JP2024011326A - 光学フィルムの製造方法および偏光板の製造方法 - Google Patents

光学フィルムの製造方法および偏光板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断可能とし、作業効率よく光学フィルムを連結する光学フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】光学フィルムの製造方法は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する工程を含み、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムは、片側に表面処理層を有し、かつ表面処理層が同じ側に配置されるように重ねられており、上記工程において、刃は、その刃先と第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの表面とのなす角を100°以上170°以下として、第1光学フィルムの表面処理層に先ず接触し、その後第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを切断し、第1光学フィルムの張力は、第2光学フィルムの張力と比較して同じまたは低く、かつ第1光学フィルムの張力は、0N/m超過90N/m以下であり、第2光学フィルムの張力は、0N/m超過150N/m未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法および偏光板の製造方法に関する。
特開2012-062187号公報(特許文献1)は、2枚以上の樹脂シート部材を、レーザー光を照射することによって接合してシート接合体を作製するシート接合体の製造方法を開示している。
特開2012-062187号公報
光学フィルムの製造方法としては一般に、帯状の樹脂シートがロール状に巻回されてなる原反ロールから、上記樹脂シートを送り出して該樹脂シートの移動経路を規制するとともに、上記樹脂シートをガイドする複数本のローラと、膨潤浴、染色浴などの各種の薬液浴とを備えた装置を用いて上記樹脂シートを延伸させる方法が採用されている。上記製造方法は、原反ロールを交換する毎に改めて新しい樹脂シートをローラ等に巻き掛けて装置にセットすることが非常に煩雑であり、かつ時間を浪費するものであるため、先行する樹脂シートの末端部に次の原反ロールから繰り出される樹脂シートの先端部を接合して連結する連結工程を含むことが多い。上記連結工程により、これら2つの樹脂シートを順次連続して光学フィルムに加工することが可能となる。とりわけ上記連結工程は、先行する樹脂シートの末端部に次の原反ロールから繰り出された樹脂シートの先端部を2枚重ねとし、この2枚重ねにした樹脂シートを2枚とも切断する切断工程を備える。
しかしながら上記切断工程において、片側にハードコート層などの表面処理層を有する樹脂シートを2枚重ねにして切断する場合、当該表面処理層から樹脂シート内部に向けてクラックが数多く発生することがこれまでに報告されている。したがって、片側に表面処理層を有する場合であっても、2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断可能となる切断方法の開発が切望されている。
上記実情に鑑み、本発明は、2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断可能とし、もって作業効率よく光学フィルムを連結することができる光学フィルムの製造方法および偏光板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す光学フィルムの製造方法を提供する。
〔1〕 第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する工程を含み、
前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムは、片側に表面処理層を有し、かつ前記表面処理層が同じ側に配置されるように重ねられており、
前記工程において、
前記刃は、その刃先と前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムの表面とのなす角を100°以上170°以下として、前記第1光学フィルムの前記表面処理層に先ず接触し、その後、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムを切断し、
前記第1光学フィルムの張力は、前記第2光学フィルムの張力と比較して同じまたは低く、かつ
前記第1光学フィルムの張力は、0N/m超過90N/m以下であり、
前記第2光学フィルムの張力は、0N/m超過150N/m未満である、光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程において、
前記第1光学フィルムの張力は、0N/m超過50N/m以下であり、
前記第2光学フィルムの張力は、10N/m以上100N/m以下である、〔1〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔3〕 前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムは、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルムである、〔1〕または〔2〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔4〕 前記工程において、
前記刃は、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムをTD方向に切断する、〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔5〕 前記工程において、
前記刃は、100mm/秒以上2000mm/秒以下の速度で前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムを切断する、〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔6〕 前記工程において、
前記刃が前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムを切断する空間の幅は、10mm以内である、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
〔7〕 〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載された光学フィルムの製造方法により光学フィルムを得る工程と、
前記光学フィルムと偏光フィルムとを積層する工程とを含む、偏光板の製造方法。
上記によれば、2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断可能とし、もって作業効率よく光学フィルムを連結することができる光学フィルムの製造方法および偏光板の製造方法を提供することができる。
図1は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する切断工程に関し、2枚の光学フィルムのうち下側に配置された光学フィルムである第1光学フィルムの表面処理層に、刃が先に接触する様子を説明する説明図である。 図2は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する切断工程に関し、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの両者を刃が切断する様子を説明する説明図である。 図3は、本実施形態に係る光学フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」とも記す)を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下のすべての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。図面において、同一または対応する構成要素には同一または対応する符号をそれぞれ付す。また本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」の両方またはいずれか一方であることを意味する。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
〔光学フィルムの製造方法〕
