JP6076806B2 - 時間管理システムを有する生分解性プラスチックを利用したラップネットの使用方法 - Google Patents

時間管理システムを有する生分解性プラスチックを利用したラップネットの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、農畜産業で使用されるラップネットに関するものであり、特に、干草や藁などの牧草をロールベールとして保管する際に使用されるラップネットの使用方法に関するものである。
従来から、畜産業においては、夏から秋にかけて収穫した干草や藁などの牧草を乾燥させた乾牧草や、この乾牧草を乳酸発酵させたサイレージを家畜の冬用飼料として保管・活用している。干草や藁などを乾牧草やサイレージにする際には、まず、ロールベーダー装置で干草や藁などをロール状に巻込み、円柱形に成形してロールベールを形成する。次に、このロールベールの形状が崩れないように、ラップネットなどで被覆して数日間放置する。その後、適度な乾燥状態となったロールベールに対して、ラップネットの上からラップフィルムを用いて厳重に被覆して運搬・保管する。
このようにして保管した牧草を飼料として使用する際には、ラップネット及びラップフィルムを除去し、攪拌機を用いて牧草を食べやすい状態の飼料とする。この際、除去されたラップネット及びラップフィルムは、産業廃棄物として処分されている。
このように、ラップネットは、ロールベールの崩れを防止すると共に、通気性が高く牧草の乾燥に最適な資材である。一方、ラップフィルムは、牧草への空気や水分の浸入を防止すると共に、ロールベールの強度を向上させる最適な資材である。このようなラップネットとラップフィルムの使用方法は、牧草の運搬・保管に適切であり、北海道をはじめ全国で普及し始めている。
下記特許文献1或いは下記特許文献2などに示されるラッピングマシンは、ラップフィルムによるロールベールのラッピングを自動で効率良く行うための装置である。一方、ラップネットによるラッピングにおいても、これらのラッピングマシンが使用される。
特開平6−70631号公報 特許第3801618号
ところで、上記特許文献1或いは上記特許文献2などのラッピングマシンで使用されるラップネットやラップフィルムには、ポリエチレンなどの汎用合成樹脂が使用されている。また、ラップネットには、例えば、経済性などの点から、ポリエチレンフィルムを細長く裁断したスリットヤーンが使用されている。このスリットヤーンは、ラップネットの物性(特に強度)を維持するため延伸された高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムから形成されており、そのためラップネットの伸度は非常に小さなものである。
実際の作業において、ロールベールにラップネットやラップフィルムをラッピングする際には、ラッピングマシンで大きな張力をかけてラッピングする。従って、ラップネット及びラップフィルムによりラッピングされたロールベールの外周には、大きな張力が掛かっており硬くしっかりと固定されている。
このように、運搬・保管に有効なラップネットとラップフィルムによるラッピングであっても、その後にロールベールを飼料として利用する際には、ラップネット及びラップフィルムを切断・除去して牧草を解きほぐす作業を行う。その際に、ラップフィルムは、シート状であり扱い易く除去作業は容易である。これに対して、ラップネットは、伸度が小さなスリットヤーンが大きな張力で何本も重なってロールベールに巻き付いており、除去作業が難しいという問題があった。
例えば、ラップフィルムを除去した後のロールベールからラップネットを切断除去する際には強い力が必要であり、作業者が誤って刃物により身体を傷つけるという事故が多発している。また、ラップネットの切り残しを牧草の攪拌時に発見し、これを取り除こうとした作業者が機械に挟まれるという事故も発生している。
また、ラップネットの除去作業の難しさから、除去したラップネットの一部が家畜用飼料の中に混入するという問題があった。このように、家畜用飼料の中にラップネットの一部が混入すると、家畜が飼料と一緒に合成樹脂製のラップネットを食べてしまい、家畜が病気になり、或いは、死んでしまうという問題があった。
更に、除去したラップネット及びラップフィルムを産業廃棄物として処分しなければならず、その労力と処理コストが大きいという問題があった。そこで、これらのラップネット及びラップフィルムを生分解性プラスチックで構成し、除去後のラップネットやラップフィルムを土中に埋設して自然分解を図るという提案がなされている。
一般に、生分解性プラスチックの分解には相当の時間を要する。また、ロールベールに巻かれたラップネットの上からラップフィルムが被覆されているので、ロールベールの内側ではラップネットやラップフィルムの生分解が始まる。その結果、生分解性プラスチックで構成されたラップフィルムの強度が低下し、ロールベールの運搬・保管に問題が生じる。一方、不十分に生分解したラップネットは、より除去し難くなりラップネットの一部が家畜用飼料の中に多く混入することとなる。
そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、運搬・保管に有効なラップネット及びラップフィルムによるラッピングのメリットを維持し、且つ、保管中のロールベールの内部でラップネットが十分に生分解することにより、ラップネットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料に混入した場合でも、家畜に影響の少ないラップネットの使用方法を提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、ラップネットの素材として生分解性プラスチックを採用し、その生分解を促進する微生物又は酵素の利用法を工夫することにより上記目的を達成できることを見出し本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係るラップネットの使用方法は、請求項1の記載によると、
