JP6084319B2 - インスリン分泌促進用食品 - Google Patents

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Description

本発明は、インスリン分泌促進剤に関し、詳細には、特定の範囲のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とするインスリン分泌促進剤に関する。
糖尿病は、I型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)と、II型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)とに大別される。日本人が罹患している糖尿病の大部分は、II型糖尿病である。II型糖尿病は、インスリンの分泌量が低下するインスリン分泌不全や、インスリンの血糖を下げる作用が弱くなるインスリン抵抗性といった症状が進行することで発症する。これらの症状には、遺伝的要因や、偏食、過食、運動不足、ストレス等の環境的要因が大きく関与している。
近年、II型糖尿病の患者数が増加しており、境界型と呼ばれる糖尿病予備軍を含めるとすでに2000万人にも及ぶと言われている。したがって、糖尿病患者のケアだけでなく、糖尿病予備軍を糖尿病に移行させない予防が重要な課題となっている。
一般に、II型糖尿病の治療は、食事療法及び運動療法を基本とした上で薬物療法を行う。日本におけるII型糖尿病の薬物療法としては、インスリン分泌を促進させるスルホニルウレア剤(SU剤)が多く使用されている。これは、日本人のインスリン分泌能力は欧米人に比べて低いからである。しかしながら、SU剤には、低血糖、そう痒感、発疹、体重増加等の副作用の問題があった。糖尿病の薬物療法は、長期間継続して行う必要があるため、継続的に服用しても副作用の懸念がないインスリン分泌促進剤の開発が所望されていた。
このようなインスリン分泌促進剤としては、例えば、特許文献1において、白甘薯の塊根の皮部分から得られる抽出液が有効である旨の報告がなされている。
特許第3677007号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性が高く、継続的に摂取しても副作用の懸念がない、糖尿病の予防等に有効なインスリン分泌促進剤を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するための研究を重ねる過程で、ラットに対して糖負荷を与えると同時に、油脂と、ある特定のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルとを投与すると、油脂のみを投与した場合と比較して、血漿のインスリン濃度の上昇が顕著であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では以下のようなものを提供する。
(1)HLB4〜9のポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有することを特徴とするインスリン分泌促進用食品。
(2) 上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを、油脂とともに含有する(1)に記載のインスリン分泌促進用食品。
(3) 油脂と併用される(1)に記載のインスリン分泌促進用食品。
(4) II型糖尿病の予防又は治療に用いられる(1)から(3)のいずれか1項に記載のインスリン分泌促進用食品。
本発明のインスリン分泌促進剤は、インスリン分泌促進作用に優れるので、特に、II型糖尿病の予防又は治療に有効である。また、本発明のインスリン分泌促進剤によれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有するので、安全性が高く、副作用の懸念がないため、安心して継続的に使用することができる。
(A)ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)投与試行における血漿インスリン濃度の測定結果、(B)トリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)投与試行における血漿インスリン濃度の測定結果を示す図である。 デカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)投与試行における血漿インスリン濃度の測定結果を示す図である。 モノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)投与試行における血漿インスリン濃度の測定結果を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本発明のインスリン分泌促進剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有することを特徴とする。該ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは4〜15であり、好ましくは4〜9である。本発明のインスリン分泌促進剤では、HLB値が4〜15のポリグリセリン脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有してもよい。ここで、HLB値は、界面活性剤における親水性と疎水性のバランスを表す数値であり、例えば、「改訂三版 油脂化学便覧」(日本油化学協会編、丸善発行)に記載された方法により測定することができる。
本発明のインスリン分泌促進剤では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されるものではなく、その炭素数が通常6〜24、好ましくは14〜20、より好ましくは16〜20の飽和及び/又は不飽和脂肪酸である。具体的には、カプロン酸(n−ヘキサン酸)、カプリル酸(n−オクタン酸)、カプリン酸(n−デカン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸等が挙げられる。
