JP6075577B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、安全性低下判定手段の判定値が判定閾値を超えたときに運転者に警報を行う運転支援装置に関する。
従来より、車両の走行状態(挙動)の検出情報に基づき、車両の安全性の低下を運転者に警報する運転支援装置が知られている。例えば、車両走行時に左右の走行車線をカメラで捉えて自車両の位置を認識し、車線逸脱の可能性があると判断した場合に車線逸脱警報を発して運転者に注意を促すものである。このような車線逸脱警報は、カーブ区間を走行するときにセンターライン或いは路側ラインの端領域を運転者が意識的に走行する場合にも車線逸脱警報が作動してしまい乗員が違和感や煩わしさを感じることがある。
そこで、運転者による反射時間に基づき漫然状態であるか否かを切り口として、不必要な警報の作動を制限する技術が提案されている。
特許文献1の運転支援装置は、車両の走行状態又は運転者の状態を推定し、この推定値が運転に注意を要する状態であるか否かに関する判定閾値を超えた場合に、その旨を運転者に報知する運転支援装置であって、情報取得手段を通じて情報が取得されてから定められた停止準備動作が行われるまでの反応時間に基づき運転者の状態が通常状態であるか漫然状態であるかを判定する判定手段とを備え、漫然状態である旨判定された場合、判定閾値を通常値よりも小さな値に変更している。
これにより、運転者が漫然状態のとき、運転に注意を要する状態である旨運転者に対して通常よりも早めに報知でき、運転に集中している通常状態のとき、報知タイミングを敢えて遅延させることにより意図的な行動に対して報知され難くしている。
特開2008−204056号公報
特許文献1の運転支援装置は、運転者が単独で車両を運転する場合、安全性確保と煩わしさ解消とを達成することができる。
しかし、運転者には、単独で車両を運転する状況以外にも、運転者以外に1又は複数の同乗者が乗車している状況が頻繁に存在している。
複数の乗員が乗車している際、運転者が同乗者と対話しているときには、運転者の意識は当然活性化している。また、運転者が同乗者と対話していないときにも、運転者は同乗者の状態を気遣うことから、運転者の意識は相当程度活性化しているものと予想される。
即ち、同乗者が存在する運転状況では、運転者が漫然状態になる可能性は極めて低いものと言える。
つまり、特許文献1のように、単に漫然状態であるか否かを切り口とした場合、単独乗車における安全性確保と煩わしさ解消は解決できるものの、複数乗員の乗車では十分に安全性確保と煩わしさ解消とを両立できない虞がある。
そこで、乗員間の対話と運転者の操作特性との相互の関連性を明らかにするため、シミュレーションによる検証実験を行った。
まず、この検証実験の実験内容について説明する。
ドライブシミュレータで被験者に周回路を走行する走行タスクを与えて、運転者が音声対話装置と対話を行わない通常走行と、運転者が音声対話装置と対話を行う対話走行とについて車両の挙動を比較した。
実験条件として、被験者は6名(30〜50代の男女)、走行タスクは約2,100mのオーバルコースにおいて、ライントレース、目標速度(160km/h)維持を設定した。また、走行コースは、対話前直線、第1対話カーブ、対話直線、第2対話カーブ、対話後直線の5区間を設定し、中間の第1対話カーブ、対話直線、第2対話カーブの3区間を対話区間に設定した。各被験者は、走行コースを夫々9周走行し、全被験者による平均データを取得した。
次に、検証結果について説明する。
図7に、第1の検証結果を示す。
通常走行時の平均速度(実線)に示されるように、第1,第2対話カーブの手前から減速し、第1,第2対話カーブの後半から加速している。
図7に示すように、対話走行時の平均速度(点線)では、通常走行時の平均速度よりも目標速度からの乖離率及び速度のばらつきが大きくなることから、対話が運転者の速度感覚(速度特性)に対して影響を与えていることが判明した。
図8に、第2の検証結果を示す。
通常走行時の平均操舵加速度(実線)に示されるように、第1,第2対話カーブの進入時及び脱出時に大きな舵角操作が行われている。
図8に示すように、対話走行時の平均操舵加速度(点線)では、通常走行時の平均操舵加速度よりも修正操舵による操舵加速度のばらつきが増加することから、対話が運転者の操舵感覚(操舵特性)に対して影響を与えていることが判明した。
図9に、第3の検証結果を示す。