生分解性プラスチックからなる糸条で編成したラップネット、及び、当該生分解性プラスチックとは異なるプラスチックからなるラップフィルムを準備し、
前記ラップフィルムの少なくとも一方の表面に前記生分解性プラスチックの生分解を促進する微生物又は酵素を付着させておき、
まず、飼料用ロールベールに前記ラップネットを被覆し、その後、当該飼料用ロールベールに対して前記ラップネットの上から当該ラップネットに前記微生物又は酵素が付着した面を接触するようにして前記ラップフィルムを被覆することにより、
前記微生物又は酵素が前記ラップネットの生分解に作用して、当該ラップネットの分解時間を促進することができる。
また、本発明は、請求項2の記載によると、請求項1に記載のラップネットの使用方法であって、
前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)系、ポリ乳酸(PLA)系の群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリエステル系プラスチックであることを特徴とする。
また、本発明は、請求項3の記載によると、請求項2に記載のラップネットの使用方法であって、
前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)であって、当該生分解性プラスチックの生分解を促進する前記微生物は、Pseudozyma antarcticaであることを特徴とする。
また、本発明は、請求項4の記載によると、請求項2に記載のラップネットの使用方法であって、
前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)であって、当該生分解性プラスチックの生分解を促進する前記酵素は、Pseudozyma antarcticaを起源とする酵素であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項5の記載によると、請求項2に記載のラップネットの使用方法であって、
前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)であって、当該生分解性プラスチックの生分解を促進する前記酵素は、リパーゼ又はエステラーゼであることを特徴とする。
また、本発明は、請求項6の記載によると、請求項1〜5のいずれか1つに記載のラップネットの使用方法であって、
前記ラップフィルムの少なくとも一方の表面に前記微生物又は酵素を内包したマイクロカプセルを担持しておき、
前記飼料用ロールベールを被覆した前記ラップネットの上から前記マイクロカプセルを担持した面を接触させるようにして前記ラップフィルムを被覆することにより、
被覆時の圧力又は摩擦により前記マイクロカプセルが破壊されて内包されている前記微生物又は酵素が放出されて前記ラップネットに接触することとなり、当該ラップネットを構成する前記生分解性プラスチックの生分解の分解時間を促進することを特徴とする。
また、本発明は、請求項5の記載によると、請求項1〜5のいずれか1つに記載のラップネットの使用方法であって、
前記ラップフィルムの少なくとも一方の表面に前記微生物又は酵素を把持する程度の微細な凹凸を付けておき、当該凹凸部位に前記微生物又は酵素を担持しておき、
前記飼料用ロールベールを被覆した前記ラップネットの上から前記微生物又は酵素を担持した面を接触させるようにして前記ラップフィルムを被覆することにより、
被覆時の圧力又は摩擦により前記凹凸部位に担持された前記微生物又は酵素が放出されて前記ラップネットに接触することとなり、当該ラップネットを構成する前記生分解性プラスチックの生分解の分解時間を促進することを特徴とする。
上記構成によれば、本発明に係るラップネットの使用方法は、ラップネットを生分解性プラスチックからなる糸条で編成する。これに対して、ラップフィルムには、ラップネットとは異なるプラスチックを使用する。ここで、ラップフィルムに使用するプラスチックは、特に生分解性プラスチックであることを要しない。次に、ラップネットに使用する生分解性プラスチックの生分解を促進する微生物又は酵素をこの微生物又は酵素では生分解しないラップフィルムの方に付着させておく。
これらのことより、ラップフィルムは、微生物又は酵素が付着していても生分解することがなく、使用前の保管が容易である。一方、ラップフィルムも使用前には微生物又は酵素が付着しておらず、保管中に生分解が促進されることがない。よって、これらのラップネット及びラップフィルムを使用したロールベールのラッピング作業は、運搬・保管に有効な従来のラッピングのメリットを維持している。
この状態で、飼料用ロールベールにラップネットを被覆する。その後、飼料用ロールベールに対してラップネットの上から微生物又は酵素の付着したラップフィルムを被覆する。このことにより、初めて微生物又は酵素がラップネットに接触し、ラップネットの生分解が進み、微生物又は酵素の作用で分解時間が促進される。
このことにより、保管中のロールベールの内部でラップネットが十分に生分解される。その結果、ラップネットの除去作業が容易になり、作業者が身体を傷つけるという事故が発生することがない。また、ラップネットの残渣が飼料に混入した場合でも、ラップネットは十分に生分解されており、家畜に影響が出ることがない。
