以下、本発明の一側面に係る原稿搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された原稿搬送装置100を示す斜視図である。
原稿搬送装置100は、画像読取装置の一例である。原稿搬送装置100は、上側筐体101、下側筐体102、原稿台103、排出台105、複数の操作ボタン106及び表示装置107等を備える。
上側筐体101は、原稿搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、原稿つまり時、原稿搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体102に係合している。
原稿台103は、原稿を載置可能に下側筐体102に係合している。原稿台103には、原稿の搬送方向と直行する方向に移動可能なサイドガイド104a及び104bが設けられている。以下では、サイドガイド104a及び104bを総じてサイドガイド104と称する場合がある。
排出台105は、矢印A1で示す方向に回転可能なように、ヒンジにより下側筐体102に係合しており、図1のように開いている状態では、排出された原稿を保持することが可能となる。
複数の操作ボタン106は、それぞれ上側筐体101の表面に配置され、押下されると、各ボタンに応じた操作検出信号を生成して出力する。
表示装置107は、液晶、有機EL等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、原稿搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
原稿搬送装置100内部の搬送経路は、接触センサ111、給送ローラ112a、112b、ブレーキローラ113a、113b、第1発光器114a、第1受光器114b、超音波送信器115a、超音波受信器115b、第1搬送ローラ116a、116b、第1従動ローラ117a、117b、第2発光器118a、第2受光器118b、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第1照明装置120a、第2照明装置120b、第2搬送ローラ121a、121b及び第2従動ローラ122a、122b等を有している。
以下では、給送ローラ112a及び112bを総じて給送ローラ112と称する場合がある。また、ブレーキローラ113a及び113bを総じてブレーキローラ113と称する場合がある。また、第1搬送ローラ116a及び116bを総じて第1搬送ローラ116と称する場合がある。また、第1従動ローラ117a及び117bを総じて第1従動ローラ117と称する場合がある。また、第2搬送ローラ121a及び121bを総じて第2搬送ローラ121と称する場合がある。また、第2従動ローラ122a及び122bを総じて第2従動ローラ122と称する場合がある。
上側筐体101の下面は原稿の搬送路の上側ガイド108aを形成し、下側筐体102の上面は原稿の搬送路の下側ガイド108bを形成する。図2において矢印A2は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A2の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A2の下流のことをいう。
接触センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置され、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。接触センサ111は、原稿台103に原稿が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1原稿検出信号を生成して出力する。
第1発光器114a及び第1受光器114bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113の下流側、かつ第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の上流側に、原稿の搬送路を挟んで対向するように配置される。第1発光器114aは、第1受光器114bに向けて光を放射する。第1受光器114bは、第1発光器114aから放射された光を検出し、検出した光に応じた電気信号である第2原稿検出信号を生成して出力する。即ち、第2原稿検出信号は、第1発光器114aと第1受光器114bの間に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する信号である。以下では、第1発光器114a及び第1受光器114bを総じて第1光センサ114と称する場合がある。
超音波送信器115a及び超音波受信器115bは、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向するように配置される。超音波送信器115aは超音波を送信する。一方、超音波受信器115bは、超音波送信器115aにより送信され、原稿を通過した超音波を検出し、検出した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波送信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
第2発光器118a及び第2受光器118bは、第1搬送ローラ116及び第1従動ローラ117の下流側、かつ第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bの上流側に、原稿の搬送路を挟んで対向するように配置される。第2発光器118aは、第2受光器118bに向けて光を放射する。第2受光器118bは、第2発光器118aから放射された光を検出し、検出した光に応じた電気信号である第3原稿検出信号を生成して出力する。即ち、第3原稿検出信号は、第2発光器118aと第2受光器118bの間に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する信号である。以下では、第2発光器118a及び第2受光器118bを総じて第2光センサ118と称する場合がある。
