<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10における遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
図2に示すように、外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(図2及び図3参照)。
図2及び図3に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、遊技機正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。図1に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上に鑑みれば、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部にはエラー等の不具合が発生した場合に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音やBGM等などが出力されるスピーカ部29が設けられている(図2参照)。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。なお、遊技球の発射速度は、遊技球発射ハンドル41の操作量が大きくなるに従って速くなり、この操作量を遊技者が調整することで、後述する右ルートと左ルートへの遊技球の打ち分けが可能となる。
図2に示すように、前扉枠14の背面には、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と、下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有してなる。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、図2に示すように、後方に延びる鉤受け金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤受け金具63は内枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては図2と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース70は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース70との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース70(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース70が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と樹脂ベース70との間に相互干渉の防止等を目的として若干のクリアランスを設けてもよい。
樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72は軸部を有しており、それら軸部に前扉枠14に設けられた軸受け部が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース70の前面における回動先端側(図4の右側)には、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が配設されている。施錠装置75は、樹脂ベース70の右端部に沿うようにして上下に延びており、前扉枠14の背面に設けられた鉤受け金具63(図2参照)に1対1で対応するようにして前扉用鉤部材76が設けられている。施錠装置75(詳しくは前扉用鉤部材76)に鉤受け金具63が係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、樹脂ベース70に形成されたスリットを通じて内枠13の後方側に延出する内枠用鉤部材77を有している(図3参照)。これら内枠用鉤部材77が外枠11に固定された鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース70(施錠装置75)の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置75が構成されている。
樹脂ベース70の中央部分には遊技盤80を収容する収容凹部73が形成されている。収容凹部は遊技盤80の外形に合わせて遊技機後方に窪んでおり、遊技盤80はこの収容凹部73に嵌まった状態で手動式のロック機構によって固定されている。収容凹部73の底部には、略矩形状の中央開口74が形成されており、この中央開口74を通じて遊技盤80の背面構成が内枠13の後方に突出している。なお、この中央開口74については、樹脂ベース70に装着された遊技盤80によってそのほぼ全域が遊技機前方から覆われた状態となっている。
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなる板体80aを有してなり、その前面には遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。ガラスユニット22は、後側のガラスパネル23と遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80(詳しくは板体80a)は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口84,85、スルーゲート86、主表示ユニット87及び可変表示ユニット88等がそれぞれ配設されている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口84,85に遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口89が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口84,85、スルーゲート86への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘や風車等の各種構成によって遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されているが、図5においてはこれら釘等の各種構成については一部図示を省略している。
上記可変表示ユニット88は遊技盤80の中央に配されており、同可変表示ユニット88の下方に作動口84,85等が上下に並べて配設されている。作動口84,85は、可変表示ユニット88の下方に配設された上側の作動口84(以下便宜上、上作動口84と称する)と、上作動口84の直下に配設された下側の作動口85(以下便宜上、下作動口85と称する)とによって構成されており、特に下作動口(抽選契機入球部)85には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物91が設けられている。電動役物91は、左右一対の可動片91aと同可動片91aを駆動させるソレノイド式の駆動部91bとを有してなり、可動片91aを動作させることで下作動口85への入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
可変表示ユニット88の右方に上記スルーゲート86が配置されており、遊技球のスルーゲート86の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物91が所定時間だけ閉状態から開状態に切り替えられることとなる。
なお、上作動口84への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下作動口85への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、上作動口84に対する下作動口85の有利性を高める上では、上作動口84に係る払出個数よりも下作動口85に係る払出個数を多く設定することが好ましい。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)82は、スルーゲート86の下方であって、上作動口84及び下作動口85の右方に配置されている。
可変入賞装置82は、遊技盤80の背面側へと通じる大入賞口82aを備えているとともに、当該大入賞口82aを開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉82bを備えている。開閉扉82bは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉82bは、遊技盤80の背面側に設けられた可変入賞駆動部82c(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉82bは閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に(大当たりに当選した場合に)開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば6ラウンド又は16ラウンド)を上限とした開閉扉82b等の開放が繰り返されるように設定されている。
次に、可変表示ユニット88について説明する。可変表示ユニット88は、作動口84,85への入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置95と図柄表示装置95に連動して又は図柄表示装置95とは独立して演出や各種報知を行う可動表示装置96とを有している。
図柄表示装置95は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御される。図柄表示装置95には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置95については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
可動表示装置96は、後述する報知・演出制御装置に電気的に接続されており、この報知・演出制御装置によって遊技にかかる演出及び報知が制御される構成となっている。具体的には、遊技盤80の板体80aの背面側には、キャラクタを模した可動体96aが設けられている。この可動体96aは待機状態では板体80a(詳しくは後述するセンターフレーム97)の背後に隠れるようにして配置され、遊技機前方から視認不可となっており、特定の状況下にて報知・演出が実行される場合に、図柄表示装置95の表示画面95aに遊技機前方から重なる位置へと突出することとなる。この可動表示装置96についての詳細な説明は後述する。
遊技盤80には、可変表示ユニット88(両表示装置95,96)を囲むようにして配設されたセンターフレーム97を備えている。センターフレーム97は、遊技盤80(板体80a)に対してその前面側から固定されており、このように固定された状態では遊技盤80の前面から起立した状態となることで当該センターフレーム97と上記ガラスユニット22との間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも小さくなるように構成されている。これにより、遊技領域PEを流下する遊技球が表示装置95に衝突することが回避され、且つ遊技領域PEを流下する遊技球の流下経路が可変表示ユニット88(詳しくはセンターフレーム97)を右側から迂回するルートと、左側から迂回するルートに大別されている。
本実施の形態における図柄表示装置95の表示画面95aは大別して2つの表示部を有している。1つは表示画面95aの中央に位置し、上記図柄の変動表示を行う変動表示領域ME1である。上記可動表示装置96が動作した場合には、この変動表示領域ME1が侵食され、図柄の視認性が低下する可能性がある。この場合には可動表示装置96との重なりを回避するように、図5に示すように図柄の変動表示領域が変動表示領域ME1→変動表示領域ME2に縮小されることとなる。
変動表示領域ME1の上方には、上記各ルートのうちどちらを狙って遊技球を発射すべきかを遊技状況に応じて報知する報知領域SEが設けられている。報知領域SEは、可動表示装置96の動作範囲との重なりが回避された位置に設定されており、その視認性が担保される構成となっている。
本実施の形態においては、各作動口84,85、可変入賞装置82、スルーゲート86の配置及び釘の配置を工夫することにより、遊技球が到達できる箇所に差違が生じている。具体的には、可変表示ユニット88の左側へ向けて打ち出された(以下、「左打ち」と称する)遊技球は上作動口84へ到達し得るものの、スルーゲート86、可変入賞装置82に到達することはなく、下作動口85への入賞も実質的に発生しない。一方、可変表示ユニット88の右側へ向けて打ち出された(以下、「右打ち」と称する)遊技球はスルーゲート86、下作動口85、可変入賞装置82に到達し得るものの、上作動口84へ到達することがないように、各種遊技部品の配置が工夫されている。可変入賞装置82について例示すれば、可変入賞装置82には大入賞口82aを素通りした遊技球を下作動口85へと誘導する誘導傾斜部82dが突設されている。このため、開閉実行モード中には、遊技者は右打ちを続けることで、可変入賞装置82への入賞を狙うことが可能であり、遊技球発射ハンドル41を調整して狙いを変更する必要が無く、開閉実行モード終了後も、そのまま右打を継続することでスルーゲート86や下作動口85へと遊技球が導かれることとなる。
より詳しくは、既に説明したように可変表示ユニット88が遊技領域PEの中央に配置され、遊技球の流下経路が左ルートと右ルートとに大別されており、上記高頻度サポートモード又は特別遊技状態中である場合には右打ちを行うことで遊技を有利に進めることができ、低頻度サポートモード中においては左打ちを行うことで遊技を有利に進めることができ、遊技状況に応じて遊技球の打ち分けを行う必要が生じ、遊技への積極的な参加を促すことが可能となっている。つまり、遊技を行う場合には、遊技者は遊技状況に応じて可変表示ユニット88の左側を流下する左ルートと、可変表示ユニット88の右側を流下する右ルートとを選択して発射操作を行う必要がある。なお、図5においては、左ルートを一点鎖線、右ルートを二点鎖線によって例示している。
可変表示ユニット88における下側の枠部には、第1保留ランプ部98a及び第2保留ランプ部98bが設けられている。左側の第1保留ランプ部98aは、上作動口84に対応しており遊技球が上作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され第1保留ランプ部98aの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。右側の第2保留ランプ部98bは、下作動口85に対応しており、遊技球が下作動口85を通過した回数は最大4回まで保留され第2保留ランプ部98bの点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
作動口84,85は、可変表示ユニット88寄りとなる位置に配置されている。作動口84,85への入賞をトリガとして、特別遊技状態に移行し得るため、遊技者は作動口84,85に入賞するか否かに注目するとともに、特別遊技状態に移行するか否かを把握するため図柄表示装置95に注目するものと考えられる。作動口84,85を可変表示ユニット88寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット88周辺に集中させるための工夫である。
遊技盤80における右側の端部(後述する遊技盤80の回動先端部)には後述する誘導レール100とともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材99が配設されている(図4参照)。遊技領域区画部材99には、主表示ユニット87や誘導レール100に沿って飛翔した遊技球が衝突するストッパ部材が配設されている。なお、図5においては、説明の便宜上、遊技領域区画部材99を取外した状態を示している。
ストッパ部材については誘導レール100の先端付近に配置された緩衝部材であり、当該ストッパ部材に衝突した遊技球はその勢いが弱められた後、遊技領域PEを流下することとなる。つまり、ストッパ部材には衝突した遊技球の勢いを弱める減勢機能が付与されている。
ここで、主表示ユニット87について補足説明する。主表示ユニット87は遊技領域区画部材99に埋設されており、その一部がガラスユニット22と対向するように配置されている。この対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示ユニット87については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部Dの表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
主表示部Dは、上作動口84への入賞に基づいた抽選結果を表示する上作動口用表示部と、下作動口85への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する下作動口用表示部とを有してなる。上作動口用表示部では、上作動口84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。上作動口84への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、上作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
下作動口用表示部では、下作動口85への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下作動口85への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下作動口85への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たりに対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モードへ移行される。
ここで、いずれかの作動口84,85への入賞に基づいて、対応する作動口用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動口84,85への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とすることも可能である。
また、主表示ユニット87の主表示部Dには上記両表示部以外に、スルーゲート86への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート86への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート86への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート86への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口85に設けられた上記電動役物91が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート86を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
以上詳述した主表示部Dについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されているため、その視認性が担保されている。
再び図4を用いて内枠13の構成について説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に固定されることで、樹脂ベース70に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技盤80に固定された遊技領域区画部材99とともに遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
同図4に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路が配設されている。ファール球通路は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路内に入ることとなる。ファール球通路は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニットの受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース70において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124は本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢されており、前扉枠14が開放された場合には、この付勢力によって各開閉部材124が閉状態となることで、各通路122,123からの遊技球の脱落が回避されることとなる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路とが連通する。
次に、図6に基づき内枠13(内枠ベース体50及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図6は内枠13の背面図である。