また、上記構成によれば、本発明に係るラップネットに使用する生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)系、ポリ乳酸(PLA)系の群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリエステル系プラスチックであってもよい。
更に、生分解性プラスチックがポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)である場合には、その生分解を促進する微生物として、Pseudozyma antarcticaを採用するようにしてもよい。また、その生分解を促進する酵素として、Pseudozyma antarcticaを起源とする酵素を採用するようにしてもよい。更に、その生分解を促進する酵素としてリパーゼ、又は、エステラーゼを採用するようにしてもよい。これらのことにより、保管中のロールベールの内部におけるラップネットの生分解がより促進されるようになる。
また、上記構成によれば、ラップフィルムの表面に微生物又は酵素を付着する方法として、微生物又は酵素を内包したマイクロカプセルをラップフィルムの表面に担持するようにしてもよい。この場合には、ロールベールを被覆したラップネットの上からマイクロカプセルを担持した面を接触させるようにしてラップフィルムを被覆する。その結果、ラップフィルムとラップネットとが擦られてマイクロカプセルに圧力が掛かり破壊され、内包されている微生物又は酵素が放出されてラップネットに接触する。このことにより、ラップネットの生分解が促進されるようになる。
また、上記構成によれば、ラップフィルムの表面に微生物又は酵素を付着する方法として、ラップフィルムの表面に微生物又は酵素を把持する程度の微細な凹凸を付け、この凹凸部位に微生物又は酵素を担持するようにしてもよい。この場合には、ロールベールを被覆したラップネットの上から微生物又は酵素を担持した面を接触させるようにしてラップフィルムを被覆する。その結果、ラップフィルムとラップネットとが擦られて凹凸部位に担持された微生物又は酵素が放出されてラップネットに接触する。このことにより、ラップネットの生分解が促進されるようになる。
よって、本発明によれば、運搬・保管に有効なラップネット及びラップフィルムによるラッピングのメリットを維持し、且つ、保管中のロールベールの内部でラップネットが十分に生分解することにより、ラップネットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料に混入した場合でも、家畜に影響の少ないラップネットの使用方法を提供することができる。
本発明に係るラップネットの一実施形態の編組織を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用するラップフィルムは、生分解性プラスチックからなるラップネットの素材(後述する)とは異なる素材を使用することが必要である。それ以外については特に限定するものではなく、一般にフィルムとして使用され、且つ、汎用性のあるプラスチックを使用することが好ましい。例えば、ポリアミド、ポリエステル、アクリル系、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル系、エチレン−酢酸ビニル共重合物などが挙げられる。
特に、本発明に使用するラップフィルムには、ロールベールのラッピングに従来から使用されているものを使用すればよく、物性(特に強度)及び経済性の点から農畜産分野でよく使用される高密度ポリエチレン(HDPE)などを使用すればよい。このラップフィルムの強度や伸度などの規格、及び、ラッピングマシンによるラッピング条件については従来と同様である。なお、このラップフィルムの表面に微生物又は酵素を担持する方法については後述する。
一方、本発明に使用するラップネットは、生分解性プラスチックからなる糸条で編成する。本発明において、生分解性プラスチックとは、使用中は従来のプラスチックと同程度の物性・機能を保ちながら、使用後に廃棄された場合に自然界に存在する微生物の働きによって容易に低分子化合物に分解され、その後も徐々に分解されていくプラスチックをいう。
ここで、生分解性プラスチックは、完全生分解性プラスチックと部分生分解性プラスチックとに分けることができる。本発明においては、いずれの生分解性プラスチックも使用することができるが、ロールベールの中でラップネットを完全に分解するためには、完全生分解性プラスチックを採用することが好ましい。
ここで、完全生分解性プラスチックとは、微生物の働きによって分解し、最終的には水と二酸化炭素に分解されるプラスチックをいう。例えば、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリエチレンサクシネート(PES)系、ポリブチレンアジペート(PBA)系、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリ乳酸(PLA)系、ポリグリコール酸(PGA)系、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)系、アセチルセルロース、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。
これらのうち、本発明においては、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)系、ポリ乳酸(PLA)系の群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリエステル系プラスチックを使用することが好ましい。これらの生分解性プラスチックについては、これらを分解する微生物或いは酵素について多くの検討がなされているからである。
