以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
<記録装置本体>
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置であるインクジェットプリンタ200の本体カバー201等を開放した状態を示す斜視図である。本実施形態のプリンタ200は、プリンタ本体と、プリンタ本体のキャリッジ205に取り外し可能に装着されたインクタンク1を備えている。プリンタ本体に設けられたキャリッジ205は、記録ヘッドおよびインクタンク1を着脱可能に搭載するものであり、往復移動可能に構成されている。このキャリッジ205や、キャリッジを移動させるための機構(不図示)、プリンタの本体側制御手段として機能する本体側制御回路(不図示)などが、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われている。また、プリンタ本体は、排紙トレイ203と、自動給紙装置(ASF)202を備える。さらに、プリンタ本体は、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器(たとえば、液晶ディスプレイ)、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213を備えている。本体カバー201は、キャリッジ205をその移動範囲に渡って覆うよう、開閉可能に設けられている。本体カバー201を開放した状態では、図1に示すように、ユーザーは、記録ヘッドユニット105および複数のインクタンク1を着脱可能に搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。具体的には、本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザーは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
本実施形態の複数のインクタンクは、染料ブラックインク(BK)、顔料ブラックインク(PGBK)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)それぞれを収納するインクタンク1BK、1PGBK、1Y、1M、1Cからなる。記録ヘッドユニット105には、上記各色インクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられ、これら各色インクに対応した記録ヘッドがキャリッジ205の往復移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行う。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸(シャフト)と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の往復移動をすることができる。なお、本実施形態ではキャリッジ205において、インクタンク1Bk、1PGBk、1Y、1M、1Cを装着するそれぞれの装着部が一方向に配列され、この配列方向とキャリッジ205の往復移動方向が同方向である。そして、各色インクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル206を介して本体側制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ203まで搬送することができる。
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口の配列範囲に対応した幅の領域に記録を行うことができる。これとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記記録の幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行って行く。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの回復ユニット(不図示)が設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出や吸引回復などの回復処理を行うことができる。
<インクタンク取り付け部>
図2(a)、(b)および(c)は、上述したプリンタにおけるキャリッジのインクタンク装着部(インクタンク取り付け部)を説明する図である。同図(a)はインクタンクからインクの供給を受けて記録動作を実行する記録ヘッドユニットを分離した状態で示す斜視図、(b)は記録ヘッドユニットを装着した状態で示す斜視図である。また、同図(c)は、図3にて後述するインクタンクを取り付け部に取り付けた状態を簡略化して示す断面図である。
記録ヘッドユニット105は、図2(a)に示すように、その底面上にインクタンクのインク供給口に挿入されるインク導入管107を、また、背面側には第1係止部155を、さらにその裏面には信号伝達用の電気接点部(不図示)を備えている。インクタンクのインクはインク導入管107を介して記録ヘッド(不図示)に供給されることになる。一方、シャフト417に沿って移動可能なキャリッジ205には、図2(a)および(b)に示すように、記録ヘッドユニット105を装着、固定するためのレバー419及び記録ヘッド側電気接点部と接続されている電気接点部418が設けられている。さらに、キャリッジ205にはインクタンク1の正面側に対応した保持部が設けられている。すなわち、第2係止部156、本体側接点としてのコネクタ152およびコネクタへの配線部159はキャリッジ側に配設されている。図2(b)に示すように記録ヘッドユニット105を装着した状態では、インクタンクの取り付け部分の全体がキャリッジ205において構成される。すなわち、同図左から順に、BK用、PGBK用、Y用、M用、C用の各インクタンク装着部が構成されている。
インクタンク1の取り付け部(装着部)への装着完了状態は、図2(c)に示すとおりである。すなわち、装着完了状態では、インクタンク1の第1係合部5と取り付け部の第1係止部155とが係合し、インクタンク1のインク供給口7と取り付け部のインク導入管107とが接続し、インクタンク1の基板100上に設けられたタンク側接点(電極パッド)と取り付け部の装置本体側接点(コネクタ)152とが接触し、更に、インクタンク1の係合レバー3の第2係合部6と取り付け部の第2係止部156とが係合している。装着完了状態において、タンク側接点と装置本体側接点との電気的接続は維持される。
<インクタンク>
図3(a)〜(c)は、上述したプリンタで用いられるインクタンクの構造を示す図である。図3(a)〜(c)において、インクタンク1は、インク収納部を有するタンク本体と、タンク本体の背面に設けられた第1係合部5としての係合突起と、タンク本体の正面に弾性変形可能に設けられた係合レバー3を有している。係合レバー3には、第2係合部6としての係合爪が設けられている。係合レバー3はインクタンク本体と一体に樹脂により形成されており、上述のインクタンク取り付け部に対する着脱操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。第1係合部5および第2係合部6は、それぞれ、上記インクタンク取り付け部における第1係止部155および第1係止部156に係合可能に構成されている。そして、第1係合部5と第1係止部の係合、および、第2係合部6と第2係止部の係合によって、インクタンク1のインクタンク取り付け部への装着状態が確保される。また、インクタンク1の底面には、インクタンク取り付け部への装着時に、インクタンク取り付け部のインク導入管107に接続してインク供給を行うためのインク供給口7が設けられている。この底面と正面とをつなぐ部分(本例では斜面)には基板が設けられている。基板としては、ガラス繊維とエポキシ樹脂を混ぜて板状にしたものに配線パターンを形成したいわゆるガラエポ基板であってもよいし、フィルムの上に配線パターンを形成したいわゆるフレキシブル基板であってもよい。
図4(a)および(b)は、インクタンクに設けられる基板100の構成を説明する図であり、図4(a)は、基板100の第1面を示しており、図4(b)は、上記第1面の裏側である基板100の第2面を示している。本実施形態において、基板の第1面はインクタンクの外側に向いており、基板の第2面はインクタンクの内側に向いている。
図4(a)に示されるように、基板の第1面には、電気接点102として、4つのタンク側接点が設けられている。4つのタンク側接点は、後述するように、タンク側第1クロック接点(CLK1接点)102Aと、タンク側第2クロック接点(CLK2接点)102Bと、タンク側データ接点(DATA接点)102Dと、タンク側グランド接点(GND接点)102Gである。一方、図4(b)に示されるように、基板100の第2面には、タンク側接点102と電気的に接続されているタンク側制御素子(タンク側制御回路)103が設けられている。
インクタンク取り付け部にインクタンク1が装着されると、インクタンク取り付け部の装置本体側接点としてのコネクタ152と、インクタンク1における基板100のタンク側接点としての電極パッド102とが接触し、電気的接続が可能となる。タンク側接点102と本体側接点152とが電気的に接続されることで、タンク側制御素子103と図6に示される本体側制御回路300とが通信可能となり、例えば、本体側制御回路300から供給されるクロック信号やデータ信号などの電気信号をタンク側制御素子103が受信できるようになる。
タンク側制御素子としてのタンク側制御回路103は、タンク側第1クロック接点102A(あるいは、タンク側第2クロック接点102B)と本体側第1クロック接点152A(あるいは、本体側第2クロック接点152B)を介して本体側制御回路300から供給される電気信号であるクロック信号を受信する。そしてこのクロック信号に従って、タンク側データ接点102Dと本体側データ接点152Dを介して本体側制御回路300から供給される電気信号であるデータ信号に含まれるコマンドの実行を制御する。
なお、図4(b)は、予め樹脂等でパッケージ化されたタンク側制御回路103を基板100に実装した状態で示している。また、インクタンクが収納しているインクの種類を示すインク種識別情報(例えば、インクの色を示す色ID)やインク量情報などの情報を記憶するメモリ(例えば、図5に示されるメモリ103B)を基板100に搭載する場合にも、予めパッケージ内に実装しておくこともできる。
<基板100の構成>
図5は、タンク側制御素子としてのタンク側制御回路103やタンク側接点102が設けられた基板100の詳細を示す回路図である。同図に示すように、タンク側制御回路103は、制御部103A、メモリ103Bを有して構成される。制御部103Aは、メモリ103Bに対するデータの書き込みおよびメモリ103Bからのデータの読み出しを制御する。この制御部103Aは、本体側制御回路300から送信されたデータ信号を受信し一時的に格納するためのバッファ部(不図示)や、このバッファ部に格納したデータ信号に含まれるコマンドの実行を制御するコマンド実行部103Fを備えている。この場合に、制御部103Aは、以下で説明するクロック信号に同期してデータ信号を受信する。このコマンド実行部103Fは、(i)バッファ部で受信したデータ信号に含まれるインク種識別情報(例えば、色ID)や固有番号情報が、メモリ103Bに格納されているインク種識別情報(色ID)や固有番号情報と一致するか否かを判定する機能、(ii)上記データ信号に含まれるコマンドを認識する機能、および、(iii)上記データ信号に含まれるインク種識別情報とメモリ103Bに格納されているインク種識別情報とが一致した場合にコマンドを実行する機能など、を果たす部分である。制御部103Aは、さらに、クロック制御部103Dやクロック演算部103E、データ(例えば、メモリ103から読み出したインク種識別情報やインク量情報)を一時的に保持する為のレジスタ(不図示)を備えている。
メモリ103Bは、本実施形態ではEEPROMの形態のものであるが他の種類の記憶装置であってもよい。メモリ103Bは、記憶部として機能し、インクタンクの個体情報を記憶することができる。個体情報としては、例えば、上述のインク種識別情報や固有番号情報であり、その他に、インクタンクの製造日や製造ロット番号などを示す製造情報等が挙げられる。インク種識別情報は、インクタンクの出荷時または製造時に、タンクに収納されているインクの種類に対応して、メモリ103Bの所定のアドレスに書き込むことができる。
メモリ103Bに書き込まれ、また、メモリ103から読み出されるデータとしては、例えば、タンクのインク残量あるいはインク消費量を示すデータ(インク量情報)を挙げることができる。本実施形態のインクタンク1のインク収納部には、その底部にプリズムが設けられ、インクの残量が少なくなったときはこのプリズムを介して光学的にその旨を検出することができる。また、本体側制御回路300が吐出データに基づいて記録ヘッドごとの吐出数をカウントし、それに基づいてインクタンクごとのインク残量やインク消費量を計算することができる。そして、本体側制御回路300は、これら残量あるいは消費量等のインク量情報、このインク量情報に対応するインクタンクを特定するためのインク種識別情報および書き込みコマンドなどを含むデータ信号をインクタンクへ送信する。データ信号を受け取ったインクタンクの制御回路103は、データ信号に含まれるインク種識別情報とメモリ103Bに格納されているインク種識別情報を比較し、両者が一致する場合には、データ信号に含まれる書き込みコマンドに従って、データ信号に含まれるインク量情報をメモリ103Bに書き込む処理を行う。この処理がコマンド実行の一例である。一方、両者が一致しない場合には、データ信号に含まれる書き込みコマンドは実行しない。つまり、タンク側制御回路103(具体的には、制御部103A内のコマンド実行部103F)は、コマンドの実行を制御する制御部として機能する。なお、ここでは、タンク側制御回路103がメモリ103Bに対するデータの書き込み制御を行う場合を例に挙げて説明したが、データ信号に含まれるコマンドが「読み出しコマンド」であれば、タンク側制御回路103は、メモリ103からインク量情報等のデータを読み出す処理を実行する。
タンク側第1クロック接点(CKL1接点)102Aは、第1クロック信号線600とこれに接続する第1ダイオード1104aを介して電源ライン104に接続されている。また、タンク側第1クロック接点(CKL1接点)102Aは、第1クロック信号線600(600A)を介してクロック制御部103Dに接続されていると共に、第1クロック信号線600(600B)を介してクロック演算部103Eに接続されている。同様に、タンク側第2クロック接点(CKL2接点)102Bは、第2クロック信号線700とこれに接続する第2ダイオード1104bを介して電源ライン104に接続されている。また、タンク側第2クロック接点(CKL2接点)102Bは、第2クロック信号線700(700A)を介してクロック制御部103Dに接続されていると共に、第2クロック信号線700(700B)を介してクロック演算部103Eに接続されている。
タンク側第1クロック接点(CKL1接点)102Aに入力された電気信号は、第1クロック信号線600と第1ダイオード1104aを介して電源ライン104へ流れると共に、第1クロック信号線600を介してクロック制御部103Dおよびクロック演算部103Eへも流れる。同様に、CKL2端子102Bに入力された電気信号は、第2クロック信号線700と第2ダイオード1104bを介して電源ライン104へ流れると共に、第2クロック信号線700を介してクロック制御部103Dおよびクロック演算部103Eへも流れる。
電源ライン104は、制御部103Aおよびメモリ103Bに接続されており、制御部103Aやメモリ103Bへ電源供給を行うための配線である。すなわち、この電源ライン104は、制御部103Aやメモリ103Bを含むタンク側制御回路103の電源供給ラインとして機能する。