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する工程(以下、単に「切断工程」とも記す)を含む。上記第1光学フィルムおよび上記第2光学フィルムは、片側に表面処理層を有し、かつ上記表面処理層が同じ側に配置されるように重ねられている。上記切断工程において、上記刃は、その刃先と上記第1光学フィルムおよび上記第2光学フィルムの表面とのなす角を100°以上170°以下として、上記第1光学フィルムの上記表面処理層に先ず接触し、その後2枚重ねた上記第1光学フィルムおよび上記第2光学フィルムを切断する。とりわけ上記第1光学フィルムの張力は、上記第2光学フィルムの張力と比較して同じまたは低く、かつ第1光学フィルムの張力は、0N/m超過90N/m以下であり、第2光学フィルムの張力は、0N/m超過150N/m未満である。このような特徴を備える光学フィルムの製造方法により、2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断可能とし、もって作業効率よく光学フィルムの連結を行うことができる。本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、第1光学フィルムと第2光学フィルムとを連結する工程を、さらに備えてもよい。
本発明者らは、2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断可能とし、作業効率よく光学フィルムを連結する方法を鋭意検討し、本発明を完成させた。具体的には、切断時のクラック等による破損を防ぐために、2枚重ねにした光学フィルムに荷重する張力を制御することに注目した。ここで上記切断工程においては製造上、2枚重ねにした光学フィルムの少なくとも一方に張力を掛ける必要がある。さらに効率のよい連結に資するため、上記光学フィルムは、片側に表面処理層を有する場合、当該表面処理層が同じ側に配置されるように2枚重ねされることが通常である。これらの前提の下、本発明者らは、2枚重ねた光学フィルムのうち刃先とまず接触する一方の光学フィルムである第1光学フィルムに荷重する張力を、他方の光学フィルムである第2光学フィルムの張力と比較して同じまたは低くし、かつ第1光学フィルムの張力を0N/m超過90N/m以下とし、第2光学フィルムの張力を0N/m超過150N/m未満とすることを知見した。併せて、上記切断工程において第1光学フィルムの表面処理層に刃先を先ず接触させた。これにより2枚重ねにした光学フィルム全体に掛かる張力を低くし、かつ第2光学フィルムに荷重した張力が低い場合であっても第1光学フィルムを適切に保持することを可能とし、もって2枚重ねにした光学フィルムを破損することなく切断することができる本発明に到達した。ここで上記第1光学フィルムおよび上記第2光学フィルムは、後述するようにそれらの末端部と先端部とが連結されることによって光学積層体または光学表示装置の製造に用いられるため、実質的または理想的に同一の組成および特性を有することが好ましい。本明細書においては、このような2枚の光学フィルムのうち、上記切断工程において刃先とまず接触する一方の光学フィルムを、説明の便宜のために「第1光学フィルム」と称するものとする。
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、2枚重ねにした第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを破損することなく切断可能とし、作業効率よく上記光学フィルムを連結する目的で、たとえば後述する<製造システム>の項目にて説明される製造システムに適用される場合がある。当該製造システムに対しては、光学フィルムが巻回された巻出部から上記光学フィルムを巻出す工程(以下、「巻出工程」とも記す)と、光学フィルム同士を連結する工程(以下、「連結工程」とも記す)とが少なくとも適用される。とりわけ上記連結工程は、第1巻出部および第2巻出部から巻出された光学フィルムを2枚重ねた状態で切断する工程と、上記工程により切断された2枚の光学フィルムを片面粘着テープ等によって貼合する工程(以下、「貼合工程」とも記す)とを含む。本実施形態に係る製造方法に含まれる上記切断工程は、上記製造システムにおいて、第1巻出部および第2巻出部から巻出された2枚の光学フィルム(第1光学フィルムおよび第2光学フィルム)を重ねた状態で切断する工程として適用される。以下、製造システムについて簡潔に説明する。
<製造システム>
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法が適用される製造システムは、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを巻出し、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムと他のフィルムとを粘着剤層又は接着剤層を介して積層することにより光学積層体を製造したり、あるいは第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを液晶パネルに貼合することにより、光学表示装置等を製造したりするのに用いられる。他のフィルムとしては、たとえば公知の偏光フィルム、位相差フィルム等を挙げることができ、液晶パネルとしては、公知のガラス基板などの基板と液晶層との間に配向膜を配した液晶パネル等を挙げることができる。
(連結機構)
上記製造システムは、少なくとも第1光学フィルムおよび第2光学フィルム同士を連結するための連結機構を少なくとも備えている。当該連結機構は、たとえば特開2010-023986号公報に開示されたスプライス装置に準じて構成されることができる。上記連結機構の概要は、次のとおりである。すなわち上記連結機構は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを巻出す巻出部としての第1巻出部および第2巻出部、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを搬送するガイドローラ、2枚重ねにした第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを保持し、切断するフィルム保持切断部、ならびにフィルム保持切断部により切断された第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを連結材で連結し、かつ貼合する連結材貼合部を備えている。なお、第1光学フィルムの末端部と第2光学フィルムの先端部とを連結してもよいし、第1光学フィルムの先端部と第2光学フィルムの末端部とを連結してもよい。
i) 第1巻出部および第2巻出部、ならびに巻出工程
第1巻出部および第2巻出部は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが巻回された原反ロールを保持することによって第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを巻出す装置であり、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムへ加えられる張力をそれぞれ調整可能である。第1巻出部は、第1光学フィルムが巻回された原反ロールを保持する。第2巻出部は、第2光学フィルムが巻回された原反ロールを保持する。第1巻出部から巻出された第1光学フィルム、および第2巻出部から巻出された第2光学フィルムは、それぞれガイドローラを介してラインに搬送される。このように第1巻出部および第2巻出部を用いることにより、光学フィルムを巻出す工程(巻出工程)を実行することができる。本明細書において「ライン」とは、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが搬送される経路をいい、「ライン方向」とは第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが搬送される方向(つまり光学フィルムの「MD方向」)をいう。一方、「巻出部方向」とはライン方向と反対の方向を意味する。本明細書において、光学フィルムの面内でMD方向に対して垂直となる方向、すなわち光学フィルムの幅方向を「光学フィルムのTD方向」というものとする。
ここで第2巻出部の原反ロールは補充用である。つまり原反ロールに巻回された第1光学フィルムの残量が尽きかけた際に、初めて原反ロールの第2光学フィルムが巻出される。原反ロールから巻出された第2光学フィルムの先端部は、第1光学フィルムの末端部とで2枚に重ねられ、これらが上記保持切断部にて切断され、続けて連結材貼合部にて連結される。
ii) 第1光学フィルムおよび第2光学フィルム
