JP6088871B2 - サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤 - Google Patents

サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6088871B2
JP6088871B2 JP2013056273A JP2013056273A JP6088871B2 JP 6088871 B2 JP6088871 B2 JP 6088871B2 JP 2013056273 A JP2013056273 A JP 2013056273A JP 2013056273 A JP2013056273 A JP 2013056273A JP 6088871 B2 JP6088871 B2 JP 6088871B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
salicylic acid
formula
epidermal keratinocyte
keratinocyte proliferation
acid derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013056273A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014181210A (ja
Inventor
前田 憲寿
憲寿 前田
陽介 本村
陽介 本村
香枝 山▲崎▼
香枝 山▲崎▼
裕子 庄野
裕子 庄野
良一 大塚
良一 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ueno Fine Chemicals Industry Ltd
Original Assignee
Ueno Fine Chemicals Industry Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ueno Fine Chemicals Industry Ltd filed Critical Ueno Fine Chemicals Industry Ltd
Priority to JP2013056273A priority Critical patent/JP6088871B2/ja
Publication of JP2014181210A publication Critical patent/JP2014181210A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6088871B2 publication Critical patent/JP6088871B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤に関する。
表皮は、深部から表面に向け、基底層、有棘層、顆粒層、角質層の4層構造から成っている。基底層で生まれた表皮角化細胞は、徐々に分化して上層に移動し、ケラチン繊維で満たされた角質細胞となり角質層を形成し、最終的に、いわゆる垢として剥がれ落ちる。
角質層は皮膚の最外殻であり、表皮角化細胞が基底層で生まれ垢となって剥がれ落ちるサイクル(ターンオーバー)を絶えず繰り返すことで、一定の水分量を保持し、保湿機能とともに外界からの刺激に対する保護バリア機能を有している。
しかしながら、加齢や紫外線による影響を受け、表皮角化細胞の新陳代謝機能が衰えると、ターンオーバーが乱れ、色素沈着、肌荒れ、ニキビ等の肌トラブルが生じる。表皮角化細胞の増殖を促進し、乱れたターンオーバーを回復させることで、色素沈着、肌荒れ、ニキビ等の肌トラブルの予防・改善に繋がると考えられている。
サリチル酸は従来より角質化した表皮を軟化、剥離し、皮膚のターンオーバーを正常にし、皮膚の再生を促すケミカルピーリングに用いられている。
一方で、サリチル酸は表皮角化細胞増殖促進に効果を有する物質としても知られている(非特許文献1)。しかしながらサリチル酸は皮膚刺激性が強いことから、表皮角化細胞増殖促進剤として用いる場合、サリチル酸の配合量によって炎症や刺痛感等の問題を引き起こす可能性があった。
Toxicol Appl Pharmacol. 2001 Aug 15;175(1):76-82
本発明の目的は、皮膚刺激性が低い表皮角化細胞増殖促進剤を提供することにある。
本発明者らは、上記事情を鑑み、表皮角化細胞増殖促進効果を有する化合物について鋭意検討し、サリチル酸に特定の糖類を結合させることよって、表皮角化細胞増殖促進効果を有し、かつ皮膚刺激性が低い物質が得られることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体:
Figure 0006088871
Figure 0006088871
〔式中のRはグルコースまたはソルビトールのいずれかの糖残基である〕またはその塩を含有する表皮角化細胞増殖促進剤を提供する。
本発明はまた、かかる表皮角化細胞増殖促進剤として用いられるサリチル酸誘導体の製造方法を提供する。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤は、皮膚刺激性が低いため、化粧品等に添加して幅広く利用することが可能である。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤である式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体は、グルコースまたはソルビトールのいずれかの糖残基を有する、サリチル酸のエステル体またはアミド体である。
本願明細書並びに特許請求の範囲において、エステルまたはアミドを形成するグルコース並びにソルビトールの部位は特に限定されない。式(1)または(2)の化合物としてはそれぞれ単一の化合物である場合、2またはそれ以上の構造異性体の混合物である場合のいずれも包含する。