カーブ進入時の減速開始タイミングについて、通常走行時(実線)、運転者発話時(破線)、運転者傾聴時(一点鎖線)の各々の特性を示している。
図9に示すように、運転者が音声対話装置と対話を行わない通常走行時において、運転者はカーブの手前で最も早く減速開始を行い、次に運転者自身が発話している発話時における減速開始タイミングが早い。そして、運転者が傾聴している傾聴時における減速開始タイミングが、発話時における減速開始タイミングよりも更に遅くなる傾向が見られる。
これにより、発話は、認知性(視覚・聴覚)及び操作特性に対する影響が少ないのに対し、傾聴は、発話よりも認知性(視覚)及び操作特性に対する影響が多いことが原因と推測される。
以上の検証結果から、対話走行時の操作特性は、運転者の意識は活性化しているものの、通常走行時の操作特性よりもばらつきが大きいという知見を得ることができた。
そこで、運転者の意識が活性化しているときの不要な警報を制限するために、運転者が同乗者と対話を行う対話走行時の警報レベルを運転者が同乗者と対話を行わない通常走行時の警報レベルよりも低くすることが考えられる。
しかし、運転者が同乗者と対話を行う対話走行時の警報レベルを一律に下げた(閾値を大きくした)場合、傾聴状態の運転者の認知性及び操作特性が低下しているにも拘らず、注意喚起を要するときであっても警報が遅れるため、走行安全性に問題が生じる虞がある。
一方、運転者が同乗者と対話を行う対話走行時の警報レベルを制限した(閾値を小さくした)場合、発話状態の運転者の意識は活性化しているにも拘らず、想定範囲内の操作特性のばらつきであっても警報が早まるため、運転者と同乗者との対話を阻害する虞がある。
本発明の目的は、複数の乗員が乗車したときの走行安全性確保と乗員間の対話阻害防止とを両立できる運転支援装置等を提供することである。
請求項1の発明は、車両の走行状態に基づいて車両の安全性の低下を判定する安全性低下判定手段と、この安全性低下判定手段の判定値が判定閾値を超えたときに運転者に警報を行う警報手段とを備えた運転支援装置において、運転者と同乗者との対話の音声を取得する音声取得手段と、運転者が同乗者に発話しているときの前記警報手段による警報レベルを運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの前記警報手段による警報レベルよりも低くする警報レベル変更手段と、を備えたことを特徴としている。
この運転支援装置では、運転者と同乗者との対話の音声を取得する音声取得手段を備えているため、同乗者の有無、及び対話中の運転者が発話状態であるか傾聴状態であるかについて明確に判別することができる。運転者が同乗者に発話しているときの警報手段による警報レベルを運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの警報手段による警報レベルよりも低くする警報レベル変更手段を備えているため、運転者が傾聴状態よりも注意力レベル(認知性)が高い発話状態のとき、警報レベルを低くして乗員間の対話を優先させることができ、運転者が発話状態よりも注意力レベルが低い傾聴状態のとき、警報レベルを高くして走行安全性確保を優先させることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記警報レベル変更手段は、運転者が同乗者に発話しているときの前記判定閾値を運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの前記判定閾値よりも大きくすることを特徴としている。
この構成によれば、安全性低下判定手段の判定閾値の調整という簡単な構成で走行安全性確保と乗員間の対話阻害防止とを両立することができる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記警報レベル変更手段は、前記運転者が同乗者に発話しているときの判定閾値を運転者が同乗者と対話していないときの判定閾値よりも大きくすることを特徴としている。
この構成によれば、警報による煩わしさを一層軽減することができる。
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、対話中の運転者及び同乗者の音声に含まれたワードに基づいて運転者の対話に対する熱中度を判定する熱中度判定手段を備え、前記熱中度判定手段により運転者の対話に対する熱中度が高いと判定されたとき、前記判定閾値を小さくすることを特徴としている。
この構成によれば、運転者の注意力レベルの低下を熱中度によって判定することができ、対話に熱中した運転者の走行安全性を確保することができる。