第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは、原稿の裏面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力する。同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは、原稿の表面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力する。なお、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、原稿の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。以下では、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを総じて撮像装置119と称する場合がある。
第1照明装置120aは、原稿の裏面を照らす光源と、原稿の表面に対して用いられる裏当てとを有し、第1撮像装置119aと原稿搬送路の間であり且つ第2撮像装置119bと対向する位置に設けられる。同様に、第2照明装置120bは、原稿の表面を照らす光源と、原稿の裏面に対して用いられる裏当てとを有し、第2撮像装置119bと原稿搬送路の間であり且つ第1撮像装置119aと対向する位置に設けられる。以下では、第1照明装置120a及び第2照明装置120bを総じて照明装置120と称する場合がある。
原稿台103に載置された原稿は、給送ローラ112が図2の矢印A3の方向に回転することによって、上側ガイド108aと下側ガイド108bの間を原稿搬送方向A2に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、原稿搬送時、図2の矢印A4の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給送ローラ112と接触している原稿のみが分離される。これにより、分離された原稿以外の原稿の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。給送ローラ112及びブレーキローラ113は、原稿の分離部として機能する。
原稿は、上側ガイド108aと下側ガイド108bによりガイドされながら、第1搬送ローラ116と第1従動ローラ117の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ116が図2の矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置119aと第2撮像装置119bの間に送り込まれる。撮像装置119により読み取られた原稿は、第2搬送ローラ121が図2の矢印A6の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
図3〜図5は、撮像装置119及び照明装置120について説明するための模式図である。
図3に示すように、第1照明装置120aは、第1ガラス面201a、第1光源202a、203a、第1裏当て204a、第1壁部205aを有する。第1裏当て204aは、第2撮像装置119bと対向する位置に設けられ、第2撮像装置119bと対向する対向面206aを有する。対向面206aは、白色を有する。第1裏当て204aは、第1裏当て204aを回転させる第1カム207aに、第1カム207aの回転軸208aを介して接続され、第1カム207aの回転に応じて矢印A7の方向に回転可能に設けられている。第1壁部205aは、第1裏当て204aが、図4、図5に示すように、矢印A7の方向に回転して、第2撮像装置119bと対向する位置から外れたときに、第2撮像装置119bと対向する位置に設けられる。第1壁部205aの第2撮像装置119bと対向する面は、黒色を有する。
同様に、第2照明装置120bは、第2ガラス面201b、第2光源202b、203b、第2裏当て204b、第2壁部205bを有する。第2裏当て204bは、第1撮像装置119aと対向する位置に設けられ、第1撮像装置119aと対向する対向面206bを有する。対向面206bは、白色を有する。第2裏当て204bは、第2裏当て204bを回転させる第2カム207bに、第2カム207bの回転軸208bを介して接続され、第2カム207bの回転に応じて矢印A8の方向に回転可能に設けられている。第2壁部205bは、第2裏当て204bが、図4、図5に示すように、矢印A8の方向に回転して、第1撮像装置119aと対向する位置から外れたときに、第1撮像装置119aと対向する位置に設けられる。第2壁部205bの第1撮像装置119aと対向する面は、黒色を有する。
以下では、第1ガラス面201a及び第2ガラス面201bを総じてガラス面201と称する場合がある。また、以下では、第1裏当て204a及び第2裏当て204bを総じて裏当て204と称する場合がある。また、以下では、第1壁部205a及び第2壁部205bを総じて壁部205と称する場合がある。また、以下では、対向面206a及び対向面206bを総じて対向面206と称する場合がある。また、以下では、第1カム207a及び第2カム207bを総じてカム207と称する場合がある。
第1撮像装置119aは、第1ミラー211a〜214a、第1レンズ群215a及び第1撮像素子216a等を有する。
図3に示す状態において、原稿が搬送されていない場合、第1光源202a、203aから放射された光は、第2裏当て204bの対向面206bで反射し、第1ミラー211a〜214a及び第1レンズ群215aを介して第1撮像素子216aに結像する。この際に生成される画像信号に基づく画像は、原稿を読み取った読取画像を補正するための白基準画像として用いられる。以下では、裏当て204の対向面206を撮像装置119と対向させて撮像装置119が白基準画像を取得可能な位置を対向位置と称する。
