JP6081821B2 - トルクロッド付き車体前部構造 - Google Patents
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Description
パワープラントは、一例として、エンジンとトランスミッションとが一体に形成されたエンジン/トランスミッションユニットである。
このため、パワープラントがゴム部材の弾性変形量分だけしか車両後方に移動しないので、パワープラントを車両後方に十分に移動させて衝撃荷重を吸収することが難しい。
よって、トルクロッドに車両前方から衝撃荷重が入力した場合に、トルクロッドを長孔の長さ寸法分だけ車両後方に移動させることができる。これにより、パワープラントを車両後方に十分に移動させて衝撃荷重を吸収することができる。
また、クロスメンバの内部に大径ブッシュを設け、クロスメンバの後壁に後開口部を形成した。この後開口部に板状部を貫通させるようにした。
これにより、トルクロッドが車両後方に移動する際に、板状部を後開口部に貫通させることができるので、トルクロッドを車両後方に円滑に移動させることができる。
よって、トルクロッドに車両前方から衝撃荷重が入力した場合に、トルクロッドを長孔の長さ寸法分だけ車両後方に円滑に移動させることができる。
これにより、上下の内筒部間や上下の外筒部間に板状部を差し込むだけの簡単な構成で、トルクロッドを車両後方に移動させることができる。
図1、図2に示すように、車両10は、車両10の前部を構成するトルクロッド付き車体前部構造12を備えている。
以下、トルクロッド付き車体前部構造12を車体前部構造12と略記して説明する。
このサブフレーム20は、車両前後方向に延びる左右のサイドメンバ31,32と、左サイドメンバ31および右サイドメンバ32の各後端部31a,32aを連結するクロスメンバ33と、左サイドメンバ31および右サイドメンバ32の各前端部31b,32bに設けられた支持手段35とを含む。
このサブフレーム20は、左右のサイドメンバ31,32およびクロスメンバ33で平面視略コ字状に形成されている。
上取付孔77および下取付孔78にトルクロッド25の大径ブッシュ85(後述する)が圧入されることにより、大径ブッシュ85がクロスメンバ33に取り付けられている。
前開口部81は、後述するロッド部86(ロッド本体141や板状部145)が貫通可能に形成されている。
また、後開口部82は、板状部145が貫通可能に形成されている。
同様に、左サイドメンバ31の前端部31bがボルト42、左脚部を介して左サイドフレーム13の中央部13c(図1参照)に連結されている。
すなわち、左サイドメンバ31および右サイドメンバ32の各前端部31b,32bにステアリングギアボックス21が支持手段35を介して支持されている。
これにより、サブフレーム20から前クロスメンバを除去できるので車両10の軽量化を図ることができる。
このステアリングギアボックス21から連結シャフト61が車両後方に向けて延出されている。連結シャフト61の後端部にステアリングシャフト63が連結されている。
ステアリングギアボックス21の車幅方向略中央のうち車両前方側の部位に、電動モータなどのパワーアシスト機構64が設けられている。パワーアシスト機構64は、ステアリングホイールで操行操作する際に操作力を補助する機構である。
サポート部23は、左支持部36に後端部がボルト71で取り付けられた左連結アーム66と、右支持部37に後端部がボルト72で取り付けられた右連結アーム67と、左連結アーム66および右連結アーム67の各前端部を連結する連結メンバ68とを有する。
連結メンバ68は、ステアリングギアボックス21より車両前方側に配置された状態で車幅方向に(すなわち、ステアリングギアボックス21に沿って)延出されている。
よって、サブフレーム20がサポート部23などを介して左サイドフレーム13および右サイドフレーム14に連結されている。
横向きに配置されたパワープラント24が、左サイドフレーム13に左取付ブラケット(図示せず)を介して支持され、右サイドフレーム14に右取付ブラケット98を介して支持されている。
パワープラント24の右側下部24aがサブフレーム20(クロスメンバ33)にトルクロッド25で連結されている。
これにより、小径ブッシュ84がパワープラント24(右側下部24a)に第1締結ボルト88で取り付けられている。
これにより、小径ブッシュ84がパワープラント24の右側下部24aにより強固に取り付けられている。
上弾性部122は、弾性部材121の上半部を形成する部位である。
下弾性部123は、弾性部材121の下半部を形成する部位である。