タンク側第1クロック接点(CKL1接点)102Aから電源ライン104へ流れた電気信号と、タンク側第2クロック接点(CKL2接点)102Bから電源ライン104へ流れた電気信号は、図9〜図11にて後述するとおり、電源ライン104上で合成され、制御部103Aやメモリ103Bの電源として供給されることになる。
一方、タンク側第1クロック接点(CKL1接点)102Aから、第1クロック信号線600を介して、クロック制御部103Dおよびクロック演算部103Eへ流れた電気信号は、第1クロック信号(CLK1信号)として機能する。同様に、タンク側第2クロック接点(CKL2接点)102Bから、第2クロック信号線700を介して、クロック制御部103Dおよびクロック演算部103Eへ流れた電気信号は、第2クロック信号(CLK2信号)として機能する。
クロック演算部103Eは、第1クロック信号線600を介して入力された第1クロック信号(CLK1信号)と第2クロック信号線700を介して第2クロック信号(CLK2信号)に予め定められた演算処理(例えば、後述する図12のような論理演算処理)を施して、第3クロック信号(CLK3信号)を生成する。そして、クロック演算部103Eは、この第3クロック信号(CLK3信号)をクロック制御部103Dに入力する。
クロック制御部103Dは、第1クロック信号線600を介して入力された第1クロック信号(CLK1信号)と、第2クロック信号線700を介して第2クロック信号(CLK2信号)と、クロック演算部103Eから出力される第3クロック信号(CLK3信号)を含む3種類のクロック信号のうち、コマンド実行部103Fの制御のために利用される1種のクロック信号を選択/決定する。具体的には、クロック制御部103Dは、メモリ103Bに書き込まれているクロック信号指定コードを読み出し、クロック信号指定コードに対応したクロック信号を今回の制御に利用するクロック信号として決定する。クロック信号指定コードは、上記3種のクロック信号毎に異なるコードが対応付けられていればよく、例えば、2ビット(CLK1信号は「00」、CLK2信号は「01」、CLK3信号は「10」)で構成されている。そして、メモリ103Bには1種類のクロック信号指定コードを格納しておき、メモリから読み出したコードが「00」ならばCLK1信号、「01」ならばCLK2信号というように、クロック制御部103Dは、読み出したコードに応じて使用するクロック信号を決定する。こうして決定されたクロック信号を第4クロック信号(CLK4信号)とし、クロック制御部103Dは、この第4クロック信号(CLK4信号)をコマンド実行部103Fへ送信する。なお、後述するように、メモリ103Bに格納されているクロック信号指定コードは書き換え可能になっている。
コマンド実行部103Fは、コマンド制御部103Dから入力された第4クロック信号に従って、タンク側データ接点(DATA接点)102Dから入力されたデータ信号の解釈やデータ信号に含まれるコマンドの実行を制御する。
タンク側データ接点(DATA接点)102Dは、データ信号線800を介して、制御部103Aと接続されている(データ信号線800は制御部103A内で不図示)。従って、タンク側データ接点(DATA接点)102Dから入力されたデータ信号は、データ信号線800を介して、制御部103A(具体的には、不図示のバッファ部)に入力される。データ信号は、後述するとおり、タンク側回路制御103が行う制御に関するデータであることから、制御データ(制御信号)ということができる。また、データ信号は、図8にて後述されるとおり、開始コード、インク種識別情報、コマンドとして役割を担う制御コード、アドレスコード、データコード、クロック信号指定コードを含んで構成される。
コマンド実行部103Fは、バッファ部(不図示)に入力されたデータ信号に含まれるコマンドの解釈/認識、データ信号に含まれるインク種識別情報とメモリ103Bに格納されるインク種識別情報との比較、比較結果に基づくコマンドの実行などのデータ処理を、コマンド制御部103Dから入力された第4クロック信号に同期して行う。これにより、コマンド実行部103Fによるデータ処理の実行が可能となる。
<制御系の構成>
図6は、本実施形態に係る、インクジェットプリンタの制御系の構成を示す図である。同図は、プリンタ本体に設けられたPCB(プリント配線基板)形態の本体側制御手段としての制御回路300と、この制御回路300と通信可能なタンク側制御回路103を備えた基板100を主に示している。
図6において、本体側制御回路300は、本実施形態のインクジェットプリンタにおけるデータ処理(送信すべきデータ信号の選択、データ信号やクロック信号の送信、インクタンクから送信されてきた情報の処理、種々の判定などを含む)およびキャリッジや紙送り機構の動作制御に関わる処理などを実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図13や図14を参照して後述される、インクタンクに関する処理などの各種処理を実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
一方、キャリッジ205の記録ヘッドユニット105には、Bk、PGBk、Y、M、Cインクをそれぞれ吐出するための複数の吐出口が形成されたそれぞれの記録ヘッド105Bk、105PGBk、105Y、105M、105Cが設けられている。そして、それぞれのインクタンクには、上述したように、タンク側制御回路103およびこの制御回路に対する電気信号の授受を行うためのタンク側接点が設けられた基板100が取り付けられている。インクタンクがインクタンク取り付け部に装着されたとき、上記基板100上のタンク側接点102がインクタンク取り付け部に設けられた装置本体側接点152と接触する。さらに、装置本体側接点152は、フレキシブルケーブル206を介して、本体側制御回路300と電気的に接続されている。以上の接続構成により、本体側制御回路300とそれぞれのインクタンク1のタンク側制御回路103とが、タンク側接点102と本体側接点152とフレキシブルケーブル206を介して電気的に接続され、これらの間で電気信号の授受を行うことが可能となる。
また、本体側制御回路300は、フレキシブルケーブル206を介して、記録ヘッド105Bk、105PGBk、105Y、105M、105Cにおける駆動回路と電気的に接続されている。これにより、本体側制御回路300は、それぞれの記録ヘッドにおける駆動回路に対してインク吐出データを送信できる。各記録ヘッドの駆動回路は、インク吐出データに基づいてインク吐出を制御する。
図7は、図6にて示したフレキシブルケーブル206を介した本体側制御回路300とタンク側制御回路103との間の信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。図7に示すように、各インクタンクに対する信号配線は、4本の信号線からなり、5つのインクタンクに共通に電気的接続可能な信号配線(所謂バス接続配線。共通信号線ともいう。)である。すなわち、共通信号線は、アース信号線(GND配線)、データ信号線(DATA配線)およびクロック信号線1(CLK1配線)、クロック信号線2(CLK2配線)の4本の信号線から構成される。本体側制御回路300は、データ信号線を介して、例えば、図8などで後述されるデータ信号(制御データ、制御信号)等をタンク側制御回路103に送信することができる。
図8は、タンク側制御回路103が、本体側制御回路300から送信されたデータ信号を受信する動作を説明する図である。
この受信する動作および受信したデータ信号に基づくタンク側制御回路103の動作は、図5などで上述したように選択/決定された第4クロック信号(CLK4信号)に従って行われる。すなわち、CLK4信号は、CLK1配線、CLK2配線を介してタンク側制御回路103にそれぞれ送信される第1クロック信号(CLK1信号)、第2クロック信号(CLK2信号)、またはこれら信号に基づいてクロック演算部103Eで生成される第3クロック信号(CLK3信号)のいずれかである。そして、制御部103Aは、この選択されたクロック4信号に同期してデータ信号を受信する。
一方、本体側制御回路300は、タンク側制御回路103で使用される第4クロック信号(CLK4信号)と同じ周波数のクロック信号を発生させ、そのクロック信号に同期させる形で上記データ信号をDATA配線に送信する。例えば、上記CLK4信号がCLK1信号の場合、本体側制御回路300は、本体側の動作クロックをCLK1信号とするべく、CLK1信号を発生させ、このCLK1信号に同期させる形で上記データ信号の送信を行う。また、例えば、上記CLK4信号がCLK3信号の場合、本体側制御回路300は、本体側の動作クロックをCLK3信号とするべく、CLK3信号を発生させ、このCLK3信号に同期させる形で上記データ信号の送信を行う。ただし、CLK3信号に同期させる処理であっても、本体側制御回路300は、あくまでも制御回路内でCLK3信号を発生させるだけであって、CLK1配線あるいはCLK2配線にCLK3信号を送信するわけではない。CLK1信号、CLK2信号、CLK3信号のいずれに同期させる場合であっても、CLK1配線およびCLK2配線に送信されるのは、あくまでも、CLK1信号およびCLK2信号である。
なお、本体側制御回路300は、後述するように、先のコマンドに係るデータ信号において指定した「クロック信号指定コード」に対応するクロック信号に同期させる形で、次のコマンドに係るデータ信号を送信する。
データ信号(制御信号)には、コマンドとしての役割を担う制御コードが含まれている。この制御コードには、タンク側制御回路103のメモリ103Bに対するデータの書き込みを指示するためのコード(「WRITE」コード)や、メモリ103Bからのデータの読み出しを指示するためのコード(「READ」コード)、さらには、インクタンクのインク識別情報(以下、色IDともいう)やインクタンクの固有番号を要求するためのコード(「CALL」コード)がある。本体側制御回路300は、これらの制御コードを含むデータ信号をタンク側の制御回路103に対して送信する際に、色IDによってインクの種類を特定することにより、制御コードが示すコマンドの実行対象であるインクタンクを特定する。
図8に示すように、メモリ103Bへのデータ書き込みでは、本体側の制御回路300からタンク側の制御回路103に対して、データ信号線(図7に示されるDATA配線)を介して、「開始コード+色ID」、「制御コード」、「アドレスコード」、「データコード」、および「クロック信号指定コード」のデータ信号(DATA信号)が、クロック信号(CLK信号)に同期してこの順で送られてくる。「開始コード+色ID」は、その「開始コード」信号によって、一連のデータ信号の始まりを意味し、また、「色ID」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンクを特定する。「色ID」は、同図に示すように、インクの種類「Bk」、「PGBk」、「C」、「M」、「Y」に対応したコードを有しており、タンク側制御回路103の制御部103Aは、このコードが示す色IDとメモリ103Bに格納されている自身の色IDとを比較し、両者が一致しているときにのみ、制御コードに従った処理を行い、両者が一致しないときは、制御コードに従った処理を行わない。これにより、図7に示した、本実施形態の5つのインクタンクに共通のDATA配線を介して、本体側制御回路300からデータ信号を5つのインクタンクに共通に送っても、色IDによって特定されるインクタンクのみが、データ信号に含まれる制御コードに従った処理を行うことができる。なお、このような共通信号線を用いる構成は、インクタンクの数に限定されずに同じものとすることができることは、以上の説明からも明らかである。
本実施形態の「制御コード」には、図8に示すように、メモリ103Bに対する読み出しおよび書き込みを指示するそれぞれ「READ」および「WRITE」のコードが含まれる。さらに、「制御コード」には、インクタンクの色IDの確認、すなわちインクタンク装着の有無を確認するための「CALL」コードが含まれる。
なお、「制御コード」が表す内容は上記の例に限られないことはもちろんであり、例えば、ベリファイコマンド、連続読み出しコマンドなどに関する制御コードを加えて用いることもできる。
例えば、図8において、書き込みでは、「WRITE」のコードの後に続く「アドレスコード」によって、書き込み先であるメモリのアドレスを指示し、次の「データコード」が書き込む内容となる。一方、読み出しでは、図8の下側に示すように、上記の書き込みの場合とデータ信号の構成は同じであり、アドレスコードによってアドレスを指定した後、最初のクロック(図8では13クロック目)の立ち上がりに同期して、読み出しデータがタンク側制御回路103から出力される。
なお、「データコード」の後に付けられる「クロック信号指定コード」は、上述したように、本体側制御回路300が、タンク側制御回路103における動作で用いるクロック信号を指定するためのコードである。この「クロック指定コード」によって、そのデータ信号に係わるタンク側制御回路103の動作のクロック信号が指定される。
制御コードのうち、「CALL」コードは、例えば、図13にて後述されるインクタンク着脱処理で用いられる。「CALL」コードを受信したタンク側制御回路103の制御部103Aは、送られてきた制御信号に含まれる「色ID」と、メモリ103Bに記憶されている自身の色IDとの一致を確認する。一致を確認できたときは、タンク側制御回路103は本体側制御回路300に対して、自身の色IDとともに一致する旨の応答を本体側制御回路300に送信する。一方、一致を確認できなかったときは、タンク側制御回路103は本体側制御回路300に対して応答を送信しない。これにより、例えば、色IDがシアンインクCに対応するものであれば、本体側制御回路300はシアンインクタンクが装着されているか否かを確認することができる。
図8に示す「データ信号」に含まれる「クロック信号指定コード」は、上述したように、これらCLK1信号、CLK2信号またはCLK3信号のどれに同期して受信または送信を行うかを指定するものであり、タンク側制御回路103は、このコードを受信した後、メモリ103Bに格納する。そして、図13にて後述されるように、次のデータ信号の受信およびそのデータ信号に基づく所要の動作は、メモリ103Bに保持されているクロック信号指定コードに対応したクロック信号に従って実行される。
次に、以上の構成に基づく本実施形態の、本体側制御回路300からタンク側制御回路103に対する電源供給について説明する。
図9〜図11は、本実施形態の電源供給を説明する図である。すなわち、本実施形態は、CLK1信号とCLK2信号を合成してタンク側制御回路103の電源とする。これにより、電源専用配線が無い構成によってもタンク側制御回路103を動作させることができる。
図9は、CLK1接点102Aを介したCLK1信号のみがタンク側制御回路103に入力したときの、CLK1信号の波形と、第1および第2クロック信号線600、700および電源ライン104それぞれにおける信号波形を示している。また、図10は、CLK2接点102Bを介したCLK2信号のみがタンク側制御回路103に入力したときの、CLK2信号の波形と、第1および第2クロック信号線600、700および電源ライン104それぞれにおける信号波形を示している。これら図10および図11に示すように、CLK1信号およびCLK2信号はそれぞれ、例えば約6mAのバッファを介して供給される、3.3Vと0Vが交互に切り替わる矩形波を連ねたものである。そして、CLK1信号またはCLK2信号のいずれか一方のみがタンク側制御回路103に入力される場合は、クロック信号線600またはクロック信号線700や、これら信号線とダイオード1104a、1104bを介して接続する電源ライン104における波形も、入力するクロック信号と同じように、3.3Vと0Vが交互に切り替わる矩形波を連ねたものとなる。すなわち、電源ライン104の電圧は所定の周波数で0Vが現れるものであり、電源として望ましいものではない。その理由は、電源ライン104の電圧が0Vになると、タンク側制御回路103の動作可能電圧(例えば、本実施形態では2.5Vとする)を下回ることになるので、タンク側制御回路103が動作不能になる可能性があるためである。
