JP6082585B2 - トナー粒子の切断面の観察方法 - Google Patents

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Description

電子写真等に用いられるトナー粒子の切断面を観察する方法に関する。
電子写真等に用いられるトナーは、その約90%を占める樹脂と、顔料と、ワックス及び電荷制御剤(CCA)等の内添剤とによって構成されている。前記トナーに要求される耐久性、定着性、及び着色性等の主な性能は、内添剤の分散性に依存するところが大きいため、トナーの開発においては、内添剤の分散状態を評価することが極めて重要である。
現在、前記内添剤の分散性の評価は、主に超薄切片TEM法によって行われている。この方法は、顔料やワックス等の分散状態の観察に適した手法であり、当業者の間では標準的な評価法として位置付けられている。しかし、前記超薄切片TEM法においては、必須となる超薄切片の作製において次のような課題がある。
(1)電子線を透過観察するための超薄切片の作製技術の習得には時間を要するため、汎
用な方法とはいえない。
(2)トナーは軟質材料からなるため、超薄切片作製時にシワが入ったり、破れたりしや
すい。
(3)トナー主成分である樹脂と内添剤とは硬度が異なるため、超薄切片作製時に内添剤
が樹脂から剥離、脱落しやすい。
(4)超薄切片の作製工程には、切片を水に浮かべる工程があるため、水溶性の内添剤が
水に溶けることにより、超薄切片に孔が生じる場合がある。
前記(2),(3)に記載の課題については、クライオミクロトーム法(試料を凍らせて試料の硬さを一定にしたうえで切片を作製する方法)により解決することができる。しかしながら、このクライオミクロトーム法においては、超薄切片TEM法よりも更に熟練した切片作製技術が要求されるため、前記(1)の課題を解決することができない。
本発明は、従来の観察方法と比較して、簡便な操作により極めて明瞭なトナー粒子の断面像を得ることができる観察方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、トナー粒子をウルトラミクロトーム等の操作が容易な装置を用いて切断し、この切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)等で観察する方法の開発に着手した。しかし、切断面が平滑であると前記顕微鏡により切断面が観察しにくくなるという問題が生じたが、この切断面に対してイオンエッチング処理を行うことにより、明瞭な像が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、内添剤及び顔料の少なくとも1種と、樹脂とを含むトナー粒子の切断面を観察する方法であって、ウルトラソニックダイヤモンドナイフを用いてトナー粒子を切断する第1工程と、トナー粒子の切断面にイオンエッチング処理を施す第2工程と、イオンエッチング処理を施したトナー粒子の切断面を走査型電子顕微鏡、又は原子間力顕微鏡で観察する第3工程とを有するトナー粒子の切断面の観察方法、を要旨とするものである。
本発明は、従来の観察方法と比較して、簡便な操作により極めて明瞭なトナー粒子の断面像を得ることができる観察方法を提供することができる。
参考例1により得られたトナーの切断面のSEM像である。 参考例2により得られたトナーの切断面のAFM像である。 参考実施例1により得られたトナーの切断面のSEM像である。 参考実施例2により得られたトナーの切断面のSEM像である。 実施例3により得られたトナー粒子の切断面のSEM像である。 参考実施例4、5より得られたトナーの切断面のAFM像である。 参考実施例6により得られたトナーの切断面のSEM像である。 比較例1により得られたトナーの切断面のSEM像である。 比較例2により得られたトナーの切断面のSEM像である。 比較例3により得られたトナーの切断面のSEM像である。 超薄切片TEM法により得られたTEM像に対して二値化処理を行った結果を示す図である。 参考実施例4のAFM像に対して二値化処理を行った結果を示す図である。 超薄切片TEM法により得られたトナー切片のTEM像である。 イオンエッチング処理前後のトナーの切断面の模式図である。
本発明のトナー粒子の切断面の観察方法は、内添剤及び顔料の少なくとも1種と、樹脂とを含むトナー粒子の切断面を観察する方法であって、ウルトラソニックダイヤモンドナイフを用いてトナー粒子を切断する第1工程と、トナー粒子の切断面にイオンエッチング処理を施す第2工程と、イオンエッチング処理を施したトナー粒子の切断面を走査型電子顕微鏡、又は原子間力顕微鏡で観察する第3工程とを有することを特徴とする。
すなわち、本発明は、平滑に切り出したトナー粒子の切断面に対してイオンエッチング処理を施し、トナーの主成分である樹脂と各種内添剤とのエッチングレートの差異によって生じる微少な凹凸を顕微鏡により観察する方法である。