本発明は、上記の式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体に加え、式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩を含む表皮角化細胞増殖促進剤を提供する。塩の種類は特に限定されないが、一般的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩等のアルカリ土類金属塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩等が挙げられる。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる式(1)で表されるサリチル酸誘導体の製造方法としては、特に限定されず、従来知られているいかなる方法にて製造してもよい。
例えば、サリチル酸メチルと糖を、水および/または有機溶媒中において、触媒存在下で減圧しながらエステル交換させる工程、を含む製造方法が挙げられる。
以下、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる式(1)で表されるサリチル酸誘導体の例示的な製造方法を説明するが、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる式(1)で表されるサリチル酸誘導体の製造方法は以下の記載に限定されるものではない。
サリチル酸メチルと糖をエステル交換させる方法としては、サリチル酸メチルと糖を有機溶媒中、触媒の存在下で、125〜155mmHgに減圧し、反応途中に生成するメタノールを除去しながら、93〜110℃で4〜16時間反応させる方法が挙げられる。
上記反応における有機溶媒としては、サリチル酸メチルと糖が溶解し、沸点100〜250℃程度である脱水溶媒を用いるのが好ましく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。
溶媒の使用量はサリチル酸メチル1重量部に対して、5〜100重量部が好ましく、7〜75重量部がより好ましく、9〜50重量部がさらに好ましい。
上記反応における触媒としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド等のアルカリ触媒、塩酸、硫酸、硫酸水素ナトリウム、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸触媒、ジルコニウム化合物、鉛化合物、鉄化合物、亜鉛化合物、有機スズ化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、バナジウム化合物等を用いることができる。
触媒の使用量はサリチル酸メチル1重量部に対して、0.05〜4重量部が好ましく、0.06〜3重量部がより好ましく、0.07〜2重量部がさらに好ましい。
エステル交換反応後、反応液を、ろ過、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、分取操作等の公知の方法によって処理して生成物である式(1)で示されるサリチル酸誘導体を分離し、回収することができる。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがグルコース残基であるサリチル酸誘導体の製造方法としては、特に限定されないが例えば、グルコピラノシルアミンとサリチロイルクロリドを有機溶媒中において、塩基の存在下、窒素雰囲気下でアミド化させる工程を含む製造方法が挙げられる。
以下、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがグルコース残基であるサリチル酸誘導体の例示的な製造方法を説明するが、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがグルコース残基であるサリチル酸誘導体の製造方法は以下の記載に限定されるものではない。
グルコピラノシルアミンとサリチロイルクロリドのアミド化は、グルコピラノシルアミンを有機溶媒に溶解させ、塩基の存在下、0〜50℃で、1〜20時間サリチロイルクロリドと反応させる方法が挙げられる。グルコピラノシルアミンとサリチロイルクロリドはフェノール性水酸基が保護基によって保護されたものを用いても良い。グルコピラノシルアミンとサリチロイルクロリドとのアミド化反応を行った後、この保護基を当事者に周知の方法によって脱保護することによって、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがグルコース残基であるサリチル酸誘導体が得られる。
上記反応における溶媒としては、脱水溶媒を用いるのが好ましい。脱水溶媒としては、サリチロイルクロリドが反応する溶媒を除けば特に限定されないが、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルケトン等が使用できる。溶媒の使用量は、グルコピラノシルアミン1重量部に対し、1〜10重量部が好ましく、2〜8重量部がより好ましく、3〜6重量部がさらに好ましい。
上記反応における塩基としては、炭酸ナトリウム等の無機塩基、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基を用いることができる。塩基の使用量は、グルコピラノシルアミン1重量部に対し、0.3〜1.6重量部が好ましく、0.4〜1.4重量部がより好ましく、0.6〜1.2重量部がさらに好ましい。
かかるアミド化反応により得られた反応液を、分液、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法によって分離し、回収することにより、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがグルコース残基であるサリチル酸誘導体が得られる。
上記反応に用いるグルコピラノシルアミンは、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造しても良い。製造方法としては、例えば、WO95/18971に記載の方法を用いることができる。具体的には、グルコースのアミノ化反応であり、グルコースと炭酸アンモニウムを水および/または有機溶媒に溶解させ、室温で4〜120時間反応させる方法が挙げられる。