更に、本発明においては、ポリブチレンサクシネート(PBS)系生分解性プラスチックとして、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を使用することが特に好ましい。ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)は、ポリエチレンに似た優れた物性を持ち、現時点で最も広く普及しているからである。また、これらの生分解性プラスチックを分解する微生物或いは酵素について詳細に検討されているからである。このポリブチレンサクシネート(PBS)系生分解性プラスチックとしては、例えば、「ビオノーレ」(登録商標、昭和高分子株式会社)などが挙げられる。
一方、完全生分解性プラスチックに対して、部分生分解性プラスチックとは、そのままでは生分解性を有さない通常のプラスチックに、微生物の働きによって分解する生分解成分を混練したものである。この部分生分解性プラスチックにおいては、まず、微生物によって生分解成分が分解し、低分子量化されたプラスチックが残留する。この残留したプラスチックも時間と共に分解されていくものと思われる。
本発明においては、生分解成分としては、微生物の働きによって分解するものであれば、特に限定するものではなく、更に微生物に由来する酵素などの作用で分解するものも含まれる。これらの生分解成分としては、例えば、デンプン、セルロースなどの多糖類、シルク、ウールなどのタンパク質、その他の天然高分子化合物を使用することが好ましい。本発明においては、これらの生分解成分を混練した部分生分解性プラスチックの生分解を促進する酵素として、アミラーゼ、セルラーゼ或いはプロテアーゼなどを挙げることができる。
本発明においては、部分生分解性プラスチックとして、例えば、ポリエチレン系分解性プラスチック「デグラレックス」(登録商標、日立化成フィルテック株式会社)などが挙げられる。これによると、生分解成分が分解した後の低分子量化されたポリエチレンが微生物の働きにより最終的には水と二酸化炭素に分解されることが確認されている(日立化成テクニカルレポートNo.45、2005−7)。
このように、本発明においては、ラップネットに使用する素材として、完全生分解性プラスチック及び部分生分解性プラスチック(以下、両方を含めて「生分解性プラスチック」という。)を使用することができる。ラップネットにこれらの生分解性プラスチックを使用することにより、併用する微生物又は酵素の作用(後述する)によって、保管中のロールベールの内部でラップネットが十分に生分解される。
このことにより、ラップネットの除去作業が不要、又は、容易になり、作業者が身体を傷つけるという事故が発生することがない。また、ラップネットの残渣が残り、これを除去した場合でも、この残渣を土中に埋めるなどして廃棄が容易になり、低コストで処分することができる。
また、ラップネットに生分解性プラスチックを使用することにより、仮に除去したラップネットの残渣が家畜用飼料の中に混入し家畜が食べた場合でも、ラップネットは十分に生分解されており、残渣も低分子化して微細化しており家畜の体内から容易に排泄される。従って、飼料に混入したラップネットの残渣を食べた家畜が病気になることがなく、家畜に影響が出ることがない。
ここで、ラップネットを構成する糸条について説明する。本発明において、ラップネットを構成する糸条は、生分解性プラスチックからなるモノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条及び短繊維紡績糸条のうち、いずれかを使用すればよい。
従来のラップネットにおいては、物性(特に強度)及び経済性の点から農畜産分野でよく使用される高密度ポリエチレン(HDPE)が使用されている。これに対して、本発明においては、上述のように、生分解性プラスチックを使用する。
例えば、生分解性プラスチックの中でも物性に優れたポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を使用した場合でも、物性的には低密度ポリエチレン(LDPE)と同程度となる。ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)は、強度の点では高密度ポリエチレン(HDPE)に劣るが、逆に、伸度の大きな糸条を形成することができる。このことにより、ラップネットに編成された場合には、ある程度の強度を維持しながら従来にない伸縮性の大きなラップネットを構成することができる。
ここで、モノフィラメント糸条とは、1本の単糸からなる連続糸であって、このモノフィラメント糸条の断面形状はいかなるものであってもよく、例えば、丸、楕円、三角、正方型、長方型、菱形および繭型などであってもよい。また、モノフィラメント糸条の製造法は、どのようなものであってもよく、例えば、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、或いは、フィルムを細くスリットしたスリットヤーンであってもよい。
本発明においては、モノフィラメント糸条として物性及び経済性の点からスリットヤーンであることが好ましい。例えば、熱可塑性の生分解性プラスチックを使用する場合には、まず、Tダイ法或いはインフレーション法によりフィルム化する。次に、このフィルムをスリッターで所定に幅にスリットする。このとき、スリットの前後で必要により適宜延伸して必要な強度及び伸度を確保することが好ましい。
ここで、モノフィラメント糸条がスリットヤーンの場合には、その単糸繊度が200〜1200デシテックスであることが好ましく、300〜1000デシテックスであることがより好ましい。スリットヤーンの単糸繊度が200〜1200デシテックスであることにより、編成後のラップネットの強度、特に、編地の長さ方向の強度を維持することができる。このことにより、ラッピング後のロールベールの外周をしっかりと固定することができる。
