上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置の製造方法は、発光素子と前記発光素子の輝度を反映する電流の供給を入力電圧により制御する駆動素子とを含む画素を複数含む表示パネルに共通する代表電圧−輝度特性を表す関数を取得する第1ステップと、前記代表電圧−輝度特性の中階調域に属する1階調に対応する第1信号電圧(V1)を前記複数の画素の各々に含まれる前記駆動素子に印加し、前記複数の画素から発光される輝度を測定装置により測定する第2ステップと、前記代表電圧−輝度特性から得られる輝度が、補正対象の画素である対象画素を前記第1信号電圧(V1)で発光させたときの輝度(LM1)となる場合の第1基準電圧(Vr1)を求め、前記第1信号電圧(V1)を前記第1基準電圧(Vr1)にするための第1の補正パラメータ(OFS)を前記対象画素について求める第3ステップと、前記代表電圧−輝度特性の、前記中階調域よりも階調が低い低階調域に属する1階調に対応する第2信号電圧(V2)を、前記対象画素に含まれる駆動素子に印加し、前記対象画素から発光される輝度(LL1)を前記測定装置により測定する第4ステップと、前記対象画素を前記第2信号電圧で発光させたときの輝度(LL1)が、前記第2信号電圧に前記第1の補正パラメータが加算された第1補正電圧(Vc1)を前記関数に入力した場合に得られる第1基準輝度(LLB)となるような係数である第2の補正パラメータ(GL)を前記対象画素について求める第5ステップと、前記代表電圧−輝度特性の、前記中階調域よりも階調が高い高階調域に属する1階調に対応する第3信号電圧(V3)を、前記対象画素に含まれる駆動素子に印加し、前記対象画素から発光される輝度(LH1)を前記測定装置により測定する第6ステップと、前記対象画素を前記第3信号電圧で発光させたときの輝度(LH1)が、前記第3信号電圧に前記第1の補正パラメータが加算された第2補正電圧(Vc2)を、前記関数に入力した場合に得られる第2基準輝度(LHB)となるような係数である第3の補正パラメータ(GH)を前記対象画素について求める第7ステップと、を含むことを特徴とする。
本態様によると、中階調域における電圧−輝度特性を基準として全階調における画素信号電圧をオフセットにより補正し、高階調域の画素信号電圧(VinH)を高階調域用のゲイン(Gain2)で補正し、低階調域の画素信号電圧(VinL)を低階調域用のゲイン(Gain1)で補正することが可能となる。よって、特に、補正困難であった低階調域の補正誤差を低減することができ、結果的に全階調にわたり高精度な画素信号電圧の補正をすることが可能となる。よって、上記表示装置の製造方法により製造された表示装置は、全階調にわたり高精度に輝度ムラが低減された画像を表示することが可能となる。
また、前記第1の補正パラメータ(OFS)は、前記第1信号電圧(V1)と前記第1基準電圧(Vr1)との差を示したオフセット電圧であり、前記第5ステップでは、前記対象画素を前記第2信号電圧(V2)で発光させたときの輝度(LL1)を前記関数に入力した場合に得られる第2基準電圧(VinL)を演算にて求め、前記第2の補正パラメータ(GL)は、前記第1補正電圧及び前記第1基準電圧の電圧差(Vc1−Vr1)と、前記第2基準電圧及び前記第1基準電圧の電圧差(VinL−Vr1)との比を示したゲインであり、前記第7ステップでは、前記対象画素を前記第3信号電圧(V3)で発光させたときの輝度(LH1)を前記関数に入力した場合に得られる第3基準電圧(VinH)を演算にて求め、前記第3の補正パラメータ(GH)は、前記第2補正電圧及び前記第1基準電圧の電圧差(Vc2−Vr1)と、前記第3基準電圧及び前記第1基準電圧の電圧差(VinH−Vr1)との比を示したゲインであってもよい。
本態様によると、測定した対象画素の輝度値と代表電圧−輝度とにより、第1〜第3の補正パラメータを電圧差(V1−Vr1)及び電圧比(VD1/VDL、VD2/VDH)で算出することが可能となる。よって、各補正パラメータを算出するにあたり、対象画素についての1回のみの輝度測定をすればよく、あとは演算により算出できるので、本装置の製造プロセスを短縮できる。
また、前記第1信号電圧(V1)は、前記駆動素子が動作する弱反転領域と強反転領域との境界における前記駆動素子のゲート−ソース間電圧であることが好ましい。
本態様によると、駆動トランジスタの強反転領域と弱反転領域とで異なる電圧−輝度特性のカーブ形状の変化にも対応した補正が可能となる。
また、前記駆動素子の閾値電圧(Vth)は、前記中階調域に属する階調に対応する前記駆動素子のゲート−ソース間電圧であることが好ましい。
駆動トランジスタにおいて、ゲート−ソース間電圧が閾値電圧付近において、強反転領域と弱反転領域との境界が存在する。本態様によれば、第1の補正パラメータであるオフセット電圧(OFS)を、上記閾値電圧(Vth)付近で算出することにより、強反転領域と弱反転領域とで異なる電圧−輝度特性のカーブ形状の変化にも対応した補正が可能となる。
また、前記第2信号電圧(V2)は、各画素で表示可能な最大階調の0%以上10%以下の階調に対応する電圧であることが好ましい。
本態様によると、低階調域に属する1階調に対応する第2信号電圧(V2)として、最大階調の0%以上10%以下の階調域に属する1階調に対応する電圧を印加する。これにより、人間の視感度に合った低階調域にて第2の補正パラメータを算出することができる。
また、前記第3信号電圧(V3)は、各画素で表示可能な最大階調の20%以上100%以下の階調に対応する電圧であることが好ましい。
本態様によると、高階調域に属する1階調に対応する第3信号電圧(V3)として、最大階調の20%以上100%以下の階調域に属する1階調に対応する電圧を印加する。これにより、人間の視感度に合った高階調域にて第3の補正パラメータを算出することができる。
また、前記代表電圧−輝度特性は、前記表示パネルに含まれる複数の画素のうちの任意の一画素についての電圧−輝度特性であってもよい。
本態様によると、代表電圧−輝度特性を、表示パネルに含まれる複数の画素のうちの任意の一画素についての電圧−輝度特性としてもよい。これにより、容易に、代表電圧−輝度特性を表す関数を取得することができる。
また、前記代表電圧−輝度特性は、前記複数の画素を含む表示パネル全体に共通して設定される特性であって、前記表示パネルに含まれる各画素の電圧−輝度特性を平均化した特性であってもよい。
本態様によると、代表電圧−輝度特性は、複数の画素を含む表示パネル全体に共通して設定され、表示パネルに含まれる各画素の電圧−輝度特性を平均化して求められる。これにより、表示パネルに含まれる各画素の輝度が、表示パネル全体に共通する代表電圧−輝度特性となるように第1〜第3の補正パラメータを求めるので、これらの補正パラメータを用いて映像信号を補正した場合、各画素から発光される光の輝度ムラを低減できる。
また、前記画素に含まれる発光素子は、赤色、緑色及び青色のいずれかの色を発光し、前記第3ステップでは、前記赤色、緑色及び青色の各色について前記第1の補正パラメータを求め、前記第5ステップでは、前記赤色、緑色及び青色の各色について前記第2の補正パラメータを求め、前記第7ステップでは、前記赤色、緑色及び青色の各色について前記第3の補正パラメータを求めることが好ましい。
本態様によると、赤色、緑色及び青色の各色について第1〜第3の補正パラメータを求めるものである。これにより、赤色、緑色及び青色の各色について、輝度ムラを低減することができる。
また、さらに、前記第3ステップで求められた前記第1の補正パラメータ、前記第5ステップで求められた前記第2の補正パラメータ及び前記第7ステップで求められた前記第3の補正パラメータを、前記表示パネルに用いられる所定のメモリに書き込む第8ステップを含むことが好ましい。
本態様によると、求められた第1〜第3の補正パラメータを、表示パネルに用いられる所定のメモリに書き込む。各画素に入力される映像信号を、この所定のメモリに格納された第1〜第3の補正パラメータを用いて補正することで、低階調域を含む全階調の補正精度を高めることができる。その結果、人間の目で認識される表示パネルの輝度ムラを低減することができる。
また、前記測定装置はイメージセンサであってもよい。
本態様によると、対象画素に所定電圧を印加して輝度測定するにあたり、1回の撮像により、全対象画素の当該所定電圧印加時の輝度を高精度で測定することができる。よって、表示パネルの輝度ムラを解消すべく、全画素についての第1〜第3の補正パラメータを取得するための本装置の製造プロセスを短縮することが可能となる。