第1光学フィルムおよび第2光学フィルムは、上述のように光学積層体または光学表示装置の製造に用いられるフィルムである場合がある。第1光学フィルムおよび第2光学フィルムは、製造システムにおいては、第1巻出部の原反ロールおよび第2巻出部の原反ロールからガイドローラを介して送り出されるフィルムである。第1光学フィルムおよび第2光学フィルムは、上述のようにそれらの末端部と先端部とが連結されることによって光学積層体または光学表示装置の製造に用いられるため、実質的または理想的に同一の組成および特性を有している。第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの幅は、特に限定されるものではなく、もって第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの幅に応じて第1巻出部および第2巻出部の幅が適宜変更される。第1光学フィルムおよび第2光学フィルムは、たとえば300mm以上2500mm以下のフィルム幅を有することができ、当該フィルム幅を有する第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを設置可能な幅を第1巻出部および第2巻出部は有することができる。第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの厚みは、たとえば10μm以上100μm以下であり、好ましくは10~80μmであり、より好ましくは15~80μmである。なお、原反ロールに巻回される第1光学フィルムおよび第2光学フィルムのMD方向の長さは、特に制限されないが、一般に300~8000mである。以下、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムについては、これらが実質的または理想的に同一の組成および特性を有しているので、これらを代表して第1光学フィルムについて説明するものとし、特記しない限り、当該説明と同じ特徴を第2光学フィルムが有するものとする。
第1光学フィルムは、少なくとも2層構造を有する。具体的には、第1光学フィルムは、基材フィルムと基材フィルムの片側、すなわち一方の面に配置される表面処理層とを備える。第2光学フィルムも、基材フィルムと基材フィルムの片側(一方の面)に配置される表面処理層とを備える。
基材フィルムの材料としては、光を透過可能な樹脂フィルムとなる材料であれば、特に限定しないで用いることができる。たとえば基材フィルムは、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリ(メタ)アクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドイミド等の樹脂で形成されたフィルムを挙げることができる。
これらの樹脂は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、たとえば共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性制御、および異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性を挙げることができる。
これらの樹脂は、透明性を損なわない範囲で、適宜の添加物が配合されていてもよい。添加物として、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、位相差低減剤、安定剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび剤などを挙げることができる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
とりわけ基材フィルムは、ポリ(メタ)アクリル系樹脂で形成されたフィルムであることが好ましい。ポリ(メタ)アクリル系樹脂は、たとえばポリ(メタ)アクリル酸エステル(たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA));メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(たとえばMS樹脂);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(たとえばメタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)であることができる。つまり第1光学フィルムおよび第2光学フィルムは、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルムであることが好ましい。
基材フィルムは、透明性以外の光学的機能を有していてもよく、複数の層が積層された積層構造に形成されていてもよい。基材フィルムの厚みは光学特性の観点から薄いものが好ましいが、薄すぎると強度が低下し加工性に劣るものとなる。適切な膜厚としては、5~100μmであり、好ましくは10~80μm、より好ましくは15~70μmである。
表面処理層は、基材フィルムの片側(一方の面)に配置される。表面処理層は、基材フィルムの片側を処理することにより形成される層である。表面処理層としては、具体的には表面硬度を高める機能を有し、表面の擦り傷防止等の目的で設けられるハードコート層、蛍光灯や外光などの映りこみを軽減する目的で設けられる防眩層、蛍光灯や外光などの反射光を軽減する目的で設けられる反射防止層、光拡散層などを挙げることができるが、これらの表面処理層に限定されない。また、表面処理は、1種類だけではなく反射防止層とハードコート層など複数の機能を積層したものを用いることも有用な技術である。
表面処理層がハードコート層である場合、ハードコート層は、たとえば基材フィルム上に、硬化性樹脂を含有する溶液を塗布することにより形成することができる。硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等を挙げることができる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アミド系樹脂、シリコーン系樹脂、シリケート系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、オキセタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂等の各種の樹脂を挙げることができる。これらの硬化性樹脂は、1種または2種以上を、適宜に選択して使用することができる。
硬化性樹脂としては、これらの中でも、硬度が高く、紫外線硬化が可能で生産性に優れることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂が好ましく、とりわけアクリルウレタン系樹脂が好ましい。紫外線硬化型樹脂には、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、たとえば紫外線重合性の官能基を有するもの、とりわけ当該官能基を2個以上、特に3~6個有するアクリル系のモノマーまたはオリゴマーを成分として含むものが挙げられる。
ハードコート層を形成するための溶液には、紫外線重合開始剤が配合されていることが好ましい。微粒子を含むハードコート層を形成するためには、硬化性樹脂に加えて上記の微粒子を含有する溶液を基材フィルム上に塗布することが好ましい。溶液中には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させてもよい。とりわけ後述する防眩性を有するハードコート層の形成においては、溶液中にチクソトロピー剤(粒子径0.1μm以下のシリカ、マイカ等)を含有させることにより、ハードコート層の表面において、突出粒子による微細凹凸構造を容易に形成することができる。
ハードコート層の厚みは特に限定されないが、高い硬度を実現するためには、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。塗布による形成の容易性を考慮すると、ハードコート層の厚みは15μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。フィルム基材の透湿度を高く維持するためにも、ハードコート層の厚みは上記範囲であることが好ましい。
ハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤のような添加剤を含有することもできる。
表面処理層が防眩層である場合、防眩層は、たとえば基材フィルム上に、微細な凹凸形状を形成した層であり、好ましくは、上述したハードコート層の材料を用いて形成される。
表面に微細な凹凸形状を有する防眩層は、1)基材フィルム上に微粒子を含有する塗膜を形成し、その微粒子に基づく凹凸を設ける方法、2)微粒子を含有するか、又は含有しない塗膜を基材フィルム上に形成した後、表面に凹凸形状が付与された金型(ロール等)に押し当てて凹凸形状を転写する方法(エンボス法とも呼ばれる)、等によって形成することができる。
上記1)の方法においては、硬化性透明樹脂と微粒子とを含む硬化性樹脂組成物を基材フィルム上に塗布し、紫外線等の光照射又は加熱によって塗布層を硬化させることにより防眩層を形成することができる。硬化性透明樹脂は、高硬度(ハードコート)となる材料から選定されることが好ましい。かかる硬化性透明樹脂としては、紫外線硬化性樹脂のような光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を用いることができるが、生産性や得られる防眩層の硬度等の観点から、光硬化性樹脂が好ましく使用され、より好ましくは紫外線硬化性樹脂である。光硬化性樹脂を使用する場合、硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含むことができる。
