JP6072946B1 - 鋼床版及び道路橋 - Google Patents

鋼床版及び道路橋 Download PDF

Info

Publication number
JP6072946B1
JP6072946B1 JP2016016696A JP2016016696A JP6072946B1 JP 6072946 B1 JP6072946 B1 JP 6072946B1 JP 2016016696 A JP2016016696 A JP 2016016696A JP 2016016696 A JP2016016696 A JP 2016016696A JP 6072946 B1 JP6072946 B1 JP 6072946B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rib
vertical
deck plate
stress
ribs
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016016696A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017133331A (ja
Inventor
耕一 横関
耕一 横関
冨永 知徳
知徳 冨永
千壽 三木
千壽 三木
弘実 白旗
弘実 白旗
史朗 齊藤
史朗 齊藤
俊輔 渡邉
俊輔 渡邉
正浩 江崎
正浩 江崎
政弘 松下
政弘 松下
肇 橘
肇 橘
啓介 中本
啓介 中本
拓志 熊野
拓志 熊野
岡田 淳
淳 岡田
田中 裕二
裕二 田中
伸尚 田中
伸尚 田中
石井 博典
博典 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Kobe Steel Ltd
JFE Engineering Corp
Nippon Steel Corp
IHI Infrastructure Systems Co Ltd
Kawada Industries Inc
Original Assignee
JFE Steel Corp
Kobe Steel Ltd
JFE Engineering Corp
Nippon Steel Corp
IHI Infrastructure Systems Co Ltd
Kawada Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp, Kobe Steel Ltd, JFE Engineering Corp, Nippon Steel Corp, IHI Infrastructure Systems Co Ltd, Kawada Industries Inc filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2016016696A priority Critical patent/JP6072946B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6072946B1 publication Critical patent/JP6072946B1/ja
Publication of JP2017133331A publication Critical patent/JP2017133331A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bridges Or Land Bridges (AREA)