これに対し、本実施形態では、図11に示すように、CLK1信号とCLK2信号を、電源ライン104において合成しその合成された電気信号を電源として使用できるようにする。
図11において、CLK1接点およびCLK2接点をそれぞれ介して入力されるCLK1信号およびCLK2信号は、それぞれの信号線600および700上では、それぞれの矩形波が連続した波形は変わらない。しかし、これら信号が対応するダイオード1104aおよび1104bを介しそれぞれのダイオードから先の内部電源ライン104に入力すると、合成された波形となる。CLK1信号およびCLK2信号が、本実施形態のように共に0Vと3.3Vとを繰り返す矩形波の場合、電源ライン104の合成波形は、CLK1信号およびCLK2信号が本体側制御回路300から供給される時間ほぼ3.3Vが維持された波形となる。
詳しくは、本体側制御回路300はCLK1信号およびCLK2信号それぞれの出力タイミングを制御することにより、上記の合成において、3.3Vと0Vが交互に切り替わる矩形波においてCLK1信号およびCLK2信号が同時に0Vになる時間がないようにしている。また、CLK1信号およびCLK2信号の両方が3.3Vの場合、合成された信号の電圧は、CLK1信号およびCLK2信号の並列結合によって3.3Vとなる。さらに、CLK1信号およびCLK2信号の一方が3.3Vで他方が0Vの場合は、ダイオード1104aおよび1104bによって、電源ライン104から信号線600および700への電流の逆流が防止されることから、合成波形の電圧は、わずかな電圧降下があるものの同様のほぼ3.3Vとなる。この結果、電源ライン104では制御回路103の動作可能電圧より高い3.3Vを維持することが可能となる。
以上のように、本実施形態では、クロック信号としても機能する2種の電気信号の合成によって電源供給を行う。すなわち、電源となる電気信号としてクロック信号を用いることにより、この信号が供給される間は、例えば3.3Vと0Vを交互に繰り返される信号が維持ないし保証される。これにより、特許文献3〜5に記載されるようなデータ線を電源供給ラインとして用いる場合に生じる不都合な事態、すなわち、送信されるデータの内容に依存して電源の例えば電圧値を確保できないという事態を生じさせないようにすることができる。すなわち、電源電圧が例えば3.3Vを維持することができない時間があることに起因して、タンク側制御回路103がリセットされて動作不能となることを回避できる。
その際に、本体側制御回路300は、2つのクロック信号それぞれの出力タイミングを、それらの合成において、3.3Vと0Vが交互に切り替わる矩形波においてそれらの信号が同時に0Vになる時間がないようにしている。
また、2つのクロック信号の波形を適切に定めることにより、合成された電気信号の電圧値がその回路の動作可能電圧(例えば、2.5V)よりも高くなるようにしている。
上述したように、CLK1信号、CLK2信号、およびこれらCLK信号に基づいて生成されるCLK3信号は、択一的に、タンク側制御回路103の動作クロックとして用いられる。タンク側制御回路103は、図5にて上述したように、クロック信号選択を行う。すなわち、タンク側制御回路103のクロック制御部103Dは、CLK1信号と、CLK2信号と、クロック演算部103Eから出力されるCLK3信号を含む3種類のクロック信号のうち、1つのクロック信号を選択ないし決定する。
ここで、第3クロック信号であるCLK3信号は、クロック演算部103Eによる演算によって生成される。図12(a)および(b)は、このCLK3信号を生成する演算回路の二例を示す図である。クロック演算部103Eは、例えば図12(a)に示すように、入力されるCLK1信号およびCLK2信号の論理積をとることにより、第3のクロック信号としてCLK3信号を生成する。あるいは、クロック演算部103Eは、例えば図12(b)に示すように、CLK1信号およびCLK2信号の排他的論理和をとることにより、第3のクロック信号としてCLK3信号を生成することができる。以上のような、クロック演算部103Eによって、入力される2つのクロック信号より高い周波数またはより低い周波数の第3クロック信号を生成することができる。
クロック信号の選択は、例えば、例えば通信エラーが最も少ないクロック信号を選択することができる。すなわち、通信エラーの検出を行う通信エラー検出部を本体側制御回路300もしくはタンク側制御回路103に設けておき、あるタイミングで、通信エラー検出部に記憶されているエラー回数を読み出し、その回数に基づいて、タンク側制御回路103の動作クロックとして使用するクロック信号を選択するのである。通信エラー検出部によるエラー検出方法は特に制限されるものではないが、例えば、以下の方法がある。本体側制御回路300とタンク側制御回路103が通信するコマンドやレスポンス信号などにエラー検出用データを付加しておき、通信エラー検出部が、このエラー検出用データのコードとコマンド(あるいはレスポンス信号)のコードとを比較する。CLK1信号あるいはCLK2信号にノイズが加わらない場合には、DATA信号が正しく認識されるので、エラー検出用データのコードとコマンド(あるいはレスポンス信号)のコードとが所定の関係を満たす。一方、CLK1信号あるいはCLK2信号にノイズが加わった場合には、DATA信号が正しく認識されず、エラー検出用データのコードとコマンド(あるいはレスポンス信号)のコードとが上記所定の関係を満たさない場合がある。これを利用することで、コマンドやレスポンス信号などが正しく送受信されたかどうか、つまり、通信エラーがなかったどうかを判定することが可能となる。なお、エラー検出用データとしては、ハミング符号方式やCRC符号方式など、デジタル通信を行う際には一般的に用いられているいずれかの方式を用いればよい。
また、クロック信号の選択は、例えば、後述されるように、本体側制御回路300から送信するコマンド別にクロック信号を設定しても良い。さらには、例えば、待機時に速度の遅いクロック信号に同期させて動作させることによりタンク側制御回路103の消費電力を抑えることも可能となる。
本実施形態のタンク側制御回路103では、2つクロック信号はダイオードを介して内部電源ライン104に接続されていることから、2つのクロック信号を合成する事でタンク側制御回路103の動作可能電圧を維持する事が可能なる。すなわち、複数のクロックが、ダイオードを介して内部電源ラインに接続されていればよく、本数は適時設定できることは言うまでもない。
図13は、本体側制御回路300とタンク側制御回路103との間の通信の一例を説明するためのフローチャートである。
プリンタの電源立ち上げなどの初期状態では、本体側制御回路300は、バス接続されている各インクタンクのタンク側制御回路103に対してクロック信号である2つのCLK1信号およびCLK2信号を、CLK1配線およびCLK2配線を介してそれぞれ送信する(S1301)。それぞれのインクタンクのタンク側制御回路103は2つのCLK1信号およびCLK2信号を受信し(S1302)、この入力された2つのクロック信号が、図11にて上述したように、内部電源ラインで合成される。そして、内部電源ライン104の電圧が動作可能電圧以上になると、タンク側制御回路103のクロック制御部103Dは、第1クロック信号であるCLK1信号に同期して、メモリ103Bから予め格納されているクロック信号指定コードを読みだす(S1303)。このクロック信号指定コードは、出荷時などに予めメモリ103Bに格納されているものであり、プリンタの初期状態ではこのクロック信号指定コードを用いる。
このようにクロック制御部103Dは、予めメモリ103Bに格納されているクロック信号指定コードに対応したクロック信号を第4クロック信号(CLK4信号)として出力する(S1304)。例えば、クロック信号指定コードがCLK1信号を示す場合には、CLK1信号をCLK4信号として出力する。また、クロック信号指定コードがCLK2信号を示す場合には、CLK2信号をCLK4信号として出力する。
その後、本体側制御回路300は、DATA配線を介して、図8にて説明したデータ信号の形態で、「CALL」コマンドを送信する(S1305)。この「CALL」コマンドを含むデータ信号の末尾には、本体側制御回路300が指定する、次のコマンドの実行制御に利用される「クロック信号指定コード」が付けられている。なお、以下では、S1304において、第1クロック信号(CLK1信号)が第4クロック信号(CLK4信号)として出力されたものとして説明をする。勿論、このCLK1信号は、上記ステップS1303で読み出した予めメモリ103Bに格納されていた「クロック信号指定コード」に対応するものである。
S1306において「CALL」コマンドを受信したそれぞれのインクタンクのタンク側制御回路103のコマンド実行部103Fは、コマンドに付加された色IDと、メモリ103Bに記憶している色IDとの比較を行う(S1307)。両者が一致していれば、タンク側制御回路103は、DATA配線を介して、両者が一致したことを示すレスポンス信号を本体側制御回路300に返信する(S1309)。この際、制御部103Aが、選択されたクロック4信号に同期してレスポンス信号を出力する一方、上記S1307の比較において、両者が不一致である場合には、タンク側制御回路103は応答をしない(S1308)。これにより、本体側制御回路300は、「CALL」コマンドに対してレスポンスの有った色IDを持つタンク側制御回路103を有するインクタンクが搭載されていると判断できる(S1310)。
また、S1309において、タンク側制御回路103は、S1306において受信した「CALL」コマンドを含むデータ信号の末尾に付された「クロック信号指定コード」の値によって、メモリ103B内部のクロック信号指定コードを更新する。以下の説明では、この「クロック信号指定コード」はCLK2信号に対応したものとして説明をする。
図14は、図13に示した「CALL」コマンドの次に、本体側制御回路300から出力されるコマンドの一例である「READ」コマンドの送信およびその応答を示すフローチャートである。
この送信およびタンク側制御回路103の動作は、図13にて説明したように、前のコマンドを含むデータ信号の末尾に付された「クロック信号指定コード」に対応したCLK2信号に同期して行われる。
本体側制御回路300は、DATA配線を介して、図8にて説明したデータ信号の形態で、「READ」コマンドを含むデータ信号を送信する(S1401)。次いで、タンク側制御回路103は、「READ」コマンドを含むデータ信号を受信する(S1402)。具体的には、制御部103Aが、クロック4信号に同期してデータ信号を受信する。そして、タンク側制御回路103のコマンド実行部103Fは、受信したデータ信号に含まれる色IDとメモリ103Bに格納されている色IDが一致しているか否かを判断する(S1403)。両者の色IDが一致していると判断したタンク側制御回路103は、指定されたアドレスに格納された情報(例えば、インク量情報)を、レスポンス信号として本体側制御回路300に返信すると共に、「READ」コマンドを含むデータ信号の末尾に付された「クロック信号指定コード」に従って、メモリ103B内の情報を更新する(S1405)。本体側制御回路300は上記レスポンス信号を受信する(S1406)。一方、上記S1403において、両者の色IDが不一致であることを判断したタンク側制御回路103は応答をしない(S1404)。
図15は、図13および図14にて上述した、前後して本体制御回路300から送信される「CALL」および「READ」のコマンドを送信したときの、タンク側制御回路103におけるクロック信号、電源などを説明する図である。
図15に示すように、タンク側制御回路103には、CLK1接点102AおよびCLK2接点102Bを介してそれぞれCLK1信号およびCLK2信号が入力されている。また、クロック演算部103EはこれらCLK1信号およびCLK2信号に基づいてCLK3信号を生成する。そして、クロック制御部103Dは、メモリ103Bに格納されている「クロック信号指定コード」に従い、CLK1信号、CLK2信号またはCLK3信号のいずれかを選択してそれをCLK4信号として出力し、このCLK4信号をタンク側制御回路103の動作用クロック信号として用いる。
図15に示す例では、図13で上述した「CALL」コマンドの処理の際には、CLK1信号がCLK4信号として用いられる。そして、「CALL」コマンドに対するレスポンスを送信した後の、次の図14で上述した「READ」コマンドの処理の際には、CLK2信号がCLK4信号として用いられている。このように、タンク側制御回路103の制御部103Aが、クロック4信号に同期してレスポンス信号を出力する。
一方、電源ライン104の電源は、図11にて上述したように、CLK1接点102AおよびCLK2接点102Bを介して入力したCLK1信号およびCLK2信号が合成されて、ほぼ3.3Vが維持されたものとなっている。
図16は、タンク側制御回路103において選択されるクロック信号を説明する図である。CLK4信号として出力されるクロック信号は、本体側制御回路300において予め定められている。そして、1つ前のデータ信号の末尾に付された「クロック信号指定コード」で指定したクロック信号に同期させる形で、それぞれのデータ信号の送信およびタンク側制御回路103における動作が行われる。なお、「クロック信号指定コード」の初期値は、本実施形態では上述したようにCLK1信号に対応したものである。
図16に示す例は、CLK1信号、次に、CKL2信号、CKL3信号、CLK1信号、CLK2信号、CLK3信号、・・・、の順序が予め定められていることを示している。そして、これらのクロック信号に同期して、「CALL」、「READ」、「WRITE」、「READ」、「WRITE」、「READ」、・・・、それぞれのコマンドが送信され、また実行されることになる。
以上のように本実施形態によれば、クロック信号としても機能する2種の電気信号の合成によって電源供給を行うことができる。すなわち、電源となる電気信号としてクロック信号を用いることにより、これらの信号が供給される間はそれぞれ、例えば3.3Vと0Vを交互に繰り返される信号が維持ないし保証される。これにより、例えば、データ線を電源供給ラインとして用いる場合に生じる不都合、すなわち、送信されるデータの内容に依存して電源の例えば電圧値を確保できないという事態を生じさせないようにすることができる。そして、上記の構成において、それぞれクロック信号としても機能する2種類の電気信号相互の出力タイミングを、それらの合成において、例えば3.3Vと0Vが交互に切り替わる矩形波においてそれらの信号が同時に0Vになる時間がないようにされている。また、上記2種類の電気信号の波形が適切に定められることにより、合成された電気信号の電圧値がその回路の動作可能電圧よりも高くなるようにされている。その結果、2種の電気信号の合成による電源の電圧値を、上記動作可能電圧よりも高い値を維持したものとすることができる。
また、本実施形態によれば、クロック信号として機能する上記2種の電気信号である第1クロック信号、第2クロック信号、またはこれらの第1および第2クロック信号に基づいて生成される第3クロック信号のいずれかが選択されてそれが第4クロック信号として出力される。そして、この第4クロック信号がタンク側制御回路の動作用クロック信号として用いられる。これにより、タンク側制御回路における動作を、その実行するコマンドないし動作モードに適したクロック信号を選択することができる。また、上記第3クロック信号を生成する演算回路を適切に設計することにより、第3クロック信号を、例えば、第1および第2クロック信号より高周波数または逆に低周波数のクロック信号とすることができる。以上の結果、プリンタにおけるインクタンクにおける制御をより柔軟に設計することが可能となる。
