JP6072946B1 - 鋼床版及び道路橋 - Google Patents
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Abstract
Description
横リブに切欠きを形成することで、縦リブと横リブとを組み立てやすくしている。
本発明の鋼床版は、デッキプレートと、平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、を備える鋼床版であって、前記横リブは、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、を有し、前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm 4 )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(1)式から(3)式を満たすように設定されていることを特徴としている。
この発明によれば、接続部が横リブの切欠きの縁部と縦リブとにそれぞれ接合されることで、切欠きが封止されている。このため、横リブの切欠きが形成されている部分に応力が集中しにくくなり、横リブや縦リブからき裂が発生するのを抑えて鋼床版の耐久性を高くすることができる。
また、Δσ' p,est 及びΔσ' t,est のうち大きい方の値が、補正ホットスポット応力範囲に換算した疲労限度以下になるため、応力繰返し回数によらずき裂が発生するのを抑制することができる。
また、接続部に止端処理部が設けられていることで、応力繰返し回数によらず接続部からき裂が発生するのをより確実に抑制することができる。
この発明によれば、制作時に縦リブが変形、位置ずれした場合等に、縦リブが横リブの切欠きに挿入されにくくなることを抑え、鋼床版の製作性を向上させることができる。
この発明によれば、鋼床版にき裂が発生するのが抑えられることで、道路橋の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明に係る道路橋の第1実施形態を、図1から図2を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の道路橋1は、本鋼床版10と、鋼床版10の下方に配置されて鋼床版10を支持する主桁25と、主桁25を支持する図示しない下部工と、を備えている。なお、道路橋1は橋軸方向(第一の方向)Xに延び、道路橋1の幅方向が橋軸直交方向(第二の方向)Zとなる。橋軸直交方向Zは、橋軸方向Xに直交(交差)する方向である。これら橋軸方向X及び橋軸直交方向Zは、鋼床版10の後述するデッキプレート11の主面11aに沿う方向である。
橋軸方向X及び橋軸直交方向Zにそれぞれ直交する方向が、例えば鉛直方向Yとなる。
デッキプレート11は鋼板等で形成され、橋軸方向X及び橋軸直交方向Zにそれぞれ延びている。
各縦リブ12は、鋼板等により橋軸方向X及び鉛直方向Yに延びる平板状に形成されている。複数の縦リブ12は、橋軸直交方向Zに間隔をおいて配置されている。縦リブ12は、溶接等によりデッキプレート11に接合されている。
ウェブ16及びフランジ17は鋼板等により形成されている。ウェブ16とフランジ17とは、溶接等により接合されている。複数の横リブ13は、橋軸方向Xに間隔をおいて配置されている。
ウェブ16の上端部における切欠き16a以外の部分は、溶接等によりデッキプレート11に接合されている。横リブ13の切欠き16aには、縦リブ12が挿通されている。
溶接部14は、ウェブ16の両面に設けられることが好ましいが、ウェブ16の片面に設けられてもよい。溶接部14において、ルート間隔の合計は、2mmを超え4mm以下となってもよい。ここで言うルート間隔とは、横リブ13のウェブ16と縦リブ12の間のすき間を意味し、ルート間隔の合計とは、横リブ13のウェブ16に設けられた切欠き16aの幅(橋軸直交方向Zの寸法)から縦リブ12の板厚を差引いた長さを意味する。
ただし、ルート間隔の合計が従来に比して大きくなる分だけ、後述する溶接脚長を増加させることで溶接部14の強度を確保することが好ましい。また、ルート間隔の合計を大きくすることで溶接性が低下する場合には、溶接接合部に適切な開先を設けることもできる。開先とは溶接される部材の端部の形状であり、部材の板厚部が露出している端面と板表面とが成す角を面取り加工するものなどが代表的である。ルート間隔の合計を大きくした場合にも、上記の様に溶接脚長を増加させることで十分な疲労強度を確保できることが、後述の疲労試験によって確認された。