なお、本発明は、このような表示装置の製造方法として実現することができるだけでなく、その表示装置の製造方法を用いて製造された表示装置としても実現することができる。また、その表示装置の製造方法を実現する表示装置製造装置や、その表示装置製造装置に含まれる処理部が行う処理を実行させるプログラム、そのプログラムを格納する記憶媒体としても実現することができる。さらに、その表示装置の製造方法に含まれる補正パラメータの決定方法や、その補正パラメータの決定方法を実現する補正パラメータ決定装置や、その補正パラメータ決定装置に含まれる処理部が行う処理を実行させるプログラム、そのプログラムを格納する記憶媒体としても実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
<装置構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置及び有機EL表示装置製造装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、有機EL表示装置1は、表示部21により映像を表示させる表示装置であり、制御回路10及び表示パネル20を備えている。
制御回路10は、表示パネル20に表示するための映像信号を制御し、表示パネル20に映像を表示させる。制御回路10の詳細な説明については後述する。
表示パネル20は、表示部21と、走査線駆動回路22と、データ線駆動回路23とを備え、走査線駆動回路22及びデータ線駆動回路23に入力される制御回路10からの信号に基づき、映像を表示部21に表示する。ここで、表示部21は、マトリクス状に配置された複数の画素100を備えている。なお、この表示パネル20の詳細な説明については後述する。
有機EL表示装置製造装置2は、表示パネル20の輝度ムラが低減された有機EL表示装置を製造する装置である。また、有機EL表示装置製造装置2は、補正パラメータ決定装置30と、測定装置40とを備える。
測定装置40は、表示部21が有する複数の画素100から発光される光の輝度を測定する測定装置である。具体的には、測定装置40は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどのイメージセンサであり、1回の撮像で、表示部21が有する全ての画素100の所定電圧印加時の輝度を高精度で測定することが可能である。よって、表示パネル20の輝度ムラを解消すべく、全画素についての補正パラメータを取得するための本装置の製造プロセスを短縮することが可能となる。なお、測定装置40は、イメージセンサに限定されず、画素100の輝度を測定することができるのであればどのような測定装置であってもよい。
補正パラメータ決定装置30は、測定装置40が測定した各画素100の輝度に基づき、表示部21が有する複数の画素100の輝度を均一化するための補正パラメータを決定する装置である。また、補正パラメータ決定装置30は、決定した補正パラメータを有機EL表示装置1の制御回路10に出力する。この補正パラメータ決定装置30の詳細な説明については後述する。
次に、表示パネル20の詳細な構成について説明する。
図2は、本実施の形態1に係る表示パネルの表示部が有する画素の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。
画素100は、表示部21が有する一画素であり、データ線を介して供給された信号電圧により発光する機能を有する。同図に示すように、画素100は、発光素子110と、駆動トランジスタ120と、選択トランジスタ130と、保持容量140と、走査線24と、データ線25と、電源線151とを備える。
また、画素100の周辺回路は、走査線駆動回路22及びデータ線駆動回路23の他に、電源150及び電源160を備えている。
まず、画素100の内部回路構成について、図2を用いて説明する。
発光素子110は、赤色、緑色及び青色のいずれかの色を発光する有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子である。具体的には、発光素子110は、アノードが駆動トランジスタ120のソース及びドレインの一方に接続され、カソードが電源160に接続されている。発光素子110は、駆動トランジスタ120によって駆動された電流が流れることにより発光する機能を有する。つまり、電源線151によって発光素子110に電流が供給され、発光素子110が発光する。
駆動トランジスタ120は、発光素子110への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子である。具体的には、駆動トランジスタ120は、ゲートが選択トランジスタ130を介してデータ線25に接続され、ソース及びドレインの一方が発光素子110に接続され、ソース及びドレインの他方が電源150に接続されている。また、駆動トランジスタ120は、データ線25から供給された信号電圧を、その大きさに応じた信号電流に変換する機能を有する。
なお、図2では、駆動トランジスタ120としてn型トランジスタを図示しているが、駆動トランジスタ120はn型トランジスタに限定されず、p型トランジスタであってもよい。
選択トランジスタ130は、ゲートが走査線24に接続され、ソース及びドレインの一方がデータ線25に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ120のゲートに接続されている。選択トランジスタ130は、データ線25と駆動トランジスタ120のゲートとの導通及び非導通を切り換える。つまり、選択トランジスタ130は、画素100に対しデータ線25からの信号電圧を、走査線24がハイレベルの期間に供給する機能を有する。
保持容量140は、電荷を蓄積するコンデンサである。保持容量140は、駆動トランジスタ120のソース及びドレインの一方と駆動トランジスタ120のゲートとの間に接続されている。つまり、保持容量140に蓄積された電荷に応じた信号電流が、駆動トランジスタ120によって、電源線151から発光素子110に流される。
電源150は、駆動トランジスタ120の定電圧源であり、例えば、10Vに設定されている。電源160は、発光素子110の定電圧源であり、例えば、接地されている。本実施の形態の場合、電源150の電位は、電源160の電位よりも高く設定されている。
走査線駆動回路22は、画素行ごとに配置された各々の走査線24に走査信号を供給する。つまり、走査線駆動回路22は、複数の画素100の各々に走査信号を供給するための複数の走査線24に接続されており、画素100の選択トランジスタ130の導通を制御する機能を有する。
データ線駆動回路23は、画素列ごとに配置された各々のデータ線25に信号電圧を供給する。つまり、データ線駆動回路23は、複数の画素100の各々に信号電圧を供給するための複数のデータ線25に接続されており、駆動トランジスタ120に流れる信号電流を決定する機能を有する。
次に、制御回路10及び補正パラメータ決定装置30の詳細な構成について説明する。
図3は、実施の形態1に係る制御回路及び補正パラメータ決定装置の機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように、補正パラメータ決定装置30は、輝度を補正するためのパラメータを決定する装置であり、測定制御部31と補正パラメータ算出部32とを備える。
測定制御部31は、表示パネル20に含まれる複数の画素100から発光される光の輝度を、測定装置40を用いて測定する処理部である。
具体的には、測定制御部31は、まず、表示パネル20に共通する代表電圧−輝度特性を表す関数を取得する。ここで、代表電圧−輝度特性は、輝度を均一化するための基準となる電圧−輝度特性である。また、電圧−輝度特性を表す関数とは、データ線から駆動トランジスタ120のゲートに供給される信号電圧と、所定の画素100からの発光輝度との関係を表す関数である。なお、代表電圧−輝度特性を表す関数は、測定等により予め定められている。
また、測定制御部31は、制御回路10に、表示パネル20に含まれる複数の画素100を発光させ、当該複数の画素100からの発光輝度を、測定装置40に測定させることで、当該発光輝度を取得する。
具体的には、測定制御部31は、当該代表電圧−輝度特性の中階調域に属する1階調に対応する第1信号電圧を、複数の画素100の各々が有する駆動トランジスタ120に印加し、複数の画素100からの発光輝度を、測定装置40を用いて測定することで、画素ごとの当該発光輝度を取得する。
