JP6074707B2 - 貝孔あけ方法と孔あけ装置 - Google Patents

貝孔あけ方法と孔あけ装置 Download PDF

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Description

本願発明は帆立貝をはじめとする各種貝(主として二枚貝)の所定位置(帆立貝の場合は耳)に、孔をあける方法と孔あけ装置に関するものである。
帆立貝を耳吊り養殖する場合、帆立貝の耳に養殖用の貝係止具(「てぐす」を含む。)を差し込むための孔をあけている。孔あけ機として、本件出願人が先に出願した孔あけ機がある。特許文献1の孔あけ機は、保持具が無端チェーンに一定間隔で多数設けられており、それら保持具は二枚一対の挟着片が対向配置されて構成され、作業者が帆立貝を、耳を下にして二枚一対の挟着片間に差し込むと、帆立貝がそれら挟着片間に自動的に挟まれて所定位置まで搬送され、搬送方向先方に配置されているモータが帆立貝に向かって前進し、モータの先に装備されている回転中のドリルが帆立貝の耳に孔をあけ、孔あけが終了するとモータが後退してドリルが帆立貝の孔から抜けるようにしてある。前記挟着片間への帆立貝の差し込み、搬送、モータの前進、ドリルによる帆立貝への孔あけ、孔あけ後のモータの後退を繰り返して、連続搬送される帆立貝に1個ずつ孔をあけることができる。
特許文献2の孔あけ機は、孔あけ時に貝の搬送を一時減速させるため、孔あけの作業効率が悪かった。
特開2008−154405号公報 特公平8−4435号公報
従来の孔あけ機では、二枚一組の挟着片間の間隔が狭いため、貝を手で差し込むためには差し込むタイミングが重要であると同時に、熟練が必要であり、作業員の経験や技能によって、貝の差し込み枚数や孔あけ枚数に差が出る。熟練者であっても神経の使う作業であり、長時間の作業は重労働であった。
本願発明の解決課題は、貝を供給し易く、供給された貝の位置を自動的に修正でき、帆立貝の耳の一定位置(ほぼ一定位置を含む)に、孔をあけることがきる貝孔あけ方法とそれに使用する孔あけ装置を提供することにある。
本願発明の貝孔あけ方法は、搬送中の貝の孔あけ部(耳と殻の交差部付近)に回転中のドリル刃で孔をあける貝への孔あけ方法において、貝を一個ずつ縦向き(蝶番側を下向き、斜め下向き:明細書、特許請求の範囲において同じ)にして搬送し、搬送中の貝の孔あけ部を所定向きに位置決めし、その貝を位置決め状態に保持具で保持して搬送を継続し、その保持搬送中の貝の搬送方向と同じ方向に且つ貝搬送速度と同じ速度で、電動ドリルを同期移動させ、その同期移動中に電動ドリルを前進させて、回転中のドリル刃で前記保持搬送中の貝の孔あけ部に孔をあけ続け、孔あけ完了後にドリル刃を後退移動させて貝から抜いて、電動ドリルを元の位置に戻り移動させ、その電動ドリルを次に位置決め状態に保持搬送されてくる貝と同方向に同速で同期移動させて、当該貝の孔あけ部にその電動ドリルのドリル刃で孔をあけ続け、孔あけ完了後に貝からドリル刃を抜き、電動ドリルを戻り移動させて、順次搬送されてくる貝に孔をあけるようにした方法である。
本願発明の貝孔あけ方法は、チェーン、ベルト等の無端状の搬送体に設けられた受け部に貝を一個ずつ縦向きに投入し、その貝を搬送体の走行により縦向きに搬送して整列具に当てて、又は当該搬送中の貝に整列具を当てて、受け部内の貝の孔あけ部を所定向きに位置決めし、その貝を保持具で位置決め状態に保持しながら縦向きで搬送を継続し、その保持搬送中の貝の搬送方向と同じ方向に且つ貝搬送速度と同じ速度で、電動ドリルを同期移動させ、その同期移動中に電動ドリルを前進移動させて、電動ドリルのドリル刃で前記保持搬送中の貝の孔あけ部に孔をあけ続け、孔あけ完了後に電動ドリルのドリル刃を後退移動させて貝から抜いて、電動ドリルを元の位置に戻り移動させ、戻った電動ドリルを、位置決めされて保持搬送される次の貝と同方向に同速で同期移動させて、当該貝の孔あけ部に前記電動ドリルのドリル刃で孔をあけ続け、孔あけ完了後に貝からドリル刃を抜き、電動ドリルを戻り移動させて、順次搬送されてくる貝に孔をあけるようにすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法は、前記いずれかの貝孔あけ方法において、電動ドリルの後退移動、戻り移動を、前記前進移動、横移動よりも高速移動させて、ドリル刃を貝から抜け易くし、電動ドリルを次の貝への孔あけ開始前に元の位置に戻すのが好ましい。
本願発明の貝孔あけ方法は、前記いずれかの貝孔あけ方法において、貝の投入、搬送は、貝の白い面(養殖中の付着物が少ない面)を電動ドリルと反対側に向けて行うのが望ましいが、それと逆向きにすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法は、前記いずれかの貝孔あけ方法において、搬送体の受け部に貝を一個ずつ縦向きに投入して貝の蝶番側を下方から支持体で支持し、支持された貝を搬送体の走行によりその走行方向に貝を搬送し、搬送中の貝を搬送体に設けられた整列具に当てて、又は搬送中の貝に搬送体に設けられた整列具を当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めするようにしてもよい。
本願発明の貝孔あけ方法は、前記いずれかの貝孔あけ方法において、支持体を走行体とし、その支持体を搬送体の走行方向と同方向に、その走行速度よりも高速走行させて、搬送体で搬送される貝を搬送体の走行方向先方の整列具に当てて貝の孔あけ部を自動的に位置決めすることができる。
本願発明の貝孔あけ方法は、前記いずれかの貝孔あけ方法において、支持体を走行体とし、その支持体を搬送体の走行方向と逆方向に走行させて、搬送体で搬送される貝に搬送体の走行方向後方の整列具を当てるか、搬送体に設けられた整列具に貝を当てるかして、貝の孔あけ部を自動的に位置決めすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法は、前記いずれかの貝孔あけ方法において、支持体を固定とし、搬送体の走行により受け部内の貝を搬送して、走行方向後方にある整列具を搬送体で搬送される貝に当てて貝の孔あけ部を自動的に位置決めすることもできる。
