JP6079917B1 - 着色ポリエチレン繊維および製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、上記の従来の問題点を解決することにある。すなわち、濃色に着色され、色落ちや色移りし難いポリエチレン繊維、さらには、ムラの少ない均一な染色と高い強度を両立した着色ポリエチレン繊維及びその製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明に係る着色ポリエチレン繊維は、
CIE−L*a*b*表色系によるL*値が80以下であり、且つ、摩擦に対する染色堅牢度が、乾燥状態及び湿潤状態のいずれについても3級以上であるところに要旨を有するものである。
引張強度の変動係数(%)=(引張強度の標準偏差/引張強度の平均値)×100 (式2)
[耐溶剤性の測定方法]
アセトンに対して、0.1g/mLとなるように着色ポリエチレン繊維を浸漬し、室温下で24時間静置する。着色ポリエチレン繊維の浸漬に使用したアセトンと、着色ポリエチレン繊維を浸漬し20±5℃で24時間静置した後のアセトンについて、紫外可視分光光度計を使用して波長350nm〜780nmの範囲の透過率を測定し、得られた透過率曲線から上記波長領域における透過率の積分値を求め、下記式1より耐溶剤性を算出する。
耐溶剤性(%)=(T1/T0)×100 (式1)
式1中、T0は波長350nm〜780nmにおけるアセトンの透過率の積分値を示し、T1は波長350nm〜780nmにおける着色ポリエチレン繊維浸漬後のアセトンの透過率の積分値を示す。
本発明の着色ポリエチレン繊維の製造方法とは、極限粘度[η]が5.0dL/g以上、25dL/g以下であり、その繰り返し単位が90モル%以上エチレンからなるポリエチレンを濃度0.5〜40質量%となるように有機溶媒に溶解させたポリエチレン溶液を紡糸してポリエチレン繊維状物を得る工程、
20質量%未満の有機溶媒を含むポリエチレン繊維状物を、着色材料と有機溶媒とを含む、温度が0℃以上、60℃未満の着色液と接触させる工程、
着色液が付与され、繊維重量に対し25%未満の有機溶媒を含むポリエチレン繊維状物を110℃以上で10秒以上加熱する熱処理工程、及び
ポリエチレン繊維状物を延伸する工程、を含むところに特徴を有する。
(I)CIE−L*a*b*表色系によるL*値が80以下であり、且つ、摩擦に対する染色堅牢度が、乾燥状態及び湿潤状態のいずれについても3級以上であるか、又は
(II)下記測定方法により求められる耐溶剤性が75%以上、であるところに特徴とする。
[耐溶剤性の測定方法]
アセトンに対して、0.1g/mLとなるように着色ポリエチレン繊維を浸漬し、室温下で24時間静置する。着色ポリエチレン繊維の浸漬に使用したアセトンと、着色ポリエチレン繊維を浸漬し20±5℃で24時間静置した後のアセトンについて、紫外可視分光光度計を使用して波長350nm〜780nmの範囲の透過率を測定し、得られた透過率曲線から上記波長領域における透過率の積分値を求め、下記式1より耐溶剤性を算出する。
耐溶剤性(%)=(T1/T0)×100 (式1)
式1中、T0は上記波長領域におけるアセトン(ブランク、着色ポリエチレン繊維未浸漬)の透過率の積分値を示し、T1は上記波長領域における着色ポリエチレン繊維浸漬後のアセトンの透過率の積分値を示す。
引張強度の変動係数(%)=(引張強度の標準偏差/引張強度の平均値)×100 (式2)
引張強度の変動係数(%)は9%以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは8%以下であり、より一層好ましくは5%以下である。引張強度の変動係数(%)が上記範囲内であるポリエチレン繊維は、長さ方向における強度のバラツキが小さいものであるので好ましい。
本発明では溶液形成法により着色ポリエチレン繊維を製造する。溶液形成法としては従来公知の方法を採用すればよく、特に制限はないが、例えば、デカリンやテトラリンなどの揮発性の有機溶媒やパラフィン等の非揮発性の有機溶媒にポリエチレンを溶解させてポリエチレンを繊維状に成形する溶液紡糸法を採用するのが好ましい。
ポリエチレン繊維の延伸倍率はローラーでの総延伸倍率として、8倍以上とするのが好ましく、より好ましくは10倍以上、さらに好ましくは12倍以上である。延伸倍率の上限は特に限定されず、所望の強度、伸度、弾性率のポリエチレン繊維が得られるように決定すればよい。
ポリエチレン繊維状物から有機溶媒を除去する脱溶媒工程は、延伸工程とは別個の工程として実施してもよいし、延伸工程と同時に行ってもよい。
また、着色液と接触させるポリエチレン繊維状物の温度は、50℃以下であるのが好ましく、より好ましくは45℃以下であり、さらに好ましくは40℃以下である。ポリエチレン繊維状物の温度の下限に制限はないが、一般的に室温以上であるのが好ましい。ポリエチレン繊維状物の温度は、例えば赤外線温度計の非接触タイプの温度計により測定することができる。