内枠ベース体50の背面における回動基端側(図6の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、内枠ベース体50の背面には、裏パックユニット15を閉じた状態で同内枠ベース体50に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように内枠ベース体50における収容凹部(遊技盤収容部)73の底部分には内枠ベース体50の厚さ方向に貫通し同内枠ベース体50の背面側に開放された中央開口74が形成されており、その中央開口74が収容凹部73に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口74を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、遊技盤80の背面の構成について説明する。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット88(図5参照)を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製のベース体が固定されている。ベース体は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。ベース体の一部は内枠ベース体50の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置95(図5参照)と、その図柄表示装置95を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置95及び表示制御装置は前後方向(内枠ベース体50の厚さ方向)に図柄表示装置95が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置140が搭載されている。
報知・演出制御装置140は、後述する主制御装置からの指示に従い音声の出力やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス141に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置140の下方には、ベース体を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
ベース体において遊技盤80の背面下部と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82、作動口84,85の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路(図示略)が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、ベース体には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口89を介して排出通路内に導出される。
また、ベース体には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知する入賞検知スイッチと、作動口84,85に入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図7及び図8に基づき裏パックユニット15について説明する。図7はパチンコ機10の背面図、図8は裏パックユニット15の正面図である。
図7に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パックユニット15の本体部としての裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、図8に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット88を囲むのに十分な大きさを有する(図7参照)。
ベース部211には、外部端子板(図示略)が設けられている。外部端子板には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータ)に対して各種信号が出力される。また、図8に示すように、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の側方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。一方、上記RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
これら各種スイッチについては、遊技機主部12(内枠13)を開放して内枠13の背面部を露出させることで遊技機正面側から操作可能となる。一方で、上記施錠装置75によって遊技機主部12の開放が規制されている状態では、遊技機正面側からそれら各種スイッチを操作することができない。つまり、上記各種スイッチについては遊技機主部12を閉じた状態では操作されにくくなっており、施錠装置75用のキーを所有していないもの(例えば不正行為者)による遊技機正面側からの操作を困難なものとしている。
<可動表示装置96>
本実施の形態においては、上記可動表示装置96を用いた報知・演出について特徴的な構成を有している。そこで、以下図5及び図9を参照し、可動表示装置96の構成について補足説明する。図9は可動表示装置96の動作を示す概略図である。
図5を参照して説明したように、可動表示装置96は女の子のキャラクタを模した可動式の装飾体として本体96aを有している。図9に示すように、可動体96aは取付軸部96cによって回動可能な状態で可変表示ユニット88のベース部分に固定されている。
取付軸部96cには第1ステッピングモータ96eが連結されている。第1ステッピングモータ96eは報知・演出制御装置140に電気的に接続されており、この報知・演出制御装置140から駆動信号が入力されることで同第1ステッピングモータ96eが動作する。これにより、図5に示したように可動体96a全体が板体80aの背後に隠れる初期位置と、図9(a)に示すようにその一部が表示画面95aと重なる位置に突出した中間位置と、図9(b)に示すようにそのほぼ全体が表示画面95aと重なる位置に突出した最大回動位置とに切り替えられることとなる。
可動体96aの背面部には、当該可動体96aとは独立して可動する可動体96bが取り付けられている。以下説明の便宜上、可動体96aを「本体96a」、可動体96bを「可動片96b」と称する。図9(b)に示すように、本体96aには軸部96dが設けられており、この軸部96dによって可動片96bが回動可能に軸支されている。
軸部96dには第2ステッピングモータ96fが連結されている。第2ステッピングモータ96fは報知・演出制御装置140に電気的に接続されており、この報知・演出制御装置140から駆動信号が入力されることで同第2ステッピングモータ96fが動作する。これにより、可動片96bは本体96aと重なる重複位置と、本体96aとの重なりが抑えられた突出位置とに切り替えられることとなる。
なお、以下の説明では、図5に示したように可動表示装置96全体が板体80aの背後に隠れた状態を初期状態と称する。
図9(a)には本体96aが中間位置に配置されている状態を示している。この中間位置においては、本体96aのみが遊技機前方から視認可能な位置に突出し、可動片96bについては依然として板体80aの背後に隠れた状態となっている。以下、当該状態を第2状態と称する。第2状態においては、図柄の変動表示領域ME1の一部が侵食されるものの、その度合いが小さく抑えられているため変動表示領域がME1からME2に変更されることはない。
図9(b)には本体96aが最大回動位置に配置されている状態を示している。この最大回動位置においては、本体96aに加え可動片96bについても遊技機前方から視認可能な位置に突出した状態となっている。以下、当該状態を第3状態と称する。第3状態においては、図柄の変動表示領域ME1と可動表示装置96との重なりが大きくなり、そのおよそ半分が侵食されることとなる。このため、かかる第3状態となった場合には、図柄の変動表示領域がME1からME2に変更されることで、図柄の視認性が担保されることとなる。
因みに、第2状態及び第3状態には図柄表示装置95における図柄の変動表示と連動した演出機能が付与されており、第3状態にはこの演出機能に加え右打ち報知機能が付与されているが、これら各種機能についての詳細は後述する。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図10のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602には、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置242及び各種検知センサ等が接続されている。
停電監視基板605には電源・発射制御装置243が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。また、センサ群の一部として、一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口84,下作動口85及びスルーゲート86などといった入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた複数の検知センサ(例えば作動口用の検知センサ315,316、可変入賞装置用の検知センサ317、スルーゲート用の検知センサ318)が接続されており、主制御装置162のMPU602においてはこれら各種検知センサからの検知情報に基づいて各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU602では、上作動口84及び下作動口85への入賞に基づいて大当たりの発生抽選及び振分抽選、スルーゲート86への入賞に基づいてサポート発生抽選等を実行する。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置242及び報知・演出制御装置140(詳しくは報知・演出制御基板651)が接続されている。払出制御装置242には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。そして、一般入賞口81への入賞を特定した場合には、10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入賞装置82への入賞を特定した場合には、15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、上作動口84への入賞を特定した場合には、3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下作動口85への入賞を特定した場合には、4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置140には、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、入賞コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU602の出力側には、可変入賞装置82の可変入賞駆動部82c、下作動口85の電動役物91を開閉動作させる電動役物駆動部91b、及び主表示ユニット87が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては可変入賞装置82の開閉扉82bが開閉されるように、MPU602において可変入賞駆動部82cの駆動制御が実行される。また、電動役物91の開放状態当選となった場合には、電動役物91が開閉されるように、MPU602において電動役物駆動部91bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示部Dの発光制御が実行される。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置243とを中継し、また電源・発射制御装置243から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置242は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置243は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置242等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置243は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。より具体的には、電源・発射制御装置243には、遊技球発射ハンドル41に設けられた操作レベル検知センサ41aとタッチセンサ41bとが接続されている。操作レベル検知センサ41aは、遊技球発射ハンドル41の操作量(回動量)を検知するセンサであり、この操作レベル検知センサ41aからの情報に基づいて遊技球発射機構110による遊技球の発射強度(発射速度)が決定されることとなる。タッチセンサ41bは、遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れている場合に情報を出力する構成となっており、電源・発射制御装置243ではこの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを把握することができる構成となっている。タッチセンサ41bからの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れていると判定し、且つ操作レベル検知センサ41aにて遊技球発射ハンドル41が操作されていると判定した場合に遊技球の発射が許可されることとなる。
なお、タッチセンサ41bからの情報は、電源・発射制御装置243を経由して、主制御装置162ひいては報知・演出制御装置140、表示制御装置150に送信されることとなる。
報知・演出制御装置140は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられた各種ランプ部26〜28やスピーカ部29、可動表示装置96を駆動制御するとともに、表示制御装置150を制御するものである。演算装置であるMPU661は、そのMPU661により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM662と、ワークメモリ等として使用されるRAM663とを備えている。
この場合に、報知・演出制御装置140では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置95における図柄の変動表示時間及び最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容を決定するとともに、その決定した内容を上記コマンドに付与して表示制御装置150に転送する。表示制御装置150では、報知・演出制御装置140から入力されたコマンドに基づいて、図柄表示装置95の表示制御を実行する。
ここで、図11を参照して図柄表示装置95の表示内容について説明する。図11は図柄表示装置95の表示画面95aにおける表示内容を説明するための説明図である。
図11に示すように、図柄表示装置95の表示画面95aには、上・中・下の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列と下図柄列は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列には、数字の昇順に「0」〜「9」の10種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「0」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列に限っては、11個の主図柄が配されて22個の図柄により構成されている。そして、表示画面95a(詳しくは変動表示領域)では、これら各図柄列の図柄が周期性をもって所定の向き(左方)にスクロールするように変動表示される。また、表示画面95aは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。
また、表示画面95aには、5つの有効ライン、すなわち左ライン、中ライン、右ライン、右下がりライン、右上がりラインが設定されている。そして、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態、又はいずれかの有効ラインに同一の数字が付された上図柄及び下図柄と「0」が付された中図柄との組み合わせが形成された状態で全図柄列の変動表示が終了すれば、後述する大当たり結果の発生として所定の動画等が表示されるようになっている。
ここで、本実施の形態においては、既に説明したように可動表示装置96を用いた連動演出が実行される場合であって、可動表示装置96が第2状態となった場合には、上記有効ラインのうちL3が見にくくなる。そこで、当該連動演出が実行される際には、少なくとも右ラインを無効化し、当該右ラインにて大当たりが発生し得る図柄の組合せが停止した状態とならないように、右ラインにてリーチ表示が行われないように規制されることとなる。
なお、図柄表示装置95における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。
<各種カウンタについて>
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たりの発生抽選、主表示部Dの表示の設定、図柄表示装置95における図柄表示の概要設定などを行うこととしており、具体的には、図12に示すように、大当たりの発生の抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、大当たりの種別を判定する際に使用する当たり種別カウンタC2と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示部Dの上作動口用表示部及び下作動口用表示部並びに図柄表示装置95における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口85の電動役物91を電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC3を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ631に適宜格納される。RAM604には、上作動口用保留エリアRaと、下作動口用保留エリアRbと、実行エリアAEと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリア632が設けられている。そして、この保留球格納エリア632に、上作動口84又は下作動口85への遊技球の入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口84又は下作動口85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、上作動口84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の上作動口用保留エリアRaに格納され、下作動口85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の下作動口用保留エリアRbに格納される。
当たり当選となる乱数の値は、ROM603における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア621に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。また、大当たりの種別を決定する乱数の値は、ROM603における振分情報記憶手段としての振分テーブル記憶エリア622に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。
次に当たり種別カウンタC2について説明する。当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口84又は下作動口85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、上作動口84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の上作動口用保留エリアRaに格納され、下作動口85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の下作動口用保留エリアRbに格納される。
当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM603における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア622に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。ここで、振分テーブルの内容について図13を用いて説明する。
図13に示すように、振分テーブルとしては、各作動口84,85に個別に対応させて2種類設定されている。つまり、上作動口84への入賞が発生した場合に参照される上作動口用の振分テーブル(上作動口用振分情報群)と、下作動口85への入賞が発生した場合に参照される下作動口用の振分テーブル(下作動口用振分情報群)とが設定されている。