本願発明の貝孔あけ装置は、貝の孔あけ部に回転中のドリル刃で孔をあける貝孔あけ装置において、貝を縦向きで搬送する無端状の搬送体と電動ドリルを備え、搬送体は貝を一個ずつ縦向きに投入できる受け部を搬送体の走行方向に二以上備え、受け部は上方開口の投入口を備え、電動ドリルは搬送体で搬送される貝と同方向に同速で同期移動して、搬送中の貝の孔あけ部にドリル刃で孔をあけ続け、孔あけ完了後に貝から抜けてから元の位置に戻って、搬送体により次に搬送されてくる貝の孔あけ部に孔をあけることができるようにしてある。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記貝孔あけ装置において、貝を縦向きで搬送する無端状搬送体と、電動ドリルと、貝を保持する保持具を備え、保持具は搬送体で搬送される貝と同方向に同速で同期移動して、電動ドリルのドリル刃が貝の孔あけ部に当たる前に搬送中の貝を保持し続け、電動ドリルは、前記保持具で保持され続けて搬送される貝と同方向に同速で同期移動して、保持搬送中の貝の孔あけ部にドリル刃で孔をあけ続け、ドリル刃が孔あけ完了後に貝から抜けてから元の位置に戻って、搬送体により次に搬送されてくる貝の孔あけ部に孔をあけるようにすることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、電動ドリルと保持具は搬送体に対向して配置され、電動ドリルと保持具を駆動させる駆動体を備え、駆動体は前記電動ドリルと保持具を一緒に、又は別々に搬送体側に前進移動させ、搬送体の走行方向へ横移動させ、搬送体から離れる方向へ後退移動させ、前進前の元位置への戻り移動させることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、搬送体が整列具を備え、整列具は、搬送体の走行により搬送される受け部内の貝が当たって、又は搬送体の走行により搬送される受け部内の貝に当たって、貝の孔あけ部を自動的に位置決めさせることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、縦向きで搬送される受け部内の貝の蝶番側をその下方から支持する支持体を備え、支持体は固定又は移動可能なものである。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記貝孔あけ装置において、支持体が横移動可能な走行体であり、搬送体と同じ方向に搬送体よりも高速移動して、受け部内の貝を搬送体に設けられた整列具に当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めできるようにすることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記貝孔あけ装置において、支持体が横移動可能な走行体であり、搬送体と逆方向に移動して、受け部内の貝を搬送体に設けられた整列具に当てるか、又は受け部内の貝に搬送体に設けられた整列具を当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めできるようにすることもできる。
本願発明の孔あけ装置は、前記貝孔あけ装置において、支持体が固定であり、固定の支持体で支持されている貝に、搬送体の走行により搬送体に設けられている整列具を当てて、又は固定の支持体で支持されている貝を搬送体に設けられている整列具に当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めできるようにすることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、搬送体が無端状の縦向き回転ベルトであり、支持体が横向き回転ベルトであり、縦向き回転ベルトと横向き回転ベルトを同方向又は逆方向に回転走行可能とすることもできる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、整列具が位置決め部を備え、位置決め部は貝の耳と殻との交差部の角度と同じ又は略同じ角度で「く」字状又は略「く」字状、又は「L」字状又は略「L」字状にしてあり、少なくとも搬送体で搬送される貝の交差部が当該整列具に当たって、貝の孔あけ部が自動的に位置決めされるようにしてある。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、整列具が棒状或いは筒状であり、少なくとも搬送体で搬送される貝の交差部が当該整列具に当たって、貝の孔あけ部が自動的に位置決めされるようにしてある。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、整列具が貝の大きさに合わせて高さ調節可能であり、貝の孔あけ部が整列具の位置決め部により自動的に位置決めされるようにしてある。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、整列具が受け部内に投入された貝の背面を支持することができる背面支持部を備え、平面支持部は搬送体での貝搬送中は搬送体に重なって貝を支持し、搬送体の回転方向転換部において当該搬送体の外側に突出して、支持されている貝を搬送体の外に排出することができ、搬送体の回転方向転換後はその搬送体の回転に伴って元の位置に戻って搬送体に重なるようにすることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、搬送体が案内具を備え、案内具は搬送体の受け部に投入される貝を整列具側に送る送り部を備え、案内具は整列具側に移動させて整列具との間隔調節可能とすることができる。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、搬送体の外側対向位置に側壁を設けて、搬送体の受け部内の貝が受け部の外側に倒れるのを側壁で阻止可能としてある。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、搬送体の上端側が電動ドリルの前進移動方向に下り傾斜して、受け部内の貝が搬送体に寄り掛ることができるようにしてある。
本願発明の貝孔あけ装置は、前記いずれかの貝孔あけ装置において、受け部が上下に貫通した箱状であり、上方貫通部が投入口、下方貫通部が貝の耳が突出して支持体に支持される突出口であり、前記箱状の受け部が搬送体の走行方向に二以上設けられたものである。
本願発明の貝孔あけ方法及び貝孔あけ装置は次のような効果がある。
(1)受け部の投入口が上向きに開口し、投入口及び受け部が貝の横幅よりも横長であるため、回転中の搬送体に貝を縦向きにして投入し易く、貝投入作業が容易になり、未熟練者であっても容易に投入でき、疲労も少ない。また、搬送中の受け部内の貝の傾きを直したりすることもできる。
(2)受け部に投入した貝が搬送中に整列具で自動的に整列されて、貝の孔あけ部が所定の向き(位置)に整列される(位置決めされる)ため、貝の孔あけ部に孔をあけることができる。
(3)位置決めされた貝を、保持具により、位置決めされた向きに保持することができるので、貝の孔あけ部への孔あけが確実にできる。
(4)保持具及び電動ドリルが前進移動、横移動、後退移動、戻り移動でき、横移動は搬送体の走行と同期して行われるため、搬送体で貝を搬送しながら電動ドリルで孔をあけることができ、貝の孔あけ作業の効率が向上する。
(5)整列具を高さ調節可能とした場合は、整列具の高さを貝の大きさに合わせて調節して、貝の大きさに拘わらず貝の耳の略一定箇所に孔をあけることができる。