光硬化性樹脂としては、一般に多官能(メタ)アクリレートが用いられる。その具体例は、トリメチロールプロパンのジ-又はトリ-(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールのトリ-又はテトラ-(メタ)アクリレート;分子内に水酸基を少なくとも1個有する(メタ)アクリレートとジイソシアネートとの反応生成物である多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含む。これらの多官能(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で、又は必要に応じて2種以上組み合わせて用いることができる。
また、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、及び水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーの混合物を光硬化性樹脂とすることもできる。この光硬化性樹脂を構成する多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、並びにジイソシアネートを用いて製造される。具体的には、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとポリオールから、分子内に水酸基を少なくとも1個有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを調製し、これをジイソシアネートと反応させることにより、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。このようにして製造される多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、先に掲げた光硬化性樹脂自体ともなるものである。その製造にあたっては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ポリオール及び上記ジイソシアネートも同様に、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートの一つの原料となる(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸の鎖状又は環状アルキルエステルであることができる。その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート、及び、シクロヘキシル(メタ)アクリレートのようなシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートのもう一つの原料となるポリオールは、分子内に水酸基を少なくとも2個有する化合物である。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸のネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等を挙げることができる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートのさらにもう一つの原料となるジイソシアネートは、分子内に2個のイソシアナト基(-NCO)を有する化合物であり、芳香族、脂肪族又は脂環式の各種ジイソシアネートを用いることができる。具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらのうち芳香環を有するジイソシアネートの核水添物等を挙げることができる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとともに上記した光硬化性樹脂を構成するポリオール(メタ)アクリレートは、分子内に少なくとも2個の水酸基を有する化合物(すなわち、ポリオール)の(メタ)アクリレートである。その具体例としては、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリオール(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリオール(メタ)アクリレートは、好ましくは、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び/又はペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む。
さらに、これらの多官能ウレタン(メタ)アクリレート及びポリオール(メタ)アクリレートとともに光硬化性樹脂を構成する、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーは、一つの構成単位中に水酸基を2個以上含むアルキル基を有するものである。例えば、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを構成単位として含むポリマーや、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとともに、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを構成単位として含むポリマー等が挙げられる。
以上、例示したような(メタ)アクリル系の光硬化性樹脂を用いることにより、(メタ)アクリル系樹脂フィルムとの密着性が向上するとともに、機械的強度が向上し、表面の傷付きを効果的に防止できる防眩フィルムを得ることができる。
上記微粒子としては、平均粒径が0.5~5μmで、硬化後の光硬化性樹脂との屈折率差が0.02~0.2であるものを用いることが好ましい。平均粒径及び屈折率差がこの範囲内にある微粒子を用いることにより、効果的にヘイズを発現させることができる。この微粒子の平均粒径は、動的光散乱法等によって求めることができる。この場合の平均粒径は、重量平均粒径となる。
微粒子は有機微粒子又は無機微粒子であることができる。有機微粒子としては、一般に樹脂粒子が用いられ、例えば、架橋ポリ(メタ)アクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子等が挙げられる。また、無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ-シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等を用いることができる。
上記光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンゾインエーテル系、アミン系、ホスフィンオキサイド系等、各種のものを用いることができる。アセトフェノン系光重合開始剤に分類される化合物の例は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(別名ベンジルジメチルケタール)、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オンを含むことができる。ベンゾフェノン系光重合開始剤に分類される化合物の例は、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノンを含むことができる。ベンゾインエーテル系光重合開始剤に分類される化合物の例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルを含むことができる。アミン系光重合開始剤に分類される化合物の例は、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(別名ミヒラーズケトン)を含むことができる。ホスフィンオキサイド系光重合開始剤の例は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドを含むことができる。ほかに、キサントン系化合物やチオキサント系化合物等も、光重合開始剤として用いることができる。
これらの光重合開始剤は市販されている。代表的な市販品の例を商品名で挙げると、ドイツのBASF社から販売されている「イルガキュア907」、「イルガキュア184」、「ルシリンTPO」等がある。
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含むことができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルのような、硬化性樹脂組成物を構成する各成分を溶解し得る任意の有機溶剤を用いることができる。2種以上の有機溶剤を混合して用いることもできる。