すなわち、大径ブッシュ85は、内筒114と、内筒114の外側に配置された外筒117と、内筒114および外筒117間に充填された弾性部材121とを備えている。
内筒114は、第2締結ボルト(第2締結部材)125が貫通可能な筒部材である。
一方、上外筒部118は、下外筒部119に対向する端部118aのうち、車両前方側の部位に前上凹部128が形成され、車両後方側の部位に後上凹部132が形成されている。
同様に、下外筒部119は、上外筒部118に対向する端部119aのうち、車両前方側の部位に前下凹部129が形成され、車両後方側の部位に後下凹部133が形成されている。
また、下外筒部119がクロスメンバ33の下取付孔78に圧入されることにより、クロスメンバ33の下部33dに下大径ブッシュ部112が取り付けられている。
このように、上取付孔77に上外筒部118が圧入され、下取付孔78に下外筒部119が圧入されることにより、大径ブッシュ85がクロスメンバ33の内部135に設けられている。
この状態において、前上凹部128および前下凹部129で前ブッシュ開口部127が形成され、後上凹部132および後下凹部133で後ブッシュ開口部131が形成されている。
また、後ブッシュ開口部131は、板状部145が貫通可能に形成されている。
さらに、内筒114は、上内筒部115(端部115a)および下内筒部116(端部116a)間の隙間に板状部145が貫通可能に形成されている。
前弾性開口部137は、ロッド部86(ロッド本体141や板状部145)が貫通可能に形成されている。
同様に、上弾性部122の車両後方側の部位および下弾性部123の車両後方側の部位で後弾性開口部138が形成されている。
また、後弾性開口部138は、板状部145が貫通可能に形成されている。
ロッド部86は、前端部141aが小径ブッシュ84の外筒92に一体に連結(成形)されたロッド本体141と、ロッド本体141の後端部141bから車両後方に向けて突出された板状部145とを有する。
すなわち、ロッド部86の後端部(端部)で板状部145が形成されている。
ロッド本体141の後端部141bを側面視先細状に形成することにより、ロッド本体141を前開口部81に円滑に貫通させることができる。
板状部145は、平面視略矩形状に形成され、クロスメンバ33の前開口部81および後開口部82に貫通可能に形成されている。
さらに、板状部145は、上大径ブッシュ部111と下大径ブッシュ部112との間に貫通可能に形成されている。
さらに、内筒114の上内筒部115および下内筒部116間に板状部145が貫通可能に形成されている。
この板状部145に長孔147が形成されている。
第2締結ボルト125が長孔147に貫通された状態で、第2締結ボルト125の外周(一部)が長孔147の内壁に接触されている。
この状態で、第2締結ボルト125に回止部材148が嵌入され、回止部材148の突片148aが係止溝(図示せず)に係止されている。
第2締結ボルト125に回止部材148を取り付けることにより、ねじ部125aにナット126をねじ結合する際に、第2締結ボルト125の回転が抑えられる。
この状態において、外筒117の上外筒部118が板状部145の上方に配置され、外筒117の下外筒部119が板状部145の下方に配置されている。
さらに、板状部145の上面145aが上内筒部115の端部115aで押圧され、板状部145の下面145bが下内筒部116の端部116aで押圧されている。これにより、板状部145が上内筒部115および下内筒部116で挟持(保持)されている。
さらに、第2締結ボルト125(外周)および長孔147(内壁)間にボルト摩擦力が発生する。
以下、上摩擦力、下摩擦力およびボルト摩擦力を合わせた摩擦力を、板状部145を保持する「保持摩擦力」として説明する。
さらに、小径ブッシュ84が取付部101に第1締結ボルト88で取り付けられ、大径ブッシュ85がクロスメンバ33に取り付けられることにより、ロッド部86が車両前後方向に向けて延出された状態に配置されている。
この状態で、パワープラント24がトルクロッド25を介してサブフレーム20に支持されている。
よって、トルクロッド25に車両前方から衝撃荷重F1が入力した場合に、トルクロッド25を長孔147の長さ寸法L1分だけ車両後方に円滑に移動させることができる。
これにより、上下の内筒部115,116間や上下の外筒部118,119間に板状部145を差し込むだけの簡単な構成で、トルクロッド25を車両後方に移動させることができる。
図9(a)に示すように、パワープラント24がトルクロッド25を介してサブフレーム20に支持された状態において、パワープラント24に車両前方側から衝撃荷重F2が作用する。
