JP6084399B2 - 光学式ガスセンサおよびガス濃度監視方法 - Google Patents
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また、SOX、NOX、NH3、H2S、Cl2等の腐食成分を含むガスの濃度を測定する際に生じる腐食性の問題を解決することができる小型の光学式ガスセンサおよびガス濃度監視方法を提供することを目的とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記受光用耐熱光ファイバを複数備えること、前記照射用耐熱光ファイバおよび前記複数の受光用耐熱光ファイバの光軸が、同じ場所で交わることを特徴とする。
第3の発明は、第1または2の発明において、前記照射用耐熱光ファイバから照射する光がレーザー光であり、前記受光用耐熱レンズが受光する光がラマン散乱光であることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記照射用耐熱光ファイバおよび前記受光用耐熱光ファイバが、水素遮断性を有することを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、前記耐熱プリズムが、石英あるいは透明セラミックスにより構成されることを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記照射用耐熱光ファイバおよび前記受光用耐熱光ファイバが、石英系の光ファイバにより構成されることを特徴とする。
第8の発明は、第1ないし7のいずれかの発明において、前記ベース部材が、射出成型および焼結により製作されたセラミックスにより構成されることを特徴とする。
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明において、前記照射用耐熱レンズおよび前記受光用耐熱レンズが、石英あるいは透明セラミックスにより構成されたボールレンズからなることを特徴とする。
第11の発明は、SOX、NOX、NH3、H2Sおよび/またはCl2を含む排ガスの排気管に第1ないし9のいずれかの発明に係る光学式ガスセンサを設置し、SOX、NOX、NH3、H2SおよびCl2からなる群から選択される1種以上のガスの濃度を連続測定することを特徴とするガス濃度監視方法である。
第12の発明は、第11の発明において、前記排ガスが、火力発電所のボイラから排出される排ガスであることを特徴とする。
また、SOX、NOX、NH3、H2S、Cl2等の腐食成分を含むガスの濃度を測定する際に生じる腐食性の問題を解決することができる小型の光学式ガスセンサおよびガス濃度監視方法を提供することが可能となる。
《第1実施形態》
第1実施形態はラマン散乱型ガス濃度測定システムに関する。
第1実施形態のガス濃度測定システムでは、複数種類のガスからなる混合ガスにレーザー光を照射し、複数の狭帯域フィルターを用いて各分子スペクトルのピークを検出することができる。混合ガスにおいて、各ガスのラマンスペクトルがピークを備え、かつ、スペクトル線の重なりが無い場合には、各フィルターにより各ガスの濃度を測定することができる。表1に示すH2、N2、O2、CO2などのガスにおいては、レーザービームなどの光線の波長からラマンシフトした波長にピークが観測されることが知られているが、以下では水素ガスを測定する場合の構成例を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガス濃度測定システムの構成図である。第1実施形態のガス濃度測定システムは、レーザー光源装置1と、受光装置2と、照射用光ファイバ3と、受光用光ファイバ4と、センサチップ10と、を主要な構成要素とする。
光学フィルター21は、水素ガスのラマン散乱光スペクトル波長である416.5nm付近に透過波長中心を持つ光学バンドパスフィルターである。光学フィルター21は、測定対象ガスの種類や照射するレーザー光の波長に応じて異なる透過波長のものに交換することができる。
光検出器22は、受光した光の強度に比例して電気信号を発生する機器であり、例えば、光電子増倍管、アバランシェホトダイオード、ホトトランジスタ、CCDにより構成される。
センサチップ10は、図2に示すように、照射孔12および受光孔13a,13bが設けられたベース部材11と、照射用レンズ7と、受光用レンズ8とから構成される。
ベース部材11は、(例えば、400℃以上、好ましくは700℃以上の耐熱性を有する)SUSやセラミックスなどの耐熱材により構成される。好ましくは、次に述べる2つの理由から、ベース部材11をセラミックス系材料により構成する。
