程と、前記水素結合数計算工程との順序は問わない。
次に、前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する(選択工程)。
薬剤候補化合物の設計装置10は、例えば、CPU11、メモリ12、記憶部13、表示部14、入力部15、出力部16、I/Oインターフェース部17等がシステムバス18を介して接続されて構成される。
前記プログラムは、記憶部13に格納され、メモリ12のRAM(主メモリ)にロードされ、CPU11により実行される。
入力部15は、各種データの入力装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス等)などである。
出力部16は、各種データの出力装置であり、例えば、プリンタである。
I/Oインターフェース部17は、各種の外部装置を接続するためのインターフェースである。例えば、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、USBメモリなどのデータの入出力を可能にする。
(付記1) 構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程と、
前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程と、
前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める工程と、
安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程と、
前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程とを含むことを特徴とする薬剤候補化合物の設計方法。
(付記2) 前記安定構造が、分子軌道計算を用いて計算される付記1に記載の薬剤候補化合物の設計方法。
(付記3) 前記平均自乗偏差が、前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造の重心と、前記薬剤候補化合物の安定構造の重心とを重ねて、前記薬剤候補化合物の構造における原子(ただし、水素原子を除く。)と、前記原子に対応する前記薬剤候補化合物の安定構造における原子との距離の二乗和を計算することにより求められる付記1から2のいずれかに記載の薬剤候補化合物の設計方法。
(付記4) 前記水素結合数を計算する工程が、分子動力学法を用いて行われる付記1から3のいずれかに記載の薬剤候補化合物の設計方法。
(付記5) コンピューターに、
構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程と、
前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程と、
前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める工程と、
安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程と、
前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程とを実行させることを特徴とするプログラム。
(付記6) 前記安定構造が、分子軌道計算を用いて計算される付記5に記載のプログラム。
(付記7) 前記平均自乗偏差が、前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造の重心と、前記薬剤候補化合物の安定構造の重心とを重ねて、前記薬剤候補化合物の構造における原子(ただし、水素原子を除く。)と、前記原子に対応する前記薬剤候補化合物の安定構造における原子との距離の二乗和を計算することにより求められる付記5から6のいずれかに記載のプログラム。
(付記8) 前記水素結合数を計算する工程が、分子動力学法を用いて行われる付記5から7のいずれかに記載のプログラム。
(付記9) 付記5から8のいずれかに記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
(付記10) 付記9に記載のコンピュータが読み取り可能な記録媒体を備えることを特徴とする薬剤候補化合物の設計装置。
(付記11) 薬剤候補化合物を設計する工程と、
設計された前記薬剤候補化合物を合成する工程とを含み、
前記薬剤候補化合物を設計する工程が、付記1から4のいずれかに記載の薬剤候補化合物の設計方法であることを特徴とする薬剤候補化合物の合成方法。
11 CPU
12 メモリ
13 記憶部
14 表示部
15 入力部
16 出力部
17 I/Oインターフェース部
18 システムバス
Claims (8)
- 構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程と、
前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程と、
前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める工程と、
安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程と、
前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程とを含み、
前記選択する工程が、前記平均自乗偏差及び前記水素結合数にそれぞれ閾値を設けて、求められた前記平均自乗偏差がその閾値内であり、かつ計算された前記水素結合数がその閾値を超える場合に、設計された前記薬剤候補化合物を選択する工程である、
ことを特徴とする薬剤候補化合物の設計方法。 - 前記安定構造が、分子軌道計算を用いて計算される請求項1に記載の薬剤候補化合物の設計方法。
- 前記平均自乗偏差が、前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造の重心と、前記薬剤候補化合物の安定構造の重心とを重ねて、前記薬剤候補化合物の構造における原子(ただし、水素原子を除く。)と、前記原子に対応する前記薬剤候補化合物の安定構造における原子との距離の二乗和を計算することにより求められる請求項1から2のいずれかに記載の薬剤候補化合物の設計方法。
- 前記水素結合数を計算する工程が、分子動力学法を用いて行われる請求項1から3のいずれかに記載の薬剤候補化合物の設計方法。
- コンピューターに、
構造ベース薬剤設計方法を用いてタンパク質に適合する薬剤候補化合物の構造を設計する工程と、
前記薬剤候補化合物の安定構造を計算する工程と、
前記構造ベース薬剤設計方法を用いて設計された前記薬剤候補化合物の構造と、前記薬剤候補化合物の安定構造との平均自乗偏差を求める工程と、
安定構造の前記薬剤候補化合物と前記タンパク質との水素結合数を計算する工程と、
前記平均自乗偏差及び前記水素結合数を指標にして薬剤候補化合物を選択する工程とを実行させ、
前記選択する工程が、前記平均自乗偏差及び前記水素結合数にそれぞれ閾値を設けて、求められた前記平均自乗偏差がその閾値内であり、かつ計算された前記水素結合数がその閾値を超える場合に、設計された前記薬剤候補化合物を選択する工程である、
ことを特徴とするプログラム。 - 請求項5に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
- 請求項6に記載のコンピュータが読み取り可能な記録媒体と、前記記録媒体から前記プログラムを読み出して実行するCPUとを備えることを特徴とする薬剤候補化合物の設計装置。
- 薬剤候補化合物を設計する工程と、
設計された前記薬剤候補化合物を合成する工程とを含み、
前記薬剤候補化合物を設計する工程が、請求項1から4のいずれかに記載の薬剤候補化合物の設計方法であることを特徴とする薬剤候補化合物の合成方法。
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