本発明の運転支援装置によれば、複数の乗員が乗車したときの走行安全性確保と乗員間の対話阻害防止とを両立させることができる。
実施例1に係る運転支援装置の機能ブロック図である。 音声対話装置の機能ブロック図である。 興味度テーブルの一例を示す図である。 体調度テーブルの一例を示す図である。 運転支援処理のフローチャートである。 判定閾値設定処理のフローチャートである。 対話と速度特性との関連性を示すグラフである。 対話と操舵特性との関連性を示すグラフである。 対話のない通常時と発話時と傾聴時の各々の操作特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1〜図6に基づいて説明する。
運転支援装置1は、車両の走行状態に基づいて車両の安全性の低下を判定し、この判定値が判定閾値Tを超えたとき、例えば、自車両が走行している走行車線上の白線(区分線)と自車両との接近度合が所定の判定閾値Tを超えて接近したとき、運転者に対して警報するように構成されている。
図1に示すように、運転支援装置1は、走行状態検出手段としてのCCD(Charge Coupled Device)カメラ2と、運転者の生体情報取得部3と、音声対話装置10(音声取得手段)と、ECU(Electronic Control Unit)20と、警報装置4等を備えている。
CCDカメラ2は、車室内のルーフ前端部(図示略)又は左右のドアミラー(図示略)に配設されている。このCCDカメラ2は、自車両が走行している走行車線上の白線を撮像している。尚、CCDカメラ2に代えてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを用いても良く、光電変換素子により入射した光を輝度に応じて輝度階調のデジタル画像に変換できる手段であれば代替可能である。
生体情報取得部3は、運転者の生体情報に基づいて運転者の感情や疲れ具合を検出可能に構成されている。この生体情報取得部3は、例えば、ステアリングホイールに設けられた発汗計(図示略)によって検出された運転者の手の発汗度合い、運転席に内蔵された心拍センサ(図示略)によって検出された運転者の心拍数、車室内に配設された室内カメラ(図示略)によって撮像された運転者の瞳孔径や視線方向等を取得している。
発汗度合いや心拍数は、運転者の活性度と相関関係があり、瞳孔径や視線方向は、運転者の快度と相関関係があるため、運転者のストレス等精神状態を推定することができる。
これらの検出結果と運転者の体調(良、普通、不良)との相関関係は、予め実験等によって準備されている。
次に、音声対話装置10について説明する。
音声対話装置10は、運転者及び1又は複数の同乗者(以下、乗員と総称する)の発する音声を夫々取得し、乗員からの音声入力に対応して各乗員に対して対話制御可能に構成されている。この音声対話装置10は、1の例では、スマートフォン等の携帯型端末装置であり、他の例では、車両に搭載された通信機能を有する車載PC(ナビゲーション機能等を備えても良い)である。また、携帯型端末装置と車載PCとが協調制御を行う場合には、これら携帯型端末装置及び車載PCが音声対話装置10に相当している。
図2に示すように、音声対話装置10は、マイク5及びスピーカ6と電気的に接続され、サーバ7と種々の情報について相互に送受信可能に構成されている。
マイク5は、乗員各々の音声が入力されるものであり、車室内の所定位置に設置されている。このマイク5は、乗員の音声及び同乗者の音声を何れかの乗員からの音声入力開始時から取得することができる。
スピーカ6は、音声合成部13で変換された発音データを出力している。
サーバ7は、別途設置された情報センタ(図示略)に配設されている。
このサーバ7は、大量のデータ処理能力及び大量のデータ容量を有する大型計算機によって形成され、音声対話装置10との間で種々の情報について相互に送受信を行っている。
ここで、情報センタについて簡単に説明する。
情報センタは、抽出された概念が車両内で処理できない操作タスクの応答用テキスト、乗員同士の対話への割込用テキスト等を生成可能に構成されている。この情報センタは、サーバ7と、通信部(図示略)等を備え、音声対話装置10と通信可能に形成されている。
サーバ7は、対話管理部と、情報データベースと、語彙文法データベース等を備えている(何れも図示略)。対話管理部は、情報データベースやインターネットを検索すると共に、語彙文法データベースに基づいて検索結果を組み込んだ応答用テキスト等を生成可能に構成されている。生成された応答用テキスト等は、所定のフォーマットに変換されて通信部から音声対話装置10に送信される。
