JP6087339B2 - 特殊流体組成物およびその使用 - Google Patents

Description

（技術分野）
本発明は、水素化モノ−および／またはポリテルペン単独で構成された特殊流体組成物；または前記テルペンと石油系特殊流体との混合物および／または前記テルペンと石油用途の合成起源の特殊流体との混合物で構成された特殊流体組成物であって、建設、印刷、農業食品、医薬品、自動車工業、工業用潤滑剤、または家庭用燃料のための特殊流体組成物に関し、さらに食品との接触に許容される流体の使用、および化粧品のための流体の使用に関する。

（先行技術）
特殊流体は、工業用流体、農業用および園芸用流体［野菜生産のための野菜園芸（または市場園芸）、果樹栽培、果物生産用途；観賞植物生産のための花卉園芸用途；観賞用または非観賞用の木質種、高木および低木の生産のための苗床用途；花の温室栽培および温室での苗床生産用途］、ならびに家庭用流体として使用される液体である。特殊流体は、一般に、精製された化石由来の炭化水素から得られてもよく、Ｃ３〜４オレフィンの重合またはオリゴマー化に由来する生成物から得られてもよく、天然ガスの変換またはバイオマスおよび／または炭素に由来する合成ガスの変換から生じる合成炭化水素からも得られてもよい液体を意味する。特殊流体（特に後者）は、掘削流体、工業用潤滑剤、自動車工業用の配合物用の流体、植物衛生製品（phytosanitary product）、インキ配合用のベース流体、家庭用燃料、シーラントエクステンダー油、樹脂基剤配合物用の粘度降下剤、医薬組成物、および食品との接触用の組成物、化粧配合物用の流体を包含する。

当業者に既知の流体の化学的性質および組成は、想定される用途に依存して大きく変化する。

ある特殊流体は原油の精製から得られる生成物であり、その特性は想定される用途に合わせて適合される。従って、蒸留範囲（最終蒸留点の選択を３６５℃より低くするかまたは高くするかにより、ＡＳＴＭ Ｄ８６またはＡＳＴＭ Ｄ１１６０によって測定される）、流動点（ＡＳＴＭ Ｄ９７によって測定）、２０または４０℃における粘度（ＡＳＴＭ Ｄ４４５によって測定）、１５℃における密度（ＡＳＴＭ Ｄ４０５２によって測定）、硫黄含有量（ＡＳＴＭ Ｄ５４５３によって測定）、芳香族化合物含有量（低含有量の場合はＵＶによって測定、高含有量の場合はＨＰＬＣ ＩＰ３９１によって測定）、アニリン点（ＡＳＴＭ Ｄ６１１によって測定）、および引火点（ＡＳＴＭ Ｄ９３によって測定）が測定される。特殊流体のこれらの特性、および炭化水素（特に石油起源の炭化水素留分から蒸留された炭化水素）からこれらの特殊流体を製造する方法を考慮して、特殊流体は、種々の想定用途に適合される。特に、これらの特殊流体は、１００〜４００℃の範囲の蒸留留分の水素化によって得られ、例えば、水素化分解、水素化処理、接触分解、コーキング、ビスブレーキングおよび／または水素化脱ロウによって得られる。これらの特殊流体は、主にイソパラフィンおよび飽和ナフテンによって構成され、１０ｐｐｍ未満の硫黄含有量および１００ｐｐｍ未満の芳香族化合物含有量を有する。

これらの種々の用途のために、初期蒸留点（ＩＢＰ）と最終蒸留点（ＦＢＰ）との間で狭い沸点範囲を有するものが選択されることが多く、分留の狭さは、物理化学的特性、特に、下記の特性の選択性を制御することを可能にする。
− 調節された引火点（安全要件を満たすための重要パラメータ）；
− より容易な利用のためのより狭い粘度範囲；
− 乾燥段階において制御された持続時間を有することを必要とする用途に完全に適合した蒸発特性；
− 材料および支持体（金属、織物、木材等）との接触を必要とする特定用途のための、規定表面張力値；
− アニリン点値によって規定される高溶解力。

狭い範囲の留分を得ることは必ずしも自明ではない。特に、同じ用途用に販売される同品質の留分を再生産する場合には、比較的一定の組成の供給源へのアクセスと、正確な水素化処理をするための装置設定が必要となるので、困難である。

合成由来の特殊流体は、Ｃ２−４オレフィンの重合および／またはオリゴマー化から生じ、このような重合により、１つの鎖当たり２〜５個のオレフィン単位を有する生成物が生じる。それらは本質的に直鎖パラフィンおよびイソパラフィンを含有し、これらの流体は、石油起源の流体と同様の蒸留留分および特性を有する。合成由来の特殊流体は、芳香族炭化水素を含有せず、硫黄含有化合物を含有しない。

他の特殊流体は、天然ガスや、炭素から変換された合成ガスから、さらにフィッシャー・トロプシュ法により炭化水素化合物へ変換することによって得られる。この炭化水素化合物は、前記の特殊流体（即ち、硫黄を含有せず、パラフィンおよびイソパラフィンから本質的に成る）と同等の特性を有する蒸留留分に分離することができる。