上記アミノ化反応における溶媒としては、水、有機溶媒およびそれらの混合溶媒のいずれでもよいが、グルコースが溶解し易いものが好ましい。溶媒の例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、および水とそれら有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。溶媒の使用量はグルコース1重量部に対して、10〜160重量部が好ましく、14〜140重量部がより好ましく、18〜120重量部がさらに好ましい。
上記アミノ化反応において、炭酸アンモニウムは、使用する溶媒が飽和状態になるように随時追加すればよい。
かかるアミノ化反応により得られた反応液から、ろ過等により不純物を取り除き、回収することによりグルコピラノシルアミンが得られる。
上記反応に用いるサリチロイルクロリドは市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造しても良い。製造方法としては、サリチル酸の酸塩化物合成反応であり、サリチル酸を有機溶媒中または無溶媒において、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒として用い、窒素雰囲気下、50℃で、15分〜1時間、塩素化剤と反応させる方法が挙げられる。
上記酸塩化物合成反応における溶媒としては、塩素化剤やサリチロイルクロリドが反応する溶媒を除けば特に限定されないが、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ベンゼン等を用いることができ、無溶媒でも反応は進行する。
上記酸塩化物合成反応における塩素化剤としては、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン等を用いることができる。
塩素化剤の使用量は、サリチル酸1重量部に対して、1〜4重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましく、2〜3重量部がさらに好ましい。
かかる酸塩化物合成反応により得られた反応液を濃縮することにより、サリチロイルクロリドが得られる。
尚、このサリチロイルクロリドを得るための酸塩化物合成反応は、目的物の収率を上げるためにサリチル酸のフェノール性水酸基を、アセチル基、メチル基、エチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等の保護基によって保護して行っても良い。
保護基を用いる場合は、まず、当事者に周知の方法によって、サリチル酸のフェノール性水酸基を所望の保護基により保護した後、上記と同様にサリチル酸を有機溶媒中または無溶媒において、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒として用い、窒素雰囲気下で50℃で15分〜1時間、塩素化剤と反応させる方法を行うと良い。その結果、フェノール性水酸基が保護されたサリチロイルクロリドが得られる。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがソルビトール残基であるサリチル酸誘導体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、D−グルカミンとサリチルアミドを、水および/または有機溶媒中または無溶媒においてアミド交換させる工程、を含む製造方法が挙げられる。
以下、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがソルビトール残基であるサリチル酸誘導体の、上記の例示的な製造方法を説明するが、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがソルビトール残基であるサリチル酸誘導体の製造方法は以下の記載に限定されるものではない。
D−グルカミンとサリチルアミドをアミド交換させる方法としては、D−グルカミンとサリチルアミドを、水および/または有機溶媒に溶解させ、90〜150℃で8〜20時間反応させる方法が挙げられる。
上記反応における溶媒としては、D−グルカミンとサリチルアミドが溶解すれば特に限定されないが、例えば、N−Nジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒、水溶媒等を用いることができ、D−グルカミンとサリチルアミドを融解させると無溶媒でも反応は進行する。
かかるアミド交換反応により得られた反応液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法によって分離し、回収することにより、本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(2)で表され、Rがソルビトール残基であるサリチル酸誘導体が得られる。
上記反応で用いるD−グルカミンは、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造しても良い。製造方法としては、例えば、米国特許2830983に記載の方法を用いることができる。具体的には、グルコースの還元的アミノ化反応であり、グルコースを水に溶解させ、ニッケル触媒を用い、水素雰囲気下、1000〜2000p.s.i.の圧力で、90〜120℃で2〜6時間ヒドラジンと反応させる方法である。かかる還元的アミノ化反応により得られた反応液から、ろ過等により不純物を取り除き、回収することによりD−グルカミンが得られる。