また、図4に示すように、第2裏当て204bを、第2カム207bの回転に応じて矢印A8の方向に回転させると、第2裏当て204bの対向面206bが対向位置から外れる。図5に示すように、第2裏当て204bをさらに矢印A8の方向に回転させると、第1光源202a、203aから放射された光は、第2壁部205bで反射し、第1撮像素子216aに結像する。この際に生成される画像信号に基づく画像は、読取画像を補正するための黒基準画像として用いられる。以下では、裏当て204の対向面206を対向位置から外して撮像装置119が黒基準画像を取得可能な位置を非対向位置と称する。
また、原稿搬送中に、第1光源202a、203aから放射された光は、搬送された原稿で反射し、第1撮像素子216aに結像する。この際に生成される画像信号に基づく画像は、原稿を読み取った読取画像として用いられる。なお、図3のように第2裏当て204bが対向位置に位置する場合、原稿搬送方向と直交する方向において原稿が存在しない位置では、第1光源202a、203aから放射された光は、対向面206bで反射し、第1撮像素子216aに結像する。この場合、読取画像における原稿の背景色は白色になる。一方、図5のように第2裏当て204bが非対向位置に位置する場合、原稿搬送方向と直交する方向において原稿が存在しない位置では、第1光源202a、203aから放射された光は、第2壁部205bで反射し、第1撮像素子216aに結像する。この場合、読取画像における原稿の背景色は黒色になる。
第2撮像装置119bの構成は、第1撮像装置119aの構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
なお、裏当て204は、図3に示すように対向位置では対向面206とガラス面201が平行になり、図5に示すように非対向位置では対向面206とガラス面201のなす角度θが90°より大きくなるように(例えば100°)設けられる。非対向位置において対向面206bと第2ガラス面201bのなす角度を90°より大きくすることにより、第1光源202a、203aから放射された光が対向面206bに当たって反射することを完全に防止することができる。したがって、裏当て204が非対向位置に位置する際に取得される画像の輝度値を0に近付けることができる。
図6は、裏当て204及びカム207の構造について説明するための模式図である。
図6に示す下側部品230は、下側筐体102の外装部分(フレーム)の内側に存在する部品であり、第2照明装置120bを有する。図6に示すように、下側部品230では、第2カム207bが、第2照明装置120bの第2裏当て204bの長手方向A9の端部に、第2裏当て204bの長手方向A9と直交するように設けられ、第2裏当て204bの長手方向A9と平行な軸を中心に回転する。
同様に、上側筐体101の外装部分(フレーム)の内側に存在する上側部品は、第1照明装置120aを有する。そして、上側部品では、第1カム207aが、第1照明装置120aの第1裏当て204aの長手方向の端部に、第1裏当て204aの長手方向と直交するように設けられ、第1裏当て204aの長手方向と平行な軸を中心に回転する。
図7A〜C、図8A〜Cは、上側部品250及び下側部品230を原稿搬送方向と直交する方向から見た模式図である。
図7Aに示すように、下側部品230の側面には、裏当て駆動装置231、第1ギア232、第2ギア233、第3カム234、伝達部材235、第1ボス237a、第2ボス237b及び第2カム207bが設けられている。また、上側部品250の側面には、固定部材236及び第1カム207aが設けられている。第1ギア232は、裏当て駆動装置231の回転軸に取り付けられている。第2ギア233は第1ギア232と係合され、第3カム234は第2ギア233と係合され、伝達部材235は第3カム234と接続されている。
また、第1カム207a及び第2カム207bは、それぞれ伝達部材235と当接される被当接部239a及び239bを有する。固定部材236は、上側部品250に固定されており、伝達部材235と当接される第2被当接部241を有する。一方、伝達部材235は、第1カム207aの被当接部239aと当接する当接部240a、及び、固定部材236の第2被当接部241と当接する第2当接部242aを有する第1アーム238aを有する。さらに、伝達部材235は、第2カム207bの被当接部239bと当接する当接部240bを有する第2アーム238bを有する。
カム207にはバネ(不図示)により矢印A15、16と反対方向の力が加えられており、図7Aに示すように伝達部材235がカム207に当接していない状態において、カム207は図7Aに示す状態で係止する。これにより、図7Aに示す状態では、裏当て204は対向位置にセットされる。
また、この状態において、伝達部材235には、自重により矢印A14と反対方向の力が加わる。この状態では、伝達部材235は、図7Aに示す状態で係止する。
裏当て駆動装置231は、駆動部の一例であり、1つ又は複数のモータを含み、第1ギア232を回転させる。図7Aに示す状態で裏当て駆動装置231を正回転させた場合、裏当て駆動装置231からの駆動力によって、第1ギア232が矢印A11の方向に回転し、第2ギア233が矢印A12の方向に回転し、第3カム234が矢印A13の方向に回転する。これに伴い、伝達部材235は、矢印A14の方向にスライド移動する。これにより、図7Bに示すように、伝達部材235の第1アーム238a及び第2アーム238bの先端がそれぞれ第1カム207aの被当接部239a及び第2カム207bの被当接部239bに当接する。被当接部239a及び被当接部239bが第1アーム238a及び第2アーム238bの先端に突き上げられることにより、第1カム207a及び第2カム207bは矢印A15及び矢印A16の方向に回転する。