次に、本発明の第2実施形態について図3から図26を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の道路橋2(図5参照)では、鋼床版10の各寸法や断面二次モーメント等を設定することで、鋼床版10の耐久性をさらに向上させる検討を行った。
以下では、その検討結果について説明する。
溶接継手の疲労設計では、公称応力範囲が、疲労強度を超えないように設計することが多い。ここで言う公称応力とは、溶接継手近傍で起きる応力集中の影響を受けない箇所での作用応力のことを意味する。疲労強度とは、応力を所定の繰返し数だけ繰り返し作用させても疲労破壊を起こさない応力範囲の上限値のことを意味する。また、応力範囲とは、応力の時系列での最大値と最小値の差のことを意味する。ただし、疲労強度は、継手の形状によって異なる。一方で、本発明では、応力算出時に、溶接継手部での応力集中を考慮できる、公知のホットスポット応力を用いて検討を行った。ホットスポット応力を用いることで、様々な継手形状の疲労設計を共通の疲労強度によって行うことができることが知られている。
ホットスポット応力は、継手形状の公称応力に、継手形状の形状による応力集中係数を掛けた値として規定される。
a:溶接部の幅(mm)
ci:定数
dp:縦リブの間隔(mm)
ep:縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の縦リブの中心からの中立軸高さ(mm)
hp:縦リブの高さ(mm)
ht:横リブのウェブの高さ(mm)
Ip:縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメント(mm4)
K:応力集中係数
Lp:縦リブの支間長(横リブの間隔)(mm)
Mp:縦リブの横リブとの交差部に働くモーメント(Nmm)
td:デッキプレートの板厚(mm)
tp:縦リブの板厚(mm)
tt:横リブのウェブの板厚(mm)
wt:縦リブと横リブとの交差部での横リブのウェブの面外たわみ量(mm)
yp,l:縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離(mm)
Δ〜:〜の最大値と最小値の差(範囲)
θp:縦リブと横リブとの交差部での縦リブの回転角(radian)
σa:公称応力範囲(N/mm2)
σb:縦リブと横リブとの交差部の縦リブの下端と横リブとの接続部の横リブ側に発生する応力(N/mm2)
σf:公称応力に対する疲労強度(N/mm2)
σ'f:ホットスポット応力に対する疲労強度(N/mm2)
σh:ホットスポット応力(N/mm2)
σ'h:板厚および曲げの影響を考慮して補正した後のホットスポット応力(N/mm2)
σ(y),τ(y):横リブのウェブに発生する直応力、せん断力(N/mm2)。横リブのウェブの下端を0とした鉛直y軸の関数として表した。
Δσ'p,est:縦リブ側の溶接止端に作用する補正ホットスポット応力範囲の評価値(N/mm2)
Δσ't,est:横リブ側の溶接止端に作用する補正ホットスポット応力範囲の評価値(N/mm2)
σ't,min,ben:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の曲げ応力成分(N/mm2)
σ't,max:横リブ側の溶接止端に作用する最大補正ホットスポット応力(N/mm2)
σ't,min,mem,est:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の膜応力成分の評価値(N/mm2)
σ't,min,ben,est:横リブ側の溶接止端に作用する最小補正ホットスポット応力の曲げ応力成分の評価値(N/mm2)
σ't,max,est:横リブ側の溶接止端に作用する最大補正ホットスポット応力の評価値(N/mm2)
「デッキプレートの有効幅」は、図7に示すように、デッキプレート11における複数の縦リブ12のピッチ分の長さWdを意味する。
「縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面」は、図7にハッチングで示した、1つの縦リブ12と有効幅Wdのデッキプレート11による領域S1を意味する。
「縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離yp,l」は、図7に示すように、ハッチングで示した断面の中立軸C1から縦リブ12の下端までの距離を意味する。
縦リブとデッキプレートの有効幅とからなる断面の断面係数Zp(mm3)は、(Ip/yp,l)と規定される。
本実施形態では、図3に示すように、既往の様々な形状の試験体での疲労試験結果、及び今回の鋼床版に関する疲労試験結果を収集した。図3の横軸は疲労寿命を表し、縦軸は曲げ及び板厚の補正を考慮する前のホットスポット応力範囲Δσhを表す。図中、未破断試験打切りは、繰り返し回数において試験片が破断しなかったが試験を打ち切ったことを意味する。JSSCは、一般社団法人日本鋼構造協会のことを意味する。