上記振分抽選に際して上作動口用の振分テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、図13(a)に示すように、取得された種別カウンタC2の乱数の値(すなわち、振分情報)が「0」〜「24」の場合には、第1開閉実行モード対応の大当たりとなり、取得された乱数の値が「25」〜「49」の場合には、第2開閉実行モード対応の大当たりとなる。
一方、上記振分抽選に際して下作動口用の振分テーブルが参照されることとなる遊技状況下では、取得された種別カウンタC2の乱数の値(すなわち、振分情報)が「0」〜「9」の場合には、第1開閉実行モード対応の大当たりとなり、取得された乱数の値が「10」〜「49」の場合には、第2開閉実行モード対応の大当たりとなる。ここで、これら第1開閉実行モード対応の大当たりと第2開閉実行モード対応の大当たりとは、開閉実行モードにおけるラウンド数に差が設定されており、第1開閉実行モード対応の大当たりよりも第2開閉実行モード対応の大当たりのほうがより多くの遊技球の獲得が可能となっている。具体的には、前者が6R対応の大当たりであるのに対して後者が16R対応の大当たりとなっており、後者のほうがより多くの遊技球の獲得(出球)が期待できる。既に説明したように、どちらの開閉実行モードへ振り分けられるかは参照される振分テーブルによって大きな差がある。つまり、上作動口84への入球に基づく抽選よりも下作動口85への入球に基づく抽選のほうが遊技者にとって有利な結果になりやすいように差別化が図られている。
また、既に説明したように何れの大当たり後(開閉実行モード終了後)も下作動口85の電動役物91におけるサポートモードが所定の条件が成立するまで(本実施の形態では遊技回数が100回に達するまで)遊技者に有利な状態に切り替わる。
下作動口85の電動役物91におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口85の電動役物91が単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC3を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物91が開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物91の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間が短く設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口85への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口85よりも上作動口84への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口84よりも下作動口85への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口85への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間を短くする(すなわち、スルーゲート用表示部における1回の変動表示時間を短くする)及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
但し、この高頻度サポートモードは、上述したように移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
なお、当否抽選において外れ結果となった場合、開閉実行モードに移行することはなく、さらにサポートモードの変更も発生しない。
また、本実施の形態においては、第1開閉実行モード及び第2開閉実行モードの何れに当選した場合であっても、その開閉実行モード終了後は、予め設定された遊技回(具体的には100回)を経過するまで、大当たりに当選しやすい高確遊技状態へと移行する。高確遊技状態においては、低確遊技状態と比較して約10倍の確率で大当たりに当選しやすくなっており、上記高頻度サポートモードと相まって後述する第1遊技状態よりも遥かに有利な状態で遊技を行うことが可能となる。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、主表示ユニット87の下作動口用表示部及び右作動口用表示部における変動表示時間と、図柄表示装置95における図柄の変動表示時間とをMPU602において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、上作動口用表示部及び下作動口用表示部における変動表示の開始時及び図柄表示装置95による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC3は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC3は定期的に更新され、スルーゲート86に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の電役保留エリア633に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC3の値によって電動役物91を開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C3=0〜199であれば、電動役物91を開放状態に制御し、C3=200〜249であれば、電動役物91を開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU602では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、下作動口用表示部及び右作動口用表示部における変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM603の変動表示時間テーブル記憶エリア623が用いられる。また、MPU602では、実行エリアAEに格納されている当たり乱数カウンタC1の値及び当たり種別カウンタC2の値を用いて、上作動口用表示部及び下作動口用表示部における停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM603の停止結果テーブル記憶エリア624に記憶された停止結果決定用テーブルが用いられる。
<主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について>
次に、主制御基板601のMPU602により実行される各制御処理を説明する。MPU602の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理終了後に実行される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後通常処理を説明する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサの状態を読み込むとともに、同検知センサの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3の更新を実行する。具体的には、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート86への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。
<スルー用の入賞処理>
ここで、スルー用の入賞処理について図15のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS201では、遊技球がスルーゲート86に入賞したか否かを判定する。遊技球がスルーゲート86に入賞したと判定した場合には、ステップS202に進み、役物保留記憶数SNが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。
ステップS201でスルーゲート86に遊技球が入賞したと判定されなかった場合又はステップS202にて役物保留記憶数SNの値が上限値以上と判定された場合には電動役物開放カウンタC3の値を格納することなく、本入賞処理を終了する。
一方、遊技球がスルーゲート86に入賞し、且つ、役物保留記憶数SN<4であることを条件にステップS203に進み、役物保留記憶数SNを1インクリメントする。続く、ステップS204では、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC3の値をRAM604の電役保留エリア633の空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。その後、本入賞処理を終了する。
なお、スルー用の入賞処理では、保留数用表示部を点灯させるための処理を実行する。役物保留記憶数SNに応じて保留数用表示部に対応する発光体が順次点灯されるようになっている。
その後、ステップS105にて、作動口84,85への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
<作動口用の入賞処理>
以下、作動口用の入賞処理について図16のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS301では、遊技球が上作動口84に入賞(始動入賞)したか否かを上作動口84に対応した検知センサの検知状態により判定する。遊技球が上作動口84に入賞したと判定すると、ステップS302では、払出制御装置242に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。続くステップS303では、上作動口84に遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく、外部信号設定処理を行う。ステップS304では、上作動口用保留エリアRaの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、上作動口用保留エリアRaに保留記憶されている始動保留記憶数RaNをセットする(以下、第1始動保留記憶数RaNともいう)。その後、ステップS305では、当たり乱数カウンタC1及び当たり種別カウンタC2の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
ステップS301にて遊技球が上作動口84に入賞していないと判定した場合、ステップS306では、遊技球が下作動口85に入賞(始動入賞)したか否かを下作動口85に対応した検知センサの検知状態により判定する。遊技球が下作動口85に入賞したと判定すると、ステップS307にて払出制御装置242に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。続くステップS308では、下作動口85に遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく、外部信号設定処理を行う。ステップS309では、下作動口用保留エリアRbの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該下作動口用保留エリアRbに保留記憶されている始動保留記憶数RbNをセットする(以下、第2始動保留記憶数RbNともいう)。その後、ステップS305にて情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS301、ステップS306の両者にて否定判定をした場合には、すなわち上作動口84及び下作動口85のいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
なお、上記ステップS302,S307にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理(ステップS501)にて払出制御装置242に対して送信される。
ここで、ステップS305の情報取得処理を図17のフローチャートにより詳細に説明する。
先ずステップS401では、上述したステップS304又はステップS309にてセットした始動保留記憶数N(RaN又はRbN)が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。始動保留記憶数Nが上限値である場合にはそのまま本情報取得処理を終了し上限値未満である場合には、ステップS402にて対応する結果表示部用保留エリアの始動保留記憶数Nを1インクリメントするとともに、ステップS403にて総保留数記憶領域に格納された値(以下、共通保留数CRNと言う)を1インクリメントする。
続くステップS404では、前記ステップS103にて更新した当たり乱数カウンタC1及び当たり種別カウンタC2の各値を、対応する作動口用保留エリアの空き記憶領域エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS402にて1インクリメントした保留記憶数と対応する記憶エリアに格納する。
つまり、第1始動保留記憶数RaNがセットされている場合には、前記ステップS103にて更新した当たり乱数カウンタC1及び当たり種別カウンタC2の各値を、上作動口用保留エリアRaの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS402にて1インクリメントした第1始動保留記憶数RaNと対応する記憶エリアに格納する。
また、第2始動保留記憶数RbNがセットされている場合には、前記ステップS103にて更新した当たり乱数カウンタC1及び当たり種別カウンタC2の各値を、下作動口用保留エリアRbの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS402にて1インクリメントした第2始動保留記憶数RbNと対応する記憶エリアに格納する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図18のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S507の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS510,S511のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に対して送信する。また、所定の演出用コマンドや報知用コマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置140に対して送信する。
次に、ステップS502では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS503では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり当否判定、主表示部Dにおける各作動口用表示部の表示態様の設定、図柄表示装置95による図柄の変動表示の設定などを行う。
<遊技回制御処理>
ここで、ステップS503の遊技回制御処理を図19〜図21のフローチャートを参照して説明する。
図19に示す遊技回制御処理では、先ずステップS601にて、開閉実行モード中か否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635における開閉実行モードフラグ格納エリア(開閉実行状態情報記憶手段)に開閉実行モードフラグ(開閉実行状態情報)が格納されているか否かを判定する。当該開閉実行モードフラグは、後述する遊技状態移行処理にて遊技状態を開閉実行モードに移行させる場合に格納され、同じく遊技状態移行処理にて開閉実行モードを終了させる場合に消去される。
開閉実行モード中である場合には、ステップS602以降の処理、すなわちステップS603〜ステップS605の遊技回開始用処理及びステップS606〜ステップS609の遊技回進行用処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。つまり、開閉実行モード中である場合には、作動口84,85への入賞が発生しているか否かに関係なく、遊技回が開始されることはない。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS602にて、主表示ユニット87の各作動口用表示部のいずれか一方が変動表示中であるか否かを判定する。なお、この判定は、RAM604の各種フラグ格納エリア635における変動表示中フラグ格納エリア(変動表示中情報記憶手段)に変動表示中フラグ(変動表示中情報)が格納されているか否かを判定することにより行う。変動表示中フラグは、作動口用表示部のいずれか一方について変動表示を開始させる場合に格納され、その変動表示が終了する場合に消去される。
作動口用表示部が変動表示中でない場合には、ステップS603〜ステップS605の遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ずステップS603にて、共通保留数CRNが「0」か否かを判定する。共通保留数CRNが「0」である場合とは、上作動口84及び下作動口85のいずれについても始動保留記憶数が「0」であることを意味する。したがって、そのまま遊技回制御処理を終了する。
共通保留数CRNが「0」でない場合には、ステップS604にて上作動口用保留エリアRa又は下作動口用保留エリアRbに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行し、さらにステップS605にて作動口用表示部における変動表示及び図柄表示装置95における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
ここで、ステップS604のデータ設定処理及びステップS605の変動開始処理について、以下に詳細に説明する。
<データ設定処理>
先ず、データ設定処理について、図19のフローチャートを参照して説明する。
データ設定処理では、ステップS701にて、下作動口用保留エリアRbに保留記憶されている第2始動保留記憶数RbNが「0」か否かを判定する。第2始動保留記憶数RbNが「0」である場合にはステップS702〜ステップS707の第1結果表示部用のデータ設定処理を実行し、第2始動保留記憶数RbNが「0」でない場合にはステップS708〜ステップS713の下作動口用のデータ設定処理を実行する。
ここで、データ設定処理が実行される場合とは、既に説明したように、共通保留数CRNが1以上である場合である。この場合に、データ設定処理では、第2始動保留記憶数RbNが「0」であるか否かを判定し、「0」でない場合、すなわち下作動口用表示部について変動表示用の保留情報が記憶されている場合には、第1始動保留記憶数RaNが1以上であるか否かに関係なく、下作動口用保留エリアRbに記憶されているデータを変動表示用として設定するようにした。これにより、上作動口用保留エリアRa及び下作動口用保留エリアRbの両方に保留情報が記憶されている場合には、下作動口85に対応した下作動口用保留エリアRbに記憶されている保留情報が優先されることとなる。
上作動口用のデータ設定処理では、先ずステップS702にて、上作動口用保留エリアRaの第1始動保留記憶数RaNを1ディクリメントする。続くステップS703では共通保留数CRNを1ディクリメントする。その後、ステップS704では、上作動口用保留エリアRaの第1エリアに格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS705にて上作動口用保留エリアRaの記憶エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1〜第4エリアに格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアのデータをクリアすると共に、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS706では、RAM604の各種フラグ格納エリア635に設けられた第2結果表示部フラグ格納エリア(第2結果表示部情報記憶手段)に第2結果表示部フラグ(第2結果表示部情報)が記憶されている場合には、それを消去し、記憶されていない場合にはその状態を維持する。第2結果表示部フラグは、今回の変動表示の開始が上作動口用表示部又は下作動口用表示部のいずれであるかを特定するための情報である。
続くステップS707では、保留エリアのデータのシフトが行われたことをサブ側の制御装置である報知・演出制御装置140に認識させるための情報であるシフト時コマンド(シフト発生情報)を設定する。この場合、ROM603のコマンド情報記憶エリア625から、今回のデータのシフトの対象となった保留エリアが、上作動口用保留エリアRaに対応していることの情報、すなわち上作動口84に対応していることの情報を含むシフト時コマンドを選定し、その選定したシフト時コマンドを報知・演出制御装置140への送信対象のコマンドとして設定する。その後、本データ設定処理を終了する。
ステップS707にて設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図18)におけるステップS501にて、報知・演出制御装置140に送信される。報知・演出制御装置140では、受信したシフト時コマンドに基づいて、可変表示ユニット88の第1保留ランプ部98aにおける表示を保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