Abstract

【課題】き裂が発生するのを抑えた耐久性の高い鋼床版を提供する。【解決手段】デッキプレート11と、平板状に形成されて第一の方向Xに延び、デッキプレートの下方に配置されてデッキプレートに接合されている縦リブ12と、第一の方向に交差する第二の方向Zに延びる横リブ13と、を備える鋼床版10であって、横リブは、デッキプレートの下方に配置されてデッキプレートに接合されているウェブ16と、ウェブの下端部に接合されているフランジと、を有し、縦リブは、横リブのウェブの上端部に形成された切欠き16aに挿通され、横リブの切欠きの縁部と縦リブとにそれぞれ接合されて切欠きを封止している接続部14を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、鋼床版及び道路橋に関する。
鋼床版は、その軽量性から、死荷重低減が求められる長大橋や軟弱地盤地域での道路橋等に有効である。この種の鋼床版として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1の鋼床版は、デッキプレートと、デッキプレートを支持する複数の縦リブ及び横リブとを備えている。横リブには切欠きが形成され、この切欠きに縦リブが挿通されている。縦リブは、横リブの切欠きの一方の縁部に沿って溶接接合されている。このとき、横リブの切欠きの他方の縁部と縦リブとは離れていて、隙間が形成されている。
横リブに切欠きを形成することで、縦リブと横リブとを組み立てやすくしている。
特許第4823966号公報
しかしながら、特許文献1の鋼床版では、大きな変動応力が作用する場合や、自動車の交通量が多く応力繰返し回数が多い場合等には、横リブの切欠きの縁部から疲労によるき裂が発生する恐れがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、き裂が発生するのを抑えた耐久性の高い鋼床版及び道路橋を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の鋼床版は、デッキプレートと、平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、を備える鋼床版であって、前記横リブは、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、を有し、前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(1)式から(3)式を満たすように設定されていることを特徴としている。
Figure 0006072946
なお、max(A1,A2)は、A1及びA2のうち大きい方の値(A1とA2とが等しい場合には、どちらの値でもよい)を意味する。
この発明によれば、接続部が横リブの切欠きの縁部と縦リブとにそれぞれ接合されることで、切欠きが封止されている。このため、横リブの切欠きが形成されている部分に応力が集中しにくくなり、横リブや縦リブからき裂が発生するのを抑えて鋼床版の耐久性を高くすることができる。
また、Δσ' p,est 及びΔσ' t,est のうち大きい方の値が、補正ホットスポット応力範囲に換算した疲労限度以下になるため、応力繰返し回数によらずき裂が発生するのを抑制することができる。
また、本発明の他の鋼床版は、デッキプレートと、平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、を備える鋼床版であって、前記横リブは、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、を有し、前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、前記接続部には、止端処理部が設けられ、前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(4)式から(6)式を満たすように設定されていることを特徴としている。
Figure 0006072946
この発明によれば、接続部が横リブの切欠きの縁部と縦リブとにそれぞれ接合されることで、切欠きが封止されている。このため、横リブの切欠きが形成されている部分に応力が集中しにくくなり、横リブや縦リブからき裂が発生するのを抑えて鋼床版の耐久性を高くすることができる。
また、接続部に止端処理部が設けられていることで、応力繰返し回数によらず接続部からき裂が発生するのをより確実に抑制することができる。
また、上記の鋼床版において、(7)式を満たすように設定されていてもよい。
Figure 0006072946
この発明によれば、縦リブの板厚tpに対して縦リブの高さhpが長くなり過ぎて縦リブの強度が低下するのを抑えることができる。
また、上記の鋼床版において、前記接続部において、ルート間隔の合計を4mm以下としてもよい。
この発明によれば、制作時に縦リブが変形、位置ずれした場合等に、縦リブが横リブの切欠きに挿入されにくくなることを抑え、鋼床版の製作性を向上させることができる。
また、本発明の道路橋は、上記のいずれかの鋼床版を用いたことを特徴としている。
この発明によれば、鋼床版にき裂が発生するのが抑えられることで、道路橋の耐久性を向上させることができる。
本発明の鋼床版及び道路橋によれば、き裂が発生するのを抑えて耐久性を高くすることができる。
本発明の第1実施形態の道路橋の斜視図である。 同道路橋の鋼床版の要部の斜視図である。 本発明の第2実施形態の道路橋の検討に用いられる疲労寿命に対する補正前のホットスポット応力範囲の関係を表す図である。 疲労寿命に対する補正後のホットスポット応力範囲の関係を表す図である。 同道路橋の解析モデルの平面図である。 図5のVI−VI線に相当する断面図である。 同道路橋の要部の断面図である。 (Lp,l/Ip)の値とΔσ'pとの関係を表す図である。 横リブ側の溶接止端に最大応力が発生する状態を説明するための同道路橋の斜視図である。 /(t )の値とσ't,maxとの関係を表す図である。 横リブ側の溶接止端の最小応力の膜応力成分を説明するための同鋼床版の斜視図である。 横リブ側の溶接止端の最小応力の膜応力成分を説明するための同鋼床版の側面図である。 横リブ側の溶接止端の最小応力の曲げ応力成分を説明するための同鋼床版の斜視図である。 横リブ側の溶接止端の最小応力の曲げ応力成分を説明するための同鋼床版の側面図である。 (1/C)の値とσ't,min,memとの関係を表す図である。 /I/(h−h)の値とσ't,min,benとの関係を表す図である。 Δσ't,estとΔσ'tとの関係を表す図である。 縦リブの支間長が1500mmの場合の(12)式を満たす部材の寸法の例を示す図である。 縦リブの支間長が2000mmの場合の(12)式を満たす部材の寸法の例を示す図である。 縦リブの支間長が1500mmの場合の(15)式を満たす部材の寸法の例を示す図である。 縦リブの支間長が2000mmの場合の(15)式を満たす部材の寸法の例を示す図である。 疲労試験に用いた同道路橋の平面図である。 疲労試験に用いた同道路橋の側面図である。 疲労試験に用いた同道路橋の正面図である。 疲労試験に用いたタイヤの配置を説明する図である。 縦リブの支間長が2250mmの場合の(12)式を満たす部材の寸法の例を示す図である。 止端処理部の窪みを説明する断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る道路橋の第1実施形態を、図1から図2を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の道路橋1は、本鋼床版10と、鋼床版10の下方に配置されて鋼床版10を支持する主桁25と、主桁25を支持する図示しない下部工と、を備えている。なお、道路橋1は橋軸方向(第一の方向)Xに延び、道路橋1の幅方向が橋軸直交方向(第二の方向)Zとなる。橋軸直交方向Zは、橋軸方向Xに直交(交差)する方向である。これら橋軸方向X及び橋軸直交方向Zは、鋼床版10の後述するデッキプレート11の主面11aに沿う方向である。
橋軸方向X及び橋軸直交方向Zにそれぞれ直交する方向が、例えば鉛直方向Yとなる。
図1及び図2に示すように、鋼床版10は、デッキプレート11と、橋軸方向Xに延び、デッキプレート11の下方に配置されてデッキプレート11に接合されている複数の縦リブ12と、橋軸直交方向Zに延びる複数の横リブ13と、縦リブ12と横リブ13とにそれぞれ接合された溶接部(接続部)14と、を備えている。なお、図2中には縦リブ12の下端部の拡大図を示している。
デッキプレート11は鋼板等で形成され、橋軸方向X及び橋軸直交方向Zにそれぞれ延びている。
各縦リブ12は、鋼板等により橋軸方向X及び鉛直方向Yに延びる平板状に形成されている。複数の縦リブ12は、橋軸直交方向Zに間隔をおいて配置されている。縦リブ12は、溶接等によりデッキプレート11に接合されている。
各横リブ13は、デッキプレート11の下方に配置されたウェブ16と、ウェブ16の下端部に接合されているフランジ17と、を有している。ウェブ16は、橋軸直交方向Z及び鉛直方向Yに延びる平板状に形成されている。ウェブ16の上端部には、鉛直方向Yに延びるとともにウェブ16を貫通する切欠き16aが形成されている(図2中の拡大図参照)。
ウェブ16及びフランジ17は鋼板等により形成されている。ウェブ16とフランジ17とは、溶接等により接合されている。複数の横リブ13は、橋軸方向Xに間隔をおいて配置されている。
ウェブ16の上端部における切欠き16a以外の部分は、溶接等によりデッキプレート11に接合されている。横リブ13の切欠き16aには、縦リブ12が挿通されている。
溶接部14は、横リブ13の切欠き16aの縁部と縦リブ12とにそれぞれ接合され、上方が開口したU字形に形成されている。溶接部14は、切欠き16aのうち縦リブ12が配置されていない部分を封止している。切欠き16aが溶接部14により封止されていることで、切欠き16aが外部から見えなくなっている。
溶接部14は、ウェブ16の両面に設けられることが好ましいが、ウェブ16の片面に設けられてもよい。溶接部14において、ルート間隔の合計は、2mmを超え4mm以下となってもよい。ここで言うルート間隔とは、横リブ13のウェブ16と縦リブ12の間のすき間を意味し、ルート間隔の合計とは、横リブ13のウェブ16に設けられた切欠き16aの幅(橋軸直交方向Zの寸法)から縦リブ12の板厚を差引いた長さを意味する。
従来は、ルート間隔の合計を2mm以下としていた。本実施形態では、ルート間隔の合計を大きくすることで、鋼床版10の製作時に縦リブ12が変形、位置ずれした場合等に、縦リブ12が切欠き16aに挿入されにくくなることを抑えることができるため、鋼床版10の製作性が向上する。
ただし、ルート間隔の合計が従来に比して大きくなる分だけ、後述する溶接脚長を増加させることで溶接部14の強度を確保することが好ましい。また、ルート間隔の合計を大きくすることで溶接性が低下する場合には、溶接接合部に適切な開先を設けることもできる。開先とは溶接される部材の端部の形状であり、部材の板厚部が露出している端面と板表面とが成す角を面取り加工するものなどが代表的である。ルート間隔の合計を大きくした場合にも、上記の様に溶接脚長を増加させることで十分な疲労強度を確保できることが、後述の疲労試験によって確認された。
本実施形態では、主桁25は橋軸方向Xに延び、橋軸直交方向Zに間隔をおいて一対配置されている。下部工は基礎や支柱等から構成され、主桁25を下方から支持している。鋼床版10と主桁25、主桁25と下部工は、溶接やボルト等の締結構造により接合されている。
以上のように構成された道路橋1では、鋼床版10上を自動車等が走行することで鋼床版10に応力が繰返し作用する。しかしながら、横リブ13の切欠き16aが溶接部14により封止されていることで、横リブ13の切欠き16aが形成されている部分に応力が集中しにくくなる。
以上説明したように、本実施形態の鋼床版10及び道路橋1によれば、溶接部14が横リブ13の切欠き16aの縁部と縦リブ12とにそれぞれ接合されることで、切欠き16aが封止されている。切欠き16aを封止することで、横リブ13もしくは縦リブ12が切欠き16aの端部で局所的に変形することを抑止できるため、横リブ13の切欠き16aが形成されている部分に応力が集中しにくくなり、横リブ13や縦リブ12からき裂が発生するのを抑えて鋼床版10の耐久性を高くすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3から図26を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の道路橋2(図5参照)では、鋼床版10の各寸法や断面二次モーメント等を設定することで、鋼床版10の耐久性をさらに向上させる検討を行った。