第1に、熱膨張性が小さいことが挙げられる。高温状態に伴う膨張率が極めて小さいため、光軸のズレが抑えられるという利点がある。例えば、熱膨張係数を比較すると、ステンレス(SUS304)に対する熱膨張係数は、アルミナは約1/2.5であり、窒化珪素は約1/7である。
第2に、化学的安定性が高いことが挙げられる。酸、アルカリに対する耐食性が高く、腐食性ガス環境下においても長期連続稼働ができる。例えば、酸溶液/アルカリ溶液に浸した場合の1日当たりの腐食量を比較すると、ステンレス(SUS304)に対するアルミナの腐食量は約1/100である。
試作品では、コーニング社(Corning Incorporated)製マコール(主成分シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム)を用いてベース材11を構成し、各部品を耐熱温度が1200〜2400℃である朝日化学工業社製スミセラム(主成分シリカ、アルミナ)により接合した。
なお、受光用光ファイバ4の本数は2本に限定されず、3本以上としてもよい。複数の受光用ファイバを用いる構成においては、1本の光ファイバ毎に特定のガス種のラマン散乱波長を選択するフィルターと受光素子を取り付けて複数のガス種のラマン散乱光を同時に測定するようにしてもよい。
照射用レンズ7は照射孔12またはその端部に配置され、受光用レンズ8a,42bは受光孔13a,13bまたはその端部に配置される。照射用レンズ7の照射孔12と反対側の近傍には照射用光ファイバ3の端部が配置され、受光用レンズ8aの受光孔13aと反対側の近傍には受光用光ファイバ4aの端部が配置され、受光用レンズ8bの受光孔13bと反対側の近傍には受光用光ファイバ4bの端部が配置される。
レンズ7および8a,8bは、いずれも凸レンズの作用を奏する(例えば、400℃以上、好ましくは700℃以上の耐熱性を有する)耐熱レンズであり、耐熱接着材によりベース部材11にそれぞれ固定されている。レンズ7および8a,8bは、例えば、石英、透明セラミックスにより構成される。熱膨張性の観点からは、ベース部材11、レンズ7および8a,8bの全てをセラミックスで製作することが好ましい。なお、試作品では、レンズ7および8a,8bにφ2.5mmの石英製ボールレンズを用いた。
また、ベース部材をセラッミックスにより構成した場合には、硫黄(S)成分を含むガスの濃度を測定する際に生じる腐食性の問題を解決することができる光学式ガスセンサを提供することが可能である。具体的には、脱硫前のSOXを多く含む火力発電所の排ガス分析に好適である。
さらに、第1実施形態のガス濃度測定システムは、高放射線環境での利用にも適している。
第2実施形態は吸光型ガス濃度測定システムに関する。
(構成)
図5は、本発明の第2実施形態に係るガス濃度測定システムの構成図である。第2実施形態のガス濃度測定システムは、紫外光源装置51と、受光装置52と、照射用光ファイバ53と、受光用光ファイバ54と、センサチップ60と、を主要な構成要素とする。
受光装置52は、図示しないコンピュータと接続されており、このコンピュータには専用の分析ソフトが導入されている。コンピュータは、受光装置52の検出信号から、センサチップ60付近に存在するガスの種類や濃度を算出することができ、算出結果を表示装置にリアルタイム表示させることができる。紫外線吸収分析でのガス中の濃度の検出は、例えば、既知濃度の紫外線吸収スペクトルを取得し、吸光度を濃度毎にプロットした検量線を作成した後で、未知濃度の吸光度と対比することで、ガスの濃度を求める。
センサチップ60は、図6に示すように、光路空間62が設けられたベース部材61と、照射用レンズ57と、受光用レンズ58と、プリズム59とから構成される。
また、ベース部材をセラッミックスにより構成した場合には、第1実施形態と同様に、硫黄(S)成分を含むガスの濃度を測定する際に生じる腐食性の問題を解決することができる光学式ガスセンサを提供することが可能である。
第3実施形態は吸光型ガス濃度測定システムに関する。第3実施形態は、ガスセンサチップ70以外の構成は第2実施形態と同じであるので、以下ではガスセンサチップ70以外の要素については説明を割愛する。
ガスセンサチップ70は、図11に示すように、光路空間72が設けられたベース部材71と、照射用レンズ57と、受光用レンズ58と、プリズム59a〜59cとから構成される。
プリズム59a〜59cは、第2実施形態と同様であり、耐熱接着材によりベース部材71にそれぞれ固定される。試作品では、プリズム59a〜59cに5.0mm×5.0mmの石英製45度全反射プリズムを用いた。