(6)搬送体の回転方向転換時に、整列具の背面支持部が搬送体の外側に突出するようにした場合は、搬送体の回転方向転換時に貝を外側に自動的に排出することができ、孔あけ後の貝の回収が容易且つ確実にできる。
(7)受け部に投入する貝を整列具側に送る案内具を設けた場合は、受け部に投入された貝が整列具で整列され易くなる。
(8)案内具を整列具側に移動させて、整列具との間隔調節可能とした場合は、貝の大きさに合わせて間隔調整して、貝が縦向きのまま整列具で整列され易くすることができる。
(9)搬送体の外側に側壁を設けた場合は、搬送体の受け部内の貝が搬送体の外側に倒れるのを阻止することができ、受け部内の貝が搬送体の回転により確実に搬送される。
(10)搬送体の上端側を後方傾斜させて、受け部内の貝が搬送体に寄り掛ることができるようにした場合は、受け部内の貝の搬送が安定し、孔あけもし易くなる。
本願発明の貝孔あけ装置の一例を示す平面図。 本願発明の貝孔あけ装置において、(a)は搬送体の回転方向転換部の一例を示す斜視図、(b)は案内具の一例を示す斜視図、(c)は整列具の一例を示す斜視図。 本願発明の貝孔あけ装置の搬送体の一部正面図。 本願発明の貝孔あけ装置の搬送体の一部正面図であって、整列具を図3の整列具よりも高くした場合の正面図。 本願発明の貝孔あけ装置の搬送体付近の一部平面図。 本願発明の貝孔あけ装置の保持具と電動ドリルの位置関係を示すものであり、(a)は保持具が貝を押している状態の斜視図、(b)は保持具が貝を押し、電動ドリルで貝の耳に孔をあけている状体の斜視図。 (a)〜(d)は本願発明の貝孔あけ装置における保持具と電動ドリルの動作説明の平面図。 本願発明の貝孔あけ装置における搬送体の後傾状態を示すもので、孔あけ前の側面図。 本願発明の貝孔あけ装置における搬送体の後傾状態を示すもので、孔あけ中の側面図。 本願発明の貝孔あけ装置の他例を示す正面図。 本願発明の貝孔あけ装置の他例を示すもので、(a)は概要側面図、(b)、(c)は貝を溜めておくホッパーの異なる例の説明図。
[貝孔あけ方法の実施形態]
本願発明の貝孔あけ方法の一例を、搬送体が縦向き回転ベルトであり、支持体が横向き回転ベルトであり、貝が帆立貝の場合を、図面を参照して以下に説明する。
1.手作業により、帆立貝A(図1)を、一個ずつ、縦向きにして、回転中の搬送体(縦向き回転ベルト)1の受け部8(図1、図2(a))に投入する。
2.縦向き回転ベルト1の回転により、受け部8を回転させて、受け部8内の帆立貝Aを縦向きのまま横方向に搬送する。
3.前記搬送中の帆立貝Aの耳Cと殻Dの交差部付近(孔あけ部H)を、整列具4(図2)で所定の向き(位置)に整列(位置決め)させる。
4.位置決めさせた帆立貝Aを、保持具6(図6)で縦向き回転ベルト1に押し付けて、整列させた向きに保持する。
5.搬送される帆立貝Aに対向配置してある電動ドリル5を前進移動させて、電動ドリル5の回転中のドリル刃9で、搬送中の帆立貝Aの孔あけ部H(図3)に孔をあける。この場合、電動ドリル5を帆立貝Aの搬送方向に同期して(等速で)横移動させて、搬送中の帆立貝Aの孔あけ部Hに孔をあけ続ける。
6.孔あけ完了後も、保持具6での帆立貝Aの保持(縦向き)回転ベルト1への押し付け)を継続し、電動ドリル5を後退移動させてドリル刃9を帆立貝Aから抜き取り、抜き取り後に保持具6を後退させて貝の保持(縦回転ベルトへの押し付け)を開放する。
7.帆立貝Aからドリル刃9を抜いた電動ドリル5及び保持具6を、前進移動前の元の位置に戻り移動させる。
8.縦向き回転ベルト1の回転により次の帆立貝Aが送られてくると、保持具6と電動ドリル5を前記のように前進移動、横移動させて帆立貝Aの孔あけ部Hに孔をあけ、孔あけ後に後退移動、戻り移動させる。
9.前記1〜8の動作を繰返して、縦向き回転ベルト1で順次送られてくる帆立貝Aにドリル刃9で孔をあける。
10.前記電動ドリル5、保持具6の前記前進移動−横移動−後退移動−戻り移動は連続して循環移動し、元の位置に戻り移動した電動ドリル5及び保持具6は次の孔あけのために連続して前進移動するが、元の位置で一時停止させて次の孔あけのために待機状態とし、その後に次の孔あけのために前進移動するようにすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法は、次のようにすることもできる。
1.チェーン、ベルト等の無端状の搬送体(縦向き回転ベルト)1に設けられた受け部8に、帆立貝Aを一個ずつ縦向きに投入する。
2.前記帆立貝Aを縦向き回転ベルト1の走行により縦向きに搬送して、整列具4(図3)に当てて(押し当てて)、帆立貝Aの孔あけ部Hを位置決めする。
3.前記帆立貝Aを保持具6で位置決め状態に保持しながら縦向きで搬送し、その搬送中に電動ドリル5のドリル刃9で貝の孔あけ部Hに孔をあけ続ける。
4.孔あけ完了後に、電動ドリル5のドリル刃9を帆立貝Aから抜いて戻り移動させる。
5.ドリル刃9を抜いてから保持具6による帆立貝Aの保持を開放して、保持具6を戻り移動させる。
前記貝孔あけ方法では、前記2において、搬送中の帆立貝Aに整列具4を押し当てて、帆立貝Aの孔あけ部Hを位置決めすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法では、電動ドリル5の後退移動、戻り移動を、前記前進移動、横移動よりも高速移動させて、ドリル刃9を帆立貝Aから抜け易くし、電動ドリル5を次の帆立貝Aへの孔あけ開始前に元の位置に戻すこともできる。
本願発明の貝孔あけ方法では、前記帆立貝Aの投入、搬送は、帆立貝の白い面(養殖中の付着物が少ない面)を電動ドリル5と反対側に向けて行うのが望ましいが、それと逆向きにすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法では、縦向き回転ベルト1の受け部8に帆立貝Aを一個ずつ縦向きに投入して帆立貝Aの蝶番B側を下方から横向き回転ベルト2で支持し、縦向き回転ベルト1の走行によりその走行方向に帆立貝Aを搬送し、搬送中の帆立貝Aを縦向き回転ベルト1に設けられた整列具4に当てて、帆立貝Aの孔あけ部Hを自動的に位置決めすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法では、横向き回転ベルト2を、縦向き回転ベルト1の走行方向と同方向に、その走行速度よりも高速走行させて、縦向き回転ベルト1で搬送される帆立貝Aを、縦向き回転ベルト1の走行方向先方の整列具4に当てて帆立貝Aの孔あけ部Hを位置決めすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法では、横向き回転ベルト2を縦向き回転ベルト1の走行方向と逆方向に走行させることもできる。この場合も、縦向き回転ベルト1で搬送される帆立貝Aの交差部に、縦向き回転ベルト1の整列具4が当接して、帆立貝Aの孔あけ部Hが位置決めされるようにすることもできる。