(変形例1)
図17は、第1実施形態のタンク側制御回路103の変形例に係る構成を示す図である。図5の基板では、タンク側制御回路103がダイオード1104を内蔵している。これに対し、図17に示す変形例1は、タンク側制御回路103の外部にダイオード1104を外付けした形態である。
(変形例2)
図18は、第1実施形態のタンク側制御回路103の他の変形例に係る構成を示す図である。図18に示す変形例2は、内部電源をより安定化させるためコンデンサ1105および抵抗1106をタンク側制御回路103の外部に追加した形態である。これにより、CLK1信号およびCLK2信号を合成した電源の安定化を図ることができる。これとともに、タンク側制御回路103の電源を切る際に、コンデンサ1105に溜まった電荷を抵抗1106により放電させることで、速やかな再立ち上げが可能となる。
なお、上記変形例2では、タンク側制御回路103内部の電源安定化の為のコンデンサ1105およびコンデンサ放電の為の放電抵抗1106を外付けしたが、コンデンサ1105および放電抵抗1106をタンク側制御回路103の内部に内蔵してもよい。
(変形例3)
図19は、第1実施形態のタンク側制御回路103の更なる変形例に係る構成を示す図である。図19に示す変形例3は、図5に示したタンク側制御回路103におけるクロック演算部103Eが省略された構成に係るものである。すなわち、図19に示すタンク側制御回路103では、CLK3信号の生成は行われず、CLK1信号およびCLK2信号のいずれかが第4クロック信号として使用される。
この場合、本体側制御回路300から送られてくるクロック信号指定コードは、当然、CLK1信号に対応するコードおよびCLK2信号に対応するコードだけとなる。また、タンク側制御回路103におけるクロック信号制御部103Dは、クロック信号指定コードに応じたCLK1信号あるいはCLK2信号を第4クロック信号として決定し、このクロック信号をコマンド実行部に入力する。
なお、上記構成においても、電源ライン104における電源の波形は、図11にて上述したものと同じものとなることはもちろんである。
(変形例4)
以上の説明では、プリンタ本体の制御回路300とタンク側制御回路103とが共通信号線(所謂バス接続配線)を介して通信する構成について説明した。しかし、第1実施形態は、共通信号線(所謂バス接続配線)を用いて通信する構成に限られるものではない。プリンタ本体の制御回路300と各タンクのタンク側制御回路103とが個別配線で接続され、この個別配線を用いて通信する構成であってもよい。
すなわち、第1実施形態における共通信号線の構成は、図7に示される通りである。DATA配線を例にとって説明すると、5色のインクタンク取り付け部にそれぞれ対応した5つの本体側DATA接点152と、本体側制御回路300とが、1本のDATA配線を介して接続されている。
これに対して、個別配線の構成とは、上記5つの本体側DATA接点152のそれぞれが、別個の配線を介して、本体側制御回路300と接続されている形態である。つまり、DATA配線だけで5本(つまり、(インクタンクの個数分)必要となる。他の配線(CLK1配線、CLK2配線、GND配線)もそれぞれ5本ずつ必要となるので、合計で20本の配線が必要となる。
このような個別配線の構成では、本体側制御回路300とタンク側制御回路103とが1対1に対応しているため、インクタンクのタンク側制御回路103には他の色のインクタンクのためのコマンドは入力されてこない。そのため、コマンドの処理対象となるインクタンクをわざわざ色IDで特定する必要がなく、データ信号に色IDを含ませる必要もない。従って、メモリ103Bに格納されている色IDとデータ信号に含まれる色IDとが一致するかどうかの比較判定を行う機能を、タンク側制御回路103内の制御部103Aに持たせる必要はない。タンク側制御回路103内の制御部103Aは、データ信号に含まれるコマンドをID比較なしで実行するように構成されている。
(変形例5)
以上の説明では、電源専用配線(VDD配線)が設けられていない構成について説明した。しかし、第1実施形態は、電源専用配線が設けられる構成を排除するものではない。上述した4つの信号線(CLK1配線、CLK2配線、DATA配線、GND配線)に加えて、電源専用配線(VDD配線)を設けることも可能である。勿論、その場合には、インクタンク側に、この電源専用配線と電気的に接続可能な接点(VDD接点)が追加されることになる。そして、インクタンクへの電源供給の方法としては、上述したクロック信号線での電源供給に加え、電源専用配線での電源供給も可能となる。したがって、特定の動作の場合にはクロック信号線での電源供給を行い、別の動作の場合には電源専用配線での電源供給を行う、というように電源供給方法の選択が可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第1実施形態のインクタンク1に取り付けられる基板100に発光部101とVDD接点102Vが更に設けられている。そして、この発光部101の駆動に係る電源が、プリンタ本体に設けられた電源専用配線「VDD配線」から、VDD接点102Vを介して、タンク側制御回路103および発光部101に供給されるように構成されている。タンク側制御回路103は、発光部101の駆動にはVDD接点102Vからの供給電力を電源として利用する一方で、「CALL」、「READ」、「WRITE」などのコマンドに関する動作には、第1実施形態と同じくCKL1接点102AとCLK2接点102Bから2つのクロック信号を合成した電力を電源として利用する。この第2実施形態によれば、発光部などの比較的消費電力が多い要素の動作には、電源専用配線「VDD配線」を介して供給される電力を電源として利用し、一方、論理回路など比較的消費電力が少ない要素の動作にはクロック信号の合成によって得られる電力を電源として利用することができる。これにより、全体として消費電力が低減されたインクタンクに係わる制御を行うことが可能となる。
図20(a)および(b)は、本実施形態に係るインクタンク1に設けられる基板100の構成を説明する図である。本実施形態は、この基板100の構成およびその構成、特に発光部100の駆動に応じた、本体側制御回路300とタンク側制御回路103との間でやり取りされる信号の形態が第1実施形態と異なる。以下では、主に、この相違点について説明し、その他の説明は省略する。
図20(a)および(b)はそれぞれ、基板100の第1面である表面の図および第2面である裏面の図を示している。インクタンク取り付け部にインクタンク1が装着されると、インクタンク取り付け部の本体側接点と、インクタンク1における基板100のタンク側接点102(図20(a))とが接触し、電気的接続が可能となる。基板100のタンク側接点102が設けられた第1面(表面)の反対側の第2面(裏面)には、発光部101と、この発光部を制御するためのタンク側制御回路103とが設けられている。タンク側制御素子としてのタンク側制御回路103は、タンク側接点102を介して供給される電気信号に従って、発光部101の発光、消灯の制御を行う。また、同じ第2面(裏面)に設けられる制限抵抗114は、発光部101への入力電流を制限するために用いられ、発光部100にLEDを用いる場合に追加される。なお、図20(a)は、予め樹脂等でパッケージ化されたタンク側制御回路103を基板100に実装した状態を示している。また、インクタンクが収納しているインクの種類を示す識別情報(色ID)やインク量情報などの情報を記憶させておくメモリ素子を基板100に搭載する本実施形態の構成では、予めパッケージ内に実装しておくこともできる。
<基板100の構成>
図21は、本実施形態のタンク側制御回路103などが設けられた基板100の詳細を示す回路図であり、第1実施形態の図5と同様の図である。第1実施形態の図5に示す構成と異なる点は、Vdd接点102Vおよびこの接点に接続する電源線900が設けられ、また、電源線900に、LEDである発光部101、制限抵抗器114、およびLEDドライバ103Cが接続されている点である。
図21に示すように、タンク側制御回路103は、制御部103A、メモリ103BおよびLEDドライバ103Cを有して構成される。この発光部101の駆動に関し、制御部103Aは、本体側制御回路300から送られてくるデータ信号に含まれる「ON」コマンドや「OFF」コマンドに応じて、LEDドライバ103Cを介して発光部101の駆動を制御する。詳しくは、LEDドライバ103Cは、制御部103Aから出力される信号がオフのとき、発光部101に電源電圧を印加するように動作し、これにより、発光部101を発光させる。一方、LEDドライバ103Cは、制御部103Aから出力される信号がオンのとき、発光部101に電源電圧を印加しないように動作し、これにより、発光部101を消灯させる。従って、制御部103Aから出力される信号がオフの状態にあるとき、発光部101は点灯状態を維持し、上記信号がオンの状態にあるとき、発光部101は消灯状態を維持する。
電源線900は、また、ダイオード1104cを介して電源ライン104に接続されている。これにより、電源線900によって供給される電源を制御部103Aやメモリ103Bの駆動に用いることも可能となる。また、本体側制御回路300からのグランド配線はタンク側グランド接点(VDD接点)102Gを介してタンク側制御回路103のグランドに接続する。
<制御系の構成>
図22は、上述した基板100を備えたインクタンクを用いるインクジェットプリンタの制御系の構成を示す図であり、第1実施形態に係る図6と同様の図である。
図22において、本体側制御回路300は、本インクジェットプリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図30にて後述される処理などを実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
インクタンク取り付け部には、インクタンク1Bk、1PGBk、1Y、1M、1Cを着脱自在に搭載することができる。そして、それぞれのインクタンクには、上述したように、発光部101、タンク側制御回路103およびタンク側接点102などが設けられた基板100が取り付けられている。
キャリッジ205の移動範囲の一方の端部近傍に設けられる受光部210は、インクタンク1の発光部101からの発光を受けて、それに応じた信号(受光量を示す信号)を本体側制御回路300へ出力する。本体側制御回路300は、後述されるように、この受光量を示す信号に基づき、キャリッジ205の装着部(インクタンク取り付け部)に正しいインクタンクが装着されているか否かを判定する処理を行う。この処理のことを便宜上光照合処理という。また、キャリッジ205の移動経路に沿ってエンコーダスケール209が設けられるともに、キャリッジ205にはエンコーダセンサ211が設けられる。このセンサの検出信号はフレキシブルケーブル206を介して本体側制御回路300に入力され、本体側制御回路300は入力された検出信号に従ってキャリッジ205の移動位置を検知する。この移動位置の情報は、各記録ヘッド吐出制御に用いられるとともに、インクタンクの装着位置が正しいか否かを判定する光照合処理において用いられる。さらに、キャリッジ205の移動範囲における所定の位置の近傍に設けられるインク残量センサ214は、インク収納部内に設けられたプリズムに光を照射するための発光素子とプリズムで反射された光を受光するための受光素子とを備える。この受光素子の受光結果(反射光を受光したか否か)は、インク収納部内のインクの有無に対応している。したがって、インク残量センサ214は、キャリッジ205に搭載されるそれぞれのインクタンク1のプリズムに対して発光素子から光を照射し、その受光結果(インク残量に関する信号)を本体側制御回路300に出力する。そして、本体側制御回路300は、この信号に基づき、インク収納部内のインクの有無を判断することができる。
図23は、図22にて上述した、フレキシブルケーブル206を介した本体側制御回路300とタンク側制御回路103との間の信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。この図は、第1実施形態に係る図7と同様の図である。
図23に示すように、各インクタンクに対する共通信号線は、5本の信号線からなり、5つのインクタンクに共通に電気的接続可能な信号配線である。すなわち、共通信号線は、電源専用配線「VDD配線」、アース配線(GND配線)、データ配線(DATA配線)、クロック配線1(CLK1配線)、およびクロック信号配線2(CLK2配線)の5本の信号線から構成される。ここで、VDD配線は、インクタンクにおける発光部101の発光のための電力供給や、発光部101の駆動制御などを行うタンク側制御回路103の動作のための電力供給を行うための配線である。
図24は、タンク側制御回路103が、本体側制御回路300から送信されたデータ信号を受信する動作を説明する図である。図24は、第1実施形態に係る図8と同様の図である。第2実施形態のデータ信号で異なる点は、制御コードとして、発光部101の点灯を指示するための「ON」コードおよび発光部101の消灯を指示するための「OFF」コードがそれぞれ加わった点である。
この「ON」コードおよび「OFF」コードを用いた発光部101の制御は、後述の光照合処理などで行われる。
次に、第2実施形態に係る、タンク側制御回路103への電源供給の構成について説明する。本実施形態のタンク側制御回路103を駆動させるために必要な駆動電流は約2mAであり、発光部101としてのLEDの点灯に必要な駆動電流は20mAである。なお、この駆動電流は駆動回路およびLEDの発光に使用する電流量に応じて適宜決定されるものであることはもちろんである。また、この発光部101が発する光の波長は特に制限されるものではない。紫外線、赤外線、可視光線のいずれであってもよい。光の波長は発光部の使用目的などに応じて適宜定めることができる。この第2の実施形態においては、受光部210が受光できる光を発する発光部であれば、発光部からの光の波長は特に制限されない。
図25は、特に、タンク側制御回路103に対してVDD接点を介して供給される電源の配線などを説明するための図である。プリンタ本体で使用する電源は、直流であると共に、モーターやUSB端子、本体側制御回路300を含め様々な駆動電圧の異なる部品に電源を供給するものである。
図25に示すように、この直流電源は、家庭用コンセントに接続された交流電源2500から、AC/DCコンバータ2501を介して直流に変換され、この直流電源の電圧は32Vとされる。この32Vの直流電源は、プリンタ内部のモーター等の駆動に使用される。さらに、32Vの直流の電圧はDC/DCコンバータ2502を介して約5.5Vに降圧される。降圧された直流電源はUSB端子等に接続され、様々な5V系の電源として使用される。さらに、この約5.5Vの直流電源の電圧はDC/DCコンバータ2503を介して約3.3Vに降圧される。降圧された電源は本体側制御回路300に接続されると共に様々な3.3V系の電源として使用される。なお、上記の電源において電源容量は一般的な電源の場合、数A(アンペア)の容量を持ち、本実施形態においては1Aとする。
以上のようにして得られる約3.3VのVDD電源は、VDD配線(図23)および基板100のVDD接点102Vを介して、基板100内の電源線900に供給される。この電源線900は、図21にて前述したように、発光部101と制限抵抗114およびLEDドライバ103Cをそれぞれ連結してグランドに接続する。また、電源線900は分岐しダイオード1104cを介してタンク側制御回路103の電源ライン104に接続する。