また硬化性樹脂組成物は、レベリング剤を含有してもよく、例えば、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることができる。シリコーン系のレベリング剤には、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等がある。シリコーン系レベリング剤の中でも好ましいものは、反応性シリコーン及びシロキサン系のレベリング剤である。反応性シリコーンからなるレベリング剤を用いれば、防眩層表面に滑り性が付与され、優れた耐擦傷性を長期間持続させることができる。また、シロキサン系のレベリング剤を用いれば、膜成形性を向上させることができる。
一方、上記2)の方法(エンボス法)により微細表面凹凸形状を有する防眩層を形成する場合には、微細凹凸形状が形成された金型を用いて、金型の形状を(メタ)アクリル系樹脂フィルム上に形成された樹脂層に転写すればよい。エンボス法により微細表面凹凸形状を形成する場合、凹凸形状が転写される樹脂層は、微粒子を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。上記樹脂層を構成する樹脂は、好ましくは、上記1)の方法において例示したような光硬化性樹脂であり、より好ましくは紫外線硬化性樹脂である。ただし、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光重合開始剤を適宜選択することにより、紫外線より波長の長い可視光で硬化が可能な可視光硬化性樹脂を用いることもできる。
エンボス法では、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を(メタ)アクリル系樹脂フィルム上に塗布し、その塗布層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が塗布層に転写される。より具体的には、硬化性樹脂組成物を(メタ)アクリル系樹脂フィルム上に塗布し、塗布層を金型の凹凸面に密着させた状態で、(メタ)アクリル系樹脂フィルム側から紫外線等の光を照射して塗布層を硬化させ、次に、硬化後の塗布層(防眩層)を有する(メタ)アクリル系樹脂フィルムを金型から剥離することにより、金型の凹凸形状を防眩層に転写する。
防眩層の厚みは特に限定されないが、一般には2~30μmであり、好ましくは3μm以上、また好ましくは20μm以下である。防眩層が薄すぎると、十分な硬度が得られず、表面が傷付きやすくなる傾向にあり、一方で厚すぎると、割れやすくなったり、防眩層の硬化収縮によりフィルムがカールして生産性が低下したりする傾向にある。
防眩層を有する(メタ)アクリル系樹脂フィルムのヘイズ値は、5~50%の範囲にあることが好ましい。ヘイズ値が小さすぎると、十分な防眩性能が得られず、防眩層付き(メタ)アクリル系樹脂フィルムを備える偏光板を画像表示装置に適用したときに画面に外光の映り込みが生じやすくなる。一方、そのヘイズ値が大きすぎると、外光の映り込みは低減できるものの、黒表示の画面のしまりが低下してしまう。ヘイズ値は、全光線透過率に対する拡散透過率の割合であり、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準じて測定される。
表面処理層が反射防止層である場合、反射防止層は、たとえば基材フィルム上に、直接又はハードコート層等の他の層を介して設けられる。表面処理層が反射防止層である場合、第1光学フィルムとして、波長430~700nmの光に対する入射角5°での反射率が2%以下であることが好ましく、波長550nmの光に対する同じ入射角での反射率が1%以下であることがより好ましい。
反射防止層の厚みは、0.01~1μm程度とすることができ、好ましくは0.02~0.5μmである。反射防止層は、それが設けられる基材フィルムの屈折率よりも小さい屈折率、具体的には1.30~1.45の屈折率を有する低屈折率層からなるもの、無機化合物からなる薄膜の低屈折率層と無機化合物からなる薄膜の高屈折率層とを交互に複数積層したもの等であることができる。
上記の低屈折率層を形成する材料は、屈折率の小さいものであれば特に制限されない。例えば、紫外線硬化性(メタ)アクリル樹脂のような樹脂材料;樹脂中にコロイダルシリカのような無機微粒子を分散させたハイブリッド材料;アルコキシシランを含むゾル-ゲル材料等を挙げることができる。このような低屈折率層は、重合済みのポリマーを塗布することによって形成してもよいし、前駆体であるモノマー又はオリゴマーの状態で塗布し、その後重合硬化させることによって形成してもよい。また、それぞれの材料は、防汚性を付与するために、分子内にフッ素原子を有する化合物を含むことが好ましい。
低屈折率層を形成するためのゾル-ゲル材料としては、分子内にフッ素原子を有するものが好適に用いられる。分子内にフッ素原子を有するゾル-ゲル材料の典型的な例を挙げると、ポリフルオロアルキルアルコキシシランがある。ポリフルオロアルキルアルコキシシランは、例えば、下記式:
CF3(CF2nCH2CH2Si(OR)3
で示される化合物であることができる。ここでRは炭素数1~5のアルキル基を表し、nは0~12の整数を表す。中でも、上記式中のnが2~6である化合物が好ましい。
ポリフルオロアルキルアルコキシシランの具体例として、次のような化合物を挙げることができる。
3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3-トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等。
低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物又は活性エネルギー線硬化性含フッ素化合物の硬化物で構成することもできる。この硬化物は、その動摩擦係数が0.03~0.15の範囲内にあることが好ましく、水に対する接触角が90~120°の範囲内にあることが好ましい。硬化性含フッ素化合物として、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、上記した3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン等)のほか、架橋性官能基を有する含フッ素重合体を挙げることができる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体は、1)フッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合させる方法、又は、2)フッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合させ、次いで重合体中の上記官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させる方法によって製造することができる。
上記フッ素含有モノマーとしては、例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールのようなフルオロオレフィン類;(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類;(メタ)アクリル酸の完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。
上記架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのようなグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸やメタクリル酸のようなカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレートやヒドロキシアルキルメタクリレートのような水酸基を有するモノマー;アリルアクリレートやアリルメタクリレートのようなアルケニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマーが挙げられる。
低屈折率層を形成するための材料は、耐擦傷性を向上させ得ることから、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の無機化合物微粒子がアルコール溶媒に分散しているゾルが含まれるもので構成することもできる。このために用いる無機化合物微粒子は、反射防止性の観点から屈折率の小さいものほど好ましい。この無機化合物微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカの中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5~2000nmの範囲内にあることが好ましく、とりわけ20~100nmの範囲内にあることがより好ましい。ここでいう平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
iii) フィルム保持切断部および連結材貼合部