図7Cに示すように、第3カム234は矢印A13の方向に回転し、伝達部材235は矢印A14の方向にスライド移動していく。これにより、第1カム207a及び第2カム207bは図7Cに示す状態まで回転し、図7Cに示す状態では、第1裏当て204a及び第2裏当て204bは非対向位置にセットされる。伝達部材235は、第1アーム238aの当接部240a及び第2アーム238bの当接部240bをそれぞれ第1カム207aの被当接部239a及び第2カム207bの被当接部239bに当接させる。さらに、伝達部材235は、第1アーム238aの第2当接部242aを固定部材236の第2被当接部241に当接させる。この状態において、当接部240aと被当接部239aがなす角度、及び、当接部240bと被当接部239bがなす角度は、90°より大きい(例えば100°)。これにより、上記したように、撮像装置119の光源から放射された光が対向面206に当たって反射することを完全に防止でき、裏当て204が非対向位置に位置する際に取得される画像の輝度値を0に近付けることができる。
これによって、当接部240aと被当接部239aの間の摩擦力、当接部240bと被当接部239aの間の摩擦力及び第2当接部242aと第2被当接部241の間の摩擦力が、伝達部材235に係る重力を超えて、伝達部材235は支持される。したがって、伝達部材235は、裏当て駆動装置231への電力の供給が遮断された場合であっても第1カム207a及び第2カム207bを停止させて第1カム207a及び第2カム207bを対向位置に係止させる。なお、伝達部材235を支持する力は、伝達部材235とチェンジリンク(不図示)の間、チェンジリンクと第3カム234の間、第3カム234と第2ギア233の間、第2ギア233と第1ギア232の間の摩擦力によって補強される。さらに、伝達部材235を支持する力は、第1ギア232と駆動装置231の間の摩擦力、及び、駆動装置231のディテントトルクによっても補強される。
逆に、図8Aに示すように第1カム207a及び第2カム207bを回転させた状態で裏当て駆動装置231を逆回転させた場合、第1ギア232、第2ギア233及び第3カム234には、それぞれ矢印A21、A22及びA23の方向に回転する駆動力が加わる。裏当て駆動装置231による駆動力は、当接部240aと被当接部239aの間の摩擦力、当接部240bと被当接部239aの間の摩擦力及び第2当接部242aと第2被当接部241の間の摩擦力を超える。これにより、図8B、図8Cに示すように、伝達部材235は矢印A24の方向にスライド移動し、第1カム207a及び第2カム207bはバネの力により矢印A25、A26の方向に回転していく。そして、図8Cに示す状態では、第1裏当て204a及び第2裏当て204bは、対向位置にセットされる。
このように、裏当て駆動装置231は、裏当て204を対向位置と非対向位置との間で切り替える。
図9は、原稿搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
原稿搬送装置100は、前述した構成に加えて、第1A/D変換器140a、第2A/D変換器140b、搬送駆動装置141、インタフェース装置142、記憶装置143及びCPU(Central Processing Unit)150等をさらに有する。
第1A/D変換器140aは、第1撮像装置119aから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、CPU150に出力する。同様に、第2A/D変換器140bは、第2撮像装置119bから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、CPU150に出力する。これらのデジタルの画像データが読取画像として用いられる。以下では、第1A/D変換器140a及び第2A/D変換器140bを総じてA/D変換器140と称する場合がある。
搬送駆動装置141は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ121を回転させて原稿の搬送動作を行う。
インタフェース装置142は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置142の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置143は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置143には、原稿搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置143にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。さらに、記憶装置143には、読取画像が格納される。
CPU150は、予め記憶装置143に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
CPU150は、操作ボタン106、接触センサ111、第1光センサ114、超音波センサ115、第2光センサ118、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第1A/D変換器140a、第2A/D変換器140b、搬送駆動装置141、インタフェース装置142、記憶装置143及び裏当て駆動装置231等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、搬送駆動装置141及び裏当て駆動装置231の駆動制御、撮像装置119の原稿読取制御等を行い、読取画像を取得する。
図10は、CPU150の概略構成を示す図である。
図10に示すように、CPU150は、制御部151、画像生成部152及び重送判定部153等を有する。これらの各部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
図11は、裏当て調整処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図11に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100の全体処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置143に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。図11に示す動作のフローは、装置起動時に実行される。なお、図11に示す動作のフローは、原稿読取処理が実行されていない任意のタイミングに、定期的に、又は利用者からの指示に従って、実行されてもよい。