図26〜図28は、本実施形態の電源供給を説明する図であり、CLK1信号とCLK2信号とを合成してタンク側制御回路103の電源ライン104に電源を供給する構成を説明する図である。図26〜図28は、それぞれ、第1実施形態の図9〜図11に対応する。すなわち、図28に示すように、第1実施形態と同様に、第2実施形態でも、CLK1信号とCLK2信号を、電源ライン104において合成しその合成された電気信号を電源として使用できるように構成している。図28において、CLK1接点およびCLK2接点をそれぞれ介して入力されるCLK1信号およびCLK2信号は、それぞれの信号線600および700上では、それぞれの矩形波が連続した波形は変わらない。しかし、これら信号が対応するダイオード1104aおよび1104bを介しそれぞれのダイオードから先の内部電源ライン104に入力されると、合成された波形となる。図28に示されるように、CLK1信号およびCLK2信号が、共に、0Vと3.3Vとを繰り返す矩形波の場合、電源ライン104上での合成波形はほぼ3.3Vが維持された波形となる。この点は、図11と同様である。
本実施形態では、本体側制御回路300は、タンク側制御回路103に対してVDD接点102Vを介してVDD電源を供給可能な構成であるが、図28に示す場合のように、「CALL」、「READ」、「WRITE」のコマンドに応じてタンク側制御回路103内の各要素を動作させる場合には、CLK1接点およびCLK2接点からの供給電力が電源として利用されるので、本体側制御回路300からVDD電源が供給されないようにしている。つまり、本体側制御回路300は、CLK1接点およびCLK2接点からの供給電力がタンク制御回路103の電源として利用さるような特定の動作(ここでは、「CALL」、「READ」、「WRITE」のコマンドの実行動作)の場合には、電源専用配線「VDD配線」に電気を流さないように制御する。
図29は、発光部101を点灯させるなど比較的消費出力が大きな動作が行われる場合の電源供給を説明する図である。すなわち、図28に示したインクタンク側でクロック信号を合成して得られる電源のみで足りるような動作でなく、VDD接点102Vを介して供給されるVDD電源を必要とする場合の電源供給を示している。具体的には、タンク側制御回路103の消費電力が、CLK1信号とCLK2信号を合成して得られる電源の電力より多い処理や、上述のように発光部101を駆動する場合、電力が不足する場合などである。
図29に示すように、本体側制御回路300からは、0Vと3.3Vを交互に繰り返す波形のCLK1信号およびCLK2信号が送られる。これとともに、3.3VのVDD電源が送られる。CLK1信号とCLK2信号は図28にて説明したように電源ライン104において合成されて、3.3Vの電源電圧が維持された電源を構成する。また、この電源ライン104には、VDD接点102Vおよびダイオード1104cを介して3.3VのVDD電源が供給することが可能となっている。これにより、上記合成電源に加えてVDD電源が供給される場合には、電源ライン104は、同じように3.3Vの電源電圧が維持された電源となる。この結果、電源ライン104には、図28に示したクロック信号の合成された電源のみが供給される場合と較べて、電圧はほぼ同じであるが、供給可能な電流量が増加することになる。
一方、VDD接点102Vおよびダイオード1104cを介して電源線900には3.3VのVDD電源が供給することが可能となっている。この電源線900にVDD電源が供給される場合には、このVDD電源が、発光部101の発光のための電源やタンク側制御回路103による発光部101の発光制御のための電源となる。
本実施形態では、CLK1信号とCLK2信号を合成して得られる、電源ライン104に供給される電源の供給可能な電流値は、本体側制御回路300のバッファ容量に応じた約12mAである。タンク側制御回路103の動作の消費電流は2mAであることから、その余剰の電流量は10mAである。一方、発光部101の点灯に必要な電流は20mAである。この結果、仮に、CLK1信号とCLK2信号を合成して得られる電源のみを用いるとした場合は、発光部101が点灯すると、電圧が降下して、例えば、タンク側制御回路103の動作ができなくなる場合がある。
これに対し、本実施形態では、VDD電源がダイオード1104cを介して内部電源ライン104に供給される。これにより、基板100上の電気部品に供給される全体の電源容量は1.012Aとなり、発光部101が点灯しても、タンク側制御回路103の内部電源ライン104を3.3Vに維持することが可能となる。
また、インクタンク側で消費電力が多くなるのが一時的な場合は、本体側制御回路300は、消費電力が少なくなったときに、VDD電源の供給を止め、CLK1信号およびCLK2信号のみを供給し続けるようにしてもよい。
次に、第1実施形態に関して図13および図14などを参照して説明した、本体側制御回路300とタンク側制御回路103との間の本実施形態に係る通信の一例を図30を用いて説明する。
以下に示す例は、最初に図13に示した「CALL」コマンドに係る通信があり、次に、発光部101の点灯「ON」および消灯「OFF」(図24参照)のコマンドに係る通信がある例である。「CALL」コマンドに係る通信は図13にて上述したとおりであり、その際、本体側制御回路300は、DATA配線を介して送信するデータ信号の末尾の「クロック信号指定コード」に、例えばCLK2信号に対応したコードを付す。そして、次の点灯「ON」コマンドの送信およびそれに従ったタンク側制御回路103の動作では、上記付された「クロック信号指定コード」に従い、CLK2信号を第4クロック信号(CLK4信号)として用いる。
図30は、上述したように、「CALL」コマンドの次に、本体側制御回路300から出力されるコマンドである点灯「ON」および消灯「OFF」それぞれのコマンドの送信およびその応答を示すフローチャートである。
本処理では先ず、本体側制御回路300は、VDD配線を介して約3.3VのVDD電源をタンク側制御回路103へ供給する(S3001)。タンク側制御回路103(基板100)には、VDD接点102Vを介してVDD電源が供給されて、電源線900が電源電圧3.3Vとなる(S3002)。
次に、本体側制御回路300は、DATA配線を介して、図24にて説明したデータ信号の形態で、点灯「ON」コマンドを送信する(S3003)。これに対し、タンク側制御回路103は、点灯「ON」コマンドを含むデータ信号を受信する(S3004)。具体的には、制御部103Aが、クロック4信号に同期してデータ信号を受信する。そして、受信したデータ信号に含まれる色IDがメモリ103Bに格納されている色IDと一致しているか否かを判断する(S3005)。両者の色IDが不一致の場合には、タンク側制御回路103は、何も応答しない(S3006)。一方、両者の色IDが一致すると判断したタンク側制御回路103は、ステップS3007で、発光部101を点灯させるためにLEDドライバ103Cを駆動する。また、タンク側制御回路103は、両者の色IDが一致する旨のレスポンス信号を同じく図24に示すデータ信号の形態で本体側制御回路300に送信、さらに、S3004で受信したデータ信号に付されていた「クロック信号指定コード」に従い、メモリ103Bの指定コードを更新する(S3007)。以下の説明では、この「クロック信号指定コード」がCLK3信号に対応したものであるとして説明する。
S3008においてレスポンス信号を受信した本体側制御回路300は、次に、消灯「OFF」コマンドを送信する(S3009)。これに対し、タンク側制御回路103は、S3007においてメモリ103Bに記憶された「クロック信号指定コード」を読み出し、この「クロック信号指定コード」で指定されたCLK3信号に従って、消灯「OFF」コマンドを受信する(S3010)。そして、受信したデータ信号に含まれる色IDがメモリ103Bに格納されている色IDと一致しているか否かを判断する(S3010)。両者の色IDが不一致の場合には、タンク側制御回路103は、何も応答しない(S3012)。一方、両者の色IDが一致していると判断したタンク側制御回路103は、ステップS3013で、発光部101を消灯させるためにLEDドライバ103Cの駆動を停止する。また、タンク側制御回路103は、両者の色IDが一致する旨のレスポンス信号を本体側制御回路300に送信し、さらに、S3010で受信したデータ信号に付されていた「クロック信号指定コード」に従い、メモリ103Bの指定コードを更新する。
図31は、タンク側制御回路103において選択されるクロック信号や電源を説明する図である。この図は第1実施形態に係る図16と同様の図であり、以下では相違点を主に説明する。
図31に示す例では、図30にて上述したように、最初「CALL」コマンドの際には、CLK1信号がCLK4信号として用いられる。そして、制御部103Aが、このクロック信号に同期して、「CALL」コマンドに対するレスポンスを送信した後の、次の図30で上述した点灯「ON」コマンドの際には、CLK2信号がCLK4信号として用いられている。また、消灯「OFF」コマンドの際には、CLK3信号がCLK4信号として用いられている。以下、同様に、直前のコマンドと共に送信した「クロック信号指定コード」に対応したクロック信号に同期させる形で、本体側制御回路300からのコマンドの送信およびそれに応じたタンク側制御回路103の動作が行われる。
一方、図31に示す例の電源については、「CALL」、「READ」、「WRITE」の各コマンドの実行を制御するためのタンク側制御回路103の動作には、CLK1接点102AとCLK2接点103Bを介して供給される合成電力が電源(内部電源)として利用される。
これに対し、発光部101の点灯「ON」および消灯「OFF」の動作、並びに、これら点灯および消灯を制御するためのタンク側制御回路103の動作には、VDD接点102Vを介して供給される電源VDDが電源として利用される。すなわち、本体側制御回路300は、ON/OFFコマンドを送信するときは、それらのコマンド送信に応じて電源VDDがON状態(3.3V)となるように制御する。一方、発光部101のON/OFFと関係ないとき(他のCALL/READ/WRITEコマンドの実行のとき)は、電源VDDがOFF(0V)とするように制御する。より詳しくは、本体側制御回路300は、CALL/READ/WRITEコマンドを送信するときに、そのコマンド送信に応じて、電源VDDがOFF状態だったらOFFのままとし、コマンド送信時にON状態であるときは電源VDDをOFFとする。
図32は、図31に示す構成の他の例を示す図である。図31に示す例では、タンク側制御回路103は、電源VDDがON状態でOFFコマンドを受信し、このOFFコマンドに応じて発光部101を消灯(OFF)させていた。しかし、本体側制御回路300が、OFFコマンドを利用せずに、直接電源VDDをOFF状態とすることによっても、発光部101を消灯させることもできる。そこで、図32に示す例では、OFFコマンドを利用せずに直接電源VDDをOFF状態として発光部を消灯する場合と、消灯「OFF」コマンドを利用して発光部を消灯する場合とを混在させている。例えば、前者は総てのインクタンクの発光部を同時に消灯させるときに用い、後者は個別のインクタンクを消灯させるときに用いることができる。
<光照合処理>
次に、上述した発光部の点灯および消灯を用いた光照合処理について説明する。光照合処理は、発光部101からの光を受光部210(図22)で受光し、その受光結果に基づいてインクタンクが正しい位置(正しい装着部)に装着されているか否かを判定する判定処理である。光照合処理は、インクタンク1が正しい装着部に装着されている場合と誤った装着部に装着されている場合とで、インクタンク1の発光部101が発光する位置が異なり、この発光位置の相違に起因して受光部210の受光結果に違いが表れることを原理としている。
このような光照合処理の一例は次の通りである。キャリッジ205が所定の位置(ここで、「所定の位置」とは、インクタンク1が正しい装着部に装着されている場合と誤った装着部に装着されている場合とで、インクタンク1の発光部の発光に対する受光部210の受光結果が異なるような、キャリッジの移動方向における位置である。)にある場合に、本体側制御回路300が、色IDと点灯コマンド(「ON」コード)を含むデータ信号をDATA配線に送信し、キャリッジに搭載されている複数のインクタンクのタンク側制御回路103がデータ信号を受け取る。複数のインクタンクのそれぞれのタンク側制御回路103は、受信したデータ信号に含まれる色IDとメモリ103Bに格納されている色IDとを比較し、両者の色IDが一致したことを判断したタンク側制御回路103が発光部101を発光させる。これにより、キャリッジ205が所定の位置にあるときに、色IDによって特定されたインクタンクの発光部101を発光させ、この発光に対する受光部の受光結果を得ることができる。ここで、インクタンク1が正しい装着部に装着されている場合と誤った装着部に装着されている場合とでは、発光部の発光位置が異なることになるため、発光位置と受光部との相対的な位置関係が異なり、その結果、受光部の受光結果に差が現れる。したがって、キャリッジが所定の位置にあるときの、発光部の発光に対する受光部210の受光結果(受光量に関連した情報)を取得すれば、インクタンク1が正しい装着部に装着されているか否かを判定することができる。そこで、本体側制御回路300は、受光部210の受光結果に基づいて、インクタンク1が正しい装着部に装着されているか否かを判定する。
ここで、「所定の位置」の一例としては、色IDによって特定される特定色のインクタンク(例えば、インクタンク1Y)に対応した特定色の装着部(例えば、Y装着部)が受光部210に正面対向する位置が挙げられる。この場合、特定色の装着部が受光部に対向している状態で、特定色のインクタンクの発光部101の発光に対する受光結果(対向受光量)を取得し、この受光結果を利用して特定色のインクタンクが正しい装着部(特定色の装着部)に装着されているか否かを判定することができる。このような光照合処理の方法は、例えば、特許文献2に詳しく開示されており、本実施形態においても特許文献2に開示される光照合処理の方法を採用することができる。
また、本実施形態において適用可能な光照合処理の方法は、上記の方法に限られるものではない。以下、別のやり方の光照合処理について、図35〜図38を用いて説明する。
図35は、全ての装着部に正しいインクタンクが装着されている場合の動作説明図である。ホームポジションにキャリッジ205があるとき、インクタンク1の発光部101は消灯している状態にある。まず、図35(a)のように、図中不図示の右端のホームポジションにあるキャリッジ205が受光部210に対向する位置へ向けて移動を開始する。
次いで、図35(b)のように、キャリッジ205のBK装着部が受光部210と対向する位置に到達する前に、最も左端にあるBK装着部に装着されるべき染料ブラックインクタンク1BKの発光部101を点灯させる。次いで、染料ブラックインクタンク1BKの発光部101を点灯させたままの状態で、図35(b)の位置から図35(c)の位置へキャリッジ205を移動させ、図35(c)のようにBK装着部を受光部210に対向させる。
なお、ここでの染料ブラックインクタンク1BKの発光部101の点灯(発光)は、以下のようにして行われる。まず、本体側制御回路300が、染料ブラックインクを指定する「インク種識別情報」と、点灯を指示する「制御コード」とを含むデータ信号を共通配線に送信する。このデータ信号は、共通配線を介して、5つのインクタンク(1BK、1PGBK、1Y、1M、1C)の制御回路103に入力される。次いで、これら5インクタンクの各制御回路103は、本体側の制御回路300から共通配線を介して送られてきたデータ信号に含まれる「インク種識別情報」と、自身のメモリに記憶されている「インク情報」とを比較する。
そして、両者のインク種識別情報が一致する場合には発光部101を点灯させる制御を行い、両者のインク種識別情報が一致しない場合には発光部101を点灯させる制御は行わない。図35(b)の場合、データ信号に含まれる「インク種識別情報」は染料ブラックインクを指定するものなので、染料ブラックインクタンク1BKに設けられた制御回路103だけが自身のタンクに設けられた発光部101を点灯させる制御を行い、その他のインクタンク(1PGBK、1Y、1M、1C)に設けられた制御回路103は発光部101の点灯制御を行わない。これにより、本体側制御回路300からデータ信号が各インクタンク1に共通に送られても、指定した1つのインクタンクの発光部101だけを発光させることが可能となる。以上では、染料ブラックインクタンクの発光部101を発光させる場合について説明したが、その他のインクタンクの発光部を発光させる仕組みも同様であることはいうまでもない。