また、測定制御部31は、補正パラメータを算出する対象の画素である対象画素に含まれる駆動トランジスタ120に、補正パラメータ算出部32が算出する第2信号電圧を印加し、当該対象画素からの発光輝度を、測定装置40を用いて測定することで、画素ごとの当該発光輝度を取得する。
また、測定制御部31は、対象画素に含まれる駆動トランジスタ120に、補正パラメータ算出部32が算出する第3信号電圧を印加し、当該対象画素からの発光輝度を、測定装置40を用いて測定することで、画素ごとの当該発光輝度を取得する。
補正パラメータ算出部32は、測定制御部31が取得した対象画素ごとの発光輝度と代表電圧−輝度特性を表す関数とを用いて、対象画素について第1の補正パラメータ、第2の補正パラメータ及び第3の補正パラメータを算出し、制御回路10に対し算出した第1〜第3の補正パラメータを出力する。そして、補正パラメータ算出部32は、有機EL表示装置1の記憶部13に、上記第1〜第3の補正パラメータを記憶させる。
具体的には、補正パラメータ算出部32は、代表電圧−輝度特性から得られる輝度が対象画素を第1信号電圧(図5のV1)で発光させたときの輝度となる場合の第1基準電圧(図5のVr1)を求め、第1信号電圧(V1)を第1基準電圧(Vr1)にするための第1の補正パラメータ(図5のOFS)を当該対象画素について求める。
なお、第1の補正パラメータ(OFS)は、第1信号電圧(V1)と第1基準電圧(Vr1)との差を示したオフセット電圧である。
また、補正パラメータ算出部32は、対象画素を代表電圧−輝度特性の低階調域に属する1階調に対応する第2信号電圧(V2)で発光させたときの輝度(LL1)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第2基準電圧(図5のVinL)を演算にて求め、第1補正電圧(Vc1)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差と第2基準電圧(VinL)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差との比を示したゲインを第2の補正パラメータ(Gain1)とする。
また、補正パラメータ算出部32は、対象画素を代表電圧−輝度特性の高階調域に属する1階調に対応する第3信号電圧(V3)で発光させたときの輝度(LH1)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第3基準電圧(図5のVinH)を演算にて求め、第2補正電圧(Vc2)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差と第3基準電圧(VinH)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差との比を示したゲインを第3の補正パラメータ(Gain2)とする。
また、補正パラメータ算出部32は、発光素子110が発光する赤色、緑色、及び青色の各色について、第1の補正パラメータ、第2の補正パラメータ及び第3の補正パラメータを求める。
制御回路10は、表示パネル20に映像を表示させるための処理部であり、制御部11と、補正部12と、記憶部13とを備える。
制御部11は、表示パネル20に信号を出力し、表示パネル20に映像を表示させる。具体的には、制御部11は、測定制御部31からの指示により、表示パネル20に含まれる複数の画素100を発光させる。また、制御部11は、補正パラメータ算出部32が算出した画素100ごとの第1の補正パラメータ、第2の補正パラメータ及び第3の補正パラメータを記憶部13に書き込む。
記憶部13は、制御部11から入力される第1〜第3の補正パラメータを、複数の画素100ごとに格納する。具体的には、記憶部13は、画素100ごとの第1の補正パラメータ、第2の補正パラメータ及び第3の補正パラメータを含む補正パラメータテーブル13aを記憶している。
図4は、実施の形態1に係る補正パラメータテーブルの一例を示す図である。
同図に示されるように、補正パラメータテーブル13aは、画素ごとの第1〜第3の補正パラメータで構成される補正パラメータを含むデータテーブルである。
同図では、第1の補正パラメータはオフセットOS11〜オフセットOSmnで示され、第2の補正パラメータはゲインGL11〜ゲインGLmnで示され、第3の補正パラメータはゲインGH11〜ゲインGHmnで示されている。つまり、補正パラメータテーブル13aは、表示部21(m行×n列)のマトリクスに対応して、画素100ごとに(ゲインGL、ゲインGH、オフセットOS)で構成される補正パラメータを格納している。
補正部12は、外部から入力された映像信号に対して記憶部13から複数の画素100の各々に対応する所定の補正パラメータを読み出して、複数の画素100の各々に対応する映像信号を補正する。そして、補正部12は、補正した映像信号を制御部11に出力し、制御部11は、この補正された映像信号を表示パネル20に出力することで、表示パネル20に映像を表示させる。
<補正原理及び補正パラメータ算出方法>
次に、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の補正原理を説明するにあたり、まず、本発明の有機EL表示装置及びその製造方法が解決する課題について説明する。
図5は、実施の形態1に係る有機EL表示装置の補正原理を説明する電圧−輝度特性を表すグラフである。同図に示されるように、代表電圧−輝度特性(図5では代表V−L特性)は、例えば、画素100から発光される光の輝度が、駆動トランジスタ120に供給される電圧の2乗に比例する曲線で示される特性となり、代表電圧−輝度特性に対応する信号電圧−ドレイン電流特性は、以下の式1で表される。
ここで、Idは駆動トランジスタ120及び発光素子110を流れる信号電流、kは定数、μは駆動トランジスタ120の移動度、Vgsは駆動トランジスタ120のゲート−ソース間電圧、及び、Vthは駆動トランジスタ120の閾値電圧である。上記式1は、Vgs>Vthである強反転領域において適用される理論式である。式1、及び、発光素子110の輝度Lが信号電流Idに比例することから、輝度Lは、(Vgs−Vth)の2乗に比例することが解る。
また、対象画素においても、電圧−輝度特性に対応する電流−電圧特性が式1で表されると仮定した場合、対象画素の輝度Lは、閾値電圧Vth及び移動度μに依存することが解る。閾値電圧Vth及び移動度μは、駆動トランジスタを構成するTFT間でばらつくので、対象画素の電圧−輝度特性は画素ごとにばらつく。よって、補正しない状態で各画素に同じ信号電圧を印加した場合には、画素間で発光輝度がばらつくため輝度ムラが発生する。この輝度ムラを解消するためには、対象画素の電圧−輝度特性を代表電圧−輝度特性に一致させるような補正パラメータにより信号電圧を補正する必要がある。
従来の補正方法では、対象画素の電圧−輝度特性を代表電圧−輝度特性に一致させるべく、オフセット(電圧加算)及びゲイン(電圧乗算)という2つの補正パラメータを抽出して信号電圧を補正している。
図6は、人間の視感度に応じた電圧−ドレイン電流特性を表すグラフである。同図には、人間の目がLOG関数に近い感度を有していることから、ドレイン電流がLOG関数の曲線で示された、人間の視感度に応じた電圧−ドレイン電流特性が表されている。図6に表されたグラフより、人間の目は、高階調域では輝度ムラを認識し難く、中階調域及び低階調域では輝度ムラを認識し易いことが解る。このことから、人間の視感度に合わせて補正精度を高めるには、特に、中階調域及び低階調域の補正誤差を小さく設定しておくことが好ましい。
しかしながら、例えば、閾値電圧Vth以下の低階調域では、上記式1の理論式が成り立たない弱反転領域が存在する。Vgs<Vthである弱反転領域の信号電圧−ドレイン電流特性は、以下の式2で表される。
