<フィルムの搬送方法>
本発明のフィルムの搬送方法は、第1フィルム及びこれに連結される第2フィルムを含む長尺の連結フィルムを、搬送装置によって構築された少なくとも一対のニップロールを含む搬送経路に沿って(搬送経路に通して)連続的に搬送する方法に関する。第1フィルム及び第2フィルムの少なくともいずれか一方は、柔軟性が比較的小さくて脆い、シャルピー衝撃強さが200kJ/m2未満の光学フィルムである。連結フィルムは、第1フィルムの長手方向終端と第2フィルムの長手方向始端とを連結した第1連結部を有している。
本発明では、連結フィルムを上記搬送経路に沿って連続的に搬送する工程において、第1フィルムと第2フィルムとが連結されている第1連結部が上記一対のニップロールの間を通過するときに(例えば、第1連結部が上記一対のニップロールの間を通過する直前に)、この一対のニップロールを開放する。「ニップロールを開放する」とは、一対のニップロールの少なくともいずれか一方をフィルムに接触しない状態にして、ニップロールによるフィルムへの押圧を解消する操作、又は、一対のニップロール間の距離を広げて、ニップロールによるフィルムへの押圧を低減させる操作をいう。
上述のように、連結フィルムの第1連結部は多少の凹凸を有しているため、第1連結部がニップロール間を通過するとき、凸部に圧力がかかって、第1連結部に割れ、亀裂(ヒビ)、破断を生じることがある。ニップロールを開放する工程を備える本発明の方法によれば、第1連結部の凸部に押圧負荷がかからないか、又は低減されるため、上記のような不具合を効果的に防止することができる。
図1は、本発明に係るフィルムの搬送方法に用いる搬送装置の一例を示す模式図である。図2は、連結フィルムの一例を模式的に示す上面図であり、図1に示される連結フィルムを拡大して示したものである。
図1を参照して、本発明に係るフィルムの搬送方法の一実施形態について説明する。図1は、長尺の第1フィルム10と長尺の第2フィルム20とが連結された連結フィルムが搬送装置の搬送経路に沿って連続的に搬送されている様子を示している。図1に示される搬送装置において搬送経路は、フィルム(図1の例では第2フィルム20)をその回転によって連続的に繰り出す繰り出し装置50;走行するフィルムを支持するガイドロール60;一対のニップロール40を含む。図示されていないが、搬送経路の下流末端には通常、フィルムを巻き取るための巻き取り装置が備えられており、搬送経路を通過し終えたフィルムは順次巻き取られ、フィルムロールとされる。図1において実線矢印は、フィルムの搬送方向又は繰り出し装置の回転方向を示す。
連結フィルムの搬送は例えば次のようにして行うことができる。まず、先行して搬送される長尺の第1フィルム10を搬送経路に通して連続搬送を開始する。長尺の第1フィルム10は通常、ロール状に巻回されたフィルムロールとして用意される。このフィルムロールを繰り出し装置(繰り出し装置50又はこれとは別の繰り出し装置)にセットし、当該繰り出し装置から第1フィルム10を連続的に繰り出しつつ、連続搬送を行う。第1フィルム10は、シャルピー衝撃強さが200kJ/m2未満の光学フィルムであってもよいし、前述したリードフィルムのような他のフィルムであってもよい。
第1フィルム10の搬送が終わりに近づいてきたとき、このフィルムの長手方向終端と、予め準備し、繰り出し装置50にセットした別の第2フィルム20の長手方向始端とを連結して第1連結部を形成する。長尺の第2フィルム20も通常、ロール状に巻回されたフィルムロールとして用意される。第2フィルム20は、シャルピー衝撃強さが200kJ/m2未満の光学フィルムであってもよいし、前述したリードフィルムのような他のフィルムであってもよい。ただし、第1フィルム10が他のフィルムである場合、第2フィルム20は光学フィルムである。
上述のようなフィルムロールの切り替え(紙継ぎ)は、ターレットを用いて行うこともできる。
図1及び図2に示される例においては、連結用テープ30を用いて連結を行っているが、これに限定されず、ヒートシールによる連結のような他の方法を用いることも勿論可能である。連結用テープ30を用いると、ヒートシールによる連結と比較して第1連結部に生じる凸部が大きくなりやすい。従って本発明の方法は、連結用テープ30を用いた連結フィルムに適用する場合にとりわけ有効である。
連結用テープ30は、片面粘着テープであることができる。片面粘着テープの基材は、例えば、ポリエチレンテレフタラートのようなポリエステル系樹脂;セルロースのようなセルロース系樹脂;紙(和紙等);アルミニウム;不織布;ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンのような塩素含有樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ABS樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリ乳酸;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂などで構成することができる。片面粘着テープの粘着剤層は、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、合成ゴム系、EVA系、シリコーン系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、イソシアネート系、ポリビニルアルコール系、メラミン樹脂系などからなることができる。
連結用テープ30を用いて第1連結部を形成する際には、第1フィルム10の終端における端面と第2フィルム20の始端における端面とが平行になるように各フィルムの端部を切断した後、連結用テープ30による貼合を行うことが好ましい。端部の切断及びこれに続く貼合は、手動であってもよいし、装置を用いて自動で行ってもよい。後者の場合、例えば特開2011−154371号公報に記載の装置及び方法を採用することができる。
第1フィルム10と第2フィルムとを連結した後、引き続き、フィルム(連結フィルム)の搬送を行う。そして、図1に示されるように、連結フィルムの第1連結部がニップロール40,40の間を通過するときに(例えば、ニップロール40,40の間を通過する直前に)、上側のニップロール40を上方に移動させて(ニップロール40,40の間の距離を広げて)ニップロールの開放を行う。ニップロールの開放は、フィルムへの押圧が解消又は低減されればよく、下側のニップロール40を下方に移動させてもよいし、上側及び下側のニップロール40,40双方を移動させてもよい。ニップロール40の移動は、手動であってもよいし、自動で行ってもよい。フィルムへの押圧を低減させてニップロールの開放を行う場合、低減後の押圧は、低減前の押圧の80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。
ニップロール40,40は、搬送されるフィルムの上下に配置される一対のロールであり、上下から挟んでフィルムを押圧できるものである。ニップロール40,40は、搬送されるフィルムの張力の調整・制御、フィルム搬送のための駆動力、フィルム搬送速度の制御などの役割を担い得る。
ニップロール40,40の材質は、金属やゴムであることができる。一対のニップロール40,40は互いに同じ材質からなっていてもよいし、異なる材質からなっていてもよい。ニップロール40,40の径は特に制限されないが、通常100〜700mmφの範囲であり、好ましくは150〜400mmφの範囲である。