最初に、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS101)。
次に、制御部151は、取得した画像が、裏当て204の対向面206を撮像した白基準画像であるか否かを判定する(ステップS102)。
制御部151は、撮像装置119が取得した画像の所定領域内の各画素のRGBの各色成分を抽出し、各色成分毎に各画素の階調値の平均値を算出する。制御部151は、各色成分の平均値がそれぞれ各色成分毎に予め定められた閾値以上である場合、取得した画像が白基準画像であると判定する。所定領域は、光源から受ける光量の安定した領域(例えば取得した画像の中心に位置する画素から100画素以内の領域)に定められる。また、各色成分毎の閾値は、白色を表すとみなされる階調値に設定される。このように、制御部151は、撮像装置119が取得した画像に基づいて白基準画像を検出する。
なお、制御部151は、RGBの各色成分の階調値の平均値に基づいて白基準画像を判定するのではなく、何れか一つの色成分の階調値の平均値に基づいて白基準画像を判定してもよい。その場合、制御部151は、白基準画像の検出処理の処理負荷を低減することができる。なお、白色の画像における階調値と黒色の画像における階調値の変動幅は、RGBの各色成分の中でG成分において最も大きくなる。そのため、制御部151は、G成分の階調値の平均値に基づいて白基準画像を判定することにより、白基準画像の検出精度の低減を抑制しつつ、検出処理の処理負荷を低減することができる。
また、制御部151は、画像の所定領域内の各画素に基づいて白基準画像を判定するのではなく、画像全体の各画素に基づいて白基準画像を判定してもよい。または、制御部151は、画像内の一画素に基づいて白基準画像を判定してもよい。また、制御部151は、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bの両方が取得した画像に基づいて白基準画像を判定するのではなく、何れか一方の撮像装置が取得した画像に基づいて白基準画像を判定してもよい。これらによっても、制御部151は、白基準画像の検出処理の処理負荷を低減することができる。
取得した画像が白基準画像である場合、裏当て204は既に対向位置付近に存在していると推定される。この場合、制御部151は、裏当て204をより精度良く対向位置にセットするために、以下のステップS103〜S106の処理を実行する。一方、取得した画像が白基準画像でない場合、ステップS103〜S106の処理は省略される。
制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、処理をステップS107に移行する。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、裏当て駆動装置231を、逆回転するように、即ち裏当て204を対向位置側から非対向位置側に回転させるように、駆動する(ステップS103)。
次に、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS104)。
次に、制御部151は、ステップS102と同様にして、取得した画像が白基準画像であるか否かを判定する(ステップS105)。なお、制御部151は、取得した画像から算出した階調値の平均値と、その直前に取得していた画像から算出した階調値の平均値との差が閾値未満であるか否かをさらに判定してもよい。制御部151は、算出した差が閾値未満である場合、取得した画像は変化しておらず、白基準画像であると判定する。
制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、裏当て204はまだ対向位置に存在していると判定し、処理をステップS104に戻し、ステップS104〜S105の処理を繰り返す。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、裏当て204は対向位置から外れたと判定し、裏当て駆動装置231の駆動を一旦停止させる(ステップS106)。
次に、制御部151は、裏当て駆動装置231を、正回転するように、即ち裏当て204を非対向位置側から対向位置側に回転させるように、駆動する(ステップ107)。
次に、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS108)。
次に、制御部151は、ステップS102と同様にして、取得した画像が白基準画像であるか否かを判定する(ステップS109)。なお、制御部151は、取得した画像から算出した階調値の平均値と、その直前に取得していた画像から算出した階調値の平均値との差が閾値未満であるか否かをさらに判定してもよい。制御部151は、算出した差が閾値以上である場合、裏当て204はまだ回転しており、対向位置に到達していないと判定し、取得した画像は白基準画像でないと判定する。
制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、即ち白基準画像を検出しなかった場合、処理をステップS108に戻し、ステップS108〜S109の処理を繰り返す。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、即ち白基準画像を検出した場合、裏当て駆動装置231の駆動を停止させる(ステップS110)。なお、制御部151は、裏当て駆動装置231への電力の供給を遮断することにより、裏当て駆動装置231の駆動を停止させる。裏当て駆動装置231は、電流供給回路(不図示)と接続され、電流供給回路から電流が供給されている場合に駆動する。制御部151は、電流供給回路に対して、裏当て駆動装置231への電流の供給の停止を指示することにより、裏当て駆動装置231への電力の供給を遮断する。前述した通り、裏当て駆動装置231への電力の供給を遮断した場合であっても、カム207は停止し、裏当て204は対向位置に係止する。