下作動口用のデータ設定処理では、先ずステップS708にて、下作動口用保留エリアRbの第2始動保留記憶数RbNを1ディクリメントする。続くステップS709では共通保留数CRNを1ディクリメントする。その後、ステップS710では、下作動口用保留エリアRbの第1エリアに格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS711にて下作動口用保留エリアRbの記憶エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1〜第4エリアに格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアのデータをクリアすると共に、第2エリア→第1エリア、第3エリア→第2エリア、第4エリア→第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS712では、RAM604の各種フラグ格納エリア635に設けられた第2結果表示部フラグ格納エリア(第2結果表示部情報記憶手段)に第2結果表示部フラグ(第2結果表示部情報)が記憶されていない場合には第2結果表示部フラグを格納し、記憶されている場合にはその状態を維持する。
続くステップS713では、保留エリアのデータのシフトが行われたことをサブ側の制御装置である報知・演出制御装置140に認識させるための情報であるシフト時コマンド(シフト発生情報)を設定する。この場合、ROM603のコマンド情報記憶エリア625から、今回のデータのシフトの対象となった保留エリアが下作動口用保留エリアRbに対応していることの情報、すなわち下作動口85に対応していることの情報を含むシフト時コマンドを選定し、その選定したシフト時コマンドを報知・演出制御装置140への送信対象のコマンドとして設定する。その後、本データ設定処理を終了する。
ステップS713にて設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図18)におけるステップS501にて、報知・演出制御装置140に送信される。報知・演出制御装置140では、受信したシフト時コマンドに基づいて、可変表示ユニット88の下作動口用保留ランプ部99bにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
<変動開始処理>
次に、変動開始処理について、図21のフローチャートを参照して説明する。変動開始処理では、主表示ユニット87の各作動口用表示部における変動表示を開始させるとともに、図柄表示装置95における変動表示を開始させるように報知・演出制御装置140に出力するコマンドを設定する。
先ずステップS801にて、RAM604の各種フラグ格納エリア635に高確率モードフラグが格納されているか否かを判定する。高確率モードフラグは開閉実行モード終了後に各種フラグ格納エリアに格納されるフラグであり、予め設定された遊技回を経過することで消去される。
ステップS801にて肯定判定をした場合、すなわち高確率モード中でないと判定した場合には、ステップS802に進み低確率モード対応の当否テーブルを参照して第1当否判定処理を実行する。第1当否判定処理では、実行エリアAEに格納されている当たり乱数カウンタC1の値が、大当たり結果及び外れ結果のいずれに対応しているかを判定する。具体的には、先ず入賞先が上作動口84及び下作動口85の何れであるかを判別する。そして判別された入賞先に応じて低確率モード対応の当否テーブルを選択し、その選択した当否テーブルを参照して当たり乱数カウンタC1の値が大当たり結果に対応しているか否かを判定する。大当たり結果に対応していない場合には外れ結果に対応しているものと判定する。
続くステップS803では、第1振分判定処理を実行する。第1振分判定処理では、ステップS802での当否判定処理の結果が大当たり結果であるか否かを判定し、判定の結果が外れ結果である場合には本処理を終了する。一方、当否判定処理の結果が大当たり結果である場合には、入賞先が上作動口84及び下作動口85の何れであるかを判別する。そして判別された入賞先に応じて上記振分テーブルの選択を行い、その選択された振分テーブルを参照して当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりの種別を決定する。大当たり当選である場合には、振分結果に応じてRAM604の各種フラグ格納エリア635に第1開閉実行モード対応フラグ又は第2開閉実行モード対応フラグをセットする。これにより、今回の遊技回が第1開閉実行モード対応の大当たり結果又は第2開閉実行モード対応の大当たり結果に対応していることを特定できる。これらのフラグは、その遊技回が終了し、変動終了用の移行処理が終了したタイミングでクリアされる。
一方、ステップS801にて否定判定をした場合、すなわち高確率モード対応中であると判定した場合には、ステップS804に進む。ステップS804では高確率モード対応の当否テーブルを参照して第2当否判定処理を実行する。第2当否判定処理では、実行エリアAEに格納されている当たり乱数カウンタC1の値が、大当たり結果及び外れ結果のいずれに対応しているかを判定する。具体的には、先ず入賞先が上作動口84及び下作動口85の何れであるかを判別する。そして判別された入賞先に応じて低確率モード対応の当否テーブルを選択し、その選択した当否テーブルを参照して当たり乱数カウンタC1の値が大当たり結果に対応しているか否かを判定する。大当たり結果に対応していない場合には外れ結果に対応しているものと判定する。
続くステップS803では、第2振分判定処理を実行する。第2振分判定処理では、ステップS804での当否判定処理の結果が大当たり結果であるか否かを判定し、判定の結果が外れ結果である場合には本処理を終了する。一方、当否判定処理の結果が大当たり結果である場合には、入賞先が上作動口84及び下作動口85の何れであるかを判別する。そして判別された入賞先に応じて上記振分テーブルの選択を行い、その選択された振分テーブルを参照して当たり種別カウンタC2の値に応じて大当たりの種別を決定する。大当たり当選である場合には、振分結果に応じてRAM604の各種フラグ格納エリア635に第1開閉実行モード対応フラグ又は第2開閉実行モード対応フラグをセットする。これにより、今回の遊技回が第1開閉実行モード対応の大当たり結果又は第2開閉実行モード対応の大当たり結果に対応していることを特定できる。これらのフラグは、その遊技回が終了し、変動終了用の移行処理が終了したタイミングでクリアされる。
ステップS805又はステップS803の処理を実行した後は、ステップS806にて遊技回数カウンタの更新処理を実行する。具体的には、当該カウンタの値が「0」である場合には同値を維持し、大当たりに当選していない場合であって当該カウンタの値が「0」でない場合には当該カウンタの値を「1」減算し、大当たりに当選している場合には当該カウンタの値を「0」クリアする。
続くステップS807では、遊技回数カウンタの値が「0」となったか否かを判定する。ステップS807にて肯定判定をした場合には、続くステップS808にてフラグの更新処理を実行する。具体的には、高確率モードフラグ及び高頻度サポートモードフラグが格納されている場合には、これら各フラグを消去する。
その後、ステップS809に進み低確率モード・低頻度サポートモード対応の遊技状態(第1遊技状態)への移行コマンドを設定する。このコマンドは、通常処理(図18)におけるステップS501にて報知・演出制御装置140に送信される。
ステップS807にて否定判定をした場合又はステップS809の処理を実行した後は、今回の遊技回において作動口用表示部で実行される変動表示を終了させる場合の停止結果を設定するための処理などを実行する。
先ず、ステップS810にて大当たりに当選したかどうかを判定する。ステップS810にて大当たりに当選していると判定した場合には、ステップS811にて第1開閉実行モード対応の大当たり(6R大当たり)であるか否かを判定する。ステップS808にて肯定判定をした場合には、ステップS809にて第1開閉実行モード対応の大当たり用の停止結果設定処理を実行する。
ステップS811にて否定判定をした場合には、ステップS810に進み第2開閉実行モード対応の大当たり(16R大当たり)用の停止結果設定処理を実行する。
ステップS810の説明に戻り、当該ステップS810にて否定判定をした場合、すなわち上記抽選にて外れ結果となった場合には、ステップS814に進む。ステップS814では外れ結果用の停止結果設定処理を実行する。
ステップS812、ステップS813、ステップS814のいずれかにて停止結果設定処理を実行した後は、ステップS815に進む。ステップS815では、変動表示時間の設定処理を実行する。具体的には、RAM604の変動表示時間カウンタエリアに変動表示時間をセットする。変動表示時間カウンタエリアの値は所定期間毎に減算されるようになっており、その値が「0」となった場合にその遊技回が終了する。
変動表示時間の設定処理では、変動種別カウンタCSの値を取得するとともに、ROM603に記憶された変動表示時間テーブルからその変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間を選択するようになっている。変動表示時間テーブルには、大当たり結果に対応したものと外れ結果に対応したものとが設定されている。これにより、変動種別カウンタCSの値が同一であったとしても遊技結果によって変動表示時間を異ならせることが可能となる。この結果、設定される変動表示時間のパターンを多様化できる。
変動表示時間を設定したらステップS816に進む。ステップS816では、変動開始コマンド及び種別コマンドを設定する。変動開始コマンドには、変動表示時間の情報が含まれる。また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、大当たり結果、外れ結果等の情報が含まれる。
ステップS816にて設定された変動開始コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図18)におけるステップS501にて報知・演出制御装置140に送信される。報知・演出制御装置140では、受信した変動開始コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。この演出の内容としては、図柄表示装置95での図柄の変動表示態様が含まれており、この決定された図柄の変動表示態様は報知・演出制御装置140から表示制御装置150に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置150では、報知・演出制御装置140から受信した表示内容コマンドに基づいて、各遊技回に対応した図柄の変動表示が行われるように図柄表示装置95を表示制御する。
その後、ステップS817にて、各作動口用表示部において絵柄の変動表示を開始させる。その後、本変動開始処理を終了する。
ここで、各作動口用表示部における表示態様について補足説明する。既に説明したように、主表示ユニット87の主表示部Dは自身の後方に配置された主表示基板から供給される光によって表示態様が決定されている。主表示基板には26個の発光体が設けられており、そのうち10個が下作動口用表示部に割り当てられている。これら10個の発光体が点滅等することにより変動表示が行われるとともに、最終的に点灯又は消灯することで停止絵柄が表示される。下作動口用表示部における停止絵柄としては、第1開閉実行モード対応の大当たり結果、第2開閉実行モード対応の大当たり結果及び外れ結果が設定されている。
また、下作動口用表示部についても10個の発光体が割り当てられており、これら発光体が点滅等することにより変動表示が行われる。右作動口用表示部における停止絵柄としては、第1開閉実行モード対応の大当たり結果、第2開閉実行モード対応の大当たり結果及び外れ結果が設定されている。
各表示部における停止絵柄は、ROM603の停止結果テーブル記憶エリア624に、低確率入賞モード対応の大当たり結果〜外れ結果の各結果に対応させて複数ずつ記憶され、表示態様の多様化が図られている。
なお、これら各表示部の変動表示パターンについては、ROM603に記憶された表示テーブルによって予め複数設定されており、変動パターン決定の際には同表示テーブルを参照する。
再び図18の通常処理の説明に戻り、ステップS503の遊技回制御処理を実行した後は、ステップS504にて遊技状態を移行させる遊技状態移行処理を実行する。この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モードや高頻度サポートモードなどに移行する。遊技状態移行処理についての詳細は後述する。
続くステップS505では、下作動口85に設けられた電動役物91を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、電動役物91を開状態とするか否かの判定、スルーゲート用表示部の表示制御などを行う。
その後、ステップS506では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置243から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
ステップS506の処理を実行した後は、ステップS507に進み、RAM604の各種フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605において停電の発生が確認され当該停電監視基板605からMPU602のNMI端子に停電信号が入力されることにより格納され、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS208にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
つまり、ステップS509では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するエリアに格納する。また、ステップS510では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するエリアに格納する。
ここで、ステップS501〜S507の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
一方、ステップS507にて肯定判定をした場合、すなわち停電フラグが格納されている場合には、パチンコ機10への電力の供給が停止した(電源遮断が発生した)ことになるので、ステップS511以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS511では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、続くステップS512にて各種制御装置140,150,242等に停電コマンドを出力する。停電コマンドを受けた各制御装置140,150,242等では停電用の処理が実行される。その後、ステップS513にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS514にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技状態移行処理>
以下、上記ステップS504に示した遊技状態移行処理を図22のフローチャートを参照して詳しく説明する。既に説明したように本実施の形態に示すパチンコ機10においては、遊技状態として通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(開閉実行モード)との2つの遊技状態が設定されており、これら通常遊技状態及び特別遊技状態のそれぞれに複数のモードが設けられている。具体的には、
(1)通常遊技状態として
・低頻度サポートモード且つ低確率モード(第1遊技状態)
・高頻度サポートモード且つ高確率モード(第2遊技状態)
(2)特別遊技状態として
・第1開閉実行モード(遊技球の獲得期待数が相対的に少ないモード)
・第2開閉実行モード(遊技球の獲得期待数が相対的に多いモード)
が設けられており、当該遊技状態移行処理にてこれらの各遊技状態へ移行する。
遊技状態移行処理においては先ず、ステップS901にて開閉実行モード中であるか否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS902に進み、1の遊技回の上作動口用表示部又は下作動口用表示部における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了している場合には、より詳しくは変動表示が終了してから予め設定された停止表示期間が経過している場合には、ステップS903に進み、今回の遊技回の遊技結果(上記当否抽選の結果)が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604に、開閉実行モードへの移行フラグ(第1開閉実行モード対応フラグ又は第2開閉実行モード対応フラグ)が格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS904にて開閉実行モードの開始処理を実行する。当該開始処理では、RAM604の各種カウンタエリア634に設けられた待機時間用カウンタエリアに、ROM603に予め記憶されているオープニング用の待機時間情報(高頻度入賞モードに対応する待機時間情報)であって右側可変入球装置65の開放に対応した待機時間情報をセットする。
続くステップS905では、今回の開閉実行モードに応じてRAM604の各種カウンタエリア634に設けられた開放数カウンタOCに、「6」又は「16」をセットする。開放数カウンタOCは、可変入賞装置82(大入賞口82a)が開放された回数をカウントするためのカウンタである。
ステップS905の処理を実行した後は、ステップS906にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図18)におけるステップS501にて、報知・演出制御装置140及び表示制御装置150に送信される。報知・演出制御装置140では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。この演出の内容としては、図柄表示装置95における表示態様が含まれており、この決定された表示態様は報知・演出制御装置140から表示制御装置150に表示内容コマンドとして出力される。表示制御装置150では、主制御装置162から受信したオープニングコマンドや報知・演出制御装置140から受信した表示内容コマンドに基づいて、今回の開閉実行モードに対応した表示、例えば大当たりに対応する表示内容としてのキャラクタ等の動画表示、背景画像等の切り替えがなされるように図柄表示装置95の表示制御を実行する。
ステップS906の処理を実行した後はステップS907にて外部信号設定処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。
ステップS907の外部信号設定処理では、上述した大当たり対応する各種フラグのいずれかがRAM604に格納されているか否かを判定し、いずれかのフラグが格納されている場合には、遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に大当たりが発生した旨を示す信号が出力され、当該管理制御装置においてパチンコ機10にて開閉実行モードへ移行したことを把握することができる。
ステップS901の説明に戻り、当該ステップS901にて開閉実行モード中でない場合と判定した場合には、ステップS908に進む。ステップS908では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS909にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大入賞口82aが閉鎖中である場合には、ラウンドカウンタエリアRCが「1」以上であることを条件として、可変入賞駆動部82cを駆動状態とすることで大入賞口82aを開放させる。また、大入賞口82aが開放中である場合には、当該大入賞口82aの開放から所定時間が経過していること又は所定個数の遊技球が入賞していることを条件として、可変入賞駆動部82cの駆動状態を停止し、大入賞口82aを閉鎖させる。
続くステップS910では、ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」か否かを判定する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」でない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」である場合には、ステップS911〜ステップS916にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
先ずステップS911にて、エンディングコマンドの設定処理を実行する。設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図18)におけるステップS501にて、報知・演出制御装置140及び表示制御装置150に送信される。報知・演出制御装置140では、受信したエンディングコマンドに基づいて、各開閉実行モードに対応したエンディング表示の内容を決定し、その決定した表示内容が実行されるように各種機器を制御する。