本願発明の貝孔あけ方法では、支持体2を固定(走行できない板材、走行可能ではあるが走行させない走行体)とすることもできる。この場合も、縦向き回転ベルト1の走行により受け部8内の帆立貝Aを搬送して、縦向き回転ベルト1の整列具4と帆立貝Aの交差部が当接して帆立貝Aの孔あけ部Hが位置決めされるようにすることもできる。
[貝孔あけ装置の実施形態1]
(全体構成)
本願発明の貝孔あけ装置を、搬送体が縦向き回転ベルト、支持体が横向き回転ベルト、貝が帆立貝の場合を一例として、図面に基づいて説明する。
図示した貝孔あけ装置は、無端状の縦向き回転ベルト1(図1、図2(a))と、無端状の横向き回転ベルト2(図2(a))と、案内具3(図2(b))と、整列具4(図2(c))と、電動ドリル5(図1)と、保持具6(図1)と、駆動体7(図1)を備えている。
この貝孔あけ装置は、縦向き回転ベルト1及び横回転ベルト2の回転により、縦向き回転ベルト1の受け部8(図1、図2(a))内に投入された帆立貝A(図3)を、縦向き回転ベルト1及び横回転ベルト2の回転方向に搬送する。この場合、帆立貝Aの背面が縦向き回転ベルト1に凭れ掛って支持され(図8)、帆立貝Aの蝶番Bの底面が横向き回転ベルト2で支持されて(図8)、帆立貝Aが縦向きで搬送される。搬送中に帆立貝A(図3)の耳Cと殻Dの交差部E(図3)付近の孔あけ部Hが、整列具4により一定の向きに揃えられる。その帆立貝Aを保持具6で縦向き回転ベルト1に押し付けて、先に揃えた向きに保持しながら、帆立貝Aの交差部Eの近くの孔あけ部Hに、電動ドリル5を押し込んで孔をあけることができるようにしてある。
保持具6は電動ドリル5で帆立貝Aに孔をあける前に前進移動して(図7(a))、帆立貝Aを縦向き回転ベルト1に押し付けて、帆立貝Aを位置決めされた状態に保持する(図7(b))。電動ドリル5のドリル刃9は帆立貝Aに押し当てられて(図7(c))、孔あけ部Hに孔をあける。この場合、電動ドリル5及び保持具6を帆立貝Aの搬送と同期させて帆立貝Aの移動方向に横移動させて(図7(b)〜(d))、縦向き回転ベルト1と横向き回転ベルト2で搬送中の帆立貝Aに孔をあけ続けることができるようにしてある。電動ドリル5は孔あけ終了完了後に後退移動して帆立貝Aから抜けて、前進移動前の元の位置に戻るようにしてある(図7(a))。この孔あけ装置では、受け部8(図2(a))内への帆立貝Aの投入、投入後の搬送、保持具6での縦向き回転ベルト1への帆立貝Aの押し付け(保持)、電動ドリル5のドリル刃9での孔あけを繰返し行うことができる。
(縦向き回転ベルト)
縦向き回転ベルト1は無端状(リング状)であり、肉厚方向内面に凹凸10(図2(a))が一定間隔で形成されたタイミングベルトであり、肉厚方向外面に突起11((図2(a)))が一定間隔で突設されている。この縦向き回転ベルト1は二つの縦回転ドラム12(図1)の外周に巻かれて、縦回転ドラム12の凹凸13(図2(a))と縦向き回転ベルト1の凹凸10が嵌合し、縦回転ドラム12が回転すると縦向き回転ベルト1が矢印X方向(図2(a))に回転(二つの縦回転ドラム12の周囲を周回)するようにしてある。
縦向き回転ベルト1の隣接する二つの突起11(図2(a))のうち、回転方向後方の突起11の内側には案内具3(図2(a))が、回転方向先方の突起11の内側には整列具4(図2(a))が対向して取付けられており、対向する案内具3と整列具4の間の空間を、帆立貝Aを投入する受け部8(図2(a))としてある。受け部8の上方は帆立貝Aを投入する投入口14(図3)となっている。図3に示すように、受け部8は縦向き回転ベルト1の回転方向に横長であり、その横幅は帆立貝Aの殻D(図3)の横幅よりも広くして、帆立貝Aを投入し易くしてある。縦向き回転ベルト1は、図8に示すように、その上端側を電動ドリル5の前進移動方向に傾斜させて、縦向き回転ベルト1の受け部8内の帆立貝Aが縦向き回転ベルト1に寄り掛ることができるようにしてある。
(横向き回転ベルト)
横向き回転ベルト2(図2(a))は無端状(リング状)の平ベルトであり、二つの横回転ドラム15に巻かれて、横回転ドラム15が回転すると矢印Y方向(図2(a))に横回転するようにしてある。
横向き回転ベルト2は縦向き回転ベルト1の周回方向往路側(図1の作業者側と反対側)であって、図1の領域Lに図2(a)のように横向きに配置してある。この横向き回転ベルト2は縦向き回転ベルト1の下端面とほぼ同じ高さにして(図2(a))、縦向き回転ベルト1の受け部8内の帆立貝Aの蝶番Bの底面を支持できる(図6(a)、(b))ようにしてある。この横向き回転ベルト2は縦向き回転ベルト1と同じ方向に回転し、縦向き回転ベルト1の回転速度よりも高速回転できるようにしてある。この場合、図3のように、帆立貝Aをその耳Cを下向き、殻Dを上向き(縦向き)にして搬送して、帆立貝Aの耳Cの側面が整列具4の受け面16(図3)に確実に突き当たって、帆立貝Aの耳Cと殻Dとの交差部Eが整列具4の位置決め部17の略上にのり上げて、孔あけ部Hが一定(略一定)の向き(位置)に整列されるようにしてある。
(案内具)
案内具3(図2(a)、(b)、図3)は、手作業により縦向き回転ベルト1の受け部8に一個ずつ投入された帆立貝Aを、整列具4側に案内する(送る)ものであり、受け部8に投入された帆立貝Aが下り傾斜の送り部18に沿って滑落して、整列具4側に自動的に寄るようにしてある。
案内具3は、図2(b)に示すように、L字状の支持板19と、その前面に取付けられたガイド材20とから構成されている。支持板19は固定板部21とガイド材取付け部22がL字状に形成されており、固定板部21がその止め孔23(丸孔)に差し込まれたボルト(図示せず)と、そのボルトに螺合されたナット(図示せず)とにより、縦向き回転ベルト1の突起11の側面に固定されており、ガイド材取付け部22は縦向き回転ベルト1に固定されずにフリーの状態で縦向き回転ベルト1に重ねてある。
ガイド材20は図2(b)に示すように、水平な上面24と、上面24に連続する下り斜面18と、その下り斜面18に連続する底板27と、背面板28を備えている。背面板28は上面24、下り斜面18、側面26、底板27の内側奥に設けられている。背面板28は前記支持板19のガイド材取付け部22の手前に重ねてあり、ガイド材取付け部22に開口されている止め孔29(図2(b))から背面板28の横長孔31(図2(a))に止め具(ネジやボルト)30(図2(a))を差し込んで、その止め具(ボルト)30に螺合したナット32(図2(a))でガイド材取付け部22に固定してある。
図2(a)のナット32を緩めると、背面板28(図2(b))を横長孔31の長手方向に横スライドさせて、案内具3を整列具4に接近させたり、離したりすることができるようにしてある。接近させることにより整列具4との間隔が狭まって、受け部8の投入口14の間口(横幅)が狭くなって、殻Dの小さな帆立貝Aを投入するのに適するようになる。離すことによって整列具4との間隔が広がり、投入口14の間口(横幅)が広くなって、殻D(図3)の大きな帆立貝Aを投入するのに適するようになる。