ここで、W及びLはそれぞれ、駆動トランジスタ120のゲート幅及びゲート長、Bはボルツマン定数、Tは温度である。上記式1及び式2が一致しないことから、中階調域及び高階調域での電圧−輝度特性と、低階調域での電圧−輝度特性とは異なることが解る。このため、例えば、図5に記載された対象画素の電圧―輝度特性である画素V−L特性(細実線)に見られるように、高階調における特性カーブと低階調における特性カーブとが中階調域を境界にして異なることが想定される。これより、例えば式1で規定される代表V−L特性(太実線)のカーブと、画素V−L特性(実線)のカーブとが一致しない場合が想定される。この場合には、例えば、上記画素V−L特性を代表V−L特性に一致させる補正方法として、図5に記載された画素V−L特性のグラフを右(正電圧方向)へ平行移動(電圧オフセット:細破線)させても低階調域及び高階調域において両特性は一致せず、さらに、上記画素V−L特性のグラフを傾斜(ゲイン)させて高階調域において両特性を一致させても、低階調域において両特性を一致させることができない。つまり、従来の、オフセット及びゲインという2つのパラメータによる補正方法では、全階調にわたり高精度な補正をすることは困難である。
よって、全階調にわたり高精度な補正をする方法として、3つ以上のパラメータによる補正方法が挙げられる。以下、図7A〜図7Cを用いて、3つのパラメータによる補正方法についての比較を行う。
図7Aは、中階調域でオフセット、低階調域及び高階調域でゲインを補正する方式を説明する電圧−輝度特性を表す図であり、図7Bは、低階調域でオフセット、中階調域及び高階調域でゲインを補正する方式を説明する電圧−輝度特性を表す図であり、図7Cは、高階調域でオフセット、低階調域及び中階調域でゲインを補正する方式を説明する電圧−輝度特性を表す図である。
各階調域における補正パラメータを算出するにあたり、当該補正パラメータの算出演算には、ビット数制限による演算誤差が必ず存在する。図7Bに示された補正方式では、低階調域にてオフセット補正をするため、中階調域では、(低階調域におけるオフセット演算誤差+中階調域におけるゲイン演算誤差)が発生する。さらに、高階調域では、(低階調域におけるオフセット演算誤差+中階調域におけるゲイン演算誤差+高階調域におけるゲイン演算誤差)が発生し、高階調域における補正演算誤差が大きくなる。また、図7Cに示された補正方式では、高階調域にてオフセット補正をするため、中階調域では、(高階調域におけるオフセット演算誤差+中階調域におけるゲイン演算誤差)が発生する。さらに、低階調域では、(高階調域におけるオフセット演算誤差+中階調域におけるゲイン演算誤差+低階調域におけるゲイン演算誤差)が発生し、低階調域における補正演算誤差が大きくなる。
これに対し、図7Aに示された補正方式では、高階調域では、(中階調域におけるオフセット演算誤差+高階調域におけるゲイン演算誤差)が発生し、低階調域では、(中階調域におけるオフセット演算誤差+低階調域におけるゲイン演算誤差)が発生する。図7Aに示された補正方式における高階調域及び低階調域では、他階調域でのゲイン演算誤差が重畳されないので、図7B及び図7Cに示された方式に比べて、演算誤差を小さくできる。
また、中階調域における輝度ムラが視認され易いことから、中階調域での演算誤差が小さくなるよう、中階調域ではオフセットのみで補正されることが好ましい。
つまり、オフセット補正及びゲイン補正については、それぞれ演算誤差が発生すること、及び、中階調域での輝度ムラが視認され易いことから、まず、閾値電圧Vth付近である中階調域でオフセット補正をし、当該オフセット補正がされた状態で、高階調域及び低階調域でのゲイン補正を実行することが望ましい。
本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法は、上記観点により規定された補正方法を含むものである。つまり、上述した従来の補正方法における課題に対し、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の製造方法は、少なくとも閾値電圧Vth付近の中階調域におけるオフセット、高階調域におけるゲイン、及び低階調域におけるゲインという3つの補正パラメータを決定する工程を含むものである。つまり、閾値電圧Vth付近の電圧をオフセットにより合わせ、高階調域用のゲイン及び低階調域用のゲインの2種類のゲインを用いることにより、特に、補正困難であった低階調域の補正誤差を低減することができ、結果的に全階調にわたり高精度な補正をすることが可能となる。これにより、駆動トランジスタの強反転領域と弱反転領域とで異なる電圧−輝度特性のカーブ形状の変化にも対応した補正が可能となる。
以下、補正パラメータ決定装置30が補正パラメータを決定する処理を説明しながら、有機EL表示装置1の補正原理について詳細に説明する。
図8は、実施の形態1に係る補正パラメータ決定装置が補正パラメータを決定する動作の一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、測定制御部31は、代表電圧−輝度特性を表す関数を取得する(S10:第1ステップ)。図5のグラフでは、代表V−L特性(太実線)が、本ステップにて取得された代表電圧−輝度特性に相当する。この代表電圧−輝度特性を表す関数を取得する処理の詳細については後述する。
次に、補正パラメータ算出部32は、中階調域における第1の補正パラメータ(オフセット電圧)を、対象画素について算出する(S20)。図5のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性である画素V−L特性(細実線)と代表V−L特性(太実線)との中階調域における電圧差(OFS:白三角形と黒三角形との電圧差)が、本ステップにて算出された第1の補正パラメータに相当する。この第1の補正パラメータを算出する処理の詳細については、図9Aを用いて後述する。
次に、補正パラメータ算出部32は、低階調域における第2の補正パラメータ(低階調ゲイン)を、対象画素について算出する(S30)。図5のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性がオフセットされた電圧−輝度特性(細破線)と代表V−L特性(太実線)との低階調域における利得差(Gain1)が、本ステップにて算出された第2の補正パラメータに相当する。この第2の補正パラメータを算出する処理の詳細については、図9Bを用いて後述する。
次に、補正パラメータ算出部32は、高階調域における第3の補正パラメータ(高階調ゲイン)を、対象画素について算出する(S40)。図5のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性がオフセットされた電圧−輝度特性(細破線)と代表V−L特性(太実線)との高階調域における利得差(Gain2)が、本ステップにて算出された第3の補正パラメータに相当する。この第3の補正パラメータを算出する処理の詳細については、図9Cを用いて後述する。
以上により、補正パラメータ決定装置30が補正パラメータを決定する処理は、終了する。
次に、測定制御部31が代表電圧−輝度特性を表す関数を取得する処理(図8のS10)の詳細について説明する。
具体的には、ステップS10における処理として、以下の2つの取得方法が挙げられる。まず、第1の取得方法を説明する。
測定制御部31は、制御部11に対し、代表電圧−輝度特性を表す関数を取得するための測定用画素へデータ電圧を印加させて当該測定用画素に電流を流させ、当該測定用画素の発光素子110を発光させ、測定装置40に対し、表示パネル20の輝度を測定させる。上記データ電圧印加及び輝度測定を、異なるデータ電圧において複数回実行させる。また、上記データ電圧印加及び輝度測定を、複数の測定用画素で一斉に実行してもよいし、測定用画素ごとに繰り返して実行してもよい。次に、測定制御部31は、上記データ電圧印加及び輝度測定において得られたデータ電圧及び対応する輝度より、測定用画素ごとの電圧−輝度特性を求める。最後に、測定制御部31は、複数の測定用画素の各々について得られた電圧−輝度特性を平均化することにより代表電圧−輝度特性を求める。
次に、第2の取得方法を説明する。
測定制御部31は、制御部11に対し複数の測定用画素へ共通のデータ電圧を同時に印加させて当該複数の測定用画素に一斉に電流を流させ、当該複数の測定用画素の発光素子110を同時発光させ、測定装置40に対し、上記複数の測定用画素の合計輝度を測定させる。上記データ電圧印加及び輝度測定を、異なるデータ電圧において複数回実行させる。次に、測定制御部31は、上記データ電圧印加及び輝度測定において得られた合計輝度値を複数の測定用画素数で除算する。最後に、上記除算処理をデータ電圧ごとに実行させることにより、代表電圧−輝度特性を求める。
上述した2通りの方法で代表電圧−輝度特性を求めることにより、表示パネル20に含まれる全ての画素100の電流を測定するのではなく、選択された複数の測定用画素についてのみ電流を測定するので、表示パネル20全体に共通する代表電圧−輝度特性を設定するまでの時間を大幅に短縮することができる。