次に、ステップS912にてエンディング用の待機時間が経過したか否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合又はエンディング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開放数カウンタOCの値が「0」であり、且つエンディング用の待機時間が経過している場合には、ステップS913にて開閉実行モードフラグを消去し、続くステップS914にて高確率モードフラグ及び高頻度サポートモードフラグをセットする。そして、ステップS915では、高確率モード・高頻度サポートモード対応の遊技状態(第2遊技状態)への移行コマンドを設定する。このコマンドが、通常処理(図18)のステップS501にて報知・演出制御装置140及び表示制御装置150に送信されることで、これら各制御装置140,150では高確率モード・高頻度サポートモード対応の遊技状態への移行を把握することができる。
その後、ステップS916にて遊技回数カウンタに「100」をセットし、本遊技状態移行処理を終了する。
既に説明したように、本実施の形態においては、各遊技回にて大当たり当選の有無を示唆する演出を実行する構成となっており、その演出の概要については、主制御装置162からのコマンドに基づいて報知・演出制御装置にて決定される構成となっている。
そこで以下、図23及び図24のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置140のMPU661にて実行される演出態様決定処理について説明する。演出態様決定処理は、報知・演出制御装置140にて定期的に実行される通常処理の一部を構成しており、かかる決定処理にて決定された演出の概要は、表示制御装置150に伝達される。
<演出態様決定処理>
演出態様決定処理においては先ず、ステップS1001にて主制御装置162から変動開始コマンド及び種別コマンドを受信しているか否かを判定する。具体的には、主制御装置162からのコマンドについては報知・演出制御装置140にて実行されるタイマ割込み処理にて随時受信有無が確認されており、これらのコマンドを受信した場合には、RAM663の各種フラグ格納エリア672に各コマンドを受信した旨を示すフラグを格納する。ステップS1001の処理においては、各種フラグ格納エリア672にそれらのフラグが格納されているか否かを判定する。
ステップS1001にて否定判定をした場合にはそのまま本演出態様決定処理を終了する。一方、ステップS1001にて肯定判定をした場合には、ステップS1002に進み、今回受信したコマンドが大当たりに対応するコマンドであるか否かを判定する。
ステップS1002にて否定判定をした場合、すなわち外れ結果に対応する遊技回である場合には、ステップS1003に進みROM662に記憶されている外れ結果対応の演出態様決定テーブルを参照し、外れ結果対応の演出態様を決定する処理を実行する。
ステップS1003にて演出態様を決定した後はステップS1004に進み、決定された演出態様が可動表示装置96による第1種連動演出に対応しているか否かを判定する。ステップS1004にて肯定判定をした場合にはステップS1005に進み、可動表示装置96を第2状態に切り替える為のフラグ(第2状態切替用フラグ)をRAM663の各種フラグ格納エリア672に格納する。
ステップS1005の処理を実行した後、又はステップS1004にて否定判定をした場合には、ステップS1011に進み、各演出に対応するコマンドを表示制御装置150へ送信する処理を行う。
ステップS1002の説明に戻り、当該ステップS1002にて肯定判定をした場合、すなわち大当たりに対応したコマンドを受信している場合には、ステップS1006に進む。ステップS1006ではROM662に記憶されている大当たり結果対応の演出態様決定テーブルを参照し、大当たり結果対応の演出態様を決定する処理を実行する。
ステップS1006にて演出態様を決定した後はステップS1007に進み、決定された演出態様が可動表示装置96による第1種連動演出に対応しているか否かを判定する。ステップS1007にて否定判定をした場合にはステップS1008に進み、決定された演出態様が可動表示装置96による第2種連動演出に対応しているか否かを判定する。ステップS1008にて肯定判定をした場合には、ステップS1009に進み、可動表示装置96を第3状態に切り替える為のフラグ(第3状態切替用フラグ)をRAM663の各種フラグ格納エリア672に格納する。
ステップS1009の処理を実行した後、又はステップS1008にて否定判定をした場合には、上記ステップS1011に進み、各演出に対応するコマンドを表示制御装置150へ送信する処理を行う。
ステップS1007の説明に戻り、当該ステップS1007にて肯定判定をした場合、すなわち第1種連動演出に対応していると判定した場合には、ステップS1010に進み可動表示装置96を第2状態に切り替える為のフラグ(第3状態切替用フラグ)をRAM663の各種フラグ格納エリア672に格納する。その後、ステップS1011に進み、当該演出に対応するコマンドを表示制御装置150へ送信する処理を行う。
ステップS1011の処理を実行した後は、本演出態様決定処理を終了する。なお、ステップS1011にて送信するコマンドについて補足説明すると、主制御装置162から受信した変動開始コマンド及び種別コマンドに演出にかかる情報を付与することでコマンドを更新し、それら更新されたコマンドが表示制御装置150に転送されることとなる。
以上、詳述したように可動表示装置96を用いた連動演出のうち第1種連動演出(可動表示装置96を第2状態とする演出)については、大当たり結果及び外れ結果の何れにおいても選択され得るのに対して、第2種連動演出(可動表示装置96を第3状態とする演出)については、外れ結果の場合には選択されず大当たり結果の場合にのみ選択され得る構成となっている。このような演出決定時の制約は可動表示装置96に後述する右打ち報知機能を付与したことに起因しているが、その詳細については後述する。
既に説明したように、可動表示装置96は報知・演出制御装置140によってその動作が制御される構成となっている。ここで、図24のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置140の通常処理(詳しくは演出実行処理)にて実行される可動表示装置駆動用処理について説明する。
<可動表示装置駆動用処理>
可動表示装置駆動用処理においては、先ずステップS1101にて今回の遊技回が可動表示装置対応演出にかかる遊技回であるか否かを判定する。具体的には、RAM663の各種フラグ格納エリア672に可動表示装置96の状態切替にかかるフラグが格納されているか否かを判定する。
ステップS1101にて否定判定をした場合、すなわち可動表示装置96の連動演出に対応する遊技回でないと判定した場合には、そのまま本可動表示装置駆動用処理を終了する。
一方、ステップS1101にて肯定判定をした場合には、ステップS1102にて動作開始タイミングであるか否かを判定する。各連動演出においては可動表示装置96の動作開始タイミングが予め規定されており、RAM663の各種カウンタエリア671に格納されている動作タイミング用カウンタの値を参照して、ステップS11012の判定を行う。当該動作タイミング用カウンタは連動演出にかかる遊技回の開始時に所定の値がセットされる構成となっており、通常処理が実行される毎に更新されて、最終的に「0」となった場合にステップS1102にて肯定判定をする。
ステップS1102にて肯定判定をした場合にはステップS1103に進む。ステップS1103では今回の遊技回が第1種連動演出に対応しているか否か、すなわち第2状態切替フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS1103にて肯定判定をした場合には、ステップS1104に進み、第2状態切替用の駆動信号の出力処理を実行する。これにより、可動表示装置96が第2状態となり、本体96aが表示画面95aの前方へと突出する(図9(a)参照)。
ステップS1103にて否定判定をした場合には、第3状態切替用の駆動信号の出力処理を実行する。これにより、可動表示装置96が第3状態となり、本体96a及び可動片96bの両者が表示画面95aの前方へと突出する(図9(b)参照)。
ステップS1102の説明に戻り、ステップS1102にて否定判定をした場合には、ステップS1106にて動作終了タイミングであるか否かを判定する。ステップS1106にて否定判定をした場合には、そのまま本可動表示装置駆動用処理を終了する。
一方、ステップS1106にて肯定判定をした場合には、可動表示装置96を第1状態へと復帰させるための駆動信号の出力処理を行う。これにより、可動表示装置96は第2状態又は第3状態から第1状態に復帰することとなる(図5参照)。その後、ステップS1108にて可動表示装置連動演出にかかる各種フラグを消去して、本可動表示装置駆動用処理を終了する。
ここで、本実施の形態においては、可動表示装置96を駆動させる駆動手段としてステッピングモータ96e,96fが採用されており、可動表示装置96の位置を駆動信号のパルスによって管理することが可能となっており、仮に駆動信号を出力したにも関わらず、所定の位置へと本体96a等が変位していない場合には、その事実を報知・演出制御装置140に接続された位置検知センサ96gからの情報に基づいて把握することが可能となっており、所望とする位置へ移動するように調整が行われる構成となっている。
但し、このような構成においては、可動表示装置96を各状態に維持するために電力を消費することは好ましくなく、本実施の形態においては、電力の消費を伴うことなく可動表示装置96を第1状態〜第3状態に維持することを可能としている。
そこで以下、図25を参照して当該維持にかかる構成について説明する。図25は可動表示装置96の概略図であり、(a)が第1状態、(b)が第2状態、(c)が第3状態を示している。
図25(a)に示すように、可動表示装置96が第1状態となっている場合には、本体96a及び可動片96bの両者が自重によって第1状態に維持されたままとなる。より具体的には、本体96aの重心位置は取付軸部96cに対して表示画面95aとは反対側(以下、隠蔽領域という)に位置し、可変表示ユニット88に設けられたストッパ(図示略)に当接することで位置が定められている。同様に、可動片96bについてもその重心位置が軸部96dよりも隠蔽領域側に位置しており、可変表示ユニット88に設けられたストッパ(図示略)に当接することで位置が定められている。つまり、第1状態においては、本体96a及び可動片96bの両者が自重によって初期位置に留まるように工夫されている。
図25(b)に示すように、可動表示装置96が第2状態となっている場合にも、本体96a及び可動片96bの両者が自重によって第2状態に維持されたままとなる。より具体的には、本体96aの重心位置は取付軸部96cに対して表示画面95a側(以下、表示領域という)に位置し、表示領域側へ付勢された状態となっている。一方、可動片96bについては、隠蔽領域側に回動することでその重心位置が本体96aとは反対側に振れ本体96aに設けられたストッパ(図示略)に当接することで位置が定められている。ここで、本体96aの付勢力と可動片96bの付勢力とを比較した場合には、後者の方が大きく設定されている。可動片96bについては可変表示ユニット88に設けられたストッパに寄りかかった状態となっており、この可動片96bによって本体96aのそれ以上の回動が阻止された状態となっている(両者の釣り合いが取れた状態となっている)。これにより、可動表示装置96が第2状態に維持されることとなる。
図25(c)に示すように、可動表示装置96が第3状態となっている場合にも、本体96a及び可動片96bの両者が自重によって第2状態に維持されたままとなる。より具体的には、本体96aの重心位置は取付軸部96cに対して表示画面95a側(以下、表示領域という)に最も振れた位置まで(回動限界位置まで)移動し、その位置からの移動が自重によって妨げられている。一方、可動片96bについては、本体96aに設けられたストッパによって回動が規制されたままその大部分が表示領域側へ変位しているものの、軸部96dとの位置関係で見ると重心位置が当該軸部96dよりも隠蔽領域側へ偏倚している。このため、可動片96bについては、それ以上の表示領域側への変位が自重によって規制されることとなり、可動表示装置96は第3状態に維持されることとなる。
このように、電力の消費を可動表示装置96の動作時のみに抑えることで、遊技機の節電機能の向上に貢献している。
<打ち分け報知>
ここで、既に説明したように本実施の形態に示す遊技機においては、遊技状態に応じて遊技球の打ち出し先(狙い)を変更することで遊技者が遊技を有利に進めることができる構成となっている。かかる構成においては、遊技の多様化を実現できる反面、遊技者が遊技性を理解せずに遊技を行うことで不利益を被る可能性が生じる。そこで、本実施の形態に示す遊技機においては、様々な手法で打ち先を遊技者に報知することで、上記不利益の発生を抑える工夫が施されている。この報知機能については、通常報知機能と特殊報知機能とに大別される。以下、先ず通常報知機能について説明し、その後特殊報知機能をそのバックグラウンドを踏まえて説明する。
先ず、通常報知機能について説明する。通常報知機能については、報知・演出制御装置140によりスピーカ部29を制御することで聴覚的な報知を行う機能と、図柄表示装置95の表示画面95aを表示制御装置150にて制御することで視覚的な報知を行う機能とに大別されるが、ここでは、図26のフローチャートを参照して後者の機能について説明する。表示制御装置150の統括MPU761においても報知・演出制御装置140と同様に定期的に通常処理が実行されている。この通常処理の一環として打ち分け報知を行うための処理が実行されている。
打ち分け報知用処理においては、先ずステップS1201にて右打報知を実行している最中であるか否かを判定する。具体的には、RAM763の各種フラグ格納エリア772に右打ち報知用フラグが格納されているか否かを判定する。
ステップS1201にて否定判定をした場合にはステップS1202に進み、主制御装置162(報知・演出制御装置140)からオープニングコマンド又は高確率モード・高頻度サポートモード対応の遊技状態への移行コマンドを受信しているか否かを判定する。すなわち、遊技状態が特別遊技状態又は第2通常遊技状態へ移行する状況であるか否かを判定する。
表示制御装置150の統括MPU761についても報知・演出制御装置140と同様に定期処理としてタイマ割込み処理を実行しており、このタイマ割込み処理にてコマンド受信の有無を随時確認している(コマンド確認処理)。当該コマンド確認処理にて上記オープニングコマンド又は移行コマンドを受信していると判定した場合には、その旨を示すフラグがRAM763の各種フラグ格納エリア772に格納されることとなる。ステップS1202の処理においては、同フラグの有無を確認することでコマンド受信の可否を判定する。
ステップS1202にて肯定判定をした場合にはステップS1203に進み、右打ち報知開始処理を実行する。これにより、表示制御装置150に設けられた画像処理用の構成(VDPやVRAM等)では表示画面95a上に右打ちを行う旨のメッセージを表示する処理を行う。これにより、図26(b1)に示すように表示画面95aの報知領域SEには「右打ちしてね!」等の文字が表示されることとなる。この際、併せてRAM763の各種フラグ格納エリア772に上記右打ち報知用フラグが格納されることとなる。
一方、ステップS1202にて否定判定をした場合にはステップS1204に進み、低確率モード且つ低頻度サポートモード(第1通常遊技状態)である状況下にて、スルーゲート86への入賞が発生したか否かを判定する。
ステップS1204にて否定判定をした場合には、そのまま本打ち分け報知用処理を終了する。一方、ステップS1204にて肯定判定をした場合には、左打ち報知開始処理を実行する。これにより、表示制御装置150に設けられた画像処理用の構成(VDPやVRAM等)では表示画面95a上に左打ちを行う旨のメッセージを表示する処理を行う。これにより、図26(b2)に示すように表示画面95aの報知領域SEには「左打ちしてね!」等の文字が表示されることとなる。かかる報知は、所定の条件(例えば上作動口84への入賞や所定の報知期間の経過)の成立によって解除されることとなる。
ステップS1201の説明に戻り、ステップS1201にて肯定判定をした場合にはステップS1206に進む。ステップS1206では、主制御装置162(報知・演出制御装置140)からエンディングコマンド又は低確率モード・低頻度サポートモード対応の遊技状態への移行コマンドを受信しているか否かを判定する。
ステップS1206にて否定判定をした場合には、そのまま本打ち分け報知処理を終了する。一方、ステップS1207にて肯定判定をした場合には、右打ち報知終了処理を実行し、本本打ち分け報知処理を終了する。かかる処理においては、RAM763の各種フラグ格納エリア772に格納されている右打ち報知用フラグを消去する。
次に特殊報知機能について説明する。本実施の形態における遊技機には以下に示す節電機能が付与されている、省エネの促進が図られている。しかしながら、このような節電機能を適用することで、上記報知機能が上手く作用しなくなる可能性が生じ、遊技者の利益担保に支障をきたす恐れがある。上記特殊報知機能は、このような事情に鑑みてなされたものであり、構成の複雑化を抑えつつ節電機能と報知機能との両立を実現したものである。以下、先ず本遊技機が有する節電機能について説明する。節電機能についての概要は、遊技が行われていない状況下にて環状電飾部26やスピーカ部29更には図柄表示装置95等を節電モードへと切り替えることで、消費電力を抑えるものであり、その制御については報知・演出制御装置140及び表示制御装置150の両者にてそれぞれ実行されている。
<節電処理>
報知・演出制御装置140のMPU661にて実行される通常処理の一環として、上記節電用の処理が組み込まれている。ここで、図27(a)のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置140のMPU661による節電処理について説明する。
節電処理においては先ず、ステップS1301にて開閉実行モード中であるか否かを判定する。ステップS1301にて肯定判定をした場合には、そのまま本節電処理を終了する。一方、ステップS1301にて否定判定をした場合には、節電中であるか否かを判定する。具体的には、RAM663の各種フラグ格納エリア672に節電フラグが格納されているか否かを判定する。
ステップS1302にて肯定判定をした場合には、そのまま本節電処理を終了する。一方、ステップS1302にて否定判定をした場合には、ステップS1303に進み、デモ画像を表示している最中であるか否かを判定する。ステップS1303にて否定判定をした場合には、ステップS1304に進み図柄の変動表示終了から第1所定期間を経過したか否かを判定する。具体的には、保留情報が無い状態で遊技回が終了した場合には、RAM663の各種カウンタエリア671に設けられたデモ画面移行カウンタに所定の値がセットされ、通常処理が行われる毎にこの値が更新(減算)される。このカウンタについては、変動開始コマンドの受信によって上記所定の値が再セットされるものの、変動開始コマンドを受信することなく当該カウンタの値が「0」となった場合には、第1所定期間が経過したものと判定する。
ステップS1304にて否定判定をした場合には、本節電処理を終了する。一方、ステップS1304にて肯定判定をした場合、すなわち上記デモ画面移行カウンタの値が「0」になった場合には、デモ画像表示コマンドをセットする。このコマンドは、次の通常処理にて表示制御装置150へと送信されることとなる。
ステップS1303の説明に戻り、当該ステップS1303にて肯定判定をした場合には、ステップS1306に進み、デモ画像表示開始から第2所定期間を経過したか否かを判定する。具体的には、上記ステップS1304にて肯定判定をした場合には、RAM663の各種カウンタエリア671に設けられた節電状態移行カウンタに所定の値がセットされ、通常処理が行われる毎にこの値が更新(減算)される。このカウンタについては、変動開始コマンドの受信によって上記所定の値が再セットされるものの、変動開始コマンドを受信することなく当該カウンタの値が「0」となった場合には、第2所定期間が経過したものと判定する。
ステップS1306にて否定判定をした場合には、そのまま本節電処理を終了する。一方、ステップS1306にて肯定判定をした場合には、ステップS1307に進む。ステップS1307では、上記タッチセンサ41bからの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを判定する。ステップS1307にて肯定判定をした場合には、そのまま本節電処理を終了する。
一方、ステップS1307にて否定判定をした場合、すなわち、デモ画像表示開始から第2所定期間を経過し、且つ遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れていない場合には、ステップS1308に進み、節電状態への移行処理を実行する。これにより、スピーカ部29からのBGMの出力が停止するとともに環状電飾部26が消灯した節電モードとなり、電力の消費が抑えられた状態となる。その後、ステップS1309にて節電状態移行コマンドをセットする。このコマンドは次回の通常処理にて表示制御装置150へと送信される。
ここで、図27(b)のフローチャートを参照して、表示制御装置150の統括MPU761にて実行される節電処理について説明する。
表示制御装置150の節電処理においては、先ずステップS1401にて報知・演出制御装置140からデモ画像表示コマンドを受信しているか否かを判定する。ステップS1401にて肯定判定をした場合には、ステップS1402にてデモ用動画ループ表示処理を実行する。これにより予め設定された動画が繰り返し表示されることとなる。