建設工業において、多くの特殊流体が使用されている。例えば、特殊流体は、床仕上げ材(floor covering)用途、塗料用途、壁紙用途、および窓または配管継手シーラント用途において、ならびにあらゆるタイプの接着剤のために用いられている。それらは一般に、１つまたは２つの活性成分で構成されており、活性成分の粘度は、炭化水素希釈剤を添加することによって、意図する用途のために調節される。炭化水素希釈剤は化石由来、主に石油であり、これは、特殊流体の由来を形成している要素（origin forming part）である。これらの希釈剤は、少なくとも１種の樹脂、ポリマーおよび／または任意の他の高粘度ペーストと混合される。そして、これらの希釈剤は、即時にまたは経時的に、蒸発および／または分解する傾向があり、その場合、環境（特に人および動物の健康）に有害である放出物源となる。これらの放出物は、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）放出物と呼ばれる。これらの放出物は、家庭、職場および建物内、ならびに一般に換気が制限されたあらゆる閉鎖空間において、または空気循環に直接的に開放されていないあらゆる場合に、重大な汚染源となる。

特殊流体は、特に掘削流体にもよく使用される。この用途において、極地方もしくはその付近で、高温（特に超高温）および高圧力条件（特に、海面下４０００メートルより深く深海洋坑井を掘削する際に遭遇する条件）に対する耐性を有する流体が特に求められる。実際に、５５００ｍ下がった深海底作業において、坑井の入口と坑井の底部との温度勾配は２００℃に達することがある。また、坑井の入口の温度が極地方の温度に近づく場合でも、坑井の底部の温度は１６０℃を超えることがある。掘削流体は、３０〜９５ｗｔ％の比率で、掘削泥水の組成物の一部を構成する。これらの掘削泥水は、陸上または海洋掘削作業の間に重要な役割を果たす。掘削泥水は、摩耗を制限するために掘削工具（またはビット）を潤滑し、さらに、掘削の間に生じた掘削岩石（掘り屑）を処理のために水面に浮かび上がらせ、泥水の循環を停止している段階の間に懸濁液にそれを維持し、さらに、漏れおよび／または壁の崩壊を防ぐために造岩において圧力を維持することを可能にする。この用途のために、動粘度、引火点および流動点を制御することが不可欠である。

インキ用途において、異なるタイプのインキの使用を必要とする下記の３つの主要なタイプの印刷（凸版印刷、オフセット印刷または平版印刷、およびグラビア印刷）が一般に使用される。オフセットインキの分野では、乾燥のタイプによってインキを区別することができる。すなわち、熱の適用によって乾燥する巻取輪転印刷用のいわゆるヒートセットインキ、吸収および酸化によって乾燥するいわゆる枚葉給紙機用のインキ、ならびに多孔質基板への吸収によって乾燥するコールドセットインキ（新聞インキ）が挙げられる。

これらの各用途のために、インキの組成は、好結果を得るために極めて重要である。印刷インキは、顔料、結合剤、溶剤および添加剤からなり、それらの配分によって、想定する各印刷方法のために求められる特性を有するインキを得ることが可能になる。特に大量印刷物には様々な物理的特性を要求されるため、経済的規準を考慮に入れつつ、使用される溶剤は厳しく制限される。一方で、溶剤は、結合剤ならびに種々の添加剤を溶解できなければならない。すなわち制御された溶解力を有している一方で、所望範囲の粘性および粘着性を得ることも可能にしなければならない。これらの用途において、使用される製品は、最適な蒸発特性およびＶＯＣ放出レベルを最低にするべきである。

潤滑剤として使用される場合、これらの流体は特に金属加工に有効である。なぜなら、これらの流体は、酸化もしくは電気的な腐食を抑制したり、アルミニウム圧延中に保護的作用を与えるためである。そのような機能により、金属加工において、圧力を最小限にし、熱を放散させることができる。これらの流体は、潤滑特性によって摩擦を減少させ、部品を清浄にし、それらの摩耗を制限し、それらを腐食から保護し、かつ工具の寿命を延ばすことができる。

より一般的に、特殊流体は、それらの特性に基づいて、液体であり、低減した硫黄含有量を有するので、無臭かつ極めて純粋であり、しかも、毒性物質、特に単環式および多環式芳香族化合物を含有しない。特殊流体は、短い乾燥時間および適合された表面張力を必要とする用途に、特に好適であり、狭い留分範囲を有する。純度のレベルに応じて、それらを医薬品工業において、例えば医薬品賦形剤において、使用することも可能である。

本発明は、現在使用され市場で入手可能な特殊流体の特性に類似した特性を有する天然起源の特殊流体の入手可能性の問題を改善することを目的としている。本発明はさらに、これらの新規な特殊流体の使用に関するものであり、標準特殊流体のいくつかの特性を向上させるための使用、特に、低温用途の場合（特に極低温条件下における）低温特性および潤滑性）を向上させるための使用に関する。

（発明の概要）
本発明の目的は、天然および／または再生可能な(renewable)化合物を使用することであって、前記化合物は、非毒性かつ実質的に純粋であり、特殊流体に類似した物理化学的特性を有しており、特殊流体に意図されるのと同じ用途において、場合によってはより困難な使用環境または条件において、それらを使用することを可能にする安定性および粘性ならびに揮発性レベルを有する化合物である。