以下、本発明のトナー粒子の切断面の観察方法について詳細に説明する。
<第1工程>
本発明の観察方法における第1工程は、ウルトラソニックダイヤモンドナイフを用いてトナー粒子を切断する工程である。
(トナー)
本発明で観察するトナー粒子は、内添剤及び顔料の少なくとも1種と、樹脂とを含有するものである。トナー粒子は試料台固定後に第1工程〜第3工程の処理をされるが、微細である為に直接固定が困難な場合は、電子顕微鏡観察に用いる包埋樹脂などに埋め込んで固定してもよい。
トナーを構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン系共重合樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができる。
前記トナーに含まれる顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。
内添剤としては、離型剤、電荷制御剤等を挙げることができる。
前記離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
電荷制御剤としては、特に限定されないが、負帯電性電荷制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「ボントロンS−28」(オリエント化学工業(株)製)、「T−77」(保土谷化学工業(株)製)、「ボントロンS−34」(オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば「ボントロンE−81」、「ボントロンE−84」、「ボントロンE−304」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;ニトロイミダゾール誘導体;ベンジル酸ホウ素錯体、例えば、「LR−147」(日本カーリット(株)製)等;無金属系電荷調整剤、例えば「ボントロンF−21」、「ボントロンE−89」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「T−8」(保土ヶ谷化学工業(株)製)、「FCA−2521NJ」、「FCA−2508N」(以上、藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
正帯電性電荷制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「CHUO CCA−3」(中央合成化学(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリエント化学工業(株)製)、「TP−415」(保土谷化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPYCHARGEPXVP435」(コグニス社製)等が挙げられる。
内添剤としては、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等を挙げることができる。
前記トナーとしては、粉砕、分級工程後、更にシリカ等の無機微粒子や、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂微粒子等の外添剤と混合する工程を含む方法により得られたものであってもよい。
(ウルトラソニックダイヤモンドナイフによる切断)
本発明において、ウルトラソニックダイヤモンドナイフとは、所定周波数の超音波振動に共振する共振器と、該共振器から伝達された超音波振動でトナー粒子を切断するためのダイヤモンドブレードとを備えたナイフである。
本発明のように、ウルトラソニックダイヤモンドナイフを用いた場合には、硬度が異なる複数の材料で構成されるトナーのような物質であっても、断面を平滑に切断することができる。これに対して、一般的なダイヤモンドナイフを使用してトナー粒子を切断した場合には、トナー粒子の切断面を十分に平滑にすることが難しいため切断面の観察を行うことができなくなる。
すなわち、本発明においては、トナーを構成する各材料のエッチングレートの差を利用して切断面に微少な凹凸を形成し、この微少な凹凸により生じるコントラストを画像化して観察するため、第1工程後の切断面に大きな凹凸が存在している場合には、明瞭な像を得ることができなくなる。したがって、この第1工程においては、トナー粒子の切断面を平滑にすることが極めて重要である。
第1工程において用いるウルトラソニックダイヤモンドナイフに超音波振動を発生させるための電圧は、好ましくは10V以上、より好ましくは15V以上、そして、好ましくは30V以下、より好ましくは25V以下である。