なお、ポリエチレン繊維状物の温度が十分低くても、着色液の温度が高い場合には、着色液との接触時にポリエチレン繊維状物内に形成された結晶構造が崩れて、結果的に着色ムラが生じる虞がある。着色液の温度、及びポリエチレン繊維状物の温度が上記範囲内であれば、上述の問題は生じ難いので好ましい。
通常、高強力ポリエチレンの製造では、繊維の強度を高めるため高い延伸倍率で延伸を行う。しかしながら、延伸工程前に比較的温度の高い着色液と接触させる場合には、延伸工程に供される段階でポリエチレン繊維状物が軟化するので、この状態で高倍率の延伸を行うと、延伸点が固定されず繊度や強度にムラを生じる虞がある。したがって、熱処理工程の後、又は熱処理工程と同時に行う延伸工程での延伸倍率は上述の範囲内とすることが好ましい。
組紐は、当該組紐から解いた繊維(マルチフィラメント)の強度が15cN/dtex以上であるのが好ましい。より好ましくは18cN/dtex以上であり、さらに好ましくは20cN/dtex以上である。繊度の上限は上述の着色ポリエチレン繊維と同様である。
測定条件として、JIS Z 8781−4 2013に準拠して測定を行った。SPECTROPHOTOMETER CM−3700d(コニカミノルタ株式会社製)を用い、データカラー・スペクトラフラッシュ(Datacolor Spectraflash)モデルSF−300比色計(ニュージャージー州、ローレンスビルのデータカラー・インターナショナル(Datacolor International))を用いてD65/10度光源を使用して行った。
測定用試料は、実施例、比較例で得られたポリエチレン繊維をステンレス製(SUS304)の板に出来るだけ隙間が生じ無いように巻きつけて作製した。
JIS L 0801(2000)に準じて試料を準備した。乾燥状態及び湿潤状態の試料について、摩擦試験機II形(学振形)を使用して、JIS L 0849(2013)に準じて摩擦に対する染色堅牢度の試験を行った。結果を、汚染用グレースケール(JIS L 0805(2005))を使用して視覚法により染色堅牢度の判定を行った。
なお、試料は、実施例、比較例及び参考例で得られたポリエチレン繊維の少なくとも1本を学振形摩擦試験機のサンプル台に固定して測定を行った。繊維の長さが十分ある場合は、繊維を複数本並べてサンプル台に固定して測定を行ってもよいし、サンプル台と同程度の大きさの長方形の板紙に、板紙の長辺の方向に平行して密に硬く巻きつけた試料を作製しこれを測定してもよいし、また筒編み等により布帛の状態として測定してもよい。サンプルが布帛の場合はそのまま用いてよい。
透明なガラス製の容器内で、アセトンに対して、0.1g/mLとなるように実施例、比較例及び参考例で得られた着色ポリエチレン繊維を浸漬し、室温(20℃)下で24時間静置した。着色ポリエチレン繊維の浸漬に使用したアセトン(ブランクとしてのアセトン)と、着色ポリエチレン繊維を浸漬し24時間静置した後のアセトンについて、紫外可視分光光度計(日立製作所社製、U−3210形)を用いて波長350〜780nmの範囲の透過率を測定し、得られた透過率曲線から上記波長領域における透過率の積分値T0(ブランク、着色ポリエチレン繊維の浸漬に使用したアセトン)、T1(着色ポリエチレン繊維浸漬後のアセトン)を求め、下記式1より耐溶剤性を算出した。
耐溶剤性(%)=(T1/T0)×100 (式1)
位置の異なる3箇所で着色ポリエチレン繊維を各々50cmにカットし、その重量を測定しその平均値を用いて糸の繊度を求めた。単糸繊度は、糸の繊度から算出することができる。
長手方向の繊度ムラは以下の方法で測定した。着色ポリエチレン繊維を10cm毎に連続で10本カットし、その重量を各々測定し以下の式4を用いて繊度ムラ(総繊度の変動係数)を求めた。
繊度ムラ(%) =(繊度の標準偏差/繊度の平均値)×100 (式4)
JIS L1013 8.5.1に準拠して測定した。引張強度、弾性率は、株式会社オリエンテック製の「テンシロン万能材料試験機」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分、雰囲気温度20℃、相対湿度65%の条件下で歪−応力曲線を測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/dtex)、伸度(%)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(cN/dtex)を計算して求めた。このとき測定時にサンプルに印加する初荷重を繊度の1/10(cN/dtex)とした。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