従って、本発明の主題は、少なくとも１種の水素化モノテルペンおよび／または少なくとも一種の水素化ポリテルペンと、少なくとも１種の石油または合成起源の特殊流体とを混合して含む組成物である。本発明は特に、水素化モノ−および／またはポリテルペンを含む組成物に関する。前記水素化モノ−および／またはポリテルペンは、例えば、水素化モノ−、セスキ−、ジ−およびセステルペンから選択される、鎖状および／または環状の２〜５個のイソプレン単位を有する完全飽和化合物である。前記モノ−および／またはポリ−テルペンは、特に、ｐ−メンタン、シス−ピナン、リモナン、トランス−ピナン、ファルネサン、シクロファルネサン、ビサボラン、フィタン、ラブダンおよびプリスタンから選択される。完全飽和水素化モノ−および／またはポリ−テルペンは、好ましくは、ファルネサン、シクロファルネサン、ビサボラン、フィタン、ラブダンおよびプリスタンからなる群の、水素化セスキ−、ジ−およびセス−テルペンから選択される鎖状および／または環状の３〜５個のイソプロプレン単位から形成されている。

特に、組成物は、少なくとも１種の水素化モノ−またはポリ−テルペンを、単独で、または少なくとも１種の他の水素化モノ−またはポリ−テルペンと組み合わせて含み、さらに沸点、引火点および密度の点で適合性のある少なくとも１種の特殊流体と含む。「適合性」という用語は、該少なくとも１種の水素化モノまたはポリテルペンが、該特殊流体と近似した沸点、引火点および密度を有することを意味する。

特に、組成物は、少なくとも１種の水素化モノ−および／またはポリ−テルペンと、１００〜４００℃の分留温度を有し、その蒸留範囲が７５℃未満である特殊流体とを、含む。

特殊流体は、１００〜４００℃の分留温度を有し、その蒸留範囲が７５℃未満である石油または合成起源の炭化水素化混合物である。

本発明による特殊流体は、１００〜４００℃の蒸留留分（それら自体は、水素化分解、水素化処理、接触分解、コーキング、ビスブレーキングおよび／または水素化脱ロウの水素化によって得られる）であり、該留分を７５℃未満の蒸留範囲を有する留分に蒸留することによって得られる。これらの特殊流体は、主に（即ち５０ｗｔ％を超えて）イソパラフィンおよびナフテンによって構成され、１０ｐｐｍ未満の硫黄含有量および１００ｐｐｍ未満の芳香族化合物含有量を有する。好ましくは、これらの流体のナフテン含有量は４０ｗｔ％より多く、２０ｗｔ％より多くがポリナフテンから成る。

特殊流体は、２〜４個の炭素原子を有するオレフィンの重合および／またはオリゴマー化から生じることもでき、この重合は、１つの鎖当たり２〜５個のオレフィン単位を有する生成物を生じる。特殊流体は本質的に直鎖パラフィンおよびイソパラフィンを含有する。

他の実施態様の特殊流体は、天然ガス、および／または炭素から変換された合成ガスから、さらにフィッシャー・トロプシュ法による炭化水素化合物への変換によって得られ、該炭化水素化合物は、水素化後に、１００〜４００℃の留分および７５℃未満の蒸留範囲を有する蒸留留分に分離でき、硫黄含有量は１０ｐｐｍ以下および芳香族化合物含有量は１００ｐｐｍ未満である。

本発明の第一実施形態によれば、組成物は、ｐ−メンタン、シス−ピナン、およびトランス−ピナンから選択される少なくとも１種の水素化モノ−テルペンを、単独で、または分留温度１６０〜２５０℃、密度７５０〜８７０ｋｇ／ｍ^３、１００℃未満且つ３０℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて、含む。

第二実施形態によれば、組成物は、少なくとも１種の水素化セスキ−テルペン、例えば、ファルネサン、シクロファルネサン、ビサボランを、単独で、または分留温度２３０〜２９０℃、密度７６０〜８２０ｋｇ／ｍ^３、および１００℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて、含む。

第三実施形態によれば、組成物は、フィタン、ラブダンおよびプリスタンから選択される少なくとも１種のジテルペンを、単独で、または３００〜３５０℃の分留温度、７８０〜８３０ｋｇ／ｍ^３の密度および１３０℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて、含む。

第四実施形態によれば、組成物は、フィタン、ラブダンおよびプリスタンからなる群から選択される少なくとも１種の水素化ジ−テルペンを、単独で、または３００℃より高い、好ましくは３５０〜４２５℃の分留温度、密度７９０〜８４０ｋｇ／ｍ^３、１３０℃より高い引火点、および粘度６．５〜１１ｍｍ^２／ｓを有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて、含む。

本発明の第二の主題は、工業用途、例えば、石油工業、建設（シーラントおよび塗料として）、接着剤、インキ工業、金属加工、金属の処理および保護、さらには、家庭使用、農業食品、自動車、配管および医薬品工業、工業用潤滑剤、家庭用燃料、ならびに食品との接触、および化粧品に許容される流体の用途における、特殊流体の組成物の使用である。

特に、本発明による使用は、種々の用途、特に下記に対応する：
− 水素化モノ−テルペンを含む組成物に関しては、樹脂、塗料、ワニス、接着剤および脱脂用洗浄剤における使用；
− 水素化セスキ−テルペン、特にファルネサンを含有する組成物の場合は、インキにおける、掘削流体としての、アルミニウム加工のための、または洗浄／脱脂剤としての使用；
− 水素化ジ−テルペンを含有する組成物の場合は、印刷インキにおける、潤滑剤としての、掘削流体としての、医薬品および化粧品工業における、シーラントにおける、または植物衛生製品における、および織物および金属の処理のための使用；および
− 少なくとも１種の水素化ジ−テルペンを、単独で、または３５０℃より高い分留温度を有する少なくとも１種の特殊流体との混合物において、含む組成物の場合は、潤滑剤としての、医薬品賦形剤の製造のための、および織物および金属の処理のための、ならびにシーラントにおける用途のための使用。