本発明のインスリン分泌促進剤では、HLB値が4〜15であれば、市販のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてもよいし、従来公知の方法により製造したポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、グリセリンと脂肪酸とのエステル化やグリセリンと油脂とのエステル交換といった従来公知の方法が挙げられる。以下に、ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法の一例を示すが、これに限定されるものではない。まず、グリセリンと、水酸化ナトリウム(触媒)とを混合し、90℃以上で減圧しながら乾燥させた後、200〜270℃にて重合反応させて、ポリグリセリンを得る。得られたポリグリセリンと、脂肪酸とを、適当な比率で反応容器に仕込み、触媒として水酸化ナトリウム溶液を添加する。次いで、窒素気流下で、200℃以上の温度に加熱し、1〜3時間程度反応させた後、更に内温を250℃以上とし、3〜5時間反応させる。その後、常温まで冷却し、常法により精製し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、常法により調整することができる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、太陽化学社製の「サンソフトA−186E」、「サンソフトQ−175S」、「サンソフトQ−185S」、「サンソフトQ−17B」、「サンソフトQ−18B」、「サンソフトQ−18D」、「サンソフトA−173E」、「サンソフトQ−182S」、「サンソフトQ−17S」、「サンソフトA−171E」、「サンソフトA−121E」、「サンソフトQ−14S」等が挙げられる。
本発明のインスリン分泌促進剤では、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの性状は、特に限定されるものではなく、例えば、油状、ペースト状、粉末状、顆粒状等が挙げられる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと、天然植物油脂由来の脂肪酸とから得られるエステルであり、従来から食品用乳化剤として使用されている。食品添加物として古くから認められており、安全性が高く、問題となるような副作用は知られていない。本発明のインスリン分泌促進剤は、このようなポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有するので、継続的に摂取しても副作用の懸念がない。
本発明のインスリン分泌促進剤は、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを、油脂とともに含有することが好ましい。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、糖(グルコース)を摂取する際に、油脂と併用されることで、インスリンの分泌促進効果を発揮する。したがって、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂とともに含有する、本発明のインスリン分泌促進剤によれば、インスリンの分泌促進効果をより確実に発揮させることができる。油脂の種類は、特に限定されるものではないが、植物油脂であることが好ましく、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ヤシ油、パーム油、米油、ゴマ油、綿実油、ひまわり油、紅花油、亜麻仁油、シソ油、オリーブ油、落花生油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、米糠油、小麦胚芽油等の1種又は2種以上の混合油脂が挙げられる。また、これらの分別油、硬化油、エステル交換油等を用いることもできる。これらの中でも20℃で液状である油脂がハンドリング性という観点において好ましい。
本発明のインスリン分泌促進剤が、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂とともに含有する場合、該油脂と、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとの割合(質量比)は、99.5:0.5〜98:2であることが好ましい。上記範囲であれば、糖尿病の予防等に有効なインスリン分泌促進作用を得ることができる。
本発明のインスリン分泌促進剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の公知の乳化剤を含有してもよい。該乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、サポニン、植物ステロール類等が挙げられる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、油脂と併用されることで、糖摂取時の血漿のインスリン濃度を顕著に上昇させる作用を発揮する。このようなポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有する本発明のインスリン分泌促進剤は、インスリン分泌量を高める必要がある糖尿病又はその予備軍に該当するヒトを含む動物に対して有効に作用するが、特にインスリンの分泌量が低下するインスリン分泌不全を伴うII型糖尿病の予防又は治療に対して効果を発揮すると考えられる。ここで、予防とは、例えば、発症の抑制、遅延等を意味し、治療とは、例えば、進行の遅延、症状の緩和、軽減、改善等を意味する。
糖尿病の薬物療法は、長期間継続して行う必要があるため、薬剤には、継続的に服用しても副作用の懸念がないことが求められる。本発明のインスリン分泌促進剤は、安全性が高く、副作用の懸念のない、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有するので、安心して継続的に服用することができる。また、服用のコントロールが容易であるので、II型糖尿病の治療における食事療法と運動療法とを組み合わせた薬物療法に好適である。
本発明のインスリン分泌促進剤の投与経路としては、経口投与が好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは分解された後、その大部分が腸管(小腸)の粘膜を通して体内に吸収されるからである。経口投与に適する製剤としては、例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤等が挙げられる。有効成分である上記ポリグリセリン脂肪酸エステルと、薬理上及び製剤上許容しうる添加物と、を含む医薬品組成物の形態の製剤とすることが好ましい。更に、上記油脂を含む医薬品組成物の形態の製剤としてもよい。薬理上及び製剤上許容しうる添加物としては、例えば、ブドウ糖、乳糖、結晶セルロース、デンプン等の賦形剤、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、色素、希釈剤等が挙げられ、通常、製剤分野において常用され、且つ上記ポリグリセリン脂肪酸エステルと反応しない物質が用いられる。