また、上記反応で用いるサリチルアミドは、市販のものを用いてもよく、公知の方法で製造しても良い。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤に含まれる、式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体は、製造の容易さから、式(1)または式(2)中のRがソルビトール残基であることが好ましい。本発明の表皮角化細胞増殖促進剤は、これらのサリチル酸誘導体を単独で含むものでもよく、2種以上を混合して含むものでもよい。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤は、式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体またはその塩のみからなるもの、あるいは式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体またはその塩を含むものであればよく、表皮角化細胞増殖促進効果を妨げない限り、化粧品、医薬品、医薬部外品等に一般に用いられる賦型剤等を適宜用いて顆粒状、粉末状とする他、適当な溶剤等を用いて液状、エマルション、クリーム、ペースト等としてもよい。これらの賦型剤の種類や配合量は、当業者に周知のものから適宜選択することができる。
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤は、例えば、化粧品、医薬品、医薬部外品等に配合することができる。本発明の表皮角化細胞増殖促進剤の、化粧品、医薬品、医薬部外品等への配合量は使用する系により異なり、配合する対象全重量に対して、式(1)または式(2)で表されるサリチル酸誘導体が0.01〜20重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜1重量%であることがさらに好ましい。配合量が0.01重量%未満の場合、十分な表皮角化細胞の増殖効果が発揮されない傾向があり、配合量が20重量%を超えると表皮角化細胞増殖の効果が低下する傾向がある。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
加熱乾燥した200ml4つ口フラスコにグルコース10.7gを入れ窒素置換し、脱水DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)60mlを加え90℃に昇温した。この溶液に、サリチル酸メチル3.0g、炭酸カリウム(減圧中ヒートガンであぶって乾燥させたもの)0.3gを加えて95℃で減圧下(150mmHg)、11.5時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/水=6/1/0.1)とクロマト分取装置(装置:Kprep(YMC社製)、展開溶媒:メタノール/超純水=50/50、流速:10ml/min)にて未反応の原料を除去した。構造異性体をまとめて回収し、淡桃色固体を0.6g得た。
得られた生成物のLC/MS分析によりm/z299(M−1)のピークを確認し、得られた生成物が以下の式および/またはその構造異性体の混合物であるサリチル酸グルコースエステルであることを確認した。
Figure 0006088871
合成例2
加熱乾燥した200ml4つ口フラスコにソルビトール27.3gを入れ窒素置換し、脱水DMF100mlを加え90℃に昇温した。この溶液に、サリチル酸メチル6.7g、炭酸カリウム(減圧中ヒートガンであぶって乾燥させたもの)0.7gを加えて90〜96℃で減圧下(146〜152mmHg)、12時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残渣にメタノール100mlを加えて1.5時間還流させた。室温まで冷却した後、ろ過で析出物を取り除き、減圧濃縮することで薄茶色の粘稠なオイルを30.4g得た。得られた生成物をクロマト分取装置(装置:Kprep(YMC社製)、展開溶媒:メタノール/超純水=50/50、流速:10ml/min)を用いて単離し、薄黄色固体を7.3g得た。この生成物をさらにメタノールで再結晶し、綿状白色固体を1.3g得た。
得られた生成物のH NMR(400MHz,DMSO‐d)分析により、3.39−3.63(m,4H),3.78−3.81(m,1H),3.96(s,1H),4.30−4.55(m,6H),5.13(s,1H),6.98(m,2H),7.54(t,J=7.8Hz,1H),7.87(d,J=7.9Hz,1H),10.57(s,1H)のシグナルを確認し、以下の式のサリチル酸ソルビトールエステルであることを確認した。
Figure 0006088871
合成例3
50ml2つ口フラスコに、D−グルカミン4.8g、2−ヒドロキシベンズアミド3.5g、水15mlを加え、窒素気流下20時間還流させた。反応終了後、反応液を酢酸エチル約80mLで3回抽出し、水層を減圧濃縮し、オレンジ色の粘稠なオイルを6.7g得た。得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/水=4/1/0.1→2/1/0.1)にて単離し、白色固体を1.5g得た。この生成物をさらに再結晶(メタノール/水=2/1)にて精製し、白色固体を1.0g得た。
得られた生成物のH NMR(400MHz,DO‐d)分析により、3.36(q,J=7.9Hz,1H),3.52−3.61(m,2H),3.59−3.63(m,1H),3.65−3.73(m,3H),3.88−3.92(m,1H)6.88(m,2H),7.34(t,J=7.8Hz,1H),7.61(d,J=8.1Hz,1H)のシグナルを確認し、以下の式のサリチル酸ソルビトールアミドであることを確認した。
Figure 0006088871
実施例1(表皮角化細胞増殖促進効果試験)
ヒト表皮角化細胞(HaCaT細胞)を80cmのフラスコで10%のFBS(ウシ胎児血清)(バイオウエスト社製)を含むDMEM培地(ダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地)(ライフテクノロジーズ社製)を用いて37℃、5%炭酸ガス濃度のインキュベーター内で培養し、常法に従いヒト表皮角化細胞を回収した。得られたヒト表皮角化細胞を2%のFBSを含むDMEM培地にて3×10個/mlとなるように調整した。100μlずつ96ウエルプレートに播種し、37℃、5%炭酸ガス濃度のインキュベーター内で1日培養した。培養後、DMSOに合成例1〜3のサリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤を溶解させたサンプル液を1μlずつ添加し、37℃、5%炭酸ガス濃度のインキュベーター内で3日培養した。培養後、Cell−Counting Kit−8(同仁化学社製)を用い細胞数を測定することで、促進作用を評価した。細胞数は各濃度において4回ずつ測定し、その平均値±SDを結果として示した。t−検定により有意差検定(対0ppm)を行い、有意水準0.05未満の場合に有意差ありと評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006088871