（詳細な説明）
本発明による組成物に含まれる水素化テルペンは、多くの植物、特に針葉樹に由来するテルペン類の水素化によって得られる。テルペンは、天然レジン（natural resin）およびこれらのレジンから生じる精油、例えばテレピン油の主成分である。それらは、糖質またはバイオマスから、何らかの他の生合成過程によっても製造されうる。これらの水素化テルペンは、特殊流体用の新規の基剤の構成成分となる。なお、水素化テルペンは、周囲温度で液体であり、再生可能な天然物質から得られ、硫黄を含有せず、芳香族化合物の含有量が１００ｐｐｍ未満である。水素化テルペンは、高純度（例えば特定の想定用途に必要とされる９５％より高い純度）で、製造されうるという点で特に有利である。水素化テルペンは、沸点、極めて低い流動点、および任意で認められる迅速な乾燥能力を有するとともに、硫黄および毒性成分を有さない点で、明確な特性を有している。そして、水素化テルペンは、意図する用途に適合した粘度を有し、さらに、一般に非ＶＯＣ放出体である。ここで、非ＶＯＣ放出体とは、ＡｇＢＢ型放出物減少スキーム（ドイツ）に従い、ＧＥＶエミコード、ブルーエンジェル、ＵＳグリーンガード等のような品質またはエコラベル規準を満たしているものを指す。従って、水素化テルペンは、環境毒性が低く、作業者が扱う場合の毒性もわずかである。芳香族化合物を含有しなければ、水素化テルペンの毒性は僅かである。

本発明を実施するために、これらの水素化テルペンは、好都合には、鎖状および／または環状の２〜５個のイソプレン単位を有する。実際に、イソプレン化合物の水素化は、直鎖、分岐鎖および環式化合物の形成に導くことができ、これらの化合物は、最終水素化生成物中に、単独でまたは混合物において得られる。

好ましくは、モノ−およびポリ−テルペン（例えばモノ−、セスキ−、ジ−およびセス−テルペン）を水素化することが選択され、好ましい水素化生成物は、下記の化合物（ｐ−メンタン、シス−ピナン、トランス−ピナン、リモナン、ファルネサン、シクロファルネサン、ビサボラン、フィタン、ラブダンおよびプリスタン）に対応している。

これらのテルペンを水素化するために、当業者に既知の任意のタイプの水素化を使用することができ、例えば、３０〜８０バールの圧力下に、１３０〜２５０℃の温度で、水素化触媒の存在下に水素化することができ、該水素化触媒は、結晶質または非晶質の、シリカ、アルミナ、ジルコニウムおよびチタン酸化物からなる群から選択された少なくとも１種の金属酸化物、またはゼオライトによって担持された、少なくとも１種のＶＩＩＩ族金属（例えば、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、白金および／またはパラジウム）で構成されてもよい。

これらの水素化テルペンは、単独でまたは混合物で使用でき、場合によっては、下記に由来するような従来の特殊流体との混合物において使用することができる。従来の特殊流体としては、例えばTOTAL FLUIDSから上市されているIsane、Ketrul、Spirdane、Hydroseal、Scriptane、EolaneおよびGemsealシリーズ；Exxonから上市されているISOPAR；Shellから上市されているShellsol；Neste Oilから上市されているNexbase；出光興産から上市されているＩＰクリーンおよびＩＰソルベント；またはSK solventから上市されているＳＫ−Ｉｓｏｌ Ｇシリーズなどが挙げられ、これらの特殊流体は、本質的にイソパラフィンおよび／またはナフテンを含んでいる。

これらの水素化テルペンと従来の特殊流体とを組み合わせると、特に、低温特性の調節（特に、該流体の流動点の降下）、溶解力（またはアニリン点）の調節、またはＶＯＣ放出量（より多くのＶＯＣを放出する特定化合物の希釈に関連した放出量）の制限を可能にすることができる。組成物の密度および／または粘度を調節することもできる。従って、他の用途に現在提唱されている特殊流体を、適切な水素化テルペンと組み合わせて混合することによって、新規用途に使用することができる。

特に、組成物は、少なくとも１種の水素化モノ−および／またはポリ−テルペンを、単独、または少なくとも１種の他の水素化モノ−またはポリ−テルペンと組み合わせて含んでいてもよく、および場合によっては、沸点、引火点および密度の点で適合性の少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて、含むことができる。

従って、これらの水素化テルペンは単独でまたは混合物において、１００〜４００℃の分留温度を有し、該分留の温度範囲が７５℃未満である少なくとも１種の特殊流体の特性を調節することが可能となる。

従って、本発明を実施する方法によれば、本発明による組成物は、水素化モノ−およびセスキ−テルペン（例えば、ｐ−メンタン、シス−ピナン、トランス−ピナン、リモナン、ファルネサン、シクロファルネサンおよびビサボラン）からなる群から選択された少なくとも１種の水素化テルペンを含んでおり、前記組成物は、樹脂中、塗料中、ワニス中、接着剤中、シーラント中（特に、シリコーン、変性シラン、ポリウレタンおよび／またはアクリルシーラント）において使用することができ、または壁の脱脂／洗浄用に使用することができる。これらの用途のために、水素化テルペンと、少なくとも１種の特殊流体とを組み合わせて用いることができ、該特殊流体は、１８０〜２９０℃の分留温度、７５０〜８２０ｋｇ／ｍ^３の密度、および４０℃における粘度（ＡＳＴＭ Ｄ４４５規格によって測定）４ｍｍ^２／ｓ未満を有してもよい。これらの水素化テルペンは、これらの用途に従来使用されている特殊流体のうち、TOTAL FLUIDSによって販売されているSPIRDANE D40、D60、ISANE IP140、IP175、IP185またはIP200またはEDC 99DWおよびEDC 95-11と容易に混合される。混合物に使用できるその他の特殊流体としては、EXXONMOBIL CHEMICALから上市されているISOPAR、CHEVRON PHILLIPS Chemicalから上市されているSOFTROL 100、およびSHELLから上市されているShellsolシリーズが特に挙げられる。