上記製造システムにおいて、フィルム保持切断部および連結材貼合部は、第1巻出部から巻出された第1光学フィルムおよび第2巻出部から巻出された第2光学フィルムの搬送位置を介在して配置される。換言すると、フィルム保持切断部および連結材貼合部の間に、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが搬送されるように、フィルム保持切断部および連結材貼合部が配置される。さらにフィルム保持切断部は、第1光学フィルムに対向するように配置される。連結材貼合部は、フィルム保持切断部よりも巻き出し側にて第2光学フィルムに対向するように配置される。
フィルム保持切断部は、フィルム保持部および切断機を備えている。切断機は後述する刃を備えている。フィルム保持部は、第1光学フィルムと対向する位置に吸着機構を備える。さらにフィルム保持部は、溝状の開口を有する。吸着機構は、第1光学フィルムを吸着することができれば特に限定されるものではなく、たとえばポンプによって空気を吸引し、第1光学フィルムを吸着する構成を採用することができる。フィルム保持部おいて吸着機は、開口が形成された面と同じ面に備えることができる。フィルム保持部は、開口が第1光学フィルムの幅方向(第1光学フィルムのTD方向)と平行となるように形成されている。切断機は、刃を有し、この刃がフィルム保持部に形成された開口に沿って移動することにより2枚重ねた第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを切断することが可能である。上述のようにフィルム保持部の開口は、第1光学フィルムの幅方向(第1光学フィルムのTD方向)と平行となるように形成されているので、切断機の刃は、2枚重ねた第1光学フィルムおよび第2光学フィルムが搬送される方向に対して垂直方向に、これを切断することができる。つまり上記切断工程において、切断機7の刃は、光学フィルムをTD方向に切断することが好ましい。
連結材貼合部は、一対の吸着部およびこの一対の吸着部の間に介在するように配置される連結材保持部を備える。連結材保持部は、片面粘着テープ(連結材)を、たとえば吸着することにより保持することができる。一対の吸着部は第2光学フィルムを吸着または脱着する吸着機構を備えている。上記吸着部が有する吸着機構は、フィルム保持部が有する吸着機構と同じであってもよく、異なっていてもよい。ここで本明細書において「脱着」とは、吸着していない状態とすることを意味する。連結材貼合部は、第2光学フィルムに対して移動可能である。とりわけ吸着部および連結材保持部はそれぞれ単独で移動可能である。
(連結工程)
上記製造システムにおいては、上述したように第1巻出部および第2巻出部から、それぞれ第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを巻出す巻出工程と、第1光学フィルムおよび第2光学フィルム同士を連結する連結工程が少なくとも適用される。上記連結工程は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを2枚重ねた状態で切断する切断工程と、上記切断工程によって切断された第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを片面粘着テープによって貼合する貼合工程とを含む。上記製造システムによれば、上記巻出工程において第1光学フィルムが巻き出された後、原反ロールにおける第1光学フィルムの残量が減少したことが確認された場合に、上記の切断工程および貼合工程を含む連結工程が実行される。
-切断工程-
上記切断工程においては、まず第1光学フィルムの搬送速度を0m/minとする。その後、フィルム保持切断部のフィルム保持部を第1光学フィルムのライン方向(MD方向)に対し垂直方向に移動させる。さらに、第1光学フィルムの表面処理層側をフィルム保持部の吸着機構で吸着する。一方、第2光学フィルムの一端をフィルム固定板に固定するとともに、第2光学フィルムへ向けて連結材貼合部の吸着部を移動させることにより、第2光学フィルムの基材フィルム側を吸着部の吸着機構で吸着して保持する。フィルム固定板は、第2光学フィルムを保持する板材であり、補充用の第2光学フィルムの一端を保持するために使用される。
次に、連結材貼合部の吸着部を第1光学フィルムへ向けて移動させることにより、第1光学フィルムと第2光学フィルムとを2枚重ねとする。続いて第1巻出部および第2巻出部を用いて第1光学フィルムおよび第2光学フィルムへ加えられる張力をそれぞれ所定値に調整する。この状態で、開口に沿って切断機の刃を移動させることにより、2枚重ねにした第1光学フィルムと第2光学フィルムを切断する切断工程を実行する。
図1は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する切断工程に関し、2枚の光学フィルムのうち下側に配置された光学フィルムである第1光学フィルムの表面処理層に、刃が先に接触する様子を説明する説明図である。図2は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する切断工程に関し、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの両者を刃が切断する様子を説明する説明図である。
上記切断工程において、上述したように2枚重ねにした第1光学フィルム10および第2光学フィルム20は、フィルム保持部の吸着機構によって第1光学フィルム10の表面処理層10b側が吸着され、かつ連結材貼合部の吸着部によって第2光学フィルム20の基材フィルム20a側が吸着される状態となる。このため図1に示すように、第1光学フィルム10と第2光学フィルム20とは、片側(図1において下側)に表面処理層10b,20bを有し、かつ表面処理層10b,20bが同じ側に配置されるようにして重ねられている。さらに上記切断工程において、切断機の刃70は、2枚重ねた第1光学フィルム10と第2光学フィルム20のうち、第1光学フィルム10の表面処理層10bに先ず接触する。続いて図2に示すように切断機の刃70は、その後2枚重ねた第1光学フィルム10と第2光学フィルム20との両者を切断する。
具体的には、上記切断工程において刃70は、その刃先71と光学フィルム(第1光学フィルム10および第2光学フィルム20)の表面とのなす角θを100°以上170°以下として、2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20のうち第1光学フィルム10の表面処理層10bに先ず接触し、その後2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断する。刃先71と第1光学フィルム10および第2光学フィルム20の表面とのなす角θは、130°以上150°以下とすることが好ましい。
さらに刃70は、100mm/秒以上2000mm/秒以下の速度で2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断することが好ましい。刃70は、200mm/秒以上1300mm/秒以下の速度で2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断することがより好ましく、300mm/秒以上1150mm/秒以下の速度で2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断することがさらにより好ましく、400mm/秒以上1000mm/秒以下の速度で2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断することが最も好ましい。
上記切断工程においては、刃70が2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断する空間の幅は、10mm以内であることが好ましい。たとえば上記製造システムにおいてフィルム保持切断部の開口の幅を10mm以内とすることにより、第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断する刃70の空間の幅を10mm以内とすることができる。上記空間の幅は、5mm以内であることが好ましい。