そして、染料ブラックインクタンク1BKの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(1)を検出し、この受光量(1)に関する情報を「BK/Center」としてRAM302に記憶する。BK装着部に染料ブラックインクタンク1BKが装着されていれば、タンク1BKに関する受光量(「BK/Center」、「BK/Right」)の中で、「BK/Center」の受光量が最大となる。
次いで、染料ブラックインクタンク1BKの発光部101を消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(100)として求め、このバックグランド光量(100)に関する情報を「BK/BG」としてRAM302に記憶する。なお、バックグランド光量は、外部からの光(外光)の光量に相当するものである。上記バックグランド光量を求める理由については後述する。
次いで、キャリッジ205の位置は変えずに、図35(d)のように、PGBK装着部を除いてBK装着部の隣にあるY装着部に装着されるべきイエローインクタンク1Yの発光部101を点灯させる。そして、イエローインクタンク1Yの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(2)を検出し、この受光量(2)に関する情報を「Y/Left」としてRAM302に記憶する。
次いで、イエローインクタンク1Yの発光部101を点灯させたままの状態で、図35(d)の位置から図35(e)の位置へキャリッジ205を移動させ、図35(e)のようにY装着部を受光部210に対向させる。そして、イエローインクタンク1Yの発光部101が点灯しているときの受光部の受光量(3)を検出し、この受光量(3)に関する情報を「Y/Center」としてRAM302に記憶する。Y装着部にイエローインクタンク1Yが装着されていれば、タンク1Yに関する受光量(「Y/Center」、「Y/Left」、「Y/Right」)の中で、「Y/Center」の受光量が最大となる。次いで、イエローインクタンク1Yの発光部101を消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(101)として求め、このバックグランド光量(101)に関する情報を「Y/BG」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置を変えずに、図35(f)のように、染料ブラックインクタンク1BKの発光部101を点灯させる。そして、染料ブラックインクタンク1BKの発光部101が点灯しているときの受光部の受光量(4)を検出し、この受光量(4)に関する情報を「BK/Right」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置は変えずに染料ブラックインクタンク1BKの発光部101を消灯させた後に、図35(g)のように、Y装着部の隣にあるM装着部に装着されるべきマゼンタインクタンク1Mの発光部101を点灯させる。そして、マゼンタインクタンク1Mの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(5)を検出し、この受光量(5)に関する情報を「M/Left」としてRAM302に記憶する。
次いで、マゼンタインクタンク1Mの発光部101を点灯させたままの状態で、図35(g)の位置から図35(h)の位置へキャリッジ205を移動させ、図35(h)のようにM装着部を受光部210に対向させる。そして、マゼンタインクタンク1Mの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(6)を検出し、この受光量(6)に関する情報を「M/Center」としてRAM302に記憶する。M装着部にマゼンタインクタンク1Mが装着されていれば、タンク1Mに関する受光量(「M/Center」、「M/Left」、「M/Right」)の中で、「M/Center」の受光量が最大となる。次いで、マゼンタインクタンク1Mの発光部101を消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(102)として求め、このバックグランド光量(102)に関する情報を「M/BG」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置を変えずに、図35(i)のようにイエローインクタンク1Yの発光部101を点灯させる。そして、イエローインクタンク1Yの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(7)を検出し、この受光量(7)に関する情報を「Y/Right」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置を変えずにイエローインクタンク1Yの発光部101を消灯させた後に、図35(j)のようにM装着部の隣にあるC装着部に装着されるべきシアンインクタンク1Cの発光部101を点灯させる。そして、シアンインクタンク1Cの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(8)を検出し、この受光量(8)に関する情報を「C/Left」としてRAM302に記憶する。
次いで、シアンインクタンク1Cの発光部101を点灯させたままの状態で、図35(j)の位置からキャリッジ205を移動させ、図35(l)に示されるように右端の装着部であるC装着部を受光部210に対向させる。そして、この図35(l)の位置で、シアンインクタンク1Cの発光部101が点灯しているときの受光量(9)を検出し、この受光量(9)に関する情報を[C/Center]としてRAM302に記憶する。C装着部にシアンインクタンク1Cが装着されていれば、タンク1Cに関する受光量(「C/Center」、「C/Left」)の中で、「C/Center」の受光量が最大となる。次いで、シアンインクタンク1Cの発光部101を消灯させた後に、この位置における受光量をバックグランド光量(103)として求め、このバックグランド光量(103)に関する情報を「C/BG」としてRAM302に記憶する。
次いで、キャリッジ205の位置を変えずに、図35(m)のようにマゼンタインクタンク1Mの発光部101を点灯させる。そして、マゼンタインクタンク1Mの発光部101が点灯しているときの受光部210の受光量(10)を検出し、この受光量(10)に関する情報を「M/Right」としてRAM302に記憶する。
なお、顔料ブラックインクタンク1PGBKは、ほかの4つのインクタンクとは形状が異なるため、誤装着の可能性がない。従って、顔料ブラックインクタンク1PGBKについては、光照合処理の対象としない。
以上のようにして、キャリッジ205の位置に応じて特定されるインクタンクの発光部101の発光と受光部210による受光を繰り返すことで、受光量(1)〜(10)に関する情報並びにバックグランド光量(100)〜(1103)に関する情報を得る。そして、受光量(1)〜(10)に関する情報は図36(a)に示されるテーブル1としてRAM302に格納され、また、バックグランド光量(100)〜(103)に関する情報は図36(b)に示されるテーブル2としてRAM302に格納される。その後、本体側制御回路300は、テーブル1の受光量からテーブル2のバックグランド光量を差し引くことで、バックグランド光量の影響を除去した補正光量を求め、この補正光量の情報を図36(c)に示されるテーブル3としてRAM302に格納する。
ここで、テーブル3を作成する理由について説明する。上述した通り、プリンタの使用環境によっては、ASF202側や排紙トレイ203側から外光が進入し、インクタンク1の発光部101が点灯していないにもかかわらず、受光部210が外光を検出してしまうことがある。外光が進入している状況下で、インクタンク1の発光部101を点灯させた場合、そのときの受光量は発光部101の光量+外光の光量となる。従って、光照合処理時に受光部210が受光する受光量からは外光の光量(バックグランド光量)を除去した上で、タンク装着位置判定を行うことが好ましい。
そこで、本実施形態では、受光部210の受光量からバックグラウンド光量を差し引くことで補正光量を求め、この補正光量に従って光照合処理を行うようにしている。そのために、上記図36(c)に示されるテーブル3を作成するのである。このように図36(c)のテーブルを利用してタンク装着位置正否判定処理を行うことで、判定精度を更に高めることができる。
次に、本体側制御回路300は、図36(c)のテーブル3を利用して、BK、Y、M、Cの順に、各装着部に正しいインクタンクが装着されているか否かの判定を行っていく。図37は、この判定シーケンスを示すフローチャートである。
まず、図37のS40において、外光エラーが発生したか否かを判定する。具体的には、図36(b)のテーブル2に示される各バックグランド光量(BG)が所定値以上であるか否かを判定する。バックグランド光量が著しく大きい場合、発光部101の光量+外光の光量が、受光部210で受光可能な光量の上限を超えてしまい、受光部210からの出力値が飽和してしまう。すると、受光量からバックグランド光量を差し引いた値(補正光量)が、発光部101の光量を示さなくなり、誤検知のおそれがある。そのため、バックグランド光量が所定値を超える場合には、「外光エラー」とみなし、S41以降の処理は行わずに、図37の処理を終了する。その後、操作部213の表示器やプリンタに接続されているPCの表示器などを介して、エラー報知を行う。
一方、図37のS40において「外光エラー」が発生していない場合には図37のS41において、染料ブラックインクタンク1BKがBK装着部に装着されているか否かを判定する。このために、以下の条件(I)を満たすか否かを判定する。
[条件(I)]
(1)「BK/Center」の補正光量(1)-(100)≧閾値、且つ
(2)「BK/Center」の補正光量(1)-(100)>「BK/Right」の補正光量(4)-(101)
条件(I)を満たす場合には、ブラックインクタンク1BKがBK装着部に装着されていると判定する。一方、条件(I)を満たさない場合には、ブラックインクタンク1BKはBK装着部に装着されていないと判定し、BKインクタンクについて「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、図37のS42において、イエローインクタンク1YがY装着部に装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(II)を満たすか否かを判定する。
[条件(II)]
(1)「Y/Center」の補正光量(3)-(101)≧閾値、且つ
(2)「Y/Center」の補正光量(3)-(101)>「Y/Right」の補正光量(7)-(102)、且つ
(3)「Y/Center」の補正光量(3)-(101)>「Y/Left」の補正光量(2)-(100)
条件(II)を満たす場合には、イエローインクタンク1YがY装着部に装着されていると判定する。一方、条件(II)を満たさない場合には、イエローインクタンク1YはY装着部に装着されていないと判定し、イエローインクタンク1Yについて「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、図37のS43において、マゼンタインクタンク1MがM装着部に装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(III)を満たすか否かを判定する。
[条件(III)]
(1)「M/Center」の補正光量(6)-(102)≧閾値、且つ
(2)「M/Center」の補正光量(6)-(102)>「M/Right」の補正光量(10)-(103)、且つ
(3)「M/Center」の補正光量(6)-(102)>「M/Left」の補正光量(5)-(103)
条件(III)を満たす場合には、マゼンタインクタンク1MがM装着部に装着されていると判定する。一方、条件(III)を満たさない場合には、マゼンタインクタンク1MはM装着部に装着されていないと判定し、マゼンタインクタンク1Mについて「位置エラー」のフラグを立てる。
次に、図37のS44において、シアンインクタンク1CがC装着部に装着されているか否かを判定する。そのために、以下の条件(IV)を満たすか否かを判定する。
[条件(IV)]
(1)「C/Center」の補正光量(9)-(103)≧閾値、且つ
(2)「C/Center」の補正光量(9)-(103)>「C/Left」の補正光量(8)-(102)
条件(IV)を満たす場合には、シアンインクタンク1CがC装着部に装着されていると判定する。一方、条件(IV)を満たさない場合には、シアンインクタンク1CがC装着部に装着されていないと判定し、シアンインクタンク1Cについて「位置エラー」のフラグを立てる。
以上のようにして、図37の装着タンク正否判定処理が終了する。その後、「位置エラー」のフラグが立っているインクタンクがあるかどうかを判定する。どのインクタンクについても位置エラーが発生していないと判定された場合には、プリンタは印刷待機状態となる。つまり、図35に示されるようなインクタンク装着位置であった場合には位置エラーなしと判定されるので、プリンタは印刷待機状態となる。一方、後述する図38のような場合には、位置エラーが発生していると判定される。この場合には、操作部213の表示器やプリンタに接続されているPCの表示器などを介して、位置エラーが発生しているインクタンクがある旨の報知を行う。
ここで、図38を用いて「位置エラー」が発生する場合について説明する。 図38は、マゼンタインクタンク1Mとシアンインクタンク1Cが逆に装着された場合、すなわち、M装着部にシアンインクタンク1Cが装着され、C装着部にマゼンタインクタンク1Bが装着された場合の動作説明図である。この時点で、プリンタ本体は、共通信号線を介したデータ通信だけでは誤装着が発生していることを認識できないので、図35と同じように、キャリッジ205の位置に応じて特定されるインクタンクの発光部101を発光させ、その光を受光部210により受光する、という動作を繰り返す。これにより、図36に示される、受光量(1)〜(10)に関する情報のテーブル1およびバックグランド光量(100)〜(103)に関する情報のテーブル2を作成し、更に、テーブル1とテーブル2からテーブル3を作成する。その後、上述したのと同様に、このテーブル3を利用して図37のS41〜S44の処理を行う。
図35と図38を比較すれば明らかなように、(b)〜(m)の全てのタイミングにおいて、点灯しているインクタンクは同じである。これは、各インクタンクの発光部101の点灯タイミングを、キャリッジ205の位置とその位置での複数タンクの点灯順番とに応じて、制御しているからである。しかし、図35と図38とでは、マゼンタインクタンク1Mおよびシアンインクタンク1Cの発光位置が異なり、これに起因していくつかの位置で受光量が異なることになる。
例えば、図35及び図38の(h)同士を比較すると、図35では受光部210に対向する位置でマゼンタインタンク1Mが点灯しているのに対して、図38では受光部210に対向しない位置でマゼンタインタンク1Mが点灯している。このため、図38(h)のときに得られる「M/Center」の受光量は、図35(C)のときに得られる「M/Center」の受光量よりも小となってしまう。同様に、(l)同士を比較すると、図38(l)のときに得られる「C/Center」の受光量は、図35(l)のときに得られる「C/Center」の受光量よりも小となってしまう。