ニップロール40がゴムロールである場合、表面に配置されるゴム層は、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム(Si)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FPM)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)などであることができる。ゴムロールの表面硬度は、好ましくは20〜95度であり、より好ましくは40〜90度である。
一対のニップロール40,40の少なくとも一方が金属ロール又は高硬度のゴムロールである場合、第1連結部に割れ、亀裂、破断が発生しやすくなる。従って本発明の方法は、このような場合にとりわけ有効である。
連結フィルムを搬送する搬送経路は、2以上のニップロール対を含んでいてもよい。この場合、すべてのニップロール対について、第1連結部がニップロールを通過するときにニップロールを開放する操作を行うことが好ましい。
連結フィルムを搬送経路に沿って連続的に搬送するときのフィルム搬送速度は、例えば2〜120m/minの範囲であり、好ましくは10〜50m/minの範囲である。
本発明のフィルムの搬送方法は、光学フィルムを少なくとも一部に含む連結フィルムを連続的に搬送する工程及び当該搬送工程を含む光学フィルムを用いたあらゆる製造工程に適用することができる。具体例を挙げれば、光学フィルムを単に搬送する工程、光学フィルムに何らかの処理(例えばコーティング処理や延伸処理)を施す工程、光学フィルムを他の部材(フィルム等)に貼合する工程などである。また、上記特許文献4、上記特許文献5、特開2011−154371号公報、国際公開第09/128384号、国際公開第12/160966号、特開2009−276754号公報、特開2012−061837号公報に記載の工程などにも適用することができる。
<連結フィルム>
上述のように連結フィルムは、第1フィルム10及びこれに連結される第2フィルム10を含むものであり、第1フィルム10の長手方向終端と第2フィルム20の長手方向始端とを連結した第1連結部を有する。連結フィルムは、必要に応じて、第2フィルム20の長手方向終端に連結される第3フィルム、第3フィルムの長手方向終端に連結される第4フィルム、・・・を含むことができる。連結フィルムが第3フィルムを含む場合、連結フィルムは、第2フィルム20の長手方向終端と第3フィルムの長手方向始端とを連結した第2連結部を有する。第4フィルム、・・・を連結する場合も同様である。
第1フィルム10及び第2フィルム20の少なくともいずれか一方は、シャルピー衝撃強さが200kJ/m2未満の光学フィルムである。一方のフィルムにのみ光学フィルムを用いる場合、他方のフィルムは、前述のリードフィルムであることができる。第1フィルム10がリードフィルムであり、第2フィルム20が光学フィルムである場合とは、例えば、まずリードフィルムを搬送経路に通し(又は予め搬送経路内に通しておき)、その終端に光学フィルムを連結して引き続きフィルムを搬送する場合などである。第1フィルム10が光学フィルムであり、第2フィルム20がリードフィルムである場合とは、例えば、搬送工程を一旦停止する際に、後の再稼動に備えて、光学フィルムの終端にリードフィルムを連結し、このリードフィルムが搬送経路内に存在する状態で搬送工程を停止する場合などである。この場合、リードフィルムの終端に新たな光学フィルムを連結して搬送工程を再稼働する。
第1フィルム10及び第2フィルム20の双方が光学フィルムであってもよい。この場合、これらの光学フィルムは異種の光学フィルムであってもよいし、同種の光学フィルムであってもよい。光学フィルムが同種であるとは、搬送に際して準備されるフィルムロールが別であること以外は同じ(機能、構成、スペックが同じ)であることを意味する。
連結フィルムが第3フィルムを含む場合の具体的構成としては、第1フィルム/第2フィルム/第3フィルムが、リードフィルム/光学フィルム/リードフィルム、リードフィルム/光学フィルム/光学フィルム、光学フィルム/光学フィルム/リードフィルム、光学フィルム/光学フィルム/光学フィルムなどを挙げることができる。
連結フィルムが複数の連結部を有する場合、これらすべての連結部がニップロールを通過するたびにニップロールを開放する操作を行うことが好ましい。
本発明における「シャルピー衝撃強さ」とは、JIS K 7111:2006「プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第1部:非計装化衝撃試験」に規定されているプラスチックの衝撃吸収エネルギーを測定するためのシャルピー衝撃試験に準拠して測定される衝撃吸収エネルギーの値である。このシャルピー衝撃試験では、試験片を打ち抜くハンマー(振り子)が、試験片をその長さ方向に直交する幅方向に打ち抜く(破断する)のに要するエネルギーを衝撃吸収エネルギーとする。上記JIS規格には、ノッチ付き試験片を用いる場合とノッチなし試験片を用いる場合について規定されているが、本発明ではフィルムを対象とするので、ノッチなし試験片を採用する。
上記JIS規格に準拠した具体的な測定手順について述べると、まずフィルムから幅10mm程度、長さ82mm程度の試験片を打ち抜くか又は切り出す。この際、試験片として、フィルムの機械的な押出し方向(MD)を長さ方向(一辺82mmの方向)とする第1試験片、及びMDと直交する方向(TD)を長さ方向(一辺82mmの方向)とする第2試験片の2種類を用意する。次に、ハンマーで打ち抜くときの衝撃により試験片が動かないように、試験片の長辺方向両端を支持台に固定し、シャルピー衝撃試験機にて試験片の破断に要するエネルギー(衝撃吸収エネルギー)を測定する。この衝撃吸収エネルギーが大きいほど、試験片、すなわちフィルムが割れにくいことを意味する。このとき、フィルムのMDを長さ方向とする第1試験片は、MDと直交する方向、すなわちTDに沿って破断するので、TDの衝撃吸収エネルギーを与え、フィルムのTDを長さ方向とする第2試験片は、MDに沿って破断するので、MDの衝撃吸収エネルギーを与える。
本発明において「シャルピー衝撃強さが200kJ/m2未満の光学フィルム」とは、上の方法によって測定されるフィルムのMD及びTDの少なくとも一方における衝撃吸収エネルギーの値が200kJ/m2未満である光学フィルムと定義される。勿論、MD及びTD双方の衝撃吸収エネルギーの値が200kJ/m2未満である光学フィルムも、有利に対象とすることができる。光学フィルムのシャルピー衝撃強さが小さいほど、割れ、亀裂、破断が生じやすいため、本発明の方法を適用するメリットは大きいといえる。光学フィルムのシャルピー衝撃強さは、190kJ/m2未満であれば本発明の効果がより大きく、180kJ/m2未満であれば効果がさらに大きい。
リードフィルムを構成する材料としては、従来公知のものを使用することができるが、リードフィルムは、シャルピー衝撃強さが200kJ/m2以上である強靭性のフィルムであることが好ましい。シャルピー衝撃強さが200kJ/m2以上であるリードフィルムを用いると、割れにくいため、それ自体及び連結フィルムとしたときの取扱性が向上する。また、連結フィルムの割れ、亀裂、破断をより生じにくくすることができる。ここでいう「シャルピー衝撃強さが200kJ/m2以上」とは、上の方法によって測定されるフィルムのMD及びTD双方における衝撃吸収エネルギーの値が200kJ/m2以上であることを意味する。
リードフィルムは樹脂フィルムであることができ、上記範囲のシャルピー衝撃強さを達成し得る樹脂材料として、例えば、ポリエチレンテレフタラートのようなポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニルのようなポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。リードフィルムのシャルピー衝撃強さは、より好ましくは250kJ/m2以上であり、さらに好ましくは300kJ/m2以上である。
<光学フィルム>
次に、本発明において使用し得る光学フィルムについて説明する。
(1)単層光学フィルム及びその作製方法
単層光学フィルムは、透光性(好ましくは透明性)を有する限り特に限定されず、有機材料からなるフィルムであってもよいし、無機材料からなるフィルムであってもよい。無機材料からなるフィルムの好適な例は、透明性の観点から、ガラス材料からなるフィルムである。ガラス材料からなるフィルムとしては、特開2012−247785号公報、国際公開第12/090693号、特開平08−283041号公報などに記載されているガラスフィルムが例示される。
有機材料からなるフィルムとしては、各種の熱可塑性樹脂フィルムを挙げることができる。熱可塑性樹脂の具体例は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;セルローストリアセテート、セルロースジアセテートのようなセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物などを含む。
光学フィルムは、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤の具体例は、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゴム弾性体粒子、滑剤等を含む。
紫外線吸収剤は、波長400nm以下の紫外線を吸収する化合物である。例えば、光学フィルムをポリビニルアルコール系偏光フィルムの保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤を配合することで、偏光フィルムにこの保護フィルムが貼合された偏光板の耐久性を向上させることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤などを使用することができ、具体例を挙げれば、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕;2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール;2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどである。これらのなかでも、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕は、好ましい紫外線吸収剤の一つである。
紫外線吸収剤の配合量は、光学フィルムの波長370nm以下における光線透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下となるように選択することが好ましい。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、例えば、紫外線吸収剤を予め樹脂中に配合してペレット化しておき、これを溶融押出などによってフィルムに成形する方法、樹脂の溶融押出成形時に直接、紫外線吸収剤を添加する方法などが挙げられる。
赤外線吸収剤は、波長800nm以上の赤外線を吸収する化合物である。例えば、ニトロソ化合物及びその金属錯塩;シアニン系化合物;スクワリリウム系化合物;チオールニッケル錯塩系化合物;フタロシアニン系化合物;ナフタロシアニン系化合物;トリアリールメタン系化合物;イモニウム系化合物;ジイモニウム系化合物;ナフトキノン系化合物;アントラキノン系化合物;アミノ化合物;アミニウム塩系化合物;カーボンブラック;酸化インジウムスズ;酸化アンチモンスズ;周期律表の4A族、5A族若しくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物又はホウ化物などを挙げることができる。赤外線吸収剤は、赤外線(波長約800〜1100nmの範囲の光)全体を吸収できるように選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の配合量は、例えば、光学フィルムの波長800nm以上における光線透過率が10%以下となるように選択することが好ましい。
光学フィルムが熱可塑性樹脂フィルム、とりわけ(メタ)アクリル系樹脂フィルムである場合、ゴム弾性体粒子を配合することが、その製膜性を向上させるうえで好ましい。ゴム弾性体粒子とは、ゴム弾性を示す層を含む粒子である。ゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。ゴム弾性体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。なかでも、光学フィルムの表面硬度、耐光性及び透明性の観点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする重合体で構成することができる。アクリル酸アルキルを主体とする重合体は、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル50重量%以上とそれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。アクリル酸アルキルとしては通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。アクリル酸アルキル以外の単量体を共重合させる場合、その例としては、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキル;スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルなどの単官能単量体、また、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルなどの多官能単量体が挙げられる。
アクリル系弾性重合体を含むゴム弾性体粒子は、アクリル系弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であることが好ましい。具体的には、アクリル系弾性体の外側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する2層構造のものや、さらにアクリル系弾性体の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する3層構造のものが挙げられる。アクリル系弾性体の外側又は内側に形成される硬質の重合体層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体は、好ましくはメタクリル酸メチルを主体とする重合体である。多層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子は、例えば特公昭55−027576号公報に記載の方法によって製造することができる。
光学フィルムに滑剤を配合すると、とりわけ(メタ)アクリル系樹脂フィルムである場合においては、光学フィルム表面の滑り性を向上させ、フィルムロールとしたときの巻き締まり、ひいてはフィルムロールとした状態での荷姿を改善することができる。滑剤と上記ゴム弾性体粒子とを併用すると滑り性向上効果をさらに高めることができる。滑剤としては、ステアリン酸系化合物、アクリル系化合物、エステル系化合物などがあり、なかでも、ステアリン酸系化合物が好ましく用いられる。
単層光学フィルムの厚みは、通常2〜300μm程度であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下である。
単層光学フィルムは、溶融押出法、溶剤キャスト法など、任意の方法で作製することができる。例えば溶融押出法の場合、溶融押出しされた樹脂(熱可塑性樹脂)を2本の金属製ロールで挟み込んだ状態で製膜する方法が好ましく採用される。この場合、金属製ロールは、鏡面ロールであることが好ましく、これにより、表面平滑性に優れる光学フィルムを得ることができる。
(2)多層光学フィルム及びその作製方法
光学フィルムは、2層、3層又はそれ以上の多層構造からなる多層光学フィルムであってもよい。多層光学フィルムの構成は特に制限されないが、例えば、次のような実施形態を例示することができる。
〔a〕同種であるが、互いに異なる樹脂からなる層を組み合わせて共押出しした多層光学フィルム(例えば、(メタ)アクリル系樹脂からなる第1層と、これとは異なる(メタ)アクリル系樹脂からなる第2層とを含む多層光学フィルム)、
〔b〕異種の樹脂からなる層を組み合わせて共押出しした多層光学フィルム(例えば、(メタ)アクリル系樹脂からなる第1層と、ポリスチレン系樹脂からなる第2層とを含む多層光学フィルム)、
〔c〕同種の(又は同じ)樹脂からなるが、添加剤の種類や含有量が互いに異なる層を組み合わせて共押出しした多層光学フィルム、
〔d〕上述の単層光学フィルムや多層光学フィルムを押出ラミネーションによって重ね合わせた多層光学フィルム。
〔e〕上述の単層光学フィルムを接着剤や粘着剤を介して貼合した多層光学フィルム。あるいは、単層光学フィルムと多層光学フィルム、多層光学フィルムと多層光学フィルムを接着剤や粘着剤を介して貼合した多層光学フィルム。
上記〔a〕〜〔c〕の共押出しした多層光学フィルムは、各層を形成する樹脂組成物を多層共押出しすること以外は、単層光学フィルムと同様にして作製することができる。
上記〔d〕の多層光学フィルムは、同種のフィルムを重ね合わせたものであってもよいし、異種のフィルムを重ね合わせたものであってもよい。上記〔d〕の多層光学フィルムは、溶融押出しした光学フィルムに、工程中のある側より別の光学フィルムを繰出して積層し、加圧して貼り合わせ、冷却を行い、巻き取り機によってロール状に巻き取ることで作製することができる。あるいは、工程中の一方の側から光学フィルムを繰出し、その上に樹脂層を溶融押出し、さらに工程中の他方の側より別の光学フィルムを繰出して上記樹脂層の上に積層し、同様に加圧して貼り合わせ、冷却を行い、巻き取り機によってロール状に巻き取ることで作製することができる。ラミネートする各フィルム間の貼り合わせ接着強度を向上させるために、ラミネーションに先立って又はラミネーションと同時に、ラミネートする層のいずれか一方又は全てにコロナ処理、オゾン処理、アンカーコート剤処理、接着剤コーティング処理等の方法により、適宜接着性改善処理を行うことが好ましい場合がある。また、積層される層の数は特に制限されず、適宜必要な層を積層したり、ラミネート時に必要に応じて上述の処理を施してもよい。
上記〔e〕の多層光学フィルムは、単層光学フィルム同士を貼合する場合、同種の樹脂(同一の樹脂である場合、及び異なる樹脂である場合を含む。)からなる層の組み合わせであってもよいし、異種の樹脂からなる層を組み合わせであってもよい。また、単層光学フィルムと多層光学フィルムの組み合わせや、多層光学フィルムと多層光学フィルムの組み合わせであってもよいことは上述のとおりである。〔e〕の多層光学フィルムの一例は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤又は粘着剤を介して熱可塑性樹脂フィルムを貼合したものである。偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させ、所定の偏光特性を付与したフィルムであることができる。
接着剤としては、水系接着剤や無溶剤型接着剤を用いることができる。水系接着剤は、例えば、水溶性の架橋性エポキシ系樹脂又は親水性のウレタン系樹脂のような接着剤成分を水に溶解したもの、又は当該接着剤成分を水に分散させたものであることができる。
無溶剤型接着剤は、有意量の溶剤を含まず、加熱又は活性エネルギー線(例えば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により反応硬化する硬化性成分(モノマー又はオリゴマー)を含み、当該硬化性成分の硬化により接着剤層を形成するものであり、典型的には、上記硬化性成分と重合開始剤とを含むものであり得る。
上記硬化性成分としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを挙げることができる。
また、粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂又はポリエーテル系樹脂などのベースポリマーと、架橋剤とを含む粘着剤組成物を用いることができる。粘着剤組成物は、例えば帯電防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。粘着剤組成物は、熟成によって架橋剤による反応を十分に進行させたものであることが好ましい。熟成条件は特に制限されないが、例えば、温度23℃、相対湿度65%の環境下において数時間〜数日熟成させることができる。
光学フィルムは、以上のようにして作製された熱可塑性樹脂フィルムに対して延伸処理を施したものであってもよい。所望の光学特性を有する光学フィルムを得るために延伸処理を要することがある。延伸処理としては、一軸延伸や二軸延伸などが挙げられる。延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向などが挙げられる。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。
延伸処理は、例えば出口側の周速を大きくした2対以上のニップロールを用いて、長手方向(機械流れ方向:MD)に延伸したり、未延伸フィルムの両側端をチャックで把持して機械流れ方向に直交する方向(TD)に広げたりすることで行う。
延伸処理による延伸倍率は、0超〜300%が好ましく、より好ましくは100〜250%である。延伸倍率が300%を上回ると、膜厚が薄くなりすぎて破断しやすくなったり、取扱性が低下したりする。延伸倍率は、下記式:
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
より求められる。
また、所望の光学特性を付与するために、延伸処理に代えて、又はこれとともに、熱収縮性フィルムを熱可塑性樹脂フィルムに貼合し、熱可塑性樹脂フィルムを収縮させる処理を行ってもよい。
(3)コーティング層を有する光学フィルム
光学フィルムにコーティング層を付与することで、コーティング層の種類に応じた特定の機能を付与することができる。コーティング層を有する光学フィルムの例を挙げれば、例えば
〔a〕表面の擦り傷防止のためのハードコート層を有する光学フィルム、
〔b〕帯電防止層を有する光学フィルム、
〔c〕反射防止層を有する光学フィルム、
〔d〕防汚層を有する光学フィルム、
〔e〕視認性向上、外光の映り込み防止、プリズムシートとカラーフィルターの干渉によるモアレ低減などを担う防眩層を有する光学フィルム、
である。以上のようなコーティング層を積層させる基材フィルムとしては、上述の熱可塑性樹脂フィルムのような単層光学フィルムや多層光学フィルムを用いることができる。
また、基材フィルムとして、単層又は多層光学フィルムにコーティング層を積層した光学フィルムを、他の単層光学フィルムや多層光学フィルムと貼合したコーティング層を有する多層光学フィルムを用いることもできる。
特に(メタ)アクリル系樹脂フィルムにコーティング層を設けると、光学フィルムのシャルピー衝撃強さがコーティング層を設ける前に比べて極端に小さくなることがあり、このようにシャルピー衝撃強さが小さい光学フィルムに対して、本発明は好適に適用される。
(ハードコート層)
ハードコート層は、光学フィルムの表面硬度を高める機能を有し、表面の擦り傷防止などの目的で設けられる。ハードコート層は、JIS K 5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に規定される鉛筆硬度試験(ハードコート層を有する光学フィルムをガラス板の上に置いて測定する)で2H又はそれより硬い値を示すことが好ましい。ハードコート層を形成する材料は、一般に、熱や光によって硬化するものである。例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料や、二酸化ケイ素などの無機ハードコート材料を挙げることができる。これらのなかでも、ハードコート層が積層される基材フィルムが(メタ)アクリル系樹脂フィルムである場合はに、それに対する接着力が良好であり、生産性に優れることから、ウレタンアクリレート系又は多官能アクリレート系ハードコート材料が好ましい。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、さらには耐熱性、帯電防止性、防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有することができる。またハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
(帯電防止層)
帯電防止層は、光学フィルムの表面に導電性を付与し、静電気による影響を抑制するなどの目的で設けられる。帯電防止層の形成には、例えば、導電性物質(帯電防止剤)を含有する樹脂組成物を基材フィルムに塗布する方法が採用できる。例えば、上述したハードコート層の形成に用いるハードコート材料に帯電防止剤を共存させておくことにより、帯電防止性のハードコート層を形成することができる。
(反射防止層)
反射防止層は、外光の反射を防止するための層であり、光学フィルムの表面(外部に露出する面)に直接、又はハードコート層などの他の層を介して設けられる。反射防止層を有する光学フィルムは、波長430〜700nmの光に対する入射角5°での反射率が2%以下であることが好ましく、とりわけ、波長550nmの光に対する同じ入射角での反射率が1%以下であることが好ましい。
反射防止層の厚みは、0.01〜1μm程度とすることができるが、好ましくは0.02〜0.5μmである。反射防止層は、それが設けられる層(基材フィルムやハードコート層など)の屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30〜1.45の屈折率を有する低屈折率層からなるもの、無機化合物からなる薄膜の低屈折率層と無機化合物からなる薄膜の高屈折率層とを交互に複数積層したものなどであることができる。
上記の低屈折率層を形成する材料は、屈折率の小さいものであれば特に制限されない。例えば、紫外線硬化性アクリル樹脂のような樹脂材料;樹脂中にコロイダルシリカのような無機微粒子を分散させたハイブリッド材料;アルコキシシランを含むゾル−ゲル材料などを挙げることができる。このような低屈折率層は、重合済みのポリマーを塗布することによって形成してもよいし、前駆体となるモノマー又はオリゴマーの状態で塗布し、その後重合硬化させることによって形成してもよい。また、それぞれの材料は、防汚性を付与するために、分子内にフッ素原子を有する化合物を含むことが好ましい。
低屈折率層を形成するためのゾル−ゲル材料としては、分子中にフッ素原子を有するものが好適に用いられる。分子内にフッ素原子を有するゾル−ゲル材料の典型的な例を挙げると、ポリフルオロアルキルアルコキシシランがある。ポリフルオロアルキルアルコキシシランは、例えば、下記式:
CF3(CF2)nCH2CH2Si(OR)3
で示される化合物であることができ、ここで、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜12の整数を表す。なかでも、上記式中のnが2〜6である化合物が好ましい。
ポリフルオロアルキルアルコキシシランの具体例として、次のような化合物を挙げることができる。
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなど。
低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物又は活性エネルギー線硬化性含フッ素化合物の硬化物で構成することもできる。この硬化物は、その動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲にあることが好ましく、水に対する接触角が90〜120°の範囲にあることが好ましい。硬化性含フッ素化合物として、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、上記した3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなど)のほか、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体は、フッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合する方法によって、又はフッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合し、次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させる方法によって、製造することができる。
ここで用いるフッ素含有モノマーとしては、例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールのようなフルオロオレフィン類、その他、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類や、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類などが挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのようなグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸やメタクリル酸のようなカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレートやヒドロキシアルキルメタクリレートのような水酸基を有するモノマー;アリルアクリレートやアリルメタクリレートのようなアルケニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマーなどを挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料は、耐擦傷性を向上させ得ることから、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウムなどの無機化合物微粒子がアルコール溶媒に分散しているゾルが含まれるもので構成することもできる。このために用いる無機化合物微粒子は、反射防止性の観点から屈折率の小さいものほど好ましい。かかる無機化合物微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカの中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5〜2000nmの範囲にあることが好ましく、とりわけ20〜100nmの範囲にあることがより好ましい。ここでいう平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