上記したように、本発明のインスリン分泌促進剤は、安全性が高く、既存のインスリン分泌促進剤のような副作用もないので、既存薬と組み合わせて用いることにより、該既存薬の用量を下げて、これらが有する副作用を低減することができる。他の薬との組み合わせは、配合剤のように同一の医薬組成物中に含むものであってもよいし、別々の医薬組成物中に含むものであってもよい。
本発明のインスリン分泌促進剤の投与量は、患者の症状、予防又は治療、年齢、体重、投与方法、投与期間等の諸条件に応じて、適宜選択可能である。例えば、ヒト(成人60kg)の治療を目的とする場合には、有効量は、通常、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、5〜20mg/kg体重/日であり、この量を1回又は数回に分けて投与すればよい。なお、本発明のインスリン分泌促進剤は、食前又は食事中に投与すると効果的である。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、糖尿病患者又はその予備軍を対象とするインスリン分泌促進用食品の製造のために使用することができる。例えば、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、単独又は上記油脂とともに、ソフトカプセルに充填・加工することにより、健康食品として摂取することができる。また、例えば、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルと上記油脂とを液状乳化油脂に加工したり、該液状乳化油脂を更に粉末状に加工することにより、直接摂取したり、これらを更に一般食品に利用し、加工することにより、間接的に摂取したりすることもできる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用して製造することができる一般食品としては、特に限定されるものではなく、例えば、パン、ケーキ、クッキー、ビスケット、ドーナツ、マフィン、スコーン、チョコレート、スナック菓子、ホイップクリーム、アイスクリーム等のパン・菓子類、果汁飲料、栄養ドリンク、スポーツドリンク等の飲料類、スープ類、ドレッシング、ソース、マヨネーズ、バター、マーガリン、調製マーガリン等の調味加工食品、ファットスプレッド、ショートニング、ベーカリーミックス、炒め油、フライ油、フライ食品、加工肉製品、冷凍食品、フライ食品、麺、レトルト食品、流動食、嚥下食等が挙げられる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを、糖尿病患者又はその予備軍を対象とするインスリン分泌促進用食品の製造のために使用する場合、成人(体重60kg)1人当たりの1日の摂取量は、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、5〜20mg/kg体重であることが好ましい。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有する本発明のインスリン分泌促進剤は、油脂と併用されることが好ましい。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、油脂と併用されることで、糖摂取時の血漿のインスリン濃度を顕著に上昇させる作用を発揮する。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルが油脂と併用されるためには、例えば、上述したように、剤中に上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂とともに含有させるか、あるいは、剤中に油脂を含まない場合、含まれる場合であっても適量含まない場合等には、油脂を食品等として、別途、摂取するとよい。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
[試験例1]血漿インスリン分泌促進効果の検討(1)
ラットに対して、糖負荷と同時に、油脂又は油脂とポリグリセリン脂肪酸エステルであるヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)を投与することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステルの血漿インスリン分泌に対する効果の検討を行った。
<製造例1>試料1の製造方法
40%グルコース(D(+)−Glucose,和光純薬社製)溶液10mlに、油脂(商品名:日清キャノーラ油,長鎖脂肪酸トリグリセライド(LCT),日清オイリオグループ社製)2gと、牛血清アルブミン(SIGMA社製)200mgとを添加し、得られた溶液を氷上で冷却しながら超音波処理(5分間を2セット、合計10分間)し、試料1を得た。
<製造例2>試料2の製造方法
40%グルコース(D(+)−Glucose,和光純薬社製)溶液10mlに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(商品名:サンソフトA−186E,HLB:4,太陽化学社製)20mgと、油脂(商品名:日清キャノーラ油,長鎖脂肪酸トリグリセライド(LCT),日清オイリオグループ社製)2gと、牛血清アルブミン(SIGMA社製)200mgとを添加し、得られた溶液を氷上で冷却しながら超音波処理(5分間を2セット、合計10分間)し、試料2を得た。
試験には、7週齢のSD系雄性ラット(日本SLC社より購入)を用いた。該ラット(11匹)を1週間馴化飼育した後、8週齢及び9週齢に、試料1及び試料2の投与を行う糖負荷試験をクロスオーバー法にて行った。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステルの効果を同一個体で比較できるように、最初の糖負荷試験後、1週間のWash−Out期間を設けて2回目の糖負荷試験を行う、クロスオーバー法を採用した。飼育期間中は、温度23±1℃、湿度50±10%、12時間明暗サイクル(8:00〜20:00照明)の環境下でステンレス製メッシュケージにて個別飼育した。水及び固形飼料(商品名:PicoLab Rodent Diet 20 5053,日本SLC社製)は自由摂取とした。試験前日は17:00から絶食を行い、試験当日は10:00から投与を開始した。