更に、モノフィラメント糸条がスリットヤーンの場合には、その単糸1本当たりの強度が3〜50N/1本であることがよく、また、5〜45N/1本であること好ましく、更に、7.5〜40N/1本であることより好ましい。また、伸度が30〜250%であること好ましく、更に、50〜200%であることがより好ましい。スリットヤーンの単糸1本当たりの強度が3〜50N/1本であり、且つ、伸度が30〜250%であることにより、編成後のラップネットの強度、特に、編地の長さ方向の強度を維持することができる。このことにより、ラッピング後のロールベールの外周をしっかりと固定することができる。
なお、スリットヤーンについては、その伸縮性を伸長弾性率(伸長回復率)で評価することもできる。この場合には、例えば、JIS−L1013の50%定伸長法により伸長回復率を測定する。この場合、スリットヤーンの伸長回復率は、50%以上あることが好ましく、70%以上あることがより好ましい。
次に、マルチフィラメント糸条とは、複数本のフィラメント単繊維を合糸した連続糸であって、それぞれの単繊維の断面形状はいかなるものであってもよい。また、マルチフィラメント糸条の製造法は、一般的に紡糸法によるものであって、例えば、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、或いは、海島繊維のように単繊維からなる複合糸を紡糸した後に割繊するようにしてもよい。更に、マルチフィラメント糸条は、無撚りであってもよく、或いは、各単繊維が分繊しないように撚りを掛けておいてもよい。
本発明においては、マルチフィラメント糸条として物性及び経済性の点から溶融紡糸によることが好ましい。この場合には、熱可塑性の生分解性プラスチックを使用することができる。また、紡糸時或いは紡糸後にマルチフィラメント糸条を適宜延伸して必要な強度及び伸度を確保することが好ましい。
本発明において、短繊維紡績糸条とは、複数本の短い繊維を平行に並べて撚りによって拘束した連続糸であって、一般に紡績法によって製造される。本発明においては、上述のモノフィラメント糸条或いはマルチフィラメント糸条に替えてこの短繊維紡績糸条を使用するようにしてもよい。その場合には、上述のモノフィラメント糸条或いはマルチフィラメント糸条と同程度に糸条の強度及び伸度を確保することが好ましい。
次に、ラップネットを構成する編成組織について説明する。本発明において、ラップネットは、上述の少なくとも1種の糸条を用いて経編機にて編成される経編ネットである。ここで、経編とは、編地の長さ方向に並列した経糸群が編地の長さ方向に連続して編目(ループ)を形成する編み方であって、一般的に編地の長さ方向の強度が大きいことを特徴とする。
経編の編組織としては、シングルデンビー、シングルコード、シングルアトラス、チェーンステッチ(鎖編み)などの基本組織を基にした各種編組織があり、本発明においては、これらに限定するものではないが、例えば、チェーンステッチに横糸を挿入した編地なども使用される。
また、経編機としては、ラッシェル編機、トリコット編機などがある。本発明においては、どのような編機を使用してもよいが、一般にラッシェル編機を使用することが生産性等の点で好ましい。
また、経編機にて編成される経編ネットの編密度は、0.5〜20コース/2.54cmであることが好ましく、1〜10コース/2.54cmであることがより好ましく、1.5〜3コース/2.54cmであることが更に好ましい。また、編地の長さ方向に連なる編目(ウェール)と隣接する編目(ウェール)との間隔が10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましい。なお、編目と編目との間隔は、編成する糸条の繊度と強度との関係を調整することにより、ラップネットとしての物性を維持できるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、2.5cm以下から0.5mm程度とすることも可能である。
ラップネットの編密度が0.5〜20コース/2.54cm、且つ、編地の長さ方向に連なる編目と隣接する編目との間隔が10cm以下であることにより、短くカットされた干草や藁などがラップネットの網目から脱落することがなく、且つ、ある程度の粗さを有することから、目付が小さく経済性のよいラップネットを構成することができる。
このようにして編成されたラップネットは、上述した生分解性プラスチック及び糸条の物性と相乗的に作用し、編地の長さ方向の引張伸度が40〜150%であることが好ましく、更に、60〜130%であることがより好ましい。編地の長さ方向の引張伸度が40〜150%であることにより、ラッピングマシンでロールベールにラッピングする際の張力を従来よりも小さくすることができる。
次に、ラップネットに使用する生分解性プラスチックの生分解を促進する微生物又は酵素について説明する。現在、生分解性プラスチックを生分解する微生物やこれらの微生物から単離された酵素が広く研究されている。従って、本発明に使用する酵素とは、これらの研究から公表されている全ての微生物又は酵素、及び、将来公表される全ての微生物又は酵素を含むものとする。
例えば、現在においては、リパーゼやエステラーゼがポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を分解することが知られている。また、Alcalidigenes属などの微生物から単離されたPHBデポリメラーゼがポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリエチレンアジペート(PEA)を分解することが知られている。