支持板19とガイド材20を前記取付け構造とすることにより、縦向き回転ベルト1の回転に伴って、縦向き回転ベルト1の突起11が縦回転ドラム12の外側(方向転換部)に差し掛かると、支持板19のガイド材取付け部22が、図2(a)に示すように、縦向き回転ベルト1から離れて外側に突出して、縦向き回転ベルト1が縦回転ドラム12の外側を回転できるようにしてある。縦向き回転ベルト1の回転が進行して突起11が縦回転ドラム12の外側を回り終えると(方向転換部を通過し終えると)、ガイド材取付け部22が縦向き回転ベルト1に重なるようにしてある。
(整列具)
整列具4は図2(c)に示すように、緩やかな角度の位置決め部17を備えており、縦向き回転ベルト1の受け部8に投入されて搬送される帆立貝Aの耳Cと殻Dとの交差部E(図3)が位置決め部17の略上に乗り上げて位置合わせされて、帆立貝Aの向きが一定(略一定)の向きに自動的に揃うようにしてある。
整列具4はその固定板部33(図2(c))だけを縦向き回転ベルト1の突起11に固定し、縦向き回転ベルト1の外側に重なる受け板部34は縦向き回転ベルト1に固定せずにフリーの状態にしてある。この取付け構造とすることにより、縦向き回転ベルト1の回転に伴って、縦向き回転ベルト1の突起11が縦回転ドラム12(方向転換部)の外側に差し掛かると、(図2(a))のように、背面支持部34が縦向き回転ベルト1の外側に突出して受け板部34の手前の孔あけ後の帆立貝A(図2(a))が背面支持部34から外に排出されるようにしてある。その後、縦向き回転ベルト1が更に回転して縦回転ドラム12の外側をスムースに通過し、突起11が縦回転ドラム12の外側を回り終えると(方向転換部を通過し終えると)、背面支持部34が縦向き回転ベルト1側に戻って縦向き回転ベルト1に重なるようにしてある。
前記整列具4の固定板部33には二本の長孔(長溝)35(図2(c))が開口されており、固定板部33を長孔35の縦長方向に昇降スライドさせて、縦向き回転ベルト1の突起11への取付け位置(高さ)を調節可能としてある。取付け位置を高くすると位置決め部17(図2(a))の位置が高くなるため、その位置決め部17と大きな帆立貝Aの交差部E(図4)の位置が合い易くなって、大きな帆立貝Aを整列させるのに適し、取付け位置を低くすると位置決め部17の位置が低くなって、位置決め部17と小さな帆立貝Aの交差部E(図3)の位置が合い易くなって、小さな帆立貝Aを整列させるのに適する。
(電動ドリルと保持具)
電動ドリル5はドリル用モータM1の先に、チャックとかその他の連結具によりドリル(ドリル刃)9が取付けられており、ドリル用モータM1の回転によりドリル刃9が回転するようにしてある。この回転により帆立貝Aに孔をあけることができる。保持具6は電動ドリル5で帆立貝Aに孔をあけるときに、帆立貝Aが位置ずれしないようにするためのものであり、電動ドリル5で孔あけする前に、帆立貝Aを縦向き回転ベルト1に押し付けて、整列された向きに保持できるようにしてある。保持具6はゴム或いは樹脂製であり、帆立貝Aの殻Dに押し付け易い形状、構造、材質にしてある。電動ドリル5と保持具6は共通の支持具で駆動体7に取付けられて、駆動体7により一緒に駆動されるようにしてある。この場合、図7(a)に示すように、保持具6を電動ドリル5よりも先方に突出させておいて、電動ドリル5と保持具6を駆動体7で一緒に前進移動させたとき、保持具6が電動ドリル5よりも必ず先に帆立貝Aに押し当たるようにしてある。電動ドリル5及び保持具6は、図7(a)に示すように縦向き回転ベルト1に対向配置されている。保持具6の後方にはバネSが配置されている(図6(a)、(b)、図7(a))。
(駆動体)
駆動体7(図1)は、駆動モータM2(図1)の回転力を動力源として、縦向き回転ベルト1を矢印X方向(図2(a))に回転させ、横回転ベルト2を矢印Y方向(図2(a))に回転させることができる。また、電動ドリル5及び保持具6を、図7(b)、(c)に示すように、縦向き回転ベルト1側に前進移動させ、縦向き回転ベルト1の回転方向に横移動させ、縦向き回転ベルト1から離れる方向に後退移動させ(図7(d))、図7の仮想線で示すように前進前の元の位置に移動させる(戻す)ことができるようにしてある。前記横移動は縦向き回転ベルト1の回転速度と同期させて、搬送中の帆立貝Aに電動ドリル5で孔をあけ続けることができるようにしてある。
駆動体7は、駆動モータM2の回転により、駆動モータM2のプーリP1(図1)に掛けたタイミングベルトTで駆動体7に連結されているプーリP2(図1)を回転させ、そのプーリP2の先の歯車(ギヤ)G(図1)を回転させて、ギヤGと噛み合う縦回転ドラム12(図2)の回転軸のギヤ(図示せず)を回転させて、縦向き回転ベルト1を回転させる。
駆動体7は、プーリP2の回転を動力伝達機構(例えばギヤ:図示せず)により横回転ドラム15(図2)の回転軸のギヤ(図示せず)に伝達して当該横回転ドラム15を回転させて、横向き回転ベルト2を回転させる。
駆動体7は、駆動モータM2の回転を、図示しない動力伝達機構により、電動ドリル5及び保持具6に伝達して、それらを前進移動−横移動−後退移動−戻り移動させる。
(側壁)
前記貝孔あけ装置では、図1、図5、図11(a)に示すように、縦向き回転ベルト1の外側対向位置であって、横向き回転ベルト2の上方に側壁40を設けて、縦向き回転ベルト1の受け部8内の帆立貝Aが、縦向き回転ベルト1の外側に倒れるのを阻止できるようにしてある。側壁40は薄板を縦向きに対向配置してある。側壁40は図1の領域Lに設けて、受け部8内に投入された帆立貝Aへの孔あけが完了して、帆立貝Aが縦向き回転ベルト1の外側に排出されるまで、縦向き回転ベルト1の外側に倒れるのを阻止することができるようにしてある。
(貝孔あけ装置の使用例)
本願発明の貝孔あけ装置を使用して帆立貝の耳に孔をあける場合を以下に説明する。
(1)本願発明の貝孔あけ装置を作業場に設置する。この場合、図8、図9に示すように、縦向き回転ベルト1の上端側を、作業者50側に傾斜(後傾)させる。縦向き回転ベルト1は孔あけ領域が駆動体7のケース内を通過して連続回転するが、他の部分はケースの外に出ている。
(2)作業者50が、図1のように帆立貝Aを手で持って、一個ずつ、縦向きにして、回転中の縦向き回転ベルト1の投入口14から受け部8内に投入する。
(3)受け部8内に投入された帆立貝Aは、案内具3(図2(a))の下り斜面(送り部)18に沿って滑落して、帆立貝Aの殻Dが、図8のように縦向き回転ベルト1に凭れかかると共に図6(a)、(b)のように、蝶番B側が横向き回転ベルト2の上に支持される。