繊維の長手方向に対し、任意の10箇所で上述の強度試験を行い、下記(式2)により引張強度の変動係数(CV)(%)を求めた。なお、試料採取箇所は同一の繊維(糸)から採取する限り特に限定は無く、繊維長手方向で連続して採取してもよいし、1の試料を採取した後、間隔をおいて次の試料を採取してもよい。
引張強度の変動係数(%)=(引張強度の標準偏差/引張強度の平均値)×100 (式2)
135℃のデカリンにてウベローデ型毛細粘度管により、種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度の濃度に対するプロットの最小2乗近似で得られる直線の原点への外挿点より極限粘度を決定した。なお、原料ポリエチレンだけでなく繊維、組紐物についても同様にして極限粘度の測定を行った。
実施例、比較例及び参考例において、紡糸工程及び着色液接触工程から、ポリエチレン繊維状物(マルチフィラメント)を抜き出して重量を測定(乾燥前の重量)した後、この抜き出したポリエチレン繊維状物を、有機溶媒が揮発する温度で24時間真空乾燥させ、再び重量(乾燥後の重量)を測定する。得られた重量と下記式より、ポリエチレン繊維状物に含まれる有機溶媒量(残留溶媒量)を求めた。
残存溶媒量(%)=(乾燥前の重量−乾燥後の重量)/乾燥前重量×100
極限粘度が18.5dL/gで、繰り返し単位の98%がエチレンである超高分子量ポリエチレンを原料ポリエチレンとし、これをデカヒドロナフタレンに分散させてポリエチレン濃度8質量%の分散液を調製した。この分散液を押出し機にて190℃で加熱して溶液とした後、オリフィス径φ1.0mm、30Hからなる紡糸口金からノズル面温度180℃、単孔吐出量2.0g/minで吐出した。吐出された糸条が固化するまでに8倍で変形し30℃の水冷バスで冷却しポリエチレン繊維状物(未延伸糸)を得た。この未延伸糸中の残存溶媒量は12質量%であった。
続いて該ポリエチレン繊維状物に3.7cN/dtexの張力をかけながら、120℃の窒素の熱風で11秒間熱処理した後、同温度で3倍の延伸を行った(1段目)。その後、150℃のオーブン中で、1段延伸後のポリエチレン繊維状物を5倍延伸して(2段目)、巻き取った。このとき得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。実施例1で採用した製造条件を表1に、得られた着色ポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
また、上記残渣1mgを20mLのメタノール/クロロホルム混合溶媒(2/1体積比)に溶解し、BRUKER DALTONICS製micrOTOFを用いてエレクトロスプレーイオン化法により精密質量測定を行った。
実施例1で用いた原料ポリエチレンに酸化防止剤を1.7質量%添加したこと以外は、実施例1と同様の条件で、紡糸、延伸を行ってポリエチレン繊維を製造した。実施例2で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られた着色ポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
着色液の温度を45℃に変更したことと、2段目の延伸工程における延伸温度を148℃とし、さらに表1に示す条件を採用したこと以外は、実施例1と同様の条件で、紡糸、延伸を行ってポリエチレン繊維を製造した。実施例3で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られた着色ポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
実施例1に比べて着色液の温度が高かったため、熱処理工程及び1段目の延伸工程で張力緩和が生じたが、物性が大きく低下することはなかった。
着色液との接触後に行われる1段目の延伸工程において、延伸速度は一定にしたまま延伸炉の炉長を長くし、熱処理及び延伸温度(1段目)を130℃とし、さらに表1に示す条件を採用したこと以外は実施例1と同様の条件で、紡糸、延伸を行ってポリエチレン繊維を製造した。実施例4で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られたポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
実施例1において、紡糸工程で得られたポリエチレン繊維状物(未延伸糸)と着色液とを接触させることなく120℃の窒素の熱風で11秒間熱処理し、同温度で延伸倍率3倍の延伸を行った(1段目)。
1段延伸後のポリエチレン繊維状物(残留溶媒量9質量%)に、着色液(20質量%C.I. Solvent Blue 58のデカヒドロナフタレン溶液、30℃)をガイドオイリング法により上記ポリエチレン繊維状物の質量に対し6質量%の付着量となるように付着させた。着色液との接触時のポリエチレン繊維状物の温度は30℃、張力は0.5cN/dtexであった。
続いて着色液接触後のポリエチレン繊維状物を150℃で18秒間熱処理した後(張力4.5cN/dtex)、同温度で5倍の延伸を行って巻き取った。実施例5で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られたポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
着色液接触工程を1段目の延伸工程後に行っても、その物性は実施例1と大差なく、濃色に着色され、優れた染色堅牢度及び耐溶剤性を有する着色ポリエチレン繊維が得られた。
紡糸工程で得られたポリエチレン繊維状物(未延伸糸)と接触させる着色液の温度を140℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で紡糸延伸を行おうとしたが、着色液の温度が高すぎたため、未延伸糸が着色液と接触した時点で軟化してしまい、延伸工程で糸切れが発生しポリエチレン繊維は得られなかった。
紡糸工程で得られたポリエチレン繊維状物(未延伸糸)と接触させる着色液の温度を110℃、張力を0.02cN/dtexに変更し、熱処理工程及び1段目の延伸工程の温度を110℃、延伸倍率を5倍、2段目の延伸工程における延伸温度を145℃、延伸倍率を4倍に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件で、紡糸延伸を行ってポリエチレン繊維を得た。比較例2で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られた着色ポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
また、ポリエチレン繊維は濃色に着色されていたが、摩擦に対する染色堅牢度も、耐溶剤性も実施例に比べて劣っていた。これは、着色液の温度が高かったため、未延伸糸に付着した着色液から溶媒であるデカリンが速やかに揮発し、繊維表面における染料の濃度が高くなりすぎて、未延伸糸内部への着色材料の移動が生じ難かったためと推定される。
着色液と接触させる際にポリエチレン繊維状物にかける張力を0.9cN/dtex、続く熱処理を90℃、5秒間、張力4.2cN/dtexで行い、1段目の延伸倍率を2倍とし、2段目の延伸工程の延伸温度を141℃、延伸倍率を2.5倍としたこと以外は、実施例1と同様の条件で、紡糸延伸を行って着色ポリエチレン繊維を得た。比較例3で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られた着色ポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
また、比較例3の着色ポリエチレン繊維は実施例に比べて強度、弾性率が低く、強度及び繊度にもムラが生じていた。これは、1段目の延伸温度が低かったため、1段目さらには2段目でも延伸倍率を高められなかったことに加えて、繊維状物表面に着色材料と溶剤が多く残った影響で延伸点が固定されず、延伸を均質に行えなかったためと考えられる。
着色材料(C.I. Solvent Blue 58)の濃度が30質量%の着色液(溶媒:デカヒドロナフタレン)を用い、ポリエチレン繊維状物に対する着色液の付与量を20質量%としたこと以外は、実施例1と同様の条件で、紡糸延伸を行ってポリエチレン繊維を得た。なお、着色液接触工程後のポリエチレン繊維状物に含まれる有機溶媒(紡糸工程後の有機溶媒と着色液由来の有機溶媒の合計量)は26質量%であった。比較例4で得られた着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。製造条件を表1、得られたポリエチレン繊維の物性を表2に示す。
得られたポリエチレン繊維は濃色であったが、実施例に比べて染色堅牢度も、耐溶剤性も劣り、強度ムラ及び繊度ムラも大きいものであった。これは過剰な着色材料が繊維表面に存在したまま延伸工程を通過させたためと考えられる。また、着色液接触工程後のポリエチレン繊維状物に含まれる残留溶媒量が多かったことから、延伸が不均一になったものと考えられる。
原料ポリエチレン分散液(ポリエチレン濃度8質量%)に、C.I. Solvent Blue 58を溶媒に対して、濃度が0.1質量%(参考例1)、0.01質量%(比較例5)となるように添加したこと、着色液接触工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして紡糸延伸を行って着色ポリエチレン繊維を得た。但し、参考例1の2段目の延伸工程では、延伸倍率を5倍にすると糸切れが多発したため、延伸倍率4倍とした。参考例1の着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであり、比較例5の着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。なお、参考例1の着色ポリエチレン繊維に含まれる着色材料は1.2質量%であり、比較例5の着色ポリエチレン繊維に含まれる着色材料は0.12質量%であった。表1、2に製造条件と物性をそれぞれ示す。