印刷インキ用途のために、所望の粘度に応じて、本発明による組成物は、水素化セスキ−、ジ−またはセス−テルペンを、単独で、または該用途に適合した少なくとも１種の特殊流体との混合物において、含有する。従って、本発明による組成物は、ファルネサンと、特殊流体とを混合物として含んでいてもよく、該特殊流体は、沸点２３０〜３６０℃、密度７６０〜８２０ｋｇ／ｍ^３、および１００℃より高い引火点、４０℃で測定される粘度２〜６．５ｍｍ^２／ｓを有していてもよい。従って、これらの水素化テルペンは、単独で、またはTOTAL FLUIDSからのScriptaneシリーズのような市販製品、さらには市場に出回っている他の製品との混合物において、使用することができる。

本発明による他の好適な組成物は、金属加工用の潤滑剤、シーラントおよび接着剤、ポリマー希釈溶剤、植物衛生用、医薬品および化粧品用、印刷インキ用のような用途に好適であり、フィタン、ラブダンおよび／またはプリスタンを、単独でまたは特殊流体との混合物において含んでいてもよく、該特殊流体は、分留温度２３０〜３６０℃、密度７９０〜８３０ｋｇ／ｍ^３、１３０℃より高い引火点、および４０℃における粘度３〜１１ｍｍ^２／ｓを有していてもよい。
本発明による前記組成物は、フィタン、ラブダンおよび／またはプリスタン化合物の少なくとも１種との混合物において、Total Fluidsによって販売されているHYDROSEAL G232H、HYDROSEAL G240H、HYDROSEAL G250H、HYDROSEAL G270H、HYDROSEAL G3H、HYDROSEAL G400H、HYDROSEAL G290H、HYDROSEAL G340H、SCRIPTANE PW24/27H、Scriptane PW25/28H、Scriptane PW26/29H、Scriptane PW28/32HおよびScriptane PW30/35H型の留分を含んでいてもよい。使用できる他の特殊流体としては、EXXONMOBIL CHEMICALによって販売されているEXXSOL D110、D120、D130およびD140；CONOCO PHILLIPSによって販売されているCONOSOL C200およびC260；Calumetによって販売されているCalumet LVP200；Petrochem Carlessによって販売されているPoliot 261およびLVP200、ならびにSKによって販売されているYK2831およびYKD 130が挙げられる。

第三の実施態様の組成物は、３５０℃より高い沸点を有していてもよく、好ましくは、少なくとも１種の水素化セスキ−および／またはセス−テルペンを、単独でまたは特殊流体との混合物において含んでおり、該特殊流体は、２８０℃より高い分留温度、１４０℃より高い引火点、および７ｍｍ^２／ｓより高い４０℃で測定された粘度を有していてもよい。この組成物は、医薬品賦形剤の製造に使用することができる。水素化ジ−テルペンとHYDROSEAL G340Hとを混合することによって、低ＶＯＣ放出物を有する組成物（ＡｇＢＢ型放出物減少スキーム（ドイツ）に従い、ＧＥＶエミコード、ブルーエンジェル、ＵＳグリーンガード等のような品質またはエコラベル規準を満たしている組成物）が得られる。これらの組成物は、建設材料および自動車工業用材料のような他の用途にも使用できる。これらの組成物は、好ましくはエラストマーとの混合物において、潤滑剤、または金属加工、特にアルミニウム加工用の流体にも使用することができる。それらは、植物衛生用途にも使用することができる。

掘削用途については、本発明によって使用される水素化テルペンのうち、ファルネサンが好ましい。ファルネサンは、単独で、または特殊流体との混合物において使用することができ、該特殊流体は、分留温度２３０〜２９０℃、密度７６０〜８２０ｋｇ／ｍ^３、１００℃より高い引火点を有していてもよい。後者において、好ましくは、Total Fluidsによって販売されているEDC 99DW、EDC 95-11、EDC DiamondまたはEDC PEARLがファルネサンと混合され、粘度は特定用途において２〜５ｍｍ^２／ｓに調節してもよい。

植物衛生用途のために、フィタン、ラブダン、プリスタンを含む水素化ジテルペンを、単独でまたは組み合わせて、少なくとも１種の特殊流体との混合物において使用することができ、該特殊流体は、３００〜４００℃の分留温度、８００〜８３０ｋｇ／ｍ^３の密度、１３０℃より高い引火点、および４ｍｍ^２／ｓより高い、好ましくは７ｍｍ^２／ｓより高いが、１５ｍｍ^２／ｓより低い４０℃における粘度を有していてもよい。これらの水素化テルペンは、市場で入手可能な植物衛生流体のうち、GENERA、BANOLE、CITROLE、OVISPRAY、CATANEおよびFINAVESTAN(栽培中に作物に散布することにより、果物および野菜を保護するために販売されている）との混合物において使用することができ、これらの製品はTotal Fluidsによって販売されている。