2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20の張力については、第1巻出部および第2巻出部の巻出し動作によってそれぞれ調整することができる。これにより、2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20うち刃70と先に接触する第1光学フィルム10の張力を、第2光学フィルム20の張力と比較して同じまたは低くすることができる。さらに第1巻出部および第2巻出部の巻出し動作によって調整されることにより、第1光学フィルムの張力は、0N/m超過90N/m以下であることができ、第2光学フィルムの張力は、0N/m超過150N/m未満であることができる。第1光学フィルムの張力は、0N/m超過50N/m以下であることが好ましく、0N/m超過40N/m以下であることがより好ましい。第2光学フィルムの張力は、10N/m以上100N/m以下であることが好ましく、10N/m以上75N/m以下であることがより好ましい。第2光学フィルムの張力が150N/m以上である場合、2枚重ねにした裁断途中の第2光学フィルムの張力が高いことにより、当該第2光学フィルムに欠けまたは破断が生じやすい傾向がある。第1光学フィルム10の張力を、第2光学フィルム20の張力と比較して同じまたは低くすることにより、第2光学フィルム20の張力によって第1光学フィルムを保持することが可能となるため、2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20全体の張力を低く抑えることができる。これにより2枚重ねた第1光学フィルム10および第2光学フィルム20全体の欠けおよび破断も防ぐことが可能となる。
-貼合工程-
上記貼合工程では、2枚重ねにした第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を切断した後、まず巻出部方向の第1光学フィルム10を吸着するフィルム保持部の吸着機構の吸着を解除する。これにより、第1光学フィルム10(つまり第1光学フィルム10の最末端部)のみをフィルム保持部から脱着する。さらにライン方向の第2光学フィルム20を吸着する連結材貼合部の吸着機構の吸着を解除する。これにより、この第2光学フィルム20(つまり第2光学フィルム20の最先端側)のみを連結材貼合部の吸着部から脱着する。もってライン方向の第1光学フィルム10と、巻出部方向の第2光学フィルム20とを互いの切断面が対向した状態とすることができる。
次に連結材貼合部の連結材保持部を、対向した状態のライン方向の第1光学フィルム10および巻出部方向の第2光学フィルム20の方向へ移動させ、続いて、それらの切断線を跨ぐように片面粘着テープを貼合し、連結する。さらにフィルム保持切断部のフィルム保持部および連結材貼合部の連結材保持部を、片面粘着テープで連結された第1光学フィルム10および第2光学フィルム20から離す。
片面粘着テープは、第1光学フィルム10および第2光学フィルム20同士を貼合できればよく、公知の片面粘着テープを用いることができる。たとえばテープのフィルム材料としては、ポリエチレンテレフタラートフィルム(PETフィルム)、セルロース、和紙、アルミ、不織布、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリアミドなどを挙げることができ、粘着層に用いられる粘着剤としては、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、合成ゴム系、EVA系、シリコーン系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、イソシアネート系、ポリビニルアルコール系、メラミン樹脂系などの粘着剤を挙げることができる。
最後に、片面粘着テープによって連結された第1光学フィルム10および第2光学フィルム20を、ライン方向へ第2巻出部で巻出す。これにより光学フィルムの搬送を再開することができる。
〔製造システムの巻出部の動作〕
上記のように、本発明に係る光学フィルムの製造方法が適用される製造システムは、連結機構によって2つの巻出部(第1巻出部および第2巻出部)から巻出される光学フィルム同士を連結することができる。以下、各巻出部の動作および光学フィルムの連結の順序について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る光学フィルムの製造方法を示すフローチャートである。なお図3においては、光学表示装置に用いる光学フィルムの製造方法を例示して説明している。
製造システムは、第1巻出部1および第2巻出部1aに原反ロールが設置された状態にて運転が開始される(図3のSTART)。まず第1巻出部1から第1光学フィルムが巻出される(図3のS1:第1巻出工程)。次いで光学表示装置の製造が行われ、原反ロールに巻回された第1光学フィルムの残量が尽きかけた際、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの連結が行われる(図3のS2:第1連結工程)。その後、第2巻出部1aから第2光学フィルムが巻出され(図3のS3:第2巻出工程)、光学表示装置の製造が継続される。
上記S3の間、第1巻出部1に新たな原反ロールを交換するため、S4~S6として第1交換工程がなされる。始めに、第1巻出部1を巻出し側に回転させ、第1光学フィルムをライン側から巻出し側になるように移動させる(図3のS4)。次に、第1巻出部1の原反ロールを新たな原反ロールに交換する(図3のS5)。交換後、第1巻出部1を新たな原反ロールの巻芯方向に回転させる(図3のS6)。これにより第1巻出部1を元の位置に戻すことができる。
次に、上記S3において巻出された原反ロールに巻回された第2光学フィルムの残量が尽きかけた際に、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの連結が行われる(図3のS7:第2連結工程)。その際、第1巻出部1から新たな原反ロールに巻回された第1光学フィルムが巻き出され(図3のS8:第3巻出工程)、光学表示装置の製造が継続される。
上記S8の間、第2巻出部1aに新たな原反ロールを交換するため、S9~S11として第2交換工程がなされる。始めに、第2巻出部1aを巻出し側に回転させ、第2光学フィルムをライン側から巻出し側になるように移動させる(図3のS9)。次に、第2巻出部1aの原反ロールを新たな原反ロールに交換する(図3のS10)。交換後、第2巻出部1aを新たな原反ロールの巻芯方向に回転させる(図3のS11)。これにより第2巻出部1aを元の位置に戻すことができる。以上、巻出部の一連の動作について説明したが、S11からS1に戻り、光学表示装置の製造を継続することももちろん可能である。
上述した製造方法では、S3とS4~S6とを並行して行うと共に、S8とS9~S11とを並行して行うことにより、光学フィルムを巻出している間に、補充用の光学フィルムの原反ロールを交換することができる。これにより光学フィルム同士の連結を速やかに行うことができる。したがって、製造システムを停止させる時間を抑制でき、短いタクトタイムにて光学表示装置等を製造することが可能である。
〔偏光板の製造方法〕
本実施形態に係る偏光板の製造方法は、上記光学フィルムの製造方法により光学フィルムを得る工程と、光学フィルムと偏光フィルムとを積層する工程とを含む。光学フィルムは、表面処理層が、偏光フィルム側とは反対側を向くように積層されることができる。光学フィルムと偏光フィルムとは、粘着剤層又は接着剤層を介して積層することができる。本実施形態に係る偏光板の製造方法においては、偏光フィルムとして公知のあらゆる偏光フィルムを用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔光学フィルムの準備〕
第1光学フィルムおよび第2光学フィルムとして、次の光学フィルムを準備した。すなわち、厚み60μmのアクリル樹脂からなる基材フィルム上に、厚み3.5μmのアクリル系樹脂からなる防眩層を表面処理層として配置した光学フィルム(商品名:「60SAT15」、株式会社トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム製)を準備した。当該光学フィルムの厚みは、64μmであった。さらに上記光学フィルムを長さ500mm×幅200mmのサイズに切断し、上記光学フィルムのフィルム片を必要数、準備した。
〔切断装置の準備〕
上述した製造システムにおける連結機構のとりわけフィルム保持切断部を模擬することを目的とし、2枚重ねた光学フィルムを切断するための切断装置を次のように構築することにより準備した。この切断装置は、切断装置本体、アルミニウム製パイプ、荷重およびカッターからなる。
まず長さ150mm×幅200mm×高さ50mmサイズのアルミニウム製筐体を2つ準備するとともに、当該2つの筐体を長さ方向に5mmの隙間を空け、かつ幅方向に対向させるように並べることにより切断装置本体を構築した。当該切断装置本体のサイズは、上記の5mmの隙間を含めた長さが305mmであり、幅が200mmであり、高さが50mmである。上記切断装置本体の上記隙間を介在させた上面の2箇所に、上記フィルム片を配置したときにそれ自体が動くのを防止するための固定材(フィルム固定用ゴム材)を貼合した。
さらに上記フィルム片を上記切断装置本体に適用する際に、上記フィルム片の長さ方向端部に取付けるアルミニウム製パイプ(直径7mm、長さ300mm)、および当該アルミニウム製パイプに取付ける荷重をそれぞれ準備した。上記フィルム片を切断するカッター(商品名(品番):「FBC011018G-0.25T」、京セラ株式会社製)も準備した。
〔切断試験〕
<参考例1>