*:p<0.05
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤は、ヒト表皮角化細胞数を有意に増加させることが分かった。
実施例2(刺激性確認試験)
トランスウエル内で培養された培養皮膚であるヒト三次元培養皮膚モデル(Labcyte EPI−MODEL ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社製)を用いて実施した。まず、Labcyteを24ウエルアッセイプレートに入れた。続いて、この24ウエルアッセイプレートの各ウエルにアッセイ培地(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社製)を1ml加え、37℃、5%炭酸ガス濃度のインキュベーター内で20時間前培養を行った。
次に、Labcyteの表面に5%に調製した滅菌した合成例1〜3のサリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤を50μl添加した。比較例として、滅菌した超純水50μlを添加し、その上からサリチル酸を50mg添加した。陰性対照として、滅菌した超純水50μlのみを添加した。15分間放置後、滅菌したPBS水溶液(タカラバイオ社製)で、Labcyteを十分に洗浄した。Labcyteを37℃、5%炭酸ガス濃度のインキュベーター内で42時間培養を行った後、0.5mg/mlのMTT(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)試薬を含むアッセイ培地に交換し、更に37℃、5%炭酸ガス濃度のインキュベーター内で3時間培養を行った。
その後、Labcyteを0.3mlのイソプロパノール液に浸し、生成した青紫色のホルマザンの抽出を2日間行った。抽出終了後、96ウエルマイクロプレートリーダーを用いて抽出液の570nmと650nmの吸光度を測定した。細胞生存率は下記計算式により算出した。結果を表2に示す。
測定値 =[サンプルの吸光度(570nm)−ブランクの吸光度(570nm)]−[サンプルの吸光度(650nm)−ブランクの吸光度(650nm)]
細胞生存率(%)=サンプルの測定値/陰性対照の測定値×100
Figure 0006088871
本発明の表皮角化細胞増殖促進剤は、サリチル酸と比較して、細胞生存率が高く刺激性が低いことが分かった。
実施例3
本発明の化粧品用途として表3に化粧水の処方例を示す。
Figure 0006088871

Claims (3)

  1. 式(1)で表されるサリチル酸誘導体:
    Figure 0006088871
    式中のRはソルビトール残基である〕またはその塩を含有する表皮角化細胞増殖促進剤。
  2. サリチル酸メチルとソルビトールを、水および/または有機溶媒中において、触媒存在下で減圧しながらエステル交換させる工程を含む、請求項1記載の式(1)で表される表皮角化細胞増殖促進剤の製造方法。
  3. 請求項1記載の表皮角化細胞増殖促進剤を含有する化粧品。
JP2013056273A 2013-03-19 2013-03-19 サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤 Expired - Fee Related JP6088871B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013056273A JP6088871B2 (ja) 2013-03-19 2013-03-19 サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013056273A JP6088871B2 (ja) 2013-03-19 2013-03-19 サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014181210A JP2014181210A (ja) 2014-09-29
JP6088871B2 true JP6088871B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=51700254

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013056273A Expired - Fee Related JP6088871B2 (ja) 2013-03-19 2013-03-19 サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6088871B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6151542B2 (ja) * 2013-03-19 2017-06-21 上野製薬株式会社 新規サリチル酸誘導体
JP2018123118A (ja) * 2016-11-30 2018-08-09 上野製薬株式会社 皮膚の老化抑制剤

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3279990A (en) * 1963-01-31 1966-10-18 Jacobs Albert L Carbohydrate esters of salicylic acid, their production and administration