水素化テルペンと混合される特殊流体は、意図する用途に必要とされる品質を得るために、最も狭い蒸留留分の範囲として、好ましくは７５℃未満、好ましくは５０℃未満を有するのが好ましい。

金属加工および／または織物用途については、HYDROSEAL G232H、G250H、G3H、G290H、G340HおよびG400Hとの混合物が好ましく、アルミニウム圧延にはLUBRILAM S40LまたはLUBRILAM S50Lが好ましい。

下記の実施例は、本発明を例示するものであって、その範囲を限定するために使用することはできない。

本実施例は、ファルネセンの水素化によって得られるファルネサン（水素化セスキ−テルペン）の特性、様々な用途に一般に使用される特殊流体の特性、およびファルネサンと他の特殊流体との混合物の特性を比較することを目的とする。

下記の表Ｉは、ファルネサン、および市販特殊流体、ならびに掘削用途用のファルネサン／特殊流体の５０／５０混合物の物理化学的特性を示す。

掘削用途のために最良特性を有するＥＤＣ９９ＤＷを使用することが周知である。

この結果より、ファルネサンの特性、特に、その粘度、その流動点、その沸点およびその引火点が、この製品を優れた掘削流体にすることが分かる。また、引火点が低すぎるため本来この用途に使用できないKetrul D80であっても、ファルネサンと５０／５０重量比で混合した混合物において好適に使用することができる。すなわち、この組み合わせにより引火点が８０℃より高くなり、これにより、この混合物を用いて高い安全性レベルを得ることを可能にし、かつ、特にEDC99DWの不足を改善する手段を得ることを可能にする。ファルネサンとの混合により、流動点も向上し、それにより、この混合物を寒冷地域において特に有効にすることができる。

Total FluidsからのScriptaneシリーズは、インキにおける溶剤として特に好適である.
下記の表ＩＩは、特定のインキ用途に使用されているScriptane 25/28Hの特性、この用途に適していないScriptane 24/27Hの特性、およびファルネサンの特性を比較している。

ファルネサンは、狭い範囲の留分を有するScriptane 25/28Hの特性を得ていることが分かる。すなわち、粘度は同等であり、流動点はより優れている。

金属加工、特にアルミニウムの圧延のために、一般的に、潤滑剤として、Lubrilam（商品名）が使用される。表ＩＩＩは、２種類のLubrilam流体単独、ファルネサン単独、ならびにファルネサンおよびLubrilam S50Lとの混合物（重量比：５０／５０）の、物理化学的特性を示す。

ファルネサンは単独で、Lubrilam S40Lの代わりに使用できることが分かる。また、ファルネサンとLubrilam S50Lとの５０／５０重量比混合物も好適となりうる。

本実施例は、ピナンを含み、高い溶解力を有し、標準的な芳香族溶剤の欠点を有さない本発明組成物の、塗料への適用に関する。なお、この実施例は、参考例として用いられる。

理想的には、良好な溶解力および制御された乾燥時間を確実にするために、低いアニリン点および狭い範囲の蒸留留分を有する高い芳香族性を有する溶剤が好ましい。TOTAL FLUIDSからのSolvarex 9は、Ｃ９芳香族留分（９個の炭素原子を有する）に対応しているため、特に高く評価される。Ｃ９芳香族留分は、アニリン点１４および１６０〜１７５℃の蒸留留分を有している。しかし、高い芳香族性を有する化合物の使用が規制されているため、装飾用および工業用塗料の組成物において、このような化合物は、脱芳香族化されたホワイトスピリットで置き換えられている。これらのホワイトスピリットは、例えばSpirdane D40のように４０℃の引火点を有し、そのアニリン点は６８であり、１５６〜１９８℃の蒸留留分である。

下記の表ＩＶは、芳香族化合物、脱芳香族化化合物、およびピナンと脱芳香族化化合物との混合物（５０／５０）を含有する特殊流体組成物の特性を示す。

ピナンと脱芳香族化ホワイトスピリットとの混合させることにより、ホワイトスピリットの溶解力を向上させ（アニリン点を６８から５５に下げ）、分留の幅を減少させることが分かる。さらに、ピナンは揮発性を向上させることができ、配合物の乾燥時間を短縮させることが可能である。当然ながら、乾燥時間を最適化するために、ピナンと脱芳香族化ホワイトスピリットとの比率を調節することができる。

本実施例は、工具および金属部品の洗浄に使用される本発明の組成物における、ピナンの使用に関する。ここでの関心は、洗浄に使用される製品の揮発性の制御を向上させることである。なお、この実施例は、参考例として用いられる。

一般に、TOTAL FLUIDSによって販売されているISANE 155型イソパラフィン、またはEXXON Chemicalによって販売されているISOPARが使用され、それらは狭い蒸留留分範囲を有し、従って、フラッシュ乾燥法（^＊）に理想的な狭い乾燥温度範囲を有する。しかし、これらのイソパラフィン、ISANEまたはISOPARは、低い溶解力を有する。下記の表Ｖは、ISANE IP155、ピナン、およびピナンとISANE IP155の混合物（５０／５０）の特性を示す。

（^＊）フラッシュ乾燥法では、溶媒を蒸発させるため、洗浄表面をごく短時間、好適温度に接触させることによって、溶媒を除去することを可能にする。

この表から、部品および／または工具の洗浄に一般に使用されるイソパラフィンとの混合物におけるピナンの使用は、アニリン点の値に関連した溶解能力を明らかに向上させることが分かる。