図2に示すように、音声対話装置10は、音声認識部11と、対話処理部12と、音声合成部13等を備えている。
音声認識部11は、マイク4に入力された運転者の音声をA/Dコンバータによってデジタル信号として取り込み、このデジタル信号を波形データに変換した後、周波数分析して特徴ベクトルを抽出する。この音声認識部11は、記憶部15に記憶された言語モデルと乗員の音声との一致度を演算し、入力された音声を認識した後、ワード列で表現されたテキストとして対話処理部12に出力している。
次に、対話処理部12について説明する。
対話処理部12は、乗員(運転者)から音声対話装置10への操作タスクに対する完了報告や各種問い合わせに対する回答に関する応答用テキストを生成可能に構成されている。
更に、この対話処理部12は、運転者と同乗者との対話の有無、現在行われている対話の主体(運転者又は同乗者)、現在行われている対話中に含まれたワードに対する運転者の興味度f1,f2をECU20に対して出力可能に形成されている。
図2に示すように、対話処理部12は、制御部14と、記憶部15等を備えている。
制御部14は、乗員と音声対話装置10との応答規則を記述した対話シナリオを用いて対話が成立するように車載機器(図示略)を含めて各機能部を協調制御している。
制御部14は、音声認識部11によって認識されたテキストから概念(発話意図)を抽出し、その概念を音声対話装置10が取扱可能な形式で出力する意図理解機能と、この意図理解機能の出力結果に基づき音声対話装置10が応答する概念を決定する対話制御機能と、この対話制御機能から出力された概念に基づき応答用テキストを生成する応答生成機能と、応答用テキストを発話するタイミングを設定する発話タイミング設定機能とを備え、主に運転者との対話内容や対話タイミング全般を管理可能に構成されている。
制御部14は、抽出された概念が、乗員(運転者)による車載機器の操作のように車両内で処理できる操作タスクの場合、サーバ7への通信を行うことなく、所定の車載機器に対して操作指令を出力すると共に車両内にて応答用テキストを生成する。
制御部14は、発話から抽出された概念が、車両内で処理できないタスクの場合や乗員同士の対話である場合、ワード列で表現された乗員の音声に基づくテキストを情報検索コマンドとしてURLのフォーマットに変換して情報センタに送信する。
記憶部15には、言語モデルデータベース、意図理解モデルデータベース、課題解決知識データベース、対話シナリオデータベース、興味判定ワードデータベース(何れも図示略)、及び興味度テーブル31等が格納されている。
言語モデルデータベースは、入力された音声と一致度が比較されるワードモデルが記憶されている。意図理解モデルデータベースは、各々のワードと表現パターンと抽出された概念との相関関係が記憶されている。
課題解決知識データベースは、抽出された概念が課題の表明であるとき、その課題の解決策を提案するときの概念作成に利用される。対話シナリオデータベースは、応答用テキストの作成ルールが記憶されている。
興味判定ワードデータベースは、乗員同士の対話に含まれる各々の対象について運転者の興味(嗜好)に基づき興味大、興味中、興味小の3グループに分類して記憶している。
図3に示すように、興味度テーブル31は、乗員間の対話に含まれたワードについて、興味判定ワードデータベースを用いて分類されたグループに夫々対応するように、運転者が対話主体(運転者発話)のときの運転者の興味度f1と、同乗者が対話主体(運転者傾聴)のときの運転者の興味度f2とが予め設定されている。
次に、音声合成部13について説明する。
音声合成部13は、対話処理部12で決定された応答用テキスト又は情報センタから受信した応答用テキスト等を音声出力に適した表現に正規化し、この正規化したテキストの各ワードと記憶部15内に記憶された言語モデルを用いて発音データに変換する。そして、音声合成部13は、発音データをD/Aコンバータによってデジタル信号による波形データに変換し、スピーカ6に出力している。
次に、ECU20について説明する。
ECU20は、プログラムを実行するCPU、プログラムを記憶したROM、データやプログラムを一時的に記憶するRAM、EEPROM(electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、データを入出力する入出力インターフェイス等を備え、他のECUと通信する通信部がバスを介して接続されたマイコンとして構成されている。このECU20は、CPUがプログラムを実行することで、乗員(運転者)に注意を促す警報が実現される。