(4)帆立貝Aは、縦向き回転ベルト1と横向き回転ベルト2により、図1の矢印X方向に搬送される。このとき、横向き回転ベルト2の回転速度が縦向き回転ベルト1の回転速度よりも多少速いため(約1割程度:調整可)、帆立貝Aは縦向き状態に維持されて搬送されて、蝶番Bの側面が整列具4の受け面16に突き当たり(図3)、帆立貝Aの交差部Eが整列具の位置決め部17で位置決
めされて、帆立貝Aの耳Cが一定の向きに整列する。
(5)帆立貝Aの搬送が進行すると、図7(a)のように、縦向き回転ベルト1の手前の電動ドリル5と保持具6が共に帆立貝A側に前進して、図7(b)のように保持具6が帆立貝Aを縦向き回転ベルト1に押し付けて、帆立貝Aを縦向き回転ベルト1との間に保持する。このとき、保持具6はバネS(図6(a)、(b))で帆立貝A側に押されて帆立貝Aを確実に押し付ける。
(6)駆動体7により、電動ドリル5と保持具6とを更に前進させると、電動ドリル5が帆立貝Aの耳Cに押し当たって耳Cに孔をあける(図7(c))。このとき、バネSが圧縮されるため、保持具6が帆立貝Aを必要以上に押し付けて帆立貝Aが損傷することがない。
(7)帆立貝Aは電動ドリル5及び保持具6は電動ドリル5で孔をあけている間も、帆立貝Aの搬送方向に、帆立貝Aと同期として移動して、保持具6での押しを継続しながら、電動ドリル5で孔をあけ続ける。
(8)孔あけ終了後は、保持具6と電動ドリル5が共に帆立貝A側から後退して、図7(d)のように電動ドリル5が帆立貝Aから抜けてから保持具6が帆立貝Aから離れ、前進前の元の位置に戻って次の孔あけに入る。
(9)前記(2)〜(8)の動作の繰り返しにより、縦向き回転ベルト1と横向き回転ベルト2により搬送される帆立貝Aに順次孔をあけることができる。
(10)一つの帆立貝Aへの孔あけ時間(図7(a)〜(d)の時間)は調節可能であり、1分当たり100個前後の孔あけができるように、縦向き回転ベルト1、横向き回転ベルト2の回転速度を設定することができる。この回転速度は調節可能である。
(11)孔あけ後の帆立貝Aは、縦向き回転ベルト1と横向き回転ベルト2で搬送され続け、縦向き回転ベルト1が回転方向転換部(回転ドラムの外周)に差し掛かると、図2のように、整列具4の背面支持部34が縦向き回転ベルト1から離れて外側に突出し、帆立貝Aを外側に排出する。横向き回転ベルト2は図2(a)のように、縦回転ドラム12の手前で回転方向転換するため、整列具4の背面支持部34で排出される帆立貝Aは、横向き回転ベルト2で支持されなくなって落下する(回収される)。
[貝孔あけ装置の実施形態2:整列具]
前記実施形態1の整列具4は位置決め部17(図2(c))を備えたものであるが、整列具4はそれ以外の形状、構造であってもよく、例えば、図10のような丸棒或いは丸パイプであってもよい。帆立貝Aを所定の向きに整列できれば他の形状、構造であってもよい。
[貝孔あけ装置の実施形態3:ホッパー]
図1は、貝を一枚ずつ手に持って、縦向き回転ベルト1の受け部8内に投入する場合であるが、本発明では図11(a)のように、縦向き回転ベルト1の先方にホッパー45を配置しておき、ホッパー45内の帆立貝Aを作業者50が手で手前に引き寄せて、一個ずつ受け部8内に投入することもできる。ホッパー45は多数枚の帆立貝Aを入れておくことができれば、その形状や構造は特に問わないが、図11(b)、(c)のように出口46側を狭く(細く)して、帆立貝Aが一個ずつ、受け部8内に落下し易くなるようにするのが望ましい。
[貝孔あけ装置の実施形態4:支持体]
前記実施形態は、縦向きで搬送される受け部8内の帆立貝Aの蝶番B側をその下方から支持する支持体2を横向き回転ベルトとし、それを、縦向き回転ベルト1の走行方向と同じ方向に走行させる場合であるが、横向き回転ベルト2の走行方向は縦向き回転ベルト1の走行方向と逆方向にすることもできる。また、横向き回転ベルト2を走行させずに停止させておくこともできる。支持体2は横向き回転ベルトではなく、帆立貝Aの蝶番B側を下方から支持できるものであれば、板材やローラコンベア或いは他の物であってもよい。横向き回転ベルト2を縦向き回転ベルト1と逆方向に走行させるとか、支持体2を動きのない板材とすることにより、縦向き回転ベルト1に取付けてある整列具4が、縦向き回転ベルト1の走行により帆立貝Aの耳Cに押し当てられて、帆立貝Aの孔あけ部Hが所定位置に揃えられる(位置決めされる)ようにすることもできる。要は、支持体2で支持されて搬送体1で搬送され受け部8内の帆立貝Aと搬送体1の整列具4が当たって、貝の孔あけ部Hが所定位置(ドリル刃9で孔あけする位置)に位置決めされるようにすればよい。
[貝孔あけ装置の実施形態5:受け部]
図示した実施形態の受け部8は縦向き回転ベルト1の突起11間に設けてあるが、本発明の受け部8は上下に貫通した箱状で、上方貫通部を投入口、下方貫通部を帆立貝Aの耳Cが突出して、支持体(横向き回転ベルト)2で支持されるようにしたものであってもよい。この箱状の受け部8は搬送体1の走行方向に二以上設けることができる。
[貝孔あけ装置の実施形態6:搬送体]
本発明の搬送体1は縦回転ベルト以外であってもよく、例えば、平行に配列された二本以上の無端チェーンとか、平行に配列された二本以上の無端丸ベルト等であってもよい。これら搬送体を使用する場合は、それら無端チェーンとか、無端丸ベルト等の手前に、前記箱状の受け部8を取付けるのが適する。この場合、箱状の受け部8を無端チェーンとか、無端丸ベルト等の走行方向に二以上設けることになる。
図1の縦向き回転ベルト1は矢印X方向に回転走行するようにしてあるが、それと逆方向に回転走行させることもできる。図2の横向き回転ベルト2の回転も逆向きとすることができる。縦向き回転ベルト1及び横向き回転ベルト2の回転走行速度は、横向き回転ベルト2で蝶番B側が支持されて、帆立貝Aの殻D側が縦向き回転ベルト1で搬送される帆立貝Aが、縦向き回転ベルト1の整列具4と当たって、帆立貝Aの孔あけ部Hが所定位置に位置決めされるように、任意に設定することができる。
実施形態2〜6において、実施形態1と共通する形状、材質、構成等は、実施形態1と同じにすることができる。
前記実施形態の孔あけ装置は、本願発明の実施形態の一例であり、本願発明の目的を達成できれば、他の構造、形状、機構等とすることもできる。例えば、電動ドリル5と保持具6は別々に動くようにすることもできる。
1 搬送体(縦向き回転ベルト)
2 支持体(横向き回転ベルト)
3 案内具
4 整列具
5 電動ドリル
6 保持具
7 駆動体
8 受け部
9 ドリル刃
10 縦向き回転ベルトの凹凸
11 縦向き回転ベルトの突起
12 縦回転ドラム
13 回転ドラムの凹凸
14 (受け部の)投入口
15 横回転ドラム
16 (整列具の)受け面
17 (整列具の)位置決め部
18 (案内具の)送り部(ガイド材の下り斜面)
19 (案内具の)支持板
20 (案内具の)ガイド材
21 (支持板の)固定板部
22 (支持板の)ガイド材取付け部
23 (固定板部の)止め孔
24 (ガイド材の)上面
26 (ガイド材の)側面