本実施例は、特に、使用または貯蔵の苛酷条件下において低温での良好な流動性を必要とするあらゆる工業用途（特にシリコーンシーラントおよび潤滑剤）のための、本発明の組成物におけるフィタンの使用に関する。フィタンは、単独で、または脱芳香族化およびイソ脱ロウ化された(isodewaxed)炭化水素流体であるHydroseal 310Hとの混合物として、使用することができる。

フィタンを基剤として有する流体は、低温で特に有効であり、−２４℃未満の流動点を有し、これは、低温で操作する場合、または最終製品をそのような低温で長期間保存する場合に、特に望ましい。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様１〕
特殊流体の組成物であって、
少なくとも一種の水素化モノテルペンおよび／または少なくとも一種の水素化ポリテルペンと、
少なくとも一種の特殊流体とを混合して含み、
前記特殊流体が、石油または合成起源の炭化水素化混合物であり、１００〜４００℃の分留温度を有し、且つその蒸留範囲が７５℃未満である、組成物。
〔態様２〕
態様１において、水素化モノ−およびポリテルペンが、鎖状および／または環状の２〜５個のイソプレン単位を有する組成物。
〔態様３〕
態様１または２において、水素化モノ−およびポリテルペンが、水素化モノ−、セスキ−、ジ−およびセス−テルペンから選択される組成物。
〔態様４〕
態様１〜３のいずれか一態様において、水素化モノ−および／またはポリテルペンが、鎖状および／または環状の３〜５個のイソプロプレン単位を含み、水素化セスキ−、ジ−およびセス−テルペンから選択される、から成る組成物。
〔態様５〕
態様１〜４のいずれか一態様において、水素化モノ−および／またはポリテルペンが、リモナン、ｐ−メンタン、シス−ピナン、トランス−ピナン、ファルネサン、シクロファルネサン、ビサボラン、フィタン、ラブダンおよびプリスタンから選択される組成物。
〔態様６〕
態様１〜５のいずれか一態様において、組成物が、
少なくとも一種の水素化モノ−またはポリテルペンと、これと組み合わせて
少なくとも一種の他の水素化モノ−またはポリテルペンとを、
少なくとも１種の特殊流体中に含む組成物。
〔態様７〕
態様１〜６のいずれか一態様において、特殊流体が、水素化分解、水素化処理、接触分解、コーキング、ビスブレーキングおよび／または水素化脱ロウによる水素化により得られ、１００〜４００℃の留分、且つ７５℃未満の蒸留範囲を有する留分であり、１０ｐｐｍ未満の硫黄および１００ｐｐｍ未満の芳香族化合物を含有する組成物。
〔態様８〕
態様１〜７のいずれか一態様において、特殊流体が、２〜４個の炭素原子を有するオレフィンの重合および／またはオリゴマー化による由来物を含み、この重合が、１つの鎖当たり２〜５個のオレフィン単位を有する生成物を導き、パラフィンおよびイソパラフィンを含有する組成物。
〔態様９〕
態様１〜８のいずれか一態様において、特殊流体が、天然ガス、または、炭素から変換された合成ガスから、さらにフィッシャー・トロプシュ法による炭化水素化合物へと変換されることにより得られ、該炭化水素化合物が、水素化後に、１００〜４００℃の留分および７５℃未満の蒸留範囲を有する蒸留留分に分離でき、硫黄含有量が１０ｐｐｍ以下および芳香族化合物含有量が１００ｐｐｍ未満である組成物。
〔態様１０〕
態様１〜９のいずれか一態様において、組成物が、
ｐ−メンタン、シス−ピナン、およびトランス−ピナンから選択される少なくとも１種の水素化モノ−テルペンを、単独で含むか；または
前記モノ−テルペンと、
分留温度１８０〜２５０℃、密度７５０〜８２０ｋｇ／ｍ ^３ 、及び１００℃未満且つ３０℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体とを組み合わせて含む、組成物。
〔態様１１〕
態様１〜９のいずれか一態様において、組成物が、
少なくとも１種の水素化セスキテルペン（例えば、ファルネサン、シクロファルネサンまたはビサボラン）を、単独で含むか；または、
前記セスキテルペンと、
分留温度２３０〜２９０℃、密度７６０〜８２０ｋｇ／ｍ ^３ 、および１００℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体とを組み合わせて含む、組成物。
〔態様１２〕
態様１〜９のいずれか一態様において、組成物が、
フィタン、ラブダンおよびプリスタンから選択される少なくとも１種の水素化ジテルペンを、単独で含むか；または、
前記ジテルペンと、
分留温度３００〜３５０℃、密度８００〜８３０ｋｇ／ｍ ^３ 、および１３０℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて含む、組成物。
〔態様１３〕
態様１〜９のいずれか一態様において、組成物が、
フィタン、ラブダンおよびプリスタンからなる群から選択される少なくとも１種の水素化ジ−テルペンを、単独で含むか；または、
前記ジテルペンと、
３００℃より高い（好ましくは３５０〜４２５℃の）分留温度、密度７９０〜８４０ｋｇ／ｍ ^３ 、１３０℃より高い引火点、および粘度６．５〜１１ｍｍ ^２ ／ｓを有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて含む、組成物。
〔態様１４〕
石油工業、建設、家庭使用、自動車、農業食品、医薬品工業、工業用潤滑剤、家庭用燃料、および食品との接触に許容される流体の用途における、態様１〜１３のいずれか一態様に記載の組成物の使用。
〔態様１５〕
態様１４において、樹脂、塗料、ワニス、接着剤および脱脂用洗浄剤における組成物の使用であって、前記組成物が水素化モノテルペンを含む、使用。
〔態様１６〕
態様１４において、インキにおける、掘削流体としての、アルミニウム加工のための、または洗浄／脱脂剤としての、組成物の使用であって、前記組成物が水素化セスキ−テルペン（特にファルネサン）を含む、使用。
〔態様１７〕
態様１４において、印刷インキにおける、潤滑剤としての、掘削流体としての、医薬品工業における、シーラントにおける、植物衛生製品における、ならびに織物および金属の処理のための、組成物の使用であって、前記組成物が水素化ジ−テルペンを含む使用。
〔態様１８〕
態様１４において、潤滑剤としての、医薬品賦形剤の製造のための、織物および金属の処理のための、およびシーラント用途のための組成物の使用であって、前記組成物が、少なくとも１種の水素化ジテルペンを、単独で、または３５０℃より高い分留温度を有する少なくとも１種の特殊流体との混合物において、含む使用。