以下では、その検討結果について説明する。
〔1.許容される応力範囲の設定〕
溶接継手の疲労設計では、公称応力範囲が、疲労強度を超えないように設計することが多い。ここで言う公称応力とは、溶接継手近傍で起きる応力集中の影響を受けない箇所での作用応力のことを意味する。疲労強度とは、応力を所定の繰返し数だけ繰り返し作用させても疲労破壊を起こさない応力範囲の上限値のことを意味する。また、応力範囲とは、応力の時系列での最大値と最小値の差のことを意味する。ただし、疲労強度は、継手の形状によって異なる。一方で、本発明では、応力算出時に、溶接継手部での応力集中を考慮できる、公知のホットスポット応力を用いて検討を行った。ホットスポット応力を用いることで、様々な継手形状の疲労設計を共通の疲労強度によって行うことができることが知られている。
ホットスポット応力は、継手形状の公称応力に、継手形状の形状による応力集中係数を掛けた値として規定される。
以下では、まず、本実施形態で使用される主な記号についてまとめて示す。
a:溶接部の幅(mm)
i:定数
p:縦リブの間隔(mm)
p:縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の縦リブの中心からの中立軸高さ(mm)
p:縦リブの高さ(mm)
t:横リブのウェブの高さ(mm)
p:縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメント(mm
K:応力集中係数
p:縦リブの支間長(横リブの間隔)(mm)
p:縦リブの横リブとの交差部に働くモーメント(Nmm)
d:デッキプレートの板厚(mm)
p:縦リブの板厚(mm)
t:横リブのウェブの板厚(mm)
t:縦リブと横リブとの交差部での横リブのウェブの面外たわみ量(mm)
p,l:縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離(mm)
δA,δB:横リブのウェブの領域A,Bの鉛直方向の変形量(mm)
Δ〜:〜の最大値と最小値の差(範囲)
θp:縦リブと横リブとの交差部での縦リブの回転角(radian)
σa:公称応力範囲(N/mm
σb:縦リブと横リブとの交差部の縦リブの下端と横リブとの接続部の横リブ側に発生する応力(N/mm
σf:公称応力に対する疲労強度(N/mm
σ'f:ホットスポット応力に対する疲労強度(N/mm
σh:ホットスポット応力(N/mm
σ'h:板厚および曲げの影響を考慮して補正した後のホットスポット応力(N/mm
σ(y),τ(y):横リブのウェブに発生する直応力、せん断力(N/mm)。横リブのウェブの下端を0とした鉛直y軸の関数として表した。
Δσ'p,est:縦リブ側の溶接止端に作用する補正ホットスポット応力範囲の評価値(N/mm
Δσ't,est:横リブ側の溶接止端に作用する補正ホットスポット応力範囲の評価値(N/mm
σ't,min,mem:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の膜応力成分(N/mm
σ't,min,ben:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の曲げ応力成分(N/mm
σ't,max:横リブ側の溶接止端に作用する最大補正ホットスポット応力(N/mm
σ't,min,mem,est:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の膜応力成分の評価値(N/mm
σ't,min,ben,est:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の曲げ応力成分の評価値(N/mm
σ't,max,est:横リブ側の溶接止端に作用する最大補正ホットスポット応力の評価値(N/mm
なお、「溶接部の幅a」は、図2中の拡大図に示す、ウェブ16の厚さ方向(橋軸方向X)に見たときの溶接部14の幅を意味する。言い換えれば、溶接部の幅aは縦リブ12と横リブ13との交差部での溶接脚長である。
「デッキプレートの有効幅」は、図7に示すように、デッキプレート11における複数の縦リブ12のピッチ分の長さWdを意味する。
「縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面」は、図7にハッチングで示した、1つの縦リブ12と有効幅Wdのデッキプレート11による領域Sを意味する。
「縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離yp,l」は、図7に示すように、ハッチングで示した断面の中立軸Cから縦リブ12の下端までの距離を意味する。
縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の断面係数Zp(mm)は、(Ip/yp,l)と規定される。
鋼床版は、比較的薄い鋼板で形成され、かつ板の曲げが支配的となって応力が発生する場合が多い。疲労強度は板厚(t)や曲げの影響を受けて変動することが知られている。前述の特許文献1においては、t≧25mmの場合には応力範囲を(t/25)0.25倍することで板厚の影響を考慮し、応力範囲に占める曲げ応力を0.8倍することで曲げの影響を考慮する方法が提案されている。
本実施形態では、図3に示すように、既往の様々な形状の試験体での疲労試験結果、及び今回の鋼床版に関する疲労試験結果を収集した。図3の横軸は疲労寿命を表し、縦軸は曲げ及び板厚の補正を考慮する前のホットスポット応力範囲Δσhを表す。図中、未破断試験打切りは、繰り返し回数において試験片が破断しなかったが試験を打ち切ったことを意味する。JSSCは、一般社団法人日本鋼構造協会のことを意味する。
収集した疲労試験結果に基づいて、ホットスポット応力範囲と疲労寿命の関係を調査した。その結果、図4に示すように、(8)式によって板厚、曲げの影響を考慮できることがわかった。図4の横軸は疲労寿命を表し、縦軸は曲げ及び板厚の補正を考慮した後のホットスポット応力範囲Δσ'hを表す。
Figure 0006072946
以降では、(8)式による補正後のホットスポット応力を補正ホットスポット応力と呼称し記号σ'hで表わす。
ここで、σh,mem、σh,benは、ホットスポット応力に占める膜応力成分、曲げ応力成分を示す。図4の縦軸において、Δσ'hが62N/mmの線が、疲労限度となっている。疲労限度とは、疲労強度のうち、応力を何回繰り返し作用させても疲労破壊を起こさない応力範囲の上限値のことを意味する。
また、図4の縦軸に示す補正ホットスポット応力範囲が、日本鋼構造協会編、「鋼構造物の疲労設計指針・同解説」、2012年6月発行(以下、文献2と称する)の定めるE等級の疲労強度を下限とした分布となった。このため、補正ホットスポット応力が、E等級の一定振幅疲労限度(62N/mm)以下となることを設計クライテリアとし、(9)式を得た。ここで、一般社団法人日本鋼構造協会が定める疲労強度の 等級とは、溶接継手もしくはその他の疲労き裂発生個所を、その疲労強度に応じて分類する際に用いるものである。等級が高いほど疲労強度が高く、すなわち同様の公称応力が生じていても長い疲労寿命を得ることができる。
Figure 0006072946
ただし、文献2によると、溶接部14等に止端処理部30が施された場合には、その止端処理が施された部分については、疲労強度が1等級程度以上向上するとされる。ここで、止端処理とは、塑性加工又は研削により、もともとの母材と溶接金属の境界面が表面にて露出した線が加工または除去されることをいう。
この実施形態の場合、溶接部14等に止端処理部30(図2中の拡大図参照)を設けている。止端処理部30に施される止端処理としては、例えば、溶接部14を溶接した後の溶接止端14a、14bに対してグラインダー、ピーニング、高周波機械衝撃処理(High Frequency Mechanical Impact)等の処理が挙げられる。なお、溶接止端14aは、溶接部14の縦リブ12側の溶接止端であり、溶接止端14bは、溶接部14の横リブ13側の溶接止端である。
また、止端処理部30は、止端部分での応力集中を抑止できれば止端部分の適切な位置及び範囲に設けることができる。好ましくは、例えば図2中の拡大図に示すように、その止端処理部30の上端側が、少なくとも縦リブ12の下端部の位置よりも上方に位置するように設けることであり、これにより応力集中を安定的に抑止することができる。より好ましくは、止端処理部30の上端側が、縦リブ12の下端部の位置からさらに縦リブ12の板厚の2倍の高さの位置まで達するように設けることである。この場合は、止端処理の手数を抑えながら、止端部分での応力集中の抑止効果をより確実且つ安定的に確保することができる。
さらに、図27に示すように、止端処理部30における止端処理は、止端処理によって止端が除去された後に形成される窪み30aの曲率半径Lが3mm以上となるように施すことが好ましい。
溶接部14の疲労強度が向上するため、文献2のD等級の一定振幅疲労限度を適用し、(10)式とする。
Figure 0006072946
〔2.両リブの交差部で発生する応力と部材の寸法の関係定式化〕
本実施形態では縦リブ12等の部材の寸法と、両リブ12、13の交差部で発生する補正ホットスポット応力範囲Δσ'hとの関係を、(11)式のように定式化することを目指す。
ただし、hは一般的な部材の高さ、tは一般的な部材の厚さ、Lは一般的な部材の長さを意味する。
Figure 0006072946
(11)式が定式化できれば、(11)式を(9)式又は(10)式に代入してすることで、部材の寸法を定める式を得ることができる。ただし、両リブ12、13の交差部では、前述のように両溶接止端14a、14bが存在する。両溶接止端14a、14bで発生する補正ホットスポット応力の両方ともが例えば(9)式を満たすようにするため、(12)式から(14)式のように規定した。
Figure 0006072946
なお、(12)式の左辺は補正ホットスポット応力範囲Δσ'hを表し、右辺は疲労限度を表す。
ここで、Δσ'p,est及びΔσ't,estは、それぞれ縦リブ12側、横リブ13側の溶接止端14a、14bで発生する補正ホットスポット応力範囲の、部材の寸法からの評価値である。以下では、(13)式及び(14)式において下線で示した(A)項から(D)項まで順に、それらの項の導出過程を示す。
なお、溶接部14に止端処理部30が設けられた場合には、(12)式の代わりに、(15)式を用いる。
Figure 0006072946
〔2.1.(13)式及び(14)式の導出方法〕
図5及び図6に示す道路橋2の一部を切り出した解析モデルにおいて解析を行った。デッキプレート11の板厚tdは16mm、縦リブ12のピッチは320mm、溶接部14は溶接脚長8mmのすみ肉溶接等とした。
表1に示すように、部材の寸法を変化させた20ケースの解析を行い、補正ホットスポット応力を算出した。各ケースにおいて、荷重を移動載荷させながら補正ホットスポット応力のとり得る最大値及び最小値を探索し、さらにそれらの補正ホットスポット応力を部材の寸法から評価できるように、(13)式及び(14)式を導出した。
Figure 0006072946
例えば、モデルNo.1の解析モデルでは、縦リブ12の支間長Lpを1500mm、縦リブ12の板厚tpを16mm、縦リブ12の高さhpを183mm等としている。
モデルNo.2の解析モデルでは、モデルNo.1の解析モデルから縦リブ12の高さhpを235mmに代えている。
〔2.2.縦リブ側の溶接止端での発生応力、(13)式の(A)項〕
縦リブ12側の溶接止端14aで発生する応力は、縦リブ12の剛性に強く影響されると考えられる。図7に示すように、縦リブ12の上フランジとしてのデッキプレート11の有効幅Wdを、この縦リブ12に隣接する縦リブ12との中間点まで(縦リブ12のピッチ)とする。縦リブ12の断面性能を計算すると、(16)式から(19)式が得られる。
Figure 0006072946
両リブ12、13の交差部での縦リブ12の下端に発生するモーメントは、縦リブ12の支間長Lpに比例する。自動車等により作用される荷重を一定とすれば、縦リブ12の下端の応力は、(20)式のようになると考えられる。
Figure 0006072946
図8に示すように、(Lp,l/Ip)の値と、FEA(有限要素解析)結果による縦リブ12側の溶接止端14aに作用する補正ホットスポット応力範囲Δσ'pとの関係が求められる。この関係を一次式で回帰分析し、(21)式のような、(Lp,l/Ip)の値を代入することで補正ホットスポット応力範囲の評価値Δσ'p,estを推定することができる推定式を得た。