DE2918486C2 (de) * 1979-05-08 1982-10-14 Chemische Fabrik Stockhausen GmbH, 4150 Krefeld Verfahren zur Herstellung von N-substituierten Acrylamiden
JPS59152328A (ja) * 1983-02-18 1984-08-31 Eisai Co Ltd サリチル酸誘導体含有鎮痛剤
JPH08157436A (ja) * 1994-12-08 1996-06-18 Kao Corp 安息香酸アミド誘導体
FR2759370B1 (fr) * 1997-02-12 2000-08-11 Oreal Nouveaux derives de l'acide salicylique et leur utilisation dans les compositions cosmetiques ou dermatologiques
JP4311766B2 (ja) * 1997-03-13 2009-08-12 コスモフェルム ベースローテン フェンノートシャップ サリチル酸−スフィンゴイドベース誘導体及びそれらの使用
JP2003246737A (ja) * 2001-08-09 2003-09-02 Sekisui Chem Co Ltd 皮膚外用組成物
US7098189B2 (en) * 2002-12-16 2006-08-29 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Wound and skin care compositions
JP2006104192A (ja) * 2004-09-07 2006-04-20 Kao Corp サリチル酸エステルの製造方法
CN101448482B (zh) * 2006-05-19 2013-10-09 玫琳凯有限公司 甘油基和二元醇酸化合物
JP2010037251A (ja) * 2008-08-04 2010-02-18 Ezaki Glico Co Ltd 皮膚外用剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014181210A (ja) 2014-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2017079140A1 (en) Inhibitors of ret
KR102244216B1 (ko) 티오펜 화합물 및 이의 합성 방법과 이의 의약에서의 용도
CN103058989A (zh) 一种α-硫辛酸的制备方法
AU741933B2 (en) Polyethoxylated ascorbic acid derivatives as a novel antioxidant and process for preparing thereof
JP6088871B2 (ja) サリチル酸誘導体を含む表皮角化細胞増殖促進剤
KR100974608B1 (ko) 3-o-알킬-5,6-o-(1-메틸에틸리덴)-l-아스코르빈산의제조방법 및 5,6-o-(1-메틸에틸리덴)-l-아스코르빈산의제조방법
JP4986110B2 (ja) レゾルシノール誘導体を含有するメラニン生成抑制剤
JP6151542B2 (ja) 新規サリチル酸誘導体
JP2008201740A (ja) エダラボンの精製方法及び高純度エダラボン
CN104771392B (zh) 一类组蛋白去乙酰化酶抑制剂及应用
CN110437156A (zh) 丹皮酚二氢嘧啶酮类衍生物及其制备方法和应用
US7049455B2 (en) Process for producing shogaols and intermediates for the synthesis thereof
CN107365301B (zh) 一种克唑替尼的合成方法及其中间体制备方法
JP2020050632A (ja) アログリプチン安息香酸塩の製造中間体の新規結晶形
KR100843688B1 (ko) 타이로시나아제 및 멜라닌 생성 저해 활성을 갖는 칼콘유도체 또는 이의 약학적으로 허용가능한 염을유효성분으로 함유하는 피부 미백용 조성물
CN112778215B (zh) 2-甲氧基苯氧基嘧啶类抗肿瘤化合物及其制备方法和应用
CN111440068B (zh) 肉桂酸酯衍生物及其作为酪氨酸酶抑制剂和凝胶剂的应用
Stanoeva et al. Synthesis of 1-substituted 2, 9, 10-trioxatricyclo [4.3. 1.03, 8] decanes
JP3649761B2 (ja) アスコルビン酸−イノシトール結合体ならびにその製造方法
CN102775374A (zh) 香豆素类化合物及其制备方法与用途
EP3733656B1 (en) Method for synthesis of lobaric acid and analog thereof
Kuo et al. An efficient synthesis of a potent anti-inflammatory agent, viscolin, and its inducible nitric oxide synthase inhibitory activity
JP4134290B2 (ja) ポリフェノール誘導体、その製造方法、抗酸化剤、および発がん予防剤
Xu et al. Synthesis of some monoselenolipoic acid derivatives and their biological evaluation as anticancer agents
JP2007051128A (ja) アラルキルオキシ又はヘテロアラルキルオキシ基を有するアニリンの製法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150715

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6088871

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees