JP6077802B2 - 軸筒及びその軸筒を用いた筆記具 - Google Patents
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Description
また、円筒形の軸を射出成形で製造する場合、軸後端部(底部)からゲート部を設けて樹脂を流す技術が開示されている(例えば、本出願人による特許文献4参照)。
(1) 一端は開口し、他端は閉鎖されている有底状の軸筒において外面にゲート跡のないことを特徴とする軸筒。
(2) ゲート跡は開口側内面に形成し、ゲート跡周囲から肉厚部を形成したことを特徴とする上記(1)記載の軸筒。
(3) 軸筒底側の内面にガス抜きのピンを形成したことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の軸筒。
(4) 上記(1)〜(3)に記載された軸筒を用いたことを特徴とする筆記具
図1は、本発明の軸筒の一例を示すものであり、(a)は中央縦断面図、(b)は中央横断面図、図2は図1(c)の拡大左側面図、図3及び図4は、本発明の軸筒を金型により製造する一例を模式的に示す各説明図である。
本実施形態の軸筒10は、図1〜図3に示すように、一端は開口し、他端は閉鎖されている有底楕円状の筒状体からなるものであり、例えば、PP等からなる合成樹脂を使用して成形され、筆記具の本体(後軸)として機能するものである。
また、軸筒10の底側となる内部後端面11aには、金型、例えば、射出成形用の金型により製造する際のガス抜きのボス16,16が長軸側の上下に2つ形成されている。この軸筒10の開口側には、環状嵌合部11bが形成されており、この嵌合部11bに後述する先軸15が固着される構造となっている。
この構成となる軸筒10は、後述する金型、並びに、樹脂、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等で一体成形することができるものであり、軸筒(後軸)全体が外観上や実用上の観点から、不透明、又は透明(及び半透明)に成形されると共に、金型によるゲート跡17,17は開口側内面に形成され、ゲート跡17、17周囲から肉厚部11c,11cが形成されるものである。なお、図2中の図示符号18,18は面削ぎ部である。
このように、ゲートがある面の成形品の肉厚を増やすことにより、90°方向で樹脂の到達距離を変えて閉じた面の中心で樹脂が集合しない(ガスがたまらない)ようにした。これにより、樹脂が成形品の閉じた面の側面で集合し、閉じた面の側方には軸の変曲点があるため、そこでキャビティ70を分割し、型内のガスを抜くものとした。また、コアの内側にガス抜き目的のピン72,72を取り付け、成形品側には内側にボス16,16を設け、コアの内側からもガスを引っ張り、ウェルドの発生を抑制した。コアゲートの場合と比べ、通常の成形サイクルで成形することができ、生産性は高いものとなる。
また、金型により製造される本発明の軸筒10は、樹脂やガスの流れを抑制し、閉じた面にウェルドの発生を抑制できると共に、コアゲートの場合と比べ、通常の成形サイクルで成形することができため、生産性にも優れたものとなる。
この筆記具Aは、マーキングペンタイプの筆記具であり、図5〜図8に示すように、本発明となる筆記具本体を構成する軸筒10以外に、先軸20、インク吸蔵体25、中継芯30、ペン先40、キャップ部60とを備えている。なお、本発明となる筆記具本体を構成する軸筒10以外の先軸、ペン先、キャップ部等の構成は、特に限定されるものではない。
また、用いるインク組成は特に限定されず、アンダーラインペン等ではインクに蛍光色素、例えば、ベーシックバイオレット11、ベーシックイエロー40などを含有させることできる。
この構造のペン先40では、インク吸蔵体25からのインクを中継芯30、インク誘導部50、ペン芯45へと毛管力作用により連続的に供給できる構造となっている。
また、キャップ部60は、筒状型の外キャップ部61と、筆記具のペン先を保護する内キャップ部62と、上記外キャップ部61と内キャップ部62とを連結する肩部63とを有するものである。
なお、上記形態では、筆記具本体の軸筒などを断面楕円状に形成したが、円形状、三角形状、四角形以上の方形状にしても良いものである。
この実施形態となるキャップ部60は、軸筒10の後端部に、キャップ部60の開口部側内面が嵌合するように形成されている。具体的には、キャップ部60の内面には、図9〜図12に示すように、軸筒10の外形に合わせて楕円形状となっており、短軸側に突起部64を形成し、長軸側には段部65を形成して、長軸短軸共に最大径部分での軸筒60後端部と嵌合することで、軽い力での軸筒10とキャップ部60との脱落を防ぐ構造となるものである。なお、図示符号66は、外キャップ部61の表面部に形成したデザイン性を向上させた凹面部である。
(軸筒の構成:図1及び図2準拠)
図1及び図2に準拠する軸筒10を、図3に開示の金型を用いると共に、樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)を用いて成形することにより、軸筒外面にゲート跡による凹凸がない軸筒を作製した。なお、図13は、従来例となる軸筒Xの後端外面にゲート跡xが形成される軸筒を示す各図面である。
(ペン先の構成)
筆記部ペン芯:PE製焼結芯、気孔率60%、上辺長さ5mm、下辺長さ6mm、高さ3mm、前端面の両側を面取り加工
保持体(本体部含む):アクリル樹脂製、可視光線透過率85%〔スガ試験機社製、多光源分光測色計(MSC−5N)にて反射率を測定し、可視光線透過率とした。〕
ペン先の視認部面積(面積比率)の算出は、成形品の実寸法を測定することにより行い、面積比率は90%であった。長さ:11mm、厚さ3.2mm、幅方向長さ6.8mm
インク誘導部:円筒形状、直径:0.7mm、長さ7.1mm、インクが入った状態の可視光線透過率27%であった。
(ペン先以外の筆記具部材の構成)
中継芯 :PET繊維束、気孔率65%、φ3×24mm
インク吸蔵体:PET繊維束、気孔率85%、φ13×55mm
ペン芯と保持体の接着は下記により行った。
ペン芯は、保持体にペン芯を面取り部側から装着した状態で、有機溶剤(酢酸エチル)をしみ込ませ、乾燥させることで接着した。
キャップの大きさ:幅方向長さ1.5cm、長手方向長さ2.8cm、肉厚1mmの楕円状の開口面、全長3.2cm、内キャップ部の大きさ:内径φ8mmの開口面
インクとして、下記組成の蛍光桃インクを使用した。
色材 :VCトナー桃(御国色素社製) 30質量部
湿潤剤:グリセリン 25質量部
防腐剤:バイオエース(ケイアイ化成社製) 0.7質量部
イオン交換水 44.3質量部
この実施例の軸筒により構成した筆記具を用いて、文字の上に筆記したところ、筆記時に視認部を介して向こう側の見え方を目視にて確認したところ、視認性が十分であり、非常に見やすく、筆記方向に書いてある文字を読みながら筆記することができた。
20 先軸
25 インク吸蔵体
30 中継芯
40 ペン先
45 ペン芯
50 インク誘導部
55 保持体
72 ガス抜きのピン
Claims (3)
- 一端は開口し、他端は閉鎖されている有底状の軸筒であると共に、外面にゲート跡のない軸筒であって、ゲート跡は、開口側内面に形成し、ゲート跡周囲から肉厚部を形成したことを特徴とする軸筒。
- 軸筒底側の内面にガス抜きのピンを形成したことを特徴とする請求項1記載の軸筒。
- 請求項1又は2に記載の軸筒を用いたことを特徴とする筆記具。
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