衝撃荷重F2の一部が第1締結ボルト88や小径ブッシュ84などを経てロッド部86に荷重F3として伝えられる。
これにより、上弾性部122の車両後方側の部位が上内筒部115で車両後方側に圧縮される。同時に、下弾性部123の車両後方側の部位が下内筒部116で車両後方側に圧縮される。
上弾性部122および下弾性部123の圧縮が完了することにより、内筒114の車両後方への移動が停止する。
よって、内筒114の車両後方への移動が停止することにより、トルクロッド25に作用する荷重F3が板状部145を保持する保持摩擦力より大きくなる。
したがって、パワープラント24を車両後方に向けて距離(L1+L2)分だけ十分に移動させることができるので、パワープラント24に入力した衝撃荷重F2を好適に吸収することができる。
よって、トルクロッド25が車両後方に向けて移動する際に、板状部145を後開口部82に貫通させることができる。これにより、トルクロッド25を車両後方に向けて円滑に移動させることができるので、パワープラント24を車両後方に向けて円滑に移動させることができる。
図10に示すように、トルクロッド160は、実施例1の大径ブッシュ85およびロッド部86を大径ブッシュ161およびロッド部166に代えたもので、その他の構成は実施例1のトルクロッド25と同様である。
外筒163がクロスメンバ33の取付孔165に圧入されることにより、大径ブッシュ161がクロスメンバ33の内部135に取り付けられている。
すなわち、ロッド部166の後端部(端部)で上下の板状部168,169が形成されている。
上板状部168は、平面視略矩形状に形成され、この上板状部168に上長孔(長孔)173が形成されている。上長孔173は、第2締結ボルト171が貫通可能で、かつ、ロッド部166の長手方向に延びるように長さ寸法L3に形成されている。
よって、大径ブッシュ161を上ブッシュ部と下ブッシュ部とに分割することなく、トルクロッド160を車両後方に移動させることができる。これにより、大径ブッシュ161の部品点数を減らして構成を簡素化することができる。
例えば、前記実施例1および実施例2では、トルクロッド25,160の大径ブッシュ85,161をクロスメンバ33に圧入した例について説明したが、これに限らないで、大径ブッシュ85,161をクロスメンバ33に他の手段で取り付けることも可能である。
また、クロスメンバ33を左右に分割し、分割したクロスメンバ33で大径ブッシュ85,161を挟持することにより、クロスメンバ33に大径ブッシュ85,161を取り付けることも可能である。
分割した部位に弾性部材121,164を直接焼き付けることにより、大径ブッシュ85,161から外筒117,163を除去することができ、構成の簡素化を図ることができる。
ロッド部86,166前端部の板状部に小径ブッシュを連結することにより同様の効果を得ることができる。
Claims (2)
- パワープラントに第1締結部材で取り付けられる小径ブッシュと、パワープラントの下方に配置されたサブフレームに取り付けられる大径ブッシュと、前記大径ブッシュおよび前記小径ブッシュを連結し、かつ、車両前後方向に向けて延出されたロッド部と、からなるトルクロッドを含み、
前記大径ブッシュは、第2締結部材が貫通可能な内筒と、該内筒の外側に配置された外筒と、前記内筒および前記外筒間に充填された弾性部材と、を備えたトルクロッド付き車体前部構造であって、
前記ロッド部は、
前記大径ブッシュに連結される端部が板状部に形成され、
前記板状部に前記ロッド部の長手方向に延びる長孔が形成され、
前記長孔に前記第2締結部材が貫通され、
前記大径ブッシュが前記サブフレームの車幅方向に延びるクロスメンバの内部に設けられ、
前記クロスメンバの前壁に、前記ロッド部が貫通する前開口部が形成され、
前記クロスメンバの後壁のうち前記前開口部と対向する位置に、前記板状部が貫通する後開口部が形成されたことを特徴とするトルクロッド付き車体前部構造。 - 前記内筒が前記板状部の上方に配置された上内筒部と、前記板状部の下方に配置された下内筒部とに分割され、
前記外筒が前記板状部の上方に配置された上外筒部と、前記板状部の下方に配置された下外筒部とに分割され、
前記上内筒部および前記下内筒部間に前記板状部が差し込まれ、かつ、前記上外筒部および前記下外筒部間に前記板状部が差し込まれることを特徴とする請求項1記載のトルクロッド付き車体前部構造。
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