ここで、σh,mem、σh,benは、ホットスポット応力に占める膜応力成分、曲げ応力成分を示す。図4の縦軸において、Δσ'hが62N/mm2の線が、疲労限度となっている。疲労限度とは、疲労強度のうち、応力を何回繰り返し作用させても疲労破壊を起こさない応力範囲の上限値のことを意味する。
また、図4の縦軸に示す補正ホットスポット応力範囲が、日本鋼構造協会編、「鋼構造物の疲労設計指針・同解説」、2012年6月発行(以下、文献2と称する)の定めるE等級の疲労強度を下限とした分布となった。このため、補正ホットスポット応力が、E等級の一定振幅疲労限度(62N/mm2)以下となることを設計クライテリアとし、(9)式を得た。ここで、一般社団法人日本鋼構造協会が定める疲労強度の 等級とは、溶接継手もしくはその他の疲労き裂発生個所を、その疲労強度に応じて分類する際に用いるものである。等級が高いほど疲労強度が高く、すなわち同様の公称応力が生じていても長い疲労寿命を得ることができる。
この実施形態の場合、溶接部14等に止端処理部30(図2中の拡大図参照)を設けている。止端処理部30に施される止端処理としては、例えば、溶接部14を溶接した後の溶接止端14a、14bに対してグラインダー、ピーニング、高周波機械衝撃処理(High Frequency Mechanical Impact)等の処理が挙げられる。なお、溶接止端14aは、溶接部14の縦リブ12側の溶接止端であり、溶接止端14bは、溶接部14の横リブ13側の溶接止端である。
さらに、図27に示すように、止端処理部30における止端処理は、止端処理によって止端が除去された後に形成される窪み30aの曲率半径Lが3mm以上となるように施すことが好ましい。
溶接部14の疲労強度が向上するため、文献2のD等級の一定振幅疲労限度を適用し、(10)式とする。
本実施形態では縦リブ12等の部材の寸法と、両リブ12、13の交差部で発生する補正ホットスポット応力範囲Δσ'hとの関係を、(11)式のように定式化することを目指す。
ただし、hは一般的な部材の高さ、tは一般的な部材の厚さ、Lは一般的な部材の長さを意味する。
ここで、Δσ'p,est及びΔσ't,estは、それぞれ縦リブ12側、横リブ13側の溶接止端14a、14bで発生する補正ホットスポット応力範囲の、部材の寸法からの評価値である。以下では、(13)式及び(14)式において下線で示した(A)項から(D)項まで順に、それらの項の導出過程を示す。
なお、溶接部14に止端処理部30が設けられた場合には、(12)式の代わりに、(15)式を用いる。
図5及び図6に示す道路橋2の一部を切り出した解析モデルにおいて解析を行った。デッキプレート11の板厚tdは16mm、縦リブ12のピッチは320mm、溶接部14は溶接脚長8mmのすみ肉溶接等とした。
表1に示すように、部材の寸法を変化させた20ケースの解析を行い、補正ホットスポット応力を算出した。各ケースにおいて、荷重を移動載荷させながら補正ホットスポット応力のとり得る最大値及び最小値を探索し、さらにそれらの補正ホットスポット応力を部材の寸法から評価できるように、(13)式及び(14)式を導出した。
モデルNo.2の解析モデルでは、モデルNo.1の解析モデルから縦リブ12の高さhpを235mmに代えている。
縦リブ12側の溶接止端14aで発生する応力は、縦リブ12の剛性に強く影響されると考えられる。図7に示すように、縦リブ12の上フランジとしてのデッキプレート11の有効幅Wdを、この縦リブ12に隣接する縦リブ12との中間点まで(縦リブ12のピッチ)とする。縦リブ12の断面性能を計算すると、(16)式から(19)式が得られる。
すなわち、Δσ'pのような「est」の添え字の無い記号は解析から求めた値であり、Δσ'p,estのような「est」の添え字の有る記号は(21)式のような推定式から求めた値である。
横リブ13側の溶接止端14bに最大応力、最小応力を発生させる荷重の位置が異なるため、両者を分けて考える。
横リブ13側の溶接止端14bに最大応力が発生するのは、図9に示すように、着目する両リブ12、13の交差部P1をなす縦リブ12(図9中に縦リブ12Aとして示す)に隣接する縦リブ12(図9中に縦リブ12Bとして示す)の直上にタイヤによる荷重Pを載荷した時であった。その最大応力は、(22)式のように、縦リブ12の支間長Lpに比例し、縦リブ12の高さhp、横リブ13のウェブ16の板厚tt、及び横リブ13のウェブ16の高さhtの二乗の積に反比例すると考えられる。