一方、ステップS1401にて否定判定をした場合には、ステップS1403に進み節電状態移行コマンドを受信しているか否かを判定する。ステップS1403にて否定判定をした場合には本節電処理を終了する。一方、ステップS1403にて肯定判定をした場合には、ステップS1404に進み表示画面消灯処理を実行する。これにより、図柄表示装置95の表示画面95aは完全に消灯した状態となり、電力の消費が抑えられることとなる。
しかしながら、表示画面95aについては右打ち等の報知機能を有しており、仮に第2通常遊技状態中にこのような節電状態への切替えが行われると、右打ち報知自体も無効化されてしまう。一方、右打ち報知機能を担保しようとすれば、図柄表示装置95を消灯させることができなくなり、節電機能が低下してしまう。そこで、本実施の形態における特殊節電においては、節電状態への移行に合わせて電力の消費を抑えながら右打ち報知を行う代替手段として可動表示装置96を利用している。
再び図27(a)の説明に戻り、ステップS1309の処理を実行した後は、ステップS1310に進む。ステップS1310では高頻度サポートモード中であるか否かを判定する。つまり、右打ちを報知すべき状況であるか否かを判定する。
ステップS1310にて否定判定をした場合にはそのまま本節電処理を終了する。一方、ステップS1310にて肯定判定をした場合には、ステップS1311に進み可動表示装置96を第3状態に切り替える処理を実行する。これにより、図柄表示装置95が消灯するのに合わせて可動表示装置96が第3状態に切り替わることとなる。第3状態への切り替えにはステッピングモータ96e,96fを駆動する必要があるが、既に説明したように、一度第3状態に切り替われば同第3状態に維持するための電力は不要となる。これにより、報知機能と節電機能とが両立される。
ここで、図28の概略図を参照して節電の流れについて説明する。図28(a)は低頻度サポートモード中の節電状態への移行態様を示し、図28(b)は高頻度サポートモード中の節電状態への移行態様を示している。
図28(a)に示すように低頻度サポートモード中に図柄の変動表示が停止した場合には、そのタイミングから第1所定期間を経過するまで最終停止図柄が表示画面95aにそのまま表示される。その後、第1所定期間を経過すると、表示画面95aにはデモ画像が表示される。そして、デモ画像の表示が開始されてから第2所定期間を経過してもなお、作動口84への入賞が発生せず、且つ遊技者が遊技球発射ハンドル41に触ってない状態(遊技を行っていない状態)である場合には、節電状態に移行する。これにより、表示画面95aが消灯され、環状電飾部26も消灯されることとなる。この状態は、作動口84への入球が発生するまで継続され、当該入球を持って通常状態に復帰することとなる。
低頻度サポートモード中には右打ちを行う必要が無く、仮に遊技者が間違えて右打ちを行った場合には、図26(b2)に示したように左打ちを行うように報知が行われる。このため、操作ミス等によって遊技者が不利益を被ることはほとんど無い。
一方、図28(b)に示すように高頻度サポートモード中に節電状態に移行した場合には、上作動口84と下作動口85には抽選における有利度に大きな差があるため、正しく遊技を行わなければ遊技者が多大な不利益を被ることとなる。そこで、高頻度サポートモード中は、表示画面95aに右打ちを促すメッセージが表示される。しかしながら、遊技者の中には高頻度サポートモード中にトイレや食事等の休憩を取ったり、敢えて遊技を中断して保留情報を全て消化することで遊技の流れを変えようとしたりするものがいる。この場合、長期に亘って遊技を行わなければ遊技者が遊技を再開する際に、右打ちすべき状況であることを忘れてしまう可能性がある。
このため、デモ画面を経由して節電状態に移行する場合には、可動表示装置96が第3状態となることで、電力の消費を抑えつつ右打ちすべき状態であることを報知することができ、上記不都合の発生を回避できる。何故ならば、本実施の形態における可動表示装置96の可動片96bには、図9(b)に示したように「右打ち」のメッセージが記載されているからである。
なお、本実施の形態における演出時には大当たりが確定している場合にのみ演出で第3状態とするのは、「右打ち」のメッセージによって大当たりが確定している旨を示す意味があり、遊技者を困惑させないようにするための工夫である。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、節電状態に移行した場合であっても電力の消費を抑えながら右打ちを行うべき状況であることを報知することができ、節電状態を上手く機能させつつ、それによって遊技者が不利益を被ることを回避することが可能である。
また、節電状態が長く続いたとしても、報知機能を維持するために可動体96a等の自重を利用しているため電力等を消費する必要がない。これにより、節電機能が上手く発揮されることとなる。
特に、演出に用いられる可動表示装置96を利用して右打ち報知を行う構成とすることで、上記各種効果を享受するために構成が過度に複雑になることを回避することができる。
また、節電状態での右打ち報知を行う場合には、遊技者の注目を引きやすい表示画面95aを覆うようにして可動表示装置96が配置されるため、この可動表示装置96による右打ち報知(メッセージ)が見逃される機会を減らすことができる。
<第2の実施の形態>
上記実施の形態においては、節電状態への移行に所定の期間を要する構成とすることで遊技者の意図に反して(遊技を継続する意思があるにも関わらず)節電状態に移行することを回避する構成としたが、本実施の形態においてはより迅速な節電状態への移行を実現しつつ、遊技者の意図に反しないような構成を有していることを特徴としている。つまり、特定の状況下においては上述した節電処理以外の特殊節電処理を採用することで、更なる節電機能の充実を図っていることを特徴としている。
以下、図29のフローチャートを参照して本実施の形態にて追加された特殊節電処理について説明する。なお、特殊節電処理を実行する主体は報知・演出制御装置140であるが、この報知・演出制御装置140からのコマンドを受けて表示制御装置150が動作する点については上記第1の実施の形態における図27の節電処理と同様であるため説明を援用する。
特殊節電処理においては、先ずステップS1501にてRAM663の各種フラグ格納エリア672に特殊節電フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS1501にて否定判定をした場合には、開閉実行モードの終了タイミングであるか否かを判定する。
ステップS1502にて否定判定をした場合にはそのまま本特殊節電処理を終了する。一方、ステップS1502にて肯定判定をした場合にはRAM663の各種フラグ格納エリア672に即時節電状態移行用フラグをセットし、続くステップS1504にて総保留数記憶処理を行った後本特殊節電処理を終了する。総保留数記憶処理では、開閉実行モード終了時の総保留数をRAM663の各種カウンタエリア671に記憶する。
ステップS1501の説明に戻り、当該ステップS1501にて肯定判定をした場合、すなわち即時節電状態移行用フラグが格納されている場合には、ステップS1505に進む。ステップS1505では作動口84,85への入球が発生したか否かを判定する。ステップS1505にて肯定判定をした場合には、RAM663の各種フラグ格納エリア672に記憶されている即時節電状態移行用フラグを消去して本特殊節電処理を終了する。
一方、ステップS1505にて否定判定をした場合には、ステップS1507に進み、ステップS1504にて記憶した総保留数が「0」となっているか否かを判定する。RAM663の各種カウンタエリア671に記憶された総保留数は遊技回が進む毎に減算される。この途中でステップS1505に示すような入球が発生することで特殊節電のキャンセルが確定することとなる。
ステップS1507にて肯定判定をした場合には、ステップS1508に進む。ステップS1508では記憶された総保留数にかかる最後の遊技回が終了したか否かを判定する。つまり、図柄の変動表示が終了したタイミングであるか否かを判定する。
ステップS1508にて肯定判定をした場合には、ステップS1509に示すように即時手節電状態移行用フラグがあることを再確認の上ステップS1510に進む。なお、ステップS1509の処理については間違って特殊節電が発動することを回避するための保険であり、当該処理を省略してもよい。
ステップS1510ではタッチセンサ41bからの情報に基づいて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを判定する。ステップS1507〜ステップS1509にて否定判定をした場合及びステップS1510にて肯定判定をした場合には、そのまま本特殊節電処理を終了する。
一方、これらの各種条件を全て満たしている場合には、遊技者が遊技を中断する意思を持っている可能性が極めて高いと想定される。そこで、ステップS1511に進み、節電状態移行処理を実行する。これにより、環状電飾部26やスピーカ部29への電力の供給が停止されることとなる。
続くステップS1512では節電状態移行コマンドを表示制御装置150に送信する。これにより、図柄表示装置95が消灯することとなる。ステップS1513にて即時節電状態移行用フラグを消去し、ステップS1514にて記憶していた総保留数を消去した後、本特殊節電用処理を終了する。
以下、図30の概略図を参照して、本特殊節電処理による即時節電の実現パターンについて例示する。
図30(a)は開閉実行モード終了時の保留情報の数を示している。つまり、開閉実行モード終了時には、上作動口用保留エリアRa及び下作動口用保留エリアRbの両方に上限である4つの保留情報がそれぞれ格納されている。かかる状況下にて、先ずは下作動口用保留エリアRbに格納されている保留情報が優先的に消化され、下作動口用保留エリアRbにかかる保留情報が全て消化された後は、上作動口用保留エリアRaに格納されている保留情報が消化される。図30(a2)には開閉実行モード移行前の保留数が変動している様子を示しているが、開閉実行モード終了後は一度も保留数が増加することなく、そのまま全ての保留情報が消化されている。この場合、最後の保留情報の消化(最後の保留情報にかかる遊技回の終了)を契機として即座に節電状態に移行している。
開閉実行モード直後は高頻度サポートモードとなるため、遊技球の発射操作を継続することで、下作動口85への入球が容易に発生し得る。そのような状況にあるにも関わらず、保留数が減少の一途を辿っているため、遊技者が遊技を中断しようとしている可能性が高い。そこで、デモ画面の表示を経由することなく、即座に節電状態に移行したとしても、遊技者に不快感を与える可能性は低いと想定される。
図30(b)は同じく開閉実行モード終了時の保留情報の数を示している。図30(a)にて例示したものとの違いは、少なくとも下作動口用保留エリアRbに格納されている保留情報の数は上限に達してるのに対して、下作動口用保留エリアRbに格納されている保留情報の数は上限にたっしていない点で相違している。つまり、記憶可能な総保留数が「8」であるのに対して開閉実行モード終了時には記憶されている保留情報の数が「6」である。
このように、保留情報の数が最大数に達していない場合であっても、図30(a)のパターンと同様に保留数が減少の一途を辿って「0」になった場合には、最後の保留情報にかかる遊技回の終了を契機として即座に節電状態に移行することとなる。
ここで、図31のタイミングチャートを参照して、このような即時節電が実現される場合と即時節電が回避される場合について説明する。図31(a)は即時節電が実現される場合を示し、図31(b)は若干の遅延は発生しても即時節電が実現される場合を示し、図31(c)は即時節電が回避される場合を示している。
先ず図31(a)を参照して、即時節電機能が円滑に作用した場合について説明する。ta1のタイミングにて開閉実行モードが終了し高頻度サポートモード(第2通常遊技状態)に移行すると、即時節電状態移行用フラグがセットされる。この際、記憶されている保留数は「6」であり、遊技者は遊技球発射ハンドル41に触れていない。そのまま保留数が増加することなく保留数が「0」になったta2のタイミングにおいてもやはり遊技球発射ハンドル41には手が添えられていない。ta2のタイミングから最後の遊技回が終了したta3のタイミングではやはり遊技球発射ハンドル41に手は触れておらず、このタイミングにて節電状態に移行することとなる。
図31(a)のケースでは、開閉実行モード終了後に一度も保留数が増加することなく且つ節電状態への移行判定時(ta3のタイミング)で遊技球発射ハンドル41に手が触れていないことから、遊技者は遊技を中断する意思があるものとみなし、節電状態へと即座に移行している。
図31(b)のケースでは、節電状態への移行判定時(tb3のタイミング)で遊技球発射ハンドル41に手が触れている。つまり、遊技者が遊技を継続する意思があるとみなすことができる。このため、tb3のタイミングにて即座に節電状態に移行することは無く、節電状態への移行が遅延される。そして、最終的に作動口84,85への入球が発生することなく遊技者の手が遊技球発射ハンドル41から離れたため、このtb4のタイミングを契機として節電状態へと移行することとなる。
これに対して図31(c)のケースでは、開閉実行モード終了時から一時的に保留数は減少するが遊技者による遊技球の発射操作が継続されており、tc2のタイミングで作動口85への入球が発生している。この入球をもって即時節電状態移行フラグが消去されるため、tc5のタイミングにて保留数が「0」になったとしても即座に節電状態に切り替わることは無い。
以上、詳述した第2の実施の形態によれば、遊技者が遊技を継続する意思があるかどうかを見極めることで、即座に節電状態へ移行したとしても遊技者に不快感を与える可能性を低く抑えることができる。そして、デモ画面等を経由することなく、即座に節電状態に移行することで、電力の消費を一層好適に抑えることができる。
<第3の実施の形態>
上述した第2の実施の形態に示したように保留数が減少の一途を辿って「0」になることを条件として節電状態に移行する構成においては、高頻度サポートモード中に節電状態に移行することを示している。つまり、上記可動表示装置96による報知機能が有効化される。
そこで、以下のように演出の内容を書き換える構成とすることで、節電状態への移行時の第3状態への円滑な切り替え等が実現できる。
以下、報知・演出制御装置140にて実行される演出態様書替処理について図32のフローチャートを参照して説明する。
演出態様書替処理では、先ずステップS1601にて、開閉実行モード終了後に保留数が増加することなく記憶されていた最後の保留上に対応する遊技回に到達したか否かを判定する。ステップS1601にて肯定判定をした場合には、RAM663の各種フラグ格納エリア672に即時節電状態移行フラグが格納されているか否かを判定する。
ステップS1602にて肯定判定をした場合には、続くステップS1603にて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れているか否かを判定する。ステップS1603にて否定判定をした場合には、ステップS1604に進み最後の遊技回にかかる保留情報が外れ結果に対応するものであるか否かを判定する。
ステップS1601、ステップS1602、ステップS1604にて否定判定をした場合及びステップS1603にて肯定判定をした場合には、そのまま演出態様書替処理を終了する。一方、ステップS1604にて肯定判定をした場合には、演出書替にかかる条件を全て満たしたこととなり、ステップS1605に進む。
ステップS1605では決定済みの演出態様を第1種連動演出に強制的に変更する。そして、続くステップS1606では、表示制御装置150に送信すべく演出内容書替コマンドをセットする。表示制御装置150では、演出内容書替コマンドを受信することにより、報知・演出制御装置140と同様に演出内容の書替えを行う。
続くステップS1607では可動表示装置96を第2状態に切り替える第2状態切替フラグ及び第1状態切替キャンセルフラグをセットし、本演出態様書替処理を終了する。これにより、最後の遊技回では第1種連動演出が実行され、可動表示装置96は第2状態に切り替わる。そして、第1状態切替キャンセルフラグによって第1状態への切替えが規制されたまま節電状態に移行するため、第1状態を経由することなく第2状態から第3状態へと切り替わる。
遊技機においては、保留数が多い場合には変動表示期間が短縮される所謂時短機能が付与されている。ここで、最後の保留情報にかかる遊技回ではこの時短機能の影響を受けず、比較的長い変動表示時間となりやすい。故に、上述したような演出態様の書替えを行って可動表示装置96を用いた演出を行う時間を好適に稼ぐことができる。
また、即座に節電状態へと移行する場合に、表示画面の消灯に合わせて可動表示装置96が第3状態に切り替わると、遊技者はそれが節電状態への移行ではなく演出の一環であると勘違いしてしまう可能性がある。そこで、敢えて一度第2状態として外れ結果を明示した上で第2状態から第3状態に切り替わる構成とすれば、そのような誤解を招く可能性を低くすることができる。
<第4の実施の形態>
上記各実施の形態においては、環状電飾部26やスピーカ部29、図柄表示装置95といった末端となる構成への電力供給を停止することで節電を図ったが、これを変更し、それら各種構成を制御する報知・演出制御装置140や表示制御装置150自体を節電状態に移行する構成とすることも可能である。具体的には、これらの制御装置140,150に主要な制御をキャンセルするスリープ状態を適用することも可能出ある。なお、スリープ状態とは主たる全ての制御をキャンセルし上位の制御装置(主制御装置162等)からのコマンドの受信を監視する機能のみが有効化された状態を示している。
但し、このような構成においては、制御装置140,150をスリープ状態から復帰させる際に一定の復帰期間を確保する必要がある。これでは、例えば作動口84等への入球によって即座に遊技回を開始することができず、主表示部Dにおける表示との間にタイムラグが生じる。そこで、このような節電機能の強化を図る場合には、合わせて以下の特徴的な構成を採用することが好ましい。以下、図33のフローチャートを参照して、節電状態からの復帰処理と、待機状態からの移行処理とについて説明する。
図33(a1)のフローチャートに示すように、報知・演出制御装置140の節電状態からの復帰処理においては、先ずステップS1701にて遊技球発射ハンドル41への接触に対応するコマンドを主制御装置162から受信しているか否かを判定する。
ステップS1701にて否定判定をした場合にはそのまま本復帰処理を終了する。一方、ステップS1701にて肯定判定をした場合にはステップS1702にてスリープ状態解除処理を実行する。これにより、本来定期的に実行される通常処理やタイマ割り込み処理等が全て有効化されることとなる。
その後、ステップS1703にて待機状態への移行処理を実行する。待機状態への移行処理を行なうことで、報知・演出制御装置140は内部的には完全に活動化された状態となっているものの、環状電飾部26やスピーカ部29等への出力は抑えられた状態となる。
その後、ステップS1704にて表示制御装置150へ復帰コマンドを送信し、本復帰用処理を終了する。
次に、図33(a2)のフローチャートを参照して、表示制御装置150における節電状態からの復帰処理について説明する。
ステップS1801では、報知・演出制御装置140から復帰コマンドを受信しているか否かを判定する。ステップS1801にて否定判定をした場合には、そのまま本復帰処理を終了する。ステップS1801にて肯定判定をした場合には、ステップS1802に進みスリープ状態解除処理を行う。これにより、統括MPU761において通常処理等の処理が有効化され、VDPの立ち上げやVRAM等へのアクセス許可がなされる。
続くステップS1803では待機状態への移行処理を行なう。待機状態への移行処理を行なうことで、表示制御装置150は内部的には完全に活動化された状態となっているものの、図柄表示装置95への出力は抑えられた状態となる。その後、ステップS1804にて表示画面の復帰遅延処理を実行した後、本復帰用処理を終了する。表示画面の復帰遅延処理を実行することで、作動口84等への入球が発生するまで、表示画面95aを消灯状態のまま維持されることとなる。
次に、図33(b1)のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置140のMPU661にて実行される待機状態からの移行処理について説明する。
待機状態からの移行処理においては、先ずステップS1901にて主制御装置162から変動開始用コマンドを受信しているか否かを判定する。
ステップS1901にて肯定判定をした場合には、通常状態への移行処理を行なう。これにより、遊技の進行に合わせて環状電飾部26の点灯/点滅が再開されたりスピーカ部29からBGM等の効果音の出力が再開されることとなる。
一方、ステップS1901にて否定判定をした場合には、ステップS1903に進む。ステップS1903では、スリープ状態から復帰して所定の期間が経過したか否かを判定する。つまり、スリープ状態から復帰したにも関わらず、作動口84等への入球が発生することなく、遊技を止めた場合には、ステップS1904にて再びスリープ状態に移行する。
表示制御装置150の統括MPU761における待機状態からの移行処理については、図33(b1)を参照して説明した報知・演出制御装置140の処理と同様であるため、説明を援用する。具体的には、ステップS2001,S2002,S2004,S2005の各処理は、上記ステップS1901〜S1904の各処理と同様となっている。なお、ステップS2003の処理を行うことで、それまで遅延されていた表示画面95aにおける図柄の変動表示が許容(再開)された状態となる。