また、ウルトラソニックダイヤモンドナイフに発生させる超音波の周波数は、好ましくは25kHz以上、より好ましくは30kHz以上、そして、好ましくは45kHz以下、より好ましくは40kHz以下である。超音波振動を発生させるための条件が前記範囲内であれば、トナー粒子の切断面を観察に適した平滑面とすることができる。
ウルトラソニックダイヤモンドナイフを取り付けるウルトラミクロトームのナイフ送り速度は、好ましくは0.1mm/s以上、より好ましくは0.3mm/s以上、そして、好ましくは10mm/s以下、より好ましくは0.7mm/s以下である。ウルトラミクロトームのナイフ送り速度が前記範囲内であれば、切断時に生じるナイフ痕等のアーティファクトによる影響を十分に抑えることができる。
更に、トナー粒子の切削厚さは、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、そして、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下である。トナー粒子の切削厚さが前記範囲内であると、平滑な断面を作成することが容易になる。
この第1工程後のトナー粒子の切断面に存在する凹凸の凹部と凸部との高低差は、好ましくは0.1nm以上、そして、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下である。凹部と凸部との高低差が前記範囲内であると、後述の顕微鏡を用いて観察する第3工程において、より明瞭な像を得ることが可能となる。
<第2工程>
第2工程は、前記第1工程により設けたトナー粒子の切断面にイオンエッチング処理を施す工程である。
なお、本明細書において、イオンエッチング処理とは、イオンをトナー粒子の切断面に衝突させて、これによるスパッタ現象を利用して試料表面をエッチングする処理をいう。
第2工程においては、第1工程で得られたトナー粒子の切断面にサブミクロンレベルの微少な凹凸を形成する必要があることから、一般的なイオンエッチング処理の条件よりも更に温和な条件で処理を行うことが好ましい。すなわち、高エネルギー、高電流密度のイオンビームを用いると、分解能、及び加工速度が向上する一方で加工表面近傍の損傷が大きくなるため、本発明の第2工程においては、エネルギーや電流密度を調整したイオンビームを使用し、試料に損傷を与えることなく、適度に微少な凹凸を形成することが好ましい。具体的な条件は、以下のとおりである。
イオンの加速電圧としては、好ましくは0.1kV以上、より好ましくは0.2kV以上、そして、好ましくは5kV以下、より好ましくは1kV以下、更に好ましくは0.7kV以下である。
また、イオン電流密度としては、好ましくは0.1μA/cm2以上、より好ましくは10μA/cm2以上、更に好ましくは50μA/cm2以上、そして、好ましくは2000μA/cm2以下、より好ましくは1000μA/cm2以下、更に好ましくは500μA/cm2以下である。イオンの加速電圧、イオン電流密度が前記範囲のイオンビームにより処理を行うと、試料の表面に与える損傷を最小限に抑えることができる。
イオンエッチング処理時間としては、好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上、更に好ましくは50秒以上、そして、好ましくは10分以下、より好ましくは7分以下、更に好ましくは6分以下である。イオンエッチング処理時間が前記範囲内であると、トナー粒子の切断面の観察に適した微少な凹凸を形成することができる。
前記条件は、トナーを構成する樹脂や顔料、内添剤の種類によって適宜調整する必要があるが、通常、加速電圧が0.4kV以上0.6kV以下であり、イオン電流密度が10μA/cm2以上500μA/cm2以下である集束イオンビームを1分以上10分以下照射して処理することが好ましい。
イオンエッチング処理を行う際のイオン源の種類は、エッチングレートをnmオーダーで制御可能であれば使用可能であり、酸素、窒素、アルゴン等が好ましい。
なお、イオンエッチング処理の条件は、トナーを構成する樹脂の種類、トナーに含まれる内添剤の粒子の大きさによって適宜調整することが好ましい。具体的には、エッチングの深さはトナーを構成する顔料粒子の中で最も小さい粒子の粒径と同程度となるように調整することが好ましい。例えば、トナーに含まれる顔料粒子の粒径が20nm以上100nm以下程度である場合には、トナーのマトリックスである樹脂を20nm程度イオンエッチングする。
イオンエッチング処理に用いる装置としては、例えば、JEOL製「ION SPUTTER JFC−1100」、(株)日立ハイテクノロジーズ製「日立イオンスパッタE−1010」等を挙げることができる。