試験は、糖負荷と同時に油脂の投与を行う「対照試行(試料1投与試行)」と、糖負荷と同時に油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルであるヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)の投与を行う「ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)投与試行(試料2投与試行)」との2試行にて行った。試料1及び2は、ゾンデを用いてラットに経口投与した。投与量は、ラットの体重1g当たり6μlとした。なお、最終的投与量は、ラットの体重1kg当たり、糖質が2g、脂質が1g、及びヘキサステアリン酸ペンタグリセリンが0.01gであった。
そして、投与前及び投与20分後に尾静脈から採血を行い、血漿インスリン濃度(ng/ml)を測定した。なお、血漿インスリン濃度の測定は、市販のキット(商品名:Rat Insulin ELISA kit,Mercodia社製)を用いてELISA法により行った。試験結果を図1(A)に示す。なお、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行における血漿インスリン濃度増加量の平均値を100とした相対値(%)とし、相対値の平均値±標準誤差で表した。試行間の有意差検定には、Student t−test検定を用い、危険率5%未満を持って有意差ありと判断した。
図1(A)に示すように、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行と比較して有意に(P<0.01)高値を示した。このことから、HLB値が4のポリグリセリン脂肪酸エステルであるヘキサステアリン酸ペンタグリセリンによれば、血漿へのインスリン分泌が促進されることが明らかとなった。なお、対照試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は1.33±0.13ng/mlであり、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリン(HLB:4)投与試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は1.65±0.11ng/mlであった。
[試験例2]血漿インスリン分泌促進効果の検討(2)
ラットに対して、糖負荷と同時に、油脂又は油脂とポリグリセリン脂肪酸エステルであるトリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)を投与することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステルの血漿インスリン分泌に対する効果の検討を行った。
<製造例3>試料3の製造方法
40%グルコース(D(+)−Glucose,和光純薬社製)溶液10mlに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてトリオレイン酸ペンタグリセリン(商品名:サンソフトA−173E,HLB:7,太陽化学社製)20mgと、油脂(商品名:日清キャノーラ油,長鎖脂肪酸トリグリセライド(LCT),日清オイリオグループ社製)2gと、牛血清アルブミン(SIGMA社製)200mgとを添加し、得られた溶液を氷上で冷却しながら超音波処理(5分間を2セット、合計10分間)し、試料3を得た。
試験には、7週齢のSD系雄性ラット(日本SLC社より購入)を用いた。該ラット(17匹)を1週間馴化飼育した後、8週齢及び9週齢に、試料1及び試料3の投与を行う糖負荷試験をクロスオーバー法にて行った。飼育条件は、試験例1と同様とした。
試験は、糖負荷と同時に油脂の投与を行う「対照試行(試料1投与試行)」と、糖負荷と同時に油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルであるトリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)の投与を行う「トリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)投与試行(試料3投与試行)」の2試行にて行った。試料の投与方法及び投与量は、試験例1と同様とした。
そして、投与前及び投与20分後に尾静脈から採血を行い、試験例1と同様の方法にて血漿インスリン濃度(ng/ml)を測定した。試験結果を図1(B)に示す。なお、トリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行における血漿インスリン濃度増加量の平均値を100とした相対値(%)とし、相対値の平均値±標準誤差で表した。試行間の有意差検定には、Student t−test検定を用い、危険率5%未満を持って有意差ありと判断した。
図1(B)に示すように、トリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行と比較して有意に(P<0.01)高値を示した。このことから、HLB値が7のポリグリセリン脂肪酸エステルであるトリオレイン酸ペンタグリセリンによれば、血漿へのインスリン分泌が促進されることが明らかとなった。なお、対照試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は1.32±0.14ng/mlであり、トリオレイン酸ペンタグリセリン(HLB:7)投与試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は2.02±0.20ng/mlであった。
[試験例3]血漿インスリン分泌促進効果の検討(3)
ラットに対して、糖負荷と同時に、油脂又は油脂とポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)とを投与することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステルの血漿インスリン分泌に対する効果の検討を行った。
<製造例4>試料4の製造方法