(防汚層)
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、防汚性などを付与するために設けられる。防汚層を形成するための好適な材料は、フッ素含有有機化合物である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、これらの高分子化合物などを挙げることができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着やスパッタリングを代表例とする物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法などを用いることができる。防汚層の平均厚みは、通常1〜50nm程度、好ましくは3〜35nmである。
(防眩層)
基材フィルム上に防眩層を積層した光学フィルムを防眩フィルムという。すなわち防眩フィルムは、基材フィルムと防眩層とからなる。防眩層は、表面に微細な凹凸形状を有する層であり、好ましくは、上述したハードコート材料を用いて形成される。
表面に微細な凹凸形状を有する防眩層は、1)基材フィルム上に微粒子を含有する塗膜を形成し、その微粒子に基づく凹凸を設ける方法、2)微粒子を含有するか、又は含有しない塗膜を基材フィルム上に形成した後、表面に凹凸形状が付与されたロールに押し当てて凹凸形状を転写する方法(エンボス法とも呼ばれる)などによって形成することができる。
上記1)の方法においては、硬化性透明樹脂と微粒子とを含む硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗布し、紫外線等の光照射又は加熱によって塗布層を硬化させることにより防眩層を形成することができる。硬化性透明樹脂は、高硬度(ハードコート)となる材料から選定されることが好ましい。かかる硬化性透明樹脂としては、紫外線硬化性樹脂のような光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性や得られる防眩層の硬度などの観点から、光硬化性樹脂が好ましく使用される、より好ましくは紫外線硬化性樹脂である。光硬化性樹脂を使用する場合、硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含む。
光硬化性樹脂としては、一般に多官能アクリレートが用いられる。その具体例は、トリメチロールプロパンのジ−又はトリ−アクリレート;ペンタエリスリトールのトリ−又はテトラ−アクリレート;分子内に水酸基を少なくとも1個有するアクリレートとジイソシアネートとの反応生成物である多官能ウレタンアクリレートなどを含む。これらの多官能アクリレートは、それぞれ単独で、又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いることができる。
また、多官能ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、及び水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーの混合物を光硬化性樹脂とすることもできる。この光硬化性樹脂を構成する多官能ウレタンアクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、並びにジイソシアネートを用いて製造される。具体的には、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとポリオールから、分子内に水酸基を少なくとも1個有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを調製し、これをジイソシアネートと反応させることにより、多官能ウレタンアクリレートを製造することができる。このようにして製造される多官能ウレタンアクリレートは、先に掲げた光硬化性樹脂自体ともなるものである。その製造にあたっては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、ポリオール及びジイソシアネートも同様に、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能ウレタンアクリレートの一つの原料となる(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸の鎖状又は環状アルキルエステルであることができる。その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート、及び、シクロヘキシル(メタ)アクリレートのようなシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能ウレタンアクリレートのもう一つの原料となるポリオールは、分子内に水酸基を少なくとも2個有する化合物である。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸のネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類などを挙げることができる。
多官能ウレタンアクリレートのさらにもう一つの原料となるジイソシアネートは、分子内に2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物であり、芳香族、脂肪族又は脂環式の各種ジイソシアネートを用いることができる。具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらのうち芳香環を有するジイソシアネートの核水添物などを挙げることができる。
多官能ウレタンアクリレートとともに上記した光硬化性樹脂を構成するポリオール(メタ)アクリレートは、分子内に少なくとも2個の水酸基を有する化合物(すなわち、ポリオール)の(メタ)アクリレートである。その具体例としては、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ポリオール(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリオール(メタ)アクリレートは、好ましくは、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び/又はペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む。
さらに、これらの多官能ウレタンアクリレート及びポリオール(メタ)アクリレートとともに光硬化性樹脂を構成する、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーは、一つの構成単位中に水酸基を2個以上含むアルキル基を有するものである。例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを構成単位として含むポリマーや、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとともに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを構成単位として含むポリマーなどが挙げられる。