ここで、図34のタイミングチャートを参照して、スリープ状態からの復帰の流れと、スリープ状態から復帰したにも関わらず再度スリープ状態に移行する場合について例示する。図34(a)はスリープ状態から復帰して遊技が再開された場合を示し、図34(b)はスリープ状態から復帰したものの遊技が再開されること無く再びスリープ状態に移行した場合を示している。
図34(a)では遊技機が所定の条件が成立して(例えば所定の期間に亘って遊技が行われなかったことを条件として)節電状態(詳しくはスリープ状態)に移行した状態をしめしている。このような状況は、遊技者が遊技を中断して食事やトイレ等の休憩を取ったり、第2通常遊技状態に移行後に上手く大当たりを引くことができず嫌な流れを変えたいために一時的に離席している場合に発生し得る。
td1のタイミングでは報知・演出制御装置140及び表示制御装置150の両制御装置がスリープ状態となっている状況下にて、遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れている。これにより、各制御装置140,150をスリープ状態から待機状態に復帰させるためのシークエンスが実行されることとなる。
但し、既に説明したようにこの復帰シークエンスにはある程度の期間を要するため、実際に両制御装置140,150が待機状態に移行するのは、td1のタイミングから所定の期間が経過したtd2のタイミングとなる。ここで、遊技球発射ハンドル41が操作されて遊技球が発射された場合に、その遊技球が作動口84,85に到達するにはある程度の期間を要する。つまり、遊技球発射ハンドル41が操作されたからといって発射された遊技球が直ちに作動口84,85に入賞するわけではない。
図34(a)においては、遊技球発射ハンドル41がtd1のタイミングにて操作され、その操作に基づいて発射された遊技球が作動口84,85に入球する最短のタイミングをtd3のタイミングとして示している。
本実施の形態においては、上記復帰シークエンスに要する期間(td1〜td2)は、遊技球の最短到達期間(td1〜td3)よりも短くなるように構成されており、td3のタイミングの前のtd2のタイミングにてスリープ状態が解除され待機状態になっている。但し、待機状態となった後も図柄表示装置95の表示画面95aについては消灯されたまま維持され、td3のタイミングで作動口84,85への入球が発生したことを契機として、画像が表示されることとなる(図柄の変動表示が再開されることとなる)。
一方、図34(b)にし示すように、te1のタイミングにて遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れたことを契機としてte2のタイミングで各制御装置140,150がスリープ状態から待機状態に復帰したとしても、そのまま遊技球が作動口84,85に入球することなく遊技者が発射操作を止めてしまうと、各制御装置140,150は遊技球発射ハンドル41から手を離してから所定の期間を経過したte4のタイミングにて通常状態へと移行することなく、待機状態からスリープ状態へと再度移行することとなる。この場合、図柄表示装置95の表示画面95aは消灯した状態のまま維持され、外観上の変化は発生しない(視覚的及び聴覚的な演出・報知が実行されることは無い)。
以上詳述した第4の実施の形態によれば、報知・演出制御装置140や表示制御装置150自体を節電状態(スリープ状態)に移行する構成とすることし、主たる全ての制御をキャンセルすることで、節電機能の更なる強化が実現されている。
但し、このような構成においては、制御装置140,150をスリープ状態から復帰させる際に一定の復帰期間を確保する必要がある。これでは、例えば作動口84等への入球によって即座に遊技回を開始することができず、主表示部Dにおける表示との間にタイムラグが生じる。この点、本実施の形態では、遊技球発射ハンドル41への接触をもって遊技者が遊技を再開する意図があるとみなし、事前にスリープ状態の解除シークエンスを実行する構成とすることで、作動口84,85への入球が発生した場合に、図柄の変動表示が直ちに行われないといった不都合、すなわち主表示部Dにおける作動口用表示部における可変表示の開始タイミングと図柄表示装置95等における演出開始タイミングとの間にタイムラグが発生することを回避することができる。
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記第1の実施の形態では、可動表示装置96の本体96a及び可動片96bを図柄表示装置95の表示画面95aの前方に重なる位置に配置することで、右打ち報知を行う構成としたが、右打ち報知にかかる構成の配置については任意であり、例えば表示画面95aの上方や側方、更には前扉枠14の前面部分等に配置してもよい。
但し、遊技機においては作動口84,85への入球に基づく抽選の結果が図柄表示装置95の表示画面95aにて表示されるため、また同図柄表示装置95が遊技領域PEの中央に配置されているため、遊技者の注目が専ら表示画面95aに向きやすい。そこで、本実施の形態に示したように、表示画面95aの前方に可動表示装置96を移動させて右打ち報知を行う構成とすれば、遊技者が右打ち報知を見逃す機会を好適に減らすことができる。
(2)上記各実施の形態では、第2通常遊技状態(高確率モード且つ高頻度入賞モード)となった場合に可動表示装置96による右打ち報知が許容される構成としたが、これに限定されるものではない。遊技機の仕様によっては第2通常遊技状態の他に第3通常遊技状態(低確率モード且つ高頻度入賞モード:所謂時短モード)が設定されているものがある。この種の遊技機においても、右打ちを行うことで遊技を有利に進めることができるのであれば、当該第3通常遊技状態においても可動表示装置96による右打ち報知が許容される構成とすることも可能である。
(3)上記各実施の形態では、可動表示装置96において右打ち報知を行う構成として可動片96bを有する構成としたが、可動片96bについては必須の構成ではなく本体96aに右打ち報知機能を付与してもよい。例えば、第2状態では本体96aの一部が遊技盤80の板体80aの背後に隠れる構成とし、第3状態ではその隠れていた部分も遊技機前方から視認可能となるように構成し、当該部分に「右打ち」等のメッセージを記載する構成とすることも可能である。
(4)上記各実施の形態では、可動表示装置96が第1状態〜第3状態の各状態に切り替わることで演出・報知の機能を強化したが、可動表示装置96については少なくとも第1状態と第3状態とに切り替え可能であれば足りる。
(5)上記実施の形態では、可動表示装置96の本体96aや可動片96bは第1状態〜第3状態の各状態に自重によって維持される構成としたが、少なくとも右打ち報知を行っている状況下にて電力を必要としない構成であれば足り、それら各状態に維持するための付勢手段を別途設けてもよい。
(6)上記各実施の形態では、通常の節電状態への移行時にはデモ画像の表示期間を経由する構成としたが、このデモ画像の表示を行わない構成としてもよい。また、節電中は、必ずしも表示画面95aを完全に消灯させる必要はなく、遊技中(図柄の変動/停止表示中)と比較して電力消費が抑えられた状態となっているのであればよく、例えば消灯中の画面に「節電中」の文字等を表示する構成とすることも可能である。
(7)上記第2の実施の形態では、開閉実行モード終了後に記憶されている保留数が増加することなく減少の一途を辿り、同保留数が「0」になった場合に節電状態に即時に移行する構成としたが、即時節電の作動条件を以下のように設定してもよい。すなわち、各作動口84,85のうち少なくとも何れかにかかる保留情報の数が最大となっている状況下にて、同保留数が減少の一途を辿った場合には開閉実行モード終了直後でなくとも、即時に節電状態に移行する構成としてもよい。
但し、第1通常遊技状態(低確率モード且つ低頻度サポートモード)においては、上作動口84にかかる保留情報が最大となった後、一度も遊技球が入球することなく保留数が「0」になる場合が発生しやすい。これは、電動役物91等によるサポートが無い場合に、遊技ホールの営業形態に合わせて釘調整が行われている場合に生じやすい。故に、本変形例に示す節電状態への移行パターンについても少なくとも高頻度サポートモードとなっており、下作動口85への入球が容易な状況下にて実行されるように規制することが好ましい。
(8)上記各実施の形態では、下作動口85にかかる保留情報が上作動口84にかかる保留情報よりも優先して消化される構成としたが、これに限定されるものではなく、保留情報を記憶した順序で消化する構成とすることも可能である。
(9)上記第4の実施の形態では、制御装置140,150がスリープ状態に移行する構成とし、遊技が再開される場合にはそれを作動口84,85への入球発生よりも前に察知して、スリープ状態を解除する構成とした。遊技が再開又は開始されることを察知する方法については、遊技者が遊技球発射ハンドル41に触れたこと以外に、例えば遊技者が球貸し用の操作部に触れた場合や遊技演出用の操作ボタン等を操作した場合等が挙げられる。
(10)上記第2の実施の形態では、各作動口84,85にそれぞれ対応させて保留情報を記憶する構成として、記憶可能な保留数の上限を個別に設定したが、これに限定されるものではなく、両作動口84,85への入球に基づく保留情報を同一の記憶領域にて記憶する構成とすることも可能である。
(11)上記実施の形態では、報知・演出制御装置140と表示制御装置150とを別体としたがこれらを一体化してもよい。また、可動表示装置96の制御機能を表示制御装置150の統括MPU等に移すことも可能である。
(12)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される特徴的な構成について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴A群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技盤(詳しくは遊技領域)に設けられた入球部に遊技球が入球することにより各種抽選を行い、その抽選結果に基づいて通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態へ移行するものがある(例えば、特許文献1:特開2003−190511号公報参照)。この種の遊技機においては、特別遊技状態と通常遊技状態とで遊技を有利に進めることのできる遊技球の流下経路(すなわち狙い位置)に違いを与えておくことにより、遊技への積極的な参加を促したものが提案されている。このように発射操作を遊技状態に応じて調整する必要のあるタイプの遊技機では、上述したような遊技への積極的な参加を促すことができる反面、遊技者に上記調整が必要である旨が上手く伝わらなければ、本来享受できるはずの利益を取りこぼすといった不都合が生じる。そこで、現状では液晶ディスプレイ等の表示装置にて狙うべき流下経路を報知することにより上記不都合の発生を抑える工夫がなされている。しかしながら、上記報知にかかる構成については未だ改善の余地がある。近年では、一定期間に亘って遊技機が行われていない場合等に表示装置(画面)等を消灯させる等の節電対策が講じられた(節電モードが設定された)遊技機が提案され、非稼動時の遊技機の消費電力の軽減が実現されている。しかしながら、この種の節電タイプの遊技機においては、節電モードへ移行して表示装置等が消灯することで上記報知がキャンセルされ得る。これでは、遊技者が遊技を再開する際に(再稼働時に)間違って(狙う位置を誤認して)遊技球の発射操作を行ってしまう可能性があり、結果として遊技者が不利益を被ることが懸念される。一方、電飾やスピーカ等の各種電機機器を利用して節電モード中における代替報知を実行しようとすれば、上記不利益の発生を回避できる反面、電力消費が嵩み節電モード本来の機能が上手く活かされなくなる。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴A1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
遊技者による操作に応じて前記遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球部(作動口84,85)と、
前記始動入球部への入球に基づいて通常遊技状態(第1通常遊技状態)よりも遊技者に有利な特別遊技状態(第2通常遊技状態や開閉実行モード)に移行させるか否かの抽選を行う当否抽選手段、及び当該当否抽選に当選した場合に遊技状態を前記通常遊技状態から前記特別遊技状態へと移行させる特別遊技状態移行手段を有する第1制御手段(主制御装置162のMPU602)と、
前記遊技領域に設けられた可変入球装置(可変入賞装置82等)、
前記特別遊技状態に移行した場合に前記通常遊技状態と比較して、前記可変入球装置への入球が困難な状態からそれよりも入球が容易な状態に切り替わりやすくなるよう同可変入球装置を制御する可変入球制御手段(主制御装置162のMPU602)と
を備え、
前記始動入球部及び前記可変入球装置は、前記通常遊技状態にて第1の流下経路(左ルート)を遊技球が通過するようにして遊技者が前記発射操作を行うことにより遊技を有利に進めることができるように、且つ前記特別遊技状態においては遊技球の流下経路を前記第1の流下経路から当該第1の流下経路とは異なる第2の流下経路(右ルート)に変更するようにして遊技者が前記発射操作を行うことにより遊技を有利に進めることができるように構成されており、
前記始動入球部への入球に基づいて絵柄の可変表示を実行する表示画面(表示画面95a)を有し、その可変表示の停止結果によって前記当否抽選手段による抽選の結果を表示する可変表示手段(図柄表示装置95)と、
前記可変表示手段の表示制御を行う第2制御手段(報知・演出制御装置140、表示制御装置150)と
を備え、
前記第2制御手段には、所定の条件が成立した場合に前記可変表示手段の表示態様を通常表示モードから当該通常表示モードよりも消費電力が小さくなるように抑えられた節電モードへ移行させるモード移行手段(報知・演出制御装置140、表示制御装置150)が設けられており、
第1状態及び当該第1状態とは異なる第2状態に切替可能に設けられ、少なくとも前記第2状態となることで遊技機前方から視認可能となる可動体(本体96aや可動片96b)と、
前記可動体を前記第1状態又は前記第2状態となるように動作させる駆動部(ステッピングモータ96e,96f)と、
前記第2制御手段に設けられ、前記特別遊技状態に移行する場合に前記可動体が前記第1状態から前記第2状態に切り替わるように前記駆動部を駆動制御する駆動制御手段(報知・演出制御装置140のMPU661)と
を備え、
前記可動体は、前記第1状態から前記第2状態に切り替えられた状況下においては前記駆動部への電力の供給がなされていない場合であっても前記第1状態に切り替わらないように構成されており、前記第2状態となることで電力消費を抑えつつ前記第2の流下経路を狙った遊技球の発射を行うべき旨の報知を行う機能が付与されており、
前記第2制御手段は、前記駆動制御手段による駆動制御を実行させることにより、前記特別遊技状態中に前記節電モードとなっている場合には前記可動体を前記第2状態とする又は前記節電モードへの移行前に当該第2状態とした可動体を同第2状態のまま維持し、当該可動体により前記第2の流下経路を狙った遊技球の発射を行うべき旨の報知を行う節電時報知実行手段(報知・演出制御装置140のMPU)を有していることを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、所定の条件が成立した場合に前記可変表示手段の表示態様を通常表示モードから同通常表示モードよりも消費電力が小さくなるように抑えられた節電モードへ移行させることで遊技機の消費電力の削減に貢献することができる。
ここで、遊技者は任意のタイミングで遊技を中断して食事休憩等を取ったり、遊技の流れが思わしくないときに特別遊技状態中に退席し一定の間をあけてから遊技を再開することで遊技者に有利な流れに変えようとしたりすることがある。このように遊技を中断して一時的に退席等した際に節電モードへ移行した場合には、遊技者は遊技を再開する際に狙うべき箇所(第2の流下経路)を間違う可能性が生じる。この可能性は、遊技機の仕様等の知識に乏しい遊技者や遊技初心者等においては高くなりやすい。つまり、単に遊技機に節電モードを適用して省エネを実現した場合には遊技者が不利益を被るリスクが高くなる可能性を払拭できない。
この点、本特徴においては、節電モード中は可動体が第2状態となって第2の流下経路を狙う旨の報知が実行されることとなる。可動体については状態切替の際に必要となる動力以外、報知の継続に電力を必要としないため、節電モード本来の意義を損なうことが無い。つまり、例えば遊技者が節電モード中に食事休憩等をとる等して長期に亘って節電モードが継続されたとしても、可動体を第2状態に維持するための(報知を継続するための)電力を必要としないため、節電効果を好適に享受することができる。
以上の理由から、本特徴によれば節電機能を活用しつつそれに起因した遊技者の被る不利益の発生を抑えることが可能となる。
特徴A2.前記第2制御手段には、前記特別遊技状態中に前記通常表示モードとなっている場合に前記可変表示手段の前記表示画面にて前記第2の流下経路を狙った遊技球の発射を行うべき旨の表示を行い、前記特別遊技状態中に前記節電モードへの切り替えが行われた場合に、当該表示を終了する通常時報知実行手段(報知・演出制御装置140,表示制御装置150)が設けられており、
前記節電時報知実行手段は、前記節電モードへの移行に伴う前記通常時報知実行手段による前記表示の終了を契機として、前記可動体が前記第2状態に切り替わるようにして前記駆動制御手段による駆動制御を実行させることにより当該可動体による前記報知を行うように構成されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
特徴A2によれば、節電モードへ移行する際には、報知を実行している対象が表示画面から可動体へと移行することとなる。このようにして報知が途切れることなく別の態様(消費電力を抑えられた態様)で継続される構成とすることにより、報知が行われない期間が生じることを回避して報知機能を担保することができる。
特徴A3.前記可動体は、前記表示画面よりも前側に配置されており、少なくとも前記第2状態においては当該表示画面に前方から重なる位置に配置されるように構成されていることを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
特徴A1に示したように表示画面にて絵柄の可変表示を行うタイプの遊技機においては抽選結果の告知が同表示画面にて行われるため遊技者の注目が専ら表示画面に向くこととなる。そこで、可動体による報知を実行する際には、当該可動体を遊技者が注目しやすい箇所(表示画面)に重なる位置に移動させておくことにより報知機能を上手く発揮させることができる。
また、節電モード中は抽選結果の表示やその示唆演出等を行う必要がなく、表示画面での表示内容の重要度が通常時と比べて低くなる。故に、可動体を表示画面との重なる位置(目立つ位置)に配置したとしても、実質的に表示画面の表示機能が損なわれることはない。
特徴A4.前記可動体は、前記表示画面よりも前側に配置されており、前記第2状態においては前記第1状態と比べて前記表示画面との重なりが大きくなるように構成されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A3のいずれか1つに記載の遊技機。
本特徴に示すように、可動体が表示画面と重なる位置に配置される構成においては、通常時に当該可動体によって表示画面の視認性可能領域が侵食されることは好ましくない。そこで、本特徴に示すように第2状態にて第1状態と比べた場合の表示画面との重なりが大きくなるように構成すれば、報知機能を担保しつつ可動体の採用に起因した上記不都合の発生を抑制することができる。
特徴A5.前記当否抽選手段による当否抽選の結果が外れ結果である場合に、当該結果に対応した演出態様を決定する外れ用演出態様決定手段(主制御装置162、報知・演出制御装置140)と、
前記当否抽選手段による当否抽選の結果が当たり結果である場合に、当該結果に対応した演出態様を決定する当たり用演出態様決定手段(主制御装置162、報知・演出制御装置140)と
を有し、
前記両演出態様決定手段のうち前記当たり用演出態様決定手段は、前記特別遊技状態への移行が確定する遊技回にて前記可動体を前記第2状態とすることにより前記演出を行う手段を有していることを特徴とする特徴A1乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A1に示したように可変表示装置を有する遊技機においては、節電モード時の報知専用の構成を収容する領域を確保しようとした場合、周辺に配置された各種遊技部品と可動体との共存が困難になる。特に近年では可動式の役物を用いて上記示唆演出を行うことで遊技者の注目度の向上を実現しているものが提案されており、限られた領域内にて節電時の報知専用品を設けることは現実的でない。
この点、特徴A5によれば、特別遊技状態への移行が確定する遊技回にて可動体を第2状態とすることで、遊技者は第2の流下経路を狙うべき状況になったこと(特別遊技状態に移行すること)を事前に把握できる。つまり、可動体を当選時の演出用の手段として活用することができる。このように、可動体に報知・演出の両機能を付与することで、実用上好ましい構成が実現される。
特徴A6.前記当否抽選手段による当否抽選の結果が外れ結果である場合に当該結果に対応した演出態様が外れ用演出態様決定手段によって決定され、前記当否抽選手段による当否抽選の結果が当たり結果である場合に当該結果に対応した演出態様が当たり用演出態様決定手段によって決定されるように構成されており、