最小応力は、図11に示すように、着目する両リブ12、13の交差部P1をなす縦リブ12Aの直上で、縦リブ12Aの支間部に荷重Pを載荷した場合に発生した。最小応力の推定式の導出は、応力の膜応力成分と曲げ応力成分とを分けて考える。
膜応力成分は、図11及び図12に示すように、縦リブ12のせん断力が横リブ13のウェブ16に鉛直力として伝わって発生する。なお、図11及び図12及び後述する図13及び図14ではデッキプレート11は示していない。
一方で、曲げ応力成分は、図13及び図14に示すように、縦リブ12がたわんで回転変形することで横リブ13のウェブ16が面外に変形させられて発生すると考えられる。
領域Aでは、せん断応力の45°方向の主応力に変換し、その主応力による領域Aの鉛直変形量を算出する。鉛直方向Yの座標をyとして、横リブ13のウェブ16の領域Bの変形による縦リブ12の側面と横リブ13のウェブ16との接合部の鉛直変形量δBを計算すると、(24)式が得られる。
ここで、デッキプレート11、縦リブ12、及び横リブ13が形成されている鋼の弾性係数をEとする。
横リブ13のウェブ16の面外変形によって発生する曲げ応力は、図13及び図14に示したモデルから推定する。
縦リブ12が横リブ13上でピン支持された連続梁であると見なして縦リブ12が回転した角度θpを算出する。横リブ13のウェブ16は、その縦リブ12の回転によって長さwtだけ面外方向に変形していると考える。このとき、(34)式及び(35)式が得られる。
横リブ13のウェブ16は、縦リブ12の回転によって角度θp及び長さwtだけ変位する。図14に示す横リブ13のうち、縦リブ12に拘束されていない長さ(ht−hp)の区間を片持ち梁と考えれば、横リブ13のウェブ16の縦リブ12の下端位置で発生する応力は、ttθp/(ht−hp)の項とttwt/(ht−hp)2の項のそれぞれに係数をかけた和で表わされると考えられる。これと(34)式及び(35)式から、(36)式が得られる。
すなわち、図16に示すttLp 2/Ip/(ht−hp)の値と、解析結果による横リブ13側の溶接止端14bに作用する補正ホットスポット応力の曲げ応力成分の最小値σ't,min,benとの関係が求められる。この関係を一次式で回帰分析し、(37)式のような、ttLp 2/Ip/(ht−hp)の値を代入することで補正ホットスポット応力の曲げ応力成分の最小値の評価値σ't,min,ben,estを推定することができる推定式を得た。
応力範囲は最大応力と最小応力の差であり、(23)式、(33)式、及び(37)式より(38)式を得た。なお、(38)式は前述の(14)式に等しい。
図18及び図19に、(12)式を満たす縦リブ12等の部材の寸法の例を示す。図20及び図21に、(15)式を満たす部材の寸法の例を示す。図18から図21の横軸は、縦リブ12の板厚tpを表し、縦軸は縦リブ12の高さhpを表す。横リブ13のウェブ16の高さhtを400mm、500mm、600mm、700mmとしたときに、縦リブ12の板厚tpと高さhpとが満たすべき関係式を実線、点線、一点鎖線、二点鎖線でそれぞれ示している。図18及び図20が縦リブ12の支間長Lpが1500mmの場合であり、図19及び図21が縦リブ12の支間長Lpが2000mmの場合である。
ただし、この時、デッキプレート11の板厚tdを16mm、縦リブ12の間隔dpを320mm、横リブ13のウェブ16の板厚ttを9mm、溶接部14の幅aを8mmとした。
すなわち、例えば図18において、ウェブ16の高さhtが400mmときには、実線上のいずれかの位置で示された板厚tp、高さhpの組み合わせの縦リブ12を用いるが、実線上であって領域S2内の上のいずれかの位置で示された板厚tp、高さhpの組み合わせの縦リブ12を用いた方がより好ましい。
箱桁の補剛構造等では補剛リブの幅厚比を12以下として座屈に対する耐力の低下を防ぐ場合が多くある。本発明では、単位鋼重あたりの断面性能の効率をより向上させるためと、縦リブ12が薄くなり過ぎると縦リブ12の強度が低下するため、幅厚比の範囲を(39)式を満たすものが好ましいとした。
さらに、縦リブ12が薄くても疲労に耐えられるため、(hp/tp)の値を12よりも大きくすることが好ましい。
図22から図25に示す本実施例の道路橋2上に、2つのダブルタイヤを持つ自重200kNの台車を、往復走行させる疲労試験を行った。縦リブ12の板厚tpを16mm、縦リブ12の高さhpを256mm、デッキプレート11の板厚tdを16mm、溶接部14の幅aを8mm、縦リブの支間長Lpを2250mmとした。すなわち、(hp/tp)の値は16となる。
なお、図22中にハッチングで示す領域S3に、図25に示すタイヤTを走行させた。