次に、制御部151は、白基準画像を検出した、裏当て204の位置を対向位置に決定し(ステップS111)、一連のステップを終了する。
このように、制御部151は、白基準画像を検出するために、裏当て204を一旦非対向位置側に移動させてから対向位置側に移動させる。これにより、原稿搬送装置100に振動、衝撃等が加わって、裏当て204の位置がわずかに変化している場合でも、あらためて白基準画像が検出しなおされるため、裏当て204をより精度良く対向位置にセットすることが可能となる。
なお、ステップS103において、制御部151は、裏当て駆動装置231を予め定められた第1駆動量だけ駆動し、ステップS104〜S106の処理を省略してもよい。第1駆動量は、裏当て204が対向位置に存在する場合に、対向位置から移動し、且つ非対向位置までは移動しない量に定められる。
図12は、原稿搬送装置100の原稿読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図12に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100の全体処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置143に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、制御部151は、利用者により、原稿の読み取りを指示するための操作ボタン106が押下されて、原稿の読み取りを指示する操作検出信号を操作ボタン106から受信するまで待機する(ステップS201)。
次に、制御部151は、接触センサ111から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS202)。
原稿台103に原稿が載置されていない場合、制御部151は、ステップS201へ処理を戻し、操作ボタン106から新たに操作検出信号を受信するまで待機する。
一方、原稿台103に原稿が載置されている場合、制御部151は、裏当て制御処理を実行する(ステップS203)。制御部151は、裏当て制御処理において、裏当て駆動装置231による裏当て204の切り替え制御を行う。裏当て制御処理の詳細については後述する。
次に、画像生成部152は、裏当て204又は壁部205を撮像装置119に読み取らせる。そして、画像生成部152は、A/D変換器140を介して白基準画像又は黒基準画像を取得する(ステップS204)。
次に、制御部151は、搬送駆動装置141を駆動して給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ121を回転させて、原稿を搬送させる(ステップS205)。
次に、画像生成部152は、搬送された原稿を撮像装置119に読み取らせ、A/D変換器140を介して読取画像を取得する(ステップS206)。
次に、画像生成部152は、読取画像に対して基準画像を用いてシェーディング補正を実行する(ステップS207)。なお、シェーディング補正処理は省略されてもよい。
次に、画像生成部152は、読取画像をインタフェース装置142を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS208)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像生成部152は、読取画像を記憶装置143に記憶しておく。
次に、制御部151は、接触センサ111から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS209)。
原稿台103に原稿が残っている場合、制御部151は、ステップS205へ処理を戻し、ステップS205〜S209の処理を繰り返す。なお、制御部151は、ステップS204へ処理を戻し、原稿を一枚搬送するたびに基準画像を取得しなおしてもよい。一方、原稿台103に原稿が残っていない場合、制御部151は、一連の処理を終了する。
図13は、裏当て制御処理の動作の例を示すフローチャートである。
図13に示す動作のフローは、図12に示すフローチャートのステップS203において実行される。
最初に、制御部151は、原稿の背景色が白色に設定されているか黒色に設定されているかを判定する(ステップS301)。原稿の背景色は、予めユーザにより操作ボタン106を用いて設定され、記憶装置143に記憶される。制御部151は、記憶装置143から原稿の背景色の設定を読み出し、原稿の背景色が白色に設定されているか黒色に設定されているかを判定する。
原稿の背景色が白色に設定されている場合、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS302)。
次に、制御部151は、ステップS102と同様にして、取得した画像が、裏当て204の対向面206を撮像した白基準画像であるか否かを判定する(ステップS303)。
制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、現在の裏当て204の位置を対向位置に決定し(ステップS308)、一連のステップを終了する。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、裏当て駆動装置231を、正回転するように、即ち裏当て204を非対向位置側から対向位置側に回転させるように、駆動する(ステップS304)。
次に、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS305)。
次に、制御部151は、ステップS109と同様にして、取得した画像が白基準画像であるか否かを判定する(ステップS306)。
制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、即ち白基準画像を検出しなかった場合、処理をステップS305に戻し、ステップS305〜S306の処理を繰り返す。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、即ち白基準画像を検出した場合、裏当て駆動装置231の駆動を停止させる(ステップS307)。