なお、代表電圧−輝度特性を取得する上記第1及び第2の具体的方法は、本発明の有機EL表示装置ごとにしなくてもよい。例えば、代表電圧−輝度特性として、同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法において取得された代表電圧−輝度特性を自己の有機EL表示装置の代表電圧−輝度特性としてそのまま利用してもよい。これにより、ある有機EL表示装置の製造方法で求められた代表電圧−輝度特性を、当該装置と同一条件で製造される他の有機EL表示装置の製造方法で利用するので、複数の表示パネルの補正パラメータを測定するたびに代表電圧−輝度特性を設定する手間を省くことができる。その結果、本装置の製造プロセスを短縮できる。
また、代表電圧−輝度特性を、表示パネル20に含まれる複数の画素のうちの任意の一画素についての電圧−輝度特性としてもよい。これによっても、容易に、代表電圧−輝度特性を表す関数を取得することができるので、本装置の製造プロセスを短縮できる。
次に、補正パラメータ算出部32が第1の補正パラメータを算出する処理(図8のS20)の詳細について、図5及び図9Aを参照しながら説明する。
図9Aは、実施の形態1に係る補正パラメータ算出部が第1の補正パラメータを算出する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の中階調域に属する1階調に対応する第1信号電圧(V1)を、対象画素に含まれる駆動素子である駆動トランジスタ120に印加させ、当該画素から発光される輝度(LM1)を、測定装置40を用いて測定する(S210:第2ステップ)。ここで、第1信号電圧(V1)は、駆動トランジスタの弱反転領域と強反転領域との境界である閾値電圧Vth付近の電圧値に設定することが好ましい。図5のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性(細実線)上の電圧V1が第1信号電圧に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、代表電圧−輝度特性の輝度が、対象画素の輝度(LM1)となる第1基準電圧(Vr1)を算出する(S220:第3ステップ)。図5のグラフでは、代表電圧−輝度特性(太実線)上の基準電圧Vr1が第1基準電圧に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、第1信号電圧(V1)を第1基準電圧(Vr1)にする第1の補正パラメータ(OFS)を対象画素について算出する(S230:第3ステップ)。つまり、第1の補正パラメータ(OFS)は、中階調域における対象画素の電圧−輝度特性と代表電圧−輝度特性とを合わせるオフセット電圧であり、以下の式3で表される。
第1の補正パラメータ(OFS)=第1信号電圧(V1)−第1基準電圧(Vr1)
(式3)
以上により、補正パラメータ算出部32が第1の補正パラメータを算出する処理(図8のS20)を終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第2の補正パラメータを算出する処理(図8のS30)の詳細について、図5及び図9Bを参照しながら説明する。
図9Bは、実施の形態1に係る補正パラメータ算出部が第2の補正パラメータを算出する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の低階調域に属する1階調に対応する第2信号電圧(V2)での対象画素の輝度(LL1)を、測定装置40を用いて測定する(S310:第4ステップ)。ここで、第2信号電圧(V2)は、駆動トランジスタの閾値電圧Vthより小さい弱反転領域での電圧値に設定することが好ましい。
次に、補正パラメータ算出部32は、対象画素を第2信号電圧(V2)で発光させたときの輝度(LL1)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第2基準電圧(VinL)を演算にて求め、第2信号電圧(V2)に第1の補正パラメータ(OFS)が加算された第1補正電圧(Vc1)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(Vc1−Vr1)と、第2基準電圧(VinL)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(VinL−Vr1)との比を示したゲインを第2の補正パラメータ(GL)とする。(S320:第5ステップ)。つまり、補正パラメータ(GL)は以下の式4で表される。
GL=(Vc1−Vr1)/(VinL−Vr1)
=(第2信号電圧V2−第1の補正パラメータOFS−第1基準電圧Vr1)
/(第2基準電圧VinL−第1基準電圧Vr1) (式4)
図5のグラフでは、上記(Vc1−Vr1)はVD1であり、上記(VinL−Vr1)はVDLに相当する。
以上により、補正パラメータ算出部32が第2の補正パラメータを算出する処理(図8のS30)を終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第3の補正パラメータを算出する処理(図8のS40)の詳細について、図5及び図9Cを参照しながら説明する。
図9Cは、実施の形態1に係る補正パラメータ算出部が第3の補正パラメータを算出する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の高階調域に属する1階調に対応する第3信号電圧(V3)での対象画素の輝度(LH1)を、測定装置40を用いて測定する(S410:第6ステップ)。ここで、第3信号電圧(V3)は、駆動トランジスタの閾値電圧Vthより大きい強反転領域での電圧値に設定することが好ましい。
次に、補正パラメータ算出部32は、対象画素を第3信号電圧(V3)で発光させたときの輝度(LH1)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第3基準電圧(VinH)を演算にて求め、第3信号電圧(V3)に第1の補正パラメータ(OFS)が加算された第2補正電圧(Vc2)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(Vc2−Vr1)と、第3基準電圧(VinH)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(VinH−Vr1)との比を示したゲインを第3の補正パラメータ(GH)とする。(S420:第7ステップ)。つまり、補正パラメータ(GH)は以下の式5で表される。
GH=(Vc2−Vr1)/(VinH−Vr1)
=(第3信号電圧V3−第1の補正パラメータOFS−第1基準電圧Vr1)
/(第3基準電圧VinH−第1基準電圧Vr1) (式5)
図5のグラフでは、上記(Vc2−Vr1)はVD2であり、上記(VinH−Vr1)はVDHに相当する。
以上により、補正パラメータ算出部32が第3の補正パラメータを算出する処理(図8のS40)を終了する。
以上、図8に記載された第1の補正パラメータ(OFS)、第2の補正パラメータ(GL)及び第3の補正パラメータ(GH)の算出処理(ステップS20〜ステップS40)を、全画素について実行し、最後に、算出された第1〜第3の補正パラメータを、記憶部13に書き込むことにより、図4に記載された補正パラメータテーブルが完成する。
上述した補正パラメータの算出プロセスを含む本発明の有機EL表示装置の製造方法により製造された有機EL表示装置は、上記補正パラメータを用いて映像信号を補正して各画素に補正信号電圧を供給することが可能となる。これにより、全階調にわたり高精度に輝度ムラが低減された画像を表示することが可能となる。
<補正方法>
次に、上記製造方法により製造された有機EL表示装置が、製造工程にて算出された補正パラメータを用いて補正信号電圧を生成するプロセスを図5及び図10を用いて説明する。
図10は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置の補正プロセスを表すブロック図である。同図に記載されたブロック図は、制御回路10の有する補正部12の動作フローを表している。
制御回路10は、外部からの映像信号を受信し、当該映像信号から各画素100が表示すべき階調データを取得する。補正部12は、この階調データで各画素100の発光素子110を発光させるための補正された信号電圧を、以下のプロセスにより決定する。