以上、例示したようなアクリル系の光硬化性樹脂を用いることにより、基材フィルムとの密着性が向上するとともに、機械的強度が向上し、表面の傷付きを効果的に防止できる防眩フィルムを得ることができる。
上記微粒子としては、平均粒径が0.5〜5μmで、硬化後の硬化性透明樹脂との屈折率差が0.02〜0.2であるものを用いることが好ましい。平均粒径及び屈折率差がこの範囲にある微粒子を用いることにより、効果的にヘイズを発現させることができる。この微粒子の平均粒径は、動的光散乱法などによって求めることができる。この場合の平均粒径は、重量平均粒径となる。
微粒子は有機微粒子又は無機微粒子であることができる。有機微粒子としては、一般に樹脂粒子が用いられ、例えば、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などが挙げられる。また、無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどを用いることができる。
上記光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンゾインエーテル系、アミン系、ホスフィンオキサイド系など、各種のものを用いることができる。アセトフェノン系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(別名ベンジルジメチルケタール)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オンなどがある。ベンゾフェノン系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどがある。ベンゾインエーテル系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどがある。アミン系光重合開始剤に分類される化合物の例を挙げると、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(別名ミヒラーズケトン)などがある。ホスフィンオキサイド系光重合開始剤の例を挙げると、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどがある。ほかに、キサントン系化合物やチオキサント系化合物なども、光重合開始剤として用いることができる。
これらの光重合開始剤は市販されている。代表的な市販品の例を商品名で挙げると、スイスのチバ社から販売されている「イルガキュアー 907」及び「イルガキュアー 184」、ドイツのBASF社から販売されている「ルシリン TPO」などがある。
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて溶媒を含むことができる。溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、硬化性樹脂組成物を構成する各成分を溶解し得る任意の有機溶媒を用いることができる。2種以上の有機溶媒を混合して用いることもできる。
また硬化性樹脂組成物は、レベリング剤を含有してもよく、例えば、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を挙げることができる。シリコーン系のレベリング剤には、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサンなどがある。シリコーン系レベリング剤のなかでも好ましいものは、反応性シリコーン及びシロキサン系のレベリング剤である。反応性シリコーンからなるレベリング剤を用いれば、防眩層表面に滑り性が付与され、優れた耐擦傷性を長期間持続させることができる。また、シロキサン系のレベリング剤を用いれば、膜成形性を向上させることができる。
一方、上記2)の方法(エンボス法)により微細表面凹凸形状を有する防眩層を形成する場合には、微細凹凸形状が形成された金型を用いて、金型の形状を基材フィルム上に形成された樹脂層に転写すればよい。エンボス法により微細表面凹凸形状を形成する場合、凹凸形状が転写される樹脂層は、微粒子を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。上記樹脂層を構成する樹脂は、好ましくは、上記1)の方法において例示したような光硬化性樹脂であり、より好ましくは紫外線硬化性樹脂である。ただし、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光重合開始剤を適宜選択することにより、紫外線より波長の長い可視光で硬化が可能な可視光硬化性樹脂を用いることもできる。
エンボス法では、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗布し、その塗布層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が塗布層に転写される。より具体的には、硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗布し、塗布層を金型の凹凸面に密着させた状態で、基材フィルム側から紫外線等の光を照射して塗布層を硬化させ、次に、硬化後の塗布層(防眩層)を有する光学フィルムを金型から剥離することにより、金型の凹凸形状を防眩層に転写する。
防眩層の厚みは特に限定されないが、一般には2〜30μmであり、好ましくは3μm以上、また好ましくは20μm以下である。防眩層が薄すぎると、十分な硬度が得られず、表面が傷付きやすくなる傾向にあり、一方で厚すぎると、割れやすくなったり、防眩層の硬化収縮によりフィルムがカールして生産性が低下したりする傾向にある。
防眩フィルムのヘイズ値は、1〜50%の範囲にあることが好ましい。ヘイズ値が小さすぎると、十分な防眩性能が得られず、画像表示装置に適用したときに画面に外光の映り込みが生じやすくなる。一方、そのヘイズ値が大きすぎると、外光の映り込みは低減できるものの、黒表示の画面のしまりが低下してしまう。ヘイズ値は、全光線透過率に対する拡散透過率の割合であり、JIS K 7136:2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準じて測定される。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
(A)アクリル系樹脂フィルムの作製
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル(重量比96/4)の共重合体を用意した。また、ゴム弾性体粒子として、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを共重合させた硬質の重合体であり、中間層がアクリル酸ブチルを主成分とし、これにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを共重合させた軟質の弾性体であり、最外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを共重合させた硬質の重合体からなる三層構造の弾性体粒子であって、最外層を有しないときの平均粒径が約250nmであるアクリル系弾性重合体粒子を用意した。