前記遊技盤には、前記表示画面の外周に沿うようにして配置された枠部(センターフレーム97等)が設けられており、
前記可動体は、前記表示画面よりも前側に配置され、前記第1状態が初期状態となるように設定されており、前記第2状態においては前記第1状態と比べて前記表示画面との重なりが大きくなるように構成され、且つ前記第1状態よりも前記表示画面との重なりが大きく前記第2状態よりも前記表示画面との重なりが小さい第3状態が設定されており、
前記外れ用演出態様決定手段及び前記当たり用演出態様決定手段の少なくとも何れかは、前記特別遊技状態への移行を示唆する示唆演出を決定する際に、前記可動体を前記第3状態とする示唆演出を選択する手段を有し、
前記可動体は、前記第3状態となっている場合にその一部が前記枠部の背後に隠れるように構成されており、当該隠れる部分は前記第2状態にて枠部から露出する構成となっており、
前記可動体において前記第2状態にて前記枠部の背後に隠れる部分に前記報知機能が付与されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A1に示したように可変表示装置を有する遊技機においては、節電モード時の報知専用の構成を収容する領域を確保しようとした場合、周辺に配置された各種遊技部品と可動体との共存が困難になる。特に近年では可動式の役物を用いて上記示唆演出を行うことで遊技者の注目度の向上を実現しているものが提案されており、限られた領域内にて節電時の報知専用品を設けることは現実的でない。
この点、本特徴に示すように、可動体が第1状態〜第3状態で切り替え可能となっており、第3状態では示唆演出を行い第2状態では報知を行う構成とすれば、可動体に演出機能を付与することができ、実用上好ましい構成が実現できる。特に、第3状態では報知にかかる部分が枠部の背後に隠れる構成とすることで報知機能が無効となるため、報知/演出の各機能を差別化し、遊技者を困惑させるといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴A7.前記可動体は、
前記駆動部の動作により前記各状態に変位する本体部(本体96a)と、
前記本体部の裏側に隠れる待機位置及び同本体部の背後から露出した状態となる表示位置とに移動可能に設けられた可動片(可動片96b)と
を有してなり、
前記可動片は、前記可動体が前記第1状態となっている場合には、前記待機位置に配置され、前記可動体が前記第2状態となっている場合には、前記表示位置に配置されるように構成されていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
特徴A6に示したように、可動体が第1状態〜第3状態に切り替えられることで、演出/報知の両機能を発揮できる構成とした場合には、報知機能の強化を考慮して可動体が第2状態となった場合にできるだけ表示画面側へ大きく突出させることが望ましい。しかしながら、単にこのような構成を採用した場合には、第1状態(表示画面側への露出が抑えられている場合)における可動体の収容スペースを大きく確保する必要が生じる。これは、表示画面における表示領域等を圧迫する要因になり得る。つまり、可動体による報知機能をその大きさによってカバーしようとすれば、表示領域が圧迫され、遊技機が本来有する表示演出機能を低下させると懸念される。
この点、本特徴においては、第2状態では可動片を表示位置に移動させて報知時の占有領域を拡大することができ、一方で第1状態では上記収容スペースの大型化を抑えることができ、上記各機能を好適に両立させることができる。
特に、第3状態に演出機能を付与する場合には、第2状態と第3状態との識別力を高めることが好ましい。ここで、可動体を本体部と可動片によって構成することで、当該識別力を発揮させることができるが、このような構成でも上記スペース等の課題を回避する必要がある。この点、上述したように可動体を本体部と可動片とに分けて構成することで、当該課題を克服できる。
特徴A8.発射操作部(遊技球発射ハンドル41)が操作されることにより前記遊技球発射手段により遊技球が発射される構成となっており、
前記発射操作部に遊技者が触れているか否かを判定する判定手段を備え、
前記モード移行手段は、前記節電モードとなっている状況下にて前記判定手段により前記発射操作部に遊技者が触れていると判定した場合又は前記始動入球部への入球が発生した場合に、前記節電モードから通常モードへの切り替えを行う機能を有し、
前記第2制御手段は、前記モード移行手段によってモードの切り替えを行う場合に、前記可動体を前記第2状態から前記第1状態へと復帰させる手段を有していることを特徴とする特徴A1乃至特徴A7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A8によれば、遊技球発射の予備操作(発射操作部への接触)又は始動入球部への入球を契機として通常モードに復帰する(遊技が再開される)。このモードの切り替えに基づいて可動体を第1状態に復帰させることにより、可変表示装置における表示演出等の邪魔になることを回避でき、表示画面等の視認性の向上と報知機能の担保とを好適に両立させることができる。
以下の特徴B群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技盤(詳しくは遊技領域)に設けられた入球部に遊技球が入球することにより各種抽選を行い、その結果に基づいて通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態へ移行するものがある。この種の遊技機では、液晶ディスプレイ等の表示装置にて上記抽選の結果を報知するために各種演出等を実行する構成とし、遊技機の興趣向上を図ったものがある(例えば、特許文献1:特開2003−190511号公報参照)。特に近年では、表示装置の大型化や表示内容の多様化等が実現され、更なる興趣向上が実現されている。また、このような手法により興趣向上を図ることで、遊技機の消費電力が増大することを回避すべく、一定期間に亘って遊技機が行われていない等の所定の条件が成立した場合に表示装置(画面)を消灯させる等の節電モードが設定された遊技機が提案され、非稼動時の遊技機の消費電力の軽減が実現されている。しかしながら、上述した節電モードへの移行については遊技中に頻発すると遊技者の遊技意欲の減退を招く要因となり得るため好ましくなく、一方で非稼働時に迅速に節電モードに移行しなければ節電モードの機能が上手く活かされず無駄な電力消費が続くことになり、節電機能を付与した意義が薄れてしまう。このように、遊技機の節電にかかる構成については未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴B1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球部(作動口84,85)と、
前記始動入球部への入球が発生したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU602)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU602)と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行う付与判定手段(主制御装置162のMPU602)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技状態を通常遊技状態から同通常遊技状態よりも遊技者に有利な記特別遊技状態へと移行させる特別遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602)と、
表示画面(表示画面95a)を有し、当該表示画面にて絵柄を可変表示する絵柄表示手段(図柄表示装置95)と、
前記付与判定手段により前記付与判定が行われることに先立って又は前記付与判定手段により前記付与判定が行われたことに基づき前記絵柄表示手段の表示画面にて絵柄の可変表示を開始させ、前記付与判定の結果に対応した停止結果を表示し前記絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に応じて各遊技回の絵柄の可変表示が行われるように前記絵柄表示手段を制御する表示制御手段(報知・演出制御装置140、表示制御装置150)と、
前記表示制御手段に設けられ、前記絵柄表示手段の表示態様を通常モードから当該通常モードよりも消費電力が小さくなるように抑えられた節電モードへ移行させるモード移行手段(報知・演出制御装置140、表示制御装置150)と
を備え、
前記付与判定手段によって前記付与判定が行われたことに基づいて当該付与判定の対象となった特別情報が消去される構成となっており、
前記モード移行手段は、前記特別情報にかかる付与判定が順次行われることで当該特別情報の数が前記規定数から0になった場合に、前記取得情報記憶手段に記憶されていた最後の特別情報に対応する遊技回にて前記絵柄の可変表示が終了したことに基づいて前記絵柄表示手段を節電モードへ移行させることを特徴とする遊技機。
特徴B1に示す節電モードへの移行手段を有する遊技機においては、遊技中に節電モードへ移行すると遊技者の遊技意欲を減退させる要因となり得る。一方で、節電モードへ移行すべき状況であるにも関わらず、同モードへの移行が遅くなると無駄に電力を消費する期間が長くなり省エネ機能が上手く発揮されなくなる。
特別情報の数が規定数に達している状況にて遊技を継続した場合(遊技球の発射を続けた場合)、普通は遊技回が進む毎に記憶されている特別情報の数が減少する一方で、始動入球部への入球が適度に発生するため一気に特別情報の数が0になるとは考えにくい。
一方、特別情報が規定数に達している状況下にて特別情報の数が減少の一途を辿った場合、すなわち始動入球部への入球が長期に亘って発生しなかった場合には、遊技者が遊技を中断して休憩する場合や遊技を終了する可能性が高いと想定される。遊技を継続する意思があるのであれば発射操作を続けると想定され、その結果少なくとも上述したように減少過程にて少なくとも一度は特別情報が増加すると想定されるからである。
故に、本特徴に示すように、特別情報にかかる付与判定が順次行われることで当該特別情報の数が前記規定数から0になった場合に、前記取得情報記憶手段に記憶されていた最後の特別情報に対応する遊技回にて前記絵柄の可変表示が終了したことに基づいて可変表示手段を節電モードへ移行させる構成とすれば、遊技者の意図(遊技の中断又は終了)に即して迅速に節電モードへ移行させることができる。以上の理由から、本特徴によれば、省エネ効果の向上を図りつつそれに起因して遊技者に不快感を与えることを回避することができる。
特徴B2.前記節電モードへの移行前に前記表示画面にてデモ画像を表示させた後、前記節電モードへ移行させる手段を有し、
前記モード移行手段については、前記デモ画像の表示を経由することなく、前記節電モードへ移行させることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
一般的に、節電機能が付与された遊技機においてはデモ画像を一定期間に亘って表示した後に節電モードへ移行させる。しかしながら、遊技者に遊技を継続する意思がある場合には、デモ画像の表示により遊技への注目度の低下を抑える等の各種効果が発揮されるが、そもそも遊技者が遊技を継続する意思が無い場合にはこのデモ画像の表示が無駄な電力消費の要因になる。そこで、特徴B1に示した節電モードへの移行手段については、デモ画像の表示を行うことなく節電モードへ移行する構成とすることで、省エネ機能の更なる向上が期待できる。
特徴B3.前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報の数の変動を監視する監視手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報の数が前記規定数となった場合に、前記節電モードへの移行に対応する移行情報を設定する移行情報設定手段と、
前記移行情報設定手段により前記移行情報が設定されている状況下、遊技進行に応じて前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報の数が減少する過程にて当該特別情報の数が増加した場合に前記移行情報設定手段により設定されている前記移行情報を解除する解除手段と
を備え、
前記記憶されている最後の特別情報に基づく遊技回にて可変表示が終了した場合であって、前記移行情報が設定されている場合に、前記モード移行手段による節電モードへの移行が実行されることを特徴とする特徴B1又は特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、取得情報記憶手段に記憶されている特別情報の数が規定数に達したことを契機として移行情報が記憶される。通常は遊技者が遊技を継続することで特別情報の数が減少中に一時的に増えると想定される。本特徴においては、特別情報の数が増加した場合には移行情報が消去されるため、記憶されている最後の保留(特別情報)に基づく遊技回が終了したとしても遊技自体は継続されているとみなし節電モードへの即時の移行が回避される。かかる構成によれば、特徴B1等に示した効果を上手く発揮させることができる。
特徴B4.遊技者による操作に応じて前記遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、
前記発射操作が行われているか否かを判定する発射操作判定手段と、
前記特別情報にかかる付与判定が順次行われることで当該特別情報の数が前記規定数から0になった場合に、最後の特別情報に対応する遊技回にて前記絵柄の可変表示が終了した場合であっても、前記発射操作判定手段により発射操作が行われていると判定した場合には、前記モード移行手段による前記節電モードへの移行を規制する規制手段と
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B1に示したように、遊技者が明らかに遊技の中断又は終了の意図を持って遊技進行を見守っている場合には、発射操作を行うことは無いと想定される。一方、遊技者に遊技を継続する意思がある場合には、少なくとも記憶されている最後の特別情報にかかる遊技回においては遊技球の発射を再開すると想定される。そこで、本特徴に示すように最後の特別情報に対応する遊技回にて絵柄の可変表示が終了した場合であっても、発射操作判定手段により発射操作が行われていると判定した場合には、節電モードへの移行を規制する構成とすることで、遊技者の意図に反して節電モードへ移行してしまうことを回避し、節電モードへの迅速な移行を実現した遊技機においても、それに起因した遊技意欲の減退を抑制することができる。
特徴B5.前記規制手段による前記モード移行手段への移行が規制されている状況下にて前記始動入球部への入球が発生することなく遊技球の発射操作が終了した場合に、当該規制手段による規制を解除して前記節電モードへの移行を行うことを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
遊技者によっては、記憶されている特別情報の数が0になった場合であっても、後何発だけ遊技球を打ってみて(例えば上皿に残っている分の遊技球のみ使用して)入球が発生しなければそのまま遊技を終了することがある。そこで、本特徴に示すように、新たな入球が確認される前に発射操作が終了した場合には、規制手段による規制を解除して節電モードに移行する構成とすれば、特徴B4に示した効果を享受しつつ節電モードへの移行の迅速化に貢献することができる。
特徴B6.前記特別遊技状態終了時に記憶されている特別情報の記憶数から当該特別情報の数が増加することなくそれら特別情報にかかる付与判定が順次行われることで当該特別情報の数が前記記憶数から0になった場合に、最後の特別情報に対応する遊技回にて前記絵柄の可変表示が終了したことに基づいて節電モードへ移行する手段を備えていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B5によれば、遊技者がそのまま遊技を継続する意思が無い可能性(休憩を取ったり、流れを変える為に一時的に離席して間を空けたりする可能性)が極めて高いと想定される。このようなケースでは、即時の節電モードへの移行を実現しても遊技者に不快感を与える可能性は低いと想定される。
特徴B7.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球部(作動口84,85)と、
前記始動入球部への入球が発生したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行う付与判定手段と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技状態を前記通常遊技状態から前記特別遊技状態へと移行させる特別遊技状態移行手段を有する特別遊技状態移行手段(主制御装置162)と、
表示画面(表示画面95a)を有し、当該表示画面にて絵柄を可変表示する絵柄表示手段(図柄表示装置95)と、
前記付与判定手段により前記付与判定が行われることに先立って又は前記付与判定手段により前記付与判定が行われたことに基づいて前記絵柄表示手段において絵柄の可変表示を開始させ、前記付与判定の結果に対応した停止結果を表示し前記絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に応じて各遊技回の絵柄の可変表示が行われるように前記絵柄表示手段を制御する表示制御手段と
を備え、
前記特別遊技状態終了時に記憶されている特別情報の記憶数から、当該特別情報の数が増加することなくそれら特別情報にかかる付与判定が順次行われることで当該特別情報の数が前記記憶数から0になった場合に、最後の特別情報に対応する遊技回にて前記絵柄の可変表示が終了したことに基づいて節電モードへ移行するモード移行手段を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B7に示す節電モードへの移行手段を有する遊技機においては、遊技中に節電モードへ移行すると遊技者の遊技意欲を減退させる要因となり得る。一方で、節電モードへ移行すべき状況であるにも関わらず、同モードへの移行が遅くなると無駄に電力を消費する期間が長くなり省エネ機能が上手く発揮されなくなる。
特別情報が規定数に達している状況下にて特別情報が増加することなく、そのまま減少の一途を辿った場合、すなわち始動入球部への入球が長期に亘って発生しなかった場合には、遊技者が遊技を中断して休憩する場合や遊技を終了する可能性が高いと想定される。遊技を継続する意思があるのであれば発射操作を続けると想定され、その結果少なくとも上記減少過程にて少なくとも一度は特別情報が増加すると想定されるからである。
故に、遊技者がそのまま遊技を継続する意思が無い可能性(休憩を取ったり、流れを変える為に一時的に離席して間を空けたりする可能性)が極めて高いと想定される。このようなケースでは、即時の節電モードへの移行を実現しても遊技者に不快感を与える可能性は低いと想定される。
特徴B8.前記節電モードに移行した場合には、前記絵柄表示手段及び前記表示制御手段を節電状態とするように構成されていることを特徴とする特徴B1乃至特徴B7のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B8によれば、単に絵柄表示装置を節電状態とするよりも同表示装置を制御する制御装置をも節電状態とすることで更なる節電効果の向上が実現できる。
特徴B9.前記発射操作が行われているか否かを判定する発射操作判定手段と、
遊技者により貸出操作部が操作されたことに基づいて遊技球の貸出しを行う貸出手段と、
前記貸出操作が行われたか否かを判定する貸出操作判定手段と、
前記節電モードとなっている状況下にて、前記発射操作判定手段及び前記貸出操作判定手段に何れかにて操作が行われたと判定した場合に、前記表示制御手段の復帰処理を開始する復帰手段と
を備えていることを特徴とする特徴B8に記載の遊技機。
特徴B8に示したように制御装置をも節電状態(例えばスリープ状態)とする遊技機においては節電効果の向上が期待できる反面、以下の課題が生じる。すなわち、制御装置の場合には復帰にある程度の時間が必要である点を考慮する必要があり、始動入球部への入球が発生した際に制御装置の復帰処理が完了してない場合には、絵柄の可変表示等に支障をきたす可能性が高くなる。故に、遊技が開始された場合には始動入球部への入球に先駆けて復帰を行っておく必要がある。この点、本特徴に示すように始動入球部への入球が発生する前に遊技者が遊技を再開する意思があることを確認して復帰処理を開始することで、実際に始動入球部への入球が発生した時点では絵柄の可変表示を即座に実行することが可能となる。これにより、上記不都合の発生を抑えることができる。
特徴B10.前記表示制御装置は、前記復帰処理が完了した後は前記表示画面における表示再開を留保した準備状態のまま維持され、
前記モード移行手段は、前記始動入球部への入球に基づいて絵柄表示装置が通常モードに切り替わるように設定されていることを特徴とする特徴B9に記載の遊技機。
発射操作を開始したからといって直ちに始動入球部への入球が発生するとは限らない。そこで、復帰処理が完了した後も直ちに通常モードへ移行させるのではなく、始動入球部への入球が発生するのを待って通常モードへ移行させる(絵柄の可変表示を開始させる)構成とすることで、節電効果の更なる向上に貢献できる。
なお、特徴B8乃至特徴B10に示した各種技術的思想については上記特徴A群に適用することも可能である。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘90等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。