図1に示すように、ECU20は、走行車線認識部21と、逸脱判定部22(安全性低下判定手段)と、判定閾値設定部23(警報レベル変更手段)と、熱中度判定部24(熱中度判定手段)等を備えている。
走行車線認識部21は、CCDカメラ2が撮像した前方画像の輝度を水平方向に微分処理することにより、白線の両端部に高周波成分となるエッジが発生することを利用して走行車線の白線部分を推定し、この推定された白線部分について輝度及び路面とのコントラストから定められる閾値や白線幅の閾値等に基づいて白線を抽出している。
この走行車線認識部21は、抽出した白線情報と、この白線と自車両との離隔距離とを算出している。
逸脱判定部22は、走行車線認識部21による算出結果に基づいて、白線と自車両との接近度合が判定閾値Tを超えて接近したとき、自車両が走行車線を逸脱する可能性があると判定し、警報装置4に対して作動指令を出力可能に構成されている。
この逸脱判定部22は、判定閾値Tが大きい場合、自車両による白線への接近が許容されるため、白線と自車両との離隔距離が小さくなるまで逸脱可能性ありと判定されない。また、判定閾値Tが小さい場合、自車両による白線への接近が制限されるため、白線と自車両との離隔距離がある程度大きな値であっても逸脱可能性ありと判定される。
尚、運転者が同乗者と対話していないときの判定閾値Tは、通常時使用される基準判定閾値T1として予め設定されている。
判定閾値設定部23は、逸脱判定部22の判定閾値Tを運転者の運転状況、所謂体調、対話の有無、対話に対する興味度等に基づいて変更・設定可能に構成されている。
この判定閾値設定部23は、運転者が所定状態のとき、運転者が同乗者に発話している(運転者が対話の主体である)ときの判定閾値Tを運転者が同乗者の発話を傾聴している(同乗者が対話の主体である)ときの判定閾値Tよりも大きくしている。
運転者が同乗者に発話しているときの運転者の認知性(注意力レベル)は、運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの運転者の認知性よりも高いからである。
また、判定閾値設定部23は、運転者の体調が不良状態のときを除いて、運転者が同乗者に発話しているときの判定閾値Tを運転者が同乗者と対話していないときの判定閾値T(基準判定閾値T1)よりも大きくするように構成されている。
運転者が同乗者に発話しているときの意識は、基本的に活性化しているからである。
運転者が同乗者に発話しているときの判定閾値Tを第1判定閾値T2、運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの判定閾値Tを第2判定閾値T3としたとき、第1,第2判定閾値T2,T3は、次式によって夫々表すことができる。
T2=T1+k1×α
T3=T1+k2×β …(1)
尚、k1,k2は、夫々運転者が同乗者に発話しているときの熱中度係数と運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの熱中度係数であり、α,βは、0<β<αの関係式を満たしている。
熱中度判定部24は、生体情報取得部3の検出結果に基づき運転者の体調度g1,g2を判定すると共に運転者の対話に対する熱中度に相当する熱中度係数k1,k2を判定可能に構成されている。
この熱中度判定部24には、体調度テーブル32が設けられている。
図4に示すように、体調度テーブル32は、運転者の体調(良、普通、不良)に夫々対応するように、運転者が対話主体(運転者発話)のときの運転者の体調度g1と、同乗者が対話主体(運転者傾聴)のときの運転者の体調度g2とが予め設定されている。
運転者の対話に対する熱中度は、対話に含まれたワードに基づく運転者の対話に対する興味度f1,f2と、運転者の体調度g1,g2とを用いて、運転者が同乗者に発話しているときの熱中度係数k1と、運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの熱中度係数k2とによって夫々表すことができる。
これは、運転者にとって同じ興味度の対話であっても、体調度が低い場合には、体調度が高い場合よりも熱中度が低くなるからである。
熱中度係数k1,k2は、次式によって夫々表すことができる。
