JP6084480B2 - 電池用極板の製造装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記のとおり、基材90上に形成される活物質を含む層の厚さは、電池の充放電量に直接影響を与えることから、図5(C)に示すような状態で電気用極板が製造されると、その極板を用いた電池の品質を低下させてしまう。
この場合、流出部を通じてマニホールドから流出させるスラリーの排出調整を行うことにより、スリットから吐出させるスラリーの量が変更される。このため、スラリーをスリットから幅方向の全長にわたって均等に吐出させるためのより厳密な制御が可能となる。
スラリーの固形成分は、マニホールドの底部に沈殿し凝集しようとするため、流出部が、マニホールドの底部に繋がるようにして形成されていることで、沈殿し凝集しようとする固形成分を外部へ排出しやすくなる。
図1は、電池用極板の製造装置の概略構成を示す説明図である。この製造装置1は、ロールツーロールで送られる金属箔からなる基材2に、活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含むスラリー3を塗布するための装置である。この製造装置によれば、塗布したスラリー3を乾燥させることで基材2上に活物質を含む層が形成され、この基材2が所定形状に切断され電池用極板となる。基材2上に形成される活物質を含む層の厚さは、電池の充放電量に直接影響を与えることから、基材2に塗布するスラリー3の膜厚管理は非常に重要であり、この製造装置1によれば、以下の実施形態において説明するように、スラリー3は、基材2の送り方向及び幅方向に沿って均一な厚さ(均一な塗膜量)で塗布される。なお、基材2の幅方向は、基材2の送り方向に直交する方向である。
なお、シム板15の厚さを変更することにより、マニホールド11内部の圧力(塗工圧力)を調整することができ、この調整によって、様々な特性を有するスラリー3で均一な膜厚の塗工を行うことが可能となる。
流出部31,32,33,34は、マニホールド11とダイ10の外部とを繋ぐ貫通孔と、貫通孔に接続されている流出パイプ51,52,53,54とからなる。これら流出部31,32,33,34から流出させたスラリー3は、タンク22へ戻される。なお、タンク22へ戻される途中に、図示しないがフィルタが設けられているのが好ましい。
なお、本実施形態の製造装置1のダイ10から吐出されるスラリー3として、粘度が数千から数万cP(剪断速度=1の場合)のものを採用することができる。
なお、センサ36の代わりに制御装置37が有するタイマ機能により、バルブ61,62,63,64の開度を制御してもよい。つまり、塗布開始からある時間が経過するとスラリー3の固形成分の沈殿や凝集が問題となることから、この時間が経過する前の所定時間をタイマで計測し、その所定時間が経過すると、制御装置37はバルブ61,62,63,64の開度を大きくする制御を行ってもよい。
しかし、ある時間を超え、両端部11a,11bにおいて、スラリー3の固形成分の沈殿や凝集が多く発生しそうになると、両端部11a,11bに対応するバルブ61,62の開度を大きく変更する。これにより、両端部11a,11bにおいてスラリー3が流れやすくなり、固形成分の沈殿や凝集が発生し難く、スリット12の両端部において、スラリー3の吐出量が減少してしまうのを抑えることができる。
そして、両側のバルブ61,62の開度を大きく変更した際、スリット12の幅方向両端部では、スラリー3の吐出量が変化する傾向にあり、これが原因となって、その幅方向の中央側に隣りの途中部11c,11dでも、スラリー3の吐出量が一時的に変化する現象が起こる。
以上の制御によれば、流出部31,32,33,34を通じてマニホールド11から流出させるスラリー3の流量を調整することにより、スリット12から吐出させるスラリー3の量が変更される。このため、スラリー3をスリット12から幅方向の全長にわたって均等に吐出させるためのより厳密な制御が可能となり、基材2上に形成されるスラリー3の膜厚を、幅方向及び送り方向について、均一にすることが可能となる。
これに対して、他の実施形態として塗布作業(塗布ステップ)の開始からある時間について経過後、所定時間についてのみ、流出部31,32,33,34からスラリー3を吐出させるステップが行われ、この所定時間について、スリット12からスラリー3が吐出された基材2については、製品(電池用極板)の対象外としてもよい。