本発明の第2工程においては、前記装置、条件でイオンエッチング処理を行うことにより、トナー構成材料のエッチングレートの差による微小な凹凸を形成することができる。すなわち、図14に示すようなトナー粒子の切断面に対してイオンエッチング処理を施した場合には、樹脂とワックスとのエッチングレートの差により、樹脂とワックスとの境界に微細な凹凸が生じる。また、図14における顔料は、イオンエッチング処理によりほとんどエッチングされないため、顔料と樹脂との境界にも微細な凹凸が生じる。本発明においては、このように形成された微小な凹凸を次の第3工程において顕微鏡にて観察する。
なお、イオンエッチング処理についてトナー粒子の切断面の模式図である図14を用いて説明したが、トナーには樹脂、ワックス及び顔料以外材料が含まれていてもよく、各材料のエッチングレートの差による微小な凹凸を形成することができる。また、図14では、ワックス、樹脂、顔料の順にエッチングレートが低くなっているが、各材料の物性によりエッチングレートの順番は変化することがある。
<第3工程>
第3工程においては、前記第2工程においてイオンエッチング処理を施したトナー粒子の切断面を顕微鏡により観察する。この観察に使用する顕微鏡としては、走査型電子顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)が好ましい。
走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)としては、一般に市販されているものを使用できる。走査型電子顕微鏡(SEM)の場合、二次電子像を観察でき、その像を出力し得るものであればよく、高空間分解能観察が容易であるという点から、フィールドエミッションタイプの走査型電子顕微鏡が好ましい。走査型電子顕微鏡としては、例えば、(株)日立製作所製「S−4800」,JEOL製「JSM−7600F」等が挙げられる。また原子間力顕微鏡としては、Veeco製「Dimension V」、SII(株)製「SPM300」等が挙げられる。
走査型電子顕微観察を行う前には、観察の際の試料表面の帯電を防ぐという観点から、トナー粒子の切断面に対して蒸着を行うことが好ましい。蒸着の種類としては、Pt−Pd蒸着、タングステン蒸着、Au−Pd蒸着,C蒸着,オスミウム蒸着等を挙げることができる。
蒸着を行う際の電流値は、好ましくは1mA以上、より好ましくは5mA以上、そして、好ましくは50mA以下、より好ましくは20mA以下である。蒸着時間としては、好ましくは10秒以上、より好ましくは20秒以上、そして、好ましくは50秒以下、より好ましくは40秒以下である。蒸着を前記条件で行うことにより、十分な帯電防止層を形成することができる。
前記走査型電子顕微鏡は、後述する原子間力顕微鏡に比べて像の取得にかかる時間が短い点で好ましい。一方、原子間力顕微鏡は、走査型電子顕微鏡に比べて凹部と凸部とのコントラストが明瞭に表されるため、特定の材料の像を抽出する等の画像処理を容易に行うことが可能である点で好ましい。
本発明においては、原子間力電子顕微鏡により得られた像に対し、二値化処理を行ってもよい。これにより、更に明瞭な像を得ることが可能となり、内添剤等の分散状態を観察しやすくなる。なお、本明細書において二値化処理とは、画像の輝度値が指定した値(閾値)以上の場合は白とし、指定した値未満の場合は黒とする処理のことである。
第3工程においては、試料を傾斜させて観察することも有効である。試料を傾斜させて観察することにより、微少な凹凸をより明瞭に観察することができるようになる。得られる像をより明瞭なものとする観点から、傾斜角度としては、好ましくは70°以上、より好ましくは83°以上、そして、好ましくは87°以下である。
<試料>
(試料1)
超薄切片TEM観察、およびイオンエッチング処理の検討にあたり、試料として、軟化点の異なる2種類のポリエステル樹脂(155℃/100℃=40/60)100質量部に、シアン顔料(PB−15:3/銅フタロシアニン)3質量部、電荷制御剤(ベンジルホウ素錯体)0.5質量部、2種類のワックス(パラフィンワックス/カルナバワックス=2/1)6質量部を配合した粒子化前のトナー(トナー1)を用いた。
(試料2)
原子間力顕微鏡(AFM)観察の検討にあたっては、試料2として、前記試料1中のシアン顔料をマゼンタ顔料(PR−57:1/カーミン6B)3質量部に変えたこと以外は同じ材料を含む粒子化前のトナー(トナー2)を用いた。
(試料3)
製品形態の粒子状トナーであっても同様の観察が可能であることを確認する為の試料として、軟化点の異なるポリエステル樹脂(124℃/109℃=35/65)100質量部に、シアン顔料(PB−15:3/銅フタロシアニン)5質量部、ワックス(カルナバワックス)3.8質量部を配合したトナー微粒子(トナー3、直径2〜3μm)を用いた。
本実施例で用いた装置、処理条件は以下のとおりである。
<装置>
ウルトラソニックダイヤモンドナイフ(刃角:35°):DiATOME社製
ダイヤモンドナイフ(刃角:45°):住友電気工業製(株)「スミナイフ」
ウルトラミクロトーム:LEICA製「ULTRACUT」