次に、制御部151は、白基準画像を検出した、裏当て204の位置を対向位置に決定し(ステップS308)、一連のステップを終了する。
一方、ステップS301で原稿の背景色が黒色に設定されていた場合、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS309)。
次に、制御部151は、ステップS102と同様にして、取得した画像が、裏当て204の対向面206を撮像した白基準画像であるか否かを判定する(ステップS310)。
制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、現在の裏当て204の位置を非対向位置に決定し(ステップS315)、一連のステップを終了する。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、裏当て駆動装置231を、逆回転するように、即ち裏当て204を対向位置側から非対向位置側に回転させるように、駆動する(ステップS311)。
次に、制御部151は、撮像装置119が読み取った画像をA/D変換器140を介して取得する(ステップS312)。
次に、制御部151は、ステップS102と同様にして、取得した画像が白基準画像であるか否かを判定する(ステップS313)。なお、制御部151は、取得した画像から算出した階調値の平均値と、その直前に取得していた画像から算出した階調値の平均値との差が閾値未満であるか否かをさらに判定してもよい。制御部151は、算出した差が閾値未満である場合、裏当て204はまだ回転しておらず、対向位置に到達していないと判定し、取得した画像は白基準画像であると判定する。
制御部151は、取得した画像が白基準画像であると判定した場合、処理をステップS312に戻し、ステップS312〜S313の処理を繰り返す。
一方、制御部151は、取得した画像が白基準画像でないと判定した場合、裏当て204の現在位置を対向位置とみなす。そして、制御部151は、裏当て204をその位置からさらに非対向位置側に回転させるように、裏当て駆動装置231を第2駆動量だけ駆動し、裏当て駆動装置231の駆動を停止させる(ステップS314)。第2駆動量は、第1駆動量より大きく、裏当て204が対向位置に存在する場合に、非対向位置まで移動する量に予め定められる。
なお、ステップS310で取得した画像が白基準画像である場合、裏当て204の位置は、ステップS111又はS308において白基準画像を検出した対向位置にあると考えられる。しかしながら、ステップS111又はS308において白基準画像を検出した後に、原稿搬送装置100に振動、衝撃等が加わり、裏当て204の現在位置が変化している可能性がある。したがって、ステップS312〜S314において、改めて白基準画像が検出される対向位置を検出しなおすことにより、対向位置の検出精度を向上させることが可能となる。
なお、前述した通り、裏当て駆動装置231への電力の供給を遮断した場合であっても、カム207はバネの力により停止し、裏当て204は非対向位置に係止する。
次に、制御部151は、裏当て204の現在位置を非対向位置に決定し(ステップS315)、一連のステップを終了する。この裏当て204の現在位置は、白基準画像を検出した位置から、裏当て駆動装置231を第2駆動量だけ駆動させて、裏当て204を所定量だけ移動させた位置となる。
なお、制御部151は、ステップS315において裏当て駆動装置231を第2駆動量だけ駆動させた場合に、撮像装置119が読み取った画像を取得し、取得した画像が白基準画像から変化したか否かを判定してもよい。制御部151は、取得した画像が白基準画像から変化しなかった場合、裏当て駆動装置231又は裏当て204の駆動機構に異常が発生していると判定し、ユーザに異常を通知する。
また、ステップS303において、取得した画像が白基準画像であった場合でも、原稿搬送装置100に振動、衝撃等が加わって、裏当て204は対向位置から外れてしまっている可能性がある。そのため、制御部151は、取得した画像が白基準画像であった場合、現在の裏当て204の位置を対向位置に決定するのではなく、図11のステップS103〜S111の処理を実行し、裏当て204の位置を調整しなおしてもよい。これにより、対向位置の検出精度をさらに向上させることが可能となる。
同様に、ステップS310において、取得した画像が白基準画像でなかった場合でも、原稿搬送装置100に振動、衝撃等が加わって、裏当て204が非対向位置から外れてしまっている可能性がある。そのため、制御部151は、取得した画像が白基準画像でなかった場合、現在の裏当て204の位置を非対向位置に決定するのではなく、裏当て204の位置を調整しなおしてもよい。その場合、制御部151は、図11のステップS103〜S111の処理を実行し、裏当て204を対向位置に移動させてから、図13のステップS311〜S315の処理を実行し、裏当て204を対向位置に移動させる。これにより、非対向位置の検出精度をさらに向上させることが可能となる。
図14は、裏当ての角度と、取得した画像の階調値との関係の一例を示すグラフである。
図14の横軸は、ガラス面201に対する裏当て204の対向面206の角度を示す。図14の縦軸は、取得した画像の所定領域内の各画素のRGBの各色成分の階調値の平均値を示す。即ち、図13において、角度0°は対向位置に対応し、角度100°は非対向位置に対応する。グラフ1401はG成分の階調値の平均値を示し、グラフ1402はR成分の階調値の平均値を示し、グラフ1403はB成分の階調値の平均値を示す。
以下、図3〜図5、図7A〜7C、図8A〜8C及び図14を用いて、図11、13に示した各処理がどのように実行されるかについて説明する。
まず、図11のステップS101〜S111に示した、裏当て204を対向位置に移動させる処理について説明する。
図3に示すように裏当て204が対向位置にセットされている場合、カム207及び伝達部材235は、図7Aに示す状態にセットされている。また、その場合に取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す角度0°における値となる。