k1=f1+g1
k2=f2+g2 …(2)
上記式(2)によって求められた熱中度係数k1,k2が、判定閾値設定部23に出力された後、式(1)に夫々代入され、第1,第2判定閾値T2,T3が求められる。
警報装置4は、自車両が走行車線を逸脱する可能性があると判定されたとき、逸脱判定部22からの作動指令に基づき運転者への注意喚起を行う。
警報装置4は、例えばスピーカ、ブザー、ディスプレイのうち少なくとも1つが警報手段に相当している。
次に、図5,図6のフローチャートに基づき、運転支援装置1による運転支援処理手順について説明する。
尚、Si(i=1,2,…)は、各処理のためのステップを示している。
まず、各種情報を読み込み(S1)、S2へ移行する。
S2では、接近度合と比較するための判定閾値Tを設定する判定閾値設定処理を行っている。
S2で判定閾値Tを設定した後、S3に移行し、自車両と白線との接近度合が判定閾値Tを超えたか否か判定している。
S3の判定の結果、接近度合が判定閾値Tを超えた場合、運転者に注意喚起させるためにS4に移行して警報装置4を作動させた後、リターンする。
S3の判定の結果、接近度合が判定閾値Tを超えていない場合、安全性が低下していないため、警報装置4を作動させることなくリターンする。
次に、S2で行われる判定閾値設定処理について詳細に説明する。
図6に示すように、まず、音声対話装置10からの情報に基づき乗員間の対話が行われているか否かを判定する(S11)。
S11の判定の結果、乗員間の対話が行われている場合、S12に移行し、乗員間の対話が運転者と同乗者との対話か否か判定する。
S12の判定の結果、乗員間の対話が運転者と同乗者との対話である場合、S13に移行し、運転者が対話の主体、所謂発話しているか否か判定する。
S13の判定の結果、運転者が発話している場合、運転者が対話の主体であるため、S14に移行し、第1判定閾値T2を設定する。
S14では、興味度及び体調度に基づいて式(2)によって熱中度係数k1を演算し、式(1)に熱中度係数k1を代入して第1判定閾値T2を算出する。
例えば、運転者の状態が、興味度小、体調度良の場合、熱中度係数k1=1.2であるため、T2=T1+1.2αとなり、興味度中、体調度普通の場合、熱中度係数k1=1.0であるため、T2=T1+1.0αとなり、興味度大、体調度不良の場合、熱中度係数k1=−0.3であるため、T2=T1−0.3αとなる。
S14で算出された第1判定閾値T2を判定閾値Tに設定し(S15)、終了する。
S13の判定の結果、運転者が発話していない場合、同乗者が対話の主体であり、運転者が傾聴状態であるため、S16に移行し、第2判定閾値T3を設定する。
S16では、興味度及び体調度に基づいて式(2)によって熱中度係数k2を演算し、式(1)に熱中度係数k2を代入して第2判定閾値T3を算出する。
例えば、運転者の状態が、興味度小、体調度良の場合、熱中度係数k2=1.0であるため、T3=T1+1.0βとなり、興味度中、体調度普通の場合、熱中度係数k2=−0.3であるため、T3=T1−0.3βとなり、興味度大、体調度不良の場合、熱中度係数k2=−0.5であるため、T3=T1−0.5βとなる。
S16で算出された第2判定閾値T3を判定閾値Tに設定し(S17)、終了する。
S11の判定の結果、乗員間の対話が行われていない場合、及び、S12の判定の結果、乗員間の対話が運転者と同乗者との対話ではない(同乗者間の対話である)場合、運転者は通常時の注意力レベルと通常時の操作特性とを維持しているため、基準判定閾値T1を判定閾値Tに設定し(S18)、終了する。
次に、上記運転支援装置1の作用、効果について説明する。
本運転支援装置1によれば、運転者と同乗者との対話の音声を取得する音声対話装置10を備えているため、同乗者の有無、及び対話中の運転者が発話状態であるか傾聴状態であるかについて明確に判別することができる。運転者が同乗者に発話しているときの警報装置4による警報レベルを運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの警報装置4による警報レベルよりも低くする判定閾値設定部23を備えているため、運転者が傾聴状態よりも注意力レベル(認知性)が高い発話状態のとき、警報レベルを低くして乗員間の対話を優先させることができ、運転者が発話状態よりも注意力レベルが低い傾聴状態のとき、警報レベルを高くして走行安全性確保を優先させることができる。