また、溶接部14に止端処理部30を設けた場合は、文献2で示されるように、少なくとも1等級の疲労強度の向上が見込まれる。このため、本実施例の道路橋2においても、前記の疲労試験結果より1等級以上向上すると考えられる。
また、溶接部14の幅a等を、(12)式、(13)式、及び(14)式、又は、(15)式、(13)式、及び(14)式を満たすように設定することで、Δσ'p,est及びΔσ't,estのうち大きい方の値が、補正ホットスポット応力範囲に換算した疲労限度以下になるため、応力繰返し回数によらずき裂が発生するのを抑制することができる。
(39)式を満たすように設定することで、縦リブ12の板厚tpに対して縦リブ12の高さhpが長くなり過ぎて縦リブ12の強度が低下するのを抑えることができる。
例えば、前記第1実施形態及び第2実施形態では、縦リブ12か延びる第一の方向が橋軸方向Xであり、横リブ13が延びる第二の方向が橋軸直交方向Zであるとした。しかし、第一、二の方向はこれに限定されず、縦リブ12か延びる第一の方向が橋軸直交方向Zであり、横リブ13が延びる第二の方向が橋軸方向Xであるとしてもよい。
鋼床版10が新設の道路橋に用いられていたが、本鋼床版10は既設の道路橋の改修に用いてもよい。
10 鋼床版
11 デッキプレート
12 縦リブ
13 横リブ
14 溶接部(接続部)
16 ウェブ
16a 切欠き
17 フランジ
30 止端処理部
X 橋軸方向(第一の方向)
Z 橋軸直交方向(第二の方向)
Claims (5)
- デッキプレートと、
平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、
前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、
を備える鋼床版であって、
前記横リブは、
前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、
前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、
を有し、
前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、
前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、
複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、
複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、
前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm 4 )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(1)式から(3)式を満たすように設定されていることを特徴とする鋼床版。
- デッキプレートと、
平板状に形成されて第一の方向に延び、前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されている縦リブと、
前記第一の方向に交差する第二の方向に延びる横リブと、
を備える鋼床版であって、
前記横リブは、
前記デッキプレートの下方に配置されて前記デッキプレートに接合されているウェブと、
前記ウェブの下端部に接合されているフランジと、
を有し、
前記縦リブは、前記横リブの前記ウェブの上端部に形成された切欠きに挿通され、
前記横リブの前記切欠きの縁部と前記縦リブとにそれぞれ接合されて前記切欠きを封止している接続部を備え、
複数の前記縦リブを前記第二の方向に間隔をおいて備え、
複数の前記横リブを前記第一の方向に間隔をおいて備え、
前記接続部には、止端処理部が設けられ、
前記接続部の幅a(mm)、前記縦リブの高さh p (mm)、前記横リブの前記ウェブの高さh t (mm)、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の断面二次モーメントI p (mm 4 )、前記縦リブの支間長L p (mm)、前記縦リブの板厚t p (mm)、前記横リブの前記ウェブの板厚t t (mm)、及び、前記縦リブと前記デッキプレートの有効幅とからなる断面の中立軸から縦リブの下端までの距離y p,l (mm)が、(4)式から(6)式を満たすように設定されていることを特徴とする鋼床版。
- 前記接続部において、ルート間隔の合計を4mm以下とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼床版。
- 請求項1から4のいずれか一項の鋼床版を用いた道路橋。
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