本発明において、生分解性プラスチックとしてポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を採用した場合には、これらの生分解を促進する微生物として、例えば、Pseudozyma antarctica、Rhizopus delemar、Psuedomonas cepaciaなどが挙げられる。
これらの微生物の中で、特に、酵母の一種であるPseudozyma antarcticaがポリブチレンサクシネート(PBS)やポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を短期間で効率よく分解することが報告されている(北本宏子、独立行政法人農業環境技術研究所、研究トピックス、及び、特許第5082125号を参照)。
また、生分解性プラスチックとしてポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を採用した場合には、これらの生分解を促進する酵素として、Pseudozyma antarcticaを起源とする酵素、或いは、一般のリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼなどを使用することができる。
本発明においては、これらの酵素の中で、特に、Pseudozyma antarcticaを起源とする酵素を使用することが好ましい。また、リパーゼを使用することも好ましい。リパーゼを使用する場合には、その起源となる微生物は、特に限定するものではないが、例えば、Rhizopus delemar由来のリパーゼ100890(生化学工業株式会社)、Psuedomonas cepacia由来のリパーゼPS(天野エンザイム株式会社)などを挙げることができる。
次に、本発明に係るラップネットの使用方法を各実施形態により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態にのみ限定されるものではない。
第1実施形態:
本第1実施形態は、酵素を内包したマイクロカプセルを表面に担持したラップフィルムを使用するラップネットの使用方法に関するものである。
A:ラップネットの準備
本第1実施形態においては、ラップネットを構成する生分解性プラスチックとして、サンプラック工業株式会社製のポリブチレンサクシネート(PBS)を使用する。なお、この生分解性プラスチックは、インフレーション法によりPBSフィルムとする。このPBSフィルムは、十分な伸縮性を有するものである。次に、このPBSフィルムをスリッターで5mm幅のスリットヤーンにスリットする。
ラップネットの編成には、ラッシェル編機を使用し、経糸及び緯糸にいずれも上記PBSフィルムからなるスリットヤーンを使用する。図1に本第1実施形態のラップネットの編組織の概略図を示す。この編組織は、経糸1で構成された複数のチェーンステッチ(鎖編み)の間を横糸2で連結した構成となっている。本第1実施形態で編成されたラップネットの編密度は、2コース/2.54cmとし、編地の長さ方向に連なるチェーンステッチと隣接するチェーンステッチとの間隔は、2.5cmとする。得られるラップネットの幅は約1m、目付は約10g/m2である。この状態においては、ラップネットに酵素が接触しておらず、このラップネットは、長期間の保管ができる。
B:ラップフィルムの準備
本第1実施形態においては、ラップフィルムとして、従来使用されている高密度ポリエチレン(HDPE)からなるフィルムを使用する。このラップフィルムは、ラップネットを構成するポリブチレンサクシネート(PBS)の生分解を促進する酵素により分解されない。
C:マイクロカプセルの調整
高密度ポリエチレン(HDPE)からなるラップフィルムの表面に担持させる、酵素を内包したマイクロカプセルを調整する。本第1実施形態においては、ポリブチレンサクシネート(PBS)の生分解を促進する酵素として、天野エンザイム株式会社製のリパーゼPSを使用する。
ここで、マイクロカプセルとは、紛体状態の精製酵素、或いは、液体状態の粗酵素などを内封した微粒子であって、ラップフィルムの表面にそのまま、或いは、固着剤を介して担持することのできる状態のものをいう。酵素をマイクロカプセル内に担持することにより、酵素が生分解性プラスチックに作用するときまで、酵素を安定に保存することができる。
本発明において、マイクロカプセルの形状及びその形成方法については、特に限定するものではなく、工業的に使用される各種マイクロカプセル化方法を適用することができる。これらのマイクロカプセル化方法としては、例えば、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレードライング法、バンコーティング法、界面重合法、in−site(インサイチュ)法、液中硬化被覆法などを挙げることができる。
但し、本発明においては、ロールベールを被覆したラップネットの上からラップフィルムを被覆した際に、ラップフィルムとラップネットとが擦られてマイクロカプセルに圧力が掛かり破壊され、内包されている酵素が放出されてラップネットに接触することが必要である。酵素がラップネットに接触しなければ、ロールベールの内部でラップネットの生分解が促進されることがないからである。
また、マイクロカプセルの壁部を構成する膜材は、特に限定するものではなく、公知の材料を使用することがでる。例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂などを挙げることができる。但し、使用する酵素の活性を阻害させずに保管することのできる材料を使用することが好ましい。
また、マイクロカプセルの調製にあたっては、公知の分散剤を使用することができる。例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