判定閾値設定部23は、運転者が同乗者に発話しているときの判定閾値T(T2)を運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの判定閾値T(T3)よりも大きくするため、逸脱判定部22の判定閾値Tの調整という簡単な構成で走行安全性確保と乗員間の対話阻害防止とを両立することができる。
判定閾値設定部23は、運転者が同乗者に発話しているときの判定閾値T(T2)を運転者が同乗者と対話していないときの判定閾値T(T1)よりも大きくするため、車線逸脱警報による煩わしさを一層軽減することができる。
対話中の運転者及び同乗者の音声に含まれたワードに基づいて運転者の対話に対する熱中度(熱中度係数k1,k2)を判定する熱中度判定部24を備え、熱中度判定部24により運転者の対話に対する熱中度が高いと判定されたとき、判定閾値T(T2,T3)を小さくするため、運転者の注意力レベルの低下を熱中度によって判定することができ、対話に熱中した運転者の走行安全性を確保することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、安全性低下判定手段として車両による走行車線の逸脱判定を行う逸脱判定部を前提技術とした例を説明したが、少なくとも車両の安全性の低下を判定できれば良く、所定の制限速度に対する速度超過判定部や信号機の変化に対する反応時間判定部を前提技術としても良い。
2〕前記実施形態においては、運転者の発話状態と傾聴状態とに基づき接近度合の判定閾値を変更して警報レベルを制御する例を説明したが、接近度合の判定閾値を一定に維持しつつ、運転者の発話状態と傾聴状態とに基づき警報レベルの強さを制御しても良い。
具体的には、運転者の発話状態のときの音量を運転者の傾聴状態のときの音量よりも小さくする、或いは運転者の発話状態のときのディスプレイの輝度や色彩を運転者の傾聴状態のときの輝度や色彩よりも抑制することも可能である。
3〕前記実施形態においては、音声取得手段として乗員と対話可能な音声対話装置の例を説明したが、少なくとも乗員間対話における運転者の発話、傾聴を判定できれば良く、各乗員に対応した音声取得専用装置、例えば指向性マイクでも良く、或いは同乗者検出装置と運転者専用マイクとを設けることも可能である。
4〕前記実施形態においては、熱中度係数を興味度と体調度とを和算して設定した例を説明したが、興味度のみ、或いは体調度のみによって設定しても良い。
また、判定閾値が規定されたマップを設け、発話、傾聴、興味度、体調度等の判定要素に基づきマップから随時判定閾値を抽出することも可能である。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 運転支援装置
4 警報装置
10 音声対話装置
22 逸脱判定装置
23 判定閾値設定部
24 熱中度判定部

Claims (4)

  1. 車両の走行状態に基づいて車両の安全性の低下を判定する安全性低下判定手段と、この安全性低下判定手段の判定値が判定閾値を超えたときに運転者に警報を行う警報手段とを備えた運転支援装置において、
    運転者と同乗者との対話の音声を取得する音声取得手段と、
    運転者が同乗者に発話しているときの前記警報手段による警報レベルを運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの前記警報手段による警報レベルよりも低くする警報レベル変更手段と、
    を備えたことを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記警報レベル変更手段は、運転者が同乗者に発話しているときの前記判定閾値を運転者が同乗者の発話を傾聴しているときの前記判定閾値よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記警報レベル変更手段は、前記運転者が同乗者に発話しているときの判定閾値を運転者が同乗者と対話していないときの判定閾値よりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 対話中の運転者及び同乗者の音声に含まれたワードに基づいて運転者の対話に対する熱中度を判定する熱中度判定手段を備え、
    前記熱中度判定手段により運転者の対話に対する熱中度が高いと判定されたとき、前記判定閾値を小さくすることを特徴とする請求項2又は3に記載の運転支援装置。
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