すなわち、Δσ'pのような「est」の添え字の無い記号は解析から求めた値であり、Δσ'p,estのような「est」の添え字の有る記号は(21)式のような推定式から求めた値である。
Figure 0006072946
〔2.3.横リブ側の溶接止端での発生応力〕
横リブ13側の溶接止端14bに最大応力、最小応力を発生させる荷重の位置が異なるため、両者を分けて考える。
〔2.3.1.最大応力、(14)式の(B)項〕
横リブ13側の溶接止端14bに最大応力が発生するのは、図9に示すように、着目する両リブ12、13の交差部P1をなす縦リブ12(図9中に縦リブ12Aとして示す)に隣接する縦リブ12(図9中に縦リブ12Bとして示す)の直上にタイヤによる荷重Pを載荷した時であった。その最大応力は、(22)式のように、縦リブ12の支間長Lpに比例し、縦リブ12の高さhp、横リブ13のウェブ16の板厚tt、及び横リブ13のウェブ16の高さhtの二乗の積に反比例すると考えられる。
Figure 0006072946
図10に示すように、L/(t )の値と、解析結果による横リブ13側の溶接止端14bに作用する補正ホットスポット応力の最大値σ't,maxとの関係が求められる。この関係を一次式で回帰分析し、(23)式のような、L/(t )の値を代入することで補正ホットスポット応力の最大値の評価値σ't,max,estを推定することができる推定式を得た。
Figure 0006072946
〔2.3.2.最小応力の膜応力成分、(14)式の(C)項〕
最小応力は、図11に示すように、着目する両リブ12、13の交差部P1をなす縦リブ12Aの直上で、縦リブ12Aの支間部に荷重Pを載荷した場合に発生した。最小応力の推定式の導出は、応力の膜応力成分と曲げ応力成分とを分けて考える。
膜応力成分は、図11及び図12に示すように、縦リブ12のせん断力が横リブ13のウェブ16に鉛直力として伝わって発生する。なお、図11及び図12及び後述する図13及び図14ではデッキプレート11は示していない。
一方で、曲げ応力成分は、図13及び図14に示すように、縦リブ12がたわんで回転変形することで横リブ13のウェブ16が面外に変形させられて発生すると考えられる。
まず、膜応力成分の推定式を導出する。縦リブ12から横リブ13のウェブ16に伝達される鉛直力を、縦リブ12の側面から伝わるせん断力と縦リブ12の下端から伝わる鉛直力に分解して考える。せん断力、鉛直力によってそれぞれ発生するせん断応力τと鉛直応力σが、図12に示すように45°方向に伝わると仮定する。せん断応力τによって変形する領域Aと、鉛直応力σによって変形する領域Bとがそれぞれ独立して変形すると考える。
領域Aでは、せん断応力の45°方向の主応力に変換し、その主応力による領域Aの鉛直変形量を算出する。鉛直方向Yの座標をyとして、横リブ13のウェブ16の領域Bの変形による縦リブ12の側面と横リブ13のウェブ16との接合部の鉛直変形量δBを計算すると、(24)式が得られる。
ここで、デッキプレート11、縦リブ12、及び横リブ13が形成されている鋼の弾性係数をEとする。
Figure 0006072946
領域Bは、下方に向かうにしたがって断面積が増加し、鉛直応力が減少する。横リブ13のウェブ16の下端から上向きにy軸をとれば、領域B内での鉛直応力はyの関数として(25)式のように表せる。
Figure 0006072946
(25)式を弾性係数Eで除して積分することで、横リブ13のウェブ16の領域Bの変形による縦リブ12の下端と横リブ13のウェブ16との接合部の鉛直変形量δBが、(26)式のように計算できる。
Figure 0006072946
領域Aの変形量と領域Bの変形量とが等しいとすれば、δ=δBという式となる。この式に(26)式及び(24)式を代入して、せん断力τ(y)について解けば、(27)式が得られる。
Figure 0006072946
縦リブ12から横リブ13に伝わる力Rは、鉛直応力σに縦リブ12の下端の面積であるt(t+2)をかけたものと、せん断力τ(y)を縦リブ12の側面に沿って積分したものの総和である。これにより、(28)式が得られる。
Figure 0006072946
(28)式を鉛直応力σについて解くと、(29)式及び(30)式が得られる。
Figure 0006072946
横リブ13側の溶接止端14bでの補正ホットスポット応力の最小値の膜応力成分(σ't,min,ben,est)は、未知の係数c’を用いて(31)式のように表されると考えられる。
Figure 0006072946
力Rは、荷重Pが一定の下では変動しない。(31)式において、c=c’と置いて(29)式を用いると、(32)式が得られる。
Figure 0006072946
図15に示すように、(1/C)の値と、解析結果による横リブ13側の溶接止端14bに作用する補正ホットスポット応力の膜応力成分の最小値σ't,min,memとの関係が求められる。この関係を一次式で回帰分析し、(33)式のような、Cの値を代入することで補正ホットスポット応力の膜応力成分の最小値の評価値σ't,min,mem,estを推定することができる推定式を得た。
Figure 0006072946
〔2.3.3.最小応力の曲げ応力成分、(14)式の(D)項〕
横リブ13のウェブ16の面外変形によって発生する曲げ応力は、図13及び図14に示したモデルから推定する。
縦リブ12が横リブ13上でピン支持された連続梁であると見なして縦リブ12が回転した角度θを算出する。横リブ13のウェブ16は、その縦リブ12の回転によって長さwだけ面外方向に変形していると考える。このとき、(34)式及び(35)式が得られる。
Figure 0006072946
ここでは、荷重Pと鋼の弾性係数Eを定数とみなしている。
横リブ13のウェブ16は、縦リブ12の回転によって角度θ及び長さwだけ変位する。図14に示す横リブ13のうち、縦リブ12に拘束されていない長さ(h−h)の区間を片持ち梁と考えれば、横リブ13のウェブ16の縦リブ12の下端位置で発生する応力は、tθ/(h−h)の項とt/(h−hの項のそれぞれに係数をかけた和で表わされると考えられる。これと(34)式及び(35)式から、(36)式が得られる。
Figure 0006072946