本第1実施形態においては、相分離法によりゼラチン皮膜にリパーゼPSが内包された平均粒子径約200μmのマイクロカプセルを調整する。
D:マイクロカプセルの担持
高密度ポリエチレン(HDPE)からなるラップフィルムの一方の表面に調整したマイクロカプセルを担持する。本発明において、マイクロカプセルを担持する方法については、特に限定するものではなく、工業的に行われている方法を使用すればよい。本第1実施形態においては、アクリル系バインダーを用いてコーティングし、その後、乾燥して片面にマイクロカプセルを担持したラップフィルムとする。この状態においては、酵素は高密度ポリエチレン(HDPE)に活性を示さず、ラップフィルムを分解することがない。また、酵素が失活することがなく、ラップフィルムに担持された状態で長期間の保管ができる。
E:ロールベールへのラップネットの被覆
準備したラップネット及びラップフィルムを用い、実際のラッピングマシンを使用してロールベールへのラッピングを行う。本第1実施形態によるラップネットは、高密度ポリエチレン(HDPE)からなる従来のラップネットと同様の高い装置張力にも耐えることができる。更に、従来のラップネットと比較して、装置張力を下げた条件においても正確にラッピングすることができる。
これは、本第1実施形態のラップネットの伸縮性の大きさによるものである。また、ラッピングされたロールベールの表面は、ラップネットが十分に硬く巻かれ、実用的に満足できるものである。この状態で数日間放置して、ロールベールの内部の牧草を適度に乾燥させる。
F:ロールベールへのラップフィルムの被覆
次に、適度に乾燥されたロールベールに対して、ラップネットの上からラップフィルムで被覆する。このとき、ラップフィルムは、マイクロカプセルを担持した面をラップフィルムに接触させるようにして被覆する。このラッピング作業は、実際のラッピングマシンを使用して強い張力で行う。このラッピング作業は、従来の方法と変わることなく良好に行うことができる。
このようにして強い張力でラップフィルムをラッピングしたロールベールは、十分な強度と形状安定性を有しており、従来のラップネットと同様に、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持している。
このようにしてラッピングしたロールベールにおいては、ラップネットの上からラップフィルムで被覆した際に、ラップフィルムの表面に担持されたマイクロカプセルがラッピングによる圧力と摩擦とにより破壊される。その結果、マイクロカプセル内部の酵素が放出してラップネットに接触する。
このことにより、ロールベール内部においてラップネットの生分解が促進され、ロールベールの保管中に十分に生分解される。なお、ラップフィルムでラッピングされたロールベールの内部においては、長期間の保管の場合、牧草の発酵なども進み内部の温度と湿度が上昇する。このことにより、ラップネットの生分解がより促進される。
第2実施形態:
本第2実施形態は、酵素を表面の凹凸部位に担持したラップフィルムを使用するラップネットの使用方法に関するものである。
A:ラップネットの準備
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同じPBSフィルムを5mm幅にスリットしたスリットヤーンを使用し、上記第1実施形態と同様の編組織によるラップネットを使用する。この状態においては、ラップネットに酵素が接触しておらず、このラップネットは、長期間の保管ができる。
B:ラップフィルムの準備
本第2実施形態においては、上記第1実施形態と同じ高密度ポリエチレン(HDPE)からなるフィルムを使用する。このラップフィルムは、ラップネットを構成するポリブチレンサクシネート(PBS)の生分解を促進する酵素により分解されない。
C:ラップフィルムの凹凸部位の形成
高密度ポリエチレン(HDPE)からなるラップフィルムの表面に凹凸部位を形成し、この凹凸部位の凹部に酵素を担持する。ここで、ラップフィルムの表面に凹凸部位を形成する方法は、特に限定するものではなく、フィルム表面に酵素を担持することとのできる凹部が形成されればよい。本第2実施形態においては、刃先を直角に押し当てたフィルムを刃の方向と直交する方向にスライドし、フィルム表面に細かな傷を付ける方法で形成する。なお、凹凸部位の形成は、ラップフィルムの一方の表面のみでよい。
D:酵素の担持
高密度ポリエチレン(HDPE)からなるラップフィルムの一方の表面に形成した凹凸部位に酵素を担持する。本第2実施形態においては、ポリブチレンサクシネート(PBS)の生分解を促進する酵素として、上記第1実施形態と同じ天野エンザイム株式会社製のリパーゼPSを使用する。
ラップフィルムの表面に酵素を担持する方法については、特に限定するものではない。例えば、酵素が紛体状である場合には、紛体のまま凹部に押し込んで担持してもよい。或いは、酵素が液状である場合には、各種バインダーと共にコーティングし、その後、乾燥して凹部に担持してもよい。本第1実施形態においては、酵素を紛体として凹部に押し込んで片面に酵素を担持したラップフィルムとする。この状態においては、酵素は高密度ポリエチレン(HDPE)に活性を示さず、ラップフィルムを分解することがない。また、酵素が失活することがなく、ラップフィルムに担持された状態で長期間の保管ができる。
E:ロールベールへのラップネットの被覆
準備したラップネット及びラップフィルムを用い、実際のラッピングマシンを使用してロールベールへのラッピングを行う。本第2実施形態によるラップネットは、従来のラップネットと同様の高い装置張力にも耐えることができ、更に、装置張力を下げた条件においても正確にラッピングすることができる。このようにしてラッピングされたロールベールの表面は、ラップネットが十分に硬く巻かれ、実用的に満足できるものである。この状態で数日間放置して、ロールベールの内部の牧草を適度に乾燥させる。