一方、図35及び図38の(j)同士を比較すると、図35では受光部210に対向しない位置でシアンインクタンク1Cが点灯しているのに対して、図38では受光部210に対向する位置でシアンインタンク1Cが点灯している。このため、図38(j)のときに得られる「C/Left」の受光量は、図35(j)のときに得られる「C/Left」の受光量よりも大となってしまう。同様に、(m)同士を比較すると、図38(m)のときに得られる「M/Right」の受光量は、図35(m)のときに得られる「M/Right」の受光量よりも大となってしまう。一方、(g)同士を比較すると、図38(g)のときに得られる「M/Left」の受光量は、図35(g)のときに得られる「M/Left」の受光量よりも小となってしまう。
このように正常装着の場合(図35)と誤装着の場合(図38)とで受光量に差が生じる。この結果、図35のような正常装着の場合には発生していなかった「位置エラー」が、図38のような誤装着の場合には発生する。図38のケースにおいて、図37のS41〜S44の処理結果は次のようになる。
まず、図37のS41では条件(I)を満たすと判定され、次いで、図37のS42でも条件(II)を満たすと判定される。図37のS43では条件(III)を満たさないと判定され、次いで、図37のS44では条件(IV)を満たさないと判定される。
このように図38のケースでは、図37の処理において、マゼンタインクタンク1Mおよびシアンインクタンク1Cに関して「位置エラー」が発生する。そして、上述したとおり、位置エラーが発生した場合には、操作部213の表示器やプリンタに接続されているPCの表示器などを介して、位置エラーが発生しているインクタンクがある旨の報知を行う。
なお、この別のやり方の光照合処理では、上述した通り、受光部210に対向している装着部に装着されるべきインクタンクの発光部101を発光させたときに得られる受光量(Centerの光量)だけでなく、受光部210に対向していない位置でLEDを発光させたときに得られる受光量(Leftの光量 、Rightの光量)も利用して、インクタンクが正しい装着部に装着されている否かを判定している。この理由は次の通りである。
インクタンクの装着位置の正否を判定するために、特許文献2に開示されているように、Centerの光量だけを利用する形態も考えられる。例えば、Centerの光量が閾値以上であればタンク装着位置が正しいと判定し、Centerの光量が閾値未満であればタンク装着位置が間違っていると判定する。このような処理であっても、タンク装着位置の正否判定は可能である。
発光部101としてLEDを用いた場合、製造上のバラツキによって発光量にバラツキが生じる。発光量のバラツキの許容範囲を小さくし発光量差が少ないLEDだけを使用すれば、Centerの光量だけの利用でも、高精度な装着位置正否判定が可能である。しかし、製造コストを低下させるために、ある程度の発光量バラツキを許容する場合もあり得る。例えば、発光量差が数十倍程度のLEDを用いることを許容する場合、Centerの光量だけの利用では、高精度な装着位置正否判定を行えない場合も有り得る。これについて、インクタンク1Yが誤装着された場合を例にあげて説明する。
Y装着部の隣のM装着部に誤ってインクタンク1Yが装着されたとする。この場合、Y装着部が受光部に対向している位置で、M装着部に装着されているインクタンク1YのLEDを発光させ、このときの受光量が「Y/Center」の光量となる。ここで、インクタンク1YのLEDの発光量が大であると、「Y/Center」の光量が閾値を超えてしまう場合が有り得る。つまり、位置間違いが生じているにもかかわらず、条件((II))の(1)が満たされてしまう場合が発生する。
そこで、この別のやり方の光照合処理では、インクタンクの装着位置の正否の精度を高めるために、Centerの光量だけでなく、LeftおよびRightの光量も利用するようにしている。詳しくは、Y装着部およびM装着部に関してはLeftおよびRightの光量を検出できるので、Center、LeftおよびRightの光量を利用している。また、BK装着部に関してはLeftの光量は検出できずRightの光量が検出できるので、CenterおよびRightの光量を利用している。更に、C装着部に関してはRightの光量は検出できずLeftの光量が検出できるので、CenterおよびLeftの光量を利用している。
(変形例1)
図33は、第2実施形態のタンク側制御回路103の変形例に係る構成を示す図である。図33は、図21に示したタンク側制御回路103におけるクロック演算部103Eを省略された構成に係るものである。すなわち、図21に示すタンク側制御回路103では、CLK3信号の生成は行われず、CLK1信号およびCLK2信号のいずれかが第4クロック信号として使用される。この場合、本体側制御回路300から送られてくるクロック信号指定コードは、当然、CLK1信号に対応するコードおよびCLK2信号に対応するコードだけとなる。また、タンク側制御回路103におけるクロック信号制御部103Dは、クロック信号指定コードに応じたCLK1信号またはCLK2信号を第4クロック信号として決定し、このクロック信号をコマンド実行部103Fに入力する。そして、この変形例1に係る構成においても、電源ライン104における電源の波形は、図28ないし図29にて上述したものと同じものとなることはもちろんである。
(変形例2)
図21に示す基板では、タンク側制御回路103がダイオード1104を内蔵している。これに対し、第1実施形態の変形例1と同様、タンク側制御回路103の外部にダイオード1104を外付けした形態であってもよい。
(変形例3)
また、第1実施形態の変形例2と同様、内部電源をより安定化させるためコンデンサ1105および抵抗1106をタンク側制御回路103の外部に追加してもよい。これにより、CLK1信号およびCLK2信号を合成した電源の安定化を図ることができる。これとともに、タンク側制御回路103の電源を切る際に、コンデンサ1105に溜まった電荷を抵抗1106により放電させることで、速やかな再立ち上げが可能となる。なお、上記変形例3では、タンク側制御回路103内部の電源安定化の為のコンデンサ1105およびコンデンサ放電の為の放電抵抗1106を外付けしたが、コンデンサ1105および放電抵抗1106をタンク側制御回路103の内部に内蔵してもよい。
(第3実施形態)
上述した第2実施形態に係る光照合処理において、例えばインクタンクが正しい位置に装着されていないことを検知した場合、それをユーザーに報知するための構成は種々知られている。ユーザー報知の構成としては、例えば、音声や光によって報知するものがある。
本発明の第3実施形態は、上述した光照合処理の結果に基づき発光部101を発光させ誤装着を報知する構成に関するものである。本実施形態では、発光部101として、可視光線を含む光を発する可視光LEDを用いる。
本実施形態では、光照合処理によって誤装着のインクタンクが検出された場合に、発光部101としての可視光LEDを所定の周期で点滅させる。具体的には、本体側制御回路300は、図24にて説明した点灯「ON」コードを含むデータ信号と、消灯「OFF」コードを含むデータ信号を、所定の周期でタンク側制御回路103に送信する。これにより、上記所定の周期でLEDの発光がオン、オフして点滅することになる。
(変形例)
第3実施形態の変形例について説明する。第3実施形態は、発光部の発光をユーザー報知に利用するものであるが、これは上記誤装着の報知に限られるものではない。たとえば、上記誤装着の報知に加え、あるいは、上記誤装着の報知に代えて、インクタンクの残量が少ないことをユーザーに報知する構成として、発光部101のLEDを用いることもできる。この場合の発光部の発光も、本体側制御回路300が上記点灯「ON」コードを含むデータ信号と消灯「OFF」コードを含むデータ信号を適切に組み合わせることで実現できる。さらに他の変形例として、上記誤装着の報知および/または残量の報知を、光照合処理に用いる発光部101とは別の発光部によって行ってもよい。すなわち、複数の発光部を設けるようにし、ある発光部101は光照合処理用の発光部とし、別の発光部はユーザー報知用の発光部とするのである。この場合、ユーザー報知用の発光部としては可視光LEDを用いることが好ましいが、光照合処理用の発光部としては、光の波長に特に制限がないので、例えば、赤外LEDや可視光LEDなどを好適に用いることができる。
(第4の実施形態)
上述した実施形態では、合成されるクロック信号が2つの場合について説明したが、本発明の適用はこの形態に限られない。3つ以上のクロック信号を用いることができる。具体的には、例えば、3.3Vと0Vがそれぞれの所定の周期で繰り返される3つ以上のクロック信号を合成することにより、3.3Vの電圧が維持される電源を供給することもできる。この場合、タンク側クロック接点も当然3つ以上設けられることになる。
また、合成される複数のクロック信号の総てが、交互に繰り返される電圧が3.3Vと0Vである形態に限られない。一部のクロック信号が、動作電圧以上の、例えば、3Vと0Vを交互に繰り返すものであってもよい。
(他の実施形態)
図34(a)〜(c)は、本発明の他の実施形態に係るインクタンクの構造を示す図である。図34(a)〜(c)に示すインクタンク1が、図3(a)〜(c)に示すインクタンクと構造上異なる点は、基板100がインクタンク1の底面に取り付けられた点である。そして、基板は、フィルム状の材料によって形成される。
また、上述の各実施形態にで、本体側制御回路300は、CLK1配線およびCLK2配線上上へ送信するそれぞれCLK1信号およびCLK2信号のON/OFF比率が一定のものとして説明した。しかし、この形態に限られず、これら配線上へ送信するそれぞれCLK1信号およびCLK2信号のそれぞれのON/OFF比率を変更できるようにしもよい。なお、この場合、上述したように、変更後のCLK1信号とCLK2の合成波形において0Vとなる時間がないようにすることはもちろんである。具体的には、変更前(図11)には、CLK1信号が50:50で、CLK2信号が70:10(合成波形に0Vにない)であるところを、変更後が、CLK1信号が90:10で、CLK2信号が10:90(合成波形に0Vにない)である形態である。
さらに、上記各実施形態は、インクジェットプリンタ本体とインクタンクとの間の2つのデバイスを例にとって説明しているが、本発明の適用この形態に限られない。2つのデバイスの他の例として、例えば、電子写真方式の画像形成装置本体とトナーカートリッジの組み合わせ等、相互に通信可能な2つの電気デバイスに広く適用することができる。この場合において、インクタンクやトナーカートリッジにおいて、上述の各実施形態で説明したタンク側接点、タンク側制御回路、さらには発光部などと同じ機能発揮する要素を備えた基板は電子モジュールを構成する。
(実施態様)
本発明の実施態様は一例として以下のようにそれぞれ表すことができる。
[実施態様項1]
インクタンク(1)であって、
第1電気接点(102A)と、
第2電気接点(102A)と、
第3電気接点(102D)と、
(a)前記第1電気接点(102A)を介して供給される第1クロック信号および前記第2電気接点(102B)を介して供給される第2クロック信号を含む複数種のクロック信号のうちの1種類のクロック信号に同期して前記第3電気接点(102D)からデータ信号を受信し、(b)受信したデータ信号に含まれるコマンドを実行する制御部(103A)と、
前記第1電気接点と電気的に接続されている第1ダイオード(1104a)と、
前記第2電気接点と電気的に接続されている第2ダイオード(1104b)と、
前記第1電気接点と電気的に接続され、前記第1クロック信号が入力される第1ダイオード(1104a)と、
前記第2電気接点と電気的に接続され、前記第2クロック信号が入力される第2ダイオード(1104b)と、
前記第1ダイオード(1104a)、前記第2ダイオード(1104b)および前記制御部(103A)に接続されている電源供給ライン(104)であって、前記第1ダイオード(1104a)からの出力と前記第2ダイオード(1104a)からの出力とを利用して、前記制御部への電源供給を行う電源供給ライン(104)と、
を備えたことを特徴とするインクタンク。
[実施態様項2]
前記制御部(103A)は、
前記第1ダイオード(1104a)を介して前記第1電気接点(102A)から供給される第1クロック信号と、前記第2ダイオード(1104b)を介して前記第2電気接点(102B)から供給される第2クロック信号とを含む前記複数種のクロック信号のうち前記データ信号の受信に利用される前記1種類のクロック信号を決定する決定部(103D)と、
前記決定部によって決定された前記1種類のクロック信号に同期して前記データ信号を受信し、受信したデータ信号に含まれるコマンドを実行するコマンド実行部(103F)と、
を備えることを特徴とする実施態様項1に記載のインクタンク。
[実施態様項3]
前記1種類のクロック信号に対応したクロック信号指定情報を格納するメモリ(103B)を更に備え、
前記決定部(103D)は、前記メモリ(103B)から読み出した前記クロック信号指定情報に対応した前記1種類のクロック信号を、前記データ信号の受信に利用される前記1種類のクロック信号として決定することを特徴とする実施態様項2に記載のインクタンク。
[実施態様項4]
前記データ信号には、前記第1クロック信号および前記第2クロック信号を含む前記複数種のクロック信号から選択された前記1種類のクロック信号に対応したクロック信号指定情報が含まれており、
前記制御部(103A)は、前記データ信号に含まれているクロック信号指定情報を前記メモリに書き込むことで前記メモリ内のクロック信号指定情報を更新可能に構成されていることを特徴とする実施態様項3に記載のインクタンク。
[実施態様項5]
前記制御部(103A)は、
前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とに基づいて第3クロック信号を生成する生成部(103E)と、
前記第1ダイオード(1104a)を介して前記第1電気接点(102A)から供給される第1クロック信号と、前記第2ダイオード(1104b)を介して前記第2電気接点(102B)から供給される第2クロック信号と、前記生成部(103E)から供給される第3クロック信号と、を含む前記複数種のクロック信号のうち前記データ信号の受信に利用される前記1種類のクロック信号を決定する決定部(103D)と、
前記決定部によって決定された前記1種類のクロック信号に同期して前記データ信号を受信し、受信したデータ信号に含まれるコマンドを実行するコマンド実行部(103F)と、
を備えることを特徴とする実施態様項1に記載のインクタンク。
[実施態様項6]
前記1種類のクロック信号に対応したクロック信号指定情報を格納するメモリ(103B)を更に備え、
前記決定部(103D)は、前記メモリ(103B)から読み出した前記クロック信号指定情報に対応した前記1種類のクロック信号を、前記データ信号の受信に利用される前記1種類のクロック信号として決定することを特徴とする実施態様項5に記載のインクタンク。
[実施態様項7]
前記データ信号には、前記第1クロック信号、前記第2クロック信号および前記第3クロック信号を含む前記複数種のクロック信号から選択された前記1種類のクロック信号に対応したクロック信号指定情報が含まれており、
前記制御部(103A)は、前記データ信号に含まれているクロック信号指定情報を前記メモリに書き込むことで前記メモリ内のクロック信号指定情報を更新可能に構成されていることを特徴とする実施態様項6に記載のインクタンク。
[実施態様項8]
発光部(101)と、
前記発光部(101)に電源を供給するための第4電気接点(102V)と、
を更に備えることを特徴とする実施態様項1乃至7のいずれかに記載のインクタンク。
[実施態様項9]
発光部(101)と、
前記発光部(101)に電源を供給するための第4電気接点(102V)と、
メモリ(103B)と、
を更に備え、