しかし、解析結果である横リブ13側の溶接止端14bに作用する最小補正ホットスポット応力の曲げ応力成分であるσ't,min,benを(36)式の右辺で回帰分析し、定数c、cを決定したところ、(36)式の右辺の第2項の影響が小さく、この第2項が無視できると判断できた。このため、σ't,min,benを(36)式の右辺の第1項のみで回帰分析した。
すなわち、図16に示すt /I/(h−h)の値と、解析結果による横リブ13側の溶接止端14bに作用する補正ホットスポット応力の曲げ応力成分の最小値σ't,min,benとの関係が求められる。この関係を一次式で回帰分析し、(37)式のような、t /I/(h−h)の値を代入することで補正ホットスポット応力の曲げ応力成分の最小値の評価値σ't,min,ben,estを推定することができる推定式を得た。
Figure 0006072946
〔2.4.横リブ側の溶接止端に発生する補正ホットスポット応力範囲の推定式〕
応力範囲は最大応力と最小応力の差であり、(23)式、(33)式、及び(37)式より(38)式を得た。なお、(38)式は前述の(14)式に等しい。
Figure 0006072946
図17に、(14)式による横リブ13側の溶接止端14bに作用する補正ホットスポット応力範囲の評価値Δσ't,estと、解析結果の横リブ13側の溶接止端14bに作用する補正ホットスポット応力範囲Δσ'tとの関係を示す。決定係数(R)が0.9286であることから、(14)式による評価値が十分な精度を持つことが分かった。
〔3.実施例〕
図18及び図19に、(12)式を満たす縦リブ12等の部材の寸法の例を示す。図20及び図21に、(15)式を満たす部材の寸法の例を示す。図18から図21の横軸は、縦リブ12の板厚tpを表し、縦軸は縦リブ12の高さhpを表す。横リブ13のウェブ16の高さhtを400mm、500mm、600mm、700mmとしたときに、縦リブ12の板厚tpと高さhpとが満たすべき関係式を実線、点線、一点鎖線、二点鎖線でそれぞれ示している。図18及び図20が縦リブ12の支間長Lpが1500mmの場合であり、図19及び図21が縦リブ12の支間長Lpが2000mmの場合である。
ただし、この時、デッキプレート11の板厚tdを16mm、縦リブ12の間隔dpを320mm、横リブ13のウェブ16の板厚ttを9mm、溶接部14の幅aを8mmとした。
道路橋示方書(日本道路協会編)によれば、本発明の縦リブのような自由突出部材はその幅(b)と板厚(t)の比である幅厚比をb/t≦16とすることで、低い作用応力で面外たわみや剛度の低下が生じることを防ぐことができる。本発明の縦リブ12においても、縦リブ12の高さhp、縦リブ12の板厚tpが(39)式を満たすように設定されていることが好ましい。
Figure 0006072946
図18から図21には、(39)式を表す線を併せて示した。
すなわち、例えば図18において、ウェブ16の高さhtが400mmときには、実線上のいずれかの位置で示された板厚tp、高さhpの組み合わせの縦リブ12を用いるが、実線上であって領域S内の上のいずれかの位置で示された板厚tp、高さhpの組み合わせの縦リブ12を用いた方がより好ましい。
箱桁の補剛構造等では補剛リブの幅厚比を12以下として座屈に対する耐力の低下を防ぐ場合が多くある。本発明では、単位鋼重あたりの断面性能の効率をより向上させるためと、縦リブ12が薄くなり過ぎると縦リブ12の強度が低下するため、幅厚比の範囲を(39)式を満たすものが好ましいとした。
さらに、縦リブ12が薄くても疲労に耐えられるため、(hp/tp)の値を12よりも大きくすることが好ましい。
〔4.疲労試験結果〕
図22から図25に示す本実施例の道路橋2上に、2つのダブルタイヤを持つ自重200kNの台車を、往復走行させる疲労試験を行った。縦リブ12の板厚tpを16mm、縦リブ12の高さhpを256mm、デッキプレート11の板厚tdを16mm、溶接部14の幅aを8mm、縦リブの支間長Lpを2250mmとした。すなわち、(hp/tp)の値は16となる。
なお、図22中にハッチングで示す領域Sに、図25に示すタイヤTを走行させた。
図26には、(12)式によって定められる部材の寸法と試験結果の関係を示した。図26の横軸は、縦リブ12の板厚tpを表し、縦軸は縦リブ12の高さhpを表す。実施例の道路橋2の部材の寸法の条件を、図26中に○印で示した。
試験の結果、80万回載荷後も疲労によるき裂の発生が無く、十分な疲労耐久性を保有することが確かめられた。
また、溶接部14に止端処理部30を設けた場合は、文献2で示されるように、少なくとも1等級の疲労強度の向上が見込まれる。このため、本実施例の道路橋2においても、前記の疲労試験結果より1等級以上向上すると考えられる。
以上説明したように、本実施形態の鋼床版10及び道路橋2によれば、き裂が発生するのを抑えて耐久性を高くすることができる。
また、溶接部14の幅a等を、(12)式、(13)式、及び(14)式、又は、(15)式、(13)式、及び(14)式を満たすように設定することで、Δσ'p,est及びΔσ't,estのうち大きい方の値が、補正ホットスポット応力範囲に換算した疲労限度以下になるため、応力繰返し回数によらずき裂が発生するのを抑制することができる。
溶接部14に止端処理部30が設けられていることで、応力繰返し回数によらず溶接部14からき裂が発生するのをより確実に抑制することができる。
(39)式を満たすように設定することで、縦リブ12の板厚tpに対して縦リブ12の高さhpが長くなり過ぎて縦リブ12の強度が低下するのを抑えることができる。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、縦リブ12か延びる第一の方向が橋軸方向Xであり、横リブ13が延びる第二の方向が橋軸直交方向Zであるとした。しかし、第一、二の方向はこれに限定されず、縦リブ12か延びる第一の方向が橋軸直交方向Zであり、横リブ13が延びる第二の方向が橋軸方向Xであるとしてもよい。
鋼床版10が備える縦リブ12、横リブ13の数は特に限定されず、鋼床版10が1本以上の縦リブ12、1本以上の横リブ13を備えればよい。
鋼床版10が新設の道路橋に用いられていたが、本鋼床版10は既設の道路橋の改修に用いてもよい。
1、2 道路橋
10 鋼床版
11 デッキプレート
12 縦リブ
13 横リブ
14 溶接部(接続部)
16 ウェブ
16a 切欠き
17 フランジ
30 止端処理部
X 橋軸方向(第一の方向)
Z 橋軸直交方向(第二の方向)