27 (ガイド材の)底板
28 (ガイド材の)背面板
29 止め孔
30 止め具(ネジ、ボルト、ナット)
31 横長孔
32 ナット
33 (整列具の)固定板部
34 (整列具の)背面支持部
35 (整列具の)長孔
40 側壁
45 ホッパー
46 ホッパーの出口
50 作業者
A 帆立貝
B 帆立貝の蝶番
C 帆立貝の耳
D 帆立貝の殻
E 帆立貝の交差部
G ギヤ
H 孔あけ部
M1 ドリル用モータ
M2 駆動用モータ
P1 ドリル用モータのプーリ
P2 駆動体のプーリ
S バネ
T タイミングベルト

Claims (25)

  1. 搬送中の貝の孔あけ部に回転中のドリル刃で孔をあける貝孔あけ方法において、
    貝を一個ずつ縦向きにして搬送し、搬送中に貝の孔あけ部を所定位置に位置決めし、
    位置決めした貝を縦向きで搬送し、搬送中の貝を位置決め状態に保持具で保持して搬送を継続し、
    前記保持搬送中の貝の搬送方向と同じ方向に且つ貝搬送速度と同じ速度で、電動ドリルを同期移動させ、その同期移動中に電動ドリルを前進移動させて、電動ドリルのドリル刃で前記保持搬送中の貝の孔あけ部に孔をあけ続け、
    孔あけ完了後にドリル刃を後退移動させて貝から抜いて、電動ドリルを元の位置に戻り移動させ、
    戻った電動ドリルを、位置決めされて保持搬送される次の貝と同方向に同速で同期移動させて、当該貝の孔あけ部に前記電動ドリルのドリル刃で孔をあけ続け、
    孔あけ完了後に貝からドリル刃を抜き、電動ドリルを戻り移動させて、順次搬送されてくる貝に孔をあける、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  2. 搬送中の貝の孔あけ部に回転中のドリル刃で孔をあける貝孔あけ方法において、
    無端状の搬送体に設けられた受け部に貝を一個ずつ縦向きに投入し、
    前記貝を搬送体の走行により縦向きに搬送し、搬送中に受け部内の貝を整列具に当てて、又は受け部内の貝に整列具を当てて、受け部内の貝の孔あけ部を所定位置に位置決めし、
    前記位置決めされた貝を、保持具で位置決め状態に保持しながら縦向きで搬送を継続し、
    前記保持搬送中の貝の搬送方向と同じ方向に且つ貝搬送速度と同じ速度で、電動ドリルを同期移動させ、その同期移動中に電動ドリルを前進移動させて、電動ドリルのドリル刃で前記保持搬送中の貝の孔あけ部に孔をあけ続け、
    孔あけ完了後にドリル刃を後退移動させて貝から抜いて、電動ドリルを元の位置に戻り移動させ、
    戻った電動ドリルを、位置決めされて保持搬送される次の貝と同方向に同速で同期移動させて、当該貝の孔あけ部に前記電動ドリルのドリル刃で孔をあけ続け、
    孔あけ完了後に貝からドリル刃を抜き、電動ドリルを戻り移動させて、順次搬送されてくる貝に孔をあける、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の貝孔あけ方法において、
    電動ドリルの後退移動、戻り移動を、前進移動、横移動よりも高速移動させて、ドリル刃を貝から抜け易くし、電動ドリルを次の貝への孔あけ開始前に元の位置に戻すようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貝孔あけ方法において、
    貝の投入、搬送は、貝の白い面を電動ドリルと反対側に向けて行うか、それと逆向きにする、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の貝孔あけ方法において、
    搬送体の受け部に貝を一個ずつ縦向きに投入して、貝の蝶番側を下方から支持体で支持し、
    支持された貝を搬送体の走行によりその走行方向に搬送し、
    搬送中の貝を搬送体に設けられた整列具に当てて、又は搬送中の貝に搬送体に設けられた整列具を当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めする、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貝孔あけ方法において、
    支持体を走行体とし、その支持体を搬送体の走行方向と同方向に、搬送体の走行速度よりも高速走行させて、搬送体で搬送される貝を搬送体の走行方向先方の整列具に当てて貝の孔あけ部を自動的に位置決めする、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貝孔あけ方法において、
    支持体を走行体とし、その支持体を搬送体の走行方向と逆方向に走行させて、搬送体で搬送される貝に搬送体に設けられた整列具を当てるか、搬送体に設けられた整列具を貝に当てるかして、貝の孔あけ部を自動的に位置決めする、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貝孔あけ方法において、
    支持体を固定とし、搬送体の走行により受け部内の貝を搬送して、走行方向後方にある整列具を搬送体で搬送される貝に当てて貝の孔あけ部を自動的に位置決めする、
    ことを特徴とする貝孔あけ方法。
  9. 貝の孔あけ部に回転中のドリル刃で孔をあける貝孔あけ装置において、
    貝を縦向きで搬送する無端状の搬送体と、電動ドリルを備え、
    搬送体は貝を一個ずつ縦向きに投入できる受け部を、搬送体の走行方向に二以上備え、
    受け部は上方開口の投入口を備え、
    電動ドリルは搬送体で搬送される貝と同方向に同速で同期移動して、搬送中の貝の孔あけ部にドリル刃で孔をあけ続け、ドリル刃が孔あけ完了後に貝から抜けてから元の位置に戻って、搬送体により次に搬送されてくる貝の孔あけ部に孔をあけることができるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  10. 貝の孔あけ部に回転中のドリル刃で孔をあける貝孔あけ装置において、
    貝を縦向きで搬送する無端状の搬送体と、電動ドリルと、貝を保持する保持具を備え、
    保持具は搬送体で搬送される貝と同方向に同速で同期移動して、電動ドリルのドリル刃が貝の孔あけ部に当たる前に搬送中の貝を保持し続け、
    電動ドリルは、前記保持具で保持され続けて搬送される貝と同方向に同速で同期移動して、保持搬送中の貝の孔あけ部にドリル刃で孔をあけ続け、ドリル刃が孔あけ完了後に貝から抜けてから元の位置に戻って、搬送体により次に搬送されてくる貝の孔あけ部に孔をあけることができるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  11. 請求項9又は請求項10記載の貝孔あけ装置において、
    電動ドリルと保持具は搬送体に対向して配置され、
    前記電動ドリルと保持具を駆動させる駆動体を備え、