まず、補正部12は、対象画素が図5における代表V−L特性を有する画素であるものと仮定して、上記階調データを表示するための補正前の信号電圧(入力値)を決定する。このときの階調データが、図5に記載されたグラフにおいて、低階調域の輝度LL1で発光素子110を発光させるデータであるとすると、補正部12は、入力値をVinLとする。
次に、補正部12は、減算器211により、入力値VinLから第1基準電圧Vr1を減算し(VinL−Vr1)を算出する。
次に、補正部12は、乗算器212により算出した(VinL−Vr1)に第2の補正パラメータであるゲインGLを乗じたGL(VinL−Vr1)と、乗算器213により第3の補正パラメータであるゲインGHを乗じたGH(VinL−Vr1)とを算出する。
次に、補正部12は、比較選択器214により、減算器211で算出した(VinL−Vr1)の値が負の場合には、乗算器212により算出したGL(VinL−Vr1)を選択し、減算器211で算出した(VinL−Vr1)の値が正の場合には、乗算器213により算出したGH(VinL−Vr1)を選択する。本例の場合、入力値VinL<第1基準電圧Vr1であるので、補正部12は、GL(VinL−Vr1)を選択する。
次に、補正部12は、加算器215により、選択したGL(VinL−Vr1)に第1の補正パラメータであるオフセット(OFS)及び基準値(Vr1)を加算する。図5及び式4より、補正部12の出力である画素電圧値(補正信号電圧)は以下の式6のようになる。
補正信号電圧=GL(VinL−Vr1)+OFS+Vr1=Vc1+OFS(式6)
上記式6におけるOFSは、式3における第1の補正パラメータであり、上記補正信号電圧は、結果的には図5におけるV2となる。上記補正部12の補正動作により、対象画素の発光素子110を、階調データを反映した輝度LL1で発光させるための補正信号電圧V2が算出される。
なお、高階調域のデータに対して信号電圧を補正する場合も、補正部12は同様の補正プロセスを実行する。例えば、高階調域の輝度LH1で発光素子110を発光させるデータの場合には、上記補正プロセスにより、補正部12は、補正信号電圧としてV3を算出する。
以上のように、本発明の表示装置及びその製造方法により、本発明の表示装置は、中階調域で算出されたオフセット電圧、低階調域で算出された低階調ゲイン及び高階調域で算出された高階調ゲインを用いて高精度な信号電圧の補正を実行でき、輝度ムラが低減された高品質な画像を表示することが可能となる。
なお、上述した補正パラメータ算出方法では、低階調域ゲインGL及び高階調域ゲインGHを求めるにあたり、上記式4及び式5のように、中階調域の第1基準電圧Vr1を用いたが、これに限られない。中階調域の第1基準電圧Vr1を用いずに、例えば、対象画素の電圧−輝度特性上の低階調域における2点間の傾きと、代表電圧−輝度特性上の低階調域における2点間の傾きとを比較して低階調域ゲインGLを算出してもよい。この場合には、測定制御部31は、低階調域において2点の輝度計測を実施することになる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、補正誤差を低減するために各階調域に対応した3つの補正パラメータを設定したが、本実施の形態では、更なる補正誤差の低減を目的として、階調域をさらに細分化して4つ以上の補正パラメータを設定する場合について説明する。
本実施の形態に係る制御回路及び補正パラメータ決定装置の構成は、図3に示された制御回路10及び補正パラメータ決定装置30と同じであるため、詳細な説明は省略する。
本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の製造方法は、表示階調域を、低階調域、中階調域1、中階調域2及び高階調域という4つの階調域に分割し、中階調域1及び中階調域2におけるオフセット、高階調域におけるゲイン、中階調域におけるゲイン及び低階調域におけるゲインという5つの補正パラメータにより補正を行うものである。つまり、補正パラメータを生成すべき階調域を細分化することにより、全階調域の補正誤差をさらに低減することが可能となる。これにより、駆動トランジスタの強反転領域と弱反転領域とで異なる電圧−輝度特性のカーブ形状の変化にも高精度に対応した補正が可能となる。
以下、補正パラメータ決定装置が補正パラメータを決定する処理を説明しながら、本実施の形態に係る有機EL表示装置の補正原理について詳細に説明する。なお、測定制御部31及び補正パラメータ算出部32の動作が、実施の形態1と同じ動作である場合には説明を省略する。
図11は、実施の形態2に係る有機EL表示装置の補正原理を説明する電圧−輝度特性を表すグラフである。
まず、測定制御部31は、代表電圧−輝度特性を表す関数を取得する。図11のグラフでは、代表V−L特性(太実線)が、本ステップにて取得された代表電圧−輝度特性に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、中階調域1における第1の補正パラメータ(OFS1)を、対象画素について算出する。図11のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性である画素V−L特性(細実線)と代表V−L特性(太実線)との中階調域における電圧差(OFS1)が、本ステップにて算出された第1の補正パラメータに相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、低階調域における第2の補正パラメータ(低階調ゲイン)を、対象画素について算出する。図11のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性がOFS1でオフセットされた電圧−輝度特性(細破線)と代表V−L特性(太実線)との低階調域における利得差(Gain1)が、本ステップにて算出された第2の補正パラメータに相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、中階調域2における第3の補正パラメータ(中階調2ゲイン)を、対象画素について算出する。図11のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性がオフセットされた電圧−輝度特性(細破線)と代表V−L特性(太実線)との中階調域2における利得差(Gain2)が、本ステップにて算出された第3の補正パラメータに相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、中階調域2における第4の補正パラメータ(OFS2)を、対象画素について算出する。図11のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性である画素V−L特性(細実線)と代表V−L特性(太実線)との中階調域2における電圧差(OFS2)が、本ステップにて算出された第4の補正パラメータに相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、高階調域における第5の補正パラメータ(高階調ゲイン)を、対象画素について算出する。図11のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性がOFS2でオフセットされた電圧−輝度特性(細破線)と代表V−L特性(太実線)との高階調域における利得差(Gain3)が、本ステップにて算出された第5の補正パラメータに相当する。
以上により、補正パラメータ決定装置が補正パラメータを決定する処理は、終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第1の補正パラメータを算出する処理の詳細について、図11を参照しながら説明する。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の中階調域1に属する1階調に対応する第1信号電圧(V1)を、対象画素に含まれる駆動素子である駆動トランジスタ120に印加させ、当該画素から発光される輝度(LM1)を、測定装置40を用いて測定する。ここで、第1信号電圧は、駆動トランジスタの閾値電圧Vth付近の電圧値に設定することが好ましい。図10のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性(細実線)上の電圧V1が第1信号電圧に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、代表電圧−輝度特性の輝度が、対象画素の輝度(LM1)となる第1基準電圧(Vr1)を算出する。図11のグラフでは、代表電圧−輝度特性(太実線)上の基準電圧Vr1が第1基準電圧に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、第1信号電圧(V1)を第1基準電圧(Vr1)にする第1の補正パラメータ(OFS1)を対象画素について算出する。つまり、第1の補正パラメータ(OFS1)は、中階調域1における対象画素の電圧−輝度特性と代表電圧−輝度特性とを合わせるオフセット電圧であり、以下の式7で表される。