Claims (5)

  1. デッキプレートと、
    平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、
    前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、
    を備える鋼床版であって、
    前記横リブは、
    前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、
    前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、
    を有し、
    前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、
    前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、
    複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、
    複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、
    前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(1)式から(3)式を満たすように設定されていることを特徴とする鋼床版。
    Figure 0006072946
  2. デッキプレートと、
    平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、
    前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、
    を備える鋼床版であって、
    前記横リブは、
    前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、
    前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、
    を有し、
    前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、
    前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、
    複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、
    複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、
    前記接続部には、止端処理部が設けられ、
    前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(4)式から(6)式を満たすように設定されていることを特徴とする鋼床版。
    Figure 0006072946
  3. (7)式を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼床版。
    Figure 0006072946
  4. 前記接続部において、ルート間隔の合計を4mm以下とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼床版。
  5. 請求項1から4のいずれか一項の鋼床版を用いた道路橋。
JP2016016696A 2016-01-29 2016-01-29 鋼床版及び道路橋 Active JP6072946B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016016696A JP6072946B1 (ja) 2016-01-29 2016-01-29 鋼床版及び道路橋

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016016696A JP6072946B1 (ja) 2016-01-29 2016-01-29 鋼床版及び道路橋

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6072946B1 true JP6072946B1 (ja) 2017-02-01
JP2017133331A JP2017133331A (ja) 2017-08-03

Family

ID=57937494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016016696A Active JP6072946B1 (ja) 2016-01-29 2016-01-29 鋼床版及び道路橋

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6072946B1 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107217597A (zh) * 2017-06-08 2017-09-29 东南大学 一种预应力混凝土桥面无缝连接板的施工方法
CN108252213A (zh) * 2018-03-13 2018-07-06 长沙理工大学 一种钢-uhpc组合梁
JP2020020128A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 日本製鉄株式会社 鋼床版
JP2021025229A (ja) * 2019-07-31 2021-02-22 日本製鉄株式会社 床版構造および床版取替え方法
CN114753249A (zh) * 2022-05-31 2022-07-15 浙江中隧桥波形钢腹板有限公司 一种带翻边的横肋和桥面结构

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113369780A (zh) * 2021-07-16 2021-09-10 辽宁工程技术大学 一种磁吸式点阵支撑的多重精调胎架装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1121819A (ja) * 1997-07-03 1999-01-26 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 鋼床版
JP2008280758A (ja) * 2007-05-10 2008-11-20 Nippon Steel Corp 鋼床版および鋼床版の製造方法
JP2013087432A (ja) * 2011-10-14 2013-05-13 Nippon Steel & Sumitomo Metal 橋梁用鋼床版および橋梁用鋼床版の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1121819A (ja) * 1997-07-03 1999-01-26 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 鋼床版
JP2008280758A (ja) * 2007-05-10 2008-11-20 Nippon Steel Corp 鋼床版および鋼床版の製造方法
JP2013087432A (ja) * 2011-10-14 2013-05-13 Nippon Steel & Sumitomo Metal 橋梁用鋼床版および橋梁用鋼床版の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107217597A (zh) * 2017-06-08 2017-09-29 东南大学 一种预应力混凝土桥面无缝连接板的施工方法
CN108252213A (zh) * 2018-03-13 2018-07-06 长沙理工大学 一种钢-uhpc组合梁
JP2020020128A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 日本製鉄株式会社 鋼床版
JP7024654B2 (ja) 2018-07-31 2022-02-24 日本製鉄株式会社 鋼床版
JP2021025229A (ja) * 2019-07-31 2021-02-22 日本製鉄株式会社 床版構造および床版取替え方法
CN114753249A (zh) * 2022-05-31 2022-07-15 浙江中隧桥波形钢腹板有限公司 一种带翻边的横肋和桥面结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017133331A (ja) 2017-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6072946B1 (ja) 鋼床版及び道路橋
JP5776488B2 (ja) 橋梁用鋼床版
JP5808593B2 (ja) 鉄骨有孔梁の補強構造
JP2018131882A (ja) 基礎構造
KR20110098714A (ko) 주량 접합부 구조
JP2006070570A (ja) 鋼床版用縦リブ及びその設置方法
JP6451476B2 (ja) 鋼床版
Roeder et al. Improved live load deflection criteria for steel bridges
JP4347158B2 (ja) 鋼橋、並びに鋼橋の補強方法及び補修方法
JP2019007172A (ja) 柱梁接合構造
JP2009244957A (ja) 台車枠の強度評価方法
JP5721687B2 (ja) 鋼床版および橋梁
JP2017101514A (ja) 鋼床版ならびに鋼床版の補強工法および製造方法
JP6128058B2 (ja) 梁端部の接合構造
JP2020023785A (ja) スカラップ及びそのスカラップを用いた梁端現場接合部
Inose et al. Functional assessment of laser arc hybrid welded joints and their application for bridge construction
JP4823966B2 (ja) 鋼床版および鋼床版の製造方法
JP7143781B2 (ja) 梁端接合部
JP5935395B2 (ja) 溶接組立四面箱形断面部材の角溶接用開先部
JP5378324B2 (ja) 鋼床版リブ交差部接合構造および橋梁
Okelo Fatigue life prediction for distortion-induced cracking of steel bridges
JP5640858B2 (ja) 既設鉄骨部材の補強構造及び補強方法
TWI418689B (zh) 異向性補強金屬板
JP6801231B2 (ja) 梁の評価方法
Barsoum Guidelines for fatigue andstatic analysis of weldedand un-welded steelstructures

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6072946

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250