F:ロールベールへのラップフィルムの被覆
次に、適度に乾燥されたロールベールに対して、ラップネットの上からラップフィルムで被覆する。このとき、ラップフィルムは、酵素を担持した面をラップフィルムに接触させるようにして被覆する。このラッピング作業は、実際のラッピングマシンを使用して強い張力で行う。このラッピング作業は、従来の方法と変わることなく良好に行うことができる。
このようにして、強い張力でラップフィルムをラッピングしたロールベールは、十分な強度と形状安定性を有しており、従来のラップネットと同様に、運搬・保管に有効なラップネットによるラッピングのメリットを維持している。
このようにしてラッピングしたロールベールにおいては、ラップネットの上からラップフィルムで被覆した際に、ラップフィルムの表面に担持された酵素がラッピングによる圧力と摩擦とにより放出してラップネットに接触する。このことにより、ロールベール内部においてラップネットの生分解が促進され、ロールベールの保管中に十分に生分解される。なお、ラップフィルムでラッピングされたロールベールの内部においては、長期間の保管の場合、牧草の発酵なども進み内部の温度と湿度が上昇する。このことにより、ラップネットの生分解がより促進される。
以上説明したように、本発明によれば、運搬・保管に有効なラップネット及びラップフィルムによるラッピングのメリットを維持し、且つ、保管中のロールベールの内部でラップネットが十分に生分解することにより、ラップネットの除去作業が容易になり、ラップネットの残渣が飼料に混入した場合でも、家畜に影響の少ないラップネットの使用方法を提供することができる。
1…経糸、2…緯糸。

Claims (7)

  1. 生分解性プラスチックからなる糸条で編成したラップネット、及び、当該生分解性プラスチックとは異なるプラスチックからなるラップフィルムを準備し、
    前記ラップフィルムの少なくとも一方の表面に前記生分解性プラスチックの生分解を促進する微生物又は酵素を付着させておき、
    まず、飼料用ロールベールに前記ラップネットを被覆し、その後、当該飼料用ロールベールに対して前記ラップネットの上から当該ラップネットに前記微生物又は酵素が付着した面を接触するようにして前記ラップフィルムを被覆することにより、
    前記微生物又は酵素が前記ラップネットの生分解に作用して、当該ラップネットの分解時間を促進することのできるラップネットの使用方法。
  2. 前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)系、ポリ乳酸(PLA)系の群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリエステル系プラスチックであることを特徴とする請求項1に記載のラップネットの使用方法。
  3. 前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)であって、当該生分解性プラスチックの生分解を促進する前記微生物は、Pseudozyma antarcticaであることを特徴とする請求項2に記載のラップネットの使用方法。
  4. 前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)であって、当該生分解性プラスチックの生分解を促進する前記酵素は、Pseudozyma antarcticaを起源とする酵素であることを特徴とする請求項2に記載のラップネットの使用方法。
  5. 前記生分解性プラスチックは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、又は、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)であって、当該生分解性プラスチックの生分解を促進する前記酵素は、リパーゼ又はエステラーゼであることを特徴とする請求項2に記載のラップネットの使用方法。
  6. 前記ラップフィルムの少なくとも一方の表面に前記微生物又は酵素を内包したマイクロカプセルを担持しておき、
    前記飼料用ロールベールを被覆した前記ラップネットの上から前記マイクロカプセルを担持した面を接触させるようにして前記ラップフィルムを被覆することにより、
    被覆時の圧力又は摩擦により前記マイクロカプセルが破壊されて内包されている前記微生物又は酵素が放出されて前記ラップネットに接触することとなり、当該ラップネットを構成する前記生分解性プラスチックの生分解の分解時間を促進することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のラップネットの使用方法。
  7. 前記ラップフィルムの少なくとも一方の表面に前記微生物又は酵素を把持する程度の微細な凹凸を付けておき、当該凹凸部位に前記微生物又は酵素を担持しておき、
    前記飼料用ロールベールを被覆した前記ラップネットの上から前記微生物又は酵素を担持した面を接触させるようにして前記ラップフィルムを被覆することにより、
    被覆時の圧力又は摩擦により前記凹凸部位に担持された前記微生物又は酵素が放出されて前記ラップネットに接触することとなり、当該ラップネットを構成する前記生分解性プラスチックの生分解の分解時間を促進することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のラップネットの使用方法。
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