Claims (14)

1. 特殊流体の組成物であって、
   少なくとも一種の水素化ポリテルペンと、
   少なくとも一種の特殊流体とを混合して含み、
   前記特殊流体が、石油または合成起源の炭化水素化混合物であり、１００〜４００℃の分留温度を有し、且つその蒸留範囲が７５℃未満である、組成物であって、前記水素化ポリテルペンが、鎖状および／または環状の３〜５個のイソプロプレン単位を含み、水素化セスキ−、ジ−およびセス−テルペンから選択される、組成物。
2. 請求項１において、水素化ポリテルペンが、ファルネサン、シクロファルネサン、ビサボラン、フィタン、ラブダンおよびプリスタンから選択される組成物。
3. 請求項１〜２のいずれか一項において、組成物が、さらに、
   少なくとも一種の水素化モノ−またはポリテルペンを含む組成物。
4. 請求項１〜３のいずれか一項において、特殊流体が、水素化分解、水素化処理、接触分解、コーキング、ビスブレーキングおよび／または水素化脱ロウによる水素化により得られ、１００〜４００℃の留分、且つ７５℃未満の蒸留範囲を有する留分であり、１０ｐｐｍ未満の硫黄および１００ｐｐｍ未満の芳香族化合物を含有する組成物。
5. 請求項１〜４のいずれか一項において、特殊流体が、２〜４個の炭素原子を有するオレフィンの重合および／またはオリゴマー化による由来物を含み、この重合が、１つの鎖当たり２〜５個のオレフィン単位を有する生成物を導き、パラフィンおよびイソパラフィンを含有する組成物。
6. 請求項１〜５のいずれか一項において、特殊流体が、天然ガス、または、炭素から変換された合成ガスから、さらにフィッシャー・トロプシュ法による炭化水素化合物へと変換されることにより得られ、該炭化水素化合物が、水素化後に、１００〜４００℃の留分および７５℃未満の蒸留範囲を有する蒸留留分に分離でき、硫黄含有量が１０ｐｐｍ以下および芳香族化合物含有量が１００ｐｐｍ未満である組成物。
7. 請求項１〜６のいずれか一項において、組成物が、
   ファルネサン、シクロファルネサンまたはビサボランから選択される少なくとも１種の水素化セスキテルペンと、
   分留温度２３０〜２９０℃、密度７６０〜８２０ｋｇ／ｍ^３、および１００℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体とを組み合わせて含む、組成物。
8. 請求項１〜６のいずれか一項において、組成物が、
   フィタン、ラブダンおよびプリスタンから選択される少なくとも１種の水素化ジテルペンと、
   分留温度３００〜３５０℃、密度８００〜８３０ｋｇ／ｍ^３、および１３０℃より高い引火点を有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて含む、組成物。
9. 請求項１〜６のいずれか一項において、組成物が、
   フィタン、ラブダンおよびプリスタンからなる群から選択される少なくとも１種の水素化ジ−テルペンと、
   ３００℃より高い分留温度、密度７９０〜８４０ｋｇ／ｍ^３、１３０℃より高い引火点、および粘度６．５〜１１ｍｍ^２／ｓを有する少なくとも１種の特殊流体と組み合わせて含む、組成物。
10. 石油工業、建設、家庭使用、自動車、農業食品、医薬品工業、工業用潤滑剤、家庭用燃料、および食品との接触に許容される流体の用途における、請求項１〜９のいずれか一項に記載の組成物の使用。
11. 請求項１０において、樹脂、塗料、ワニス、接着剤および脱脂用洗浄剤における組成物の使用であって、前記組成物が水素化モノテルペンを含む、使用。
12. 請求項１０において、インキにおける、掘削流体としての、アルミニウム加工のための、または洗浄／脱脂剤としての、組成物の使用であって、前記組成物が水素化セスキ−テルペンを含む、使用。
13. 請求項１０において、印刷インキにおける、潤滑剤としての、掘削流体としての、医薬品工業における、シーラントにおける、植物衛生製品における、ならびに織物および金属の処理のための、組成物の使用であって、前記組成物が水素化ジテルペンを含む使用。
14. 請求項１０において、潤滑剤としての、医薬品賦形剤の製造のための、織物および金属の処理のための、およびシーラント用途のための組成物の使用であって、前記組成物が、少なくとも１種の水素化ジテルペンを、３５０℃より高い分留温度を有する少なくとも１種の特殊流体との混合物において、含む使用。