1枚の上記フィルム片(以下、便宜的に「第1光学フィルム」と記す)を、その表面処理層が切断装置本体と接するようにして上記切断装置本体の上面に配置するとともに、上記第1光学フィルムの長さ方向(MD方向)の一方の端部を公知の粘着テープ(たとえばセロハンテープ)を用いて上記切断装置本体に固定した。その際、上記第1光学フィルムの長さ方向と上記切断装置本体の長さ方向とを平行とし、かつ上記第1光学フィルムの幅方向のすべてが上記切断装置本体上に配置されるようにした。次いで、上記第1光学フィルムの長さ方向(MD方向)の他方の端部にアルミニウム製パイプを取付けた。ただし、当該アルミニウム製パイプに荷重を取付けなかった。したがって第1光学フィルムの張力は、0N/mであった。
別の1枚の上記フィルム片(以下、便宜的に「第2光学フィルム」と記す)を、その表面処理層が第1光学フィルムと接する側となるようにして上記切断装置本体の上面に存する上記第1光学フィルム上に配置するとともに、上記第2光学フィルムの長さ方向(MD方向)の一方の端部を公知の粘着テープを用いて上記第1光学フィルム上に固定した。その際、上記第2光学フィルムの長さ方向と上記第1光学フィルムの長さ方向とを平行とし、かつ第2光学フィルムの幅方向のすべてが第1光学フィルム上に配置されるようにした。次いで、上記第2光学フィルムの長さ方向(MD方向)の他方の端部にアルミニウム製パイプを取付けた。ただし、当該アルミニウム製パイプに荷重を取付けなかった。したがって第2光学フィルムの張力は、0N/mであった。以上により、上記切断装置本体上に、片側に表面処理層を有し、かつ上記表面処理層が同じ側に配置されるように重ねられている2枚の光学フィルムを配置した。
次に上記カッターを用い、上記切断装置本体上で2枚重ねとされた第1光学フィルムおよび第2光学フィルムに対し、その長さ方向(MD方向)に対して垂直となる幅方向(TD方向)に切断した。このとき上記カッターの刃は、第1光学フィルムの表面処理層に先ず接触し、その後、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの両者を切断した。上記カッターの刃先と2枚重ねた第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの表面とのなす角は135°であり、上記カッターによる切断速度は、700mm/秒であった。
<実施例1>
上記アルミニウム製パイプに取付ける荷重を調整することにより、第1光学フィルムの張力を10N/mとし、第2光学フィルムの張力を100N/mとしたこと以外、参考例1と同じ要領により実施例1の切断試験を実行した。
<実施例2>
上記アルミニウム製パイプに取付ける荷重を調整することにより、第1光学フィルムの張力を50N/mとし、第2光学フィルムの張力を50N/mとしたこと以外、参考例1と同じ要領により実施例2の切断試験を実行した。
<実施例3>
上記アルミニウム製パイプに取付ける荷重を調整することにより、第1光学フィルムの張力を50N/mとし、第2光学フィルムの張力を100N/mとしたこと以外、参考例1と同じ要領により実施例3の切断試験を実行した。
<比較例1>
上記アルミニウム製パイプに取付ける荷重を調整することにより、第1光学フィルムの張力を100N/mとし、第2光学フィルムの張力を0N/mとしたこと以外、参考例1と同じ要領により比較例1の切断試験を実行した。
<比較例2>
上記アルミニウム製パイプに取付ける荷重を調整することにより、第1光学フィルムの張力を100N/mとし、第2光学フィルムの張力を100N/mとしたこと以外、参考例1と同じ要領により比較例1の切断試験を実行した。
<比較例3>
上記アルミニウム製パイプに取付ける荷重を調整することにより、第1光学フィルムの張力を50N/mとし、第2光学フィルムの張力を150N/mとしたこと以外、参考例1と同じ要領により比較例3の切断試験を実行した。
〔評価〕
2枚重ねた第1光学フィルムおよび第2光学フィルムそれぞれの切断面を目視評価することにより、クラックの発生の有無およびクラックが発生していた場合に、その長さ(最大値)を求め、以下の基準によりA~Dランクで評価した。Bランクまでが、許容可能なクラックの長さである。
A:クラック長さ0.2mm未満
B:クラック長さ0.2mm以上0.3mm未満
C:クラック長さ0.3mm以上0.4mm未満
D:クラック長さ0.4mm以上。
上述した参考例1、実施例1~実施例3および比較例1~比較例3における第1光学フィルムおよび第2光学フィルムの張力、ならびにこれらの光学フィルムの切断面におけるクラック長さ(最大値)に関するランクの一覧を、表1に示す。
Figure 2024011326000002
表1によれば、実施例1~実施例3は、比較例1~比較例3に比べ、光学フィルムの切断面におけるクラックの発生およびその長さが抑制される傾向があることが理解される。なお参考例1は、第1光学フィルムおよび第2光学フィルムに張力が発生しない状況にて、2枚重ねた光学フィルムを切断した例であり、光学フィルム同士を連結する機構を備えるシステムにおける光学フィルムの切断工程としては、現実的にはあり得ない態様である。以上から、片側に表面処理層を有し、かつ上記表面処理層が同じ側に配置されるように重ねられた2枚の光学フィルムに対しては、2枚重ねた光学フィルムのうち刃と先に接触する第1光学フィルムの張力を、第2光学フィルムの張力と比較して同じまたは低くし、かつ第1光学フィルムの張力を、0N/m超過90N/m以下とし、第2光学フィルムの張力を、0N/m超過150N/m未満とすることにより、破損することなく切断可能となり、もって作業効率よく光学フィルムを連結することができることが理解される。
1 第1巻出部、1a 第2巻出部、10 第1光学フィルム、20 第2光学フィルム、10a,20a 基材フィルム、10a,20b 表面処理層、70 刃、71 刃先、S1 第1巻出工程、S2 第1連結工程、S3 第2巻出工程、S4 第1移動工程、S5 第1交換工程、S6 第2移動工程、S7 第2連結工程、S8 第3巻出工程、S9 第3移動工程、S10 第2交換工程、S11 第4移動工程。

Claims (7)

  1. 第1光学フィルムおよび第2光学フィルムを重ねて刃で切断する工程を含み、
    前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムは、片側に表面処理層を有し、かつ前記表面処理層が同じ側に配置されるように重ねられており、
    前記工程において、
    前記刃は、その刃先と前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムの表面とのなす角を100°以上170°以下として、前記第1光学フィルムの前記表面処理層に先ず接触し、その後、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムを切断し、
    前記第1光学フィルムの張力は、前記第2光学フィルムの張力と比較して同じまたは低く、かつ
    前記第1光学フィルムの張力は、0N/m超過90N/m以下であり、
    前記第2光学フィルムの張力は、0N/m超過150N/m未満である、光学フィルムの製造方法。
  2. 前記工程において、
    前記第1光学フィルムの張力は、0N/m超過50N/m以下であり、
    前記第2光学フィルムの張力は、10N/m以上100N/m以下である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムは、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルムである、請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記工程において、
    前記刃は、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムをTD方向に切断する、請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記工程において、
    前記刃は、100mm/秒以上2000mm/秒以下の速度で前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムを切断する、請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記工程において、
    前記刃が前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムを切断する空間の幅は、10mm以内である、請求項1または請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項1または請求項2に記載された光学フィルムの製造方法により光学フィルムを得る工程と、
    前記光学フィルムと偏光フィルムとを積層する工程とを含む、偏光板の製造方法。
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