    駆動体は前記電動ドリルと保持具を一緒に、又は別々に搬送体側に前進移動させ、搬送体の走行方向へ横移動させ、搬送体から離れる方向へ後退移動させ、前進前の元位置への戻り移動させることができる、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  12. 請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    搬送体が整列具を備え、整列具は、搬送体の走行により搬送される受け部内の貝が当たって、又は搬送体の走行により搬送される受け部内の貝に当たって、貝の孔あけ部を自動的に位置決めさせることができる、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  13. 請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    縦向きで搬送される受け部内の貝の蝶番側を、その下方から支持する支持体を備え、
    支持体は固定又は移動可能である、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  14. 請求項13記載の貝孔あけ装置において、
    支持体が横移動可能な走行体であり、搬送体と同じ方向に搬送体よりも高速移動して、受け部内の貝を搬送体に設けられた整列具に当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めできる、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  15. 請求項13記載の貝孔あけ装置において、
    支持体が横移動可能な走行体であり、搬送体と逆方向に移動して、受け部内の貝を搬送体に設けられた整列具に当てるか、又は受け部内の貝に搬送体に設けられた整列具を当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めできるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  16. 請求項13記載の貝孔あけ装置において、
    支持体が固定であり、固定の支持体で支持されている貝に、搬送体の走行により搬送体に設けられている整列具を当てて、又は固定の支持体で支持されている貝を搬送体に設けられている整列具に当てて、貝の孔あけ部を自動的に位置決めできるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  17. 請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    搬送体が無端状の縦向き回転ベルトであり、支持体が横向き回転ベルトであり、縦向き回転ベルトと横向き回転ベルトを同方向又は逆方向に回転走行可能とした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  18. 請求項9から請求項17のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    整列具が位置決め部を備え、位置決め部は貝の耳と殻との交差部の角度と同じ又は略同じ角度で「く」字状又は略「く」字状、又は「L」字状又は略「L」字状であり、少なくとも搬送体で搬送される貝の交差部付近が当該整列具に当たって、貝の孔あけ部が自動的に位置決めされるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  19. 請求項9から請求項17のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    整列具が棒状或いは筒状であり、少なくとも搬送体で搬送される貝の交差部付近が当該整列具に当たって、貝の孔あけ部が自動的に位置決めされるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  20. 請求項9から請求項19のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    整列具が貝の大きさに合わせて高さ調節可能であり、貝の孔あけ部が整列具の位置決め部により自動的に位置決めされるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  21. 請求項9から請求項20のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    整列具が受け部内に投入された貝の背面を支持することができる背面支持部を備え、
    前記背面支持部は搬送体での貝搬送中は搬送体に重なって貝を支持でき、搬送体の回転方向転換部において当該搬送体の外側に突出して、支持されている貝を搬送体の外に排出でき、搬送体の回転方向転換後は搬送体の回転に伴って元の位置に戻って搬送体に重なるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  22. 請求項9から請求項21のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    搬送体が案内具を備え、案内具は搬送体の受け部に投入される貝を整列具側に送る送り部を備え、案内具は整列具側に移動させて整列具との間隔調節可能とした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  23. 請求項9から請求項22のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    搬送体の外側対向位置に側壁を設けて、搬送体の受け部内の貝が受け部の外側に倒れるのを側壁で阻止可能とした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  24. 請求項9から請求項23のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    搬送体の上端側が、電動ドリルのドリル刃の前進移動方向に下り傾斜になっていて、受け部内の貝が搬送体に寄り掛ることができるようにした、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
  25. 請求項13から請求項24のいずれか1項に記載の貝孔あけ装置において、
    受け部が上下に貫通した箱状であり、上方貫通部が投入口、下方貫通部が貝の耳が突出して支持体に支持される突出口であり、
    前記箱状の受け部が搬送体の走行方向に二以上設けられた、
    ことを特徴とする貝孔あけ装置。
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