第1の補正パラメータ(OFS1)=第1信号電圧(V1)−第1基準電圧(Vr1)
(式7)
以上により、補正パラメータ算出部32が第1の補正パラメータを算出する処理を終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第2の補正パラメータを算出する処理の詳細について、図11を参照しながら説明する。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の低階調域に属する1階調に対応する第2信号電圧(V2)での対象画素の輝度(LL1)を、測定装置40を用いて測定する。ここで、第2信号電圧は、駆動トランジスタの閾値電圧Vthより小さい弱反転領域での電圧値に設定することが好ましい。
次に、補正パラメータ算出部32は、対象画素を第2信号電圧(V2)で発光させたときの輝度(LL1)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第2基準電圧(VinL)を演算にて求め、第2信号電圧(V2)に第1の補正パラメータ(OFS1)が加算された第1補正電圧(Vc1)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(Vc1−Vr1)と、第2基準電圧(VinL)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(VinL−Vr1)との比を示したゲインを第2の補正パラメータ(GL)とする。つまり、補正パラメータ(GL)は以下の式8で表される。
GL=(Vc1−Vr1)/(VinL−Vr1)
=(第2信号電圧V2−第1の補正パラメータOFS1−第1基準電圧Vr1)
/(第2基準電圧VinL−第1基準電圧Vr1) (式8)
図11のグラフでは、上記(Vc1−Vr1)はVD1であり、上記(VinL−Vr1)はVDLに相当する。
以上により、補正パラメータ算出部32が第2の補正パラメータを算出する処理を終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第3の補正パラメータを算出する処理の詳細について、図11を参照しながら説明する。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の中階調域2に属する1階調に対応する第3信号電圧(V3)での対象画素の輝度(LM2)を、測定装置40を用いて測定する。
次に、補正パラメータ算出部32は、対象画素を第3信号電圧(V3)で発光させたときの輝度(LM2)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第3基準電圧(VinM)を演算にて求め、第3信号電圧(V3)に第1の補正パラメータ(OFS1)が加算された第2補正電圧(Vc2)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(Vc2−Vr1)と、第3基準電圧(VinM)及び第1基準電圧(Vr1)の電圧差(VinM−Vr1)との比を示したゲインを第3の補正パラメータ(GM)とする。つまり、補正パラメータ(GM)は以下の式9で表される。
GM=(Vc2−Vr1)/(VinM−Vr1)
=(第3信号電圧V3−第1の補正パラメータOFS1−第1基準電圧Vr1)
/(第3基準電圧VinM−第1基準電圧Vr1) (式9)
図11のグラフでは、上記(Vc2−Vr1)はVD2であり、上記(VinM−Vr1)はVDMに相当する。
以上により、補正パラメータ算出部32が第3の補正パラメータを算出する処理を終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第4の補正パラメータを算出する処理の詳細について、図11を参照しながら説明する。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の中階調域2に属する1階調に対応する第4信号電圧(V3)を、対象画素に含まれる駆動素子である駆動トランジスタ120に印加させ、当該画素から発光される輝度(LM2)を、測定装置40を用いて測定する。図10のグラフでは、対象画素の電圧−輝度特性(細実線)上の電圧V3が第4信号電圧に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、代表電圧−輝度特性の輝度が、対象画素の輝度(LM2)となる第2基準電圧(Vr2)を算出する。図10のグラフでは、代表電圧−輝度特性(太実線)上の基準電圧Vr2が第2基準電圧に相当する。
次に、補正パラメータ算出部32は、第4信号電圧(V3)を第2基準電圧(Vr2)にする第4の補正パラメータ(OFS2)を対象画素について算出する。つまり、第4の補正パラメータ(OFS2)は、中階調域2における対象画素の電圧−輝度特性と代表電圧−輝度特性とを合わせるオフセット電圧であり、以下の式10で表される。
第4の補正パラメータ(OFS2)=第4信号電圧(V3)−第2基準電圧(Vr2)
(式10)
以上により、補正パラメータ算出部32が第4の補正パラメータを算出する処理を終了する。
次に、補正パラメータ算出部32が第5の補正パラメータを算出する処理の詳細について、図11を参照しながら説明する。
まず、測定制御部31は、制御回路10に、当該代表電圧−輝度特性の高階調域に属する1階調に対応する第5信号電圧(V4)での対象画素の輝度(LH1)を、測定装置40を用いて測定する。
次に、補正パラメータ算出部32は、対象画素を第5信号電圧(V4)で発光させたときの輝度(LH1)を代表電圧−輝度特性を表す関数に入力した場合に得られる第4基準電圧(VinH)を演算にて求め、第5信号電圧(V4)に第4の補正パラメータ(OFS2)が加算された第3補正電圧(Vc3)及び第2基準電圧(Vr2)の電圧差(Vc3−Vr2)と、第4基準電圧(VinH)及び第2基準電圧(Vr2)の電圧差(VinH−Vr2)との比を示したゲインを第5の補正パラメータ(GH)とする。つまり、補正パラメータ(GH)は以下の式11で表される。
GH=(Vc3−Vr2)/(VinH−Vr2)
=(第5信号電圧V4−第4の補正パラメータOFS2−第2基準電圧Vr2)
/(第4基準電圧VinH−第2基準電圧Vr2) (式11)
図11のグラフでは、上記(Vc3−Vr2)はVD3であり、上記(VinH−Vr2)はVDHに相当する。
以上により、補正パラメータ算出部32が第5の補正パラメータを算出する処理を終了する。
以上、本実施の形態に係る第1の補正パラメータ(OFS1)、第2の補正パラメータ(GL)、第3の補正パラメータ(GM)、第4の補正パラメータ(OFS2)及び第5の補正パラメータ(GH)の算出処理を、全画素について実行することにより補正パラメータテーブルが完成する。
<補正方法>
上記製造方法により製造された有機EL表示装置が補正パラメータを用いて補正信号電圧を生成するプロセスを図11及び図12を用いて説明する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置の補正プロセスを表すブロック図である。同図に記載されたブロック図は、制御回路10の有する補正部12の動作フローを表している。
制御回路10は、外部からの映像信号を受信し、当該映像信号から各画素100が表示すべき階調データを取得する。補正部12は、この階調データで各画素100の発光素子110を発光させるための信号電圧を、以下のプロセスにより決定する。
まず、補正部12は、対象画素が代表V−L特性を有する画素であるものと仮定して、上記階調データを表示するための補正前の信号電圧(入力値)を決定する。このときの階調データが、図11に記載されたグラフにおいて、低階調域の輝度LL1で発光素子110を発光させるデータであるとすると、補正部12は、入力値をVinLとする。