上記のアクリル系樹脂とゴム弾性体粒子とが70/30の重量比で配合され、さらにそれらの合計100重量部あたり、0.05重量部の滑剤(ステアリン酸)及び約1.0重量部のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が配合されているペレットを65mmφの一軸押出機に投入し、設定温度275℃のT型ダイから押出した。押出されたフィルム状溶融樹脂の両面を、45℃に温度設定された鏡面を有する2本のポリシングロールで挟み込んで冷却し、厚み80μmの長尺のアクリル系樹脂フィルムをフィルムロールとして得た。
(B)防眩フィルムの作製
上記(A)で作製したアクリル系樹脂フィルムの片面に、アクリレート系の紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤、樹脂微粒子及び溶剤を含む防眩層形成用塗布液を塗布し、乾燥させた後、フィルムの塗膜側より紫外線を照射し、塗布層を硬化させて、アクリル系樹脂フィルムの表面に凹凸を有する防眩層が形成された長尺の防眩フィルムを作製した。得られた防眩フィルムは、直径6インチ(約15cm)のコアに巻き取り、フィルムロールとした。ヘイズメータを用いて、この防眩フィルムのヘイズ値を測定したところ、1.5%であった。また、この防眩フィルムの厚みは、89μmであった。
得られた防眩フィルムのシャルピー衝撃強さを次の手順で測定した。まず、防眩フィルムから、幅10mm×長さ82mmの長方形の試験片を切り出した。試験片として、MDにおける衝撃吸収エネルギーを測定するための試験片と、TDにおける衝撃吸収エネルギーを測定するための試験片の2片を切り出した。そして、ハンマーにより打ち抜くときの衝撃で試験片が動かないように試験片の長辺方向両端を支持台に固定し、上述の測定手順に従い、株式会社安田精機製作所製のシャルピー衝撃試験機(ハンマー秤量1.0J)にて、ハンマーをその刃先長手方向が試験片の長さ方向中央部で幅方向と平行になるように防眩層側から打ち当てて、フィルムの破断に要するエネルギー(衝撃吸収エネルギー)を測定した。その結果、TDの衝撃吸収エネルギーは17kJ/m2であり、MDの衝撃吸収エネルギーは19kJ/m2であった。なお、防眩層側とは反対側からハンマーを当てたときのTD及びMDの衝撃吸収エネルギーは、それぞれ8kJ/m2、11kJ/m2であった。また、防眩層側が凸となるよう防眩フィルムを指で二つ折りにしたところ、防眩フィルムが破断した。
(C)連結フィルムの搬送
上記(B)で作製した防眩フィルムの長手方向終端にリードフィルム(厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を連結用テープ(厚み60μmのポリテトラフルオロエチレンからなるフィルムを基材とする片面粘着テープ)を用いて連結してなる連結フィルムをゴムロールからなるニップロールを含む搬送経路に通して、搬送速度1〜40m/minで連続的に搬送させた。連結部がニップロールを通過するときに、ニップロール対の一方の位置を上げ、連結フィルムから離すことでニップロールを開放したところ、連結フィルムに割れ、亀裂、破断は生じず、連結フィルムを連続的に問題なく搬送することができた。
<比較例1>
連結部がニップロールを通過するときにもニップロールを開放せず、そのままの位置を維持すること以外は実施例1の(C)と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行ったところ、連結部に破断が生じた。
<実施例2>
厚み25μmのトリアセチルセルロース上に、厚み4μmのハードコート層が積層された光学フィルムを用意した。この光学フィルムについて、上と同じ測定方法でシャルピー衝撃強さを測定した。その結果、ハードコート層側からハンマーを当てたときのTD及びMDの衝撃吸収エネルギーは、それぞれ145kJ/m2、138kJ/m2であった。なお、ハードコート層側とは反対側からハンマーを当てたときのTD及びMDの衝撃吸収エネルギーは、それぞれ186kJ/m2、134kJ/m2であった。また、ハードコート層側が凸となるよう光学フィルムを指で二つ折りにしたところ、光学フィルムが破断した。
この光学フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行った。連結部がニップロールを通過するときに、ニップロール対の一方の位置を上げ、連結フィルムから離すことでニップロールを開放したところ、連結フィルムに割れ、亀裂、破断は生じず、連結フィルムを連続的に問題なく搬送することができた。
<比較例2>
連結部がニップロールを通過するときにもニップロールを開放せず、そのままの位置を維持すること以外は実施例2と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行ったところ、連結部に破断が生じた。
<参考例1>
上記実施例1の(A)で作製したアクリル系樹脂フィルムについて、上と同じ測定方法でシャルピー衝撃強さを測定した。その結果、TD及びMDの衝撃吸収エネルギーは、それぞれ228kJ/m2、214kJ/m2であった。また、このフィルムを指で二つ折りにしても、フィルムは破断しなかった。
このアクリル系樹脂フィルムを用いること以外は実施例1と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行ったところ、連結部がニップロールを通過するときにニップロールを開放せず、そのままの位置を維持しても、連結部に割れ、亀裂、破断は生じなかった。
<参考例2>
厚み25μmのトリアセチルセルロースフィルムについて、上と同じ測定方法でシャルピー衝撃強さを測定した。その結果、TD及びMDの衝撃吸収エネルギーは、それぞれ588kJ/m2、455kJ/m2であった。また、このフィルムを指で二つ折りにしても、フィルムは破断しなかった。
このトリアセチルセルロースフィルムを用いること以外は実施例1と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行ったところ、連結部がニップロールを通過するときにニップロールを開放せず、そのままの位置を維持しても、連結部に割れ、亀裂、破断は生じなかった。
<参考例3>
厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムについて、上と同じ測定方法でシャルピー衝撃強さを測定した。その結果、TD及びMDのいずれについても、衝撃吸収エネルギーは測定可能な上限(2593kJ/m2)を超えるものであった。また、このフィルムを指で二つ折りにしても、フィルムは破断しなかった。
このポリエチレンテレフタレートフィルムを用いること以外は実施例1と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行ったところ、連結部がニップロールを通過するときにニップロールを開放せず、そのままの位置を維持しても、連結部に割れ、亀裂、破断は生じなかった。
<参考例4>
厚み60μmのポリプロピレンフィルムについて、上と同じ測定方法でシャルピー衝撃強さを測定した。その結果、TD及びMDのいずれについても、衝撃吸収エネルギーは測定可能な上限(1642kJ/m2)を超えるものであった。また、このフィルムを指で二つ折りにしても、フィルムは破断しなかった。
このポリプロピレンフィルムを用いること以外は実施例1と同様にして、連結フィルムの連続搬送を行ったところ、連結部がニップロールを通過するときにニップロールを開放せず、そのままの位置を維持しても、連結部に割れ、亀裂、破断は生じなかった。