未延伸糸と着色液との接触を行わなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン繊維を製造した。参考例2の着色ポリエチレン繊維の極限粘度は16dL/gであった。表1、2に製造条件と物性をそれぞれ示す。
Claims (17)
- CIE−L*a*b*表色系によるL*値が80以下であり、摩擦に対する染色堅牢度が、乾燥状態及び湿潤状態のいずれについても3級以上であり、且つ、長手方向の任意の10箇所で測定した引張強度の下記式2で定義される変動係数(CV)が10%以下であることを特徴とする着色ポリエチレン繊維。
引張強度の変動係数(%)=(引張強度の標準偏差/引張強度の平均値)×100 (式2) - 着色ポリエチレン繊維の長手方向の繊度ムラが10%以下である請求項1に記載の着色ポリエチレン繊維。
- 下記測定方法により求められる耐溶剤性が75%以上であり、且つ、長手方向の繊度ムラが6.9%以下である請求項1又は2に記載の着色ポリエチレン繊維。
[耐溶剤性の測定方法]
アセトンに対して、0.1g/mLとなるように着色ポリエチレン繊維を浸漬し、室温下で24時間静置する。着色ポリエチレン繊維の浸漬に使用したアセトンと、着色ポリエチレン繊維を浸漬し20±5℃で24時間静置した後のアセトンについて、紫外可視分光光度計を使用して波長350nm〜780nmの範囲の透過率を測定し、得られた透過率曲線から上記波長領域における透過率の積分値を求め、下記式1より耐溶剤性を算出する。
耐溶剤性(%)=(T1/T0)×100 (式1)
[式1中、T0は波長350nm〜780nmにおけるアセトンの透過率の積分値を示し
、T1は波長350nm〜780nmにおける着色ポリエチレン繊維浸漬後のアセトンの
透過率の積分値を示す。] - 着色ポリエチレン繊維の引張強度が18cN/dtex以上である請求項1〜3のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維。
- 着色ポリエチレン繊維が着色材料を含み、上記着色材料が油溶性染料である請求項1〜4のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維。
- 着色ポリエチレン繊維の単糸の繊度が1dtex以上、80dtex以下である請求項1〜5のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維を少なくとも1本含むことを特徴とする組紐。
- 組紐から解いた繊維の強度が15cN/dtex以上である請求項7に記載の組紐。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維を含む釣糸。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維を含む手袋。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維を含むロープ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維を含むネット。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維を含む織物又は編物。
- 極限粘度[η]が5.0dL/g以上、25dL/g以下であり、その繰り返し単位が90モル%以上エチレンからなるポリエチレンを濃度0.5〜40質量%となるように有機溶媒に溶解させたポリエチレン溶液を紡糸してポリエチレン繊維状物を得る工程、
20質量%未満の有機溶媒を含むポリエチレン繊維状物を、着色材料と有機溶媒とを含む、温度が0℃以上、60℃未満の着色液と接触させる工程、
着色液が付与され、繊維重量に対し25%未満の有機溶媒を含むポリエチレン繊維状物を110℃以上で10秒以上加熱する熱処理工程、及び
ポリエチレン繊維状物を延伸する工程、
を含むことを特徴とする着色ポリエチレン繊維の製造方法。 - 着色液と接触させるポリエチレン繊維状物の温度が50℃以下である請求項14に記載の着色ポリエチレン繊維の製造方法。
- ポリエチレン繊維状物に0.8〜6.5cN/dtexの張力をかけながら上記熱処理を行う請求項14又は15に記載の着色ポリエチレン繊維の製造方法。
- 着色液との接触工程の後、2倍以上の延伸倍率で延伸する工程を含む請求項14〜16のいずれかに記載の着色ポリエチレン繊維の製造方法。
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