次に、補正部12は、減算器221及び226により、それぞれ、入力値VinLから第1基準電圧Vr1及び第2基準電圧Vr2を減算し(VinL−Vr1)及び(VinL−Vr2)を算出する。
次に、補正部12は、乗算器222により、算出した(VinL−Vr1)に第2の補正パラメータであるゲインGLを乗じたGL(VinL−Vr1)と、乗算器223により、第3の補正パラメータであるゲインGMを乗じたGM(VinL−Vr1)と、乗算器227により、算出した(VinL−Vr2)に第5の補正パラメータであるゲインGHを乗じたGH(VinL−Vr2)とを算出する。
次に、補正部12は、比較選択器224により、減算器221で算出した(VinL−Vr1)の値が負の場合には、乗算器222により算出したGL(VinL−Vr1)を選択し、減算器221で算出した(VinL−Vr1)の値が正の場合には、乗算器223により算出したGM(VinL−Vr1)を選択する。本例の場合、入力値VinL<第1基準電圧Vr1であるので、補正部12は、GL(VinL−Vr1)を選択する。
次に、補正部12は、加算器225により、選択したGL(VinL−Vr1)に第1の補正パラメータであるオフセット(OFS1)及び基準値(Vr1)を加算する。図11及び式8より、加算器225の出力は以下の式12のようになる。
加算器225の出力=GL(VinL−Vr1)+OFS1+Vr1=Vc1+OFS1
(式12)
上記式12におけるOFS1は、式7における第1の補正パラメータであり、上記加算器225の出力は、図11におけるV2となる。
また、補正部12は、加算器228により、乗算器227の出力であるGH(VinL−Vr1)に第4の補正パラメータであるオフセット(OFS2)及び基準値(Vr2)を加算する。
次に、補正部12は、比較選択器229により、減算器226で算出した(VinL−Vr2)の値が負の場合には、加算器225により算出したV2を選択し、減算器226で算出した(VinL−Vr2)の値が正の場合には、加算器228の出力を選択する。本例の場合、入力値VinL<第2基準電圧Vr2であるので、補正部12は、V2を選択する。
上記補正部12の補正動作により、対象画素の発光素子110を、階調データを反映した輝度LL1で発光させるための補正信号電圧V2が算出される。
なお、高階調域及び中階調域のデータに対して信号電圧を補正する場合も、補正部12は同様の補正プロセスを実行する。
以上のように、本発明の実施の形態2に係る有機EL表示装置及びその製造方法により、本発明の表示装置は、中階調域1及び中階調域2で算出された2つのオフセット電圧、低階調域で算出された低階調ゲイン、中階調域で算出された中階調ゲイン及び高階調域で算出された高階調ゲインを用いて、より高精度な信号電圧の補正を実行でき、輝度ムラが低減された高品質な画像を表示することが可能となる。
なお、上述した補正パラメータ算出方法では、低階調域ゲインGL、中階調域ゲインGM及び高階調域ゲインGHを求めるにあたり、上記式8、9及び11のように、中階調域1の第1基準電圧Vr1及び中階調域2の第2基準電圧Vr2を用いたが、これに限られない。第1基準電圧Vr1及び第2基準電圧Vr2を用いずに、例えば、対象画素の電圧−輝度特性上の低階調域における2点間の傾きと、代表電圧−輝度特性上の低階調域における2点間の傾きとを比較して低階調域ゲインGLを算出してもよい。この場合には、測定制御部31は、低階調域において2点の輝度計測を実施することになる。
以上、実施の形態1及び2に係る有機EL表示装置及びその製造方法のように、第1〜第3の補正パラメータを、表示パネル20に用いられる所定のメモリである記憶部13に書き込む。これにより、各画素100に入力される信号電圧を、この所定のメモリに格納された第1〜第3の補正パラメータを用いて補正することで、低階調域を含む全階調の補正精度を高めることができる。その結果、人間の目で認識される表示パネル20の輝度ムラを低減することができる。
以上、本発明の表示装置の製造方法及び表示装置について、実施の形態1及び2に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、実施の形態1及び2では、補正パラメータ決定装置30は、表示パネル20に含まれる全ての画素100について、第1〜第3の補正パラメータを決定することとした。しかし、補正パラメータ決定装置30は、表示パネル20に含まれる一部の画素100についてのみ、第1〜第3の補正パラメータを決定することにしてもよい。
また、実施の形態1及び2では、補正パラメータ算出部32は、算出した第1〜第3の補正パラメータを、記憶部13に記憶させることとした。しかし、補正パラメータ算出部32は、第1〜第3の補正パラメータを記憶部13に記憶させることなく、処理を終了することにしてもよい。
また、実施の形態1及び2では、各画素での電圧−輝度特性を利用して、各画素における電圧と輝度との関係から、補正パラメータを決定することとした。しかし、輝度の代わりに、発光素子110に流れる電流の値を用いて、各画素での電圧−電流特性を利用することで、各画素における電圧と電流との関係から、補正パラメータを決定することにしてもよい。輝度と電流とは比例関係にあるので、実施の形態1及び2での輝度を電流に置き換えることで、同様の方法で補正パラメータを決定することができる。
なお、本発明の表示装置の製造方法において、第1の補正パラメータであるオフセット電圧を設定するのは、駆動トランジスタ120の閾値電圧値の付近である中階調領域が好ましい。ここで、本発明の表示装置の製造方法及び表示装置においては、駆動トランジスタ120の閾値電圧Vthは、以下のように定義される。
図13は、本発明の表示装置が有する駆動トランジスタの閾値電圧を定義するためのグラフである。同図には、駆動トランジスタ120のゲート−ソース間電圧Vgsとドレイン電流Idとの関係が表されている。
ここで、Vgs>Vthの強反転領域では、前述した式1の理論式が適用されることから、式1を変換して以下の式13が得られる。
上記式13より、Id1/2−Vgsのグラフが直線となる領域が存在する。この直線のX軸切片がVthと定義される。ここで、上記直線は、Id1/2−Vgsのグラフの微分値が最大となる点での接線と定義される。上記定義により、閾値電圧Vthは、弱反転領域と強反転領域との境界点となる。
また、代表電圧−輝度特性の低階調域に属する1階調に対応する第2信号電圧(V2)は、好ましくは、各画素100で表示可能な最大階調の0%以上10%以下の階調に対応する電圧であることが好ましい。これにより、人間の視感度に合った低階調域にて第2の補正パラメータを算出することができる。
また、代表電圧−輝度特性の高階調域に属する1階調に対応する第3信号電圧(V3)は、好ましくは、各画素100で表示可能な最大階調の20%以上100%以下の階調に対応する電圧であることが好ましい。これにより、人間の視感度に合った高階調域にて第3の補正パラメータを算出することができる。
また、実施の形態1及び2で説明した処理は、発光素子110が発光する赤色、緑色及び青色の各色について行われる。つまり、補正パラメータ算出部32は、当該赤色、緑色及び青色の各色について、第1〜第3の補正パラメータを求める。そして、補正パラメータ算出部32は、当該赤色、緑色及び青色の各色について、算出した第1〜第3の補正パラメータを制御部11に出力し、制御部11に、当該補正パラメータを記憶部13に書き込ませる。
これにより、赤色、緑色、及び青色の各色について、輝度が均一になるように補正を行うことができる。
また、補正パラメータが記憶部13に書き込まれた有機EL表示装置1では、補正部12は、外部から入力された映像信号に対して記憶部13から複数の画素100の各々に対応する第1〜第3の補正パラメータを読み出して、複数の画素100の各々に対応する信号電圧を補正する。そして、補正部12は、補正した信号電圧を制御部11に出力し、制御部11はこの補正された信号電圧を表示パネル20に出力することで、表示パネル20に映像を表示させる。
なお、例えば、有機EL表示装置1は、図14に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る有機EL表示装置1の製造方法により、表示パネル20の輝度ムラを全階調にわたり高精度に低減することができる有機EL表示装置1を備えた薄型フラットTVが実現される。