(1)発電所排ガス
高温、蒸気充満、SOX・NOX・NH3等腐食性ガス雰囲気
(2)自動車排ガス
高温、蒸気充満、SOX・NOX等腐食性ガス雰囲気
(3)化学工場、上水処理場、製紙工場
塩素(Cl2)含有雰囲気
(4)石油精製、アンモニア製造工場、製鉄所排ガス、火山・温泉地帯、下水処理場
硫化水素(H2S)含有雰囲気
(5)化学肥料工場
アンモニア(NH3)含有雰囲気
(6)水・海水等腐食性を有する液体中
2 受光装置
3 照射用光ファイバ
4 受光用光ファイバ
5,6 フェルール
7,8 レンズ
10 センサチップ
11 ベース材
12 照射孔
13 受光孔
21 光学フィルタ
22 光検出器
23 筐体
51 紫外光源装置
52 受光装置
53 照射用光ファイバ
54 受光用光ファイバ
55,56 フェルール
57,58 レンズ
59 プリズム
60 センサチップ
61 ベース材
62 光路空間
71 ベース材
72 光路空間
Claims (12)
- 光源からの光を伝送する照射用耐熱光ファイバと、
照射用耐熱光ファイバの端部近傍に配置される照射用耐熱レンズと、
計測対象ガスからの散乱光を受光装置に伝送する受光用耐熱光ファイバと、
受光用耐熱光ファイバの端部近傍に配置される受光用耐熱レンズと、
照射用耐熱光ファイバおよび受光用耐熱光ファイバが配設される、耐熱材からなるベース部材とを備え、
前記ベース部材が、10cm四方以下の大きさのセラミックス系材料により構成され、
前記受光用耐熱レンズが、ボールレンズからなることを特徴とする、腐食性ガス環境下用光学式ガスセンサ。 - 前記受光用耐熱光ファイバを複数備えること、
前記照射用耐熱光ファイバおよび前記複数の受光用耐熱光ファイバの光軸が、同じ場所で交わることを特徴とする請求項1の光学式ガスセンサ。 - 前記照射用耐熱光ファイバから照射する光がレーザー光であり、前記受光用耐熱レンズが受光する光がラマン散乱光であることを特徴とする請求項1または2の光学式ガスセンサ。
- 前記照射用耐熱光ファイバおよび前記受光用耐熱光ファイバが、水素遮断性を有することを特徴とする請求項3の光学式ガスセンサ。
- 光源からの光を伝送する照射用耐熱光ファイバと、
照射用耐熱光ファイバの端部近傍に配置される照射用耐熱レンズと、
計測対象ガスを通過した光を受光装置に伝送する受光用耐熱光ファイバと、
受光用耐熱光ファイバの端部近傍に配置される受光用耐熱レンズと、
照射用耐熱光ファイバからの光を全反射により受光用耐熱光ファイバに導く耐熱プリズムと、
照射用耐熱レンズ、受光用耐熱レンズおよび耐熱プリズムが配設される凹部を有し、耐熱材からなるベース部材とを備え、
前記ベース部材が、10cm四方以下の大きさのセラミックス系材料により構成され、
前記照射用耐熱レンズおよび前記受光用耐熱レンズが、ボールレンズからなること、
前記耐熱プリズムが、同一平面上に配設された2n+1個(ただし、nは1以上の自然数)のプリズムからなることを特徴とする、腐食性ガス環境下用光学式ガスセンサ。 - 前記耐熱プリズムが、石英あるいは透明セラミックスにより構成されることを特徴とする請求項5の光学式ガスセンサ。
- 前記照射用耐熱光ファイバおよび前記受光用耐熱光ファイバが、石英系の光ファイバにより構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの光学式ガスセンサ。
- 前記ベース部材が、射出成型および焼結により製作されたセラミックスにより構成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの光学式ガスセンサ。
- 前記照射用耐熱レンズおよび前記受光用耐熱レンズが、石英あるいは透明セラミックスにより構成されたボールレンズからなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの光学式ガスセンサ。
- 高温・高圧下で可燃ガス、空気および水蒸気が混在する環境に請求項1ないし9のいずれかの光学式ガスセンサを設置し、1種以上のガス密度を連続測定することを特徴とするガス濃度監視方法。
- SOX、NOX、NH3、H2Sおよび/またはCl2を含む排ガスの排気管に請求項1ないし9のいずれかの光学式ガスセンサを設置し、SOX、NOX、NH3、H2SおよびCl2からなる群から選択される1種以上のガスの濃度を連続測定することを特徴とするガス濃度監視方法。
- 前記排ガスが、火力発電所のボイラから排出される排ガスであることを特徴とする請求項10のガス濃度監視方法。
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