イオンエッチング装置:JEOL製「ION SPUTTER JFC−1100」
Pt−Pd蒸着装置:(株)日立製作所製「E−1030」
電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM):(株)日立製作所製「S−4800」
透過型電子顕微鏡(TEM):日本電子(株)「JEM−2000FX」
原子間力顕微鏡(AFM):Veeco製「Dimension V」
(カンチレバー:オリンパス(株)製「OMCL−AC160TS−R3」)
<前処理及び処理条件>
ウルトラソニックダイヤモンドナイフ 電圧 :21.0V
周波数 :35.5kHz
ウルトラミクロトーム ナイフ送り速度 :0.6mm/s、
切削厚さ :80nm
イオンエッチング処理 加速電圧 :0.5kV
イオン電流密度 :400μA/cm2
時間 :1分、5分
イオン源 :空気
Pt−Pd蒸着 電流値 :10mA
時間 :30秒
FE−SEM 加速電圧 :5kV
コンデンサレンズ:8
焦点モード :HR
AFM 走査速度 :0.5〜1.0Hz
走査角度 :90°
ピクセル :512×256pixels
(弾性率測定:128×128)
TEM 加速電圧 :100kV
<試料の前処理>
(参考例1)
試料1をアラルダイト樹脂で試料台に固定した。ウルトラソニックダイヤモンドナイフをウルトラミクロトームに装着し、これにより粒子化前のトナーの切断を行い、切断面をSEMで観察した。得られた像を図1に示す。
(参考例2)
試料として試料2を用いたこと、及びSEMの代わりにAFMで観察したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。得られた像を図2に示す。
参考実施例1)
参考例1の試料の切断面に対して1分間イオンエッチング処理を施し、Pt−Pd(白金−パラジウム)により蒸着処理(導電処理)を行いSEMによる観察を行った。得られた像を図3に示す。
参考実施例2)
参考実施例1の試料の切断面に対して5分間イオンエッチング処理を施したこと以外は、参考実施例1と同様の操作を行った。得られた像を図4に示す。
(実施例3)
試料3を光硬化樹脂に埋め込み、アラルダイト樹脂で試料台に固定した。ウルトラソニックダイヤモンドナイフをウルトラミクロトームに装着し、これによりトナー粒子の切断を行った。切断面に対して1分間イオンエッチング処理を施し、Pt−Pd(白金−パラジウム)により蒸着処理(導電処理)を行いSEMによる観察を行った。
得られた像を図5に示す。
参考実施例4)
参考例2の試料を用いたこと、SEMの代わりにAFMで観察したこと以外は参考実施例1と同様の操作を行った。得られた像を図6に示す。
参考実施例5)
参考実施例4の試料の切断面に対して更に5分間イオンエッチング処理を施し、AFMで観察した。得られた像を図6に示す。
参考実施例6)
参考実施例1の試料を85°傾斜させて観察した。得られた像を図7に示す。
(比較例1)
ウルトラソニックダイヤモンドナイフを、ダイヤモンドナイフに変更したこと以外は、参考例1と同様の操作を行った。得られた像を図8に示す。
(比較例2)
比較例1の試料の切断面に対して1分間イオンエッチング処理を施したこと以外は参考実施例1と同様に操作した。得られた像を図9に示す。
(比較例3)
比較例2の試料に対して5分間イオンエッチング処理を施したこと以外は、参考実施例2と同様に操作した。得られた像を図10に示す。
(TEM像)
試料1をアラルダイト樹脂で試料台に固定した。ウルトラソニックダイヤモンドナイフをウルトラミクロトームに装着し、これにより粒子化前のトナーの切断を行うことで薄片化し、TEMで観察した。得られたTEM像を図11および図13に示す。
[考察]
参考例1について
参考例1は、ウルトラソニックナイフをウルトラミクロトームに装着してトナー粒子を切断し、イオンエッチング処理を行っていないものである(図1)。このSEM像では、ワックスであると推測される球状ドメインが高倍率で観察できるが、他の構成材料についてはほとんど観察できない。この参考例1と、比較例1(図8)とを比較してみると、参考例1の方が平滑性が高いことが分かる。この参考例1の切断面をAFMにより観察したところ、この切断面の凹凸の凹部と凸部との高低差は、5nm以下であった。
参考実施例1〜2及び実施例3について
図3は、参考例1の切断面に対してイオンエッチング処理を1分間施した試料のSEM像である(参考実施例1)。この参考実施例1の像では、サブミクロンレベルで高分散する顔料の微粒子が明瞭に観察できた。実施例3の製品形態であるトナー微粒子においても、同様に明瞭な観察を行うことができた。また図4に示すように、参考実施例2においてイオンエッチング処理を更に5分間行うことでワックスを更に明瞭に観察できた。