この状態から図11のステップS103のように裏当て駆動装置231を駆動すると、図7Bに示すように伝達部材235が上昇し、カム207は矢印A15、16の方向に回転していく。その場合、裏当て204は、非対向位置側(図4に示す矢印A7、A8の方向)に回転していく。また、取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す矢印A31の方向に遷移していき、角度α°(0<α<100)における値となる。
この状態から図11のステップS107のように裏当て駆動装置231を駆動すると、図8Bに示すように伝達部材235が下降し、カム207は矢印A25、26の方向に回転していく。その場合、裏当て204は、対向位置側(図4に示す矢印A7、A8の反対方向)に回転していき、図3に示す対向位置に達する。また、取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す矢印A32の方向に遷移していき、平均値が角度0°における値となると、図11のステップS109において白基準画像が検出される。
次に、図13のステップS309〜S315に示した、裏当て204を非対向位置に移動させる処理について説明する。
図3に示す状態から図13のステップS311のように裏当て駆動装置231を駆動すると、図7Aに示すように伝達部材235が上昇していき、カム207に接触する。その後、伝達部材235がさらに上昇すると、裏当て204が非対向位置側(図4に示す矢印A7、A8の方向)に回転する。取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す矢印A31の方向に遷移し、平均値が角度0°における値より小さくなると、図13のステップS313において取得した画像が白基準画像でないと判定される。
この状態から図13のステップS314のように裏当て駆動装置231を駆動すると、図7Bに示すように伝達部材235がさらに上昇し、カム207は矢印A15、16の方向に回転していき、図7Cに示す状態に達する。その場合、裏当て204は、非対向位置側(図4に示す矢印A7、A8の方向)に回転していき、図5に示す非対向位置に達する。また、取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す矢印A33の方向に遷移していき、角度100°における値となる。
原稿搬送装置100では、搬送される原稿を良好に撮像できるように、撮像装置119のレンズ焦点はガラス面201に合わされる。裏当て204の対向面206はガラス面201に近いため、裏当て204の対向面206を撮像した画像は焦点のずれていない画像となり、撮像装置119は、白基準画像を精度良く検出することができる。
一方、壁部205はガラス面201から離れているため、壁部205を撮像した画像は焦点のずれた画像となる。また、裏当て204がガラス面201から離れていくと、撮像装置119によって撮像される画像は徐々に暗くなっていき、裏当て204が非対向位置に到達しなくても撮像される画像の色は十分に黒色に近くなる。その際の裏当て204の位置と、撮像される画像が黒色に近くなる度合いとの関係には、装置毎にばらつきが発生する。したがって、撮像装置119は、黒基準画像を精度良く検出できない可能性がある。
そこで、原稿搬送装置100は、裏当て204を非対向位置にセットする場合、裏当て204を白基準画像が検出される対向位置に移動させてから、所定量だけ非対向位置側に移動させる。これにより、原稿搬送装置100は、裏当て204を精度良く非対向位置にセットすることができる。
次に、図13のステップS302〜S308に示した、裏当て204を対向位置に移動させる処理について説明する。
図5に示すように裏当て204が非対向位置にセットされている場合、カム207及び伝達部材235は、図8Aに示す状態にセットされている。また、その場合に取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す角度100°における値となる。
この状態から図13のステップS304のように裏当て駆動装置231を駆動すると、図8Bに示すように伝達部材235が下降していき、カム207は矢印A25、26の方向に回転する。その場合、裏当て204は、対向位置側(図4に示す矢印A7、A8の反対方向)に回転していき、図3に示す対向位置に達する。また、取得される画像の各色成分の階調値の平均値は、図14に示す矢印A32の方向に遷移していき、平均値が角度0°における値となると、図13のステップS306において白基準画像が検出される。
上記の通り、撮像装置119は、白基準画像を精度良く検出することができるので、原稿搬送装置100は、裏当て204を精度良く対向位置にセットすることができる。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、撮像装置119が撮像した画像に基づいて裏当て204の対向位置を決定し、決定した対向位置からの移動量に基づいて非対向位置を決定する。したがって、原稿搬送装置100は、裏当ての位置を検出する位置センサ、又は、モータの駆動に従って裏当ての位置を変動させるためのバネ等を使用することなく、裏当て204を適切な位置にセットすることが可能となった。さらに、原稿搬送装置100は、振動、衝撃等が加わって裏当て204の現在位置が変化しても、裏当て204を正確に対向位置又は非対向位置に移動させることが可能となった。したがって、原稿搬送装置100は、装置サイズ及びコストの増大を抑制しつつ、裏当て204をより精度良く適切な位置にセットすることが可能となった。
また、原稿搬送装置100は、裏当て204を対向位置まで回転させた際、伝達部材235の当接部240a、240bを第1カム207aの被当接部239a及び第2カム207bの被当接部239bに当接させることによって裏当て204を係止させる。したがって、原稿搬送装置100は、裏当て204を対向位置に保持しておく際に、モータを駆動し続けることによる消費電力の増大を抑制することが可能となった。