これにより、前記のとおり、時間経過と共に、マニホールド11の幅方向の両端部11a,11bにおいてスラリー3の流れが悪くなるのを防ぎ、両端部11a,11bでスラリー3の固形成分が沈殿や凝集しにくくし、従来のように、両端部11a,11bにおいて、スラリー3の吐出量が減少してしまうのを抑えることができる。さらに、両端部11a,11bの間の途中部11c,11dからも、スラリー3を流出させることから、両端部11a,11bのみでスラリー3が流れ易くなるのを抑えることができる。
以上より、スラリー3の吐出作業を長時間継続して行っていても、基材2上に形成されるスラリー3の膜厚さを均一にすることが可能となる。
また、前記実施形態では、マニホールド11のスラリー3をスリット12を通じて基材2へと流す方向が水平方向となるようにダイ10が設置されている場合について説明したが、ダイ10の設置姿勢はこれ以外であってもよい。例えば、マニホールド11とスリット12とが鉛直方向に並んで配置される姿勢でダイ10は設置されていてもよく、この場合において、マニホールド11のスラリー3をスリット12を通じて基材2へと流す方向が鉛直方向上向きとなるようにダイ10が設置されていてもよい。なお、この場合であっても、流出部31等はマニホールド11の底部17と接続されている。
さらに、前記実施形態では、両端部11a,11bの間において、二カ所の途中部11c,11dに流出部33,34が設けられている場合について説明したが、途中部に設ける流出部の数はこれ以外であってもよく、流出部は、両端部11a,11bの間の途中部に少なくとも一カ所設けられていればよい。
そして、前記のとおり(図2参照)、ダイ10には、流出部(31,32,33,34)が、幅方向の両端部11a,11bと、この両端部11a,11bの間の途中部11c,11dに設けられていることで、塗布作業を継続して行っても、櫛型であるシム板15によって分割されたスリット12の各区間からのスラリー3の吐出量を均一にすることができ、複数条のスラリー層それぞれの膜厚を一定にすることが可能となる。
10:ダイ 11:マニホールド 11a:端部 11b:端部
11c:途中部 11d:途中部 12:スリット
16:流入部 17:底部 20:供給手段
31:流出部 32:流出部 33:流出部 34:流出部
61:バルブ 62:バルブ 63:バルブ 64:バルブ
Claims (4)
- 幅方向に長くスラリーを溜める空間からなるマニホールドと、このマニホールドと繋がりスラリーを基材に対して吐出するスリットと、幅方向の中央部に設けられ前記マニホールドと繋がる流入部とが形成されたダイと、
前記ダイの幅方向の中央部に設けられている前記流入部から前記マニホールドにスラリーを供給する供給手段と、
前記基材上へ塗布したスラリーの膜厚を測定するセンサと、を備え、
前記ダイには、前記マニホールドのスラリーを前記スリット以外から当該ダイの外部へ流出させる流出部が、前記流入部を間に挟む幅方向の両端部と、この両端部の間の途中部に設けられ、
前記センサの計測結果に応じて前記流出部を通じて前記マニホールドから流出させるスラリーの流量を調整することを特徴とする電池用極板の製造装置。 - 前記流出部には、前記センサの計測結果に応じて前記マニホールドから流出させるスラリーの排出調整を行う調整手段が設けられている請求項1に記載の電池用極板の製造装置。
- 前記流出部は、前記マニホールドの底部と繋がっており、当該マニホールドの底部のスラリーを流出させる請求項1又は2に記載の電池用極板の製造装置。
- ダイに形成された幅方向に長いマニホールドの当該幅方向の中央に設けられた流入部から供給され当該マニホールドに溜められているスラリーを、このマニホールドと繋がるスリットから吐出して、基材へ塗布して行う電池用極板の製造方法であって、
前記マニホールドのスラリーを前記スリット以外の流出部から、当該ダイの外部へ流出させるステップを含み、
前記流出部からのスラリーの流出を、前記流入部を間に挟む前記マニホールドの幅方向の両端部と、この両端部の間の途中部とから行うと共に、前記スリットから吐出させ前記基材上へ塗布したスラリーの膜厚をセンサによって測定し、当該測定の結果に応じて前記流出部を通じて前記マニホールドから流出させるスラリーの流量を調整することを特徴とする電池用極板の製造方法。
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