40%グルコース(D(+)−Glucose,和光純薬社製)溶液10mlに、デカオレイン酸デカグリセリン(商品名:サンソフトQ−1710S,HLB:3,太陽化学社製)20mgと、油脂(商品名:日清キャノーラ油,長鎖脂肪酸トリグリセライド(LCT),日清オイリオグループ社製)2gと、牛血清アルブミン(SIGMA社製)200mgとを添加し、得られた溶液を氷上で冷却しながら超音波処理(5分間を2セット、合計10分間)し、試料4を得た。
試験には、7週齢のSD系雄性ラット(日本SLC社より購入)を用いた。該ラット(10匹)を1週間馴化飼育した後、8週齢及び9週齢に、試料1及び試料4の投与を行う糖負荷試験をクロスオーバー法にて行った。飼育条件は、試験例1と同様とした。
試験は、糖負荷と同時に油脂の投与を行う「対照試行(試料1投与試行)」と、糖負荷と同時に油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)の投与を行う「デカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)投与試行(試料4投与試行)」との2試行にて行った。試料の投与方法及び投与量は、試験例1と同様とした。
そして、投与前及び投与20分後に尾静脈から採血を行い、試験例1と同様の方法にて血漿インスリン濃度(ng/ml)を測定した。試験結果を図2に示す。なお、デカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行における血漿インスリン濃度増加量の平均値を100とした相対値(%)とし、相対値の平均値±標準誤差で表した。試行間の有意差検定には、Student t−test検定を用い、危険率5%未満を持って有意差ありと判断した。
図2に示すように、デカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)投与試行における血漿インスリン濃度は、有意な差は認められないものの、対照試行と比較して低値を示した。このことから、デカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)には、インスリン分泌を促進する作用がないことが明らかとなった。なお、対照試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は1.38±0.16ng/mlであり、デカオレイン酸デカグリセリン(HLB:3)投与試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は1.26±0.13ng/mlであった。
[試験例4]血漿インスリン分泌促進効果の検討(4)
ラットに対して、糖負荷と同時に、油脂又は油脂とポリグリセリン脂肪酸エステルであるモノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)を投与することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステルの血漿インスリン分泌に対する効果の検討を行った。
<製造例5>試料5の製造方法
40%グルコース(D(+)−Glucose,和光純薬社製)溶液10mlに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてモノオレイン酸テトラグリセリン(商品名:SYグリスターMO−3S,HLB:8.8,阪本薬品工業社製)20mgと、油脂(商品名:日清キャノーラ油,長鎖脂肪酸トリグリセライド(LCT),日清オイリオグループ社製)2gと、牛血清アルブミン(SIGMA社製)200mgとを添加し、得られた溶液を氷上で冷却しながら超音波処理(5分間を2セット、合計10分間)し、試料5を得た。
試験には、7週齢のSD系雄性ラット(日本SLC社より購入)を用いた。該ラット(17匹)を1週間馴化飼育した後、8週齢及び9週齢に、試料1及び試料5の投与を行う糖負荷試験をクロスオーバー法にて行った。飼育条件は、試験例1と同様とした。
試験は、糖負荷と同時に油脂の投与を行う「対照試行(試料1投与試行)」と、糖負荷と同時に油脂及びポリグリセリン脂肪酸エステルであるモノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)の投与を行う「モノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)投与試行(試料5投与試行)」の2試行にて行った。試料の投与方法及び投与量は、試験例1と同様とした。
そして、投与前及び投与20分後に尾静脈から採血を行い、試験例1と同様の方法にて血漿インスリン濃度(ng/ml)を測定した。試験結果を図3に示す。なお、モノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行における血漿インスリン濃度増加量の平均値を100とした相対値(%)とし、相対値の平均値±標準誤差で表した。試行間の有意差検定には、Student t−test検定を用い、危険率5%未満を持って有意差ありと判断した。
図3に示すように、モノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)投与試行における血漿インスリン濃度増加量は、対照試行と比較して有意に(P<0.01)高値を示した。このことから、HLB値が8.8のポリグリセリン脂肪酸エステルであるモノオレイン酸テトラグリセリンによれば、血漿へのインスリン分泌が促進されることが明らかとなった。なお、対照試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は0.71±0.06ng/mlであり、モノオレイン酸テトラグリセリン(HLB:8.8)投与試行の血漿インスリン濃度増加量の平均値(絶対値)は1.35±0.20ng/mlであった。

Claims (4)

  1. HLB4〜9のポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有することを特徴とするインスリン分泌促進用食品。
  2. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを、油脂とともに含有する請求項1に記載のインスリン分泌促進用食品。
  3. 油脂と併用される請求項1に記載のインスリン分泌促進用食品。
  4. II型糖尿病の予防又は治療に用いられる請求項1から3のいずれか1項に記載のインスリン分泌促進用食品。
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