前記制御部(103A)は、前記データ信号に含まれるコマンドが発光コマンド場合には前記発光部の発光を制御し、前記データ信号に含まれるコマンドが読み出しコマンドの場合には前記メモリからの情報の読み出しを制御し、前記データ信号に含まれるコマンドが書き込みコマンドの場合には前記メモリへの情報の書き込みを制御することを特徴とする実施態様項1に記載のインクタンク。
[実施態様項10]
実施態様項1乃至8のいずれかに記載のインクタンクと、
前記インクタンクが取り外し可能に装着され得る装着部と、
前記第1電気接点(102A)と電気的に接続可能な第1本体側接点(152A)と、
前記第1本体側接点(152A)と接続されている第1クロック配線(CLK1配線)と、
前記第2電気接点(102A)と電気的に接続可能な第2本体側接点(152B)と、
前記第2本体側接点(152A)と接続されている第2クロック配線(CLK2配線)と、
前記第3電気接点(102D)と電気的に接続可能な第3本体側接点(152D)と、
前記第3本体側接点(152A)と接続されているデータ信号配線(DATA配線)と、
前記第1クロック配線(CLK1配線)に前記第1クロック信号を送信し、前記第2クロック配線(CLK2配線)に前記第2クロック信号を送信し、前記データ信号配線(DATA配線)に前記データ信号を送信するための本体側制御手段(300)と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
[実施態様項11]
前記制御手段(300)は、前記複数種のクロック信号から前記1種類のクロック信号を選択し、選択した1種類のクロック信号に対応したクロック信号指定情報を含むデータ信号を生成し、選択した1種類のクロック信号を生成し、生成した1種類のクロック信号に同期させて前記生成したデータ信号を前記データ信号配線(DATA配線)に送信することを特徴とする実施態様項10に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様項12]
前記本体制御手段(300)は、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とを合成した合成波形の電圧が前記制御部の動作可能電圧以下とならないように、前記第1クロック信号と前記第2クロック信号を生成することを特徴とする実施態様項10または11に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様項13]
実施態様項9の記載のインクタンクと、
前記インクタンクが取り外し可能に装着され得る装着部と、
前記第1電気接点(102A)と電気的に接続可能な第1本体側接点(152A)と、
前記第1本体側接点(152A)と接続されている第1クロック配線(CLK1配線)と、
前記第2電気接点(102A)と電気的に接続可能な第2本体側接点(152B)と、
前記第2本体側接点(152A)と接続されている第2クロック配線(CLK2配線)と、
前記第3電気接点(102D)と電気的に接続可能な第3本体側接点(152D)と、
前記第3本体側接点(152A)と接続されているデータ信号配線(DATA配線)と、
前記第4電気接点(102V)と電気的に接続可能な第4本体側接点(152V)と、
前記第4本体側接点(152A)と接続されている電源専用配線(VDD配線)と、
前記第1クロック配線(CLK1配線)に前記第1クロック信号を送信し、前記第2クロック配線(CLK2配線)に前記第2クロック信号を送信し、前記データ信号配線(DATA配線)に前記データ信号を送信し、前記電源専用配線(VDD配線)に電源を供給するための本体側制御手段(300)と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
[実施態様項14]
前記本体側制御手段は(103A)は、前記発光コマンドを含むデータ信号を送信する場合には前記電源専用配線(VDD配線)に前記電源を供給するように、且つ、前記読み出しコマンドあるいは前記書き込みコマンドを含むデータ信号を送信する場合には前記電源専用配線(VDD配線)に前記電源を供給しないように、前記電源の供給を制御することを特徴とする実施態様項12に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様項15]
インクタンク(1)であって、
第1電気接点(102A)と、
第2電気接点(102B)と、
第3電気接点(102D)と、
制御部(103A)と、
前記第1電気接点と前記制御部とを電気的に接続する第1信号線(600)であって、
前記第1電気接点から供給される第1電気信号(CLK1信号)を前記制御部へ送信可能な第1信号線(600)と、
前記第2電気接点と前記制御部とを電気的に接続する第2信号線(700)であって、
前記第2電気接点から供給される第2電気信号(CLK2信号)を前記制御部へ送信可能な第2信号線(700)と、
前記第3電気接点と前記制御部とを電気的に接続する第3信号線(800)であって、
前記第3電気接点から供給される第3電気信号(DATA信号)を前記制御部へ送信可能な第1信号線(600)と、
前記第1電気接点から供給される前記第1電気信号と前記第2電気接点から供給される前記第2電気信号を利用して前記制御部への電源供給を行う電源ライン(104)と、
前記制御部(103A)は、
(i)前記第1信号線を介して供給される前記第1電気信号と、前記第2信号線を介して供給される前記第2電気信号のいずれをクロック信号として利用するかを決定し、
(ii) 決定したクロック信号に同期して前記第3信号線を介して前記第3電気信号を受信し、前記第3電気信号に含まれるコマンドを実行することを特徴とするインクタンク。
[実施態様項16]
インクタンク(1)であって、
第1電気接点(102A)と、
第2電気接点(102B)と、
第3電気接点(102D)と、
制御部(103A)と、
前記第1電気接点と前記制御部とを電気的に接続する第1信号線(600)であって、
前記第1電気接点から供給される第1電気信号(CLK1信号)を前記制御部へ送信可能な第1信号線(600)と、
前記第2電気接点と前記制御部とを電気的に接続する第2信号線(700)であって、
前記第2電気接点から供給される第2電気信号(CLK2信号)を前記制御部へ送信可能な第2信号線(700)と、
前記第3電気接点と前記制御部とを電気的に接続する第3信号線(800)であって、
前記第3電気接点から供給される第3電気信号(DATA信号)を前記制御部へ送信可能な第1信号線(600)と、
前記第1電気接点から供給される前記第1電気信号と前記第2電気接点から供給される前記第2電気信号を利用して前記制御部への電源供給を行う電源ライン(104)と、
前記制御部(103)は、
(i)前記第1信号線を介して供給される前記第1電気信号(CLK1信号)と、前記第2信号線を介して供給される前記第2電気信号(CLK2信号)と、に基づいて第4電気信号(CLK3信号)を生成し、
(ii)前記第1電気信号と前記第2電気信号と前記第4電気信号のいずれをクロック信号として利用するかを決定し、
(iii) 決定したクロック信号に同期して前記第3信号線から前記第3電気信号を受信し、前記第3電気信号に含まれるコマンドを実行することを特徴とするインクタンク。
[実施態様項17]
インクタンク(1)であって、
第1電気接点(102A)と、
第2電気接点(102A)と、
第3電気接点(102D)と、
(a)前記第1電気接点(102A)を介して供給される第1クロック信号および前記第2電気接点(102B)を介して供給される第2クロック信号を含む複数種のクロック信号のうちの1種類のクロック信号に同期して前記第3電気接点(102D)からデータ信号を受信し、(b)受信したデータ信号に含まれるコマンドを実行する制御部(103A)と、
前記第1電気接点と電気的に接続されている第1ダイオード(1104a)と、
前記第2電気接点と電気的に接続されている第2ダイオード(1104b)と、
前記第1ダイオード(1104a)、前記第2ダイオード(1104b)および前記制御部(103A)に接続されている電源供給ライン(104)であって、前記第1ダイオード(1104a)を介して前記第1電気接点(102A)から供給される前記第1クロック信号と前記第2ダイオード(1104a)を介して前記第2電気接点(102B)から供給される前記第2クロック信号を利用して、前記制御部への電源供給を行う電源供給ライン(104)と、
を備えたことを特徴とするインクタンク。
[実施態様項18]
電気モジュールであって、
第1電気接点(102A)と、
第2電気接点(102A)と、
第3電気接点(102D)と、
(a)前記第1電気接点(102A)を介して供給される第1クロック信号および前記第2電気接点(102B)を介して供給される第2クロック信号を含む複数種のクロック信号のうちの1種類のクロック信号に同期して前記第3電気接点(102D)からデータ信号を受信し、(b)受信したデータ信号に含まれるコマンドを実行する制御部(103A)と、
前記第1電気接点と電気的に接続されている第1ダイオード(1104a)と、
前記第2電気接点と電気的に接続されている第2ダイオード(1104b)と、
前記第1ダイオード(1104a)、前記第2ダイオード(1104b)および前記制御部(103A)に接続されている電源供給ライン(104)であって、前記第1ダイオード(1104a)を介して前記第1電気接点(102A)から供給される前記第1クロック信号と前記第2ダイオード(1104a)を介して前記第2電気接点(102B)から供給される前記第2クロック信号とから生成される電源を前記制御部に供給するための電源供給ライン(104)と、
前記第1電気接点(102A)、前記第2電気接点(102A)、前記制御部(103A)および前記電源供給ライン(104)が設けられた基板(100)と
を備えたことを特徴とする電気モジュール。
[実施態様項19]
前記制御部(103A)は、
前記第1クロック信号と前記第2クロック信号とに基づいて第3クロック信号を生成する生成部(103E)と、
前記第1ダイオード(1104a)を介して前記第1電気接点(102A)から供給される第1クロック信号と、前記第2ダイオード(1104b)を介して前記第2電気接点(102B)から供給される第2クロック信号と、前記生成部(103E)から供給される第3クロック信号と、を含む前記複数種のクロック信号のうち前記データ信号の受信に利用される前記1種類のクロック信号を決定する決定部(103D)と、
前記決定部によって決定された前記1種類のクロック信号に同期して前記データ信号を受信し、受信したデータ信号に含まれるコマンドを実行するコマンド実行部(103F)と、
を備えたことを特徴とする実施態様項18に記載の電気モジュール。
[実施態様項20]
インクジェット記録装置であって、
インクタンク(1)を着脱可能に装着する装着部であって、当該装着によってインクタンクの複数のタンク側クロック接点(102A、102B)とそれぞれ接触する複数の本体側クロック接点(152A、152B)が設けられた装着部(205)と、
装着されたインクタンク(1)のタンク側制御素子(103)に対し、前記複数のタンク側クロック接点(102A、102B)および前記数の本体側クロック接点(152A、152B)を介して、複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)を送信する本体側制御回路(300)であって、前記タンク側制御素子(103)において合成される前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)が同時に0Vになる時間がないように、前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)それぞれの前記送信のタイミングを定める本体側制御回路(300)と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
[実施態様項21]
前記装着部(205)には、前記装着によってインクタンク(1)のタンク側電源接点(102V)と接触する本体側電源接点(152V)がさらに設けられ、
前記本体側制御回路(300)は、装着されたインクタンク(1)に対し、前記タンク側電源接点(102V)および前記本体側電源接点(152V)を介して、電源電力を供給するとともに、前記タンク側制御素子(103)が前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)が合成されることによって得られる電源によって動作する場合は、前記電源電力の供給を停止する、
ことを特徴とする実施態様項20に記載のインクジェット記録装置。
[実施態様項22]
インクタンクを着脱可能に装着する装着部であって、当該装着によってインクタンク(1)の複数のタンク側クロック接点(102A、102B)とそれぞれ接触する複数の本体側クロック接点(152A、152B)が設けられた装着部(205)と、
装着されたインクタンク(1)のタンク側制御素子(103)に対し、前記複数のタンク側クロック接点(102A、102B)および前記数の本体側クロック接点(152A、152B)を介して、複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)を送信する本体側制御回路(300)であって、前記タンク側制御素子(103)において合成される前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)が同時に0Vになる時間がないように、前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)それぞれの前記送信のタイミングを定める本体側制御回路(300)と、
を具えたインクジェット記録装置の前記装着部に装着されるインクタンク(1)であって、
前記複数のタンク側クロック接点(102A、102B)と接続する複数のクロック信号線(600、700)と、
前記複数のクロック信号線(600、700)がそれぞれ接続する1つの電源ライン(104)であって、当該ラインにおいて前記前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)が合成される電源ライン(104)と、
が設けられてことを特徴とするインクタンク(1)。
[実施態様項23]
前記インクジェット記録装置は、
前記装着部(205)に、前記装着によってインクタンク(1)のタンク側電源接点(102V)と接触する本体側電源接点(152V)がさらに設けられ、
前記本体側制御回路(300)が、装着されたインクタンク(1)に対し、前記タンク側電源接点(102V)および前記本体側電源接点(152V)を介して、電源電力を供給するとともに、前記タンク側制御素子(103)が前記複数のクロック信号(CLK1信号、CLK2信号)が合成されることによって得られる電源によって動作する場合は、前記電源電力の供給を停止する、
インクジェット記録装置であり、
前記タンク側電源接点(102V)と接続する電源線(900)であって、その分岐した電源線(900)が前記電源ライン(104)に接続する、
ことを特徴とする実施態様項22に記載のインクタンク(1)。
[実施態様項24]
インクタンク(1)であって、
複数のダイオード(1104a、1104b)および前記複数のダイオード(1104a、1104b)が接続する1つの配線(104)と、
それぞれ前記複数のダイオード(1104a、1104b)を介して前記1つの配線(104)に接続する複数の配線(600、700)と、
前記1つの配線(104)の分岐配線が接続する信号選択部(103D)と、
を備え、
前記信号選択部(103D)には、さらに前記複数の配線(600、700)が接続することを特徴とするインクタンク。
[実施態様項25]
電力消費要素(101)とダ前記電力消費要素(101)に接続する電源線(900)をさらに備え、
前記電源線(900)の分岐線は、ダイオード(1104c)を介して前記1つの配線(104)に接続することを特徴とする実施態様項24に記載のインクタンク。