前記参考実施例1〜2及び実施例3の結果から明らかなように、トナー粒子の切断面に対してイオンエッチング処理を施すことにより、樹脂と内添剤とのエッチングレートの違いを利用して、切断面に各材料に起因する凹凸を生じさせることができ、この凹凸を観察することにより、超薄切片TEM法と同等の情報を得ることができた。
参考実施例4〜6について
図6には、参考実施例1,2の試料をAFMにより観察した像を示す。この結果より、AFMであっても、イオンエッチング処理を行うことによりトナー中の顔料粒子の分散状態を非常に明瞭に捉えることができることがわかる。
なお、試料の凹凸を利用した構造観察という点においては、AFMの方がSEMと比較して像の取得に時間が掛かるが、より正確な観察が可能である。また、AFMの像は、内添剤の分散状態の画像解析にも有効である。
顔料の分散状態については定量的な評価法が求められているが、従来はTEM像を目視で定性的に判断するだけであった。これに対して、本発明の観察方法であれば、得られた像から特定の内添物の像のみを抽出することが可能であるため、画像解析により平均粒径や分散性を客観的に評価することができる。
また、図7より明らかなように、試料を85°傾斜させた状態で観察することにより、凹凸がより明瞭な像が得られ、内添剤等の帰属がしやすくなる。
比較例1について
比較例1は、通常のダイヤモンドナイフをウルトラミクロトームに装着して作製したトナー粒子の切断面をSEMにより観察した像である(図8)。図より明らかなように、形状や大きさ等からワックスであると考えられるドメイン(実線矢印で示す。)が観察された。しかしながら、樹脂部分には、波打った様子やナイフで引きずったような跡(破線矢印で示す。)等のアーティファクトが観察された。ワックス以外の内添剤については識別できないが、ワックス部分についても前記アーティファクトが存在すると考えられる。
比較例2について
比較例2は、顔料粒子が20nm以上100nm以下程度の大きさであることから、エッチング量が20nmになるようにエッチング時間を1分間として行ったものである。図9では、高分散した顔料粒子であると考えられるサブミクロンレベルの微粒子(実線矢印で示す。)が観察されたが、樹脂部分の荒れが大きく非常に観察しにくい状態である。
比較例3について
比較例3は、比較例1の試料の切断面に対してイオンエッチング処理を5分間施し、マトリックスであるトナーの樹脂を約100nm程度イオンエッチング処理したものである(図10)。イオンエッチング処理を施していない未処理のトナー粒子の切断面(比較例1;図8)とは異なり、球状や不定形のドメインが明瞭に観察された。球状ドメインはワックス(実線矢印で示す。)であると考えられ、不定形のドメインは顔料及び電荷制御剤(CCA)(破線矢印で示す。)の凝集体であると考えられる。
この比較例3では、超薄切片TEM法で観察することが可能であった高分散の顔料の分布については確認することはできなかった。
図11は、超薄切片TEM法のTEM像の二値化処理を行ったものである。超薄切片TEM法により得られる像(図13)では、周辺の樹脂と顔料粒子とのコントラストの差が小さいこと等から、閾値を高く設定した場合であっても、低く設定した場合であっても、目的とする顔料粒子だけを選択的に抽出することは困難であった。
一方、図12は、実施例4のAFM像に対して二値化処理を行ったものである。本発明により得られるAFM像であれば、コントラスト差が明確であり二値化処理により顔料と他の部分とを明確に区別することが可能である。
以上のように、本発明の観察方法によれば、トナー粒子の切断面に微細な凹凸を形成させ、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により観察を行うことにより様々な情報を得ることができるため、従来の超薄切片TEM法による観察技術よりも幅広い応用展開が可能になる。

Claims (3)

  1. 内添剤及び顔料の少なくとも1種と、樹脂とを含むトナー粒子の切断面を観察する方法であって、ウルトラソニックダイヤモンドナイフを用いてトナー粒子を切断する第1工程と、トナー粒子の切断面にイオンエッチング処理を施す第2工程と、イオンエッチング処理を施したトナー粒子の切断面を走査型電子顕微鏡、又は原子間力顕微鏡で観察する第3工程とを有するトナー粒子の切断面の観察方法。
  2. イオンエッチング処理の条件は、加速電圧が0.4kV以上0.6kV以下であり、イオン電流密度が10μA/cm2以上500μA/cm2以下であり、処理時間が1分以上10分以下である請求項1に記載のトナー粒子の切断面の観察方法。
  3. 第1工程後のトナー粒子の切断面に存在する凹凸の凹部と凸部との高低差が、0.1nm以上20nm以下である請求項1又は2に記載のトナー粒子の切断面の観察方法。
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